2022年07月27日

ホームページ「海外平安文学情報」が復旧しました

 本年の春先から、「海外平安文学情報」(https://genjiito.org/)に不具合が発生したために、このサイトが長らく閲覧できなくなっていました。多くの方々からお問い合わせをいただき、再開までのいましばらくの猶予をいただいていました。
 ホームページを管理しているNPO法人〈源氏物語電子資料館〉の淺川さんによる復旧作業と、さくらインターネット株式会社 カスタマーセンターの植木さんの手助けをいただき、無事に再開を果たしました。

220727_HP-kaigai-top.jpg

 まだ、細かい点の補正や問題点は抱えたままです。今後とも、滞っている情報提供の再構築などを進めていきます。
 今は、「海外平安文学情報」(https://genjiito.org/)が復旧したことを、速報としてお知らせします。
 併せて、「古写本『源氏物語』の触読研究」(http://genjiito.sakura.ne.jp/touchread/)のサイトの再建も果たしました。

220727_touch-top.jpg

 不都合な点にお気付きの折には、お手数でも報告をいただけると助かります。
 今後とも、これらのサイトが情報交換の場として活用されることを願っています。
 これまでと変わらぬご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。
 
 
 
posted by genjiito at 20:15| Comment(0) | ■科研研究

2022年03月24日

続々・ウクライナ語訳『源氏物語』に関する情報(その3)

 ウクライナにおける平安文学研究に関する情報と、イワン・ジューブ先生との面談を実現するために、私の科研(A)の科研運用補助員として情報収集と整理にあたっていただいていた大阪大学の吉見さえさんを仲立ちとして、メールを活用して交渉していました。以下にその過程を、ほぼそのまま時間軸に添って再現し、科研の研究報告を補う記録の一つとします。

--------------------------------------
2019年06月04日

 ウクライナ語訳『源氏物語』について、私が本ブログで取り上げたのは、次の記事が最初です。

「36番目の言語となるウクライナ語訳『源氏物語』」(2019年06月04日)

 この時点で36種類の言語で『源氏物語』が翻訳されていたのです。それが、今や、昨秋までに42種類の言語で翻訳されています。
 年を追うごとに、その翻訳される言語の数が増えていることに、あらためて驚いています。

--------------------------------------
2019年10月2日

在ウクライナ日本大使館 担当者様

こんにちは。大阪大学教授の伊藤鉃也博士の代理として、メールさせて頂きます吉見さえと申します。

私たちは、海外における平安文学の研究情報や資料の総合的な情報収集を行なっており、2018年にウクライナで出版された源氏物語の翻訳本について、翻訳者のІван Дюба(イワン・デューバ)さんにお話を伺いたいと考えております。

つきましてはイワン・デューバさんの連絡先もしくは、ご協力いただけそうな日本文化センターなどがありましたらご紹介頂けないでしょうか?

研究成果に関しましては、随時こちらの源氏物語資料館に更新しております。

https://genjiito.org

今回ウクライナで出版された源氏物語翻訳本はこちらです。

https://folio.com.ua/books/Povist-pro-g%27endzi--Kniga-1

どうぞよろしくお願い致します。

吉見

大阪大学 国際教育交流センター 招聘教授
NPO法人<源氏物語資料館>代表理事
博士(文学)伊藤鉃也
(研究室)562−8558大阪府箕面市粟生間谷東8−1−1
大阪大学 箕面キャンパス 総合研究棟 6階

--------------------------------------
2019年10月3日

大阪大学 吉見様

在ウクライナ日本大使館で広報文化を担当している■と申します。
ご依頼の件,翻訳者に大阪大学に連絡先を教えて良いか確認中ですので,少々お時間をいただければ幸いです。

--------------------------------------
2019年10月4日

伊藤先生

おはようございます、吉見です。
早速大使館からお返事が頂けましたので、お知らせします。

吉見

--------------------------------------
2019年10月4日

伊藤先生

お疲れ様です。吉見さえです。
早速、大使館の方からイヴァン・デューバさんの連絡先を教えて頂けました。

こちらからのアポイントに関して、12月末頃に会えるかどうかを聞けばいいですか?

吉見

--------------------------------------
2019年10月4日

吉見 さま

ありがとう。
年末年始の面談に関する都合を伺い、どんどん進めてください。
その際、吉見さんの都合を最優先で。
私は、吉見さんの付き人くらいの気持ちで行きますので。
大使館の方の情報を教えてください。私の知り合いのルートで、人間関係を押し広げられるかも知れませんので。

伊藤鉄也

--------------------------------------
2019年10月4日

伊藤先生

はい、了解しました。
面談の調整をしていきたいので、中国とモスクワ訪問の日程をもし決まっていたら教えて頂きたいです。

在ウクライナ日本大使館 広報文化担当の■さんの連絡先です。
■@mofa.go.jp

よろしくお願い致します。

吉見

--------------------------------------
2019年10月4日

吉見 さま

12月は20日に中国へ行き、23日に帰ってきます。
その前後でしたら大丈夫です。
吉村君は20日まで授業があるようです。
中旬に行けるようであれば彼には次の機会に、ということも考えています。
機会は何度もあるので。
とにかく、行って会える時にお目にかかりたいものです。

--------------------------------------
2019年10月6日

伊藤先生

こんばんは、吉見です。
了解しました。早速イヴァンさんにメールを送ってみます。

吉見

--------------------------------------
2019年10月12日

Sae Yoshimi様

お手紙を頂いてありがとうございます。私はこれまでに源氏物語の35章を翻訳してきました。20の章がすでに別の本で発行されています。今、私は21-41章からなる第2巻を熱心に準備しています。したがって、私は常にこの仕事に専念する必要があります。したがって、インタビューを希望する場合は、電子メールで質問を送信することを提案し、遅滞なく回答します。地元紙に掲載されたこのようなインタビューは、この手紙に添付されています。

よろしくお願いします

※引用者からの注記:本記事の末尾に、地元紙に掲載されたインタビューの日本語訳を掲載しています。

--------------------------------------
2019年10月16日

伊藤先生

おはようございます。吉見さえです。
イバン・デューバさんからお返事がありましたが、第二巻の翻訳に従事したいためインタビューはメールでしてほしいとのことでした。

ウクライナで行われたインタビューについてのファイルを添付してくださっていたので、今日はそれを翻訳してみようと思いますが、今後メールでのインタビューについてなどはどんな風に進めていきますか?

よろしくお願い致します。

吉見

--------------------------------------
2019年11月27日

Иван Дзюб様

吉見さえ(Yoshimi Sae)です。遅くなりましたが、源氏物語ウクライナ語翻訳に関する質問のリストを送らせて頂きます。こちらの質問の回答は伊藤先生が発行しているジャーナルに載せたいとおっしゃっていますが、大丈夫でしょうか?

よろしくお願い致します。

吉見(Yoshimi Sae, Ёсими Саэ)

--------------------------------------
2019年11月27日

吉見さえ様

お手紙を頂きましてありがとうございます。
このたびは質問への答えを送ります。
どうぞよろしく

イワン。ジューブ

吉見さえ様への手紙

1. 私はロシア語だけでなく、英語(A.Waley)、アメリカ(E.Seidensticker)、オーストラリア(R.Tyler)、フランス語(R.Sieffert)、ドイツ語(O.Benl)の翻訳も読みました。

2. 翻訳のベースとして、原文を使用します。その理解にとって非常に価値のあるものは、谷崎潤一郎と瀬戸内寂調の翻訳です。

3. ロシア語の翻訳は、主人公の名前、歴史的事実に関する注釈、日本の伝統を扱うのに役立ちます。

4. 翻訳するとき、地の文では主人公の伝統的な名前(たとえば、源氏、紫、夕霧、柏木など)を使用します。対話では、これらの登場人物は公式の人物(例:右大将)として表され、脚注では伝統的な名前(例:夕霧)で説明されます。

5. ウクライナ語の翻訳でも、実際には同じアプローチが使用されます。

6. 私は文字通り日本の短歌のパターンには従いませんが、そこにある感情を読者のために再現しようとします。

7. それは、日本の詩を翻訳する上で最も難しい問題です。すべてのケースには、細心の分析と脚注での説明さえ必要です。

8. 私の知る限り、源氏物語には物の哀れ、つまり感情(悲しみから賞賛や喜びまで)が浸透しています。ですから、こうした登場人物の気持ちを適切に表現しようと思います。

9. 私の考えでは、ウクライナの読者は長い間、源氏物語のウクライナ語翻訳を待っていました。したがって、私の翻訳が日本の心を理解するための最初のステップになることを願っています。

10. 残念ながら、私はそのような作品を知りません。

11. 源氏物語は、日本人のメンタリティの百科事典であり、日本人の先祖の正確な心理的肖像であると考えています。

イワン。ジューブ Ivan Dziub


--------------------------------------
2019年11月28日

イワン・ジューブ様

お忙しい中、早速お返事を頂きありがとうございます!
回答の方、私たちが発行しているジャーナルに掲載しても大丈夫ですか?
また第2巻の翻訳はいかがでしょうか。
伊藤先生が2月にお時間があればお会いしたいとのことですが、厳しいでしょうか?
ご検討お願い致します。

吉見さえ

--------------------------------------
2019年11月30日

吉見さえ様

もちろん、私の回答はジャーナルに掲載されてもいいです。源氏物語(21〜36章)のウクライナ語翻訳の第2巻は、現在、出版のためにFolioという出版社に提出されました.
宜しくお願いします

イワン。ジューブ

--------------------------------------
2019年12月4日

イワン・ジューブ様
ありがとうございます。そうだったんですね!
第2巻が出版された後も何かの翻訳に取り掛かられる予定ですか?

吉見さえ

--------------------------------------
2019年12月4日

吉見さえ様

今、源氏物語の翻訳を続けて第3巻(そしておそらく最後の巻)を準備するつもりです。ところで、この機会に、キエフ大学で日本語を勉強している学生のために、ウクライナのおとぎ話の翻訳を書いた本をお送りします。ウクライナのおとぎ話の私の翻訳を日本で単行本として出版するために、日本の人々や組織や出版社が資金を提供してくれたらとてもうれしいです。私の提案について関係者に相談してくれませんか?
宜しくお願いします

イワン。ジューブ

--------------------------------------

 ※補足・参照資料
 私がウクライナ語訳『源氏物語』があることを知る1年4ヶ月も前に、その翻訳者であるイバン・ジューブ先生へのインタビュー記事が、地元紙に掲載されていました。それを、吉見さんに日本語に翻訳していただいてあるので、イバン・ジューブ先生の素顔がよくわかるように、ここに紹介します。

2018年2月9日
【Print Issue5、2月10日-2月16日】
イバン・デューバ:”外国語をできる限り早く身に付けたいならば、一番大事なことは動機を明確にすることだ。

彼は類稀なる優秀な日本語の翻訳家である。ウクライナ文化に置いて伝説的な存在であり、多くの言語からウクライナ語に翻訳した素晴らしい翻訳家でもあるイバン・デューバさんはZN.UA紙に自身の新たな取り組みである日本の作家、紫式部の作品の翻訳について語った。また、村上春樹の作品から受けた印象について共有し、ソ連共産党時代、ウクライナ人反体制派の人々を守り”罪を犯した”過去についても振り返った。

83歳のイバン・デューバについて、その見た目はユニークで伝説的だと述べても、誇張ではないだろう。特に彼のような人々が”偉大なるウクライナ人”という称号に値する。彼は20世紀中頃にリヴォフ大学の物理学科を卒業した。そして著名な学者、物理数学における準博士となっていった。その頃から言語を学ぶことに夢中になっていき、ドイツ語や英語、後に自分でいくつかのゲルマン諸語、ロマンス諸語さらにはヒンディー語、ベンガル語を身に付けた。今や紫式部や村上春樹の日本語の素晴らしい翻訳家である。彼の芸術界また科学界における豊富な経歴には政治的な要因がある。彼は長い間の外出禁止令が解けた後、ウクライナ人反体制派の人々を保護する書簡に署名をしたのである。

ーイバンさん、あらゆる記事などを見ても分からなかったのですが、あなたは何カ国語を操れるのですか?中国語やトルコ語、ノルウェー語、そしてもちろん日本語などでしょうか。自分で自身の習得した言語のリストを作ってみたことはありますか?

ー私がいくつの言語を知っているか、それがどのくらいのレベルかを考える代わりに、どのようにしてそれらの言語に興味を持ったかを話すほうがいいでしょう。
全ての始まりは1951年、私がリヴォフ大学の物理数学科に入学した年でした。どの外国語を学ぼうかという疑問が湧いたのです。
私はもちろん選ばなければいけませんでした。ドイツ語をさらに極めるか、あるいは英語を伸ばすか。物理学に関する雑誌は英語で刊行されていたのです。
小学校ではドイツ語を習いました。当時は外国語を習得することは不可能だとさえ思っていたのです。(後でわかったことですが、小学校で習ったことの多くは頭の中に残っていて、後に役に立ちました。)
私は英語を習得し、自分の能力を確かめることにしました。人間は何に秀でているのか分からないものですが。
私は熱心に授業に参加しただけでなく、毎日ダイジェスト版テキストを読んだり、20−30の単語をブロックノートに書き出してどのような状況で使われるのか覚えようとしました。
約1年後いくつの単語を覚えたか計算してみました。ーなんと1万語でした!
これには元気付けられました。この時外国語は習得できるものだと感じ始めたのです。
しかし、大学で原作で英語の古典文学を読んでいた時、自分の成果に満足することはありませんでした。ーフランス語に英語と多くの単語を共有していることに気づき、今度はフランス語を勉強し始めました。
苦労したのは発音だけでした。またイタリア語やスペイン語の習得も難しくありませんでした。その後、モスクワの大学院で学んでいた時、科学の図書館でただ興味本位で様々な言語の文法書を読みました。そしてスカンディナビア諸語に惹かれて行きました。最初はスウェーデン語でした。
キエフに移住した時、1960年代は文学作品の翻訳に挑もうと決めました。
雑誌”全世界”に手紙を出したのを覚えています。”私はこういうものでこういう言語を知っています。良かったら編集の仕事をお手伝いします。” 必要になったら連絡しますとの返信がありました。後でこれがどれだけ幼稚だったか理解しました。実際、どれだけ自分が賢いかではなく、面白い作品の翻訳を送る必要があったのです。

ーあなたの言語、文学における経歴にはただただ驚かされます。その知識のどれだけ幅広いことでしょう。どの作家、どの言語の話者が、翻訳家としてだけではなく人間としてあなたに最も影響を与えましたか?グローバルな観点であるいは哲学的に影響を受けましたか?そうした作家が中国、ノルウェー、トルコあるいは他の国々にいるでしょうか。

ー8年生の時にすでに自分は物理学者か数学者になると考えていましたが、文学作品への関心は
中学校の時に格段に高まりました。
当時は必要な本を手に入れるのにとても苦労しました。特定の言語の習得に夢中になっていた学生時代にはすでにその言語で書かれた作家の作品を読んでいました。
チャーリー・ディケンズの作品を通してアメリカ英語を、ステファン・ゲイマの作品を通してフランス語を、バルザックの作品からイタリア語、などのように作品を通して言語を学んでいたことを覚えています。
日本語に夢中になっていた時期は、初めに最も大きな印象を残したのは安部公房でした。その後芥川龍之介など。
後に北杜夫による”楡家の人々”を訳しているときに、精神医学の歴史や1941−1945に起こった太平洋戦争について多くのことを知りました。

ー全ての芸術家はまだ叶えていない夢を多く持っています。あなたの意見ではどのような国からのどのような作家がウクライナ語の訳を待っていると考えますか?

ーちょうど私が翻訳の仕事を始めた遠いソ連時代に、警戒を怠らない党機関にとってエキゾチックで訳のわからない日本文学の翻訳にちょうどよく切り替えたので、自分の好きな作品を自由に翻訳し出版することができたのです。なのでやりたいと思っていたことーつまり現代のもっとも新しい日本文学のもっとも面白い部分を訳せたのだと思います。後は”源氏物語”の訳を完成させるのみです。

ーあなたの翻訳技術において何か秘訣があるのでしょうか?あなたにとって争うことのできない権威であると考えているニコライ・ルカーシャにもそのような技術があったと考えますか?

ー翻訳とは手作業であり、楽譜を見て演奏するようなものです。常に訓練が必要です。翻訳家はみんな自身の母語と外国語の知識を基に自身の方法を選んでいます。ニコライ・ルカーシャの翻訳家としてのユニークさには、彼の翻訳のデカメロンをイタリア語の原書と比べて分析しているときに認識しました。
このように正確にイタリア語の豊富な言い回しをウクライナ語に翻訳されている本には初めて出会いました。
自身のこのことから受けた印象については”全世界”(No6、1965)に書いています。ところで、”全世界”の記事(No7−8、2008)で回想している私の初めての翻訳の試みには彼も参加しています。
ー12年前村上春樹の作品を翻訳していた時は、まだ彼と知り合いではないとおっしゃっていました。あなたの意見では、近年彼の思索や世界観は変わってきていると考えますか?何がこのように長く多くの国々の読者を夢中にさせているのでしょうか?

ー村上春樹は謎めいたプロットをありふれた日常と繋げることで若者を引きつけています。簡単にいうと、背景の詳しい描写や西洋文化についての豊富な情報によって、彼は外国人に遠く離れた日本の世界観を伝えています。村上春樹にはフランツ・カフカと多くの共通点があります。チェコでこの作家の名前を冠して村上春樹に賞が与えられたのは訳あってのことです。

ー日本の優れた散文家で劇作家である三島由紀夫の作品の翻訳には挑戦しなかったのですか?彼の作品についてどう思いますか?彼の人生における悲劇の原因は何だと考えますか?

ー彼は日本の作家としてアメリカや西ヨーロッパで初めて最も人気となった人でした。私は彼の作品のどれかをウクライナ語に訳したいという秘めた想いと共に彼の作品の原作を集めました。しかし、彼の無鉄砲な行為ーハラキリーは私を彼の作品の翻訳から思いとどまらせました。
自殺の原因については彼の古くから続く侍の出自であるということに関わる対立を考える必要があると思います。しかし、他の原因も考えられます。川端康成が当時受賞したノーベル賞を受賞できなかったことなど。

ーどの言語を習得するのが難しかったですか?

ー最も難しかったのは英語でした。なぜなら私が言語を習得するのに大体2年ほどかかった初めての言語だからです。

ー興味深いですね。翻訳にあたって最も容易だった言語は何ですか?

ー発音がウクライナ語と似ていたのでイタリア語ですね。加えてナポリの民謡がとても好きだったのです。

ーそれではイタリア語の翻訳について教えてください。最も関心のある現代イタリア人作
家は誰ですか?

―イタリア文学とは私にとって初恋のようなものです。新現実主義者のエリオ・ビットリ
ーニや子供向け文学作家のジャンニ・ロダーリなどの作品で翻訳を学んでいました。しか
し、とても早くに東のほうに行くことになり、イタリア文学との接点を失ってしまいまし
た。近年ではウンベルト・エコの作品に大きな関心を寄せていますが。

―日本語や英語、中国語などをできるだけ早く習得したいと考えている人に向けて何か独
自のアドバイスがありますか?何から始めたらいいのでしょうか?その言語が話
されている環境でなくても完璧にその言語を習得することはできるのでしょうか?

―一番大切なことはその言語を学ぶ動機と必要性を明確にすることです。何のために発音
(音楽を聴いたりして)、簡単なフレーズ、書き方、文法を学ぶのか。次に大事なことは
、インターネットを開いてください。そうすると発音を学んだり単語を覚えたりするため
の方法が何千と見つかるでしょう。
そして気に入って選んだ言語でできるかぎりたくさん読んでください。言語環境は自分で
作ることができます。もうずいぶん前から鉄のカーテンはないのですから。

50年前、あなたはソビエト連邦共産党中央委員会で反体制派の弾圧に抗議する書簡に署名しました。それから20年の間、国際的な学会への参加を許されなかったというのは本当ですか?この書簡で支持したのは具体的にどの人物だったのですか?

ー実際に私は幸いな事に一度も所属しなかった党内で”罪を犯した”のです。そしてこれに対する精算として、20年間資本主義国で行われた学会に参加できなかったのです。書簡はЧорновол Гинзбургの裁判に対するものでした。

ーあなたは物理数学の博士、つまり物理学者です。それと同時に世界の文学を深く理解する深遠な詩人でもあります。物理学者と抒情詩人どちらが自分に近いと感じられますか?

ー物理学者と抒情詩人への分裂は私にとってはうわべだけのものに過ぎません。私は今自分は毎日理知的な課題を探し求めているただ一人の人間であると感じています。

ーあるインタビューであなたはこう発言していました。”ウクライナにおける公用語ーまず第一にこれは歴史的に当然な事象である” あなたは言語問題に関わるニュースや、いくつかの国々で賛否両論を巻き起こした教育に関する法律についてご存知でしょう。これに関して様々な言語環境に身を置く一人の人間としてどのような意見をお持ちですか?

ー言語とは人類の最も偉大な発明です。言語のあらゆる観点からそれは大事に保護していくべきものです。しかし他の発明品と同様、言語も二つの面を持っています。文化面と政治面です。もし文化面をある程度理解しているなら、政治的面は決して分からないでしょう。
言語は植民地支配が行われていた国で政府に作られたものかもしれません。あるいは前の植民地に影響を与える政治的ツールかもしれません。ウクライナではこの全ての面が見られます。
私には明らかでしたが、欧州評議会議員会議の一部であるヨーロッパ連合の機関はウクライナの教育に関する新しい法律に特別に反対しませんでした。しかしこの法の具体化に際して、私たちの国の教育者は、いくつかの科目を教えるときにウクライナ語を使用することが義務付けられました。例えば、学校でハンガリーの少数派にとってハンガリー語はインドヨーロッパ語形ではなく、膠着語であると考慮しています。同じようにエストニア語やフィンランド語、トルコ語なども扱われています。

ーイバンさん、現在出版社”フォリオ”での紫式部の作品の第二巻出版に向けて翻訳に取り組まれていますね。この巻はどのような内容になっているのですか?このような日本の古典作品の何があなたを惹きつけているのですか?

ー始めは歴史でした。50年前日本語に夢中になり、未来のノーベル賞受賞者大江健三郎の”飼育”を翻訳した後(初めの受賞者は川端康成でした。)、日本古典文学の最高峰が11世紀初頭に皇后の女官である紫式部によって書かれた源氏物語であることを知りました。そしてもちろん私は(1926)アーサーウェイリーの翻訳で有名なこの世界文学の名作を訳したいと思いました。しかしまず第一に原作、語彙を理解するための分厚い辞書を探し出し、極めて現代語と異なる古文を学ばなければいけませんでした。
これに関して同僚が私を助けてくれました。日本の物理学者の西島和彦さんと桂重利さんです。彼らは1973年に私がかつて働いていたウクライナ学士院の物理学科にお客として来ていたのです。
西島さんは有名な作家谷崎潤一郎の現代語訳10巻を桂さんは原作6巻を送ってくださったのです。この時からゆっくりですが、休止期間も挟みながら、多くの登場人物と短歌を含んだこの巨大な作品の翻訳に取り掛かったのです。最近日本でその作品が書かれて1000年という記念すべき日を祝っていた時、”全世界”誌における初めの二部の翻訳も間に合わず、”フォリオ”社における一巻の出版も終わっていませんでした。
アメリカや西ヨーロッパではこの作品は天皇一家3世代およびその周囲の状況についての心理描写に重点を置いた伝説であると示唆されていました。
20世紀のヨーロッパにおける同系統の作品としては、”Сага Форсайтах” “Будденброки” “В поисках Утраченного времени”などが挙げられます。
このような作品は第二次世界大戦後の日本でも現れました。1977年に出版されたウクライナ語の翻訳、楡家の人々なども挙げられます。
日本では源氏物語に対する関わり方は時代によって変わっています。始めは、この作品は因果応報や人の世の移ろいやすさについての仏教真理の教訓となる例だと考えられていました。また正しい道を行き、不正を阻止する儒教の教えとも考えられていました。その後18世紀ごろには、美の崇拝の布教を伴う、もののあはれ(周囲の環境で感じたもの、経験したもの、聞いたもの、見たものから受ける衝撃)が書き出されているとされていました。
”源氏物語”はもの悲しげなスタイルで書かれています。始めの部分は身分の低い妾と帝の子である源氏の波乱万丈の若かりし日々について、今出版に向けて取り組んでいる二番目の部分では過ぎ去ったことへの悲しみ、若い時に犯した罪への悔恨に焦点が当てられています。最後の部分では源氏の死後帝の家族3世代目に話の中心が移っています。

ー20世紀のウクライナの翻訳の学校は極めて優れています。現代の若い翻訳者の中で優秀なのは誰だと考えていますか?

ー世間の経済的な状況の変化は驚くほどウクライナの翻訳業界に影響を与えました。政府当局関係者やビジネスマンは翻訳された本が利益を生み出すと未だ理解していません。なぜなら文学翻訳市場では未だに混乱に包まれ、翻訳に関する計画はありません。
数年前に”Основи”出版社がСорос基金のおかげで経済、法律、哲学に関する本を多く出版していた時期にはこのような計画が存在していました。この計画の達成に向けて、私も参加しいくつかの経済学に関する本などを翻訳しました。
近年では確かに子供向けの本の翻訳のマーケットが活気を見せています(スカンジナビア諸語からの翻訳でさえ)。
しかし、残念なことにこのように社会的地位が低く、賃金の低い分野における新しい個人をあげるほど十分の統計情報は私の元にはありません。

ー文学世界の低迷、そしてあなたの人生における豊かな実績はもしかしたら、現在の複雑でしばしば残酷な世界においてどう人として生き、どこからインスピレーションを得るかについての何かしらの定理を蓄積されていますか?
ー”誰かが自分にして嫌なことは人にするな”私はこういう定理を学んだように感じます。

ーあなたはウクライナの未来に何を見たいますか?そしてあなたの意見ではどのような物理学者や抒情詩人が将来の詩人が存在すると考えますか?

ー私はウクライナの独立の時まで生きることができて幸せだと感じています。今はウクライナの新しい世代が野蛮な資本の蓄積という罠から脱してほしいと思っています。人類の欲望ー全ての悪の根源ーはしばしば度を超えてしまうため、難しいかもしれませんがこの過程は必要不可欠なものだと考えています。

 
 
 
posted by genjiito at 23:58| Comment(2) | ■科研研究

2022年03月23日

続・ウクライナ語訳『源氏物語』に関する情報(その2)

 先週18日(金)に、「ウクライナ語訳『源氏物語』に関する情報」(2022年03月18日)と題する記事をアップしました。
 問い合わせを受けて、大急ぎで手元のメモをもとに書いたものでした。この件に関してさらに詳しいことが、科研費基盤研究A「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)で獅子奮迅の活躍をしてくださった大山佳美・大山俊哉ご夫妻(共に大阪大学・特任研究員)から、私がすっかり失念していたことを中心にしてご教示をいただきました。ここにその一部を報告し、私のあまりにも簡略だった情報を大幅に補訂します。

 まず、ウクライナ語訳『源氏物語』の翻訳者であるイワン・ジューブ先生は2022年2月22日にお亡くなりになった、という、悲しいお知らせからです。この22日は、ロシアによるウクライナ侵攻の2日前です。また、ウクライナ語訳『源氏物語 3』の出版が2022年となっているため、出版後すぐにお亡くなりになったと思われます。
 実は、このイワン・ジューブ先生が『源氏物語』を翻訳中の頃から、伊藤科研(A)の技術補佐員で大阪大学大学院生の吉見さえさんの尽力により、私がウクライナへ行き、面談を通して翻訳中のお話を伺う計画が進んでいました。しかし、先生の体調のことなどから延び延びになったままで、実現しないままに終わったことが非常に残念です。コロナ禍がなければ、ロシアのウクライナへの侵攻がなければ、本年春にでも、完成したばかりのウクライナ語訳『源氏物語』(全3巻)を手にしながら、現地ウクライナで先生と私とで面談をしていたはずだと思うと、非常に残念です。
 参考までに、イワン・ジューブ先生に関する情報をあげます。

※Wikipedia(https://en.wikipedia.org/wiki/Ivan_Dziuba
※PENウクライナ(https://pen.org.ua/en/team/dzyuba-ivan/
※死去のニュース(https://www.radiosvoboda.org/a/news-ivan-dzuba-smert/31715670.html

 さて、イワン・ジューブ先生のウクライナ語訳『源氏物語』の書誌情報は、以下に列記した通りです。この内、第1巻は私の手元にあり、「序文」「桐壺」「若紫」「須磨」「明石」の部分は、東京外国語大学の小川暁道先生にお願いして、日本語訳に訳し戻しをしていただきました。科研費による成果として、他の言語と一緒に公開する予定のままで中断していました。これから、公開の手配を検討します。興味と関心をお持ちの方からの、ご教示、ご協力及びアドバイスを、よろしくお願いします。

○ウクライナ語訳『源氏物語』1
Повість про Ґендзі. Книга 1
ISBN: 978-9660380639
出版年:2018年
翻訳者:Іван Дзюб(Ivan Dziub)
出版社:Фоліо(FOLIO)
内容:源氏物語01(桐壺)〜20(朝顔)章
表紙:菊川英山 筆『青樓美人遊 海老屋内あひつる』
購入依頼日:2019/8/21 納品日:2019/10/2
※購入済み。伊藤科研 請求記号:uk.gnj.tr.2018_2018.I04.01

220323_UkraineG1.jpg

○ウクライナ語訳『源氏物語』2
Повість про Ґендзі. Книга 2
ISBN: 978-9660391338
出版年:2020年(出版社販売ページではなぜか2021年になっている)
翻訳者:Іван Дзюб(Ivan Dziub)
出版社:Фоліо(FOLIO)
内容:源氏物語21(少女)〜38(鈴虫)章
表紙:土佐光起 筆『源氏物語画帖(若紫)』
https://folio.com.ua/books/Povist-pro-G'endzi--Kniga-2
購入依頼日:2020/7/28(未購入。2020/10/13付で購入を依頼した業者から、現地より取り寄せ困難のため、見積り不可との連絡あり)

220323_UkraineG2.jpg

○ウクライナ語訳『源氏物語』3
Повість про Ґендзі. Книга 3
ISBN: 978-9660399228
出版年2022年
翻訳者:Іван Дзюб(Ivan Dziub)
出版社:Фоліо(FOLIO)
内容:源氏物語39(夕霧)〜54(夢浮橋)章
表紙:源氏物語(浮舟)
https://folio.com.ua/books/Povist-pro-G'endzi--Kniga-3
※本翻訳本は2022年の出版物のため未購入。

220323_UkraineG3.jpg

220323_UkraineG-HP.jpg


 なお、ウクライナ語による翻訳本で、伊藤の科研(A)として購入したものは、『源氏物語1』、『枕草子』、『和歌・連歌・撰集 8〜15世紀』の3冊だけです。
 その他、多くの作品を大山俊哉研究員が発注してくださいました。しかし、2020年時点ですでにさまざまな事情があり、今は出版社がウクライナ・ハリコフにあることから戦況が非常に厳しくなっているため、現在においては入手はまったく不明です。ただし、ホームページはまだ機能しているようです。

 ウクライナにおける平安文学研究に関する情報と、イワン・ジューブ先生との面談を交渉していた過程での先生の『源氏物語』に関する思いをつづった手紙があります。
 これらは、明日以降に「続々・ウクライナ語訳『源氏物語』に関する情報(その3)」としてアップしますので、もう少しお待ちください。
 
 
 
posted by genjiito at 21:11| Comment(0) | ■科研研究

2021年09月03日

大盛会だった第2回研究会・ワークショップ「世界の中の和歌」

 今春より早稲田大学高等研究所に移られたフィットレル・アーロン先生を中心とした研究グループによる研究会が、本日ネットミーティングの形で開催されました。非常に稔り多いイベントでした。

 第2回研究会・ワークショップ「世界の中の和歌―多言語翻訳を通して見る日本文化の受容と変容―」は、Zoom会議として終日の長丁場として開催されました。その参加者は50人以上ということで、大盛会の研究会となりました。

 フィットレル先生は、今年の3月までは大阪大学の箕面キャンパスにおられ、私がいた棟のすぐ隣の棟にいらっしゃいました。私の研究室にも何度かお越しになりました。昨年9月には、共同で研究会を開きました。

「伊藤科研 第14回研究会「海外における平安文学」(オンライン開催)」(2020年09月04日)

 フィットレル先生は、多言語翻訳の研究において、今一番活発に活動なさっている先生です。

 さて今日は、イタリア語、スロヴァキア語、タイ語、チェコ語、ドイツ語、ハンガリー語、フランス語、ロシア語、ウクライナ語、英語、韓国語、中国語に翻訳された和歌が取り上げられました。
 意見交換も活発で、「山里」「あはれ」「あすか」などの翻訳についての討議は、興味深いものでした。

 すぐに答えが出てくる問題ではありません。その言葉に関する意見が交換されることにより、翻訳の妙というものの奥深さが伝わってきます。私は、聞くだけの立場での参加でした。しかし、やりとりを聞いているだけで、和歌の表現と文化が変容する様を楽しむことができました。

 本日のプログラムは、以下の通りでした。

プログラム(※発表者名は敬称略)

10:00 開会の挨拶
10:05 ワークショップ 『千載和歌集』319番歌の各言語への翻訳とその紹介
「山ざとのあか月がたのしかのねは夜半のあはれのかぎりなりけり」(秋下・319・法印慈円)

イタリア語:ボラッチ・ダフネ
英語:マイケル・ワトソン、 緑川眞知子
韓国語:イム・チャンス
タイ語:イーブン美奈子
チェコ語:トムシュー・アダム
中国語:黄夢鴿
ドイツ語:フィットレル・アーロン
ハンガリー語:カーロイ・オルショヤ、フィットレル・アーロン
フランス語:飯塚ひろみ
ロシア語:土田久美子

11:30 全体討論
12:30 休憩

13:00 『古今和歌集』933番歌の各言語への先行翻訳の紹介
「世の中は何かつねなるあすか川昨日の淵ぞ今日は瀬になる」(雑下・933・よみ人しらず)

イタリア語:ボラッチ・ダフネ
英語:マイケル・ワトソン、緑川眞知子
韓国語:イム・チャンス
スロバキア語:トムシュー・アダム
中国語:黄夢鴿
ドイツ語:フィットレル・アーロン
ハンガリー語:カーロイ・オルショヤ
フランス語:飯塚ひろみ
ロシア語・ウクライナ語:土田久美子

15:30 全体討論
16:55 閉会の挨拶
17:00 閉会
18:30 懇親会(オンライン)


 全体討論の最後に、フィットレル先生が私の科研のホームページである[海外平安文学情報]を、みなさまに紹介してくださいました。これは、7年前の2014年2月から公開している、私の研究成果を公開しているものです。最初は[海外源氏情報]と言っていたものを、2019年3月から[海外平安文学情報]と改称しました。
 多言語翻訳の分野では先駆的なものであり、その充実した情報に関する賛辞は身に余る過分のものでした。最後に私にコメントを求められました。今後の若手研究者にこのサイトを活用していただけることへの期待と、昨日の本ブログに書いたように、『源氏物語』が42種類の言語で翻訳されていることをお話しました。
 いいタイミングで、[海外平安文学情報]の紹介を兼ねた広報となりました。
 みなさま、お疲れさまでした。
 報告書を楽しみにしています。
 
 
 
posted by genjiito at 22:00| Comment(0) | ■科研研究

2021年07月28日

ようやく研究室に運び込んだ資料整理に着手

 最近、時間の隙間を見ながら、大阪観光大学の研究室に運び込んである資料を整理しだしました。
 昨年7月に大阪観光大学に着任して以来、大阪大学の研究室にあった本をポツポツと運ぶ中、昨年11月、今年2月、3月と小刻みに引っ越しをして、研究資料と書籍類の一大移動をしました。
 しかし、何かと多忙な日々のため、段ボールに詰め込んで移動させた資料や書籍は、ほとんどがそのまま放置という状況でした。必要な時に必要な資料や書籍がなくて困っていました。そこで一念発起して、整理に着手したのです。
 狭い研究室に14台の書架を搬入し、今はまだ段ボールに入っている本を出して並べるという段階です。科研の研究員だった大山ご夫妻のおかげで、段ボールに詰め込まれた本は、一通りグループ分けがなされていたので、まずはこの出して並べるという単純作業だけでも、それなりに資料や書籍の当たりはつきます。
 なお、膨大な量の翻訳本については、科研の研究員だった吉村仁志君が先日も研究室に来て言語別に整理してくれたので、その4台の書架が並ぶコーナーだけはほぼ片づいています。

210728_room.jpg

 資料や本の整理をしだすと、しばしば手が止まります。思い入れのある資料や本を、右から左へと廃棄するには忍びないので、つい中身を覗いては感慨に浸るのです。これでは、何年経っても捗りません。
 今日は、1999年3月に発行された記念すべき科研の報告書を手にして、気持ちが二十数年前にタイムスリップしました。この1999年4月から、私は大阪明浄女子短期大学(現・大阪観光大学)から東京の国文学研究資料館(当時は文部省の研究所)に移りました。そのきっかけとなったのが、この科研の報告書なのです。
 特定領域「人文科学とコンピュータ」という国家レベルのスケールで展開する一大プロジェクトの一員に加えていただき、全国区の研究者と一緒に研究する機会があたえられたことが契機となり、大阪から東京へと単身赴任の生活をすることになりました。以来その生活が今から4年前まで、19年間も続くとは、この時には想像だにしなかったことです。
 この報告書は、私が研究者として認められ出した頃のものです。教員から研究者への節目ともなるものです。超一流の多分野の先生方や、世界各国の研究者との交流が始まり、私の研究も大きく展開することとなりました。こうした出会いを与えてくださった、中村康夫先生と安永尚志先生に、あらためてお礼を申し上げます。
 この報告書を処分するには忍びないので、私が関係するページだけでも画像として残すことにしました。以下に並べる画像は簡易画像です。各画像をクリックしていただくと精細画像になります。中身を確認なさりたい方は、この精細画像で通覧してください。
 自分が研究者としてスタートし出した頃の書き物は、気恥ずかしい想いがするものの、若かった頃の自分が別人として立ち現れるので、その出会いを楽しめます。そして、多くの諸先輩方や仲間に助けられて研究生活をしてきたこと、それによって今があることに感謝の想いを新たにしています。幸運な出会いに恵まれたからこそ、今も現役として研究ができているのですから、ありがたいことです。みなさま、ありがとうございます。

20210728_000.jpg

20210728_001.jpg

20210728_002.jpg

20210728_003.jpg

20210728_004.jpg

20210728_006.jpg

20210728_007.jpg

20210728_008.jpg

20210728_009.jpg

20210728_010.jpg

20210728_011.jpg

20210728_013.jpg
 
 
 
posted by genjiito at 20:04| Comment(0) | ■科研研究

2021年07月07日

千森幹子さんの挿絵を扱った著書2冊

 30年前の仲間と、交流が再開し出しました。
 当時は、共に大阪明浄女子短期大学の若手の教員でした。そして、研究について、篤く語り合いました。私が奈良に、千森さんが京都だったので、帰り道の天王寺駅までは話し詰めだったように思います。もちろん、大学のもめ事が話題の時も多かったのですが。
 1999年に私が東京に行ってからは、まったく連絡はとっていませんでした。
 それが、科研の関係で昨秋からお互いの近況を知るようになり、今年度は千森さんの科研が採択されたことに関連して、旧交を温めることとなりました。
 手元に千森さんの2冊の著書があります。『表象のアリス』と『ガリヴァーとオリエント』です。
 今春まで私が科研で「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(17H00912)に取り組んでいたこともあり、時代も国も違うとはいえ、アリスとガリヴァーの翻訳事情には興味があります。
 また、千森さんの留学先であるケンブリッジ大学には、私も十年以上にわたって通い、共に小山騰さんに多くのことを学んだという、共通する背景もあります。
 今、この2冊の本に掲載されている挿絵などを、それこそパラパラと見ています。おもしろいのです。いろいろと刺激をいただけます。
 以下、あくまでも自分のための備忘録として、この2冊の書誌情報と目次を、法政大学出版局のホームページから引いておきます。

表象のアリス テキストと図像に見る日本とイギリス

210707_alisu.jpg

A5判/462ページ/上製
ISBN978-4-588-49509-0 C1090
価格 6,380円 (消費税 580円)
発行年月2015年04月


内容紹介
ルイス・キャロルが創造した少女アリスは、その誕生から今日まで、挿絵画家や翻訳者たちによってどのように描かれてきたか。原作のノンセンス世界を見事に解釈・構築したテニエルの挿画や、明治以降の日本の翻訳・翻案作品に現れた多様な少女像を、アリス図像研究の第一人者が初めて詳細に比較分析した労作。『不思議の国のアリス』150周年を記念して刊行、図版多数!


目次
プロローグ
多様なアリス/本書の概要/先行研究/本書の特徴と独創性/アリス図像/アリス邦訳/イギリスのアリスから日本のアリスへ──受容と融合

第一部 キャロルの内と外なるアリス

第一章 キャロルと二つの『アリス』物語
一・一 作家ルイス・キャロル
キャロルの感情生活/キャロルの女性観/キャロルと子ども/キャロルとアリス姉妹/アリスたちとの別離/キャロルの転機/晩年のキャロル

一・二 アリス
アリスとは/キャロルの内なるアリス(アリスの変化とメタモルフォーシス)/キャロルの外なるアリス/女性の登場人物

一・三 ヴィクトリア時代のアリスたちへ
読者への問いかけ/アリスの未来/ヴィクトリア時代の子どもたちへのメッセージ

第二章 挿絵画家キャロルとテニエル──『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』
二・一 挿絵画家ルイス・キャロル
キャロルと挿絵/『アリス』以前に描かれたキャロルの挿絵/『アリスの地下の冒険』

二・二 挿絵画家キャロルとテニエル
キャロルの影響

二・三 ジョン・テニエルの『アリス』
ヴィクトリア時代のイラストレーター/テニエル、キャロルそして『アリス』/テニエルのヴィクトリア解釈

第二部 オリエントと『アリス』

第三章 オリエントと『アリス』
三・一 背景研究──言語学的文化的観点から見た日英比較
ジャンルと言語/日本の翻訳者がであう困難/言語と世界観/ノンセンス

三・二 受容の文脈─読者層
明治から大正にいたる文化的社会的背景/明治から大正期にいたる教育制度の変遷/変容する児童イメージと児童観/子どものイメージとその時代的変遷/児童文学における少女イメージ・少女観の誕生/明治時代から大正時代にいたる児童文学

三・三 西洋と日本の融合─幻に終わった初山滋画『不思議國のアリス』
出版されずに終わった初山滋の『不思議國のアリス』図像発掘/ジョン・テニエルの「アリスと子豚」/アーサー・ラッカムのアリス─思春期の少女の系譜/チャールズ・ロビンソンとメイベル・ルーシー・アトウェル─かわいさの系譜/初山滋の『アリス』図像/初山滋の世界──日本と西洋の融合

第四章 初期『アリス』翻案と翻訳(一八九九─一九一二)
四・一 日本最初の『アリス』翻訳──長谷川天溪の『鏡世界』

四・二 明治の初期『不思議の国のアリス』翻訳
初期の『不思議の国のアリス』翻訳/翻訳者の『不思議の国のアリス』解釈/翻訳? それとも翻案?/日本の『不思議の国のアリス』翻訳に見る因習と道徳/日本化/誤訳/言葉遊びと造語/日本の少女アリス

四・三 明治期の『不思議の国のアリス』挿絵(一九〇八─一九一二)
『アリス物語』の川端昇太郎の挿絵/芳村椿花画『子供の夢』と椿花山人画『お正月お伽噺』/『愛ちやんの夢物語』

第五章 大正児童雑誌における『アリス』邦訳
五・一 昭和初期の絵雑誌における『アリス』邦訳
初期絵雑誌と『アリス』邦訳/『幼年の友』掲載の『フシギナ クニ』/『日本幼年』に掲載された『アリス物語』

五・二 児童雑誌『赤い鳥』におけるアリス翻訳『地中の世界』
雑誌『赤い鳥』/『赤い鳥』の絵画/鈴木三重吉の『地中の世界』/『地中の世界』のイラスト/清水良雄と『地中の世界』/清水良雄の世界/おわりに

五・三 『鏡國めぐり』
『鏡國めぐり』翻訳/岡本帰一の『鏡國めぐり』挿絵/むすび

第六章 一九二〇年から一九三三年の『アリス』翻訳
六・一 大正末から昭和初期にかけての『アリス』翻訳

六・二 『ふしぎなお庭 まりちやんの夢の國旅行』
鷲尾知治編『まりちやんの夢の國旅行』/斎田喬の挿絵/むすび

六・三 『アリス物語』(海野精光口絵、平澤文吉表紙/菊池寛・芥川龍之介共訳)
プロローグ/『アリス物語』のイラスト/菊池寛・芥川龍之介共訳『アリス物語』

六・四 『アリス』とジェンダー──棟方志功の『アリス』図像
棟方志功/棟方とテニエル/棟方芸術/棟方のアリスと日本美術/棟方のアリス図像の独自性/棟方志功と初山滋/おわりに

エピローグ──現在のアリス
子ども期と思春期/フロイト解釈/キャロルにとっての思春期/第二次世界大戦以降の多様な解釈/女性の時代/「かわいい」アリス/戦後の翻訳──センスの崩壊の時代/二一世紀のアリス研究──視覚表象研究の未来

あとがき

初出一覧
図版リスト
参考文献
索引



ガリヴァーとオリエント 日英図像と作品にみる東方幻想

210707_galiver.jpg

A5判/424ページ/上製
ISBN978-4-588-49512-0 C1090
価格 5,720円 (消費税 520円)
発行年月2018年03月


内容紹介
『ガリヴァー旅行記』英語版テキストを飾る挿絵には、ヨーロッパ植民地帝国の拡大につれて、日本・中国・イスラムを中心としたオリエンタリズムの表象が前面に現れる。英仏の挿絵画家たちのジャポニズムや植民地幻想に初めて詳細に光をあてるとともに、原作を独自に翻訳・翻案した明治以降の日本の児童文学作家・挿画家による模倣/創造の軌跡をも丹念に跡づける独創的研究。図版多数!


目次
プロローグ
『ガリヴァー旅行記』とオリエンタリズム/本書の概要/本書の独創性/文学テキストと図像研究/先行研究

第一部 英版『ガリヴァー旅行記』とオリエント

第一章 『ガリヴァー旅行記』の位相

一・一 風刺文学・児童文学としての『ガリヴァー旅行記』の位相
『ガリヴァー旅行記』の多領域性・多義性/子どものための『ガリヴァー旅行記』/児童文学としての『ガリヴァー旅行記』の魅力

一・二 英国におけるオリエント観とオリエント受容
ヨーロッパにおけるオリエントへの関心/日本への関心/イギリスの植民地政策と万国博覧会/ジャポニズム

一・三 英版図像におけるオリエント表象──先行研究と本書

第二章 『ガリヴァー旅行記』のオリエント描写と風刺

二・一 テキストにおけるオリエント描写

二・二 『ガリヴァー旅行記』と近代科学
はじめに/近代科学/『ガリヴァー旅行記』と科学風刺/スウィフトの人間観・理性観/スウィフトの科学風刺に含まれる警告/まとめ

二・三 『ガリヴァー旅行記』と医学
はじめに/スウィフトとストラルドブラグ/ストラルドブラグのソースと先行研究/ストラルドブラグとは/ストラルドブラグ風刺の矛先/ストラルドブラグにこめた警告/風刺の意味/むすび

第三章 英版『ガリヴァー旅行記』図像とオリエント表象

三・一 『ガリヴァー旅行記』図像史とオリエント表象

三・二 『ガリヴァー旅行記』図像における中東描写

三・三 『ガリヴァー旅行記』図像における中国表象

三・四 『ガリヴァー旅行記』図像における日本表象

第四章 英版『アラジン』図像にみるオリエント

四・一 オリエントイメージの混在と融合──日本表象を中心として
はじめに/『アラビアンナイト』と『アラジンと魔法のランプ』/アラビアンナイト『アラジン』画像におけるオリエント表象の系譜/日本イメージ──女性、男性、装飾品そして日本の美術技法

四・二 『ガリヴァー旅行記』と『アラジン』におけるオリエント表象
『ガリヴァー』と『アラジン』における日本表象/むすび

第二部 『ガリヴァー旅行記』邦訳と日英図像

第五章 明治期の邦訳と図像

五・一 はじめに
日本の『ガリヴァー旅行記』

五・二 明治期の翻訳(大人用の翻訳)
『ガリヴァー旅行記』翻訳史

五・二・一 初訳 片山平三郎譯『繪本 鵞瓈皤児回島記』(一八八七年)

五・二・二 大久保常吉編譯・服部誠一校閲『南洋漂流 大人國旅行』(一八八七年)

五・二・三 松原至文・小林梧桐共譯『ガリヴァー旅行記』(一九〇九年)
日本最初の平易な完全翻訳/風刺作品/まとめ

五・三 明治の翻訳図像
『鵞瓈皤児回島記』挿絵/大久保常吉編譯『南洋漂流 大人國旅行』挿絵/島尾岩太郎譯『政治小説 小人國発見録』挿絵/松浦政恭譯『小人島大人島抱腹珍譚』挿絵/松原至文・小林梧桐共譯『ガリヴァー旅行記』挿絵/吉岡向陽編『大艦隊の捕獲』鰭崎英朋画/近藤敏三郎譯『ガリヴァー旅行記 小人國大人國』挿絵/風浪生譯『ガリヴァー小人島大人國漂流記』挿絵/まとめ

五・四 明治の児童文学翻案──巌谷小波『小人島』『大人國』(一八九九年)
はじめに/少年教育とポストコロニアリズム──帝国主義教育と立身出世主義/巌谷小波と帝国主義教育と立身出世主義/『世界お伽噺』/『ガリヴァー旅行記』翻訳史における巌谷翻案の位置づけ/巌谷小波の『小人島(ガリバア島廻上編)』と『大人國(ガリバア島廻下編)』

五・五 『小人島』と『大人國』の挿絵
海外のイラストの影響/筒井年峰挿絵のオリジナリティー/まとめ

第六章 大正期の邦訳と図像

六・一 はじめに

六・二 大正雑誌『少年少女譚海』の鹿島鳴秋文、初山滋挿絵「ガリバー譚」(一九二〇年)
鹿島鳴秋「ガリバー譚」の画家初山滋/初山滋の「ガリバー譚」図像

六・三 大正雑誌『赤い鳥』の野上豊一郎文、清水良雄・深澤省三絵「馬の國」(一九二〇年)
『赤い鳥』と『ガリヴァー旅行記』/野上豊一郎の「馬の國」/「馬の國」と清水良雄の絵画/清水の白黒挿絵/深澤省三の挿絵/まとめ

六・四 平田禿木譯・岡本帰一画『ガリバア旅行記』(一九二一年)
平田禿木譯『ガリバア旅行記』/平田禿木の邦訳/『ガリバア旅行記』の挿絵画家岡本帰一/岡本帰一の『ガリバア旅行記』図像

六・五 濱野重郎著『ガリバー旅行記』(一九二五年)
濱野重郎著『ガリバー旅行記』/濱野重郎著『ガリバー旅行記』の挿絵──挿絵の西洋版ソースの発掘/ゴードン・ブラウンの挿絵/濱野版におけるブラウンの図像/むすび

第七章 昭和初期から戦前までの邦訳と図像

七・一 昭和初期の絵雑誌『幼年俱楽部』における『ガリヴァー旅行記』邦訳二種
  ──巌谷小波文・本田庄太郎絵「小人島」「大人國」と村岡花子文・井上たけし絵「小人トガリバー」
『幼年俱楽部』における『ガリヴァー』邦訳/先行研究/『幼年俱楽部』/巌谷小波の「小人島」と「大人國」/挿絵画家本田庄太郎/本田庄太郎の『ガリヴァー』挿絵/本田庄太郎の『ガリヴァー』挿絵の独自性/村岡花子文・井上たけし絵「小人トガリバー」/「小人トガリバー」の挿絵画家井上たけし/まとめ

七・二 初山滋のもう一冊の『ガリヴァー』挿絵(一九二九年)──初山滋とラッカム

七・三 大正末から昭和初期にかけての『ガリヴァー』表紙と外函
中村祥一譯『ガリヴァ旅行記』(一九一九年)/池田永治装幀『ガリバー旅行記』(一九二五年)/小西重直・石井蓉年撰『ガリバー旅行記』(一九三四年)

七・四 西条八十文・吉邨二郎絵『ガリバア旅行記 小人島物語』(一九三八年)
講談社の『世界お伽噺』/吉邨二郎絵『ガリバア旅行記 小人島物語』挿絵

七・五 まとめ

エピローグ
オリエンタリズムと「ガリヴァー」/第二次世界大戦終結までの『ガリヴァー』邦訳/邦訳図像/将来の展望

あとがき


初出一覧
図版リスト
参考文献
索 引

 
 
 
posted by genjiito at 18:11| Comment(0) | ■科研研究

2021年06月14日

研究会「世界の中の和歌」で韓国語訳の発表者を募集中

 フィットレル・アーロン先生と土田久美子先生が、「世界の中の和歌 −多言語翻訳を通して見る日本文化の受容と変容―」と題するテーマで、魅力的な研究を推進しておられます。本ブログでも、以下の3本の記事で、その活動内容を紹介してきました。

「フィットレル先生の研究会「世界の中の和歌」へのご招待」(2020年08月07日)

「フィットレル先生の研究会・ワークショップに zoom で参加」(2020年09月03日)

「出色の研究報告書『世界の中の和歌』の紹介」(2021年02月21日)

 今回、『世界の中の和歌』の第二回研究会・ワークショップを開催するに当たり、韓国語訳の発表者を募集なさっています。
 当該サイト「第二回研究会・ワークショップ「世界の中の和歌―多言語翻訳を通して見る日本文化の受容と変容―」 韓国語訳担当 発表者募集」(6月 09, 2021)の内容を、以下に引用します。
 お問い合わせなどは、研究会宛のメール(koten.tagengo★gmail.com/送信の際、★を@に変えてください)でご確認ください。

第二回研究会・ワークショップ「世界の中の和歌―多言語翻訳を通して見る日本文化の受容と変容―」韓国語訳担当 発表者募集(6月 09, 2021)



 本研究会・ワークショップでは、和歌を様々な外国語に翻訳し、また和歌の様々な外国語への既存の翻訳を考察することによって、日本文化の海外での受容と変容について考えます。

 現在、イタリア語訳、英訳、スペイン語訳、タイ語訳、チェコ語訳、スロバキア語訳、中国語訳、ドイツ語訳、ハンガリー語訳、フランス語訳、ロシア語訳、ウクライナ語訳の担当者が決まっております。
 それに加えて、韓国語訳を担当して下さる発表者を募集いたします。
 和歌の翻訳にご関心をお持ちで、韓国語ができる方、ぜひご参加下さいますようお願いいたします。

日時:

 2021年8月末〜9月初頭に予定しておりますが、後日、参加者の都合と調整して決定したいと思います。

ワークショップ(当日午前):

 『千載和歌集』319番の和歌「山ざとのあか月がたのしかのねは夜半のあはれのかぎりなりけり(秋下・法印慈円)」を、参加者はそれぞれ自分の母語(またはできる言語)にあらかじめ翻訳する。
 当日、自分の翻訳を紹介し、翻訳の際注目したことや工夫したことなどについて簡単に説明する。発表時間は7分。
 その後、全体討議で、和歌の翻訳の諸問題について皆で議論する。

研究会(当日午後):

 『古今和歌集』933番の和歌「世の中は何かつねなるあすか川昨日の淵ぞ今日は瀬になる(雑下・よみ人しらず)」がどのように翻訳されているか、参加者はそれぞれ自分の母語(またはできる言語)の既存の翻訳についてあらかじめ調べる。
 当日、自分が調べた結果を報告する。発表時間は7分。
 最後に全体討議で、わかってきた問題点や受容と変容のありかたについて皆でディスカッションをする。

参加資格:

 和歌の翻訳にご関心をお持ちで、韓国語ができる方ならどなたでも。学生可。
 韓国語母語話者でない方も歓迎します。

開催方法:

 Zoomによるオンライン開催

お問い合わせ・お申し込み先:

 担当者 土田久美子、フィットレル・アーロン
 koten.tagengo★gmail.com(送信の際、★を@に変えてください。)

募集期限:

 2021年7月12日(月)まで。ただし発表者が決まり次第終了。

*今回のイベントは昨年9月3日に開催した研究会・ワークショップの2回目となり、昨年の内容とプログラムは以下でご参照いただけます。
https://koten-tagengo.blogspot.com/2020/08/202093-88-20209310001645-zoom-2020831.html
 なお、報告書も刊行いたしましたが、その内容については以下でご参照いただけます。
https://koten-tagengo.blogspot.com/2021/03/blog-post.html

 
 
 
posted by genjiito at 21:04| Comment(1) | ■科研研究

2021年04月02日

科研の2020年度報告書3冊をデジタル公開

 3月31日に、伊藤の科研(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(17H00912)の最終年度の報告書3冊を、ホームページ「海外平安文学情報」に公開しました。
 自由にダウンロードしてお読みください。

 その方法は、まずトップページの「おしらせ」の冒頭にある「海外平安文学研究ジャーナルの新刊を掲載(2021/03/31)」をクリックしてください。

210402_HP-top.jpg

 すると、次の画面に変わります。

210402_HP-journal.jpg

 ここから、次の3種類のファイルがダウンロードできます。

『海外平安文学研究ジャーナルvol.7.0』(69.70 MB)

210402_j7.png

『海外平安文学研究ジャーナル 中国編2019』(19.39 MB)

210402_j-chaina.png

『海外平安文学研究ジャーナルvol.8.0』(10.54 MB)

210402_j8.png

 それぞれのファイル名をクリックしていただくと、各冊の目次が表示され、その下部にある「DOWNLOAD」のボタンをクリックすると、ダウンロードが始まります。
 ご感想やご意見を、本ブログのコメント欄にお寄せいただけると幸いです。

 この3冊のジャーナルの作成と公開は、大阪大学特任研究員の大山佳美、同技術補佐員の吉村仁志の奮闘によるものであることを、ここに明記しておきます。
 その他の研究協力者のみなさまにも、あらためてお礼申し上げます。
 4年間の科研研究に対する多くの方々のご支援にも、感謝いたします。
 ありがとうございました。
 
 
 
posted by genjiito at 21:14| Comment(0) | ■科研研究

2021年03月16日

阪大箕面キャンパスを退去し吹田へ最後の挨拶に行く

 毎週のように通った大阪大学箕面キャンパス総合研究棟も、今日が退居の日です。
 阪急バスで阪大外国語学部前で降りると、すぐに総合研究棟があります。

210316_build.jpg

210316_plate.jpg

 エレベータに乗って研究室がある6階に上ると、大阪モノレールの彩都西駅の方の景色が眼下に拡がります。といっても、マンションが林立する風景ですが。

210316_kesiki.jpg

 廊下の左側に、研究室があります。

210316_rouka1.jpg

出入り口からエレベータホールを見ると、こんな感じで殺風景です。

210316_rouka2.jpg

 部屋の荷物は、すべて運び出しました。最初にはなかった作業用のテーブルが、廃棄を待っています。

210316_room1.jpg

210316_room2.jpg

 この90平米の研究室に10人の研究員が集まり、まるまる2年間にわたり、科研基盤研究A「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)の研究業務にあたっていました。
 成果は着実にあがり、すでにできあがっていた『海外平安文学研究ジャーナル《中国編 2019》』は、本日ウエブ上に公開を果たしました。科研のホームページである[海外平安文学情報]の中の、「9.海外平安文学研究ジャーナル 中国編(2020/12/25)」から、冊子体のPDF版を自由にダウンロードしていただけます。お手元に置いていただき、折々にページを繰っていただけると幸いです。

210316_HP.jpg

--------------------------------------

210316_HP2.jpg

 箕面キャンパスの図書館前では、桜が咲き初めたところです。このキャンパスが移転するために、ここでの入学式がもうないのが残念です。

210316_sakura.jpg

 研究室を退居した後は、吹田キャンパスにある国際教育交流センターへ行きました。お世話になった事務の方々へのお別れの挨拶をするためです。また、行き場をなくして途方に暮れていた私に救いの手を差し伸べていただいたO先生の研究室にも、科研の主だったスタッフ3人と共にお礼の気持ちを伝えに行きました。昔からの気心の知れた仲間はいいものです。この科研の研究が、2年で返納せずに、こうして4年間まっとうできたのは、すべてO先生の温情があってこそのことです。ありがとうございました。
 お互い、また明日から、それぞれの道をマイペースで歩みましょう。

 みなさま、お元気で、ますますの活躍をしてください。
 
 
 
posted by genjiito at 23:58| Comment(0) | ■科研研究

2021年03月11日

科研の報告書『中国編』ができました

 2017年4月から取り組んで来た科研(A)の報告書の内、『海外平安文学研究ジャーナル《中国編2019》』(伊藤編、大阪大学国際教育交流センター、133頁、非売品、2021年2月24日)ができました。

210311_china2019.jpg

 これは、「まえがき」で以下のようにその経緯を書いた内容の報告書となっています。
 (画像をクリックすると精細な画像が表示されます)

210311_china4.jpg

210311_china5.jpg

 巻末の付録「中国語訳平安文学翻訳史年表」は、現在私が確認している最新情報です。これについては、利用者などのご教示をいただきながら、随時追補していきます。
 「ホームページ[海外平安文学情報]」からの公開は、来週以降になります。
 全国の公共図書館やネットが使えない方々に配布するための冊子版が、本日届きました。

210311_books.jpg

 参考までに、巻頭と巻末をPDFにしたものをダウンロードできるようにします。報告書の仕上がりの確認用として、自由にご覧ください。

210311_journal-china.pdf

 科研の報告書なので非売品です。無料で配布します。興味と関心をお持ちの方は、スマートレター(180円)に、冊子の送付先となる住所氏名などを書いた返信用のスマートレター(180円)を同封して、以下の所へ送ってください。

〒590-0493 大阪府泉南郡熊取町大久保南5-3-1
  大阪観光大学 国際交流学部
    伊藤鉄也 宛
    TEL:072-453-8222(代表)

 お届けする作業は、私が一人でする関係で、この卒業式や入学式シーズンという時節柄、すぐにはお送りできないかと思います。その点を、ご了承ください。
 来週には科研のホームページを通してウェブ公開しますので、当座の利用はネット版をご覧ください。

 本書を作成するにあたっては、中国の広州へ同行した研究仲間はもちろんのこと、研究協力者の支援なしには完成しませんでした。ありがとうございました。特に大山佳美さんには、原稿の依頼・回収に始まり、編集作業・校正から印刷・公開に関する全般を取り仕切っていただきました。あらためて、ここに感謝の意を記します。

 この科研は、今月末で採択された研究期間が満了となるために、その活動を一旦閉じることになります。しかし、「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」というテーマは、今後はNPO法人〈源氏物語電子資料館〉が引き継ぎます。情報公開も、NPOが今後とも追補していきますので、安心してホームページに公開した情報を活用してください。
 ご意見や情報をお寄せください。息の長い研究成果の公開として、末永く育てていきたいと思います。
 本硏究テーマのさらなるご支援を、よろしくお願いします。
 
 
 
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | ■科研研究

2021年03月09日

阪大から大観大への引っ越し完了

 大阪大学の箕面キャンパス総合研究棟の研究室にあった科研に関する膨大な物品を、大阪観光大学へすべて移動する作業が完了したことの報告です。
 本日の引っ越し作業で、すべて無事に終わりました。
 昨年11月10日に、翻訳本の展示・展覧会のため、翻訳関係の資料や演示具を阪大から大観大に移動させました。続いて、本年2月9日にも、翻訳本の展示・展覧会のため翻訳関係の資料の第2陣を移動させました。そして本日、箕面キャンパスの移転に伴う研究室撤収に関連して、科研で使用していたコンピュータ機器や報告書の作成用資料などを、大観大へ移動させました。これで、数点の研究用の資材を残して、箕面から日根野への物品の移動は完了しました。
 この大移動に関わってくださった研究協力者のみなさま、ありがとうございました。そして、お疲れさまでした。
 箕面キャンパスの退居は、来週3月16日となっています。

 2019年3月に、研究拠点を急遽移すことになってから、あっという間の2年間でした。
 まだ、報告書『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN番号 2188ー8035)の作成・発行という大事な仕事が残っています。これは、今月末までにしあげます。気を抜けない日々が、まだまだ続きます。スタッフ10人で、最後の詰めの作業に取り掛かっている最中です。
 報告書が完成したら、この場を借りて、科研のホームページ「海外平安文学情報」からダウンロードできるお知らせを流します。しばらくお待ちください。
 翻訳本の調査・収集・研究は、まだ終わりそうにありません。今後とも、これまでの成果を研究資源として、地道に活動を続けていきます。変わらぬご支援のほどを、よろしくお願いします。
 
 
 
posted by genjiito at 19:45| Comment(0) | ■科研研究

2021年03月02日

箕面キャンパス退居でバタバタする日々

 乗り換え駅の阪急茨木市駅で、乗りたいバスが目の前を走り去って行くのを悔しがっておられる6人連れを見かけました。私も、一昨年、初めてここに来た時に同じ経験をしました。このバスターミナルを発着するバスは、その乗り場が複雑です。バス待ちをするバス停のすぐそばからバスが出るのではないのです。バス停に立て掛けてある掲示板をあげます。

210302_bus.jpg

 ここで、右側の中央に赤字で「バス停付近にバスはまいりません」と書いてあるのが問題です。初めての方には意味不明な表現です。
 ここでは、2列にバスが並んで止まります。向こう側のどれが自分の乗りたいバスか、見定めてから歩いて乗り込むのです。その時、手前側の車線にもバスが入ってくるので、右側をしっかり見て渡らないと、バスと衝突します。

210302_bus2.jpg

 簡単に言うと、バス停の目の前の向こう側に止まっているバスに乗るのです。

 阪大外国語学部前でバスを降りると、今日もキャンパス移転のための引っ越し作業が続いていました。
 来月から、この外国語学部(旧 大阪外国語大学)は箕面キャンパスを撤退して、千里中央の北にできた新しいキャンパスに移転するのです。各研究室は、この春は荷物の搬出で大忙しです。

210302_hikkosi.jpg

 私が入っている総合研究棟では、共用スペースのほとんどの什器が、すでに廃棄手続きを終えています。[廃棄]というシールが至る所に貼られています。

210302_tou.jpg

210302_sofa.jpg

210302_chair.jpg

 私は、この総合研究棟の6階に、90平米の広い部屋を借りています。

210302_room.jpg

210302_room2.jpg

 この部屋で取り組んでいた科研の研究は、いろいろな形で今後も継続するテーマであり、膨大な成果もがあがっています。今は、ここで報告書を作成しています。この大阪大学箕面キャンパスで使用していた研究のための資材は、そのすべてを大阪観光大学に移動させています。すでに2回、翻訳本の展覧会のために資料を移動し終えました。そのためもあって、今は研究室がだだっ広い空間となっています。
 3回目の引っ越しは来週9日(火)。この部屋にある残りのすべてを撤去する予定です。そうした引っ越しの作業をしながら、科研で調査収集した資料や情報などを整理し、報告書にまとめる用務を、今日もみんなで取り組んでいました。相変わらず、バタバタするだけの日々です。
 とにかく、追い込みの年度末です。
 
 
 
posted by genjiito at 20:32| Comment(0) | ■科研研究

2021年02月21日

出色の研究報告書『世界の中の和歌』の紹介

 大阪大学日本語日本文化教育センターの招へい研究員(日本学術振興会 外国人特別研究員)であるフィットレル・アーロン先生が、土田久美子先生(青山学院大学非常勤講師)との共同編集により、日本古典文学多言語翻訳研究会の報告書として『世界の中の和歌 ―多言語翻訳を通して見る日本文化の受容と変容―』(2021年2月15日)を発行されました。
 これは、2020年9月3日に行われたオンライン研究会・ワークショップの成果報告書です。

210221_waka.jpg

 私も、現在取り組んでいる科研で、こうしたことをしたいと思っていました。しかし、あまりにも多くの翻訳本の情報や研究成果が集まり過ぎたために、その研究成果を整理するところで四苦八苦しているのが現状です。私は、平安文学を41種類の言語で対処しようとしているために、なかなか成果を研究にまで高めてまとめられないのが難点となっています。
 その点では、この報告書は9種類の言語に限定し、しかも和歌に絞り込んでのテーマ設定により、非常にまとまりのよいものとなっています。参加メンバーの熱意も伝わってきます。
 とにかく、この報告書は貴重な研究成果です。これから日本古典文学を多視点で考えるためには、この研究手法から学ぶことが多いはずです。若手研究者には、ぜひとも一読を奨めます。文学研究に、新たな切り口が見つかることでしょう。
 私は、本書の目次を見るだけで、ワクワクします。そこで、一人でも多くの方にこの報告書の存在を私のブログを通して知っていただきたいと思い、フィットレル先生と土田先生に、「目次・まえがき・あとがき」の転載をお願いしました。すぐに快諾の返信をいただけたので、以下に概略がわかるように引用します。
 本報告書の本体が読みたい方は、フィットレル先生にメール(kinokawa0126@gmail.com)で相談してみてください。

〈目次〉
目 次


まえがき……………………………………………………………フィットレル・アーロン 4

翻訳実践―『後撰和歌集】175番歌の多言語翻訳―……………………………………… 5

和歌の本文と概要………………………………………………………………土田久美子 6

コラム@「「ほととぎす」古今東西」………………………………………………吉海直人 8

イタリア語訳……………………………………………………ボラッチ・マルタ・ダフネ 10

英訳………………………………………………………マイケル・ワトソン、 緑川眞知子 14

スペイン語訳……………………………………………………………………高木香世子 20

チェコ語訳……………………………………………………………トムシュー・アダム 24

中国語訳………………………………………………………………………………庄婕淳 27

ドイツ語訳…………………………………………………………フィットレル・アーロン 29

ハンガリー語訳@……………………………………………………カーロイ・オルショヤ 33

ハンガリー語訳A…………………………………………………フィットレル・アーロン 35

フランス語訳…………………………………………………………………飯塚ひろみ 39

ロシア語訳………………………………………………………………………土田久美子 42

討論@…………………………………………………………………………………………… 46


翻訳の先例―『古今和歌集』469番歌の他言語翻訳―……………………………………… 56

和歌の本文と概要…………………………………………………フィットレル・アーロン 57

コラムA「「いづれあやめかかきつばた」」………………………………………吉海直人 60

イタリア語訳…………………………………………………………………ボラッチ・ダフネ 62

英訳………………………………………………………マイケル・ワトソン、緑川眞知子 67

スペイン語訳……………………………………………………………………高木香世子 76

中国語訳………………………………………………………………………………庄婕淳 80

ドイツ語訳…………………………………………………………フィットレル・アーロン 83

ハンガリー語訳………………………………………………………カーロイ・オルショヤ 90

フランス語訳@…………………………………………………………………飯塚ひろみ 92

フランス語訳A……………………………………………………………………常田槙子 94

ロシア語訳・ウクライナ語訳…………………………………………………土田久美子 96

討論A…………………………………………………………………………………………… 108

あとがき…………………………………………………………………………土田久美子 128

執筆者・討論参加者紹介………………………………………………………………………… 129


まえがき


 日本の古典和歌を他の言語に翻訳する際、言語と文化の差異について考慮する必要があることはいうまでもない。言語的特徴や詩形や文化的背景の違いがどのように翻訳に現れ、また日本の古典和歌の表現方法や詩形やさまざまなモチーフがどのように世界各国の言語に再現されたのかについて解明することが重要な課題である。和歌の翻訳と海外における受容については古くから研究がなされてきているものの、英訳と英語圏における受容に重点がおかれていることが現状である。世界中、英語が公用語として用いられている国が多く、日本古典文学の外国語訳の中でも、英訳が最も多いことを見ると、これは当然である。しかし、日本古典文学は世界の中の多くの言語に翻訳されており、それぞれの言語の構造や表現方法、詩歌の常識、また背景となる文化が多種多様であり、複数の言語への翻訳と複数の国、地域への受容、変容を見比べることによって、その伝達の多様性により多面的に迫ることができると考えられる。
 2020年9月3日に行われたオンライン研究会・ワークショップの前半では、1首の和歌の9ヶ国語への翻訳を試み、後半では、別の1首の和歌の9ヶ国語への先行する翻訳を紹介し、それぞれの歌の翻訳に関して出てくる諸問題について、発表者と視聴者が討論をした。和歌の翻訳や文化伝達の問題に直面することは、翻訳実践の過程においてであると思われる。そのため、同じ1首の和歌を9ヶ国語に翻訳し、和歌のそれぞれの言語への翻訳に関する問題点や可能性について考えた。一方、1首の和歌の多言語への先行翻訳を見比べることによって、上述のことに加えて、各言語への受容と変容のあり方が浮き彫りになると思われる。同じ和歌が異なる言語・文化に受容されることによって、受容の新たな側面が明らかになり、翻訳や文化伝達の際、注意すべきいくつかのことも浮上する。
 なお、今回の和歌の選択は、翻訳を実践した歌の場合、外国語訳がまだない、あるいは少ないものであるのか、また、両方の歌の場合にも、和歌文学と日本文化の特徴的なことがらが出てくる、多少代表的なものであるのかによって行った。そこで、和歌の特徴的な修辞法である掛詞、縁語、序詞が用いられている、かつ和歌特有の景物も見られる、勅撰和歌集に入集している歌を選択した。具体的には、どの歌にもホトトギスという日本の夏を代表する鳥が出てきており、『古今和歌集』の歌にはそれに加えてアヤメグサといった、同じく日本の夏と年中行事と関わる植物が見られる。また、翻訳実践対象の歌は、先行する外国語訳がほとんどない『後撰和歌集』の1首、比較する先行翻訳の対象は日本の古典和歌の代表的な作品のひとつであり、多くの外国語訳がある『古今和歌集』の1首とした。
 本冊子には、参加者の翻訳実践と先行翻訳の紹介に関する発表を基にした原稿と、2つの討論の内容を掲載した。今後の多言語翻訳の研究、文学・文化の比較研究などに関して少しでも参考になれば幸いである。
(フィットレル・アーロン)


あとがき


 2020年9月3日、研究会・ワークショップ「世界の中の和歌 ― 多言語翻訳を通して見る日本文化の受容と変容 ―」が無事に開催され、ここに報告書を刊行することができた。
発表者の皆様、ご来聴の皆様に、心より厚く御礼申し上げる。
 また、今回研究対象となった『古今和歌集』469番歌の先行翻訳を手掛けた各国語の翻訳者にも、敬意を表したい。
2020年は、新型コロナウイルス感染症の流行という未曽有の事態に直面した年になった。本研究会・ワークショップも、当初は大阪大学中之島センターでの開催を検討していたが、8月になっても終息せず、オンライン開催への変更を余儀なくされた。
 初の試みで不安もあったが、高木香世子先生がスペインからご参加下さったのを始め、日本のみならず世界各地からご来聴者が集まって下さったという、オンライン開催ならではの利点もあった。これはまさに、世界各国の多言語翻訳を見比べるという本研究会・ワークショップの趣旨にふさわしいことである。
 このような研究会を開催することは、私の長年の夢であった。私は日本文学のロシア語訳を研究してきたが、原文とロシア語訳を読み比べて明らかになったことが、果たしてロシア語訳独自の特徴なのか、それとも外国語訳全般に言えることなのか、判断するためには他の外国語訳全てを調べなければならない。だが、一人の能力には限界がある。
 実際に本研究会・ワークショップによって、「ホトトギス」が「カッコウ」に、「アヤメグサ」が「アヤメ科アヤメ属」(学名Iris)の植物に訳されたのは、ロシア語訳だけには限らないことが明らかになった。日本的な動植物をどのように翻訳するかという問題には、各国語の翻訳者・研究者が共同で取り組む意義があるだろう。
 さらに、討論では、「和歌を何行の詩に訳すべきか」、「五七五七七音節のリズムはどうするか」、「翻訳・研究の際に他の外国語訳を参考にするかどうか」、「多義的な意味の言葉を注釈で説明するか、それとも翻訳のテキストに説明を入れるか」、「ドメスティケーションかフォーリナイゼーションか」といった、どの言語への翻訳においても共通する問題が議論された。
 討論において意見が異なることはあっても、より良い和歌の翻訳を目指し、より多くの人々に和歌を紹介したいという思いは、どの参加者も同じであろう。いわば私達は、和歌の翻訳に対する熱意で結ばれているのだ。その結びつきは今や、国際的に広がっている。
 この絆を今後も大切にしていきたいと思うと共に、本書をお読み下さっている皆様にも、この輪に加わっていただけることを願う。そしてこのような研究会・ワークショップが今後も開催し続けることができるよう、ご協力をお願い申し上げたい。
(土田久美子)

 
 
 
posted by genjiito at 22:17| Comment(0) | ■科研研究

2021年02月02日

大阪大学箕面キャンパス退居までの日程

 2年間という短い期間ながら、科研の基盤研究機関として大変お世話になった箕面キャンパスでの研究業務も、残すところ1ヶ月半となりました。
 あれは、ちょうど2年前のことです。大型科研を抱えたままで行き場をなくして途方に暮れていた私を、35年来のコンピュータ仲間であるO氏が手を差し伸べて助けてくれました。おかげさまで、無給ながらも恵まれた環境に身を置くことができ、多くの研究成果を積み上げることができました。
 特任研究員、技術補佐員、アルバイトのみなさまにも恵まれました。感謝の気持ちでいっぱいです。
 今は、科研の最終年度にあたり、成果を報告書の形とホームページに公開する作業に入っています。今日も、その打ち合わせをしていました。
 隣の棟では、キャンパス移転のために各部屋などの引っ越しが進んでいます。

210202_hikkosi.jpg

 この箕面キャンパスでは、さまざまな物品が廃棄処分されています。もったいないと思いながらも、横目で見やって通り過ぎるしかありません。
 かつての大阪外国語大学がそっくりそのまま、2021年春には箕面船場阪大前駅に移転するのです。「箕面新キャンパス」については、https://www.osaka-u.ac.jp/ja/oumode/minohnewcampus をご覧ください。

210202_map0.jpg

210202_map1.jpg

 今後の閉室までの予定は、次の通りです。
 最終日まで、1日たりとも気が抜けません。

2月9日 大阪観光大学へ展示関係の資料などの移動

3月3日 科研業務の最終日

3月9日 大阪観光大学へすべての研究物資を移動

3月16日 大阪大学退居

 
 
 
posted by genjiito at 23:43| Comment(0) | ■科研研究

2021年01月31日

大阪観光大学での翻訳本の展示の現状と今後

 大阪大学を研究基盤機関として研究活動を展開している、伊藤の科研(基盤研究A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)では、収集した翻訳本などの資料を、昨年12月から大阪観光大学で展示しています。(次の画像をクリックすると精細画像となります。)

201203_poster.jpg

 この研究テーマは、どなたも本格的には取り組んではおられないこともあり、貴重な本が数多く集まっています。多くの成果もあがっています。そのため、若い方々には、世界中で翻訳されている日本文学の実態を見て、知って、興味を持っていただきたいと思っています。

 しかし、新型コロナウイルス禍ということで、大学への学生の入校に制限がかけられ続けていることと、学外者も入校できないため、残念ながら実質的にはこの展覧会を広く見ていただく状況にはありません。

 展示自体は、予定通り準備しました。図書館に翻訳本は並んでいます。しかし、12月4日(金)から大阪観光大学図書館を会場として計画していた展覧会【[5回連続 展覧会]大阪観光大学で世界中の言語に翻訳された「平安文学」の表紙絵を楽しむ】(図書館1階、2020年12月〜2021年4月、担当者:伊藤)は、
「[学長ブログ]明日からも休校となり翻訳本の展覧会も延期」(2020年12月03日)で報告した通り延期となり、翻訳本は当初の予定のままに展示され続けています。いわば、無観客の展覧会となっています。

 見通しが立たないままに展示替えをするわけにもいかず、この展覧会は第1回の「アジア編」の展示をこのまま4月まで継続し、新年度の4月から気分一新で再スタートとすることにしました。

210131_kaiki.jpg

 全5回の新しい日程については、後日お知らせします。

 そこで、今回の無観客の展覧会をここに写真で紹介し、併せて展示本の解説文を公開します。
 モニタ越しの展覧会として、お楽しみいただければ幸いです。

210131_tenji0.jpg

210131_tenji1.jpg

210131_tenji2.jpg

210131_tenji3.jpg

210131_kaisetsu-14

210131_kaisetsu-24

210131_kaisetsu-34

210131_kaisetsu-44
 
 
 
posted by genjiito at 20:57| Comment(0) | ■科研研究

2021年01月19日

科研で取り組んでいる多言語翻訳の資料確認と整理は順調です

 大阪大学の箕面キャンパスで取り組んでいる科研A「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(17H00912)は、最終年度の総まとめとなる時期を迎えてフル稼働の状態です。

 本年度は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、予定していた世界各国への調査や国際研究交流集会はすべて中止としました。そこで活動方針を大幅に変更し、海外における平安文学の研究状況の把握や、翻訳本の調査と収集に舵を切り替えました。それぞれの分野での情報収集と分析を、今は鋭意敢行しています。

 特任研究員と技術補佐員とアルバイトのみなさんの弛まぬ地道な調査のおかげで、これまでに収集した情報と成果を補訂するものが多数確認できています。また、知られざる翻訳本の所在が、日々多数確認でているため、その入手にも勢力を傾けてもらっています。

 箕面キャンパスの研究室も、展覧会用の展示資料等を「阪大伊藤科研―大観大分室」に移動しつつあるため、90平米の広さが閑散とした感じになりました。ソーシャルディスタンスは十分に保たれています。

210119_room1.jpg

210119_room2.jpg

 海外にある本は、発注してもほとんど手に入りません。しかし、その発注は打ち切らず、いつ入手できるかあてのないものであっても、次年度以降に対処する課題としてそのまま持ち越すことにしています。そして今は、日本で入手できる翻訳本の取得に専念しながらも、両睨みのスタンスで翻訳本などの資料収集を続けているところです。
 大阪大学の国際部国際学生交流課・国際教育交流センターの科研担当のスタッフのみなさんには、翻訳本などの確認と確保と見積書作成などの業務にあたり、日々の連絡調整などではお世話になりっぱなしです。手間暇のかかることをお願いし、それを丁寧に対応してくださっていることに感謝しています。あとしばらく、よろしくお願いします。

 こうした成果は、本年3月をめどに伊藤科研のホームページである[海外平安文学情報](http://genjiito.org)の「源氏物語情報」や「平安文学情報」のセクションにまとめて追記して公開します。

210119_HP.jpg

 情報の不備やお気付きの点をご教示いただきながら、より質の高い情報の発信基地となるように努めます。今後とも、変わらぬご協力のほどを、よろしくお願いします。

 今日の箕面キャンパスは、ほんの少しの間ながら、前が見えないほどの吹雪に見舞われました。一転にわかにかき曇り、という様子でした。
 仕事帰りに、京都でも突然小雪が舞い散りました。
 全国的に、寒い1日だったようです。
 新型コロナウイルスの心配をしなくてもいい春の到来と、梅の便りを待ち遠しく思っています。
 
 
 
posted by genjiito at 18:47| Comment(0) | ■科研研究

2020年12月15日

阪大の箕面キャンパスに小雪がチラつく

 冷え込んだ1日でした。
 大阪大学の箕面キャンパスは、来年3月までに吹田地域に移転するため、外国語学部の研究室や事務室では荷物の廃棄処分が急ピッチで進んでいます。お隣のB棟のエレベータの前には、不要となった書籍や雑誌類が堆く積まれています。
 書物とは何なのか、日々その処分に苦慮している身でもあり、考え込んでしまいます。
 私が入っている総合研究棟も、備品の処分が進んでいます。もったいないと言っていたのではきりがありません。まさに、捨てる勇気が必要です。とはいうものの、自分のことになると、科研でこれまでに購入したものは、消耗品であってもなかなか処分できません。先月から大阪観光大学に「阪大伊藤科研−大観大分室」を開設したことと、翻訳本の展覧会の用意のために、必要なものは移動させているところです。使えるものはトコトン使い倒すつもりです。
 総合研究棟のエレベータホール6階から、大阪モノレール彩都西駅方面を撮影しました。黄葉のグラデーションが楽しめます。

201215_minou1.jpg

201215_minou2.jpg

 ファインダー越しに、白い点が見えました。よく見ると、なんと粉雪なのです。寒いはずです。
 新型コロナウイルスの感染予防のために、研究室の前後のドアと窓を開けて換気をしています。90平米の部屋も、荷物の移動で物が少なくなっていることもあり、足下はシンシンと冷えます。コロナ対策をしながらも風邪にも気を配るという、生活環境を整えるのも大変です。
 この箕面キャンパスでの研究活動は、12月23日(水)が年内最後となります。
 新年は、正月12日(火)から開室です。
 年度末は3月23日(火)に、すべての荷物を運び出して閉室となります。
 あと4ヶ月のラストスパートとなりました。
 この4年間の研究報告書や翻訳本の整理はもとより、調査収集した情報の整理を基にしてホームページの総整理などなど、やることは数しれずあります。
 特任研究員、技術補佐員、アルバイトのみなさん8人の総力を結集して、科研の最終年度の追い込み体制に入っています。
 今日は、土佐光起の源氏絵「若紫」の図様の確認をしながら、バーク・コレクションの1枚の絵が現在どこに所蔵されているのかを、みんなでああでもないこうでもないと楽しく調べたりしました。
 広くみなさまの調査研究のお役に立つ情報群の提供と研究成果の公開は、新年4月以降です。いましばらく、楽しみにお待ちください。

 京都市内で、今日は初雪が観測されました。
 明日も厳しい寒さとなるようです。
 明日は、京都から大阪を縦断して和歌山方面に移動します。
 大阪市内での乗り換えには、十分に気をつけるつもりです。
 
 
posted by genjiito at 20:24| Comment(0) | ■科研研究

2020年12月08日

昨冬中国で開催した国際研究集会の報告書のこと

 昨年の12月中旬に、中国の広州で大阪大学と広東外語外貿大学との共同開催による国際研究集会を実施しました。これは、伊藤の科研(A)が日本側の主催組織であり、そのことを大阪大学の了承を得て日本側の主催者として名を連ねて臨んだものです。

「広東外大での学術フォーラムの初日」(2019年12月21日)

「学術フォーラムの2日目は伊藤科研のメンバーで」(2019年12月22日)

 その日本側の報告書となる『海外平安文学研究ジャーナル《中国編》』の編集が最終段階となったことを受けて、今日は箕面キャンパスの研究室で全体の確認をしました。
 技術補佐員(非常勤職員)として、中国に関する情報の収集と整理を科研の研究協力者としてお願いしている大学院生のKさんと、この報告書をめぐって、いろいろと意見交換をしました。
 最近私は、とみに忘れるスピードが倍加しているので、すぐにここに記して、後日のための備忘録としておきます。

(1)表紙に中国の地図を印刷するデザインに関して。
 あらかじめ、2つの案を用意していました。そこで、中国本土と台湾を視覚的に色分けする必要性についてKさんの意見を聞きました。結論は、区分けをしないことに落ち着きました。

(2)簡体字と繁体字に加えて、日本の漢字をどう呼ぶかということについて。
 「日本式」「和式」「国字」などのことばを彷徨いながら、「日本の漢字」という表現に落ち着きました。例えば、「豊子ト」の場合、「丰」「豊」「豐」の3種類の漢字をどう区別するか、ということです。

(3)今回、中国から寄せられた原稿が、こちらに無断で他大学の紀要に投稿されたということが、本人からの回答として今夏わかりました。この二重投稿について、研究者の卵である学生の立場であることを前提として、Kさんの意見を聞きました。これについては、その事実がわかった時点で私の方が掲載しないと判断したことには、何も問題はないと思うとのことでした。投稿から4ヶ月しか経っていない4月の時点において、受領の連絡がないことを理由に他大学に持ちかけるのはおかしいということです。また、グーグルのメールを介して連絡をしていたことに関連して、そのツールが認められていない中国の通信環境も背景にあるとのことです。その意味からも、別の方法やルートで編集者に直接事情を確認すべきであったにもかかわらず、それを怠っていると。掲載の有無を直接確認しないままに正当性の主張をしても、それは認められないということです。これからの若い方も、国際的なルールでものごとを公平に判断しておられることがわかり、安堵しました。

(4)昨年の国際集会のプログラムなどに表記されていた中国語の表現について、意外な意見を聞きました。具体的には、前掲のブログに紹介した写真を参照願います。開催地が広州で広東語圏ということもあってか、またKさんがまだ研究畑に身を置いていないこともあってか、理解できない、あるいは間違いと思われる表記がなされている箇所を指摘してもらいました。先生や知人に確認したということです。しかし、専門用語や学会での慣用表現ということもあり、これについてはさらに機会を得て確認したいと思っています。

 
 
 
posted by genjiito at 20:12| Comment(0) | ■科研研究

2020年12月02日

新たに入手したジョージア語とカタルーニャ語の翻訳本3冊

 過日に続いて昨日は、3冊の翻訳本が阪大の生協から総合研究棟にある研究室に届きました。
 あまり知られていない言語で翻訳された本なので、ここに紹介します。
 私には、判読不明な点が多いので、後日この詳細がわかり次第、あらためて報告します。

(1)カタルーニャ語訳『源氏物語』
   La novel・la de Genji (Catalan Edition)
   (Xavier Roca Ferrer 訳、バルセロナ Destino CAT 社、2006年版、441頁)
   ※01巻「桐壺」〜13巻「明石」

201202_kata-G.jpg



(2)ジョージア語訳『紫式部 源氏物語』
   ამბავი უფლისწული გენჯისა
   (ლილი მჭედლიშვილი(Lily Mchedlishvili)訳、ბაკურ სულაკაურის გამომცემლობა(Bakur Sulakauri Publishing House)社、2019年版、607頁)

201202_jyo-G.jpg

 背と裏表紙にワンポイントで使われた絵は、以下のものです。

浮世絵 源氏後集余情 発端 石山寺源氏の間(紫式部)/一陽斎豊国(三代豊国・歌川豊国)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1308730?tocOpened=1


(3)ასი უძველესი იაპონური ლექსი
   (ジョージア語訳『百人一首」』)
   (IRMA RATIANI 訳、2000年版、前から220頁+後ろから115頁)
   ※版本からの絵入り。
    巻末は、上下反転して115頁分の日本文化略説。
    前から読むか、後ろから読むか。
    悩ましい印刷スタイルの造本です。

201202_100nin.jpg
 
 
 
posted by genjiito at 19:22| Comment(0) | ■科研研究

2020年11月24日

エスペラント訳『源氏物語』の2種類を紹介

 阪大生協の方が今日、かねてより注文していたエスペラント訳『源氏物語より六帖』を総合研究棟6階の伊藤研究室に届けてくださいました。待ちかねていた本です。多くの翻訳本を発注している中で、こうして実際に手に入るのはほんの一部に限られています。その意味からも、根気強く発注を繰り返し続けてくださるお2人の特任研究員には、今回も感謝しています。

201124_es-6.jpg

 これは、2017年に初版が発行された小冊子(やましたとしひろ、ベルモント出版、91頁、Ver.1 2017-01、Ver.2 2017-09、Ver.2.1 2018-10)です。収録されているのは、8花宴、11花散里、16関屋、27篝火、30藤袴、38鈴虫の6巻です。
 各巻の扉には、尾州家河内本の巻頭が影印本で一丁分が転載されています。次の左頁にエスペラント訳、右頁に大島本の校訂本文と、見開きで読める形式です。
 一つの巻が終わると、QRコードが添えてあり、エスペラント訳の音読を聴くことができます。これは貴重です。また、各巻末には、登場人物系図に年齢が書き加えてあり、読む人への配慮がなされています。

 この2017年版を元にして、今年2020年6月に新装版が刊行されました(383頁)。「当時の日本語音韻にもこだわった原文からの直接翻訳」だとあります。

201124_es20.jpg

 わからないなりにも2種類のエスペラント訳を追っていると、各所に補訂の手が入っていることがわかります。後掲のウェブから印刷本にする間にも、さらには新装版として再編集して整理する際にも手が入れられているのです。倦まず弛まずエスペラントの普及を心がけておられることが、ストレートに伝わってきました。
 この本は、予定されている全4巻のうちの第1巻にあたり、01桐壺から20朝顔までの20巻分を収録しています。
 今後は以下の計画で各巻が収録されるようです。続刊が楽しみです。
○第2巻は21少女から33藤裏葉までの13巻分、
○第3巻は34若菜上から41幻までの8巻分、
○第4巻は42匂宮から54夢浮橋までの13巻分

 このエスペラント訳は、ウエブで公開されています。興味を持たれた方は、次のサイトをご覧ください。その壮大な世界に、圧倒されることでしょう。

「esperas! エスペラントの世界へようこそ」

「源氏物語 Rakontaro Genĝi」

「エス訳『源氏物語』Rakontaro Genĝi」

 なお、私はエスペラントはまったく理解できません。しかし、興味と関心があるために、本ブログでも何度か取り上げています。参考までに、以下にその一覧を掲示しておきます。
 また、盲教育史研究会に参加した折に、数人の方からエスペラントに関するお話を伺っています。目が見えない方々と点字の問題から、さらにはエスペラントへの関係については、まだ調査ができていません。これは本ブログで記事にもしていないことなので、いつか整理して報告します。

「源氏千年(76)エスペラント語訳『源氏物語』」(2008年11月30日)

「エスペラント訳『源氏物語』は33種類目の言語による翻訳」(2016年06月12日)

「エスペラント訳『源氏物語』の最新情報を更新」(2017年01月04日)

「やました氏のエスペラント訳『源氏物語』の最新情報」(2017年05月19日)

 
 
 
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ■科研研究

2020年11月10日

阪大から展示資料を運び込み大観大分室を立ち上げる

 大阪観光大学の構内は、新型コロナウイルスに警戒しながらも、落ち着きを取り戻しています。
 クレープ屋さんも、平常通りに営業をしています。

201110_creape.jpg

 大阪大学の箕面キャンパスにある伊藤研究室から、科研の資料の内、翻訳本関係の書類や資料の一部を大阪観光大学に移動させました。阪大の特任研究員、技術補佐員、アルバイトのみなさまには、忙しい中にあっても荷造りなどに多くの時間を割いていただき、感謝しています。
 大阪観光大学の5号館6階の一室に、「阪大伊藤科研―大観大分室」を設けてもらいました。ここでは、来月から大阪観光大学図書館で3回にわたって開催する、翻訳本の展示会のための作業をします。また、科研の最終年度にあたり、資料整理などをこの分室でも行います。作業にあたるのは、この科研の最初の2年間にアルバイトとして手伝ってくれた学生5名です。
 今日は、男子学生2人が、阪大から送られてきた荷物の整理に当たってくれました。

201110_book.jpg

 阪大からの搬出が要領よく行われたことから、搬入も迅速にできました。ただし、今日はあいにく「ゴットの日」(5、10日)の上に道路工事が重なり、大幅に到着が遅れました。それにもかかわらず、運送会社の方の手際の良さと、学生の的確な対応で、とにかく無事に資料の移動は終わりました。
 明日からは箱を開梱し、資料や展示用の演示具などを整理してもらいます。
 12月からの展示に合わせて、箕面と熊取とでの連携プレーが始まります。
 学生同士には、自由に考えてやってもらうつもりです。これまでも、学生たちが主導的に動いて展示を行なってきたので、今回も安心して見ていられます。さらによい展示ができるように、みんなでスキルアップのための勉強もしていきたいと思います。
 
 
 
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ■科研研究

2020年10月27日

本日届いた翻訳本と探索中の翻訳本一覧

 本日、阪大生協を通して以下の6冊の翻訳本が、箕面キャンパスの研究室に届きました。
 カタロニア語訳とスペイン語訳の本です。
 海外からの本が届くのは久しぶりです。


■Diari de Tosa
(カタロニア語訳『土佐日記』)
201027_tosa.jpg



■El diario de la dama Murasaki
(スペイン語訳『紫式部日記』)
201027_murasaki.jpg



■Si pudiera cambiarlos . Torikaebaya monogatari
(スペイン語訳『とりかへばや物語』)
201027_change.jpg



■Cien Poetas, Cien Poemas
(スペイン語・日本語版『百人一首』)
201027_100nin.jpg



■El diario de la dama Izumi
(スペイン語訳『和泉式部日記』)
201027_izumi.jpg



■Poemas amorosos del Manyooshuu
(スペイン語訳『万葉集』)
201027_manyo.jpg

 すでに10年以上前から、東京の国文学研究資料館で科研に取り組んでいた頃から、常時数十冊にも及ぶ翻訳本の発注をし続けています。しかし、入手できるのは1割にも満たないのが実情です。
 とにかく、気長に待つしかありません。
 実際に、海外の現地で入手できることも、多々ありました。その折々に、本ブログで書影を紹介してきました。しかし、新型コロナウイルス禍の現在は、海外に調査で出向くことすらできません。
 現在、探し求めている翻訳本は、以下の通りです。
 もし、譲っていただける方の情報や、本の所在なりをご存じの方がいらっしゃいましたら、ご教示いただけると幸いです。出版年や再販本などには拘りません。あるゆる版を探し求めています。
 収集した翻訳本は、科研のホームページである「海外平安文学情報」の翻訳史年表に掲載し、その解題などは不定期ながら刊行しているオンライン版『日本古典文学翻訳事典』や『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN番号 2188ー8035)などに収載して、広く公開しています。また、展示会などで紹介もしています。
 以下の2点の一覧表形式の画像は、クリックすると精細な画像として表示されます。

 この本に関する連絡は、本ブログのコメント欄をご利用ください。

(資料作成︰大山俊哉・大阪大学特任研究員)

20201027_no-trance-1.jpg

20201027_no-trance-2.jpg
posted by genjiito at 20:52| Comment(0) | ■科研研究

2020年10月20日

大阪大学箕面キャンパスの秋と研究室

 科研の取り組みに専念している大阪大学の箕面キャンパスの研究室は、現在は資料整理の真っ最中です。

201020_room

 11月下旬から大阪観光大学の図書室を借りて、翻訳本の展示を4回にわたって開催します。その準備のため、資料整理と資料移動の用意で大忙しです。
 現在のスタッフは、特任研究員2名、技術補佐員3名、アルバイト3名の計8名でフル回転の状態です。
 外国語については、ロシア語・スペイン語・ベトナム語・中国語・アラビア語の担当者が、翻訳本や海外の情報の収集と整理に当たっています。今日は、これからアラビア語を担当していただく方と面談をしました。
 この研究室がある箕面キャンパスは、旧大阪外国語大学があったところで、今は外国語学部があります。私が取り組んでいるテーマにふさわしい環境にあります。
 エレベーターホールから見下ろすと、紅葉間近のニュータウンが望めます。

201020_minou1.jpg

201020_minou2.jpg

 色付いたら、また周辺の景色を紹介します。
 
 
 


posted by genjiito at 21:07| Comment(0) | ■科研研究

2020年10月06日

大阪大学箕面キャンパスで科研の業務に専念

 今日は終日、大阪大学の箕面キャンパスで科研の仕事をしていました。
 2017年4月から4年間の計画で取り組んだ科研費研究(基盤研究 A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(17H00912)も、早いもので本年度が最終となりました。
 昨年末に中国の広州で開催した国際研究集会は『海外平安文学研究ジャーナル《中国編》』として編集が最終段階に入っています。
 年次報告書の最後となる『海外平安文学研究ジャーナル 9.0+10.0』(オンラインジャーナル、ISSN番号 2188ー8035)の編集も、先月のネットワーク越しの研究会の成果を掲載することで、目次のメドが立ちました。これから原稿の依頼と編集が始まるところです。
 今回のジャーナルの最終巻『9.0+10.0』では、これまでにお世話になった先生方に、多言語翻訳に関連するご自身の翻訳などと向き合う姿勢や、今何をしているか、あるいはこの科研との関わりからのエッセィなどを寄稿していただき、特集記事を構成したいと思っています。
 この科研は、多くの先生方のご協力を得て膨大な成果をあげ、それらはホームページ「海外平安文学情報」(http://genjiito.org)に結実しています。

201006_HP.jpg

 このテーマを、来年度からは次の世代に引き渡すにあたり、『海外平安文学研究ジャーナル』の最終号に、チームプレイとしての共同研究に何らかの形で関わっていただいた先生方のことばを特集として残すことも、意義深いことだと思います。これから、お願いのメールを送る準備をします。ご協力のほどをよろしくお願いします。
 また、研究協力者とは別の視点で、ホームページ[海外平安文学情報]について利用者の方々からのご意見をお寄せいただけると幸いです。可能な限り、『海外平安文学研究ジャーナル』の誌上で紹介したいと思います。その際には、このブログのコメント欄を活用してください。
 
 
 
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ■科研研究

2020年09月16日

『源氏物語』は《41種類の言語》で翻訳中(2020.9.16版)

 『源氏物語』が多くの言語で翻訳されていることは、これまでにも折々に報告してきました。
 直近の記事としては、「『源氏物語』は39種類の言語で翻訳中(200814版)」(2020年08月14日)がそれです。「日本点字訳」「ペルシャ語訳」「カタルーニャ語訳」を追記したものでした。
 その後、さらに、ウズベク語訳『源氏物語』(クルボノヴァ,グルノザ、「桐壺」のみ)と、ジョージア語訳『源氏物語』(2019年、翻訳者:ლილი მჭედლიშვილი(Lily Mchedlishvili))の存在を確認できました。現在、原本の入手の手配をしているところです。
 これで、『源氏物語』は《41種類の言語》で翻訳されていることになります。
 『源氏物語』が世界各国で翻訳されていることは、翻訳言語の数からわかります。着実に増えており、今後ともさらにその数は増えていきます。確認できしだい、また報告します。


【『源氏物語』が翻訳されている41種類の言語一覧】
(2020年9月16日 現在、今回追記した言語に※印)

アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウクライナ語・※ウズベク語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・オランダ語・オディアー語(インド)・カタルーニャ語・クロアチア語・※ジョージア語・スウェーデン語・スペイン語・スロベニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・(現代)日本語・日本点字・ハンガリー語・ハングル・パンジャービー語(インド)・ビルマ語・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ペルシャ語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ルーマニア語・ロシア語

 
 
 
posted by genjiito at 19:59| Comment(0) | ■科研研究

2020年09月11日

伊藤科研_第14回研究会の報告

 伊藤科研の第14回「海外における平安文学」研究会は、先週4日に無事に終わりました。
 その報告を、科研のホームページである[海外平安文学情報](https://genjiito.org/report/第14回研究会報告/)に掲載しています。形式としては、議事録というスタイルをとっています。記録者は、本科研の技術補佐員として情報の整理に当たっている吉村仁志君にお願いしたものです。

200911_kaken1.jpg

 ホームページを確認できない方々のために、その内容を以下にも引用します。ただし、当日発表者から提示された資料等は、ホームページにそのすべてを転載していますので、詳細はそちらに譲ります。

 今回も、多くの方々のお世話になりました。
 特に、共催者であるフィットレル・アーロン先生には、ネット中継やオンライン討議のイロハから教えていただきました。ありがとうございました。

 本科研は、来年3月で終了します。
 現在、これまでの調査研究を通して得られた成果の整理に、スタッフ一同が着手しています。平安文学に関する翻訳本に関連する情報や資料をお持ちの方からの研究協力に加えて、ホームページで公開している情報に関する補足や補訂についてのご教示をいただけると幸いです。


■日時:2020年9月4日(金)13:00〜15:00
■場所:Zoomによるオンライン開催
■プログラム
・13:00~13:10 挨拶(伊藤鉄也)
・13:10~13:40 研究発表「『百人一首』のハンガリー語訳注作成とハンガリーかるた会の草創について」(フィットレル・アーロン/カーロイ・オルショヤ)
・13:40~13:50 質疑応答
・13:50~14:10 研究報告「翻訳機を使った翻訳についての調査報告」(吉見さえ)
・14:10~14:20 質疑応答
・14:20~14:40 研究報告「伊藤科研所蔵書籍の分類とデータベース化」(吉村仁志)
・14:40~14:50 質疑応答
・14:50~15:00 挨拶(フィットレル・アーロン)

--------------------------------------

■議事録

・研究発表「『百人一首』のハンガリー語訳注作成とハンガリーかるた会の草創について」(フィットレル・アーロン/カーロイ・オルショヤ)
 発表資料:(発表資料・令和2年9月4日)「『百人一首』のハンガリー語訳注作成について」(フィットレル・アーロン)
      (発表資料・令和2年9月4日)「ハンガリーのかるた会と『百人一首』の初期の翻訳」(カーロイ・オルショヤ)
まずカーロイ氏からハンガリーのかるた会やかるた普及活動の紹介と『百人一首』の歌のハンガリー語訳史についての発表があった。かるたに関する活動については写真が多く、当時の様子がよくわかる内容であった。また『百人一首』のハンガリー語訳は現状ほとんどが重訳または現代語訳からの翻訳であり、日本の研究成果を踏まえた全訳は作成されていないということが報告された。次にフィットレル氏から2021年5月頃刊行予定の『百人一首』のハンガリー語訳注の作成についての発表があった。訳注の題名、想定する読者層、構成と内容、参照した主な注釈書や研究書、訳注作成手順について言及された。内容については百首の歌毎に原文、読み(ローマ字)、翻訳、語注、歌に関連する詳しい情報がある他、和歌史や成立に関する解説や年中行事や家系図などの付録が掲載されるとのことであった。また翻訳にあたっては表現の統一や区別に注意する必要があるということにも言及された。表現の統一の例として参議篁(11)と法性寺入道前関白太政大臣(76)の二首を挙げ、「わたのはら」と「こぎいで」の部分の表現を統一していることが説明された。

--------------------------------------

・研究報告「翻訳機を使った翻訳についての調査報告」(吉見さえ)
 発表資料:(発表資料・令和2年9月4日)「翻訳機を使った翻訳についての調査報告」(吉見さえ)
三つの翻訳機を用いて『源氏物語』「須磨」巻ロシア語訳の日本語への訳し戻しを行なった結果とそれぞれの特徴についての報告であった。固有名詞の訳の一定性や語順、和歌の形式、正確さなどについて言及された。最後に、代名詞の把握や原文における価値観や文化など文脈に即した翻訳、文章の自然さという観点ではまだまだ課題が多いものの、その原文の意味を語義的に理解したければ翻訳機は一定の役割を果たすだろうという考察が述べられた。報告後、機械翻訳はデータが多い言語の方が精度は高く、ロシア語やスラブ系言語にあまり関心が向いていないのが現状であること、データの量の問題から文学の翻訳の精度向上はまだまだ先になるであろうことが野本氏によって言及された。その後、土田氏から現段階では日本文学がどのように翻訳されているかを理解するというよりはどの部分の翻訳なのか見当をつけるために役立つのではないかと言及があった。またカーロイ氏からアプリケーション等で機械翻訳を利用可能かという質問があり、「KAZUNA E Talk 5」のみアプリケーションの配信が確認されていることが吉見氏から報告された。

--------------------------------------

・研究報告「伊藤科研所蔵書籍の分類とデータベース化」(吉村仁志)
 発表資料:(発表資料・令和2年9月4日)「伊藤科研所蔵書籍の分類とデータベース化」(吉村仁志)
本科研所蔵の翻訳関連書籍の管理についての報告であった。「言語.作品.分類.初版刊行年_刊行年.翻訳者記号.個別番号(_巻番号)」からなる書籍毎に一意の記号を作成した。言語や作品の情報を含むことで配架場所等の確認も容易に確認できるようになっている。その他、冊数や所蔵場所等の情報も加えたデータベースをExcelで管理しており、検索、ソート、フィルタリングが容易にできるようになっている。報告後、本科研所蔵書籍は来年度大阪観光大学に移管すること、データや研究成果はNPO法人源氏物語電子資料館によって引き継いでいくこと、翻訳本を広く活用しようと考えていること、新型コロナウイルスの影響で新しい本の入手が現在困難であること、より多くの本を入手するために人的ネットワークが重要であること、翻訳本を一箇所に集める意義があるということなどが伊藤氏や大山俊哉氏から報告された。

 
 
 
posted by genjiito at 21:13| Comment(0) | ■科研研究

2020年09月04日

伊藤科研 第14回研究会「海外における平安文学」(オンライン開催)

 本日、科学研究費補助金基盤研究(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(代表者:伊藤鉄也:大阪大学・17H00912)と、特別研究員奨励費「古典和歌の翻訳、および和歌と西洋詩の比較研究」(代表者:フィットレル・アーロン:大阪大学・19F19302)の2つの科研の合同研究会を、オンラインで開催しました。
 フィットレル先生は昨日に続いてのオンライン会議です。しかも、今日は箕面キャンパスにある私の研究室にお越しいただき、こちら側のメンバーの技術支援や指導もしてくださいました。
 重ね重ねのご協力に、この場をかりてあらためてお礼を申し上げます。

 さて、本日のプログラムは以下の通りでした。

・日時:9月4日(金) 13:00~15:00
・開催方法:Zoomによるオンライン開催
・参加方法:事前申し込みが必要
・発表、報告:(敬称略)

 (1)研究発表
  「『百人一首』のハンガリー語訳注作成とハンガリーかるた会の草創について」
    [フィットレル・アーロン(大阪大学)/カーロイ・オルショヤ(同志社女子大学)]

 (2)研究報告
  「翻訳機を使った翻訳についての調査報告」
    [吉見さえ(大阪大学4回生・伊藤科研 技術補佐員)]

 (3)研究報告
  「伊藤科研所蔵書籍の分類とデータベース化」
    [吉村仁志(同志社大学4回生・伊藤科研 技術補佐員)]


 なお、開催にあたっては、次のお願いの文章を掲示しました。
 今後の開催において参考となるように、以下に引用します。

・ご参加にあたってのお願い

1.参加していただくためのZoom会議のリンク情報を第三者と共有すること、またSNS等への投稿はなさいませんよう、お願い申し上げます。

2.ご参加の際には、Zoomでの表示名(少なくとも苗字)をお申し込み時のお名前と一致するようにしてください。

3.発表・報告中は、マイクを「ミュート」に設定していただきますようお願いいたします。
(ご希望により、「ビデオ」をオフにしていただいても構いません)

4.発表・報告の後に、それぞれ質疑応答の時間を設けております。ご発言の際にのみ、マイク(またはマイクとビデオ)をオンにしてください。

5.研究会は録画・録音し、伊藤科研のホームページ「海外における平安文学」及びフィットレル・アーロン先生のブログ「日本古典文学の多言語翻訳」に掲載させていただきます。プライバシー保護のため、参加者の顔が映らないように配慮して掲載いたしますので、ご了承ください。
 また、掲載にあたりましては、パスワードで保護し、不特定多数には公開されないようにする予定です。ただし、録音データの公開をお断りの場合は、ご連絡ください。


 この最後の項目〔5〕に掲げたように、後日この研究会の内容はホームページ[海外平安文学情報](http://genjiito.org)などで公開しますので、ここで本日の内容についての私からの細かなコメントは控えます。

 3件ともに報告が中心となるものであったために、例示されたものが具体的でわかりやすい発表でした。その意味では、報告を聞くという形となり、質疑応答になりにくい内容だったとも言えます。この点は、参加者の吉海直人先生からも指摘があったところです。今後の反省点とします。
 吉見さんと吉村くんの報告は、学部生とは思えないしっかりとした堅実な内容でした。共に大学院への進学を目指しているだけに、2人の若者のこれからの成長が、大いに楽しみになります。これを一つの契機として、さらに調査や研究のおもしろさと楽しさを体感してもらえたら幸いです。
 本科研も、あと半年で終了となります。来春以降は、この膨大な成果物としての翻訳本やホームページに収載しているデータベースを、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉に管理してもらうことになります。若い世代が今後とも数十年は引き継ぎますので、これまでと変わらぬみなさま方からの情報提供や研究協力を、よろしくお願いします。
 本日の参会者は18名でした。いつもは10人くらいで開催している研究会です。対面よりもオンラインの方が参加してもらいやすいようです。今後は、両面での成果報告会となるように計画していきますので、変わらぬご支援とご協力をお願いします。
 
 
 
posted by genjiito at 18:52| Comment(0) | ■科研研究

2020年09月03日

フィットレル先生の研究会・ワークショップに zoom で参加

 今日は終日、大阪大学のフィットレル先生の研究会・ワークショップ「世界の中の和歌―他言語翻訳を通して見る日本文化の受容と変容―」の Zoom会議に参加しました。

 午前の部は10時からの開始でした。しかし、大阪観光大学のネットワークと悪戦苦闘しているうちに、30分もロスをしてしまいました。

 意見交換の中で、「かっこう」と「ほととぎす」の各国の理解の違いに興味を持ちました。そこから、〈鳥の文学〉の比較研究という可能性もおもしろいと思いました。今日は、異文化コミュニケーションのテーマが、数多く提起されました。
 私が現在取り組んでいる科研、「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)は、翻訳本を中心とした異文化コミュニケーションに関する研究です。共通点が多いだけに、興味が尽きません。
 ただし、私がいた部屋はネットの環境が思わしくなく、映像と音声が途切れ途切れだったために、話題に集中できませんでした。
 午後もネットの環境は改善されません。ようやく解決策を見いだした頃は、すでに終盤でした。残念無念です。

 参加なさっていた30人近くのみなさま、お疲れさまでした。
 終了時に、お詫を兼ねて次のコメントを残しました。

一日中、途切れ途切れの画像と音声の中で右往左往しながらの研究会参加となりました。
何も反応できず、大変失礼しました。
フィットレル先生、今回のイベントを後で再確認できるように、編集をよろしくお願いします。


 次回を楽しみにしています。
 また、明日の私が主催者となる伊藤科研の研究会も、今日の研究会と同じ形式です。
 どうぞよろしくお願いします。
 
 
 
posted by genjiito at 23:04| Comment(0) | ■科研研究

2020年08月20日

伊藤科研第14回研究会「海外における平安文学」のプログラム

 過日お知らせした伊藤科研の第14回研究会「海外における平安文学」に関して、プログラムなどが決まりましたのでお知らせします。

伊藤科研 第14回研究会「海外における平安文学」

科学研究費補助金基盤研究(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」
(大阪大学・17H00912)代表者:伊藤鉄也
特別研究員奨励費「古典和歌の翻訳、および和歌と西洋詩の比較研究」
(大阪大学・19F19302)代表者:フィットレル・アーロン

・日時:9月4日(金) 13:00~15:00
・開催方法:Zoomによるオンライン開催
・参加方法:事前申し込みが必要(詳細は下欄にて)
・発表、報告:(敬称略)
  (1)研究発表 「『百人一首』のハンガリー語訳注作成とハンガリーかるた会の草創について」
         [フィットレル・アーロン/カーロイ・オルショヤ]
  (2)研究報告 「翻訳機を使った翻訳についての調査報告」
         [吉見さえ(大阪大学4回生・伊藤科研 技術補佐員)]
  (3)研究報告 「伊藤科研所蔵書籍の分類とデータベース化(仮)」
         [吉村仁志(同志社大学4回生・伊藤科研 技術補佐員)]
  研究発表は30分+質疑応答、研究報告は20分+質疑応答の予定    

・参加方法について
 2020年8月31日(月)までにご出欠を大山宛(mt.yoshi.02@gmail.com)にお知らせください。
 ご出席の方には、研究会前日の夜までに、会議に参加するためのZoomのリンク情報をメールにてお送りいたします。

 
 
 

posted by genjiito at 13:20| Comment(0) | ■科研研究

2020年08月14日

『源氏物語』は39種類の言語で翻訳中(200814版)

 これまで、『源氏物語』は36種類の言語で翻訳されていることを報告してきました。「愛知文教大学で翻訳本に関する出張授業」(2019年10月16日)の記事が、最新のものでした。
 その後の調査と収集活動の成果として、「日本点字訳」「ペルシャ語訳」「カタルーニャ語訳」があることが確認できました。この3点の情報を、以下に記しておきます。

(1)「日本点字訳」
 日本ライトハウス情報文化センター点字製作係に依頼して、科研費による翻訳活動の一環として『十帖源氏』の「須磨・明石」2巻の日本点字訳を作成しました。点字で打ち出した現物と点字データは、大阪大学箕面キャンパスにある総合研究棟6階の伊藤研究室にあります。

(2)「ペルシャ語訳」は、現在私の手元にはありません。しかし、以下の紹介があるので、現在入手の手配をしているところです。
ISBN:9786008955184
出版社HP:https://parandepub.ir
HPの源氏物語紹介ページ:
https://translate.google.co.jp/translate?hl=ja&sl=auto&tl=ja&u=https%3A%2F%2Fparandepub.ir

これによると、与謝野晶子の源氏訳の中から、第4巻「夕顔」をペルシャ語に翻訳したもののようです。

(3)「カタルーニャ語訳」は、アマゾンの情報によると、以下のように記されています。
翻訳者  Xavier Roca Ferrer
・出版社  Destino CAT
・刊行年  2006
・ISBN   978-8497100908

200812_catalan.jpg
 これは、ロッカ・フェレールのスペイン語訳をカタルーニャ語に翻訳したものかと思われます。ただし、まだ原本が手元に届いていないので、あくまでも推測の域を出ません。


 上記の(2)と(3)については、まだ原本を入手できていないので、存在することが確認できた、というレベルの報告です。これらを含めて、さらなる情報をお持ちの方からの連絡をお待ちしています。

--------------------------------------

【『源氏物語』が翻訳されている39種類の言語一覧】

(2020年8月14日 現在)

アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウクライナ語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・オランダ語・オディアー語(インド)・※カタルーニャ語・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロベニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・(現代)日本語・※日本点字訳・ハンガリー語・ハングル・パンジャービー語(インド)・ビルマ語・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・※ペルシャ語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ルーマニア語・ロシア語

 
 
 
posted by genjiito at 19:34| Comment(0) | ■科研研究

2020年08月07日

フィットレル先生の研究会「世界の中の和歌」へのご招待

 日本学術振興会の外国人特別研究員で、大阪大学日本語日本文化教育センター招聘研究員であるフィットレル・アーロン先生が、以下の研究会を来月9月3日に開催されます。
 研究会・ワークショップの名称は、「世界の中の和歌 −多言語翻訳を通して見る日本文化の受容と変容―」となっています。
 オンラインでの参加が可能なので、フィットレル先生(kinokawa0126@gmail.com)と連絡をとり、最新の成果を知る機会にしていただければと思っています。
 この翌日には、私の科研の研究会「9月4日に伊藤科研_第14回研究会を計画中」(2020年07月28日)があります。
 こちらも、併せてご参加をお待ちしています。

日程: 2020年9月3日(木)
会場: Zoomにてオンライン開催

詳細なプログラム(※発表者名は敬称略)
10:00 開会の挨拶
10:05 ワークショップ 『後撰集』175番歌の各言語への翻訳とその紹介
     イタリア語  ボラッチ・ダフネ
     英語  マイケル・ワトソン、 緑川眞知子
     スペイン語訳  高木香世子〔寄稿〕
     チェコ語訳  トムシュー・アダム
     中国語訳  庄婕淳
     ドイツ語訳  フィットレル・アーロン
     ハンガリー語訳 カーロイ・オルショヤ、フィットレル・アーロン
     フランス語訳  飯塚ひろみ、常田槙子〔寄稿〕
     ロシア語訳  土田久美子
11:45 全体討論
12:30 休憩
13:00 『古今集』469番歌の各言語への先行翻訳の紹介
     イタリア語訳  ボラッチ・ダフネ
     英語  マイケル・ワトソン、緑川眞知子
     スペイン語  高木香世子〔寄稿〕
     中国語  庄婕淳
     ドイツ語  フィットレル・アーロン
     ハンガリー語  カーロイ・オルショヤ
     フランス語  飯塚ひろみ、常田槙子〔寄稿〕
     ロシア語・ウクライナ語   土田久美子 
15:45 全体討論
16:30 報告書発行に向けた、今後のスケジュールの決定
16:45 閉会の挨拶
18:00 懇親会

■ご参加方法と確認事項■

1.会議に参加するためのZoomのリンク情報を、前日夜までにお送りします。
2.研究会は録画・録音し、ブログに掲載させていただきたく存じます。皆様のプライバシー保護のため、お顔は映らないように録画いたします。また、ブログ掲載にあたりましては、パスワードで保護し、不特定多数には公開されないようにする予定です。ですが、録画または録音データのブログ公開をお断りの場合は、ご連絡くださいませ。
 ※ただし、録画データをパスワードで保護するにはZoomの有料アカウントが必要です。有料アカウントをお持ちの方がいらっしゃいましたら、録画を担当していただければありがたく存じます。


■当日の資料の共有方法と寄稿の締切■

1.当日ご参加の方が、画面共有を通してご発表資料(WordやPPT、形式を問わない)の掲載をお願いいたします。
2.寄稿でご参加の方は、9月1日(火)までにkoten.tagengo@gmail.comへご寄稿と録音データを送っていただきますよう、お願いいたします。

 また、研究会終了後、オンラインの懇親会を予定しております。ご参加いただける方は、各自、お食事とお飲み物をご用意ください。

 なお、『後撰集』175番歌の翻訳に参照いただける資料、および『古今集』469番歌の先行翻訳のご紹介に参照いただける資料が揃いました。全て読む必要はなく、ご自身の外国語訳の分析に必要だと思われるところのみ、ご参考になさってください。
https://drive.google.com/drive/folders/1VSoRUgtP5QQiY963YlYEGi86sFB8kvry

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。

 
 
 
posted by genjiito at 17:33| Comment(0) | ■科研研究

2020年07月28日

9月4日に伊藤科研_第14回研究会を計画中

 本年9月4日に、伊藤科研「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)の第14回研究会を開催することを計画中です。
 これは、前回同様にフィットレル・アーロン先生の研究会(日本学術振興会外国人特別研究員P19302「古典和歌の翻訳、および和歌と西洋詩の比較研究」)と合同で開催するものです。
 前日の9月3日には、フィットレル・アーロン先生の研究会が別途予定されています。
 今回の合同研究会は、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を考慮して、Zoomによるオンラインでの開催を予定しています。
 発表者はほぼ決まり、題目が検討されているところです。
 詳しいことが決まりましたら、このブログですぐに報告しますので、いましばらくお待ちください。

伊藤科研 第14回研究会 「海外における平安文学」

 基盤研究(A)17H00912
「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」

 ※フィットレル・アーロン先生の研究会(日本学術振興会外国人特別研究員P19302「古典和歌の翻訳、および和歌と西洋詩の比較研究」)との合同開催

・日時:2020年9月4日(金)13:00〜17:00

・概要:研究発表 20〜30分(質疑応答を含め30分程度)
    研究発表 20〜30分(質疑応答を含め30分程度)
    研究報告 10〜20分(質疑応答を含め20分程度)
    研究報告 10〜20分(質疑応答を含め20分程度)

 
 
 
posted by genjiito at 18:37| Comment(0) | ■科研研究

2020年07月06日

中国語訳『春琴抄』8冊の表紙に関する情報

 科研費による「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(基盤研究A:17H00912)では、大阪大学箕面キャンパスの研究室を調査研究基地として、精力的に海外で刊行された翻訳本の整理などを進めています。
 そうした中でも、私が平安文学との関連で平行して調査収集している翻訳本の中から、谷崎潤一郎の『春琴抄』に関する中国語訳版8冊の整理が終わっているので、参考情報として以下に公表します。
 まだ、簡単な書誌と表紙を仕分けした段階です。それぞれの内容の比較検討は、今後の課題です。興味と関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、本ブログのコメント欄を通して連絡をいただければ、可能な限り研究に協力いたします。本の貸し出しはまだできません。しかし、研究室にお越しになって原本を調査なさることに関しては、お手伝いいたします。
 なお、この調査に関わっている伊藤科研の研究協力者全員に、この場を借りてお礼の気持ちを伝えます。ありがとうございます。今月に入ってからは、大阪観光大学のことがあり、なかなか連絡が密にとれていません。変わらぬサポートを、引き続きよろしくお願いします。

--------------------------------------

【1】春琴抄:谭晶华・徐建雄/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 江苏凤凰文艺出版社
 ISBN978-7-5594-2744-1/232頁/150×215mm
 図版・付録(谷崎潤一郎略年譜)有り/参考文献無し/脚注有り/索引無し/中華人民共和国

200326_syunkin1.jpg


--------------------------------------
【2】春琴抄:刘子倩/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 江苏凤凰文艺出版社
 ISBN978-7-5594-1937-8/207頁/145×212mm
 カラー図版有り/参考文献無し/脚注有り/索引無し/中華人民共和国

200326_syunkin2.jpg


--------------------------------------
【3】春琴抄:吴树文/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 人民文学出版社
 ISBN978-7-02-012324-7/131頁/145×208mm
 図版・参考文献無し/脚注有り/索引無し/中華人民共和国

200326_syunkin3.jpg


--------------------------------------
【4】春琴抄:曹曼/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 天津人民出版社
 ISBN978-7-201-11828-4/86頁/146×215mm
 図版・参考文献無し/脚注有り/索引無し/2017年6月第1版 /中華人民共和国

200326_syunkin4.jpg


--------------------------------------
【5】春琴抄:廖雯雯/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 四川人民出版社
 ISBN978-7-220-10822-8/175頁/145×208mm
 序は廖雯雯/図版・参考文献無し/脚注有り/索引無し/中華人民共和国

200326_syunkin5.jpg


--------------------------------------
【6】春琴抄:林少华/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 北京联合出版公司出版
 ISBN978-7-5596-2402-4/191頁/133×190mm
 序は林少华/図版・参考文献無し/脚注有り/索引無し/中華人民共和国

200326_syunkin6.jpg


--------------------------------------
【7】春琴抄:刘剑/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 天津人民出版社
 ISBN978-7-201-13552-6/220頁/137×194mm
 図版・参考文献無し/脚注有り/索引無し/中華人民共和国

200326_syunkin7.jpg


--------------------------------------
【8】春琴抄:竺家荣/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 北京联合出版公司出版
 ISBN978-7-5596-2805-3/202頁/136×195mm
 図版・参考文献無し/脚注有り/索引無し/中華人民共和国

200326_syunkin8.jpg 
 
 
posted by genjiito at 19:53| Comment(0) | ■科研研究

2020年06月27日

朴光華著『源氏物語−韓国語訳注−』(明石巻)完成

 韓国の朴光華先生が、『源氏物語』の韓国語訳を刊行なさいました。今回は「明石」巻です。

200625_korea-G.jpg

 コツコツと、丹念に訳と注を進めておられます。まだ、あと20年以上はかかるようです。
 お仕事の進捗状況は、「海外平安文学情報」の「『源氏物語』翻訳史(略年表)」(https://genjiito.org/genji_infomation/genji_history/)で確認できます。
 検索する「言語」を「ハングル」にすると、25件ヒットします。その中に、「須磨」巻までの16件が朴光華先生の訳注本です。(画像をクリックすると精細な画像になります)


200627_hanguru.jpg

 いただいたお手紙の中の本書に関連する箇所を引きます。

 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。この度、『源氏物語-韓国語訳注-』(明石巻)ができあがりましたので、お贈りいたします。不足なところが多いと思いますが、何ぞよろしく申し上げます。この『源氏物語−韓国語訳注−』(前期)は、今後十九年という長い歳月をかけて刊行されることになっています。逐次、完成され次第お贈りいたします。次は総角巻です。今後もよろしくお願いいたします。

〒31161
韓国 天安市 西北区 双龍3洞 住公9団地 402-501号
E-mail : pkhwapk@hanmail.net

2020年5月29日 朴光華 拝

[あらためて、次のように著者、出版社、本書の構成など主要事項を日本語で記しておきます]
1)著者:朴光華(Park KwangHwa)
2)初版発行日:2020年5月1日
3)出版社:図書出版DNP
 〒31166韓国 忠南 天安市 西北区 双龍 4GIL 8、1F
 電話: 041-572-7887 E-mail : tdx1000@naver.com
4)総頁:492頁
5)定価;:㌆60,000
6)ISBN : 979-11-964307-2-6 (03830)
7)本書の構成:
 写真6枚
 序、凡例、明石巻の概要、登場人物系図、参考文献など : l~26頁
 明石巻(日本語本文、韓国語訳、韓国語注) : 27~479頁
 論考「平安時代の月の色」(小町谷照彦) : 480~484頁
 後記(日本語) : 485~486頁
 図録 l~6 : 487~492頁


 興味と関心をお持ちの方は、直接朴光華先生に連絡をとられたらいいかと思います。

 次の「総角」巻の完成を心待ちにしています。
 
 
 
posted by genjiito at 20:55| Comment(0) | ■科研研究

2020年06月23日

翻訳本を分別するアルバイトさんを急募(その8)

 先週、本ブログで「翻訳本の整理に関するアルバイトを募集中(その7)」(2020年06月17日)という記事を掲載しました。
 それに引き続き、箕面の研究室にある翻訳本そのものを、(1)言語別(2)発行年別(3)作品別など、いくつかのカテゴリーに分別して番号を付けてリストにまとめ、各冊に整理番号のシールを貼る作業をお願いしたいと思います。
 期間は、7月と8月です。それ以降、来年3月までについては、現在取り組んでいる科研の内容に応じて、興味と関心のあることで研究協力をしていただけると助かります。
 とりあえずは、来月からの2ヶ月間です。
 条件などは、以下のポスターの通りです。

 お知り合いをも含めて、この情報を拡散していただけると幸いです。
 他大学の学生さんや、社会人の方も歓迎します。
 面談の日時は、火曜日の午後13時から16時の間に研究室で行ないます。
 希望される方は、本ブログのコメント欄を利用して連絡をいただければ、折り返し面談に関してメールを差し上げます。

191029_poster.jpg 
 
 
posted by genjiito at 20:29| Comment(0) | ■科研研究

2020年06月17日

翻訳本の整理に関するアルバイトを募集中(その7)

 大阪大学を拠点にして取り組んでいる科研(基盤研究A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)の調査研究は、新型コロナウイルスのために変則的な対応をしながらも、順調に進んでいます。今日も、6人で、打ち合わせをしながら取り組みました。
 昨日から新たに、海外における研究状況がわかる情報を収集することにしました。ある国のある大学で、日本の平安文学に関してどのような講義や講演や研究会、さらには社会人を含めての勉強会がなされているのか、ということを調べます。大学に限らず、民間に公開された市中での社会人講座ではどうなのか、ということも含めます。もちろん、どなたが担当しておられるかも調査対象です。
 これらの情報は、気長に集め続けることで、その国における取り組みの姿勢や興味と関心がわかるものとなります。貴重なデータベースに育っていくことを願っての着手です。
 関連する情報をお持ちの方からの協力も、お待ちしています。
 この情報は、秋口にはホームページ「海外平安文学情報」で公開しますので、情報の追補や補訂に関して、多くの方々からのご教示がいただけることを楽しみにしています。

 現在は、ロシア語、ベトナム語、中国語、スペイン語を勉強している方に、アルバイトや研究員として研究室に来てもらっています。こうした流れを踏まえて、多言語のデータベースを手助けしてくださる方を、さらに以下の言語について募ります。

 アラビア語・クロアチア語・スロベニア語・フィンランド語・ポルトガル語・リトアニア語

 〈仕事内容〉〈時給〉〈日時〉〈場所〉〈連絡先〉は、前回掲示したポスターを再掲しますので参照願います(画像をクリックすると精彩なものになります)。なお、募集する言語は、このポスターに書いてあるものではなくて、上記の言語です。

191029_poster.jpg

 こうした言語の運用および翻訳そして情報の整理ができる方について、お知り合いをも含めて、この情報を拡散していただけると幸いです。他大学の学生さんや、社会人の方も歓迎します。
 面談の日時は、火曜日の午後13時から16時の間になります。
 希望される方は、本ブログのコメント欄を利用して連絡をいただければ、折り返し面談に関してメールを差し上げます。

 別件です。
 本日、あの話題のマスクが2枚、自宅に届きました。
 京都市左京区は今日であった、という記録を残しておきます。

200617_mask.jpg 
 
 
 
posted by genjiito at 21:01| Comment(0) | ■科研研究

2020年06月16日

久しぶりの箕面キャンパス

 好天の一日、久しぶりに箕面キャンパスに出勤です。
 通勤時間帯は混んでいるので、少し時間を遅らせました。すると、ガラガラです。

 研究員のみなさんがしっかりと科研を支えてくださっているので、私は自宅からのテレワークでの参加でここまできました。ありがたいことです。
 やはり、直接顔を合わせないとできないことが多いものです。テレワークとかリモートワークが話題になっています。しかし、それは私の仕事では、指示や質問レベルとデータのやりとりが限界です。根幹部分は、やはり直接顔を合わせて意見交換や話し合わないと、意思の疎通に問題を来します。目を見て、何がポイントで何が付帯的なことなのかを確認し、お互いの考えを交わさないと、無駄の多いプロジェクトになります。科研の場合は成果が問われるので、こうした確認のプロセスは非常に重要です。

 テレワークやリモートワークでもできることと、それでは不可能なことを仕分けることが、効率的に仕事をこなす近道だと思うようになりました。

 今後の科研の運用の見通しをホワイトボードに記された項目を見ながら意見交換をしたり、実際に具体的な課題を取り上げてスケジュールの確認をしました。
 新型コロナウイルスにより学内の研究室が使えなかったことや、私が突然の手術で何かと運用が停滞しかかっていたことなども、研究協力者のみなさんの理解と協力で、とにかくことなきを得ていることが、今日は確認できました。重ね重ね、ありがたいことだと思います。

 今日は、溜まっていた書類の処理が捗りました。書類の処理程度なら自宅でできるとはいえ、やはり現場に来て見渡すと、細かなチェックができます。仕事が見えるという点では、在宅ではなくて職場は必要だと思うようになりました。
 仕事のやり方に関して、気付くことの多い有意義な1日でした。
 
 
 
posted by genjiito at 20:36| Comment(0) | ■科研研究

2020年02月09日

昨日の科研研究会に関する吉村報告

 昨日、大阪大学箕面キャンパスで伊藤科研-第13回研究会「海外における平安文学」を開催しました。その詳細な内容を、記録係をつとめた吉村君がまとめてくれましたので、以下に引用して報告します。

 

伊藤科研 第13回「海外における平安文学」研究会報告



■日時:2020年2月8日(土)14:00〜18:00

■場所:大阪大学箕面キャンパス 日本語日本文化教育センター1階 多目的ホール

■プログラム

・14:00~14:05 挨拶(伊藤鉄也)

・14:05~14:20 自己紹介

・14:20~14:40 研究発表「Transcreation(翻訳創造)としてのウェイリー訳−原典とadaptationの間を見つめる−」(緑川眞知子)

・14:40~15:00 研究発表「20世紀初頭のフランスにおける『枕草子』受容」(常田槙子)

・15:00〜15:20 研究発表「『万葉集』のドイツ語訳における序詞の受容−同音類音反復式の序詞を中心に−」(フィットレル・アーロン)

・休憩(20分)

・15:40~16:00 研究報告「百人一首のフランス語訳についての考察と翻訳実践」(飯塚ひろみ)

・16:00〜16:20 研究報告「中国での国際シンポジウムを終えて」(伊藤鉄也、須藤圭)

・16:20〜16:50 共同討議「平安文学を翻訳すること」(参会者全員)

・16:50~17:00 挨拶、連絡事項(伊藤鉄也)

・17:00〜 科研運用に関する打ち合わせ
 
 
■議事録

・研究発表「Transcreation(翻訳創造)としてのウェイリー訳−原典とadaptationの間を見つめる−」(緑川眞知子)
 ウェイリーの言葉とされる「transcreation」という点からのウェイリー訳の考察であった。
 具体的には絵合巻を取り上げ、「大臣もいという(優)におほえ給て」という部分の訳し方に着目された。ウェイリーはこの部分を「Genji felt smmewhat shy」と訳している。「shy」は「いう(優)に」に対応していると考えられる。ウェイリー訳の日本語訳である佐復訳と姉妹訳において、この部分はそれぞれ「源氏はいくぶん気恥ずかしく感じ、」「ゲンジもいささか気遅れがして」と訳されており、誤訳のように思われる。しかし当時の辞書にもこの語は載っていた事から単に訳し間違えたとは考えにくく、むしろ自分の中でロジックが通じるように意図的にこのような訳としたのではないか、という発表であった。

・研究発表「20世紀初頭のフランスにおける『枕草子』受容」(常田槙子)
 20世紀初頭のフランスにおける『枕草子』の翻訳者とその人間関係、随筆の定義等を踏まえながらそれぞれの訳を比較検討するものであった。石川とルヴォンは「随筆」を「筆に任せて」書かれた特殊なジャンルだとしているが、この考えはボジャールには引き継がれていないとのことであった。また石川によって随筆がフランス語でいう「印象派文学」であるという点に着目しての考察があった。それぞれの訳の比較には「春はあけぼの」の章段が取り上げられた。
 その他、「あはれ」という語の訳され方の特徴や『枕草子』を随筆というジャンルに入れる事の問題点等にも言及された。

・研究発表「『万葉集』のドイツ語訳における序詞の受容−同音類音反復式の序詞を中心に−」(フィットレル・アーロン)
 『万葉集』のドイツ語訳における同音反復の序詞について、翻訳者が見たと考えられる注釈等を踏まえつつ、具体例を示しながらその特徴を考察するものであった。序詞の訳し方を、序詞と心情部の関係を内容的にまたは文法的につなげるかどうか大きく二つに分けた上で、原典の歌の特徴からさらに細かく分けて考察された。具体例を一つずつ取り上げ、翻訳者の傾向などについても言及があった。

・研究報告「百人一首のフランス語訳についての考察と翻訳実践」(飯塚ひろみ)
 百人一首歌のうち5首を取り上げ、先行する4種類のフランス語訳における手法を考察した上で、飯塚氏によるフランス語訳の実践を紹介するものであった。先行訳はそれぞれ5行書きや冒頭大文字などの型がある。しかし飯塚氏は何のために、誰のために訳すべきであるのかが現時点では不明であるいう点を踏まえ、型を定めずに訳を実践された。具体的には枕詞をあえて訳出しない、説明的な訳を付け加えて6行にする事でフランスの6行詩に近づける、など様々な試みがあった。

・研究報告「中国での国際シンポジウムを終えて」(伊藤鉄也、須藤圭)
 2019年12月20日から22日に行われた「2019年度中日比較文学国際研究会」の報告であった。
 分科会では中古・中世・近世に受容された『源氏物語』から翻訳についての発表が行われた。
 中古では様々な物語や和歌が『源氏物語』に影響を受けたことについて、翻訳においてどのように向き合うことができるかということに言及された。中世では古註釈の影響を翻訳にどのように組み込んでいくかということに言及された。近世では『源氏物語』の俗語訳者の「翻訳意識」を探るために、用いられた用語や比喩などを考察したものであった。

・共同討議「平安文学を翻訳すること」(参会者全員)
*まず吉海氏から、昔は日本文学の翻訳というと英訳が主であった。しかし、現在は様々な言語に翻訳されていることがわかっていること、ネットや動画により日本文学が広く享受されるようになっていること、翻訳機の登場、原典と異なる訳であっても読者に享受されること等々、これからの学問について言及された。翻訳機については現在写真による翻訳ができるものがあることや、AIによる劇的な精度向上が進んでいるということが、伊藤氏や須藤氏から報告された。

*緑川氏の発表について、ウェイリー訳に辞書は影響を与えたのか、誰に向けて書かれたのか等の質問があった。辞書についてはウェイリーの環境等から考えると見たはずであろうとのことであった。想定されていた読者としてはブルームスベリーの人々が第一ではないか、とのことであった。またウェイリー訳は原典のリライトであり、その訳し戻しはリライトのリライトであるとのことであった。これについてモハンマド氏から、インドではすべてウェイリーの重訳であることが報告された。しかし、ウェイリー訳の問題点についても言及し、翻訳の目的や方法を考えていくことや対象となる読者の社会的背景を踏まえることの必要について言及された。また機械翻訳については、どの程度文学に使うことができるのかについての疑問も呈された。

*常田氏の発表について、吉海氏から『枕草子』は随筆というジャンルに入れない方が良いという事について、さらなる言及があった。常田氏はこれに賛同し、同様に『枕草子』をエッセイとする学生がいるという問題についても言及された。

*飯塚氏の発表について、伊藤氏から各国語訳で同様の取り組みを行うことでそれぞれの特徴を掴むことができるのではないか、という言及があった。

 
 
 
posted by genjiito at 23:46| Comment(0) | ■科研研究

2020年02月08日

盛会だった第13回の科研研究会「海外における平安文学」

 研究会に先立ち、本日の参加者の中で翻訳本の資料などを見たい方々のために、私の研究室にある書籍を見ていただきました。引き続き午後1時半から、大阪大学箕面キャンパスにある外国学図書館で書庫の見学を行いました。各国の新聞や雑誌の貴重な資料や、翻訳本の書架などを見ていだきました。

 2時からは、場所を日本語日本文化教育センターに移して、研究会を開きました。

200209_annai.jpg

 今回は、フィットレル・アーロン先生の研究会(日本学術振興会外国人特別研究員P19302「古典和歌の翻訳、および和歌と西洋詩の比較研究」)との合同開催です。
 まずは、自己紹介からです。大阪大学に所属を移して最初の研究会なので、参会のみなさまはほとんどが初めての方々です。少し緊張気味に始まりました。

200209_kaigi.jpg

 プログラムは以下の通りです。

(1)研究発表 緑川眞知子先生/「Transcreation(翻訳創造)としてのウェイリー訳―原典とadaptationの間をみつめる―」

(2)研究発表 常田槙子先生/「20世紀初頭のフランスにおける『枕草子』受容」

(3)研究発表 フィットレル・アーロン先生/ 「『万葉集』のドイツ語訳における序詞の受容―同音類音反復式の序詞を中心に―」

(4)研究報告 飯塚ひろみ先生/「百人一首のフランス語訳についての考察と翻訳実践」

(5)研究報告 伊藤鉄也先生、須藤圭先生/「中国での国際シンポジウムを終えて」

(6)共同討議 「平安文学を翻訳すること」(参会者全員)


 それぞれの発表内容は、明日に譲ります。

 今日は、タイムキーパーを置いたこともあり、時間通りに進みました。こんなことは、滅多にないことです。みなさまの運営への協力に感謝しています。

 共同討議は、本日のゲストでもある吉海直人さんから発言してもらいました。それに続いて、いろいろと発表の核心に触れる質問があり、充実した質疑応答が展開しました。30分という時間は短かすぎました。
 すべてが終わってからは、千里中央駅に移動して、懇親会でまた翻訳についての話題で盛り上がりました。
 本日、多彩な問題提起がなされた稔り多い研究会となったことは、ひとえに参加者の皆様のご協力とご理解があってのことです。寒い中、また遠路遥々ありがとうございました。
 次回は、6月に開催する予定です。また、お集まりくださることを、楽しみにお待ちしています。
 
 
 
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ■科研研究

2020年01月17日

伊藤科研「海外における平安文学」第13回研究会のご案内

 昨年4月から、科学研究費補助金による基盤研究(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号:17H00912、研究代表者:伊藤鉄也)は、基盤研究機関を大阪大学に移しました。本研究の研究期間は4年間です。しかし、3年目に研究代表者が転属したことにより準備に手間取り、本年度の研究会がようやく下記の通り開催できる運びとなりました。
 本研究会の第1回は、2014年2月3日でした(https://genjiito.org/report/studyreport01/)。現研究テーマの前身である基盤研究(A)「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」(課題番号:25244012、研究代表者:伊藤鉄也)を順調に引き継ぎ、今回が通算で13回目となります。これまでの研究会の報告は、ホームページ「海外平安文学情報」の中の「研究会報告一覧」(https://genjiito.org/aboutkaken/allreports/)を参照願います。
 今回の研究会は、研究協力者でもあるフィットレル・アーロン先生(大阪大学・招へい研究員)の研究会と合同で開催することになりました。
 本科研では、若手の育成と支援を課題の1つに掲げています。大学の学部生や大学院生の参加を歓迎します。平安文学に関する翻訳の問題は、まだまだ未開拓の分野です。多言語ということもあり、学際的・隣接諸学との連携が欠かせません。このテーマは、一人で研究できることではありません。本科研では、コラボレーションという共同研究の手法で取り組んでいます。そのためにも、この研究会を情報収集活動の1つとして、また研究方法と事例報告の1つとして、参会者に対して有益な情報提供と、みんなで考える機会の提示となれば幸いです。
 自由参加の、開かれた研究会であり続けたいと思っています。参加希望の連絡などは、本ブログのコメント欄をご利用ください。

200117_poster.jpg

■「海外における平安文学」第13回研究会■


 ◆フィットレル・アーロン先生の研究会との共同開催

・日時:2020年2月8日(土)14:00〜18:00
・場所:大阪大学箕面キャンパス
   (大阪府箕面市粟生間谷東8丁目1−1)
    総合研究棟6階
・アクセス:〇大阪モノレール 彩都西駅下車 西へ徒歩15分
      〇阪急バス ・千里中央発 「間谷住宅行」(所要時間30〜40分)
            ・北千里発  「間谷住宅行」(所要時間25〜35分)
            間谷住宅4 下車すぐ
       詳細は https://www.osaka-u.ac.jp/ja/access/accessmap.html#map03 をご覧ください。
       但し、阪急バス「阪大外国語学部前行」は土曜日は運休しております。

・当日の予定: 14:00~15:00 大阪大学箕面キャンパス 外国学図書館 見学
        15:00~18:00 研究会

・発表、報告:
  (1)研究発表 緑川眞知子先生
    「Transcreation(翻訳創造)としてのウェイリー訳
       ―原典とadaptationの間をみつめる―」
  (2)研究発表 常田槙子先生
    「20世紀初頭のフランスにおける『枕草子』受容」
  (3)研究発表 フィットレル・アーロン先生
    「『万葉集』のドイツ語訳における序詞の受容
       ―同音類音反復式の序詞を中心に―」
  (4)研究報告 飯塚ひろみ先生
    「百人一首のフランス語訳についての考察と翻訳実践」
  (5)活動報告 伊藤鉄也、小川陽子先生、須藤圭先生、庄婕淳先生
    「中国での国際シンポジウムを終えて」
  (6)共同討議 「平安文学を翻訳すること」(参会者全員) 
 ※研究発表は、1人20分の予定
 ※研究会後に千里中央駅付近で懇親会を予定

 
 
 
posted by genjiito at 19:17| Comment(0) | ■科研研究

2019年12月27日

中国語による翻訳本の整理に関するアルバイトを募集中(その6)

 すでに5度、私の科研で多言語翻訳に関するアルバイトを募集していることを、本ブログに掲載して来ました。
 前回は、「平安文学の翻訳本整理に関するアルバイトを募集中(その5)」(2019年10月31日)でした。
 おかげさまで、上記ブログで募集した中で、「ベトナム語」と「情報整理」の仕事に関しては、すばらしい方との出会いがあり、すでに業務についていただいています。
 そこで今回は、今週、中国広州で入手した中国語訳の翻訳本を整理してくださる方を募ります。
 対象となる翻訳本については、「今回中国で手に入った中国語訳の平安文学関連の本たち」(2019年12月25日)に画像で掲載したものと、『平安文学翻訳本集成〈2018〉』に掲載している手持ちの中国語訳の書籍数十冊です。
 仕事に関する、〈内容〉〈時給〉〈日時〉〈場所〉〈連絡先〉は、上記のブログのポスターに掲載されている通りです。

 中国語の運用および翻訳そして情報の整理ができる方について、お知り合いをも含めて、この情報を拡散していただけると幸いです。他大学の学生さんや、社会人の方も歓迎します。連絡をお待ちしています。
 面談の日時は、新年の火曜日と水曜日、午前11時から16時の間になります。
 希望される方は、本ブログのコメント欄を利用して連絡をいただければ、折り返し面談に関してメールを差し上げます。
 
 
 
posted by genjiito at 13:49| Comment(0) | ■科研研究

2019年12月25日

今回中国で手に入った中国語訳の平安文学関連の本たち

 今回の旅では、どの国でもそうであるように、書店で平安文学に関する本を探す時間も確保しました。広州の中心街にある巨大な書店で、30冊以上の本が見つかりました。本は、出会った時に手に入れておかないと、また次はないと思っています。そこで、その時に書店にあったほとんどの本を、いただいて来ました。
 以下の写真でわかるように、谷崎潤一郎や井上靖や松本清張なども含まれています。今後の調査研究に関連してくるであろうこうした本も、見つけ次第に購入しています。今回は、谷崎潤一郎の『春琴抄』が8種類も一度に集まりました。いろいろな活用ができそうです。
 昨夜、帰国してすぐに関空から大学宛に送った本が、今日のお昼には箕面の研究室に届きました。早速、翻訳本のリストに追加するための作業に入りました。この本を、ホームページ「海外平安文学情報」(http://genjiito.org)に追加して公開するまでには、いましばらくの時間をください。
 中国には、まだまだ平安文学関連の翻訳本があります。今後とも、気長にそうした本の収集にあたります。
 もしお手元に、『平安文学翻訳本集成〈2018〉』に掲載されていない表紙の翻訳本をお持ちでしたら、提供していただけると助かります。大切に保管し、原本とその情報を、次世代に引き継いで行きます。調査研究の対象としておられる方には、箕面キャンパスの研究室で閲覧していただいて、原本による研究ができるような研究支援もしています。

191223_book-G.jpg

191223_book-tyuuko.jpg

191223_book-gendai1.jpg

191223_book-gendai2.jpg


 
posted by genjiito at 20:38| Comment(0) | ■科研研究

2019年12月21日

広東外大での学術フォーラムの初日

 早朝より、学術フォーラムの会場である広東外語外貿大学へ行きました。

191221_gate.jpg

191221_entrance.jpg

191221_screen1.jpg

191221_screen2.jpg

 定刻に開幕式が始まります。
 ヘッドホーンを通して、中国語が日本語に同時通訳されていたので、内容はよくわかりました。同時通訳を担当した学生さんは、専門用語が多い内容だけに、大変だったかと思います。しかし、その通訳の効果は素晴らしいものがあります。ぜひとも今後も続けたいただきたいと思います。
 以下、プログラムを挙げながら、私に関わることに絞って書きます。

191221_program.jpg

 4番目に私が挨拶をしました。

191221_aisatu.jpg

 ポイントは、会議の手引きの表紙にある、日本側の組織の役割です。大阪大学国際教育交流センター、特定非営利活動法人〈源氏物語電子資料館〉、伊藤科研《海外平安文学情報》について、概略を手短に話しました。
 その後、休憩を挟んで、4名の基調講演です。
 午前最後の4番目に、私が「世界中で読み継がれる〈平安文学〉」の題してお話をしました。

191221_kouen.jpg

 持ち時間は30 分です。みなさん時間厳守で、順調に進んでいたので、予定した内容を組み替えながらも制限時間内に、少し余裕を持って終えました。
 ここで強調したことは、以下の点です。

・コラボレーションで取り組む。
・調査では人と会うことを大事にし、直接足を運んで面談を心がける
・翻訳本とその情報を悉皆調査する。
・詳細な翻訳史年表を常時公開する。
・36種類の言語で翻訳された翻訳分を、日本語に訳し戻しする。
・訳し戻された日本語文を比較検討する。
・日本の文化がどう変容して伝わっているかを考察する。
・若い研究者へのバトンタッチを常に意識してあたる。


 今回の成果は新年3月ころに、『海外平安文学研究ジャーナル《中国編》』という電子ジャーナルに掲載して電子版として発行します、いましばらくお待ちください。
 夕食前に、白雲区江夏村方面を散策しました。小さいながら、楽しいお店がたくさんありました。
 途中で、おかしな点字ブロックを見かけました。

191221_tenji1.jpg

 また、一人カラオケのボックスを見かけました。

191221_karaoke.jpg

 これはアイデアです。日本にすでにあるのでしょうか。

191221_taidan.jpg

 夕食後は、テーブルを囲んでのディスカッションです。
 みなさまは中国語で討議をなさるので、私には同時通訳の方を一人付けてくださいました。

191221_tuuyaku1.jpg

191221_tuuyaku2.jpg

 通訳の方は私のすぐ横で、発言者が話された内容を整理しながら、わかりやすい日本語でささやいてくださいます。こんな時には、今流行のポケット翻訳機を使うことも可能です。しかし、通訳していただいている間に生まれた疑問を、その場でいつでも通訳者に尋ねられることは、AI翻訳にはできないことです。人間だからこそできるのです。私だけのために同時通訳者が付いてくださったことにより、さまざまなことを考えるきっかけをいただきました。ご高配に感謝します。貴重な体験をすることができました。
 
 
 
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ■科研研究

2019年11月24日

翻訳文を日本語に訳し戻すにあたっての方針

 一昨日、平安文学に関する翻訳文を日本語に訳し戻すことを書きました。

「平安文学の翻訳から見たポケット翻訳機への期待」(2019年11月22日)

 今から33年前に、文学研究にコンピュータを導入する意義と具体例を、『新・文学資料整理術パソコン奮戦記』という本にまとめました。その時、コンピュータに文学などわかるはずがない、という批判をいただきました。電気で動く単なる機械に、過剰なまでの期待をもってのご意見でした。
 私が提示したのは、情報文具とい道具をどう文学研究に活用するか、という問題提起でした。それを、コンピュータが人間の思考活動に対峙するものとして、あるいは置き換わるものとして捉えられたのです。この反応は数年続きました。今なら、そんなことを言う人はもういないと思います。

 一昨日、平安文学の翻訳文を日本語に訳し戻すことを書きました。いらっしゃらないとは思うものの、機械翻訳など使い物にならない! 何を愚かなことを! とおっしゃる方がおられるのではと危惧します。そこで、訳し戻しは文学的な表現で日本語に戻すものではないことを、あらためてここで確認しておきます。無用な批判を避けるためです。

 現在、訳し戻しをお願いする時に、次の方針を提示しています。

■訳し戻しの依頼内容■



〈概要〉
 世界各国37種類の言語で翻訳された『源氏物語』に関する翻訳書を整理し、その中から特定の巻を日本語に訳し戻して比較検討の基礎資料とするのが、今回の翻訳依頼の主旨です。
 この各国語翻訳を日本語に一元化したものを通して、日本文化が変容して伝えられていく諸相と実態を確認し、研究者等との共同研究で考察していきます。各国にどのような表現で『源氏物語』が、ひいては日本文化が伝えられているのか、ということを調査研究しようとするものです。
 日本文学を通して日本文化が海外にどう伝わっているか、ということが本研究で最終的に取り組む課題となります。
 そのため、文学的な名訳は求めません。
 現地にお住まいの方に伝わる感覚で、現地の方々が理解できるレベルでの、ごく普通の逐語訳にしてください。日本語を母語とする人に向けての日本語訳ではないことを、充分に理解して取り組んでいただきたいと思います。

〈注意事項〉
(A)日本語へ訳し戻すにあたっての各国語訳の本文資料は、PDFでお渡しします。それを日本語に訳し戻していただき、プレーンテキストで返信してください。

(B)受け取ってから1ヶ月ほどで完成したものを返送してください。完成した日本語訳を公開するときには、訳者のお名前を公表させていただくことをご了承ください。

(C)人選は、各言語につき2名(原則としてネイティブの方1名と日本語を母語とする方1名)を、本科研の研究代表者である伊藤鉄也が適任と思う方にお願いします。

(D)お渡しした資料のうち、「刊記」「まえがき」「序章」「あとがき」等を参照し、当該翻訳文が(1)何時(2)どこの国で刊行(3)誰が(4)どのようなテキストを基にして(5)どのような方針で訳したのか、を整理した文章を、A4版1枚くらいを目安にした分量で、訳し戻し文とは別のファイルで提出してください。

(E)「脚注・後注」も、翻訳者が読者に日本文化をどう伝えようとしているのか、という貴重な資料となります。これも日本語に訳し戻して、訳し戻し文とは別ファイルとして提出してください。

(F)訳し戻しをしていただくにあたり、問題と思われた、もしくは手間取った、または苦労した箇所に関するメモも、訳し戻し文とは別ファイルとして提出してください。日本文化がどのように伝えられているのか、ということを検討する上で、大切な資料になるためです。

(G)文学作品の翻訳書を日本語に訳し戻した著作物や、多言語翻訳を担当した方には、その翻訳に関わる権利を、本科研の共同研究の成果として公開するものであることを理解していただき、作成者個人の権利以外は本科研の基盤研究機関である大阪大学に委譲することを原則とします。これは、日本学術振興会に研究計画を申請した際に申告したことです。


 ここに明示している通り、名訳を期待しているのではなくて、文化の変容を検討するために、可能な限り原語に忠実に日本語へ移し替えてもらうことに力点があります。訳し戻されたものが、日本語として多少おかしくても構わないのです。日本の文化が相手の国にどのような言葉として伝えられようとしたのかを知る資料になればいいのです。
 その意味では、ポケット翻訳機は格好の情報文具となりそうです。
 このテーマが、おもしろい展開となることを期待しています。
 
 
 
posted by genjiito at 21:00| Comment(0) | ■科研研究

2019年11月13日

東欧で来年9月に国際日本文学研究交流集会を検討中

 現在取り組んでいる科研の成果の公開と、研究交流を目的とした国際日本文学研究交流集会を、来年9月に実施したいと思います。
 2020年9月16日〜19日に、第31回EAJRS(日本資料専門家欧州協会)の会議が、ロシアのサンクトペテルブルグで開催されます。可能であればそこで、翻訳本に関する研究報告をする予定です。
 その後、ハンガリーに移動して、9月20日〜23日の間にカーロリ大学と地方の公共機関等の施設で、国際日本文学研究交流集会を2箇所で開きます。その集会は、平安文学の中でも、〈物語〉と〈和歌〉を中心とした共同討議ができる集まりにしたいと思います。
 ハンガリーの集会に、近隣に在住の方々や、興味と関心をお持ちの方の参加を呼びかけるつもりです。スロベニア、クロアチア、セルビア、ルーマニア、ウクライナなどの国々の方を思い浮かべています。
 まだ、プランをメモとして書き出し、身近な方々と話を始めたところです。基本的には、日本語による発表と討議を行います。一般の方々にも理解していただけるように、通訳と現地語の資料は付けたいところです。この初発の段階から、共同研究としての意見交換をする中で、内容をより具体的に煮詰めていきたいと思います。
 こうした計画について、ご意見やアイデアをお寄せいただけると幸いです。
 
 
 
posted by genjiito at 19:46| Comment(0) | ■科研研究

2019年10月31日

平安文学の翻訳本整理に関するアルバイトを募集中(その5)

 すでに4度、私の科研で多言語翻訳に関するアルバイトを募集していることを、本ブログに掲載して来ました。
 おかげさまで、すばらしい方との出会いがあり、すでに業務についていただいています。
 そこで、今回はさらに、「日本語による情報の整理をしていただける方」を募ります。
 この科研のテーマで調査を進めていると、膨大な情報が集まります。それらのデータをエクセルなどで整理するのに、人手が足りなくなりました。外国語が得意な方というのではなく、さらなる情報収集と集まった情報を整理していただける方を求めています。もちろん、この研究は多言語・異文化・学際的な領域を対象としているため、作業内容は多岐にわたります。
 有象無象の情報を整理することに興味のある方、文学関連の情報を収集することに興味のある方に来ていただけると助かります。

 今回は、大阪大学外国学図書館(箕面キャンパス)の斜め向かいに建つ、総合研究棟の1階エレベータ横の掲示板に、次のポスターを掲示していただいています。

191029_poster.jpg

 〈内容〉〈時給〉〈日時〉〈場所〉〈連絡先〉は、掲示されている通りです。前回よりも〈時給〉が少し上がりました。

 翻訳については、在宅で取り組んでいただくことも可能です。翻訳に興味と関心があり、アラビア語・クロアチア語・スロベニア語・フィンランド語・ベトナム語・ポルトガル語・リトアニア語などの言語に長けた方の協力を求めています。

 上記言語の運用および翻訳そして情報の整理ができる方について、お知り合いをも含めて、この情報を拡散していただけると幸いです。他大学の学生さんや、社会人の方も歓迎します。連絡をお待ちしています。
 希望される方は、本ブログのコメント欄を利用して連絡をいただければ、折り返し面談に関してメールを差し上げます。
 
 
 
posted by genjiito at 18:33| Comment(0) | ■科研研究

2019年10月23日

箕面の研究室にフィットレル先生の来訪を受けて

 大阪大学の日本語日本文化教育センターで招聘研究員(日本古典文学専門)をなさっているフィットレル・アーロンさんが、私の研究室にお出でになりました。日本語日本文化教育センターは、私がいる箕面キャンパスの総合研究棟からすぐ近くの坂の途中に建っています。中国からの庄婕淳さんに次いで、研究者としては2人目の来訪者です。部屋が少しずつ片付いているので、こうしてお出でになってもそれなりの対応がどうにかできるようになりました。
 今日も、たくさんの楽しい話に花が咲きました。フィトレルさんは『更級日記』をハンガリー語に翻訳したことに引き続いて、『百人一首』や「三十六歌仙」に興味をもっているとのことです。フィットレルさんのことは、「平安文学のハンガリー語訳に関する最新情報(フィットレル版)」(2018年06月18日)で紹介しました。

 明々後日26日(土)に、NPO主催の京都でのイベントの話をすると、すでに私のブログをお読みだったこともあってか、参加したいとのことです。フィットレルさんのお仲間で、『百人一首』のハンガリー語訳をなさったカーロイ・オルショヤさんにも、声を掛けてみるとのことです。可能であれば連れて来てもらえそうです。
 そのカーロイさんは、『百人一首』のハンガリー語訳をした方なので、来年の2月にこの私の科研の研究会があれば2人で発表をしたい、とのことです。また、来春発行を予定している『海外平安文学研究ジャーナル 8号』に、2人とも研究論文(資料解説)を投稿したい、とおっしゃってくださいました。ありがたいことです。フィットレルさんには、現在編集が最終段階となっているジャーナルの第7号にも執筆していただいているので、楽しみが増えます。
 さらには、ハンガリー語訳『源氏物語』を日本語に訳し戻すことも、引き受けてもらえました。『十帖源氏』もハンガリー語に翻訳したいとのことです。まずは、ハンガリー語訳『源氏物語』の「若紫」「須磨」「明石」の3巻分のコピーをお渡ししました。
 また1つ、完成が楽しみな翻訳資料が増えます。

 科研(A)として取り組んでいる「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)は、途切れることなく情報が集まり、その整理が進んでいます。
 今夏、アルバイトの募集の第2期分を公開しました。
「平安文学の翻訳本に関するアルバイト募集のポスター(その4)」(2019年08月23日)
 今も、この中の「クロアチア語」「スロベニア語」に加えて「ドイツ語」の情報を収集して整理してもらえるアルバイターを探し求めています。

 さらには、諸外国の言語に堪能な方というよりも、集まっている膨大な情報を整理してもらえるアルバイトの方を探し求めています。日本語が読み書きできて、エクセルが普通に使えれば大丈夫です。条件などは、上記2019年08月23日の記事を参照してください。
 いずれにしても、アルバイトのことに関しては、このブログのコメント欄などを活用して連絡をいただければ、私から詳しくお答えします。
 
 
 
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | ■科研研究

2019年10月18日

ルーマニア語が母語のロマン・パシュカ先生と出町柳で面談

 不思議なご縁で、京都大学のパシュカ・ロマン先生を知ることとなりました。
 簡単な人物紹介は、京都大学のホームページ(http://www.cape.bun.kyoto-u.ac.jp/member/#a_member_pasca)で見ることができます。
 今日は、出町柳でお目にかかり、いろいろと有意義な話を伺う機会が得られました。
 お話の中心は、持参したイオン・スクンピエル氏著「日本ルーマニア関係133年」の巻末資料「ルーマニアで出版されている日本関連書籍」のリストと、在ルーマニア日本大使館のフロレンティナ・トマさん作成の「ルーマニア語に翻訳されている日本文学作品」を見ながらの翻訳書の確認でした。
 今年の3月にルーマニアへ調査旅行で行ったことは、「カンテミール大学訪問後は書店へ」(2019年03月09日)に書いた通りです。その記事にある、カンテミール大学で会った先生方は、みなさんロマン先生のお仲間だったのです。また、翌日の「ブカレスト大学で『百人一首』に関する基調講演」(2019年03月10日)に書いたことも、ロマン先生がブカレスト大学のご出身ということもあり、私がその時に名刺交換した先生方もこれまたお仲間なのです。世界は狭いものだと、いつものことながら実感しました。
 ロマン先生は、『枕草子』のルーマニア語訳に関わっておられました。これについては、古文から訳された1977年版と、それを改訂した2004年版がそうです。1977年版は、時代の趨勢もあり、検閲でカットされたものだったようです。それを、ロマン先生は元版の訳者であるチョンカ先生と相談して補われたのが2004年版だ、とのことでした。これとは別に、2015年版は、英訳からルーマニア語訳にしたものです。オックスフォード大学の先生が関わっておられるようです。これらも、今後の調査で明らかにしていくつもりです。なお、チョンカ先生は現在はドイツにお住まいのようです。機会を得て、その背景などを直接伺いたいものです。
 『源氏物語』に関しては、2017年に刊行されたホンドル先生のルーマニア語訳『源氏物語』以外に、「【速報】1969年版ルーマニア語訳『源氏物語』との出会い」(2019年03月08日)があったことは、すでに報告しました。それに加えて、今日はさらにもう一冊の『源氏物語』に関する情報がいただけました。それは、1985年にEPLUから刊行されたルーマニア語訳『源氏物語』です。これは、フランス語からの重訳のようです。ただし、「葵」巻までのようなので、1969年版のアーサー・ウェイリーの英訳からルーマニア語に訳した『源氏物語』とどのような関係にあるのか、今後さらに調査を進めて行きます。
 今日のロマン先生のお話から、ルーマニアの共産主義時代における出版物に関する影響を考える必要性を痛感しました。私には荷の重いこととはいえ、多分野の方々とのコラボレーションを通して、問題点を浮き彫りにしていきたいと思っています。ご意見などをお寄せいただけると幸いです。
 ホンドル先生のルーマニア語訳『源氏物語』「若紫」巻のコピーをお渡しし、日本語への訳し戻しをお願いしました。
 こうして、ルーマニア語に翻訳された平安文学の調査研究も、少しずつ前進しています。成果が見える形で報告できることを、今から楽しみにしています。
 
 
 
posted by genjiito at 22:39| Comment(0) | ■科研研究

2019年10月16日

愛知文教大学で翻訳本に関する出張授業

 今日は、愛知文教大学で「海外で読まれている平安文学 −翻訳本の表紙を楽しむ−」と題して、出張授業をして来ました。科研の成果を公開することで、若い学生たちに最新の情報を提供し、一緒に考えるきっかけを作り出そう、とするのが目的です。
 配布する資料の冒頭には、次の説明を掲げました。
 これから、このプログラムをメニューの一つとして、全国各地を回って行く予定です。

開催目的:日本古典文学が海外で受け入れられている現状と世界の書籍文化を知る機会の提供

開催基盤:科研(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」
     (課題番号︰17H00912、研究代表者・伊藤鉄也・大阪大学)

後援協力:特定非営利活動法人〈源氏物語電子資料館〉

講義補助:吉村仁志(科研運用補助員、同志社大学・3年生)

配布冊子:『平安文学翻訳本集成〈2018〉』(伊藤鉄也 他3名編、2019年3月)
     【ダウンロード先】https://genjiito.org/aboutkaken/allresearchreports/

閲覧資料:『平安文学翻訳本集成〈2018〉』に掲載した翻訳本から20点を適宜選択

情報公開:「海外へいあんぶんがく情報」(http://genjiito.org

講義概要:
 日本の古典文学の中でも、平安文学は多くの国々で翻訳され、広く読まれている。例えば『源氏物語』は36種類の言語で翻訳されている(2019年10月16日現在)。
 今回は、その翻訳本の表紙と中身および収集の来歴を紹介し、そこから見えてくる今後の新しい研究テーマを紹介する。平安文学を翻訳した本の表紙デザインの多彩さを楽しんでいただけるように、20冊を精選して持参した。世界各国の翻訳本を自分の手で触り、目で見て、表紙絵・装訂・用紙・文字の諸相を体感してほしい。そして、日本の古典文学の中でも平安文学が、さまざまな外国語に翻訳されている状況やその意味を考えていただけると幸いである。


 キャリーバッグに詰め込んで持参した翻訳本20冊は、以下のものてす。

10_books-20.jpg

※『平安文学翻訳本集成〈2018〉』での、持参した20冊の図版番号と翻訳言語
  (G=源氏、H=平安 未収=冊子に未収録)
--------------------------------------
〈前掲写真の左側〉(英語・日本語・ビルマ語・タミル語・タイ語・チベット語)

【G10、英語】 【H4、英語】 【H14、『蜻蛉日記』、英語】 【H『百人一首』、英語、未収】

【G日本語訳、未収】【G73、ビルマ語】【G38、タミル語】【G『あさきゆめみし』、タイ語、未収】

【G画帖、英語、未収】 【H11、英語】 【H11、チベット語】
--------------------------------------
〈前掲写真の右側〉(中国語)

【H6】 【H39】 【G『あさきゆめみし』(中国語)、未収】

【G解説、日本語、未収】 【G解説。英語、未収】 【G解説書、中国語、未収】

【G45、繁体字】 【G55、簡体字】 【G42】


 名古屋駅でJR中央線に乗り換え、高蔵寺駅からスクールバスで大学へ行きました。気持ちのいい樹々の中に、爽やかな学校がありました。写真左端の建物の2階が、本日の会場でした。

191016_genkan.jpg

 まずは、学長室で少しお話をしました。広報のためにブログ用の写真を、とのことだったので、それでは私も訪問した証明写真を、ということで学長と写真を撮り合いしました。大学の広報紙に、この時の写真が掲載されるようです。

 会場は階段教室が用意されていました。

191016_room.jpg

 学生には、今春発行した『平安文学翻訳本集成〈2018〉』と、お話する内容を分かりやすくまとめたA4カラー版7枚の資料を配布しました。持参した翻訳本20冊は、教室の前の方に並べました。

 約60分間、レジメを基にして写真やホームページを映写しながら、一般の学生であることを意識して説明を進めます。
 まずは、こんな部屋で世界中の翻訳本と情報を整理していますよ、と箕面キャンパスの研究室の様子を映し出しました。

12_room1.jpg

 今日の受講生は学部1年生で、科目名は「日本の伝統と文化」です。日頃から科研の資料と情報の整理で箕面キャンパスに来ている科研運用補助員の吉村仁君も同行し、会場で手助けをしてもらいました。
 スクリーンに写真や資料を映写しながら、海外での平安文学の研究状況や翻訳本の実態を語りました。おおよそ、次のような進行です。

 最初に強調したのは、『源氏物語』が36種類の言語で翻訳されていることです。

【『源氏物語』が翻訳されている36種類の言語一覧】(2019年10月16日 現在)

アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウクライナ語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・オランダ語・オディアー語(インド)・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロベニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・(現代)日本語・ハンガリー語・ハングル・パンジャービー語(インド)・ビルマ語・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ルーマニア語・ロシア語・(※日本点字訳を予定)


 また、近年は英訳『源氏物語』の訳し戻しがなされています。
 ・『ウェイリー版 源氏物語 全4巻』
  (佐復秀樹訳、平凡社ライブラリー、2008年〜9年)
 ・『源氏物語 A・ウェイリー版 全4巻』
  (毬矢 まりえ, 森山 恵、左右社、2017年〜19年)
 具体的には、次のような訳の違いが見られます。
 「Her lodging was in the wing called Kiritsubo.」の“wing”
  →佐復訳「対」、毬矢訳「本殿から離れたウィング」

 同じように私の科研でも、各国の翻訳を訳し戻していることを報告しました。可能であれば、ネイティブスピーカーと日本人の翻訳者の2人で訳すようにしています。

■平安文学作品の翻訳本を日本語に[訳し戻し]すること(※公開準備中)

 各国語に翻訳された文章を日本語に一元化し、それを通して、日本文化が変容して伝えられていく諸相と実態を確認し、研究者等と共同研究の形で考察していく。各国にどのような表現で平安文学が、ひいては日本文化が伝えられているのか、ということを調査研究しようとするものである。日本文学を通して日本文化が海外にどう伝わっているかの究明が、この研究において最終的に取り組む課題となる。


 また、『十帖源氏』を多言語翻訳する取り組みも紹介しました。

『十帖源氏』の翻訳と研究

 日本側で作成した平易な現代語訳を活用して各国で翻訳を進める
  検索表示画面 http://genjiito.org/10jyougenji/10jyougenji_japan/
  (カーン訳) https://genjiito.org/heian_data/glossary_db_kri_02/
  ※各国の翻訳の訳し戻しを基礎資料として、国際集会で共同討議を行なう
 翻訳しやすい現代日本語訳を東京と京都で作成中
 NPO法人〈源氏物語電子資料館〉のホームページから公開中
  http://genjiemuseum.web.fc2.com/10jyo-kiroku.html


 インドにおける8言語による翻訳の例も、日本の文化を多言語に翻訳することの困難さの事例としてあげました。
 併せて、表紙のデザインにも注目してほしいとも。
 例えば、金閣寺や遊女や浴衣等が描かれた表紙絵からは、日本をイメージするアイテムの性格が、国々によって異なることがわかります。アジア諸国は、欧米とは異なるデザインになっているように思われます。これらは、これからの若者に考えてもらいたいこととして提示しました。

 最後の20分は、実際に持参した翻訳本を手に取って見てもらいました。
 質問の中には、なぜこんなにたくさんの平安文学作品が翻訳されているか、ということがありました。よくわからないと前置きをした上で、読んだ内容が京都へ行くと追体験できることも、人気の一つではないか、と答えました。地名や通りや建物が数多く今も残っているので、千年前の日本の話であっても、イメージを作り上げやすいのだと思われます。再確認や再構築することが容易なのです。虚構と現実とが錯綜する楽しみを実感できることが、海外の多くの方々に読んでもらえる背景にあるのではないでしょうか。
 翻訳することの意味も考えましょう、と問いかけました。翻訳本を通して、日本の文化が他国に言葉の移し替えによって伝わります。その伝わり方を調べることは、自ずと異文化交流につながるのです。国際交流の原点に立つことになります。言葉にこだわることの意味を、学生たちには何とか伝えることができたのではないかと思います。
 久しぶりの授業で緊張しました。しかし、心地よい疲れを味わうこともできました。
 今後とも、この取り組みを続けたいと思います。声をかけてくだされば、こちらから翻訳本を持って伺います。まさに、出前授業です。科研の成果を公開するものなので、金銭的な負担はおかけしません。次は、来年2月に行くところがほぼ決まっています。その前後にも可能ですので、お問い合わせいただければ検討させていただきます。
 
 
 
posted by genjiito at 22:39| Comment(0) | ■科研研究

2019年09月25日

セルビア語が母語のフィリップさんと淀屋橋で面談

 今日は、多くの方からの嬉しい連絡や情報があり、取り組んでいる科研「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)の今後の展開がますます楽しみになりました。

 まず、インドでお世話になった村上明香さんが、無事に博士の学位を取って帰国したとのことです。アラハバード大学に留学し、ウルドゥー語の勉強をしてい彼女のおかげで、ウルドゥー語訳『源氏物語』を見つけることができたことは、「ウルドゥー語訳『源氏物語』の完本発見」(2016年02月19日)に書いた通りです。来月、東京で会うことになりました。楽しい夢のある話が、たくさん聞けそうです。

 ルーマニア語に関して、研究協力者の淺川槙子さんの仲介で、京都大学のロマン・パシュカ先生と連絡がつきました。科研のテーマに理解を示してくださっているので、これからいろいろと連絡をとります。私のことは、カンテミール大学の研究仲間から聞いていたとのことです。次の記事に、そのカンテミール大学へ行った時のことを書いています。「カンテミール大学訪問後は書店へ」(2019年03月09日)
 また、心強い研究協力者が加わります。

 昨夏、米国ハーバード大学でお世話になった京都工芸繊維大学の井戸美里さんが、今週末28日(土)に開催する「紫風庵」での「源氏物語と三十六歌仙の写本を変体仮名で読む会」(第5回)に参加するとのことです。美術・絵画を専門とする方なので、この会がますます盛り上がることでしょう。井戸さんとのことは、「写本の調査の後はお茶室を見学し英訳源氏を確認する」(2018年08月30日)に書いています。

 そして先ほどまで、大阪中之島の淀屋橋で、セルビア生まれのフィリップ・ステファノヴィッチさんと楽しい話をしてきました。夜の土佐堀川の川面に光が映り瞬くのを見下ろしながら、セルビアの話を聞きました。

190926_filip.jpg

 セルビア語が母語のフィリップさんは、ベオグラード大学で日本語を勉強し、大阪大学に留学もしていたという、爽やかな青年です。フィリップさんの日本語は、非常に流暢でした。会うまでは、なぜか髭面のおじさん顔を想定していたのです。ごめんなさい。科研の主旨を理解していただき、セルビア語訳『源氏物語』の研究に協力してもらえることになりました。

190926_serubia-G.jpg

 また、セルビア語訳『源氏物語』の翻訳は2003年に出ているので、翻訳者は健在だろうということで、その方を探してもらえることにもなりました。翻訳者と連絡が取れ次第に、現地で直接お目にかかってお話を伺って来ることになりそうです。
 お渡しした『平安文学翻訳本集成〈2018〉』のセルビア語訳に関する記述で、翻訳者の名前のスペルが間違っていることがわかりました。正しくは、「Sreten Ilic(スレーテン・イリック or イリッチ)」です。「I」と「L」は紛らわしい字形をしているので、間違ってしまいました。書誌事項と翻訳史年表共に訂正が必要です。また、書名に「ロマン」(小説)という語は不要だと思われます。これについては、翻訳本の書名をどうするのかという問題として、各国語の表記を再検討して決めたいと思います。
 
 
 
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ■科研研究