2020年09月16日

『源氏物語』は《41種類の言語》で翻訳中(2020.9.16版)

 『源氏物語』が多くの言語で翻訳されていることは、これまでにも折々に報告してきました。
 直近の記事としては、「『源氏物語』は39種類の言語で翻訳中(200814版)」(2020年08月14日)がそれです。「日本点字訳」「ペルシャ語訳」「カタルーニャ語訳」を追記したものでした。
 その後、さらに、ウズベク語訳『源氏物語』(クルボノヴァ,グルノザ、「桐壺」のみ)と、ジョージア語訳『源氏物語』(2019年、翻訳者:ლილი მჭედლიშვილი(Lily Mchedlishvili))の存在を確認できました。現在、原本の入手の手配をしているところです。
 これで、『源氏物語』は《41種類の言語》で翻訳されていることになります。
 『源氏物語』が世界各国で翻訳されていることは、翻訳言語の数からわかります。着実に増えており、今後ともさらにその数は増えていきます。確認できしだい、また報告します。


【『源氏物語』が翻訳されている41種類の言語一覧】
(2020年9月16日 現在、今回追記した言語に※印)

アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウクライナ語・※ウズベク語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・オランダ語・オディアー語(インド)・カタルーニャ語・クロアチア語・※ジョージア語・スウェーデン語・スペイン語・スロベニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・(現代)日本語・日本点字・ハンガリー語・ハングル・パンジャービー語(インド)・ビルマ語・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ペルシャ語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ルーマニア語・ロシア語

 
 
 
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2020年09月11日

伊藤科研_第14回研究会の報告

 伊藤科研の第14回「海外における平安文学」研究会は、先週4日に無事に終わりました。
 その報告を、科研のホームページである[海外平安文学情報](https://genjiito.org/report/第14回研究会報告/)に掲載しています。形式としては、議事録というスタイルをとっています。記録者は、本科研の技術補佐員として情報の整理に当たっている吉村仁志君にお願いしたものです。

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 ホームページを確認できない方々のために、その内容を以下にも引用します。ただし、当日発表者から提示された資料等は、ホームページにそのすべてを転載していますので、詳細はそちらに譲ります。

 今回も、多くの方々のお世話になりました。
 特に、共催者であるフィットレル・アーロン先生には、ネット中継やオンライン討議のイロハから教えていただきました。ありがとうございました。

 本科研は、来年3月で終了します。
 現在、これまでの調査研究を通して得られた成果の整理に、スタッフ一同が着手しています。平安文学に関する翻訳本に関連する情報や資料をお持ちの方からの研究協力に加えて、ホームページで公開している情報に関する補足や補訂についてのご教示をいただけると幸いです。


■日時:2020年9月4日(金)13:00〜15:00
■場所:Zoomによるオンライン開催
■プログラム
・13:00~13:10 挨拶(伊藤鉄也)
・13:10~13:40 研究発表「『百人一首』のハンガリー語訳注作成とハンガリーかるた会の草創について」(フィットレル・アーロン/カーロイ・オルショヤ)
・13:40~13:50 質疑応答
・13:50~14:10 研究報告「翻訳機を使った翻訳についての調査報告」(吉見さえ)
・14:10~14:20 質疑応答
・14:20~14:40 研究報告「伊藤科研所蔵書籍の分類とデータベース化」(吉村仁志)
・14:40~14:50 質疑応答
・14:50~15:00 挨拶(フィットレル・アーロン)

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■議事録

・研究発表「『百人一首』のハンガリー語訳注作成とハンガリーかるた会の草創について」(フィットレル・アーロン/カーロイ・オルショヤ)
 発表資料:(発表資料・令和2年9月4日)「『百人一首』のハンガリー語訳注作成について」(フィットレル・アーロン)
      (発表資料・令和2年9月4日)「ハンガリーのかるた会と『百人一首』の初期の翻訳」(カーロイ・オルショヤ)
まずカーロイ氏からハンガリーのかるた会やかるた普及活動の紹介と『百人一首』の歌のハンガリー語訳史についての発表があった。かるたに関する活動については写真が多く、当時の様子がよくわかる内容であった。また『百人一首』のハンガリー語訳は現状ほとんどが重訳または現代語訳からの翻訳であり、日本の研究成果を踏まえた全訳は作成されていないということが報告された。次にフィットレル氏から2021年5月頃刊行予定の『百人一首』のハンガリー語訳注の作成についての発表があった。訳注の題名、想定する読者層、構成と内容、参照した主な注釈書や研究書、訳注作成手順について言及された。内容については百首の歌毎に原文、読み(ローマ字)、翻訳、語注、歌に関連する詳しい情報がある他、和歌史や成立に関する解説や年中行事や家系図などの付録が掲載されるとのことであった。また翻訳にあたっては表現の統一や区別に注意する必要があるということにも言及された。表現の統一の例として参議篁(11)と法性寺入道前関白太政大臣(76)の二首を挙げ、「わたのはら」と「こぎいで」の部分の表現を統一していることが説明された。

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・研究報告「翻訳機を使った翻訳についての調査報告」(吉見さえ)
 発表資料:(発表資料・令和2年9月4日)「翻訳機を使った翻訳についての調査報告」(吉見さえ)
三つの翻訳機を用いて『源氏物語』「須磨」巻ロシア語訳の日本語への訳し戻しを行なった結果とそれぞれの特徴についての報告であった。固有名詞の訳の一定性や語順、和歌の形式、正確さなどについて言及された。最後に、代名詞の把握や原文における価値観や文化など文脈に即した翻訳、文章の自然さという観点ではまだまだ課題が多いものの、その原文の意味を語義的に理解したければ翻訳機は一定の役割を果たすだろうという考察が述べられた。報告後、機械翻訳はデータが多い言語の方が精度は高く、ロシア語やスラブ系言語にあまり関心が向いていないのが現状であること、データの量の問題から文学の翻訳の精度向上はまだまだ先になるであろうことが野本氏によって言及された。その後、土田氏から現段階では日本文学がどのように翻訳されているかを理解するというよりはどの部分の翻訳なのか見当をつけるために役立つのではないかと言及があった。またカーロイ氏からアプリケーション等で機械翻訳を利用可能かという質問があり、「KAZUNA E Talk 5」のみアプリケーションの配信が確認されていることが吉見氏から報告された。

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・研究報告「伊藤科研所蔵書籍の分類とデータベース化」(吉村仁志)
 発表資料:(発表資料・令和2年9月4日)「伊藤科研所蔵書籍の分類とデータベース化」(吉村仁志)
本科研所蔵の翻訳関連書籍の管理についての報告であった。「言語.作品.分類.初版刊行年_刊行年.翻訳者記号.個別番号(_巻番号)」からなる書籍毎に一意の記号を作成した。言語や作品の情報を含むことで配架場所等の確認も容易に確認できるようになっている。その他、冊数や所蔵場所等の情報も加えたデータベースをExcelで管理しており、検索、ソート、フィルタリングが容易にできるようになっている。報告後、本科研所蔵書籍は来年度大阪観光大学に移管すること、データや研究成果はNPO法人源氏物語電子資料館によって引き継いでいくこと、翻訳本を広く活用しようと考えていること、新型コロナウイルスの影響で新しい本の入手が現在困難であること、より多くの本を入手するために人的ネットワークが重要であること、翻訳本を一箇所に集める意義があるということなどが伊藤氏や大山俊哉氏から報告された。

 
 
 
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2020年09月04日

伊藤科研 第14回研究会「海外における平安文学」(オンライン開催)

 本日、科学研究費補助金基盤研究(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(代表者:伊藤鉄也:大阪大学・17H00912)と、特別研究員奨励費「古典和歌の翻訳、および和歌と西洋詩の比較研究」(代表者:フィットレル・アーロン:大阪大学・19F19302)の2つの科研の合同研究会を、オンラインで開催しました。
 フィットレル先生は昨日に続いてのオンライン会議です。しかも、今日は箕面キャンパスにある私の研究室にお越しいただき、こちら側のメンバーの技術支援や指導もしてくださいました。
 重ね重ねのご協力に、この場をかりてあらためてお礼を申し上げます。

 さて、本日のプログラムは以下の通りでした。

・日時:9月4日(金) 13:00~15:00
・開催方法:Zoomによるオンライン開催
・参加方法:事前申し込みが必要
・発表、報告:(敬称略)

 (1)研究発表
  「『百人一首』のハンガリー語訳注作成とハンガリーかるた会の草創について」
    [フィットレル・アーロン(大阪大学)/カーロイ・オルショヤ(同志社女子大学)]

 (2)研究報告
  「翻訳機を使った翻訳についての調査報告」
    [吉見さえ(大阪大学4回生・伊藤科研 技術補佐員)]

 (3)研究報告
  「伊藤科研所蔵書籍の分類とデータベース化」
    [吉村仁志(同志社大学4回生・伊藤科研 技術補佐員)]


 なお、開催にあたっては、次のお願いの文章を掲示しました。
 今後の開催において参考となるように、以下に引用します。

・ご参加にあたってのお願い

1.参加していただくためのZoom会議のリンク情報を第三者と共有すること、またSNS等への投稿はなさいませんよう、お願い申し上げます。

2.ご参加の際には、Zoomでの表示名(少なくとも苗字)をお申し込み時のお名前と一致するようにしてください。

3.発表・報告中は、マイクを「ミュート」に設定していただきますようお願いいたします。
(ご希望により、「ビデオ」をオフにしていただいても構いません)

4.発表・報告の後に、それぞれ質疑応答の時間を設けております。ご発言の際にのみ、マイク(またはマイクとビデオ)をオンにしてください。

5.研究会は録画・録音し、伊藤科研のホームページ「海外における平安文学」及びフィットレル・アーロン先生のブログ「日本古典文学の多言語翻訳」に掲載させていただきます。プライバシー保護のため、参加者の顔が映らないように配慮して掲載いたしますので、ご了承ください。
 また、掲載にあたりましては、パスワードで保護し、不特定多数には公開されないようにする予定です。ただし、録音データの公開をお断りの場合は、ご連絡ください。


 この最後の項目〔5〕に掲げたように、後日この研究会の内容はホームページ[海外平安文学情報](http://genjiito.org)などで公開しますので、ここで本日の内容についての私からの細かなコメントは控えます。

 3件ともに報告が中心となるものであったために、例示されたものが具体的でわかりやすい発表でした。その意味では、報告を聞くという形となり、質疑応答になりにくい内容だったとも言えます。この点は、参加者の吉海直人先生からも指摘があったところです。今後の反省点とします。
 吉見さんと吉村くんの報告は、学部生とは思えないしっかりとした堅実な内容でした。共に大学院への進学を目指しているだけに、2人の若者のこれからの成長が、大いに楽しみになります。これを一つの契機として、さらに調査や研究のおもしろさと楽しさを体感してもらえたら幸いです。
 本科研も、あと半年で終了となります。来春以降は、この膨大な成果物としての翻訳本やホームページに収載しているデータベースを、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉に管理してもらうことになります。若い世代が今後とも数十年は引き継ぎますので、これまでと変わらぬみなさま方からの情報提供や研究協力を、よろしくお願いします。
 本日の参会者は18名でした。いつもは10人くらいで開催している研究会です。対面よりもオンラインの方が参加してもらいやすいようです。今後は、両面での成果報告会となるように計画していきますので、変わらぬご支援とご協力をお願いします。
 
 
 
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2020年09月03日

フィットレル先生の研究会・ワークショップに zoom で参加

 今日は終日、大阪大学のフィットレル先生の研究会・ワークショップ「世界の中の和歌―他言語翻訳を通して見る日本文化の受容と変容―」の Zoom会議に参加しました。

 午前の部は10時からの開始でした。しかし、大阪観光大学のネットワークと悪戦苦闘しているうちに、30分もロスをしてしまいました。

 意見交換の中で、「かっこう」と「ほととぎす」の各国の理解の違いに興味を持ちました。そこから、〈鳥の文学〉の比較研究という可能性もおもしろいと思いました。今日は、異文化コミュニケーションのテーマが、数多く提起されました。
 私が現在取り組んでいる科研、「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)は、翻訳本を中心とした異文化コミュニケーションに関する研究です。共通点が多いだけに、興味が尽きません。
 ただし、私がいた部屋はネットの環境が思わしくなく、映像と音声が途切れ途切れだったために、話題に集中できませんでした。
 午後もネットの環境は改善されません。ようやく解決策を見いだした頃は、すでに終盤でした。残念無念です。

 参加なさっていた30人近くのみなさま、お疲れさまでした。
 終了時に、お詫を兼ねて次のコメントを残しました。

一日中、途切れ途切れの画像と音声の中で右往左往しながらの研究会参加となりました。
何も反応できず、大変失礼しました。
フィットレル先生、今回のイベントを後で再確認できるように、編集をよろしくお願いします。


 次回を楽しみにしています。
 また、明日の私が主催者となる伊藤科研の研究会も、今日の研究会と同じ形式です。
 どうぞよろしくお願いします。
 
 
 
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2020年08月20日

伊藤科研第14回研究会「海外における平安文学」のプログラム

 過日お知らせした伊藤科研の第14回研究会「海外における平安文学」に関して、プログラムなどが決まりましたのでお知らせします。

伊藤科研 第14回研究会「海外における平安文学」

科学研究費補助金基盤研究(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」
(大阪大学・17H00912)代表者:伊藤鉄也
特別研究員奨励費「古典和歌の翻訳、および和歌と西洋詩の比較研究」
(大阪大学・19F19302)代表者:フィットレル・アーロン

・日時:9月4日(金) 13:00~15:00
・開催方法:Zoomによるオンライン開催
・参加方法:事前申し込みが必要(詳細は下欄にて)
・発表、報告:(敬称略)
  (1)研究発表 「『百人一首』のハンガリー語訳注作成とハンガリーかるた会の草創について」
         [フィットレル・アーロン/カーロイ・オルショヤ]
  (2)研究報告 「翻訳機を使った翻訳についての調査報告」
         [吉見さえ(大阪大学4回生・伊藤科研 技術補佐員)]
  (3)研究報告 「伊藤科研所蔵書籍の分類とデータベース化(仮)」
         [吉村仁志(同志社大学4回生・伊藤科研 技術補佐員)]
  研究発表は30分+質疑応答、研究報告は20分+質疑応答の予定    

・参加方法について
 2020年8月31日(月)までにご出欠を大山宛(mt.yoshi.02@gmail.com)にお知らせください。
 ご出席の方には、研究会前日の夜までに、会議に参加するためのZoomのリンク情報をメールにてお送りいたします。

 
 
 

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2020年08月14日

『源氏物語』は39種類の言語で翻訳中(200814版)

 これまで、『源氏物語』は36種類の言語で翻訳されていることを報告してきました。「愛知文教大学で翻訳本に関する出張授業」(2019年10月16日)の記事が、最新のものでした。
 その後の調査と収集活動の成果として、「日本点字訳」「ペルシャ語訳」「カタルーニャ語訳」があることが確認できました。この3点の情報を、以下に記しておきます。

(1)「日本点字訳」
 日本ライトハウス情報文化センター点字製作係に依頼して、科研費による翻訳活動の一環として『十帖源氏』の「須磨・明石」2巻の日本点字訳を作成しました。点字で打ち出した現物と点字データは、大阪大学箕面キャンパスにある総合研究棟6階の伊藤研究室にあります。

(2)「ペルシャ語訳」は、現在私の手元にはありません。しかし、以下の紹介があるので、現在入手の手配をしているところです。
ISBN:9786008955184
出版社HP:https://parandepub.ir
HPの源氏物語紹介ページ:
https://translate.google.co.jp/translate?hl=ja&sl=auto&tl=ja&u=https%3A%2F%2Fparandepub.ir

これによると、与謝野晶子の源氏訳の中から、第4巻「夕顔」をペルシャ語に翻訳したもののようです。

(3)「カタルーニャ語訳」は、アマゾンの情報によると、以下のように記されています。
翻訳者  Xavier Roca Ferrer
・出版社  Destino CAT
・刊行年  2006
・ISBN   978-8497100908

200812_catalan.jpg
 これは、ロッカ・フェレールのスペイン語訳をカタルーニャ語に翻訳したものかと思われます。ただし、まだ原本が手元に届いていないので、あくまでも推測の域を出ません。


 上記の(2)と(3)については、まだ原本を入手できていないので、存在することが確認できた、というレベルの報告です。これらを含めて、さらなる情報をお持ちの方からの連絡をお待ちしています。

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【『源氏物語』が翻訳されている39種類の言語一覧】

(2020年8月14日 現在)

アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウクライナ語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・オランダ語・オディアー語(インド)・※カタルーニャ語・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロベニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・(現代)日本語・※日本点字訳・ハンガリー語・ハングル・パンジャービー語(インド)・ビルマ語・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・※ペルシャ語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ルーマニア語・ロシア語

 
 
 
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2020年08月07日

フィットレル先生の研究会「世界の中の和歌」へのご招待

 日本学術振興会の外国人特別研究員で、大阪大学日本語日本文化教育センター招聘研究員であるフィットレル・アーロン先生が、以下の研究会を来月9月3日に開催されます。
 研究会・ワークショップの名称は、「世界の中の和歌 −多言語翻訳を通して見る日本文化の受容と変容―」となっています。
 オンラインでの参加が可能なので、フィットレル先生(kinokawa0126@gmail.com)と連絡をとり、最新の成果を知る機会にしていただければと思っています。
 この翌日には、私の科研の研究会「9月4日に伊藤科研_第14回研究会を計画中」(2020年07月28日)があります。
 こちらも、併せてご参加をお待ちしています。

日程: 2020年9月3日(木)
会場: Zoomにてオンライン開催

詳細なプログラム(※発表者名は敬称略)
10:00 開会の挨拶
10:05 ワークショップ 『後撰集』175番歌の各言語への翻訳とその紹介
     イタリア語  ボラッチ・ダフネ
     英語  マイケル・ワトソン、 緑川眞知子
     スペイン語訳  高木香世子〔寄稿〕
     チェコ語訳  トムシュー・アダム
     中国語訳  庄婕淳
     ドイツ語訳  フィットレル・アーロン
     ハンガリー語訳 カーロイ・オルショヤ、フィットレル・アーロン
     フランス語訳  飯塚ひろみ、常田槙子〔寄稿〕
     ロシア語訳  土田久美子
11:45 全体討論
12:30 休憩
13:00 『古今集』469番歌の各言語への先行翻訳の紹介
     イタリア語訳  ボラッチ・ダフネ
     英語  マイケル・ワトソン、緑川眞知子
     スペイン語  高木香世子〔寄稿〕
     中国語  庄婕淳
     ドイツ語  フィットレル・アーロン
     ハンガリー語  カーロイ・オルショヤ
     フランス語  飯塚ひろみ、常田槙子〔寄稿〕
     ロシア語・ウクライナ語   土田久美子 
15:45 全体討論
16:30 報告書発行に向けた、今後のスケジュールの決定
16:45 閉会の挨拶
18:00 懇親会

■ご参加方法と確認事項■

1.会議に参加するためのZoomのリンク情報を、前日夜までにお送りします。
2.研究会は録画・録音し、ブログに掲載させていただきたく存じます。皆様のプライバシー保護のため、お顔は映らないように録画いたします。また、ブログ掲載にあたりましては、パスワードで保護し、不特定多数には公開されないようにする予定です。ですが、録画または録音データのブログ公開をお断りの場合は、ご連絡くださいませ。
 ※ただし、録画データをパスワードで保護するにはZoomの有料アカウントが必要です。有料アカウントをお持ちの方がいらっしゃいましたら、録画を担当していただければありがたく存じます。


■当日の資料の共有方法と寄稿の締切■

1.当日ご参加の方が、画面共有を通してご発表資料(WordやPPT、形式を問わない)の掲載をお願いいたします。
2.寄稿でご参加の方は、9月1日(火)までにkoten.tagengo@gmail.comへご寄稿と録音データを送っていただきますよう、お願いいたします。

 また、研究会終了後、オンラインの懇親会を予定しております。ご参加いただける方は、各自、お食事とお飲み物をご用意ください。

 なお、『後撰集』175番歌の翻訳に参照いただける資料、および『古今集』469番歌の先行翻訳のご紹介に参照いただける資料が揃いました。全て読む必要はなく、ご自身の外国語訳の分析に必要だと思われるところのみ、ご参考になさってください。
https://drive.google.com/drive/folders/1VSoRUgtP5QQiY963YlYEGi86sFB8kvry

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。

 
 
 
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2020年07月28日

9月4日に伊藤科研_第14回研究会を計画中

 本年9月4日に、伊藤科研「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)の第14回研究会を開催することを計画中です。
 これは、前回同様にフィットレル・アーロン先生の研究会(日本学術振興会外国人特別研究員P19302「古典和歌の翻訳、および和歌と西洋詩の比較研究」)と合同で開催するものです。
 前日の9月3日には、フィットレル・アーロン先生の研究会が別途予定されています。
 今回の合同研究会は、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を考慮して、Zoomによるオンラインでの開催を予定しています。
 発表者はほぼ決まり、題目が検討されているところです。
 詳しいことが決まりましたら、このブログですぐに報告しますので、いましばらくお待ちください。

伊藤科研 第14回研究会 「海外における平安文学」

 基盤研究(A)17H00912
「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」

 ※フィットレル・アーロン先生の研究会(日本学術振興会外国人特別研究員P19302「古典和歌の翻訳、および和歌と西洋詩の比較研究」)との合同開催

・日時:2020年9月4日(金)13:00〜17:00

・概要:研究発表 20〜30分(質疑応答を含め30分程度)
    研究発表 20〜30分(質疑応答を含め30分程度)
    研究報告 10〜20分(質疑応答を含め20分程度)
    研究報告 10〜20分(質疑応答を含め20分程度)

 
 
 
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2020年07月06日

中国語訳『春琴抄』8冊の表紙に関する情報

 科研費による「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(基盤研究A:17H00912)では、大阪大学箕面キャンパスの研究室を調査研究基地として、精力的に海外で刊行された翻訳本の整理などを進めています。
 そうした中でも、私が平安文学との関連で平行して調査収集している翻訳本の中から、谷崎潤一郎の『春琴抄』に関する中国語訳版8冊の整理が終わっているので、参考情報として以下に公表します。
 まだ、簡単な書誌と表紙を仕分けした段階です。それぞれの内容の比較検討は、今後の課題です。興味と関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、本ブログのコメント欄を通して連絡をいただければ、可能な限り研究に協力いたします。本の貸し出しはまだできません。しかし、研究室にお越しになって原本を調査なさることに関しては、お手伝いいたします。
 なお、この調査に関わっている伊藤科研の研究協力者全員に、この場を借りてお礼の気持ちを伝えます。ありがとうございます。今月に入ってからは、大阪観光大学のことがあり、なかなか連絡が密にとれていません。変わらぬサポートを、引き続きよろしくお願いします。

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【1】春琴抄:谭晶华・徐建雄/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 江苏凤凰文艺出版社
 ISBN978-7-5594-2744-1/232頁/150×215mm
 図版・付録(谷崎潤一郎略年譜)有り/参考文献無し/脚注有り/索引無し/中華人民共和国

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【2】春琴抄:刘子倩/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 江苏凤凰文艺出版社
 ISBN978-7-5594-1937-8/207頁/145×212mm
 カラー図版有り/参考文献無し/脚注有り/索引無し/中華人民共和国

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【3】春琴抄:吴树文/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 人民文学出版社
 ISBN978-7-02-012324-7/131頁/145×208mm
 図版・参考文献無し/脚注有り/索引無し/中華人民共和国

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【4】春琴抄:曹曼/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 天津人民出版社
 ISBN978-7-201-11828-4/86頁/146×215mm
 図版・参考文献無し/脚注有り/索引無し/2017年6月第1版 /中華人民共和国

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【5】春琴抄:廖雯雯/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 四川人民出版社
 ISBN978-7-220-10822-8/175頁/145×208mm
 序は廖雯雯/図版・参考文献無し/脚注有り/索引無し/中華人民共和国

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【6】春琴抄:林少华/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 北京联合出版公司出版
 ISBN978-7-5596-2402-4/191頁/133×190mm
 序は林少华/図版・参考文献無し/脚注有り/索引無し/中華人民共和国

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【7】春琴抄:刘剑/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 天津人民出版社
 ISBN978-7-201-13552-6/220頁/137×194mm
 図版・参考文献無し/脚注有り/索引無し/中華人民共和国

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【8】春琴抄:竺家荣/谷崎润一郎(谷崎潤一郎)
 北京联合出版公司出版
 ISBN978-7-5596-2805-3/202頁/136×195mm
 図版・参考文献無し/脚注有り/索引無し/中華人民共和国

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2020年06月27日

朴光華著『源氏物語−韓国語訳注−』(明石巻)完成

 韓国の朴光華先生が、『源氏物語』の韓国語訳を刊行なさいました。今回は「明石」巻です。

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 コツコツと、丹念に訳と注を進めておられます。まだ、あと20年以上はかかるようです。
 お仕事の進捗状況は、「海外平安文学情報」の「『源氏物語』翻訳史(略年表)」(https://genjiito.org/genji_infomation/genji_history/)で確認できます。
 検索する「言語」を「ハングル」にすると、25件ヒットします。その中に、「須磨」巻までの16件が朴光華先生の訳注本です。(画像をクリックすると精細な画像になります)


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 いただいたお手紙の中の本書に関連する箇所を引きます。

 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。この度、『源氏物語-韓国語訳注-』(明石巻)ができあがりましたので、お贈りいたします。不足なところが多いと思いますが、何ぞよろしく申し上げます。この『源氏物語−韓国語訳注−』(前期)は、今後十九年という長い歳月をかけて刊行されることになっています。逐次、完成され次第お贈りいたします。次は総角巻です。今後もよろしくお願いいたします。

〒31161
韓国 天安市 西北区 双龍3洞 住公9団地 402-501号
E-mail : pkhwapk@hanmail.net

2020年5月29日 朴光華 拝

[あらためて、次のように著者、出版社、本書の構成など主要事項を日本語で記しておきます]
1)著者:朴光華(Park KwangHwa)
2)初版発行日:2020年5月1日
3)出版社:図書出版DNP
 〒31166韓国 忠南 天安市 西北区 双龍 4GIL 8、1F
 電話: 041-572-7887 E-mail : tdx1000@naver.com
4)総頁:492頁
5)定価;:㌆60,000
6)ISBN : 979-11-964307-2-6 (03830)
7)本書の構成:
 写真6枚
 序、凡例、明石巻の概要、登場人物系図、参考文献など : l~26頁
 明石巻(日本語本文、韓国語訳、韓国語注) : 27~479頁
 論考「平安時代の月の色」(小町谷照彦) : 480~484頁
 後記(日本語) : 485~486頁
 図録 l~6 : 487~492頁


 興味と関心をお持ちの方は、直接朴光華先生に連絡をとられたらいいかと思います。

 次の「総角」巻の完成を心待ちにしています。
 
 
 
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2020年06月23日

翻訳本を分別するアルバイトさんを急募(その8)

 先週、本ブログで「翻訳本の整理に関するアルバイトを募集中(その7)」(2020年06月17日)という記事を掲載しました。
 それに引き続き、箕面の研究室にある翻訳本そのものを、(1)言語別(2)発行年別(3)作品別など、いくつかのカテゴリーに分別して番号を付けてリストにまとめ、各冊に整理番号のシールを貼る作業をお願いしたいと思います。
 期間は、7月と8月です。それ以降、来年3月までについては、現在取り組んでいる科研の内容に応じて、興味と関心のあることで研究協力をしていただけると助かります。
 とりあえずは、来月からの2ヶ月間です。
 条件などは、以下のポスターの通りです。

 お知り合いをも含めて、この情報を拡散していただけると幸いです。
 他大学の学生さんや、社会人の方も歓迎します。
 面談の日時は、火曜日の午後13時から16時の間に研究室で行ないます。
 希望される方は、本ブログのコメント欄を利用して連絡をいただければ、折り返し面談に関してメールを差し上げます。

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2020年06月17日

翻訳本の整理に関するアルバイトを募集中(その7)

 大阪大学を拠点にして取り組んでいる科研(基盤研究A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)の調査研究は、新型コロナウイルスのために変則的な対応をしながらも、順調に進んでいます。今日も、6人で、打ち合わせをしながら取り組みました。
 昨日から新たに、海外における研究状況がわかる情報を収集することにしました。ある国のある大学で、日本の平安文学に関してどのような講義や講演や研究会、さらには社会人を含めての勉強会がなされているのか、ということを調べます。大学に限らず、民間に公開された市中での社会人講座ではどうなのか、ということも含めます。もちろん、どなたが担当しておられるかも調査対象です。
 これらの情報は、気長に集め続けることで、その国における取り組みの姿勢や興味と関心がわかるものとなります。貴重なデータベースに育っていくことを願っての着手です。
 関連する情報をお持ちの方からの協力も、お待ちしています。
 この情報は、秋口にはホームページ「海外平安文学情報」で公開しますので、情報の追補や補訂に関して、多くの方々からのご教示がいただけることを楽しみにしています。

 現在は、ロシア語、ベトナム語、中国語、スペイン語を勉強している方に、アルバイトや研究員として研究室に来てもらっています。こうした流れを踏まえて、多言語のデータベースを手助けしてくださる方を、さらに以下の言語について募ります。

 アラビア語・クロアチア語・スロベニア語・フィンランド語・ポルトガル語・リトアニア語

 〈仕事内容〉〈時給〉〈日時〉〈場所〉〈連絡先〉は、前回掲示したポスターを再掲しますので参照願います(画像をクリックすると精彩なものになります)。なお、募集する言語は、このポスターに書いてあるものではなくて、上記の言語です。

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 こうした言語の運用および翻訳そして情報の整理ができる方について、お知り合いをも含めて、この情報を拡散していただけると幸いです。他大学の学生さんや、社会人の方も歓迎します。
 面談の日時は、火曜日の午後13時から16時の間になります。
 希望される方は、本ブログのコメント欄を利用して連絡をいただければ、折り返し面談に関してメールを差し上げます。

 別件です。
 本日、あの話題のマスクが2枚、自宅に届きました。
 京都市左京区は今日であった、という記録を残しておきます。

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2020年06月16日

久しぶりの箕面キャンパス

 好天の一日、久しぶりに箕面キャンパスに出勤です。
 通勤時間帯は混んでいるので、少し時間を遅らせました。すると、ガラガラです。

 研究員のみなさんがしっかりと科研を支えてくださっているので、私は自宅からのテレワークでの参加でここまできました。ありがたいことです。
 やはり、直接顔を合わせないとできないことが多いものです。テレワークとかリモートワークが話題になっています。しかし、それは私の仕事では、指示や質問レベルとデータのやりとりが限界です。根幹部分は、やはり直接顔を合わせて意見交換や話し合わないと、意思の疎通に問題を来します。目を見て、何がポイントで何が付帯的なことなのかを確認し、お互いの考えを交わさないと、無駄の多いプロジェクトになります。科研の場合は成果が問われるので、こうした確認のプロセスは非常に重要です。

 テレワークやリモートワークでもできることと、それでは不可能なことを仕分けることが、効率的に仕事をこなす近道だと思うようになりました。

 今後の科研の運用の見通しをホワイトボードに記された項目を見ながら意見交換をしたり、実際に具体的な課題を取り上げてスケジュールの確認をしました。
 新型コロナウイルスにより学内の研究室が使えなかったことや、私が突然の手術で何かと運用が停滞しかかっていたことなども、研究協力者のみなさんの理解と協力で、とにかくことなきを得ていることが、今日は確認できました。重ね重ね、ありがたいことだと思います。

 今日は、溜まっていた書類の処理が捗りました。書類の処理程度なら自宅でできるとはいえ、やはり現場に来て見渡すと、細かなチェックができます。仕事が見えるという点では、在宅ではなくて職場は必要だと思うようになりました。
 仕事のやり方に関して、気付くことの多い有意義な1日でした。
 
 
 
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2020年02月09日

昨日の科研研究会に関する吉村報告

 昨日、大阪大学箕面キャンパスで伊藤科研-第13回研究会「海外における平安文学」を開催しました。その詳細な内容を、記録係をつとめた吉村君がまとめてくれましたので、以下に引用して報告します。

 

伊藤科研 第13回「海外における平安文学」研究会報告



■日時:2020年2月8日(土)14:00〜18:00

■場所:大阪大学箕面キャンパス 日本語日本文化教育センター1階 多目的ホール

■プログラム

・14:00~14:05 挨拶(伊藤鉄也)

・14:05~14:20 自己紹介

・14:20~14:40 研究発表「Transcreation(翻訳創造)としてのウェイリー訳−原典とadaptationの間を見つめる−」(緑川眞知子)

・14:40~15:00 研究発表「20世紀初頭のフランスにおける『枕草子』受容」(常田槙子)

・15:00〜15:20 研究発表「『万葉集』のドイツ語訳における序詞の受容−同音類音反復式の序詞を中心に−」(フィットレル・アーロン)

・休憩(20分)

・15:40~16:00 研究報告「百人一首のフランス語訳についての考察と翻訳実践」(飯塚ひろみ)

・16:00〜16:20 研究報告「中国での国際シンポジウムを終えて」(伊藤鉄也、須藤圭)

・16:20〜16:50 共同討議「平安文学を翻訳すること」(参会者全員)

・16:50~17:00 挨拶、連絡事項(伊藤鉄也)

・17:00〜 科研運用に関する打ち合わせ
 
 
■議事録

・研究発表「Transcreation(翻訳創造)としてのウェイリー訳−原典とadaptationの間を見つめる−」(緑川眞知子)
 ウェイリーの言葉とされる「transcreation」という点からのウェイリー訳の考察であった。
 具体的には絵合巻を取り上げ、「大臣もいという(優)におほえ給て」という部分の訳し方に着目された。ウェイリーはこの部分を「Genji felt smmewhat shy」と訳している。「shy」は「いう(優)に」に対応していると考えられる。ウェイリー訳の日本語訳である佐復訳と姉妹訳において、この部分はそれぞれ「源氏はいくぶん気恥ずかしく感じ、」「ゲンジもいささか気遅れがして」と訳されており、誤訳のように思われる。しかし当時の辞書にもこの語は載っていた事から単に訳し間違えたとは考えにくく、むしろ自分の中でロジックが通じるように意図的にこのような訳としたのではないか、という発表であった。

・研究発表「20世紀初頭のフランスにおける『枕草子』受容」(常田槙子)
 20世紀初頭のフランスにおける『枕草子』の翻訳者とその人間関係、随筆の定義等を踏まえながらそれぞれの訳を比較検討するものであった。石川とルヴォンは「随筆」を「筆に任せて」書かれた特殊なジャンルだとしているが、この考えはボジャールには引き継がれていないとのことであった。また石川によって随筆がフランス語でいう「印象派文学」であるという点に着目しての考察があった。それぞれの訳の比較には「春はあけぼの」の章段が取り上げられた。
 その他、「あはれ」という語の訳され方の特徴や『枕草子』を随筆というジャンルに入れる事の問題点等にも言及された。

・研究発表「『万葉集』のドイツ語訳における序詞の受容−同音類音反復式の序詞を中心に−」(フィットレル・アーロン)
 『万葉集』のドイツ語訳における同音反復の序詞について、翻訳者が見たと考えられる注釈等を踏まえつつ、具体例を示しながらその特徴を考察するものであった。序詞の訳し方を、序詞と心情部の関係を内容的にまたは文法的につなげるかどうか大きく二つに分けた上で、原典の歌の特徴からさらに細かく分けて考察された。具体例を一つずつ取り上げ、翻訳者の傾向などについても言及があった。

・研究報告「百人一首のフランス語訳についての考察と翻訳実践」(飯塚ひろみ)
 百人一首歌のうち5首を取り上げ、先行する4種類のフランス語訳における手法を考察した上で、飯塚氏によるフランス語訳の実践を紹介するものであった。先行訳はそれぞれ5行書きや冒頭大文字などの型がある。しかし飯塚氏は何のために、誰のために訳すべきであるのかが現時点では不明であるいう点を踏まえ、型を定めずに訳を実践された。具体的には枕詞をあえて訳出しない、説明的な訳を付け加えて6行にする事でフランスの6行詩に近づける、など様々な試みがあった。

・研究報告「中国での国際シンポジウムを終えて」(伊藤鉄也、須藤圭)
 2019年12月20日から22日に行われた「2019年度中日比較文学国際研究会」の報告であった。
 分科会では中古・中世・近世に受容された『源氏物語』から翻訳についての発表が行われた。
 中古では様々な物語や和歌が『源氏物語』に影響を受けたことについて、翻訳においてどのように向き合うことができるかということに言及された。中世では古註釈の影響を翻訳にどのように組み込んでいくかということに言及された。近世では『源氏物語』の俗語訳者の「翻訳意識」を探るために、用いられた用語や比喩などを考察したものであった。

・共同討議「平安文学を翻訳すること」(参会者全員)
*まず吉海氏から、昔は日本文学の翻訳というと英訳が主であった。しかし、現在は様々な言語に翻訳されていることがわかっていること、ネットや動画により日本文学が広く享受されるようになっていること、翻訳機の登場、原典と異なる訳であっても読者に享受されること等々、これからの学問について言及された。翻訳機については現在写真による翻訳ができるものがあることや、AIによる劇的な精度向上が進んでいるということが、伊藤氏や須藤氏から報告された。

*緑川氏の発表について、ウェイリー訳に辞書は影響を与えたのか、誰に向けて書かれたのか等の質問があった。辞書についてはウェイリーの環境等から考えると見たはずであろうとのことであった。想定されていた読者としてはブルームスベリーの人々が第一ではないか、とのことであった。またウェイリー訳は原典のリライトであり、その訳し戻しはリライトのリライトであるとのことであった。これについてモハンマド氏から、インドではすべてウェイリーの重訳であることが報告された。しかし、ウェイリー訳の問題点についても言及し、翻訳の目的や方法を考えていくことや対象となる読者の社会的背景を踏まえることの必要について言及された。また機械翻訳については、どの程度文学に使うことができるのかについての疑問も呈された。

*常田氏の発表について、吉海氏から『枕草子』は随筆というジャンルに入れない方が良いという事について、さらなる言及があった。常田氏はこれに賛同し、同様に『枕草子』をエッセイとする学生がいるという問題についても言及された。

*飯塚氏の発表について、伊藤氏から各国語訳で同様の取り組みを行うことでそれぞれの特徴を掴むことができるのではないか、という言及があった。

 
 
 
posted by genjiito at 23:46| Comment(0) | ■科研研究

2020年02月08日

盛会だった第13回の科研研究会「海外における平安文学」

 研究会に先立ち、本日の参加者の中で翻訳本の資料などを見たい方々のために、私の研究室にある書籍を見ていただきました。引き続き午後1時半から、大阪大学箕面キャンパスにある外国学図書館で書庫の見学を行いました。各国の新聞や雑誌の貴重な資料や、翻訳本の書架などを見ていだきました。

 2時からは、場所を日本語日本文化教育センターに移して、研究会を開きました。

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 今回は、フィットレル・アーロン先生の研究会(日本学術振興会外国人特別研究員P19302「古典和歌の翻訳、および和歌と西洋詩の比較研究」)との合同開催です。
 まずは、自己紹介からです。大阪大学に所属を移して最初の研究会なので、参会のみなさまはほとんどが初めての方々です。少し緊張気味に始まりました。

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 プログラムは以下の通りです。

(1)研究発表 緑川眞知子先生/「Transcreation(翻訳創造)としてのウェイリー訳―原典とadaptationの間をみつめる―」

(2)研究発表 常田槙子先生/「20世紀初頭のフランスにおける『枕草子』受容」

(3)研究発表 フィットレル・アーロン先生/ 「『万葉集』のドイツ語訳における序詞の受容―同音類音反復式の序詞を中心に―」

(4)研究報告 飯塚ひろみ先生/「百人一首のフランス語訳についての考察と翻訳実践」

(5)研究報告 伊藤鉄也先生、須藤圭先生/「中国での国際シンポジウムを終えて」

(6)共同討議 「平安文学を翻訳すること」(参会者全員)


 それぞれの発表内容は、明日に譲ります。

 今日は、タイムキーパーを置いたこともあり、時間通りに進みました。こんなことは、滅多にないことです。みなさまの運営への協力に感謝しています。

 共同討議は、本日のゲストでもある吉海直人さんから発言してもらいました。それに続いて、いろいろと発表の核心に触れる質問があり、充実した質疑応答が展開しました。30分という時間は短かすぎました。
 すべてが終わってからは、千里中央駅に移動して、懇親会でまた翻訳についての話題で盛り上がりました。
 本日、多彩な問題提起がなされた稔り多い研究会となったことは、ひとえに参加者の皆様のご協力とご理解があってのことです。寒い中、また遠路遥々ありがとうございました。
 次回は、6月に開催する予定です。また、お集まりくださることを、楽しみにお待ちしています。
 
 
 
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ■科研研究

2020年01月17日

伊藤科研「海外における平安文学」第13回研究会のご案内

 昨年4月から、科学研究費補助金による基盤研究(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号:17H00912、研究代表者:伊藤鉄也)は、基盤研究機関を大阪大学に移しました。本研究の研究期間は4年間です。しかし、3年目に研究代表者が転属したことにより準備に手間取り、本年度の研究会がようやく下記の通り開催できる運びとなりました。
 本研究会の第1回は、2014年2月3日でした(https://genjiito.org/report/studyreport01/)。現研究テーマの前身である基盤研究(A)「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」(課題番号:25244012、研究代表者:伊藤鉄也)を順調に引き継ぎ、今回が通算で13回目となります。これまでの研究会の報告は、ホームページ「海外平安文学情報」の中の「研究会報告一覧」(https://genjiito.org/aboutkaken/allreports/)を参照願います。
 今回の研究会は、研究協力者でもあるフィットレル・アーロン先生(大阪大学・招へい研究員)の研究会と合同で開催することになりました。
 本科研では、若手の育成と支援を課題の1つに掲げています。大学の学部生や大学院生の参加を歓迎します。平安文学に関する翻訳の問題は、まだまだ未開拓の分野です。多言語ということもあり、学際的・隣接諸学との連携が欠かせません。このテーマは、一人で研究できることではありません。本科研では、コラボレーションという共同研究の手法で取り組んでいます。そのためにも、この研究会を情報収集活動の1つとして、また研究方法と事例報告の1つとして、参会者に対して有益な情報提供と、みんなで考える機会の提示となれば幸いです。
 自由参加の、開かれた研究会であり続けたいと思っています。参加希望の連絡などは、本ブログのコメント欄をご利用ください。

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■「海外における平安文学」第13回研究会■


 ◆フィットレル・アーロン先生の研究会との共同開催

・日時:2020年2月8日(土)14:00〜18:00
・場所:大阪大学箕面キャンパス
   (大阪府箕面市粟生間谷東8丁目1−1)
    総合研究棟6階
・アクセス:〇大阪モノレール 彩都西駅下車 西へ徒歩15分
      〇阪急バス ・千里中央発 「間谷住宅行」(所要時間30〜40分)
            ・北千里発  「間谷住宅行」(所要時間25〜35分)
            間谷住宅4 下車すぐ
       詳細は https://www.osaka-u.ac.jp/ja/access/accessmap.html#map03 をご覧ください。
       但し、阪急バス「阪大外国語学部前行」は土曜日は運休しております。

・当日の予定: 14:00~15:00 大阪大学箕面キャンパス 外国学図書館 見学
        15:00~18:00 研究会

・発表、報告:
  (1)研究発表 緑川眞知子先生
    「Transcreation(翻訳創造)としてのウェイリー訳
       ―原典とadaptationの間をみつめる―」
  (2)研究発表 常田槙子先生
    「20世紀初頭のフランスにおける『枕草子』受容」
  (3)研究発表 フィットレル・アーロン先生
    「『万葉集』のドイツ語訳における序詞の受容
       ―同音類音反復式の序詞を中心に―」
  (4)研究報告 飯塚ひろみ先生
    「百人一首のフランス語訳についての考察と翻訳実践」
  (5)活動報告 伊藤鉄也、小川陽子先生、須藤圭先生、庄婕淳先生
    「中国での国際シンポジウムを終えて」
  (6)共同討議 「平安文学を翻訳すること」(参会者全員) 
 ※研究発表は、1人20分の予定
 ※研究会後に千里中央駅付近で懇親会を予定

 
 
 
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2019年12月27日

中国語による翻訳本の整理に関するアルバイトを募集中(その6)

 すでに5度、私の科研で多言語翻訳に関するアルバイトを募集していることを、本ブログに掲載して来ました。
 前回は、「平安文学の翻訳本整理に関するアルバイトを募集中(その5)」(2019年10月31日)でした。
 おかげさまで、上記ブログで募集した中で、「ベトナム語」と「情報整理」の仕事に関しては、すばらしい方との出会いがあり、すでに業務についていただいています。
 そこで今回は、今週、中国広州で入手した中国語訳の翻訳本を整理してくださる方を募ります。
 対象となる翻訳本については、「今回中国で手に入った中国語訳の平安文学関連の本たち」(2019年12月25日)に画像で掲載したものと、『平安文学翻訳本集成〈2018〉』に掲載している手持ちの中国語訳の書籍数十冊です。
 仕事に関する、〈内容〉〈時給〉〈日時〉〈場所〉〈連絡先〉は、上記のブログのポスターに掲載されている通りです。

 中国語の運用および翻訳そして情報の整理ができる方について、お知り合いをも含めて、この情報を拡散していただけると幸いです。他大学の学生さんや、社会人の方も歓迎します。連絡をお待ちしています。
 面談の日時は、新年の火曜日と水曜日、午前11時から16時の間になります。
 希望される方は、本ブログのコメント欄を利用して連絡をいただければ、折り返し面談に関してメールを差し上げます。
 
 
 
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2019年12月25日

今回中国で手に入った中国語訳の平安文学関連の本たち

 今回の旅では、どの国でもそうであるように、書店で平安文学に関する本を探す時間も確保しました。広州の中心街にある巨大な書店で、30冊以上の本が見つかりました。本は、出会った時に手に入れておかないと、また次はないと思っています。そこで、その時に書店にあったほとんどの本を、いただいて来ました。
 以下の写真でわかるように、谷崎潤一郎や井上靖や松本清張なども含まれています。今後の調査研究に関連してくるであろうこうした本も、見つけ次第に購入しています。今回は、谷崎潤一郎の『春琴抄』が8種類も一度に集まりました。いろいろな活用ができそうです。
 昨夜、帰国してすぐに関空から大学宛に送った本が、今日のお昼には箕面の研究室に届きました。早速、翻訳本のリストに追加するための作業に入りました。この本を、ホームページ「海外平安文学情報」(http://genjiito.org)に追加して公開するまでには、いましばらくの時間をください。
 中国には、まだまだ平安文学関連の翻訳本があります。今後とも、気長にそうした本の収集にあたります。
 もしお手元に、『平安文学翻訳本集成〈2018〉』に掲載されていない表紙の翻訳本をお持ちでしたら、提供していただけると助かります。大切に保管し、原本とその情報を、次世代に引き継いで行きます。調査研究の対象としておられる方には、箕面キャンパスの研究室で閲覧していただいて、原本による研究ができるような研究支援もしています。

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2019年12月21日

広東外大での学術フォーラムの初日

 早朝より、学術フォーラムの会場である広東外語外貿大学へ行きました。

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 定刻に開幕式が始まります。
 ヘッドホーンを通して、中国語が日本語に同時通訳されていたので、内容はよくわかりました。同時通訳を担当した学生さんは、専門用語が多い内容だけに、大変だったかと思います。しかし、その通訳の効果は素晴らしいものがあります。ぜひとも今後も続けたいただきたいと思います。
 以下、プログラムを挙げながら、私に関わることに絞って書きます。

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 4番目に私が挨拶をしました。

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 ポイントは、会議の手引きの表紙にある、日本側の組織の役割です。大阪大学国際教育交流センター、特定非営利活動法人〈源氏物語電子資料館〉、伊藤科研《海外平安文学情報》について、概略を手短に話しました。
 その後、休憩を挟んで、4名の基調講演です。
 午前最後の4番目に、私が「世界中で読み継がれる〈平安文学〉」の題してお話をしました。

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 持ち時間は30 分です。みなさん時間厳守で、順調に進んでいたので、予定した内容を組み替えながらも制限時間内に、少し余裕を持って終えました。
 ここで強調したことは、以下の点です。

・コラボレーションで取り組む。
・調査では人と会うことを大事にし、直接足を運んで面談を心がける
・翻訳本とその情報を悉皆調査する。
・詳細な翻訳史年表を常時公開する。
・36種類の言語で翻訳された翻訳分を、日本語に訳し戻しする。
・訳し戻された日本語文を比較検討する。
・日本の文化がどう変容して伝わっているかを考察する。
・若い研究者へのバトンタッチを常に意識してあたる。


 今回の成果は新年3月ころに、『海外平安文学研究ジャーナル《中国編》』という電子ジャーナルに掲載して電子版として発行します、いましばらくお待ちください。
 夕食前に、白雲区江夏村方面を散策しました。小さいながら、楽しいお店がたくさんありました。
 途中で、おかしな点字ブロックを見かけました。

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 また、一人カラオケのボックスを見かけました。

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 これはアイデアです。日本にすでにあるのでしょうか。

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 夕食後は、テーブルを囲んでのディスカッションです。
 みなさまは中国語で討議をなさるので、私には同時通訳の方を一人付けてくださいました。

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 通訳の方は私のすぐ横で、発言者が話された内容を整理しながら、わかりやすい日本語でささやいてくださいます。こんな時には、今流行のポケット翻訳機を使うことも可能です。しかし、通訳していただいている間に生まれた疑問を、その場でいつでも通訳者に尋ねられることは、AI翻訳にはできないことです。人間だからこそできるのです。私だけのために同時通訳者が付いてくださったことにより、さまざまなことを考えるきっかけをいただきました。ご高配に感謝します。貴重な体験をすることができました。
 
 
 
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2019年11月24日

翻訳文を日本語に訳し戻すにあたっての方針

 一昨日、平安文学に関する翻訳文を日本語に訳し戻すことを書きました。

「平安文学の翻訳から見たポケット翻訳機への期待」(2019年11月22日)

 今から33年前に、文学研究にコンピュータを導入する意義と具体例を、『新・文学資料整理術パソコン奮戦記』という本にまとめました。その時、コンピュータに文学などわかるはずがない、という批判をいただきました。電気で動く単なる機械に、過剰なまでの期待をもってのご意見でした。
 私が提示したのは、情報文具とい道具をどう文学研究に活用するか、という問題提起でした。それを、コンピュータが人間の思考活動に対峙するものとして、あるいは置き換わるものとして捉えられたのです。この反応は数年続きました。今なら、そんなことを言う人はもういないと思います。

 一昨日、平安文学の翻訳文を日本語に訳し戻すことを書きました。いらっしゃらないとは思うものの、機械翻訳など使い物にならない! 何を愚かなことを! とおっしゃる方がおられるのではと危惧します。そこで、訳し戻しは文学的な表現で日本語に戻すものではないことを、あらためてここで確認しておきます。無用な批判を避けるためです。

 現在、訳し戻しをお願いする時に、次の方針を提示しています。

■訳し戻しの依頼内容■



〈概要〉
 世界各国37種類の言語で翻訳された『源氏物語』に関する翻訳書を整理し、その中から特定の巻を日本語に訳し戻して比較検討の基礎資料とするのが、今回の翻訳依頼の主旨です。
 この各国語翻訳を日本語に一元化したものを通して、日本文化が変容して伝えられていく諸相と実態を確認し、研究者等との共同研究で考察していきます。各国にどのような表現で『源氏物語』が、ひいては日本文化が伝えられているのか、ということを調査研究しようとするものです。
 日本文学を通して日本文化が海外にどう伝わっているか、ということが本研究で最終的に取り組む課題となります。
 そのため、文学的な名訳は求めません。
 現地にお住まいの方に伝わる感覚で、現地の方々が理解できるレベルでの、ごく普通の逐語訳にしてください。日本語を母語とする人に向けての日本語訳ではないことを、充分に理解して取り組んでいただきたいと思います。

〈注意事項〉
(A)日本語へ訳し戻すにあたっての各国語訳の本文資料は、PDFでお渡しします。それを日本語に訳し戻していただき、プレーンテキストで返信してください。

(B)受け取ってから1ヶ月ほどで完成したものを返送してください。完成した日本語訳を公開するときには、訳者のお名前を公表させていただくことをご了承ください。

(C)人選は、各言語につき2名(原則としてネイティブの方1名と日本語を母語とする方1名)を、本科研の研究代表者である伊藤鉄也が適任と思う方にお願いします。

(D)お渡しした資料のうち、「刊記」「まえがき」「序章」「あとがき」等を参照し、当該翻訳文が(1)何時(2)どこの国で刊行(3)誰が(4)どのようなテキストを基にして(5)どのような方針で訳したのか、を整理した文章を、A4版1枚くらいを目安にした分量で、訳し戻し文とは別のファイルで提出してください。

(E)「脚注・後注」も、翻訳者が読者に日本文化をどう伝えようとしているのか、という貴重な資料となります。これも日本語に訳し戻して、訳し戻し文とは別ファイルとして提出してください。

(F)訳し戻しをしていただくにあたり、問題と思われた、もしくは手間取った、または苦労した箇所に関するメモも、訳し戻し文とは別ファイルとして提出してください。日本文化がどのように伝えられているのか、ということを検討する上で、大切な資料になるためです。

(G)文学作品の翻訳書を日本語に訳し戻した著作物や、多言語翻訳を担当した方には、その翻訳に関わる権利を、本科研の共同研究の成果として公開するものであることを理解していただき、作成者個人の権利以外は本科研の基盤研究機関である大阪大学に委譲することを原則とします。これは、日本学術振興会に研究計画を申請した際に申告したことです。


 ここに明示している通り、名訳を期待しているのではなくて、文化の変容を検討するために、可能な限り原語に忠実に日本語へ移し替えてもらうことに力点があります。訳し戻されたものが、日本語として多少おかしくても構わないのです。日本の文化が相手の国にどのような言葉として伝えられようとしたのかを知る資料になればいいのです。
 その意味では、ポケット翻訳機は格好の情報文具となりそうです。
 このテーマが、おもしろい展開となることを期待しています。
 
 
 
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2019年11月13日

東欧で来年9月に国際日本文学研究交流集会を検討中

 現在取り組んでいる科研の成果の公開と、研究交流を目的とした国際日本文学研究交流集会を、来年9月に実施したいと思います。
 2020年9月16日〜19日に、第31回EAJRS(日本資料専門家欧州協会)の会議が、ロシアのサンクトペテルブルグで開催されます。可能であればそこで、翻訳本に関する研究報告をする予定です。
 その後、ハンガリーに移動して、9月20日〜23日の間にカーロリ大学と地方の公共機関等の施設で、国際日本文学研究交流集会を2箇所で開きます。その集会は、平安文学の中でも、〈物語〉と〈和歌〉を中心とした共同討議ができる集まりにしたいと思います。
 ハンガリーの集会に、近隣に在住の方々や、興味と関心をお持ちの方の参加を呼びかけるつもりです。スロベニア、クロアチア、セルビア、ルーマニア、ウクライナなどの国々の方を思い浮かべています。
 まだ、プランをメモとして書き出し、身近な方々と話を始めたところです。基本的には、日本語による発表と討議を行います。一般の方々にも理解していただけるように、通訳と現地語の資料は付けたいところです。この初発の段階から、共同研究としての意見交換をする中で、内容をより具体的に煮詰めていきたいと思います。
 こうした計画について、ご意見やアイデアをお寄せいただけると幸いです。
 
 
 
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2019年10月31日

平安文学の翻訳本整理に関するアルバイトを募集中(その5)

 すでに4度、私の科研で多言語翻訳に関するアルバイトを募集していることを、本ブログに掲載して来ました。
 おかげさまで、すばらしい方との出会いがあり、すでに業務についていただいています。
 そこで、今回はさらに、「日本語による情報の整理をしていただける方」を募ります。
 この科研のテーマで調査を進めていると、膨大な情報が集まります。それらのデータをエクセルなどで整理するのに、人手が足りなくなりました。外国語が得意な方というのではなく、さらなる情報収集と集まった情報を整理していただける方を求めています。もちろん、この研究は多言語・異文化・学際的な領域を対象としているため、作業内容は多岐にわたります。
 有象無象の情報を整理することに興味のある方、文学関連の情報を収集することに興味のある方に来ていただけると助かります。

 今回は、大阪大学外国学図書館(箕面キャンパス)の斜め向かいに建つ、総合研究棟の1階エレベータ横の掲示板に、次のポスターを掲示していただいています。

191029_poster.jpg

 〈内容〉〈時給〉〈日時〉〈場所〉〈連絡先〉は、掲示されている通りです。前回よりも〈時給〉が少し上がりました。

 翻訳については、在宅で取り組んでいただくことも可能です。翻訳に興味と関心があり、アラビア語・クロアチア語・スロベニア語・フィンランド語・ベトナム語・ポルトガル語・リトアニア語などの言語に長けた方の協力を求めています。

 上記言語の運用および翻訳そして情報の整理ができる方について、お知り合いをも含めて、この情報を拡散していただけると幸いです。他大学の学生さんや、社会人の方も歓迎します。連絡をお待ちしています。
 希望される方は、本ブログのコメント欄を利用して連絡をいただければ、折り返し面談に関してメールを差し上げます。
 
 
 
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2019年10月23日

箕面の研究室にフィットレル先生の来訪を受けて

 大阪大学の日本語日本文化教育センターで招聘研究員(日本古典文学専門)をなさっているフィットレル・アーロンさんが、私の研究室にお出でになりました。日本語日本文化教育センターは、私がいる箕面キャンパスの総合研究棟からすぐ近くの坂の途中に建っています。中国からの庄婕淳さんに次いで、研究者としては2人目の来訪者です。部屋が少しずつ片付いているので、こうしてお出でになってもそれなりの対応がどうにかできるようになりました。
 今日も、たくさんの楽しい話に花が咲きました。フィトレルさんは『更級日記』をハンガリー語に翻訳したことに引き続いて、『百人一首』や「三十六歌仙」に興味をもっているとのことです。フィットレルさんのことは、「平安文学のハンガリー語訳に関する最新情報(フィットレル版)」(2018年06月18日)で紹介しました。

 明々後日26日(土)に、NPO主催の京都でのイベントの話をすると、すでに私のブログをお読みだったこともあってか、参加したいとのことです。フィットレルさんのお仲間で、『百人一首』のハンガリー語訳をなさったカーロイ・オルショヤさんにも、声を掛けてみるとのことです。可能であれば連れて来てもらえそうです。
 そのカーロイさんは、『百人一首』のハンガリー語訳をした方なので、来年の2月にこの私の科研の研究会があれば2人で発表をしたい、とのことです。また、来春発行を予定している『海外平安文学研究ジャーナル 8号』に、2人とも研究論文(資料解説)を投稿したい、とおっしゃってくださいました。ありがたいことです。フィットレルさんには、現在編集が最終段階となっているジャーナルの第7号にも執筆していただいているので、楽しみが増えます。
 さらには、ハンガリー語訳『源氏物語』を日本語に訳し戻すことも、引き受けてもらえました。『十帖源氏』もハンガリー語に翻訳したいとのことです。まずは、ハンガリー語訳『源氏物語』の「若紫」「須磨」「明石」の3巻分のコピーをお渡ししました。
 また1つ、完成が楽しみな翻訳資料が増えます。

 科研(A)として取り組んでいる「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)は、途切れることなく情報が集まり、その整理が進んでいます。
 今夏、アルバイトの募集の第2期分を公開しました。
「平安文学の翻訳本に関するアルバイト募集のポスター(その4)」(2019年08月23日)
 今も、この中の「クロアチア語」「スロベニア語」に加えて「ドイツ語」の情報を収集して整理してもらえるアルバイターを探し求めています。

 さらには、諸外国の言語に堪能な方というよりも、集まっている膨大な情報を整理してもらえるアルバイトの方を探し求めています。日本語が読み書きできて、エクセルが普通に使えれば大丈夫です。条件などは、上記2019年08月23日の記事を参照してください。
 いずれにしても、アルバイトのことに関しては、このブログのコメント欄などを活用して連絡をいただければ、私から詳しくお答えします。
 
 
 
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2019年10月18日

ルーマニア語が母語のロマン・パシュカ先生と出町柳で面談

 不思議なご縁で、京都大学のパシュカ・ロマン先生を知ることとなりました。
 簡単な人物紹介は、京都大学のホームページ(http://www.cape.bun.kyoto-u.ac.jp/member/#a_member_pasca)で見ることができます。
 今日は、出町柳でお目にかかり、いろいろと有意義な話を伺う機会が得られました。
 お話の中心は、持参したイオン・スクンピエル氏著「日本ルーマニア関係133年」の巻末資料「ルーマニアで出版されている日本関連書籍」のリストと、在ルーマニア日本大使館のフロレンティナ・トマさん作成の「ルーマニア語に翻訳されている日本文学作品」を見ながらの翻訳書の確認でした。
 今年の3月にルーマニアへ調査旅行で行ったことは、「カンテミール大学訪問後は書店へ」(2019年03月09日)に書いた通りです。その記事にある、カンテミール大学で会った先生方は、みなさんロマン先生のお仲間だったのです。また、翌日の「ブカレスト大学で『百人一首』に関する基調講演」(2019年03月10日)に書いたことも、ロマン先生がブカレスト大学のご出身ということもあり、私がその時に名刺交換した先生方もこれまたお仲間なのです。世界は狭いものだと、いつものことながら実感しました。
 ロマン先生は、『枕草子』のルーマニア語訳に関わっておられました。これについては、古文から訳された1977年版と、それを改訂した2004年版がそうです。1977年版は、時代の趨勢もあり、検閲でカットされたものだったようです。それを、ロマン先生は元版の訳者であるチョンカ先生と相談して補われたのが2004年版だ、とのことでした。これとは別に、2015年版は、英訳からルーマニア語訳にしたものです。オックスフォード大学の先生が関わっておられるようです。これらも、今後の調査で明らかにしていくつもりです。なお、チョンカ先生は現在はドイツにお住まいのようです。機会を得て、その背景などを直接伺いたいものです。
 『源氏物語』に関しては、2017年に刊行されたホンドル先生のルーマニア語訳『源氏物語』以外に、「【速報】1969年版ルーマニア語訳『源氏物語』との出会い」(2019年03月08日)があったことは、すでに報告しました。それに加えて、今日はさらにもう一冊の『源氏物語』に関する情報がいただけました。それは、1985年にEPLUから刊行されたルーマニア語訳『源氏物語』です。これは、フランス語からの重訳のようです。ただし、「葵」巻までのようなので、1969年版のアーサー・ウェイリーの英訳からルーマニア語に訳した『源氏物語』とどのような関係にあるのか、今後さらに調査を進めて行きます。
 今日のロマン先生のお話から、ルーマニアの共産主義時代における出版物に関する影響を考える必要性を痛感しました。私には荷の重いこととはいえ、多分野の方々とのコラボレーションを通して、問題点を浮き彫りにしていきたいと思っています。ご意見などをお寄せいただけると幸いです。
 ホンドル先生のルーマニア語訳『源氏物語』「若紫」巻のコピーをお渡しし、日本語への訳し戻しをお願いしました。
 こうして、ルーマニア語に翻訳された平安文学の調査研究も、少しずつ前進しています。成果が見える形で報告できることを、今から楽しみにしています。
 
 
 
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2019年10月16日

愛知文教大学で翻訳本に関する出張授業

 今日は、愛知文教大学で「海外で読まれている平安文学 −翻訳本の表紙を楽しむ−」と題して、出張授業をして来ました。科研の成果を公開することで、若い学生たちに最新の情報を提供し、一緒に考えるきっかけを作り出そう、とするのが目的です。
 配布する資料の冒頭には、次の説明を掲げました。
 これから、このプログラムをメニューの一つとして、全国各地を回って行く予定です。

開催目的:日本古典文学が海外で受け入れられている現状と世界の書籍文化を知る機会の提供

開催基盤:科研(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」
     (課題番号︰17H00912、研究代表者・伊藤鉄也・大阪大学)

後援協力:特定非営利活動法人〈源氏物語電子資料館〉

講義補助:吉村仁志(科研運用補助員、同志社大学・3年生)

配布冊子:『平安文学翻訳本集成〈2018〉』(伊藤鉄也 他3名編、2019年3月)
     【ダウンロード先】https://genjiito.org/aboutkaken/allresearchreports/

閲覧資料:『平安文学翻訳本集成〈2018〉』に掲載した翻訳本から20点を適宜選択

情報公開:「海外へいあんぶんがく情報」(http://genjiito.org

講義概要:
 日本の古典文学の中でも、平安文学は多くの国々で翻訳され、広く読まれている。例えば『源氏物語』は36種類の言語で翻訳されている(2019年10月16日現在)。
 今回は、その翻訳本の表紙と中身および収集の来歴を紹介し、そこから見えてくる今後の新しい研究テーマを紹介する。平安文学を翻訳した本の表紙デザインの多彩さを楽しんでいただけるように、20冊を精選して持参した。世界各国の翻訳本を自分の手で触り、目で見て、表紙絵・装訂・用紙・文字の諸相を体感してほしい。そして、日本の古典文学の中でも平安文学が、さまざまな外国語に翻訳されている状況やその意味を考えていただけると幸いである。


 キャリーバッグに詰め込んで持参した翻訳本20冊は、以下のものてす。

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※『平安文学翻訳本集成〈2018〉』での、持参した20冊の図版番号と翻訳言語
  (G=源氏、H=平安 未収=冊子に未収録)
--------------------------------------
〈前掲写真の左側〉(英語・日本語・ビルマ語・タミル語・タイ語・チベット語)

【G10、英語】 【H4、英語】 【H14、『蜻蛉日記』、英語】 【H『百人一首』、英語、未収】

【G日本語訳、未収】【G73、ビルマ語】【G38、タミル語】【G『あさきゆめみし』、タイ語、未収】

【G画帖、英語、未収】 【H11、英語】 【H11、チベット語】
--------------------------------------
〈前掲写真の右側〉(中国語)

【H6】 【H39】 【G『あさきゆめみし』(中国語)、未収】

【G解説、日本語、未収】 【G解説。英語、未収】 【G解説書、中国語、未収】

【G45、繁体字】 【G55、簡体字】 【G42】


 名古屋駅でJR中央線に乗り換え、高蔵寺駅からスクールバスで大学へ行きました。気持ちのいい樹々の中に、爽やかな学校がありました。写真左端の建物の2階が、本日の会場でした。

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 まずは、学長室で少しお話をしました。広報のためにブログ用の写真を、とのことだったので、それでは私も訪問した証明写真を、ということで学長と写真を撮り合いしました。大学の広報紙に、この時の写真が掲載されるようです。

 会場は階段教室が用意されていました。

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 学生には、今春発行した『平安文学翻訳本集成〈2018〉』と、お話する内容を分かりやすくまとめたA4カラー版7枚の資料を配布しました。持参した翻訳本20冊は、教室の前の方に並べました。

 約60分間、レジメを基にして写真やホームページを映写しながら、一般の学生であることを意識して説明を進めます。
 まずは、こんな部屋で世界中の翻訳本と情報を整理していますよ、と箕面キャンパスの研究室の様子を映し出しました。

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 今日の受講生は学部1年生で、科目名は「日本の伝統と文化」です。日頃から科研の資料と情報の整理で箕面キャンパスに来ている科研運用補助員の吉村仁君も同行し、会場で手助けをしてもらいました。
 スクリーンに写真や資料を映写しながら、海外での平安文学の研究状況や翻訳本の実態を語りました。おおよそ、次のような進行です。

 最初に強調したのは、『源氏物語』が36種類の言語で翻訳されていることです。

【『源氏物語』が翻訳されている36種類の言語一覧】(2019年10月16日 現在)

アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウクライナ語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・オランダ語・オディアー語(インド)・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロベニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・(現代)日本語・ハンガリー語・ハングル・パンジャービー語(インド)・ビルマ語・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ルーマニア語・ロシア語・(※日本点字訳を予定)


 また、近年は英訳『源氏物語』の訳し戻しがなされています。
 ・『ウェイリー版 源氏物語 全4巻』
  (佐復秀樹訳、平凡社ライブラリー、2008年〜9年)
 ・『源氏物語 A・ウェイリー版 全4巻』
  (毬矢 まりえ, 森山 恵、左右社、2017年〜19年)
 具体的には、次のような訳の違いが見られます。
 「Her lodging was in the wing called Kiritsubo.」の“wing”
  →佐復訳「対」、毬矢訳「本殿から離れたウィング」

 同じように私の科研でも、各国の翻訳を訳し戻していることを報告しました。可能であれば、ネイティブスピーカーと日本人の翻訳者の2人で訳すようにしています。

■平安文学作品の翻訳本を日本語に[訳し戻し]すること(※公開準備中)

 各国語に翻訳された文章を日本語に一元化し、それを通して、日本文化が変容して伝えられていく諸相と実態を確認し、研究者等と共同研究の形で考察していく。各国にどのような表現で平安文学が、ひいては日本文化が伝えられているのか、ということを調査研究しようとするものである。日本文学を通して日本文化が海外にどう伝わっているかの究明が、この研究において最終的に取り組む課題となる。


 また、『十帖源氏』を多言語翻訳する取り組みも紹介しました。

『十帖源氏』の翻訳と研究

 日本側で作成した平易な現代語訳を活用して各国で翻訳を進める
  検索表示画面 http://genjiito.org/10jyougenji/10jyougenji_japan/
  (カーン訳) https://genjiito.org/heian_data/glossary_db_kri_02/
  ※各国の翻訳の訳し戻しを基礎資料として、国際集会で共同討議を行なう
 翻訳しやすい現代日本語訳を東京と京都で作成中
 NPO法人〈源氏物語電子資料館〉のホームページから公開中
  http://genjiemuseum.web.fc2.com/10jyo-kiroku.html


 インドにおける8言語による翻訳の例も、日本の文化を多言語に翻訳することの困難さの事例としてあげました。
 併せて、表紙のデザインにも注目してほしいとも。
 例えば、金閣寺や遊女や浴衣等が描かれた表紙絵からは、日本をイメージするアイテムの性格が、国々によって異なることがわかります。アジア諸国は、欧米とは異なるデザインになっているように思われます。これらは、これからの若者に考えてもらいたいこととして提示しました。

 最後の20分は、実際に持参した翻訳本を手に取って見てもらいました。
 質問の中には、なぜこんなにたくさんの平安文学作品が翻訳されているか、ということがありました。よくわからないと前置きをした上で、読んだ内容が京都へ行くと追体験できることも、人気の一つではないか、と答えました。地名や通りや建物が数多く今も残っているので、千年前の日本の話であっても、イメージを作り上げやすいのだと思われます。再確認や再構築することが容易なのです。虚構と現実とが錯綜する楽しみを実感できることが、海外の多くの方々に読んでもらえる背景にあるのではないでしょうか。
 翻訳することの意味も考えましょう、と問いかけました。翻訳本を通して、日本の文化が他国に言葉の移し替えによって伝わります。その伝わり方を調べることは、自ずと異文化交流につながるのです。国際交流の原点に立つことになります。言葉にこだわることの意味を、学生たちには何とか伝えることができたのではないかと思います。
 久しぶりの授業で緊張しました。しかし、心地よい疲れを味わうこともできました。
 今後とも、この取り組みを続けたいと思います。声をかけてくだされば、こちらから翻訳本を持って伺います。まさに、出前授業です。科研の成果を公開するものなので、金銭的な負担はおかけしません。次は、来年2月に行くところがほぼ決まっています。その前後にも可能ですので、お問い合わせいただければ検討させていただきます。
 
 
 
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2019年09月25日

セルビア語が母語のフィリップさんと淀屋橋で面談

 今日は、多くの方からの嬉しい連絡や情報があり、取り組んでいる科研「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)の今後の展開がますます楽しみになりました。

 まず、インドでお世話になった村上明香さんが、無事に博士の学位を取って帰国したとのことです。アラハバード大学に留学し、ウルドゥー語の勉強をしてい彼女のおかげで、ウルドゥー語訳『源氏物語』を見つけることができたことは、「ウルドゥー語訳『源氏物語』の完本発見」(2016年02月19日)に書いた通りです。来月、東京で会うことになりました。楽しい夢のある話が、たくさん聞けそうです。

 ルーマニア語に関して、研究協力者の淺川槙子さんの仲介で、京都大学のロマン・パシュカ先生と連絡がつきました。科研のテーマに理解を示してくださっているので、これからいろいろと連絡をとります。私のことは、カンテミール大学の研究仲間から聞いていたとのことです。次の記事に、そのカンテミール大学へ行った時のことを書いています。「カンテミール大学訪問後は書店へ」(2019年03月09日)
 また、心強い研究協力者が加わります。

 昨夏、米国ハーバード大学でお世話になった京都工芸繊維大学の井戸美里さんが、今週末28日(土)に開催する「紫風庵」での「源氏物語と三十六歌仙の写本を変体仮名で読む会」(第5回)に参加するとのことです。美術・絵画を専門とする方なので、この会がますます盛り上がることでしょう。井戸さんとのことは、「写本の調査の後はお茶室を見学し英訳源氏を確認する」(2018年08月30日)に書いています。

 そして先ほどまで、大阪中之島の淀屋橋で、セルビア生まれのフィリップ・ステファノヴィッチさんと楽しい話をしてきました。夜の土佐堀川の川面に光が映り瞬くのを見下ろしながら、セルビアの話を聞きました。

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 セルビア語が母語のフィリップさんは、ベオグラード大学で日本語を勉強し、大阪大学に留学もしていたという、爽やかな青年です。フィリップさんの日本語は、非常に流暢でした。会うまでは、なぜか髭面のおじさん顔を想定していたのです。ごめんなさい。科研の主旨を理解していただき、セルビア語訳『源氏物語』の研究に協力してもらえることになりました。

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 また、セルビア語訳『源氏物語』の翻訳は2003年に出ているので、翻訳者は健在だろうということで、その方を探してもらえることにもなりました。翻訳者と連絡が取れ次第に、現地で直接お目にかかってお話を伺って来ることになりそうです。
 お渡しした『平安文学翻訳本集成〈2018〉』のセルビア語訳に関する記述で、翻訳者の名前のスペルが間違っていることがわかりました。正しくは、「Sreten Ilic(スレーテン・イリック or イリッチ)」です。「I」と「L」は紛らわしい字形をしているので、間違ってしまいました。書誌事項と翻訳史年表共に訂正が必要です。また、書名に「ロマン」(小説)という語は不要だと思われます。これについては、翻訳本の書名をどうするのかという問題として、各国語の表記を再検討して決めたいと思います。
 
 
 
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2019年09月04日

突然の雷雨で電車が運休し小旅行となる

 今日は、外国学図書館で、大学所蔵の翻訳本の確認を書庫の中でしました。書棚一列で、私の手元にない翻訳本が38冊も見つかりました。その棚の裏側の列には、詩歌関係の翻訳本がたくさんあります。他にも、日記や随筆の棚にも翻訳本があります。これらは、来週以降の調査とします。この調査結果は、科研の成果を報告しているホームページ「海外平安文学情報」(http://genjiito.org)に公開しますので、いましばらくお待ちください。

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 受付で司書の方から、この箕面の外国学図書館と豊中の総合図書館とが所有する翻訳本を、OPACを使ってリストアップする方法を教えていただきました。長時間にわたり、丁寧な説明をしていただき感謝しています。私が何でも次々と聞くので、何かとお手数をおかけしています。ありがたいことです。
 しばらくは、こうした情報収集と資料整理に専念することになりそうです。

 午後3時ごろ、阪急の西京極駅から桂駅の間で、落雷に伴う信号関係の故障が発生したようです。そのために、桂駅〜河原町駅間の運転が見合わせとなっていました。私が帰ろうとしていた午後5時過ぎも、まだ復旧していません。振替輸送となっていました。今年の4月以来、初めての通勤電車の運休です。
 どうしたら河原町駅まで帰れるのか、よくわからないままに駅員さんに相談すると、各停で富田駅か高槻市駅か大山崎駅でJRに乗り換えて京都駅に出るしかない、とのことです。ただし、阪急の高槻市駅からJR高槻駅までは徒歩10分。この雨の中で乗り換えは大変なので、富田駅か大山崎駅での乗り換えを勧められました。

 大山崎というと、乗り換えるJR山崎駅のすぐ横に「妙喜庵」がある所です。千利休が作った現存唯一の茶室で国宝の「待庵」がある所です。近くまで行ってみるか、と心が動きました。しかし、そこの拝観は予約が必要であり、今は振替輸送で移動する途中の身です。一番乗り換えが近い富田駅から摂津富田駅へ移動して、京都駅に出ることにしました。
 仕事帰りの小旅行となりました。
 
 
 
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2019年08月27日

『平安文学翻訳事典 2020』の分類項目(試案)と解説項目

 今日は、研究協力者の2人と一緒に、本科研の最終報告書の1つとなる『平安文学翻訳事典 2020』の構成を検討しました。そして、収録する本をどのように整理するかを考えました。この件では、第1回目の打ち合わせとなります。

 これまでに研究代表者として私が、海外の文学研究に関して研究成果を公刊した資料集は、以下の8点があります。
『海外における源氏物語』(2003年)
『スペイン語圏における日本文学』(2004年)
『海外における平安文学』(2005年)
『海外における上代文学』(2006年)
『海外における日本文学研究論文1+2』(2006年)
『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』(2014年)
『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』(2016年)
『平安文学翻訳本集成 2018』(2019年)

 これらは、統一した分類基準によって翻訳本に関する諸書を整理してはいませんでした。そこで、この時点で基本的な分類項目を立て、今後とも増え続ける翻訳関係の資料を整理するための方針を確認しました。

平安文学関連の翻訳書籍の分類項目
(明治以降、試案、2019/08/27)

(1)翻訳(作品自体の翻訳、現代日本語訳を含む)
(2)抄訳
(3)研究(翻訳者関連本を含む)
(4)解説
(5)小説(翻案)
(6)随想
(7)漫画


 なお、各翻訳本の解説では、一冊ごとに次の項目を立てて説明をして来ました。これは、今後とも継続する予定です。

【言語の種類】
@ タイトル
A 翻訳者
B 出版地
C 出版社・発行者
D 発行・刊行年
E 巻号
F 頁数
G 序文・解説の内容の概略
H 翻訳に用いた底本情報
I 翻訳内容の構成、章立
J 図版、挿絵の有無
K 参考文献の有無
L 索引の有無
M メモ・その他


 この方針で記述した一例として、フランス語訳『伊勢物語』をあげます。

【フランス語】
@『伊勢物語』
  Contes d'Ise (Ise monogatari)
A翻訳者 Gaston Renondeau(ガストン・ルノンドー)
B出版地 Paris(パリ/フランス)
C出版社・発行者 Gallimard(ガリマール出版)
D発行・刊行年 1969 年
E巻号 1
F頁数 184 頁
G序文・解説の内容と概略
 ルノンドーによる『伊勢物語』のフランス語訳。序、解説(7 ~ 11 頁)はいずれも翻訳者自身による。序には、はじめに能楽作品を通じて『伊勢物語』の世界と和歌に触れたとある。また、本書は Frits Vos(フリッツ・フォス)による A Study of the Ise monogatari , 1957 の出版以後の翻訳であり、『伊勢物語』の価値を再評価するために力を尽くした、とある。解説では、まず和歌の形式・修辞法について説明し、『伊勢物語』の成立と年代に関しては、主人公在原業平に関する歴史書の記述や『古今和歌集』(905 年)、『後撰和歌集』(951 年)等に重出する和歌の存在から、成立年代を 951 年頃、もしくはそれ以降とするフォスの説を紹介する。
H翻訳に用いた底本情報
 伝定家筆本
I翻訳内容の構成、章立
 翻訳部分(17 ~ 181 頁)は、全 125 段を、長短を問わず 1段ごとに頁を改めて訳出する。和歌の部分は行と書体を改め、字数を下げ、上句と下句の境を意識しながら主に5行の分かち書きにする。掛詞の翻訳には、詞と掛けられた意味を併記した箇所(108 段)がある。適宜、脚注に有職故実や史実、語釈などを付す。
J図版、挿絵の有無
 翻訳の前に、史料に確認される在原業平の略歴を掲載し、藤原一族及び皇室の系図から業平の系譜上の位置を示す(13 ~ 16 頁)。
K参考文献の有無 −
L索引の有無 −
Mメモ・その他
 表紙には仏の坐像を使用する。Collection Unesco D’ oeuvres Représentatives Série Japonaise シリーズの1つである。翻訳者・ルノンドーには、他に谷崎潤一郎『鍵』(La confession impudique, 1963)、三島由紀夫『宴のあと』(Après le banquet, 1965)などの翻訳がある。


 ここに提示したのは、あくまでも今日の時点での、最初の試案です。
 大方のご意見をいただく中で、検討を重ねながら確定していきたいと思っています。
 ご教示をいただけると幸いです。
 
 
 
posted by genjiito at 20:56| Comment(0) | ■科研研究

2019年08月23日

平安文学の翻訳本に関するアルバイト募集のポスター(その4)

 すでに3度、私の科研で多言語翻訳に関するアルバイトを募集していることを、本ブログに掲載しました。
 おかげさまで、すばらしい方との出会いがあり、すでに業務についていただいています。
 大学の図書館の入口は、こうした方々の募集には最適なスペースのようです。
 そこで、今回はさらに、「クロアチア語・スロベニア語・セルビア語・ルーマニア語」の言語に関して、アルバイトとして来てくださる方を募ります。

 今回も、大阪大学外国学図書館(箕面キャンパス)の入口に、次のポスターを前回のものと張り替えて掲示していただいています。

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 〈内容〉〈時給〉〈日時〉〈場所〉〈連絡先〉は、掲示されている通りです。
 翻訳については、在宅で取り組んでいただくことも可能です。

 上記言語の運用および翻訳ができる方について、お知り合いを含めて情報を拡散していただけると幸いです。他大学の学生さんや、社会人の方も歓迎します。連絡をお待ちしています。
 希望される方は、本ブログのコメント欄を利用して連絡をいただいても構いません。
 
 
 
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2019年08月13日

ビルマ語の研究者と念願の面談をして

 大阪大学 外国語学部 ビルマ語専攻の大塚先生と、長時間にわたり親しくお話をしました。昨晩シンガポールから戻って来られ、明日から9月15日までミャンマーで調査というハードスケジュールの隙間に、こうして貴重な時間を割いて下さいました。ありがたいことです。この面談は、ヤンゴンでお世話になったココライズジャパンの長田さんが間に入ってくださったことで実現したものです。
 場所は、私の研究室がある総合研究棟に接する研究講義棟B棟でした。初対面ということで、まずは次の3点の希望するところを伝えました。

(1)ビルマ語に翻訳された日本文学と日本文化に関する約130点の書籍のリストが、現在手元にあります。ただし、その書誌が未整理なので、このお手伝いをしてもらえるアルバイトの学生さんを紹介してもらえないか。

(2)ビルマ語に翻訳された平安文学関係の作品を、わかりやすい日本語に訳し戻してもらえる方を紹介してほしいこと。具体的には、『百人一首』と『三十六歌仙』のビルマ語訳を手始めに。

(3)NPO法人〈源氏物語電子資料館〉のホームページから公開している、ダイジェスト版『十帖源氏』の「須磨」巻と「明石」巻をビルマ語に翻訳できる方を紹介してほしいこと。


 それぞれに、適任者を探してくださることになりました。
 また、井上先生と南田先生を紹介していただけるとも。長年、日本とビルマの文化交流に関わってこられた先達のアドバイスをいただけることで、この科研の情報の質が格段にあがることでしょう。
 さらには、去年と今年の2回にわたって私が行った、ヤンゴン外国語大学には教え子が今年度から行っているとのことなので、次回行った時には最新の情報交換ができます。新しいネットワークが、これまでの人脈をさらに補強できます。ありがたいことです。
 最後に、ビルマ語とミャンマー語の使い分けについて、お尋ねしました。私が今使っているビルマ語という表現でいい、というのが結論です。政治的な視点からはいろいろとあるにしても、ニッポンとニホンが通用するように、どちらでも問題はないそうです。文化論の範疇で扱うことでもあり、今後ともビルマ語で通すことにします。
 今春から、旧・大阪外国語大学の箕面キャンパスに研究室を持つようになりました。それによって、願ってもない研究環境に身を置いていることを実感する日々となっています。これまでに本科研「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)に理解を示してくださった多くの方々に感謝するとともに、この環境を生かして、さらに稔り多い成果に結びつくように、調査と研究を展開していきたいと思います。
 
 
 
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2019年08月07日

箕面キャンパスでの新しい研究室のレイアウト

 本年4月から、研究環境が大きく変わりました。大阪府下箕面の地に研究活動の拠点を移し、気分一新でスタートしたことは、すでに報告した通りです。ただし、提供していただいた研究室は、90平米もある広い部屋でした。プレゼンテーションルームと呼ばれていた大広間です。

190807_room0.jpg

 普通の研究室の3部屋分あるので、この部屋をどう使うか思案しながらの5ヶ月でした。荷物を運び込んだ当初の様子は、
「微笑んでいるように見えた太陽の塔」(2019年04月03日)

「楽しい偶然が重なって稔りある一日になる」(2019年04月09日)、
そして
「京洛逍遥(541)新研究室の整理をした帰りに嵯峨野温泉へ」(2019年04月24日)
に書きました。


 什器が何もなかったので、引越しの時に運び込んだダンボール箱を組んで、簡易書架を作って対処しました。
 しかし、いつまでもこのままではいけないので、什器を購入していただくことにしました。机、イス、作業用のテーブルなどです。

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 そのうち、ダンボールで組み上げた本箱が、次第に変形しだしたのを機に、カラーボックスを手配しました。貴重な翻訳本や書類などを管理するためです。昨日、そのカラーボックスが25個届きました。組み立ててあるものだと思っていたところ、それは私の方で組み上げるものだったのです。発注の仕組みがまた理解できていないこともあり、いろいろと思い違いがあります。
 とにかく、カラーボックスはこちらで組み立てるしかありません。普通の3段ボックスが15個と、A4版が縦に入る少し背の高い3段ボックスが10個あります。
 特任研究員の大山さんが、ご自宅から電動ドライバーを持ってきてくださいました。これは大助かりで、この工具は今回の組み立て作業で大活躍しました。
 組み立てのほとんどは、アルバイトで来ている吉村君が大奮闘してくれました。おかげで、25個のカラーボックスを、2日がかりで合計400本のネジを捻じ込んで完成させることができました。私も何個かを組み立てました。

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 このカラーボックスを段ボール箱と置き換えた部屋全体は、こんな雰囲気になりました。
 翻訳本は、これも吉村君の手際の良い整理のおかげで、翻訳言語別に見事に並べて終わりました。次の写真の正面奥に4段に積み上げてある段ボール箱は、来週撤去するものです。

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 壁際には、梱包されてきた段ボールが積み上がっています。この風景も、今回の貴重な記録です。

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 あとは、これから時間をかけて、A4版の書類や資料を整理します。もちろん、研究書や資料集などは、まだ床に積み上げたままの状態です。根気が求められています。とにかく、これでやっと何とか整った環境で研究が進められます。
 翻訳本や関連資料をご覧になる方のために、閲覧用の丸テーブルも用意できました。資料確認やさまざまな情報の活用にと、これまでに収集整理したものが役立つことでしょう。本年3月に発行した『平安文学翻訳本集成〈2018〉』に掲載した翻訳本などの確認も、この新しい研究資料室でできるようになりました。

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 遅ればせながら、半歩前進です。ただし、アルバイトの方々に作業をしてもらうエリアは、これから整備していきます。今月から来月にかけて、あと3名のアルバイトの方(ロシア・インド・ミャンマー)に手助けしていただく予定です。

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 現在、ミャンマー、モスクワ、ウクライナ、オーストラリアへの、調査研究の旅を計画しています。平安文学に関連した新しい情報をお持ちの方からの、調査の協力や連絡をお待ちしています。
 
 
 
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2019年07月30日

ロシア語の資料と情報を整理できる方と面談をして

 科研で、ロシア語を担当していただけるアルバイト希望の方と、箕面キャンパスの研究室でお話をしました。図書館に掲示していたポースターが目に留まったことから、仕事をしてみたいとの連絡があったのです。
 お目にかかったのは、大阪大学外国語学部でロシア語を勉強しておられる方です。先月6月までの1年間、サンクトペテルブルグに交換留学生として行っていたとのこと。モスクワでの留学経験もあるそうです。心強い助っ人がまた一人、この科研に加わります。ウクライナ語の勉強もしていたとのことなので、ちゃっかり最近刊行されたウクライナ語訳『源氏物語』のこともお願いしました。
 手掛けたいことは無限にあります。それはともかく、まずは一歩ずつ進みます。
 集めた情報や成果は、その都度、ホームページ「海外へいあんぶんがく情報」に公開します。この科研は、コラボレーションによる共同研究で進めています。専門家や関係者からの、折々のご教示をいただけると、ささやかな報告も大きな稔りに成長していくことでしょう。
 引き続き、インド諸語とルーマニア語による平安文学情報の収集と整理をしてくださる方を、探し求めています。新しい出会いを楽しみにしていますので、このブログのコメント欄を活用して連絡をください。折り返し、面談についての返信を差し上げます。
 大阪大学で科研の事務を担当なさっているみなさまへ。
 次から次へと、矢継ぎ早に急なお願いばかりで申し訳ありません。
 もろもろ、ご高配のほどを、よろしくお願いいたします。
 
 
 
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2019年07月22日

平安文学の翻訳本に関するアルバイト募集のポスター(その3)

 すでに2度ほど、科研で多言語翻訳に関するアルバイトを募集していることを、本ブログに掲載しました。

(1)「平安文学の翻訳本に関するアルバイト募集中」(2019年04月17日)
 (ここでは、「インド諸語、ビルマ(ミャンマー)語、ルーマニア語を最優先で」と。)

(2)「続・平安文学の翻訳本を整理するアルバイトを募集中」(2019年06月12日)
 (ここでは、ロシア語を追加。)

 その後、特に問い合わせも希望者もないままに、今に至っています。条件としての言語があまりにも限定されているので、該当する方にこの募集案内が届いていないかと思われます。

 そこで、大阪大学外国学図書館(箕面キャンパス)の入口に、今月初旬から、次のポスターを掲示していただいています。今春よりアルバイトで来ている吉村君が、このかわいいポスターを作ってくれました。

190721_Arbeit.jpg

 ここにも記したように、次の言語に親しんでおられる方を求めています。翻訳については、在宅で取り組んでいただくことも可能です。

インド諸語、ビルマ(ミャンマー)語、ルーマニア語・ロシア語


 この内、ビルマ(ミャンマー)語については、来月中旬の面談しだいで適任者を紹介してもらえることが期待できる状況にあります。
 いずれにしても、「インド諸語、ビルマ(ミャンマー)語、ルーマニア語・ロシア語」の運用および翻訳ができる方について、お知り合いを含めて情報を拡散していただけると幸いです。
 
 
 
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2019年06月12日

続・平安文学の翻訳本を整理するアルバイトを募集中

 本年度が始まってすぐの4月17日に、「平安文学の翻訳本に関するアルバイト募集中」という記事を公開しました。
 このことで、再度の募集のお知らせです。

 科研「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)では、平安文学に関する翻訳本の整理を進めています。多彩な言語にわたるものなので、手助けをしてくださる方を募っています。
 次の言語が母語で日本語を普通に運用できる方と、日本語が母語の方で次の言語を日本語に翻訳できる方を探し求めています。翻訳は、文学的な表現を求めているのではなく、逐語訳ができるレベルで大丈夫です。翻訳本に関する資料作成のお手伝いをお願いしたいのです。

インド諸語・ビルマ(ミャンマー)語・ルーマニア語・ロシア語


 現段階では、以下の条件を考えています。

 ※時給:950円(交通費の支給なし)
 ※日時:火 or 水曜日/11時〜16時の5時間以内
 ※場所:大阪大学箕面キャンパス 総合研究棟 6階
     (大阪府箕面市粟生間谷東8丁目1)

 やってみようと思われる方は、このブログのコメント欄を活用してお知らせください。直接お目にかかって、実際の翻訳資料をもとにしてご説明いたします。
 なお、成果は科研のホームページ[海外へいあんぶんがく情報](http://genjiito.org)に公開し、お名前は研究協力者の中のアルバイトの項目に明記します。これは、情報の質を確保する意味で責任の一端を共に担っていただく意味から、この科研では常に心がけていることです。
 
 
 
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2019年06月07日

大阪大学外国学図書館の貴重な資料群

 私の新しい研究室のすぐ隣には、外国語学部の研究室が入ったB棟があります。
 その3階から上には、これまで探し求めて来た海外の翻訳本情報や、貴重なアドバイスがいただける研究室が並んでいます。

190607_panel.jpg

 『源氏物語』は、今日現在で36種類の言語で翻訳されています。先日報告したように、最近確認できたのが、36番目となるウクライナ語訳『源氏物語』です。平安文学となると、さらに言語の種類は増えそうです。とにかく、日本の文学は、それも古典文学は世界中の言語に翻訳されているのです。
 上の写真の多彩な言語を担当されている研究室を見ても、今はまだ確認できていない『源氏物語』を翻訳した言語は、デンマーク語・ペルシア語・スワヒリ語・タイ語・インドネシア語・フィリピン語があるのです。これらも、直接研究室を訪問して先生にお目にかかり、またその国から来ている留学生たちに話を聞けば、まだまだ見つかりそうです。その研究室訪問の計画は、現在準備を進めているところです。

 そのB棟の前、私の研究室の真下には、大阪大学外国学図書館があります。
 今回、図書館の利用手続を終え、書庫に入ることができました。まさに、私にとっては垂涎の資料の宝庫でした。

 日本文学作品が並ぶ書棚には、日本語の本の間に翻訳本が寄り添うように置かれていました。私は日本語と英語しか認識できないので、これらはどのような本であるのかを、研究協力者の手を借りて後日あらためて調査します。表紙を見た限りでも、まったく知らない本が多くありました。

 オンライン蔵書検索(OPAC)で、所蔵資料はわかります。いや、わかるはずです。しかし、これまでの経験では、自分で直接書籍や資料を手にしてみないと、確かなことは言えません。コンピュータの記録やシステムは、あくまでも文字化された情報の集積です。文字列にされた時点で、削ぎ落とされた情報を、本そのものは持っています。まずは表紙の絵が、OPACではわかりません。

 言語がわからなくても、私はまずは勘に頼って本を仕分けています。その後に、専門の方に教えていただくのです。まずは勘から、というのが、一番の近道のように思っています。科学的な研究手法ではありません。しかし、これまでにこの手法で、絶対にないといわれて来た本を何冊も見つけ出して来ました。これも、立派な研究手法だと思います。

 それよりも何よりも、この図書館の書庫で驚喜したのは、コレクションの多さでした。
 例えば、「ユーゴ関係コレクション」「リトアニア語寄贈図書」「台湾研究講座関連図書」に始まり、退職なさった先生方の寄贈図書群である「スペイン語関係」「ブラジル・ポルトガルコレクション」「ヤンゴン大学寄贈図書」「ビルマ語関係」「中央アジアコレクション」「インド関係」「インド・パキスタン関係」「インドネシア語関係」「南十字星文庫」「北欧関係」「中国語・中国文学」「サハラ以南 アフリカ言語文化コレクション」などなど。ここには、先生のお名前を冠した文庫は取り上げていません。
 さらには、膨大な量の海外の新聞・雑誌・書評などの印刷物。

 この書庫の整理だけでも、翻訳本の有無はともかく、世界に紹介されている日本文学の全体像を明らかにする手がかりが得られます。それだけでも、ますます夢が広がります。

 この大阪大学外国学図書館が所蔵する平安文学の翻訳本の情報と、私が持っている本のリストを統合したものが出来たら、東京外国語大学の図書館の資料と突き合わせてみたいと思います。
 それによって、「海外へいあんぶんがく情報」(http://genjiito.org)から公開している翻訳史年表も、さらに詳細なものとなることでしょう。

 こうした作業のお手伝いをしてくださる方を探し求めています。謝金がどのように使えるのか、まだ研究基盤機関が変わったばかりなので、その実状がわかりません。とにかく、ご自分の勉強を兼ねての原本調査の協力、ということで、連絡をいただけると幸いです。
 
 
 
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2019年05月30日

科研の実績報告書ができました

 昨年度の科学研究費補助金による基盤研究(A)の取り組みは、「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)をテーマとするものでした。
 その成果・実績の報告書が学振(日本学術振興会)から公開されるまでに、しばらく時間がかかります。そこで、その研究実績の報告書の一部をここに引用します。
 交付された直接経費は〈7,900,000円〉、間接経費は〈2,370,000円〉、未使用額は〈68,793円〉でした。
 多くの方々に助けられて、多くの成果をあげることができました。
 あらためて、関係するみなさまにお礼を申し上げます。
 まだ後2年あります。
 これまでと変わらぬご支援を、引き続きよろしくお願いします。

【研究実績の概要】


 本年度も、海外の研究情報と翻訳本を収集する活動と共に、現地の大学及び国際交流基金とのコラボレーションとしての国際研究交流を実施した。出向いた国は、ペルー・アメリカ・ミャンマー・ルーマニアの4カ国であった。いずれも先生方や現地の研究者との有益な面談に加え、多彩な研究情報や資料と、情報として伝わっていなかった多くの翻訳本を入手することができた。特に今年度は、ルーマニア語訳『源氏物語』の情報と共に翻訳者との対談も実現したことは大きな成果となった。これらは、年度末に発行した報告書である『平安文学翻訳本集成〈2018〉』に収録している。
 また、翻訳書籍に関する展示も、昨年度に引き続き開催した。研究代表者が収集した各国語に翻訳された古典文学作品について、解題を付して展示を行ったものである。多くの学生、教職員の目に留まるようにした。
 各国語訳『源氏物語』の訳し戻しは、世界35言語に翻訳された『源氏物語』を、その言語を母語とする者(母語話者)と母語としない者(非母語話者)により、日本語への訳し戻しを行っている。今年度は、主にビルマ語訳『源氏物語』(ケィン キン インジィン著)の訳し戻し作業を行い、日本文化の変容を考察する基礎資料を作成した。このことは、研究会に翻訳者ご本人をお呼びし、ディスカッションをする中で翻訳について考えた。
 懸案のホームページ「海外へいあんぶんがく情報」(http://genjiito.org)は、年度末に無事に完成し公開することができた。これは、前回の科研で作成した「海外源氏情報」をさらに発展させた内容のホームページである。今後は、このホームページを情報公開の窓口として、これまでの研究成果を広く共有しながら本科研のテーマを追求し、深めていきたい。(752字)


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【現在までの進捗状況】


(1)当初の計画以上に進展している。

 当初設定した、研究期間の4年間で調査研究によって解明する目標は、次の3点であった。
 1. 世界各国で翻訳されている平安文学の総合的調査を実施し、各国の受容史と研究史を整理
 2. 江戸時代の簡約版『十帖源氏』を多国語翻訳し、日本文化の変容と理解について共同研究
 3. ホームページや電子ジャーナル等のメディアを活用して、研究者が情報交換をする場所を提供
 この内、1は予想以上に情報が集まり、受容資料としての翻訳本も確実に収集点数を増やしている。また、
 3のホームページ[海外へいあんぶんがく情報](http://genjiito.org/)も年度末に稼働しだしたことにより、コラボレーションが具体的に実現しつつある。
 そうした中で、2の『十帖源氏』の多国語翻訳は、これまでの基盤整備を踏まえて実施するものであり、3年目の2019年度の課題となっている。この2年間で得られた情報と人脈を有効に活用して、多国語翻訳を進展させていきたい。また、このテーマの遂行にあたり、これまで構築した人脈を活かして幅広い多彩な翻訳を実現したい。(460字)


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【今後の研究の推進方策】


 本研究課題の今後の推進方策は、3年目に具体的に展開する『十帖源氏』の多国語翻訳の実施が中心となるはずである。『源氏物語』の第12巻「須磨」と第13巻「明石」を、翻訳の対象として予定している。そして、その成果はホームページのみならず、電子版『海外平安文学研究ジャーナル』に掲載して公開することとなる。
 電子版『海外平安文学研究ジャーナル』は、これまでに第6号まで発行している。次は、これまで2年間の成果を盛った第7号(今秋発行予定)と、本年度末に発行する第8号である。そこには、これまでに収集した情報と翻訳本、そして『十帖源氏』の多国語翻訳の掲載である。また、『海外平安文学研究ジャーナル〈ミャンマー編〉』の編集も最終段階となっている。
 こうした方向性を定めた研究を遂行していくことで、「1.翻訳から見た日本文化の変容」「2.『十帖源氏』の翻訳と研究」「3.共同研究基盤の整備」が関連しながら成果として公表できるものとなるはずである。
 また、「国際日本文学研究交流集会」の開催も、今後取り組むものである。これは、これまで研究環境が十全ではなかったために、実施が遅れていたものである。開催に向けての準備は整ってきたので、国内と海外で開催する段取りを進めているところである。(533字)

 
 
 
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2019年03月18日

『平安文学翻訳本集成〈2018〉』で補訂すべき箇所(その1)

 『平安文学翻訳本集成〈2018〉』が完成しました。[海外へいあんぶんがく情報](http://genjiito.org/aboutkaken/allresearchreports/)からダウンロードして、自由にご覧いただけるようにしました。
 この冊子は、「まえがき」にも書いたように、「さらに新しい情報や訂正および追補の呼び水になれば」という趣旨で作成しました。そして、「本書の増補改訂版は、2020 年に発行する予定です。」とある通り、今後2年間でデータの再点検をします。
 現在(2019年03月18日)のところ、以下のような不備を確認しています。

190307_『平安文学翻訳本集成《2018》』正誤表.jpg

 おそらく、より正確な情報を集積するためにも、もっともっと手を入れることになろうかと思います。
 不備などに気付かれたその折々に、ご教示いただけると幸いです。
 なお、本日いただいた補正に関する情報は、以下の通りです。
 ご教示、ありがとうございます。

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S氏より(2019.03.18)
 「能」のスペイン語訳が今から約100年ほど前に日本で出ており、『平安文学翻訳本集成〈2018〉』に記載された53番より、大分前の刊行となります。
 なお53番の訳者の名前をカタカナ表記する場合は、「クララ・ハネース」かと思われます。

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A氏より(2019.03.18)
 冊子の134pで、Antonio Cabezasのスペイン語版『伊勢物語』は、「1969年」と記載があります。しかし、手元の同書を確認したところ、「初版の刊行年」は「1979年」のようです。(Cinii Booksなどの図書館横断検索の結果も、1979で、1969のデータは見あたりません。)「初版」が79年ということは、69年段階ではまだ未刊行でしょうから、表中の「1969年」は、もしや「1979年」の誤りで、この年からは削除して良いのではないでしょうか。
 なお、143pの「1979年」のほうは、下から2段目にCabezasのスペイン語版 『伊勢物語』が出ています。この143pのほうは、実物の書誌データと一致します。となると、134pのほうの「1969年」の記載は、ダブりではないかと思うのです・・・。

 
 
 

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2019年03月15日

新ホームページ[海外へいあんぶんがく情報]を公開

 昨日、伊藤科研「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(17H00912)の成果を盛り込んだホームページ[海外へいあんふんかく情報](http://genjiito.org)を公開しました。アドレスは、これまでの「海外源氏情報」と同じです。

190315_NewHP.jpg

 まだまだ、完成にはほど遠いものです。不備も多く残っています。それを承知での公開です。いろいろと確認や点検を進めています。そのような中で、これまでの経緯が経緯だっただけに、一日も早く、少しでも多くの情報を公開しながら、補訂を繰り返しながら、よりよいものに仕上げていく方針で取り組んでいます。
 お気付きの点は、ホームページの「お問い合わせ」(改装)コーナー(http://genjiito.org/attention/inquiry/)から、遠慮なくお知らせいただけると幸いです。

 最新のデータとしては、先週発行した電子版『平安文学翻訳本集成〈2018〉』のダウンロードデータ(http://genjiito.org/aboutkaken/allresearchreports/)があります。その説明文を引きます。

■平安文学翻訳本集成〈2018〉■


 伊藤鉄也・池野陽香・門宗一郎・田中良 編/2019年3月18日発刊(非売品)
上掲『日本古典文学翻訳事典 1・2』を受けて、平安文学を中心に書籍情報を表紙画像と共に集成した。あくまでも編者の手元に集まった本だけの収録であり、当座の用途のために配布する試行版。訂正追補の呼び水になれば幸いである。


 収集集積した情報とデータを育てる中で、その情報資源と研究のノウハウを次の世代に受け渡す役割をも果たすべく、これからも本科研のテーマを掲げて研究活動をしていきます。その窓口として、このホームページが有機的な役割を果たすような仕掛けを、これから利用者のみなさまと一緒に考えて行きたいと思います。
 この情報公開のスタート地点に立つまでに、1年11ヶ月もの日時を要してしまいました。まったくの不運に見舞われたと思わずに、情報発信をスタートできた喜びを抱いて、ひたすら前を見て歩んで行くつもりです。
 これまでと変わらぬご協力とご支援を、よろしくお願いします。
 
 
 
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2019年03月14日

第12回研究会の後に研究室と作業室を撤収退去

 「海外における平安文学」の第12回研究会を、大阪観光大学明浄1号館4階141セミナールームで開催しました。

190314_tirasi.gif

 開会の挨拶を私がした後、参会者の自己紹介がありました。

続いて、

(1)大山佳美さん(本科研プロジェクト研究員)から「2018年度の活動報告と2019年度の活動予定」が報告されました。その多彩な活動の中身は、近日中にホームページを通して公開します。

 引き続き研究発表です。

(2)小笠原愛子さん(和歌山工専・講師)が、「桐壺更衣に準えられた后妃たち −『今鏡』の后妃記事に見る『源氏物語』享受の様相−」と題して、歴史物語の新しい見方を示してくださいました。
 『今鏡』は平安時代の秩序と違う書き方をしている、ということから始まり、「桐壺」巻ではできなかった皇妃の扱いが、院政期ではできたことが多い、という指摘がありました。『今鏡』は、あまり読まれない作品です。それだけに、さまざまな切り口があることがわかりました。特に、桐壺更衣に重ねられる美福門院得子などには、翻訳とでも言うべき変容がうかがえて興味深い発表でした。
 質問としては、平安時代に日本書紀が読まれていたけれども、それが中断されてから、『大鏡』はどれだけ読まれていたのか、『今鏡』も当時はどれだけ読まれていたのか? などなど。時代背景に関するやりとりがありました。

 続いて、もう一つ研究発表です。

(3)フィットレル・アーロンさん(大阪大学・講師)は、「本歌取りの翻訳の可能性について」と題して、『新古今集』を中心とした和歌を英訳した場合を例示して、本歌取りに関する英訳の特色と違いを検討するものでした。Honda 訳、Rodd 訳、Mostow訳を比較検討しながら、引歌の認定や解釈の諸相に切り込むものです。あくまでも中間報告としながらも、多彩な観点からの考察です。
 質問としては、翻訳者においてルールがあるのか、とか、西洋の引用などの実態についてや、解釈と美的な視点での格調の違いについて、などがやり取りされました。
 帰りに電車の中でフィトレルさんから、『平安文学翻訳本集成〈2018〉』の翻訳史年表の間違いをいくつか指摘していただきました。忘れない内に、ここにメモとして残しておきます。
1978『枕草子』
 ハンガリー語 → ルーマニア語
1977『枕草子』
 ハンガリー語 → ルーマニア語
1875『土左日記』
 ドイツ語 → 英語

(4)最後は研究協力をしてくれた学生たちです。「2018年度の活動から学んだこと」と題して、アルバイトとしてこの科研での調査や研究に関わって来ての感想を、一人ずつ述べてもらいました。

・街中の変体仮名が気になりだした
・本屋で洋書コーナーに行くようになった
・知らない言語を見るのが楽しくなった
・展示を通して多くのスキルを学んだ
・編集でフォントの違いと扱い方を知った
・仕事の裏側を知って人の苦労がわかった

 とにかく、楽しくディスカッションができる仲間たちと一緒に、いろいろなことに挑戦した2年間でした。今日で、活気に満ちた研究室と作業室は、すべての物を撤収したために何も物がない部屋となりました。幕が下ろされた、というのが一番正しい表現でしょう。
 充電式の掃除機が、途中でバッテリーが切れたために、絨毯などの掃除が完全ではないことが心残りです。それでも、研究生活を支えてくれたフロアには感謝の気持ちを込めて、丁寧に掃除をしました。気持ちよく退去することとなりました。
 8階の研究室と作業室の2部屋の鍵と、私の職員証を事務の担当者に返却したのは、3月14日(木)午後5時半だったことを、ここに記し留めておきます。

 慌ただしく研究室を出て、駅前のインド料理屋での懇親会へと移動しました。多彩なメンバーが寄り集まったこともあり、さまざまな話題で楽しく親しく話ができました。
 8時まで盛り上がったこともあり、家に辿り着いたのは日付が変わる直前でした。
 この科研に関わってくださった方々に、あらためてお礼を申し上げます。
 多くの方々に助けられながらの2年間でした。
 ありがとうございました。
 
 
 
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2019年03月12日

伊藤科研:第12回研究会のお知らせ

 伊藤科研で開催している第12回研究会「海外における平安文学」を、下記の要領で開催します。外部参加も可能です。

■基盤研究(A)課題番号:17H00912■
「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」



・日時:2019年3月14日(木)14:00〜17:00
・場所:大阪観光大学(〒590-0493 大阪府泉南郡熊取町大久保南5-3-1/072-453-8222)
  明浄1号館4階141セミナールーム

・内容:海外における平安文学
        14:00~14:05 挨拶(伊藤鉄也)
        14:05~14:20 自己紹介
        14:20~14:30 報告「2018年度の活動報告と2019年度の活動予定」
                            (大山佳美)
        14:30~15:10 研究発表「桐壺更衣に準えられた后妃たち
          −『今鏡』の后妃記事に見る『源氏物語』享受の様相−」
                            (小笠原愛子)
        休憩(20分)
        15:30~16:10 研究発表「本歌取りの翻訳の可能性について」
                       (フィットレル・アーロン)
        休憩(20分)
        16:30~16:50  報告「2018年度の活動から学んだこと」
           (池野陽香、門宗一郎、田中良、松口果歩、松口莉歩)
        16:50~17:00  挨拶(伊藤鉄也)
                連絡事項

※ご出席のみなさまは、ご印鑑(出張書類押印用)を必ずご持参くださいますよう、お願い申し上げます。
※なお、研究会終了後に懇親会を予定しております。
      懇親会 17:30~19:30 【タージマハルエベレスト】
                  〒598-0021 大阪府泉佐野市日根野2496−1
                           イオンモール日根野2F
                       072-467-1139

 
 
 
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2019年01月06日

現在構築中のHP[海外平安文学情報]にご意見をお寄せください

 昨年末から、科研の成果を公開することで情報交換や交流をする場としてのホームページ[海外平安文学情報]の構築に、鋭意取り組んでいます。
 これは、これまで公開していた「海外源氏情報」(http://genjiito.org)を継承し、さらに充実したサイトを構築しようとしているものです。
 それまでの経緯は、「科研のHP[海外へいあんぶんがく情報]が半歩前進」(2018年11月24日)に報告した通りです。

 現在、以下のような項目(見取図)で進んでいます。多分に、ベースとなる「海外源氏情報」の色彩が濃いものとなっています。しかし、これは公開しながら手を入れ、平安文学に特化した[海外平安文学情報]に転進させていきたいと思っています。
 以下に揚げる項目をご覧いただき、さまざまな意見をお寄せいただけると幸いです。研究手法としては、コラボレーション(共同研究、共同開発、共同制作、共同構築)を意識して取り組んでいます。そのためにも、折々にこのホームページの運用にあたってのアドバイスをいただき、お役に立つ情報群の集積としてのウェブサイトに育てていきたいと思います。
 最終的には、利用に資するデータベースになるよう、時間をかけて育て上げることを目標として取り組みます。本科研(「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」課題番号︰17H00912)が終了した後は、特定非営利活動法人〈源氏物語電子資料館〉がその運用を引き継いで行きます。あと2年で終わらない、末長く続く情報サイトでもあります。末長く利活用していただけるように、多くの方々のご理解とご協力のもと、若者たちを育てることも視野に入れたウェブサイトにしていきます。ご支援のほどをよろしくお願いします。

【 トップページ 】


■研究と成果
 あいさつ
 目的 / 意義 / 概要
 研究会報告一覧
 研究報告書一覧
  『日本古典文学翻訳事典 1・2』正誤表
 研究計画のあらまし
 組織・海外協力者
 過去の実績と関連する研究

■源氏物語情報
 『源氏物語』翻訳史
 現代語訳『源氏物語』年表

■平安文学情報
 平安文学翻訳史

■〈オンラインジャーナル〉
 海外平安文学研究ジャーナル インド編-2016-
 海外平安文学研究ジャーナル vol.1.0
 海外平安文学研究ジャーナル vol.2.0
 海外平安文学研究ジャーナル vol.3.0
 海外平安文学研究ジャーナル vol.4.0
 海外平安文学研究ジャーナル vol.5.0
 海外平安文学研究ジャーナル vol.6.0
 海外平安文学研究ジャーナル ミャンマー編-2018-(編集中)
 海外平安文学研究ジャーナル vol.7.0(編集中)

■〈論文検索〉海外 – 源氏物語・平安文学

■〈論文検索〉翻訳 – 源氏物語・平安文学

■十帖源氏
 『十帖源氏』「桐壺」対訳
 現代語訳『十帖源氏』一覧

■〈資料〉海外・平安文学
 『十帖源氏』「桐壺」英訳
 対訳データベース
 海外タイトル一覧表

■各種Infomation
 『源氏物語』関連インフォメーション
 科研サイト更新&進捗情報
  2014年度〜

■サイトの諸注意(リンク・利用など)と情報提供のお願い
 お問い合わせ及びご教示の内容
 研究発表イベント連絡フォーム

 
 
 
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2018年12月23日

翻訳本ミニ展示「比べてみよう!『源氏物語』における翻訳の差《英語編》」

 昨年より好評のうちに大阪観光大学図書館1階で開催している[翻訳本のミニ展示]も、前回からは翻訳された文章の巻頭部分が読めるように工夫をしました。中国からの留学生が多いこともあり、まずは【中国語訳】の展示でした。

「翻訳本ミニ展示「比べてみよう!『源氏物語』における翻訳の差《中国語編》」」(2018年10月10日)

 それに続く今回は、以下の説明文にあるように、もっとも読者が多い【英語訳】を取り上げました。

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 今回も、伊藤科研(A)で研究協力をしてくれている学部2回生の池野陽香さん、門宗一郎くん、田中良くんが、選書・演示・解説資料の作成などなど、展示のすべてを担当しました。これまでの経験が回を追うごとに蓄積され、さまざまな配慮が見られる展示となっています。会場に足を運んでいただき、ゆっくりとご覧ください。

■比べてみよう!『源氏物語』における翻訳の差《英語編》■


       開催期間:2018年12月13日〜2018年3月7日
       場所:大阪観光大学 1階階段前

 今回の特設コーナーでは、『源氏物語』における英語訳の翻訳の差を比較していただけるように、5冊の翻訳本を選びました。元は同じ『源氏物語』という作品であっても、翻訳者が異なり、参考にした底本(翻訳するときに使用した書籍)が異なると、翻訳文もこのように違ってきます。
 「桐壺」巻の冒頭部分を展示しましたので、読み比べて楽しんでください。

【『源氏物語』が翻訳されている34種類の言語】
アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・ オランダ語・オディアー語(インド)・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロヴェニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・現代日本語・ハンガリー語・ハングル・パンジャービー語(インド)・ビルマ語・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ロシア語



◯英訳(2000年)
末松謙澄 訳
表紙は、二代歌川国貞『紫式部げんじかるた 五十一 浮船』。


◯英訳(2016年)
アーサー・ウェーリー 訳
表紙は岡田嘉夫『源氏絵巻 蛍』(1970年)、裏表紙は月岡芳年『月百姿』のうち『垣間見の月 かほよ』をアレンジしたもの。


◯英訳(1990年)
エドワード・G・サイデンスティッカー 訳
表紙は海老名正夫『木版画 源氏五十四帖』「橋姫」巻。
底本には、『日本古典文学大系』(岩波書店)を用いる。


◯英訳(2006年)
ロイヤル・タイラー 訳
表紙は舞楽図『青海波』で、裏表紙にはライザ・ダルビーとザ・ウォールストリートジャーナルの書評が掲載されている。
底本には、『新編日本古典文学全集』(小学館)・『新潮古典集成』(新潮社)・『新日本古典文学大系』(岩波書店)の3つを用いる。


◯英訳(2001年)
H.マック・ホートン 訳
表紙は宮田雅之作「花宴」。

 
 
 
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2018年11月29日

科研[海外へいあんぶんがく情報]のHPが本格的に始動

 遅れに遅れていた科研のホームページが、本日ようやく動き出すことになりました。

 採択されてすぐの昨年4月下旬から、その研究成果を公開するホームページの構築に着手しました。しかし、不可解な問題や疑問が伏流する中に身を置き、一年後のこの初夏には、担当することとなっていた業者とは関係を解消しました。
 それまでの経緯は、本ブログに報告した通りです。昨年5月以降の経緯は、この科研が終了してから報告します。

 今日は、新たにお世話になる東京の業者と、科研に関する業務の契約に関して、大学の事務責任者と共に正式な契約書を交わす手続きを終えました。月末の超多忙な日に、関西国際空港に近い所とはいえ、わざわざこのことだけのために遠路お出でいただいたことに感謝しています。

 この2年間、多くの方々のご理解とご協力をいただいたおかげで、膨大な成果が上がっています。年末年始は不眠不休で、情報公開の遅れを取り戻すことにします。
 
 
 
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2018年11月24日

科研のHP[海外へいあんぶんがく情報]が半歩前進

 現在取り組んでいる、科研(基盤研究A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)の研究成果を公開するホームページが、昨春(2017年3月31日)より進展していませんでした。

 これまでに準備したホームページ[海外へいあんぶんがく情報]のデザインを含めての経過(昨年12月末まで)は、「昨春採択の科研(A)のホームページが公開できない理由(7)」(2018年04月18日)などに詳しく報告した通りです。
 昨秋より紆余曲折はあったものの、大学から紹介されたIT業者とは今春決別し、今は心機一転、心強い助っ人を得て、新しいホームページ「海外へいあんぶんがく情報」の構築に取り掛かかるところです。
 そして、やっとのこと、このことを公に告知できるようになりました。

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 まだ、「2019.4 Website Released.」という一枚のバナーを追加しただけです。しかし、この一枚のバナーを貼り付けるだけでも、1年半以上にわたり膨大な時間と労力を費やさざるを得ない事態に巻き込まれていたのです。消化管を持たないひ弱なこの身体が、よくも持ちこたえられたものだと、いまさらながら感慨深い想いの中にいます。

 これからは、来年4月にこの2年間の成果を正式に報告できるように、集めた膨大な情報と研究成果を整理することに努めます。インド・ミャンマー・ペルー・アメリカで調査をしたことが中心となります。そのなかでも特筆すべき成果は、ビルマ語訳『源氏物語』を発見し、その翻訳者を研究会に迎え、日本語への訳し戻しもしたことです。

 研究分担者と連携研究者の諸先生方はもとより、プロジェクト研究員の大山さん、研究協力者として私の研究室に出入りしている7人の学生たち(池野・門・田中・松口姉妹・ナイン・チャンさん)、東京からこの科研を支援してもらっている研究協力者の淺川さん、さらにはデザイナーの塔下さんの力を借りて、お役に立つ平安文学情報を発信するための作業を鋭意進めます。やっと、学生たちには本来の仕事をやってもらえます。

 どうにかこうにか、ここまで漕ぎ着けました。一歩前進とまでは言えないので半歩です。情報公開については、入口に立ったまでです。これまで、何度か挫けそうになった気持ちを支えてくださった方々に感謝をしながら、来春の正式公開に向けてこのまま進んでいきます。

 今後とも、情報提供を含めた温かいご支援を、どうぞよろしくお願いします。
 
 
 
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2018年10月10日

翻訳本ミニ展示「比べてみよう!『源氏物語』における翻訳の差《中国語編》」

 大阪観光大学の図書館1階で、昨年より好評のうちに開催している翻訳本のミニ展示も、今回からは翻訳された文章の巻頭部分が読めるようにして展示をすることにしました。
 中国からの留学生が多いこともあり、まず最初は、中国語訳からスタートします。中国語訳『源氏物語』は20種類以上もあるので、5回に分けての展示となるはずです。
 今回も、私の科研(A)で研究協力をしてくれている学部2年生の池野陽香さん、門宗一郎くん、田中良くんが、選書・演示・解説資料の作成などなど、展示のすべてを担当しました。これまでの経験が回を追うごとに蓄積され、さまざまな配慮が見られる展示となっています。ゆっくりご覧ください。そして、引き続き次回以降を、楽しみにお待ちください。

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翻訳本の展示
「比べてみよう!『源氏物語』における翻訳の差《中国語編》



  開催期間:2018年9月27日〜2018年10月31日

  場所:大阪観光大学 図書館 1階階段前

 今回の特設コーナーでは、『源氏物語』における翻訳の差を比較していただけるような選書をしました。
 元は同じ『源氏物語』という作品であっても、参考にした底本(翻訳するときに使用した書籍)は異なります。
 『源氏物語』の首巻「桐壺」の冒頭部分を展示しています。
 じっくりと読み比べて、楽しんでいただけると幸いです。

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◯中国語訳(1996年)
 殷志俊 訳
 表紙は伊藤小坡『伊賀のつぼね』(猿田彦神社内 伊藤小坡美術館蔵)。後醍醐天皇の妃である阿野廉子の御所に亡霊が出るとの噂が立ち、6月の夜に真偽を確かめるために、伊賀局が庭に出ている姿。

◯中国語訳(2001年)
 黄锋华 訳
「世界文学名著系列シリーズ」の1つ。表紙はボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』。

◯中国語訳(2002年)
 夏元清 訳
 表紙は衣冠束帯姿の男性と、おすべらかしを結った女性の絵。

◯中国語訳(2011年/第6版)
 豊子ト 訳
 与謝野晶子・谷崎潤一郎などが訳した『源氏物語』を中国語に翻訳したものか。
 表の表紙は『絵入源氏』「宿木」巻で宇治の中君が月を見ている場面、裏表紙は同書の「紅葉賀」で光源氏が青海波を舞う場面。

◯中国語訳(2012年)
 康景成 訳
 1巻の表紙は徳川美術館蔵『源氏物語絵巻』「柏木三」(復元図)で、光源氏が生まれたばかりの薫を抱いている場面。2巻は同絵巻の「蓬生」で光源氏が惟光と末摘花のいる常陸宮邸に行く場面。
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 参考までに、【『源氏物語』が翻訳されている34種類の言語】は以下の通りです。

アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・ オランダ語・オディアー語(インド)・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロヴェニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・現代日本語・ハンガリー語・ハングル・パンジャービー語(インド)・ビルマ語・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ロシア語



 以下の『源氏物語』に関する【中国語翻訳史年表】も合わせてご覧ください。図表をクリックすると、画像は精細になります。

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2018年06月17日

【書影追加】科研の研究会で翻訳に関する多彩な発表と活発な論議

 今日は日曜日で父の日。
 出町柳界隈は、親子連れで賑わっています。
 八瀬・大原や鞍馬へハイキングに行く出で立ちの方が多いようです。

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 そんな中を、私は大阪の最南端にある大阪観光大学へ向かいます。
 先日、本ブログで案内した科研の研究会があるからです。
「科研(A)の第11回公開研究会の開催案内」(2018年06月12日)

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 今日の研究会の内容は、実に多彩です。
 多言語の翻訳に関する最新の実践報告がメインです。さらに、若手研究者の育成を目標の一つとするこの科研の成果として、学部2年生が見よう見まねながらも、諸先生方の前で発表と報告をするのです。とにかく、積極的にチャレンジをするように、日頃から後押しをしているのです。

 今回は、これまで取り組んで来たテーマを継承しているので、第11回となります。

■2018年度 伊藤科研(A)研究会■

日時:2018年6月17日(日)14:00〜18:00
場所:大阪観光大学
   明浄1号館4階141セミナー室
第11回「海外における平安文学」


 最初は、代表者である私の挨拶からです。

 続いて自己紹介です。今回は多彩なメンバーが集ったので、どんな方だろうというキラキラしたまなざしで、みなさま聞き入っておられました。

 報告として、「2017年度の活動報告と2018年度の活動予定」は、プロジェクト研究員の大山さんの担当です。要領よく、わかりやすくまとめてくださいました。この科研が去年何をして、今年は何にチャレンジするのかがよくわかりました。
 私からは、科研の成果を公開するはずのホームページについて、依頼した業者が驚くべき対応に出たことを踏まえて説明をしました。結局は、昨夏8月末日に未完成版を見せられてから何も進展がなく、科研の年度末の3月末日までにはもちろんのこと納品もなく、5月からは依頼した業者が雇う弁護士が窓口になっての交渉となり、それが今に到っていることをお話しました。つまり、相手の業者は完全に雲隠れ状態で、代理人としか連絡がとれないのです。奇妙キテレツな話です。研究成果や研究状況をはじめとして、今回の研究会の通知や連絡等、完全に研究活動を展開する上での妨害を受けていました。依頼したホームページについては、納品されたものが明日18日(月)に、やっと私が見られる状態になるようです。私からは、昨年の6月6日に教え子のデザイナーが考えてくれたトップページの試案としての画像を送っただけで、後は何もやりとりがありませんでした。先月の5月に業者から大学に納品されたものがどんな内容なのか、昨夏8月末以降、何も知らされていないままに今日を迎えているので、大いに楽しみにしています。受け取り次第に公開しますので、研究協力者共々、内容の確認をよろしくお願いします。
 なお、今回の研究会の詳細は、『海外平安文学研究ジャーナル 第7号』(ISSN番号 2188ー8035)に収録しますので、後日確認してください。
 以下、本日の概要を簡単にまとめておきます。

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◎報告「インド・ミャンマーの調査研究に同行して」(松口果歩・松口莉歩)
 →行程表をもとにして、学生の視点からのわかりやすい報告がなされました。実に多くのスケジュールをこなした旅であったことが、十分に伝わって来ました。そして、充実した旅であったことも。

◎研究発表「『更級日記』をハンガリー語に翻訳して」(フィットレル・アーロン)
 →本年3月に刊行された『更級日記』のハンガリー語訳に関して、翻訳をして行く中でわかったさまざまな問題点をまとめた発表でした。資料に上げてくださった「平安文学のハンガリー語訳状況」を提供していただける、とのことなので、近日中に公開します。いま少しお待ちください。
 また、質疑応答も楽しく、ハンガリー語がフィンランド語や日本語に近い言語だと聞くと、親近感が湧きます。
 出版にあたって写真や図版の権利関係の処理について、興味深い話を伺うこともできました。
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◎研究発表「文化伝達の視点から見る『源氏物語』の中国語訳 −豊子恺、林文月、葉渭渠の訳を例として−」(庄婕淳)
 →絵や注に関して興味深い問題提起がありました。異文化コミュニケーションの問題意識が明確に伝わって来ました。質疑はローマ字表記に集中しました。これまた、大事な問題であることを再確認しました。

◎研究発表「ビルマ語訳『源氏物語』を日本語に訳し戻して」(エー・タンダー・ナイン)
 →『源氏物語』のことがよくわからないままに訳した、とのこと。確かに、先般のミャンマーへ行って見つけて入手したビルマ語訳『源氏物語』を、突然日本語に訳し戻すことになったのです。まだ大学1年生だったナインさんには、大変な重荷を背負わせたことになります。翻訳をしながら、文化を言葉で伝えることの難しさがわかった、という感想は正直なところだと思います。それにしても、「桐壺」だけとはいえ、よくやりました。みんなで共同研究する上で、十分に活用できる基礎資料となっています。次はその分析に着手してもらうことで、さらなる成果につながることでしょう。

◎共同討議「翻訳者とともにビルマ語訳『源氏物語』を考える」
 司会進行 伊藤鉄也
 ディスカッサント/ケィン・キン・インジィン+森銑一
 最初に、ナインさんが投げかけたビルマ語訳『源氏物語』のいくつかの疑問から、ディスカッションは始まりました。
 詩人であるケィンさんのビルマ語訳が、非常にレベルの高い文学的な翻訳であることが、意見交換の中から浮かび上がりました。これは、大きな収穫です。
 私からは、次のようないくつかの質問をしながら展開しました。
 ・推薦の序文を書かれたナンダーモーチェさんはどのような方ですか?
 ・訳者の序文に、パキスタンでも翻訳されているとあるが?
 ・典拠としたとする田辺聖子訳『新源氏物語』には、「桐壺」と「帚木」がない。
  「桐壺」は何を参考として訳したのか?
 ・「帚木」の雨夜の品定めがないこと
 ・「空蝉」にある「不倫」という言葉は日本と同じ意味か?

 こうした疑問に、丁寧に答えていただきました。しかし、まだ伺いたいことは多いので、またこのような機会を作って、討論を重ねていきたいと思います。

 閉会後は、日根野駅前で懇親会をしました。ここでも、さまざまな話題で盛り上がりました。
 非常に充実した、成果の多い研究会となりました。
 ご参加のみなさま、ありがとうございました。
 
 
 
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2018年06月12日

科研(A)の第11回公開研究会の開催案内

 昨年度から取り組んでいる科研(「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912))の研究会を、以下の内容で開催します。
 公開の研究会としていますので、興味と関心をお持ちの方の参加をお待ちしています。
 なお、資料の準備がありますので、まだお知らせをいただいていない方は、前日6月16日(土)午後6時までに参加希望の連絡を、本ブログのコメント欄を通してお知らせください。

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■2018年度 伊藤科研(A)研究会■


日時:2018年6月17日(日)14:00〜18:00
場所:大阪観光大学
   明浄1号館4階141セミナー室

第11回「海外における平安文学」


・挨拶(伊藤鉄也)14:00~14:05

・自己紹介14:05~14:20

・報告「2017年度の活動報告と2018年度の活動予定」
(大山佳美)14:20~14:30

・報告「インド・ミャンマーの調査研究に同行して」
(松口果歩・松口莉歩)14:30~14:50

・研究発表「『更級日記』をハンガリー語に翻訳して」
(フィットレル・アーロン)14:50~15:25

・休憩(20分)

・研究発表「文化伝達の視点から見る『源氏物語』の中国語訳
 −豊子恺、林文月、葉渭渠の訳を例として−」(庄婕淳)15:45~16:20

・研究発表「ビルマ語訳『源氏物語』を日本語に訳し戻して」
(エー・タンダー・ナイン)16:20~16:40

・休憩(20分)

・共同討議「翻訳者とともにビルマ語訳『源氏物語』を考える」17:00~17:45
 司会進行 伊藤鉄也
 ディスカッサント ケィン・キン・インジィン
          森銑一

・連絡事項

・懇親会18:00~20:00

【参加予定者15名+2名/敬称略】
 伊藤 鉄也(大阪観光大学)
 谷口 裕久(大阪観光大学)
 佐久間 留理子(大阪観光大学)
 モハンマド・モインウッディン(大阪大学)
 庄 婕淳(恵州大学)
 フィットレル・アーロン(大阪大学日本文化教育センター
 ケィン・キン・インジィン(翻訳家、詩人)
 森 銑一(『源氏物語』愛好家)
 大山 佳美(プロジェクト研究員) 
 池野 陽香(大阪観光大学、観光学部2年)
 門 宗一郎(大阪観光大学、国際交流学部2年)
 田中 良(大阪観光大学、観光学部2年)
 松口 果歩(大阪観光大学、観光学部2年)
 松口 莉歩(大阪観光大学、観光学部2年)
 エー・タンダー・ナイン(大阪観光大学、科研運用補助員、観光学部2年)
ーーーーーーーーーーーーーーー
※懇親会会場は日根野駅周辺を予定しています。
 
 
 
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2018年05月10日

科研のHPに関して脅されたその後(1)

 科研費による研究において、昨年度の膨大な成果があるにもかかわらず、業者に依頼した公開用のホームページがまったく放置されていることでは、思い出すたびに腑が煮えくりかえる思いをしています。
 研究資金を提供してくださっている日本学術振興会への研究成果報告書の提出も、今月末までとなりました。
 先月は、ホームページが出来ていない理由を、10回にわたって詳細にブログに記しました。日本学術振興会への説明文だと思って、事実を書き連ね、ありのままの状況を整理したのです。
 今、私個人ができることは、どう足掻いてもここまでです。

 昨夜5月9日、HPの改修を依頼した会社の担当者に、おおよそ以下の内容のメールを送り届けました。

・いまだに、科研の研究成果がホームページを通して公開できない状態にあるのは、とにかく異常である。

・私の研究活動に対して、貴社から意図的な妨害を受けている、と判断せざるをえない。

・昨年6月6日に渡した、私のホームページのサイト情報を正式に返納してほしい。新しくホームページを作成することに着手できないからである。

・今月5月末までに、日本学術振興会に対して、2017年度の研究実績報告書を提出する必要がある。これには、貴社により研究妨害行為がなされている旨の報告をせざるをえない。

・その際の傍証とすべく、詳細な経緯を以下のサイトに公開した。
「【全10回一覧】昨春採択の科研(A)のホームページが公開できない理由」(2018年04月27日)

・これは、科研のホームページが貴社の怠慢と妨害のために公開できない理由を10回に分割し、事実に基づいて丁寧に整理したものである。

・この10件の記事につき、公開で正々堂々と反論があることを期待している。

・本年3月22日に、私は電話による脅迫まがいのことを聞かされた。今後は、くれぐれもそのような荒っぽいことはせず、正しい日本語の運用に基づくやりとりをお願いする。

・1日も早く私が自由に研究成果を公開できるよう、「注文取消し」を握り潰さず、適切な対処を望む。

・大阪観光大学1号館8階にある科研の作業室では、プロジェクト研究員1名・科研運用補助員1名・アルバイト学生5名の計7名が、ホームページを通して研究成果や収集整理した情報を公開し、さらには海外の研究者とホームページを活用してコラボレーションが展開できるよう、昨夏よりスタンバイしていることをお忘れなく。


 これに対して今朝、以下の確認のメールが来ました。これは、私が送ったメールに、15人の同報者があることについての確認です。

・今後やり取りをする上で、Ccに含まれるメールアドレスについて確認したい。

・生徒様や学外の方が宛先に含まれているように見受けられる。

・今後のやり取りでは、契約の詳細や時系列など細かい内容が本文に記載されることになるが、弊社が書面上契約した相手方は大阪観光大学様となっている。

・上記内容を生徒様、学外の方に公開することを大学様のほうで許可されているのか?

・大学様にとって機密扱いの情報、不利益になるような情報が第三者の目に触れ、拡散されてしまう可能性、影響を懸念する。


 どうやら、科研費がどのようなものであるのか、まったく理解が及んでいないようです。
 この先方からの確認のメールを受けて、私からは以下の返信をしました。

・私の科研における研究基盤機関である大阪観光大学は、事務的なこと以外では私を守ってくれない。

・そのためもあり、私個人で貴社からの研究妨害に対処している。

・自分自身を守るためにも、今後ともすべてを研究代表者である私の判断で、科研のホームページが公開できないことを、個人的な日記であるブログ「鷺水庵より」(http://genjiito.sblo.jp/)を通して、広く報知していく。

・2013年度・2015年度・2017年度からの科研で連携研究者となっている別の4名は、今回の科研でも研究協力関係にあり、情報共有の観点からこのCcに追加した。

・Ccに伊藤科研の関係者を列記したのは、研究協力者と情報を確実に共有するためである。

・特に6名の学生は、昨年9月以降よりホームページの運用に関わるはずだった。そのため、今回のトラブルの経緯は、教育的見地からも知らせる必要があると判断する。これは私の責務である。


 なお、こうしたやりとりを行なったことは、この返信をした後、大学の学長と学部長にすみやかに報告しました。
 また、電話でも丁寧に説明しました。
 
 
 
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2018年04月27日

【全10回一覧】昨春採択の科研(A)のホームページが公開できない理由

 昨日このブログにアップした「【最終回】昨春採択の科研(A)のホームページが公開できない理由(10)」により、予定していた全10回分の記事の公開を終えることができました。
 20日間に及ぶものだったので、以下に、その一覧をまとめておきます。
 タイトルをクリックしていただくと、その記事に跳びます。
 それぞれの記事に関連して、ご教示いただけると幸いです。
 なお、以下では「ホームページ」を「HP」と略します。

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(1)(2018年04月05日)
 「昨春採択の科研(A)のHPが公開できない理由(1)」
  【HPが公開出来ない問題点とこれまでに獲得した科研費による研究】

(2)(2018年04月06日)
 「昨春採択の科研(A)のHPが公開できない理由(2)」
  【4月から12月までのHP未公開に関する経緯を整理】

(3)(2018年04月11日)
 「昨春採択の科研(A)のHPが公開できない理由(3)」
  【HPの保守に関する業者との内容と改修用デザインデータの提供】

(4)(2018年04月15日)
 「昨春採択の科研(A)のHPが公開できない理由(4)」
  【HP補修の「作業内容の確認事項」について】

(5)(2018年04月16日)
 「昨春採択の科研(A)のHPが公開できない理由(5)」
  【HPのデザインや再作成(フルスクラッチ)は大学へのサービスと同等】

(6)(2018年04月17日)
 「昨春採択の科研(A)のHPが公開できない理由(6)」
  【ブログに見る科研の取り組みとHP作成に関する経緯】

(7)(2018年04月18日)
 「昨春採択の科研(A)のHPが公開できない理由(7)」
  【8月末の未完成の試作版から連絡のないままに12月になる】

(8)(2018年04月22日)
 「昨春採択の科研(A)のHPが公開できない理由(8)」
  【新年に業者から謝罪文が届いた後、研究会では正式に抗議することを確認】

(9)(2018年04月25日)
 「昨春採択の科研(A)のHPが公開できない理由(9)」
  【「注文取消しの件」でのやりとりで出てきた意味不明な言い訳】

(10)(2018年04月26日)
 「【最終回】昨春採択の科研(A)のHPが公開できない理由(10)」
  【K社のA社長から私への威嚇発言と未着手未完成のままに放置された作業】
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2018年04月26日

【最終回】昨春採択の科研(A)のホームページが公開できない理由(10)

 海外出張から帰って来てから、連日の会議と卒業式と入試業務に忙殺されていた3月22日の午後3時過ぎでした。I氏から研究室にいた私に、社長からの伝言だということで電話を受けました。

☆K社のA社長から私への2つの伝言
(1)ホームページについては、O理事に弊社代表が報告と相談をおこないました。

(2)契約上支払いがなされていない。支払い(ママ)意思がない場合、訴訟を起こす旨、事前に通告いたします。


 これに対する回答として、私からI氏には、次のように口頭でゆっくりと何度も繰り返して伝えました。そして、私が伝えた言葉を復唱してもらい、A社長に正確に伝わるように確認しました。

(1)O理事からは連絡もないし話も聞いていない。

(2)そうですか。変な話ですね。


 電話口を通して、私はK社のA社長からの高圧的な通告を聞き、すぐに研究室の机上にあるパソコンを操作して、昨夏教えていただいたサイトに置かれているホームページ(試作中)を見ました。案の定、いまだに昨年の8月31日のままでした。
 トップページのバナーは、注文したようにはぴくりとも動かない手抜きの写真1枚が貼ってあり、依頼に反してまったく動きのないものです。そして、もちろん内容については、昨年3月までのサンプルデータが出てくるものでした。昨年8月末以来、まったく手が入っていない不具合を抱えたままのものであることは明らかです。

 もちろん、昨年の初夏に一番最初にやってほしいとお願いしたことは、「昨春採択の科研(A)のホームページが公開できない理由(3)」(2018年04月11日)に記したとおりです。それは、「海外源氏情報」(http://genjiito.org)で公開していたオンライン版の
『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』
『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』
『海外平安文学研究ジャーナル』(全6冊)
『海外平安文学研究ジャーナル《インド編》』
がダウンロードできるようにすること。
 また、そのサイトの画面のロックについても、はずしてほしいということでした。
 その喫緊の課題も手付かずです。何もかもが、いまも放置されています。
 これは、海外出張の直前の本年2月15日に、念のためにと思って見たときとも、まったく変化のないものでした。インドとミャンマーへの調査研究の旅から帰った3月14日にも、昨夏以来の手付かずのままでした。

 ここで、書き忘れていたことを思い出しました。
 昨秋のいつからだったのか、この不完全なままの試作版のホームページが、研究室からは見ることができるのに、自宅からは見られなくなっていたことがありました。とにかく、K社からは何の連絡もないので、いろいろと不具合が発生し続けているのだろうと思い、ひたすら修正が完了したという案内が来るのを待っていました。
 今にして思えば、なぜ自宅から試作版が見られなくなったのかを、すぐに尋ねておくべきでした。K社が大学以外の回線からは接続できないようにしたようなので、そうした処置の連絡があってもよさそうです。しかし、そのような連絡はないままに、勝手に大学以外からの接続環境では見られなくなっていたのです。これも、不可思議な対応の一つに加えておきます。

 さて、A社長からの通告のことです。

(1)について
 ホームページに関して、O理事から私に話があるはずだ、とのことでした。
 しかし、待てど暮らせど、今に至るまで何も声はかかりません。私は、昨年の4月1日に着任して以来今日現在も、O理事と言葉を交わしたことは一度もありません。会議などでお話になっている所に同席したことはあります。
 A社長がO理事に「報告と相談をおこないました。」という文言が、2つの通告の最初に置かれている意味は、大学の教職員ならピンときます。これは、最初に名前を出して圧力をかけることで、後で痛い目にあうぞという脅し以外には考えられません。この理事の名前をちらつかせることで、私が怯むと踏まれたようです。そのご期待に沿えず、申し訳ないことです。
 今回のホームページに関して、研究内容や成果が公開できない事態に陥っている経緯を公開したのは、この圧力に屈しないことをまずは表明することで、自分を守ろうと思ったからです。K社からの威嚇を真正面から受けて立つことを決意して、このブログの更新をここまでしてきたのです。

(2)について
 完成してもいない、何も引き渡されていないホームページや、「海外源氏情報」の改修版に発生している不具合の対処をまともに修復もしないで放置しまたままで、「契約上支払いがなされていない。」との開き直りもないものです。何もしないで成果物も示さず、契約だから支払えとは、この業界では当たり前の商習慣なのでしょうか。
 また、「契約上支払い(ママ)意思がない」から訴訟を起こすという事前の通告も、私に揺さぶりをかける以外なにものでもありません。よくある、訴えてやる、と言って相手を動揺させ、後ずさりさせる手口です。
 さらには、次に書くように、公的資金で不正をしろと強がっているようなのです。何とも、事実を捻じ曲げて相手を脅すという、卑劣なやり方です。

 年度が変わった4月1日ならともかく、この3月22日という時点で、支払わないのなら訴訟も辞さないという一方的な通告は、尋常の感覚では言えたものではありません。
 大学からK社に出された「注文書」(平成29年5月23日付け)には、作業内容と支払いに関しては次のように書かれています。

・作業内容/ホームページ運用(更新/トラブル対応/コンテンツ追加)
・発注対象期間/2017年5月1日〜2018年3月31日
・支払条件/保守最終月(2018年3月5日)支払


 これに照らしても、契約した「作業内容」である「ホームページ運用」以前に、まずは着手して作成することになっていたホームページの改修作業すらできていない状況にあります。今日現在においても、依頼業務である「作業内容」にまで請け負い業務が及んでいないのが実情です。
 「支払条件」にある「保守」までもいっていない作業状況においては、「保守最終月(2018年3月5日)」までに支払うわけにもいきません。契約業務の前段階で止まっているものであり、なにも完遂されていない状況なので、「発注対象期間」の3月31日までは何も支払うことはできません。もし支払ったら、それは不正な経理であり、支払う根拠のない公的資金の目的外使用となってしまいます。

 さらには、「発注対象期間/2017年5月1日〜2018年3月31日」を過ぎた今日(2018年04月26日)においても、「納品書」に記された「ソースファイル一式」と「作業報告書」すら提出されていません。金銭だけ要求しておきながら、こうした成果物は何も出さないことがありうるのでしょうか。つまり、何も作業がなされておらず、何も成果物がないので、何も提出できないのは明らかです。この違約行為を、人を責めることだけに汲々としておられるK社は、どのように説明なさるのでしょうか。
 これらの無責任極まりない行為は、とりようによっては、昨年末に解約を申し出たことに対する嫌がらせと言えなくもありません。

 かつての大阪明浄女子短期大学(現在の大阪観光大学)に在職していた時に始まり、これまで20年以上にわたって、公的資金の支援を受けながら研究生活をしてきました。しかし、こんな無理強いで不正な行為をさせようとする業者は、一社もありませんでした。私はもちろんのこと、前職の基盤機関も一度もやっていません。そんな危険なことを、今、脅されながらすることはできません。する気もありません。

 くどいようですが、もう一度確認しておきます。
 K社のA社長より、証拠が残らないように伝言で私の耳に注ぎ込まれた言葉を再掲します。

☆K社のA社長から私への2つの伝言
(1)ホームページについては、O理事に弊社代表が報告と相談をおこないました。

(2)契約上支払いがなされていない。支払い(ママ)意思がない場合、訴訟を起こす旨、事前に通告いたします。


 私は、この言葉に屈して、科研費を不正に渡すという、公的資金の流用をする気はまったく持ち合わせていません。そのような指示を、事務方に出すこともありません。

 また、私が渡した「海外源氏情報」(http://genjiito.org)に関する個人サーバーの情報を、人質のように確保したままで抱え込まないでください。私は、信頼に足る誠意を持ち、高い技術力も兼ね備えた若者に昨年末に出会いました。会社を変えて、ホームページを再スタートさせて、研究成果を公開したい思いは昨秋よりずっと持ち続けています。信頼できないK社からは、一日も早く解放されたいと願っています。

 K社が、この状態でズルズルと時間の経過を楽しんでおられる現状は、私の自由な研究活動に対する意図的な妨害行為だと認識しています。
 この一年間で、研究協力者のみなさまのご支援を得て、今回も膨大な情報と成果が上がっています。それが、K社の妨害により一般に公開できない状態が、すでに9ヶ月にも及ぼうとしています。

 この、異様なゴリ押しをするK社の人たちに対して、これまでこのブログを通して、今回も含めて都合10回にわたって、可能な限り私が示し得る事実を列挙してきました。ことの核心を、この個人的な日記であるブログで明らかにしてきました。
 見方によっては、私が提示した証拠には別の解釈があるのかもしれません。それは、あって当然です。立場と視点が異なれば、いたしかたのないことだからです。とにかく、今の私が個人の力でできることはここまでです。

 この10回の記事に対して、K社が公開で反論なさることを期待しています。
 反論をしないのであれば、私への研究妨害という行為を、早急にやめるべきです。無視をしたり、放置するのではなく、理知的な対応を望みます。
 自分たちが今していることがどういうことなのか、K社の起業精神に立ち戻り、一日も早く気づかれることを願ってやみません。
 
 
 
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