2017年07月07日

生涯学習講座「『源氏物語』の古写本を読む」のお誘い

 大阪観光大学の図書館の一角を借りて、『源氏物語』の古写本を読み始めました。

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 これは、「熊取ゆうゆう大学」の中で大阪観光大学が展開する[キャリアアップ講座]の一つです。熊取町の生涯学習推進課が広報し、申込窓口は大阪観光大学キャリアセンターとなっています。
 ただし、すでに締め切られているので、参加を希望される方は直接、このブログのコメント欄を利用していただくか、大阪観光大学の庶務課に連絡をしていただければ大丈夫です。

 募集にあたっては、以下の内容を広報誌に寄せました。

[講座名]『源氏物語』の古写本を読む


[講師]伊藤鉄也
[日時](原則)各月 第1・3水曜日、午後3時半〜5時
[登録料]2,000円
[教材]『国文学研究資料館蔵 橋本本『源氏物語』「若紫」』(新典社、2016年)
[講座のポイント]
 初心者向けの勉強会です。『源氏物語』の古写本を読む技術の習得と、『源氏物語』の異文の世界を楽しみます。活字による現代の読書体験との違いを実感してください。今回使用するは、講師が編集した教科書です。


 今週5日(水)は、第2回目でした。午後3時半から1時間、橋本本「若紫」を、前回の復習として読みました。鎌倉時代に書き写された古写本を、変体仮名の文字に注意しながら読み進めています。一文字ずつ丁寧に、平仮名の元となった漢字を確認しながら、ゆっくりと読んでいきました。
 次回以降は、次のようなスケジュールとなっています。
 8月2日だけが開始時間が異なります。ご注意ください。

 7月19日(水) 午後3時半から5時まで
 8月 2日(水) 午後1半から3時まで
 9月27日(水) 午後3時半から5時まで
10月11日(水) 午後3時半から5時まで
10月25日(水) 午後3時半から5時まで
11月 8日(水) 午後3時半から5時まで
11月22日(水) 午後3時半から5時まで
12月 6日(水) 午後3時半から5時まで
12月20日(水) 午後3時半から5時まで


 初心者を対象とした社会人講座なので、どなたでも自由に参加できます。人数は特に制限していません。今からでも大丈夫です。
 仮名文字で書かれた『源氏物語』の写本を読んでみたい方は、お気軽にお越しください。
 大阪観光大学までの経路は、以下の大学のホームページで確認してください。

http://www.tourism.ac.jp/concept/access.html
 
 
 

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2017年07月01日

「キャンパスポート大阪」で「源氏物語と大阪」と題する講義をして

 今日から、八坂神社に近い四条河原町は、祇園祭一色になりました。
 通りでは、コンチコチンの音色が降り注いでいます。
 バス停は、ミストシャワーで涼しそうです。

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 今日は、大阪駅前第2ビル4階にある「キャンパスポート大阪」で、「『源氏物語』と大阪」と題する講義をして来ました。
 これは、NPO法人「大学コンソーシアム大阪」が主催する「大学間連携事業」の一つで、その中の「単位互換事業」として実施されているものです。

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 パンフレットの文言を引きます。
大阪の大学の
」が集積する
価値創造拠点


 これに参加している大学は、以下の42大学です。

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 簡単に言うと、他大学の科目を履修した学生に、単位を認定する制度です。この講座を受講して試験に合格すると、自分の大学で修得した単位として認められるのです。
 今日、私が受け持った講座は、大阪観光大学が担当する地域学を中心としたセンター科目「大阪観光学」の中の1講座です。

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 今回の講座の受講生は25名で、大学別に見ると次のようになっています。
大阪市立大学
大阪経済大学
近畿大学
相愛大学
帝塚山学院大学
梅花女子大学


 今日お話したことは、『源氏物語』「澪標」巻の中に語られている、光源氏と明石の君が住吉神社へ参詣するくだりです。大阪に関係する観光地として、住吉にしました。
 最初に、先月下旬に新聞に報じられていた「住吉大社の神輿 関空を行く」という記事を提示して、その意味を考えることにしました。
 以下、『新編全集 源氏物語「澪標」』(小学館)に「その秋、住吉に詣でたまふ。」とある部分より7頁分を見ながら、お話と住吉及び大阪の地のことを確認していきました。
 また、このくだりの背景を知るのに最適な『国文学解釈と鑑賞別冊 源氏物語の鑑賞と基礎知識 No.24 澪標』(日向一雅編、至文堂、平成14年)の中から、「源氏ゆかりの地を訪ねて 住吉明神の霊験」(浅尾広良)を紹介しました。

 配布した資料はA4で32枚分です。
 理工系の学部で勉強する方が半数以上で、文学部に所属している学生さんはおられません。しかも、1時間半という短い持ち時間で1回きりの担当です。興味が湧いた時に確認できるように、と思って、少し詳しめの資料を渡しました。

 いろいろな分野の方に、観光という視点から『源氏物語』を逆照射してもらえたら、という思いでお話をしてきたところです。

 昨日は研究会があったため夜遅くに帰り、今日は午前中の講義だったということもあり、少し疲れました。
 久しぶりに、今日は早めに休むことにします。
 
 
 

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2017年02月05日

京都府立京都学・歴彩館で開催された陽明文庫の源氏講座

 昨年末に一部がオープンした京都府立京都学・歴彩館の大ホールで、オープニング事業として「陽明文庫講座」が開催されました。


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 掲げられたテーマは「陽明文庫所蔵『源氏物語』をめぐって」です。
 講演は次の2題でした。


「近衛家の『源氏物語』諸本について」
  名和修(公益財団法人陽明文庫常任理事・文庫長)

「陽明文庫本重要文化財『源氏物語』の読みの楽しみ」
  伊井春樹(大阪大学名誉教授・阪急文化財団理事・館長)


 名和先生は、陽明文庫蔵『源氏物語』10種類を、スライドを使って丁寧に解説してくださいました。
 配布された「近衛家の『源氏物語』諸本について」という資料に掲載されていたリストを、記録として引きます。


《陽明文庫に現存する写本》

@重要文化財・陽明文庫本

 五十四帖・筆者目録ほか
 鎌倉中期写の三十三帖を基幹に、鎌倉後期写本、さらに近世前期補写本を加えた五十四帖からなる。列帖装。縦一五・二〜一六・五糎、横一四・八〜一五・九糎。一面八〜一三行書。表紙中央に巻名を打付書。付属の筆者目録は冷泉為綱(一六六四〜一七二二)の筆跡鑑定書。

A後柏原院他寄合書本

 五十二帖(早蕨・夢浮橋欠)・筆者目録一通
 室町中期写。列帖装。茶褐色表紙。縦一七・○糎、横一七・五糎。表紙中央に打付書外題「きりつほ(巻名)」。一面一〇行書。扉紙右上に各巻筆者の札を押す。花宴巻末に「件本以京極黄門 定家卿 自筆校合畢云々」とある。昭和二十一年九月に二帖欠巻が発見された。

B筆者不明寄合書本

 〈近・82・1〉五十四帖
 室町中期写。袋綴冊子本。浅葱色表紙。表紙中央に白色題簽「きりつほ(巻名)一」(巻序を示す漢数字は後筆)。外題題簽は三条西実隆(一四五五〜一五三七)筆。縦二一・五糎、横一九・○糎。一面九行書。一部の巻末に花押がある。行間の書き入れの一部は、近衛信尹・近衛信尋筆。

C近衛信尹他寄合書本

 五十四帖・筆者目録一通
 慶長元年(一五九六)から同十三年(一六〇八)にかけての写。列帖装。胡粉塗白鼠色雲母刷り波千鳥文表紙。縦二三・七糎、横一七・六糎。表紙中央に白題簽を押し、巻名を墨書。外題は八条宮智仁親王(一五七九〜一六二九)。一面一〇行書。筆者目録の題と巻名は近衛信尹筆。

D近衛尚嗣筆本

 〈近・97・1〉三十三帖(帚木〜若菜上)
 近世前期写。列帖装を装訂する前の仮綴。縦一七・七糎、横一九・六糎。各巻を楮紙で包み、それぞれの書写の開始と終了の年月日を書く。包紙上書と本文は近衛尚嗣筆。

E近衛基凞筆本

 五十四帖・付属文書一帖
 近世前期写。列帖装。縦一八・○糎、横一八・○糎。白茶厚手斐紙に金銀泥で草花等描の表紙。表紙中央に金砂子蒔紋題簽を押し、巻名を墨書。外題、本文は近衛基凞筆。手習巻末の識語から、後西院御本を院近臣の平松時量(一六二七〜一七〇四)が写した本を近衛基凞が転写したとわかる。後西院御本の親本は、三条西家証本(日本大学蔵、岩波古典大系の底本)の転写である後陽成天皇本(宮内庁書陵部蔵)。「源氏物語書写校合日数目録」一冊が付属する。

F伝鷲尾隆量筆本

 五十四帖
 近世前期写。列帖装。縹色表紙。縦二五・○糎、横一八・○糎。表紙中央に金泥紋題簽を押し、巻名を墨書。一面一〇行書。鷲尾隆量(一六〇六〜一六六二)筆とする天保七年(一八三六)初春の古筆了伴極めがある。

G伝宗昏筆本

 五十四帖・系図一帖
 近世前期写。列帖装。薄縹色表紙。縦二三・七糎、横一七・五糎。一面一〇行書。表紙中央に金泥描紋題簽を押し、巻名を墨書。南都連歌師宮村宗昏筆と伝えるが、寄合書。系図巻末に「寛永拾六年(一六三九)己卯 林鐘(六月)仲旬 稲墻休也書之」とある。

H法橋常知筆本

 五十四帖
 近世前期写。列帖装。縦一五・六糎、横一六・三糎。色変わりの無地表紙。表紙中央に淡青色地金泥縞文様題簽を押し、巻名を墨書。一面一〇行書。夢浮橋巻末に「寛文十三年(一六七三)丑三月日 八拾五歳筆法橋常知」と書く。

I伝大炊御門経孝筆本

 五十四帖・系図一帖
 近世前期写。列帖装。縦二二・一糎、横一七・三糎。緑色地網目花菱文鍛子裂表紙。表紙中央に金銀砂子蒔題簽を押し、巻名を墨書。一面一〇行書。大炊御門経孝(一六一三〜一六八二)筆とする天明七年(一七八七)初秋の古筆了意の極めがある。

※このほか、室町中期頃書写の零本(花宴・紅葉賀・松風・夕霧・御法)、慶長年間刊古活字版(五十七冊)、寛永元年(一六三四)刊古活字版(五十四冊)がある。


 古典籍に対する慈しみの思いが溢れた、わかりやすいお話でした。

 休憩を挟んでの伊井先生のお話は、『源氏物語』の本文についての説明の後、大島本と陽明文庫本の本文を引いて読み比べることで、異本・異文を読む楽しみを展開してくださいました。
 陽明文庫本の本文は、登場人物に寄り添って語っており、大島本は客観的な語り口になっている傾向がある、というご指摘です。また、陽明文庫本は詠嘆的な表現が見られ、大島本は情緒的なものを切り捨てているのではないか、ともおっしゃいました。
 いつもの伊井語りが会場を包み込んでいました。

 本日は400人もの人が会場を埋める、大盛会でした。

 陽明文庫の協力を得て、東京大学史料編纂所と京都府との提携により、京都府立京都学・歴彩館で陽明文庫所蔵近衛家伝来資料のデジタルデータの閲覧が今春より順次公開されるそうです。楽しみが増えました。

 空き時間に、名和先生と伊井先生に、今後の『源氏物語』に関する取り組みについてお話をすることができました。詳細は、またあらためてご説明するつもりです。

 閉会後、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉で理事をしておられる石田弥寿子さんと、会場でおめにかかった女房語りの山下智子さんを、会場から歩いて8分の我が家にお招きしました。
 私がお気に入りの豆を挽いて淹れたコーヒーと京菓子で、いろいろな楽しいお話をしました。時の経つのも忘れて、なんと2時間も話し込んでしまいました。
 山下さんは、京ことばで『源氏物語』を読んでおられます。来月3月12日(日)の午後2時から、粟田口にある国際交流会館和風別館で「花宴」を語られます。
 今回も私は参加できません。よろしかったら予定に入れてみてください。

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「京ことば 源氏物語 花宴」

 NPO活動のことなどを含めて、今後とも山下さんとは可能であればご一緒にイベント活動をしたいと思っています。実現しましたら、またお知らせします。
posted by genjiito at 20:39| Comment(0) | ■講座学習

2017年01月21日

江戸漫歩(151)「表記研究会」で清泉女子大学へ行く

 清泉女子大学で開催された「表記研究会」に行ってきました。
 最寄り駅である五反田駅前には、今も郵便ポストが2つ並んでいました。


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 このポストのことは、「江戸漫歩(4)怪しい郵便ポスト」(2008年01月19日)に書きました。この時のポストは、もっと寄り添っていました。向かって左側のポストが、さらに左に引き離されたようです。

 清泉女子大学は、閑静な住宅地の中にあります。


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 この近くには来たことがあります。しかし、キャンパスに入るのは初めてです。

 ここで教員をしている、大阪大学で一緒に勉強した研究仲間の藤井由紀子さんが、あらかじめ守衛さんに連絡してもらっていたので、迷わずに行けました。


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 藤井さんに学内を案内してもらいました。100年の重みを感じる、素晴らしい環境です。映画やテレビの撮影でも使われるそうです。

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 研究会が始まる前に、藤井さんにお願いして、この研究会の司会進行役である今野真二先生を紹介してもらいました。今野先生の本はほとんど読んでいたので、私にとっては旧知の研究者です。ただし、初対面です。

 最初から質問をしました。明治33年にひらがなを決めた事情を明らかにしてほしいと。
 しかし、当時の資料がないので、そのことはほとんどわからない、とのことでした。
 これは、当時の資料を丹念に調べるしかありません。

 そうこうするうちに、中部大学の蜂矢真郷先生がいらっしゃいました。
 日比谷図書文化館で『源氏物語』を読む講座を受講なさっている方が2人お出ででした。

 研究会は、3人の発表で進みました。一人30分の発表です。
 配布された資料から、発表を聞いて確認できたことを抜き出しておきます。
 
(1)「かたちからみた仮名の自立」
     愛媛大学  佐藤 栄作氏


仮名(真仮名@、草体仮名、省画仮名)が新たな文宇体系であると確認するためには、真名に見られない「かたちに関わるふるまい」が観察されるか否かがポイントになる。


 なお、ひらがなの「ま」は用例からは、下の線が長いとのことでした。
 
(2)「仮名の資格」
     関西大学  乾 善彦氏


漢宇の「形(ケイ)」を残す限り、意味への抽象性はみとめられても、完全に意味から脱却することはできない。その点で、万葉集仮名書歌巻の仮名は、「仮名」に近い性格を持ちながらも、仮名の資格にかける。逆に文書中の仮名は独立して日本語をあらわさないかぎりにおいて、仮名の資格にかけるが、ひらがなに連続するものと考えられる。漢字の「形(ケイ)」からの脱却が、「仮名」への第一歩と考えるが、基層の仮名と実用の仮名との関係を考えることが求められているのだろうか。

 
(3)「平安期の仮名資料からみた仮名の成立」
     山梨大学  長谷川千秋氏


仮名と漢字は、判断・評価などの微妙なニュアンスを伝達する箇所を仮名が請け負い、手続きや事態の経過など叙述的な面を漢字が請け負い、伝達内容によって漢字列と仮名列の切り替えが起きているように見受けられる。仮名は、表音的な機能をもつことから、
 
 
このことから、土左日記で漢詩を漢字で書かないということは、文学的行為としての選択であり、日用的な書き様とは切り離して考えるべきところであろうと思われる。こうした漢字列を排除する表記態度の延長に十一世紀の和歌表記が位置づけられていくと推測する。

 
 その後の「全体討論」であるシンポジウム「仮名の成立」については、あらためて別に記します。
posted by genjiito at 22:44| Comment(0) | ■講座学習

2016年10月12日

連続講座(その7)「くずし字で読む『百人一首』」

 国文学研究資料館主催の連続講座「くずし字で読む『百人一首』」がありました。
 本年度第7回目は、私が担当しました。
 各回毎に研究部の教員が一人ずつ代わる代わる登壇する、まさに駅伝の襷リレーのような公開イベントです。受講者のみなさまは、毎回違う味が楽しめます。その意味からも、おもしろい企画だといえます。

 日比谷図書文化館で『源氏物語』の写本を読んでいる要領で臨みました。私は、割り振られた『百人一首』の和歌4首(63〜66)を、字母を確認しながら読み進めました。くずし字を読むことが主旨であり、歌の意味や作者についてはまったく触れず、テキストとなっている版本の文字にだけを注目していきます。

 全回使用するテキストは、国文学研究資料館が所蔵する江戸時代中期の版本『錦百人一首あつま織』です。これは、勝川春草の手になる極彩色の歌仙絵を添えた版本で、安永4年(1775)に刊行されたものです。

 ただし、版本の印刷体の文字だけではおもしろくないと思い、複製版の『陽明文庫旧蔵 百人一首』(有吉保、おうふう、昭和五十七年十二月)もテキストに加え、独特の書体のくずし字も同時に読みました。
 休憩時間には、持参した複製版の陽明文庫のカルタを、受講者のみなさまに触っていただきました。

 2種類の字体が異なる『百人一首』を、4首だけとはいえ仮名の字母にこだわって読んだので、多くの方が興味を持って参加してくださったと思います。
 みなさまにはアンケートを書いていただいたので、後日その結果を見るのが、怖さ半分の楽しみです。

 こうして、多くの方々がくずし字に興味を持ってくださることはいいことです。しかも、男性が予想外に多かったことで、私のこれまでの思いが嬉しい誤算となりました。

 おまけの資料として、福沢諭吉の『学問のすゝめ』(明治4年)と、谷崎潤一郎の『春琴抄』(昭和8年)も、その冒頭部分を変体仮名に注意して読みました。これも、受講されていたみなさまにとって、意外な体験となったようです。

 さらには、宮川保子さんが書いてくださった、視覚障害者のための触読用の『百人一首』の立体コピーをお一人一枚ずつ配り、目を瞑って指だけで読む体験もしていただきました。これも、意外な体験となったことでしょう。

 短い時間ながらも、一緒に楽しくくずし字を読むことができました。
 私にとって最後の公開講座でもあり、十分に手応えがありほっとしています。

 参加なさったみなさま、長時間お疲れさまでした。
posted by genjiito at 23:32| Comment(0) | ■講座学習

2016年05月18日

古書販売目録に関する講演会のお知らせ

 千代田区立千代田図書館で、古書販売目録に関する講演会が開催されます。

 いつもお世話になっている、千代田図書館で企画等を担当なさっている河合さんの広報のお手伝いを、ここで少しだけさせてください。

 この「古書販売目録コレクション」については、私も『源氏物語』に関する記事を調査して収集するという作業を進めています。しかし、何かと諸事に手と時間を取られて、なかなか調査に行けないのです。

 一人でも多くの方に、このような資料が眠っていることを知っていただきたいと思っています。興味と関心を持って、目録を見てみようと思っていただけたら幸いです。

 私に連絡をいただければ、最初のうちはご一緒に調査のお世話をいたします。連絡には、このブログのコメント欄を使ってください。

 河合さんからいただいた情報を、以下に引用します。


 このたび、八木書店さんと連携して古書目録に関する講演会を開催することになりましたので、とりあえず概要をお知らせします。

 文学、書誌学、歴史等をテーマとする研究者の皆様、そして、大学図書館・研究所図書室の職員の皆様向けの講演会です。

 事前申込制ですが、受付方法などは調整中です。

 もしご興味がございましたら、ご予定いただけますと幸いです。

1. 開催概要
 日時:2016年7月30日(土)14:00〜16:30
 会場:千代田区役所4階 401&402会議室
 演題:古書目録の学問的な意味
 講師:尾上陽介氏(おのえ・ようすけ、東京大学史料編纂所准教授 古文書・古記録部門)
 定員:60〜70名(事前申込制)
 尾上氏の講演(約60分)終了後に、下記のプログラム設ける
 ミニ講演「反町茂雄と弘文荘」(約20分、八木壮一氏)
 「Web版 弘文荘待買古書目」の活用方法案内(約20分、恋塚嘉氏)
 代表的な古書販売目録の自由閲覧(約20分)

2. 講演内容
 古書目録から具体的にどのような学問的成果が得られるのか、『明月記』(藤原定家の日記、鎌倉時代)の研究事例を紹介。
 さらに、国内外の研究者から高く評価されている「弘文荘待賈古書目」について、その学問的な意義をお話しいただく。

 詳細が決まったら、またご連絡します。
 よろしくお願いいたします。
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2015年10月30日

放送大学で歴博本「鈴虫」を読む(その1)

 快晴の朝、地下鉄丸の内線の茗荷谷駅前にある放送大学東京文京センターで、専門科目の講座を担当して来ました。

 東京文京センターは、筑波大学東京キャンパス文京校舎との合同庁舎の中にあり、放送大学の受講施設の中でも最大規模の学習センターです。
 次の写真は、帰りに写したものです。


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 正門前のオブジェがかわいいので、この小さな公園からの風景が気に入っています。


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 放送大学は、何よりも受講生のみんさんの意欲と熱気が直に伝わって来る、すばらしい教育環境の中にある学習センターです。

 東京の宿舎では、放送大学のチャンネルが3つ受信できるので、折々に講座を視聴しています。
 日本にこうした施設と教育システムがあることは、もっと多くの方々に知っていただきたいと思います。そして、多くの方が大いに利用し、自分の生涯学習のためにも活用なさったらいいと思います。

 私は昨年度に引き続き、「専門科目:人間と文化」の中で「歴博本源氏物語「鈴虫」を読む」という科目を担当しています。

 この日のために私が用意したテキスト『国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」』が、書店に注文したのに今日までに届かなかった、という方が何人かいらっしゃいました。
 どうしましょう、と言われても私には名案が浮かばないところを、事務の方がうまくサポートして対処してくださいました。本当にありがとうございました。
 お陰さまで、みなさまの手にテキストが行き渡り、安心して講義が始められました。

 最初に10種類のプリントを配布して、みなさまの反応を見ながら内容を組み立てて進めました。

今日の内容は、以下の通りです。


【概要(シラバス)】
 千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館が所蔵する、重要文化財『源氏物語 鈴虫』を読みます。これは、米国ハーバード大学が所蔵する『源氏物語 須磨・蜻蛉』と兄弟本で、鎌倉時代中期に書写された現存最古の写本の一つです。完成度の高い美術品とも言えるものです。
 今回は、その「鈴虫」を全頁カラー印刷した影印本を使い、平仮名の元となった字母を確認しながら読みます。翻字は、本邦初といえる「変体仮名翻字版」です。これについても詳しく説明します。写本を読む技術と異文についても一緒に考えていきます。

【メッセージ】
 鎌倉時代の人が書写した『源氏物語』の写本である、ということを強く意識して読んでみましょう。現代の読書体験との違いを実感してください。また、長大な異文についても、一緒に考えてみましょう。

【テキスト】
『国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」』(伊藤鉄也・阿部江美子・淺川槙子 編著、新典社、2015年10月)

【テーマ】
◎十月三十日(金)
第1回 二千円札紙幣に描かれた『源氏物語』の絵と本文から見える問題
第2回 米国にある『源氏物語』−ハーバード大学本と米国議会図書館本−
第3回 歴博本「鈴虫」を読む(1)−平仮名と変体仮名のおもしろさ−
第4回 歴博本「鈴虫」を読む(2)−「変体仮名翻字版」の翻字とは−


 午前中は、ひらがなに関する理解と問題意識を広げてもらうことに集中しました。
 これまでのひらがなの歴史と、これからネットワーク社会で展開する変体仮名について、予定していた内容を少し変更してお話しました。

 午後は、鈴虫の本文を変体仮名に注視しながら読みました。
 反応がよかったので、予定した分量以上に進むことができました。

 私がこの写本の筆者について、その人間像を勝手に想像していることも話しました。
 例えば、第1丁オモテ丁末に、「おなし」の「し」が次のように書写されています。


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 このように、「し」という文字で隅をぐるりと囲うような例はめずらしいものです。おそらく、この書写にあたっては檜製の糸罫という道具を使って、行がまっすぐになるように書いていると思われます。四角い空間に糸で縦の境界を作り、その間に文字を写し取っていくのです。

 その左下の枠を特に意識したかのような「し」には、この筆者の拘りがあるように思うのです。
 遊び心を持って、書写を楽しんでいるようです。

 ここに例は挙げませんが、縦長の「し」で字間を調節する場面が散見するのも、そうした意識のあらわれだと思います。

 また、第2丁オモテに「可多み尓・みちひき」とあるところで、「み」を連続して書き、しかもその字形を微妙に変えているところがあります。これなどは、筆写者の自信溢れる書写意識の一端を、意図的なものとして垣間見させるところではないでしょうか。


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 「新」「勢」「徒」「葉」など、画数の多い変体仮名も多用しています。

 私は、こうした点に、この書写者が持つ顕示欲の一部を見たような気がしています。
 と、そんなことを話すと、すかさず「親本通りの字母で書いていないのですか?」という質問を受けました。

 ツレであるハーバード大学本の「須磨」と「蜻蛉」は、親本通りの字母で書写する傾向がありました。字母を親本と違えて書いたときなどには、わざわざ字母を訂正してなぞったりしています。
 しかし、この歴博本「鈴虫」では、そのような兆候は最初を見る限りではうかがえません。

 勝手な想像で恐縮ながら、この写本の書写者は、親本どおりというよりも、自分の美意識が勝った書写態度のように見受けられます。あくまでも、想像の域を出ない、勝手な妄想ですみません。

 その他、いろいろな質問もいただきました。とにかく、みなさん熱心です。
 目が見えないお知り合いをお持ちの方からの相談を受けました。
 私にとっても、充実した大変貴重な時間でもありました。

 次回は、次の内容を用意して臨むことにしています。


◎十一月六日(金)
第5回 古写本はどのようにして書写され、製本され、伝えられて来たのか
第6回 歴博本「鈴虫」を読む(3)−長大な異文を持つ「国冬本」−
第7回 歴博本「鈴虫」を読む(4)−書写者の意識と無意識のミスと−
第8回 古写本を読むことと、市販の活字による校訂本文を読むことの違い
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2015年10月01日

歴博本「鈴虫」をカラー版で「変体仮名翻字版」として刊行

 本日、『国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」』という本の最終校正が無事に終わり、印刷の段階に入りました。
 この本の書誌は、次の通りです。


書名:『国立歴史民俗博物館蔵 『源氏物語』 「鈴虫」』
発行日:2015年10月30日
編著者名:伊藤鉄也・阿部江美子・淺川槙子
出版社:新典社
定価:1800円(本体)
頁数:152p(内、カラー48p)
ISBN:978-4-7879-0637-3



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 昨年と一昨年に、鎌倉時代中期に書写された古写本の影印版として、『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「須磨」』(新典社、二〇一三年)と『同「蜻蛉」』(同、二〇一四年)を刊行しました。
 今回の歴博本「鈴虫」は、この本のツレと思われる写本であり、国立歴史民俗博物館が所蔵するものです。日本に残った、貴重な古写本なのです。

 特に今回は、この歴博本「鈴虫」巻をカラー版で刊行できました。
 これにより、日本の古典文化を体感できる鎌倉時代の古写本が、影印本として3冊も提供することが叶ったのです。
 所蔵機関と出版社に感謝しています。

 本書では、前著二冊のハーバード本「須磨・蜻蛉」とは異なり、影印の下段に「変体仮名翻字版」で翻字したものを添えました。


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 そして、巻末の資料として、既刊の「須磨」と「蜻蛉」の「変体仮名混合版」も収載しています。

 松尾聡氏が「写本の本文を現行活字に改めて印行して、それを相互比較しつつテキストクリティクをあげつろうなどということは、すでにナンセンスではないか。」(『天理図書館善本叢書 月報38』「新版「校異源氏」夢物語」(三頁、松尾聡、八木書店、一九七八年一月)と指摘されたことを意識しての、本邦初とでも言うべき資料集です。

 過日の記事、「電子テキストを一括置換した痛恨のミス」(2015年09月23日)で告白したように、本来ならば今春にも刊行できたはずなのに、私のミスから今に至ってしまいました

 いろいろな方が待っておられることは知っていました。また、今月末から始まる、放送大学での講座のテキストに指定していたこともあり、急き立てられるようにして本日の下阪に向けて作業をしていました。今月末の中古文学会でも、みなさんに見ていただけます。

 とにかく間に合いました。
 本当に、お待たせしてすみません。
 刊行まで、もうしばらくお待ちください。
posted by genjiito at 20:55| Comment(0) | ■講座学習

2014年11月14日

放送大学でハーバード大学本「須磨」の異文を読む

 前回の4回の講義を踏まえて、さらに「須磨」巻を字母に注意を払いながら読み進めました。
 ただし、いきなり異本や異文を読むのは大変なので、まずは頭をほぐしていただきます。
 古写本はどのようにして書写され、製本され、伝えられて来たのか、ということです。

 受講者のみなさんには、今読んでいるハーバード大学本と雰囲気がよく似ている本として、国立歴史民族博物館所蔵の中山本「行幸」と「柏木」の2冊を回覧しました。この中山本は、16cm四方という本の大きさや、列帖装という装幀等々、ハーバード大学本のイメージが摑みやすいのです。
 この本を手にしていただいたことが意外と好評で、休み時間などにいろいろと質問を受けました。製本をなさっている方からは、具体的な質問を受けました。綴じ糸の使い方など、多いに参考になったようです。


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 また、ハーバード大学本の装飾料紙が美麗なところは、必ずと言っていいほど内側が手前になります。つまり、その装飾部分は必ず見開きで堪能できるのです。糸綴じの様子が見え、しかも左右見開きの頁で、そのみごとさが目に飛び込んでくるように仕立てられています。


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 このことも、みなさんの注意を惹くこととなりました。
 写本を作る製作者の情熱も、共に驚きをもって体感していただけたようでした。

 この古写本は、書写された物語の本文を読むだけでなく、本の装幀や紙の装飾性なども含めて、多様な日本文化が凝縮した文化遺産といえるものなのです。

 そうした書物というメディアに記された物語の本文を、今日は字母よりも異文に気を配りながら読みました。

 前回は、6丁裏までの字母を印字して配布してありました。そこで今日は6丁裏までを読み切ることを目標にしました。しかも、19種類もの異本を同時に確認しながらなので、みなさんは生まれて初めての複眼的古文体験となったはずです。19種類もの本文に目を配りながら読むことなど、生涯でそうそうできることではありません。しかも、古文の『源氏物語』です。そんな貴重な体験をしていただくために、無理を承知でどんどん写本に書かれた本文の確認をして行きました。

 読み進む内に、いろいろと中断しながら余談を交えました。退屈にならないように配慮したつもりでした。『源氏物語』の本文は、19種類を見渡しても2つのグループにしか分別できないことも、こうした手法で読むと、納得してもらいやすいのです。

 終わってからのみなさんのアンケートによると、特訓の甲斐があってか、多少は変体仮名が読めるようになったこともあり、おもしろかったという言葉が多く伺えました。こちらも初対面の方々との試みをしたわけですから、おおむねみなさんに満足していただけたので安堵しています。

 もちろん、もっとゆっくりと丁寧に、という意見もありました。しかし、とにかく現在一般に読まれている大島本という本文とは異なるハーバード大学本の『源氏物語』は、至る所で違いを見せるので意外だったことでしょう。どんどん進めたので、あまり考える間もなく次から次へと、細かいながらも異文が出てくるのです。
 いったい、今、日本で読まれている「大島本」という写本をもとにした『源氏物語』が何なのか、大いなる疑問へとつながったとしたら、それは私としては成功です。そして、この違和感は、十分にみなさんに感じていただけたようでした。

 さらには、傍記が本行に混入するという、私が独自に主張している法則が見られる箇所を指摘していくと、謎解きの要素もあるため、さらに興味をもっていただけたようです。

 この放送大学の面接授業には、さまざまな方が集まっておられます。高齢者が多いとしても、若い方もおいでです。確かな反応を感じながら進められたので、私も楽しく一緒に異文を確認して読むことができました。

 受講者のみなさんには、今日一日で膨大な量の写本の文字を読み、多くの写本に記された異文を読む体験をしていただきました。日常でこのような読書をすることはないので、さぞかしお疲れのことだと思います。これが、心地よい疲れになってほしいと願っています。
 さらには、今回手にされたハーバード大学本「須磨」というテキストを横に置いて、あらためて現在市販されている大島本を元にした『源氏物語』読んでください、とお勧めしました。
 古典の新しい読み方の提案となれば幸いです。

 強行スケジュールによる、ハーバード大学本『源氏物語』を読む8コマの講座でした。
 受講者のみなさんに、この鎌倉時代中期に書写された古写本が、どのような存在として意識されるようになったのかを、いつかお目にかかれることがあれば、ぜひ伺いたいと思います。
 少なくとも、『源氏物語』の文章は一つではないことと、変体仮名を少しは読めるようになったという自信を持っていただけたら、私の今回の役割は果たせたことになります。

 ご出席のみなさま、お疲れさまでした。
 そして、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
 くれぐれも、お疲れが出ませんように。
posted by genjiito at 22:02| Comment(0) | ■講座学習

2014年10月29日

立川市中央図書館で聞いた視覚障害者への対応

 先週日曜日に、立川市中央図書館で『源氏物語』のお話をしたご縁で、視覚障害者(以下、触常者)の担当部署にいらっしゃる職員の方に、本日、親しくお話を伺うことができました。


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 先週は、同じ部署の斎藤さんに、図書館の3階にある点字室と録音室を見せていただいていました。今日は、その時にお目にかかれなかった、福島さんと早坂さんに、長時間にわたりお話を伺えました。
 夕方から夜にかけて利用者が多いお忙しい時間帯に、私の頭が満杯になるほど、貴重なご教示をいただきました。ありがとうございました。

 以下、伺ったことを忘れないうちに書き留めておきます。
 知り得たことがあまりにも多いので、未整理で順不同です。今はまだ、障害のある方々について勉強中です。その過程での備忘録であることを、お断りしておきます。

 立川市中央図書館の入口には、2本の白杖があります。


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 この使い方を、まず教えていただきました。手元のスイッチを入れると、フロアに埋め込まれたセンサーと同期して、現在いる場所を天井から声で教えてくれるのです。


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 こうした設備が、全国の図書館にどれだけ普及しているのか、今はわかりません。触常者は各自がご自分の白杖を持っておられるし、1人ではなく身内の方やヘルパーの方と一緒に来館されることが多いので、その利用効果は不明です。しかし、施設内を独りで行動する場合には、役立つはずです。

 この立川市中央図書館で、パンディキャップサービスの利用登録者は80名ほどだそうです。利用できるのは、原則として立川市に在住・在勤・在学している方だけです。登録しただけの方がいらっしゃるとしても、予想したよりも多いと思いました。

 実際の利用者は、高齢者が多くて若い人は少ないようです。デジタルのオーディオやビジュアル機器が家庭や個人に普及した今、障害のある方が図書館を利用する役割に思いを巡らせました。生活環境がデジタル化により激変しています。若者の図書館利用についても、今後とも考えていくことが多いように思えます。
 そんな実状もあり、利用される図書資料は、高齢者が好む池波正太郎や平岩弓枝等々、時代小説が中心となっているようです。

 収蔵されている録音資料としてのカセットテープやCD―ROMは、郵送による貸し出しもされていました。第4種郵便なので、往復共に無料です。職員による自宅への宅配もあるようです。


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 CD―ROMの音源はMP3であり、SDカードで保有する図書館もあるそうです。録音メディアは今の時代に対応しつつあるようです。音楽プレーヤーやスマートフォンの普及を見ると、当然のことなのでしょう。

 点字図書、録音図書などの貸し出し以外に、リクエストに応えられる希望図書がない場合には、新たに図書館として作成したり、全国の公共図書館から取り寄せておられました。この図書館で作成されたCD−ROMが多数あることには感動しました。地域のボランティア組織などが、リクエストに応じて録音や点訳を積極的にしておられるのです。この地道な努力は、もっと多くの方々に知ってほしいと思いました。

 そんな中で、棚に『源氏物語を読み解く100問』(伊井春樹著、NHK 出版)を朗読してCD−ROMに収録したものがありました。こんな形で伊井春樹先生のご著書に出会えるとは。


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 この本が刊行されたのは源氏物語千年紀の2008年です。録音されたのは2009年なので、ちょうど伊井先生が国文学研究資料館の館長をなさっていた時期にあたります。まだ著作権が改訂される前なので、録音の承諾については NHK 出版の担当部局に行かれたとの記録も見せていただきました。
 このことを伊井先生がご存知なのか、今度お目にかかった時にでも伺ってみます。

 さらに棚には、与謝野晶子の『源氏物語』や、林望さんの『謹訳源氏物語』もありました。


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 林望さんは、国文学研究資料館がイイノホール (東京都千代田区内幸町2−1−1)で開催する明後日の11月1日・古典の日のイベントで、「紫上をめぐって」と題して講演をなさいます。もしお話をする時間がありましたら、このことを話題にしてみたいと思います。

 まだ文学に関する視聴覚情報を収集し出したばかりです。古典文学に関する点字図書や録音図書が少ないのは仕方がないにしても、その現状だけでも整理して確認しておきたいものです。

 字書や辞書につていも、触常者はどのようにして言葉を調べておられるのか、まだ私にはよくわかりません。多くの若手の触常者は、ネットを使って言葉の意味を調べておられるのでしょうか。

 ハーバード大学本『源氏物語』を一緒に読もうとしている私は、変体仮名の字書と、簡単な古文の解説書が必要だと思っています。併せて、古語辞典をどうするのか等々、いろいろと自分への課題が浮上してきました。一つずつ解決していきたいと思います。

 なお、中央図書館には、対面朗読もあります。
 ただし、3日前までの予約で1回2時間、というのは、録音図書を自宅で利用することと比べてどうなのでしょうか。対面ということで、読み手との会話の意義はあっても、読書の原則は一人静かに読みふけるのが楽しい、と思う私には、録音図書を選んでしまいそうです。もっとも、目が見えない日々を思うと、対面朗読の利点をもっと理解すべきかとも思います。まだ、今の私には不勉強のためもあって、そのあたりの様子や違いが実感としてはよくわかりません。

 録音図書については、日本点字図書館がシステムを管理し、全国視覚障害者情報提供施設協会が運営する「サピエ」というサイトを教えていただきました。ここは、点字図書や録音図書の書誌データ(約89万件)の宝庫です。今年の6月3日からは、国立国会図書館の「視覚障害者等用データ送信サービス」の音声デイジーデータ及び点字データを「サピエ」からも利用できるようになっています。さらに、耳で観る映画「シネマ・デイジー」の情報もありました。

 試しに「サピエ図書館」で、『源氏物語』をデイジーデータ検索で探してみたところ、94件がヒットしました。
 また、同じく『源氏物語』を点字データ検索をしたところ、177件がヒットしました。
 「サピエ図書館」からは、検索結果によっては音源をダウンロードできるのです。いずれ、このことについても、さらに詳しく報告できると思います。

 本日(2014年10月29日(水))時点での情報ですが、参考までのそのすべてを以下に列記しておきます。
 このリストを見ながら、またしばし考えたいと思います。
 


◆デイジーデータ◆

1,愛と野望下巻源氏物語絵巻を描いた女たち,長谷川美智子著
2,あさきゆめみし2源氏物語(講談社青い鳥文庫),大和和紀原作・絵時海結以文
3,あさきゆめみし3源氏物語(講談社青い鳥文庫),大和和紀原作・絵時海結以文
4,あさきゆめみし4源氏物語(講談社青い鳥文庫),大和和紀原作・絵時海結以文
5,あさきゆめみし5源氏物語(講談社青い鳥文庫262?5),大和和紀原作・絵時海結以文
6,医者が診つめた「源氏物語」,鹿島友義著
7,翁秘帖・源氏物語,夢枕/獏著
8,恐ろしや源氏物語,早坂暁著
9,男読み源氏物語(朝日新書123),高木和子著
10,記憶の中の源氏物語,三田村雅子著
11,霧ふかき宇治の恋上巻新源氏物語(新潮文庫),田辺聖子著
12,霧ふかき宇治の恋下巻新源氏物語(新潮文庫),田辺聖子著
13,謹訳源氏物語1,[紫式部著]林望[訳]著
14,謹訳源氏物語2,[紫式部著]林望[訳]著
15,謹訳源氏物語3,[紫式部著]林望[訳]著
16,謹訳源氏物語4,[紫式部著]林望[訳]著
17,謹訳源氏物語5,[紫式部著]林望[訳]著
18,謹訳源氏物語6,[紫式部著]林望[訳]著
19,謹訳源氏物語7,[紫式部著]林望[訳]著
20,謹訳源氏物語8,[紫式部著]林望[訳]著
21,謹訳源氏物語9,[紫式部著]林望[訳]著
22,謹訳源氏物語10,[紫式部著]林望[訳]著
23,謹訳源氏物語私抄11味わいつくす十三の視点,[紫式部著]林望[訳]著
24,源氏物語時代が見える人物が解る戦後最高の入門書,風巻景次郎,清水好子著谷沢永一解説
25,源氏物語4版千年の謎(角川文庫),高山由紀子[著]
26,源氏物語上(日本古典文庫4),紫式部[著]与謝野晶子訳
27,源氏物語[分冊1],[紫式部][著]今泉忠義,森昇一,岡崎正繼編
28,源氏物語第1巻桐壷〜賢木(ちくま文庫お39?4),[紫式部著]大塚ひかり全訳
29,源氏物語上巻,村山リウ訳
30,源氏物語上(少年少女古典文学館第5巻),紫式部原作瀬戸内寂聴著
31,源氏物語中(日本古典文庫5),紫式部[著]与謝野晶子訳
32,源氏物語第2巻花散里〜少女(ちくま文庫お39?5),[紫式部著]大塚ひかり全訳
33,源氏物語[分冊2],[紫式部][著]今泉忠義,森昇一,岡崎正繼編
34,源氏物語下(少年少女古典文学館第6巻),紫式部原作瀬戸内寂聴著
35,源氏物語中巻,村山リウ著
36,源氏物語2千年の謎(角川文庫),高山由紀子[著]
37,源氏物語下(日本古典文庫6),紫式部[著]与謝野晶子訳
38,源氏物語第3巻玉鬘〜藤裏葉(ちくま文庫お39?6),[紫式部著]大塚ひかり全訳
39,源氏物語下巻,村山リウ著
40,源氏物語第4巻若菜上〜夕霧(ちくま文庫お39?7),[紫式部著]大塚ひかり全訳
41,源氏物語第5巻御法〜早蕨(ちくま文庫お39?8),[紫式部著]大塚ひかり全訳
42,源氏物語第6巻宿木〜夢浮橋(ちくま文庫お39?9),[紫式部著]大塚ひかり全訳
43,『源氏物語』への誘いその魅力の源泉を探る(21世紀ブックレット9),高柳美知子著
44,源氏物語を知っていますか,阿刀田高著
45,源氏物語を読むために,西郷信綱著
46,『源氏物語』が読みたくなる本,山本淳子編
47,源氏物語九つの変奏(新潮文庫え?10?52),江国香織,角田光代,金原ひとみ,桐野夏生,小池昌代,島田雅
48,『源氏物語』の男たちミスタ?・ゲンジの生活と意見,田辺聖子著
49,源氏物語の女君たち,瀬戸内寂聴著
50,源氏物語の結婚平安朝の婚姻制度と恋愛譚(中公新書2156),工藤重矩著
51,源氏物語の女性たち(小学館ライブラリー3),秋山虔著
52,源氏物語のすすめ(講談社現代新書),村山リウ著
53,源氏物語の論(AKIYAMAKENSelection),秋山虔著
54,源氏物語の脇役たち,瀬戸内寂聴著
55,源氏物語人殺し絵巻(文春文庫),長尾誠夫著
56,源氏物語百華五十四帖すべての謎を解く,左方郁子,佐藤英子著
57,古典基礎語の世界源氏物語のもののあはれ(角川ソフィア文庫),大野晋編著
58,殺人源氏物語(カッパ・ノベルス),斎藤栄著
59,散歩とカツ丼(ベスト・エッセイ集2010年版),日本エッセイスト・クラブ編
60,じっくり見たい『源氏物語絵巻』(アートセレクション),佐野みどり著
61,死ぬのによい日だ(ベスト・エッセイ集2009年版),日本エッセイスト・クラブ編
62,十二単衣を着た悪魔源氏物語異聞,内館牧子著
63,潤一郎訳源氏物語巻1改版(中公文庫),[紫式部著]谷崎潤一郎訳
64,潤一郎訳源氏物語巻2改版(中公文庫た30?20),[紫式部著]谷崎潤一郎訳
65,潤一郎訳源氏物語巻3改版(中公文庫),[紫式部著]谷崎潤一郎訳
66,潤一郎訳源氏物語巻4改版(中公文庫),[紫式部著]谷崎潤一郎訳
67,潤一郎訳源氏物語巻5改版(中公文庫),[紫式部著]谷崎潤一郎訳
68,小説一途ふたりの「源氏物語」(the寂聴),田辺聖子,瀬戸内寂聴著
69,掌編源氏物語,馬場あき子著
70,新源氏物語上巻(新潮文庫),田辺聖子著
71,新源氏物語中巻(新潮文庫),田辺聖子著
72,新源氏物語下巻(新潮文庫),田辺聖子著
73,すらすら読める源氏物語上,瀬戸内寂聴著
74,すらすら読める源氏物語中,瀬戸内寂聴著
75,すらすら読める源氏物語下,瀬戸内寂聴著
76,21世紀によむ日本の古典6源氏物語,[紫式部著]中井和子[訳]著石倉欣二絵
77,日本の心と源氏物語(シリーズ古典再生2),岡野弘彦編
78,日本の古典をよむ9源氏物語上,[紫式部著]阿部秋生,秋山虔校訂・訳
79,日本の古典をよむ10源氏物語下,[紫式部著]阿部秋生,秋山虔校訂・訳
80,女人源氏物語1,瀬戸内寂聴著
81,女人源氏物語2,瀬戸内寂聴著
82,女人源氏物語3,瀬戸内寂聴著
83,女人源氏物語4,瀬戸内寂聴著
84,女人源氏物語5,瀬戸内寂聴著
85,半日で読む源氏物語,吉野敬介著
86,光源氏になってはいけない源氏物語「悪目立ち」せず生きていく作法,助川幸逸郎著
87,平安の気象予報士紫式部:『源氏物語』に隠された天気の科学,石井和子[著]石井,和子,アナウンサー
88,紫式部の恋「源氏物語」誕生の謎を解く(河出文庫こ12?2),近藤富枝著
89,紫の結び1源氏物語,[紫式部著]荻原規子訳
90,紫の結び2源氏物語,[紫式部著]荻原規子訳
91,望月のあと覚書源氏物語『若菜』,森谷明子著
92,雪折れ,圓地文子著
93,私が源氏物語を書いたわけ紫式部ひとり語り,山本淳子著
94,私の源氏物語宿命の女性たち,上山伶子


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◆点字データ◆

1,愛する源氏物語,俵万智著
2,あさきゆめみし3源氏物語(講談社青い鳥文庫262?3),大和和紀原作・絵時海結以文
3,あさきゆめみし4源氏物語(講談社青い鳥文庫),大和和紀原作・絵時海結以文
4,あさきゆめみし5源氏物語(講談社青い鳥文庫),大和和紀原作・絵時海結以文
5,絵草紙源氏物語(角川文庫),田辺聖子文岡田嘉夫絵
6,翁?OKINA秘帖・源氏物語,夢枕獏著
7,翁?OKINA秘帖・源氏物語(角川文庫),夢枕獏著
8,恐ろしや源氏物語,早坂暁著
9,男読み源氏物語(朝日新書123),高木和子著
10,カラダで感じる源氏物語(ちくま文庫),大塚ひかり著
11,季語で読む源氏物語,西村和子著
12,季語で読む源氏物語,西村和子著
13,霧ふかき宇治の恋上新源氏物語,田辺聖子著
14,霧ふかき宇治の恋下新源氏物語,田辺聖子著
15,謹訳源氏物語1,[紫式部著]林望[訳]著
16,謹訳源氏物語2,[紫式部著]林望[訳]著
17,謹訳源氏物語3,[紫式部著]林望[訳]著
18,謹訳源氏物語4,[紫式部著]林望[訳]著
19,謹訳源氏物語5,[紫式部著]林望[訳]著
20,謹訳源氏物語6,[紫式部著]林望[訳]著
21,謹訳源氏物語7,[紫式部著]林望[訳]著
22,謹訳源氏物語8,[紫式部]著林望訳
23,首の信長,小林恭二著
24,GEN『源氏物語』秘録,井沢元彦著
25,GEN『源氏物語』秘録,井沢元彦著
26,源氏・拾花春秋源氏物語をいける(文春文庫),田辺聖子,桑原仙渓著
27,源氏の男はみんなサイテー親子小説としての源氏物語,大塚ひかり著
28,源氏物語(図説日本の古典7),秋山虔著
29,源氏物語物語空間を読む,三田村雅子著
30,源氏物語(講談社青い鳥文庫183?1),紫式部作高木卓訳
31,源氏物語時代が見える人物が解る,谷沢永一,風巻景次郎,清水好子著
32,源氏物語千年の謎(角川文庫た60?1),高山由紀子[著]
33,源氏物語千年の謎(角川文庫た60?1),高山由紀子[著]
34,源氏物語上,紫式部[著]与謝野晶子訳
35,源氏物語巻一,瀬戸内寂聴現代語訳
36,源氏物語巻1,瀬戸内寂聴訳
37,源氏物語巻1,紫式部著瀬戸内寂聴訳
38,源氏物語巻1,[紫式部著]瀬戸内寂聴訳
39,源氏物語一(京都昔話の本(社寺)),ささきようこ編集
40,源氏物語上の巻,橋田壽賀子著
41,源氏物語1,紫式部[著]瀬戸内寂聴訳
42,源氏物語巻1,紫式部著円地文子訳
43,源氏物語巻二,瀬戸内寂聴現代語訳
44,源氏物語巻2,瀬戸内寂聴訳
45,源氏物語巻2,[紫式部著]瀬戸内寂聴訳
46,源氏物語中,紫式部[著]与謝野晶子訳
47,源氏物語巻2,紫式部著瀬戸内寂聴訳
48,源氏物語二(京都昔話の本(社寺)),ささきようこ編集
49,源氏物語下の巻,橋田壽賀子著
50,源氏物語2,紫式部[著]瀬戸内寂聴訳
51,源氏物語巻2,紫式部著円地文子訳
52,源氏物語2千年の謎(角川文庫た60?2),高山由紀子[著]
53,源氏物語巻三,瀬戸内寂聴現代語訳
54,源氏物語巻3,瀬戸内寂聴訳
55,源氏物語下3,紫式部[著]与謝野晶子訳
56,源氏物語3,紫式部[著]瀬戸内寂聴訳
57,源氏物語巻3,紫式部著円地文子訳
58,源氏物語巻四,瀬戸内寂聴現代語訳
59,源氏物語巻4,瀬戸内寂聴訳
60,源氏物語4,紫式部[著]瀬戸内寂聴訳
61,源氏物語巻4,紫式部著円地文子訳
62,源氏物語巻五,瀬戸内寂聴現代語訳
63,源氏物語巻5,瀬戸内寂聴訳
64,源氏物語5,紫式部[著]瀬戸内寂聴訳
65,源氏物語巻5,紫式部著円地文子訳
66,源氏物語巻六,瀬戸内寂聴現代語訳
67,源氏物語巻6,瀬戸内寂聴訳
68,源氏物語6,紫式部[著]瀬戸内寂聴訳
69,源氏物語巻6,紫式部著円地文子訳
70,源氏物語巻七,瀬戸内寂聴現代語訳
71,源氏物語巻7,瀬戸内寂聴訳
72,源氏物語巻7,紫式部著円地文子訳
73,源氏物語7,紫式部[著]瀬戸内寂聴訳
74,源氏物語巻八,瀬戸内寂聴現代語訳
75,源氏物語巻8,瀬戸内寂聴訳
76,源氏物語巻8,紫式部著円地文子訳
77,源氏物語8,紫式部[著]瀬戸内寂聴訳
78,源氏物語巻九,瀬戸内寂聴現代語訳
79,源氏物語巻9,瀬戸内寂聴訳
80,源氏物語巻9,紫式部著円地文子訳
81,源氏物語9,紫式部[著]瀬戸内寂聴訳
82,源氏物語巻十,瀬戸内寂聴現代語訳
83,源氏物語巻10,瀬戸内寂聴訳
84,源氏物語巻10,紫式部著円地文子訳
85,源氏物語愛の渇き(ワニの選書),大塚ひかり著
86,源氏物語を読み解く100問(生活人新書254),伊井春樹著
87,源氏物語が面白いほどわかる本日本が誇るラブロマンがマンガより楽しく読める,出口汪著
88,「源氏物語」カルチャー講座,福嶋昭治著
89,源氏物語九つの変奏(新潮文庫え?10?52),江國香織,角田光代,金原ひとみ,桐野夏生,小池昌代,島田雅
90,源氏物語五十四帖を歩く(JTBキャンブックス.文学歴史11),朧谷寿監修日〓貞夫写真
91,源氏物語事典,秋山虔編
92,源氏物語と生涯学習平成から源氏をよむ,田中正明著
93,源氏物語とその作者たち(文春新書746),西村亨著
94,源氏物語・隣りの女(向田邦子TV作品集8),向田邦子著
95,「源氏物語」に学ぶ女性の気品(青春新書INTELLIGENCEPI?200),板野博行著
96,源氏物語の愛(シリーズ源氏大学),瀬戸内寂聴,秋山虔,大和和紀著
97,「源氏物語」の色辞典,吉岡幸雄著
98,源氏物語の近江を歩く,畑裕子著
99,源氏物語の男君たち,瀬戸内寂聴著
100,源氏物語の男君たち,瀬戸内寂聴著
101,源氏物語の女君たち,瀬戸内寂聴著
102,源氏物語の女君たち,瀬戸内寂聴著
103,源氏物語の女君たち,瀬戸内寂聴著
104,源氏物語の時代一条天皇と后たちのものがたり(朝日選書820),山本淳子著
105,源氏物語の時代一条天皇と后たちのものがたり(朝日選書820),山本淳子著
106,「源氏物語」の時代を生きた女性たち,服藤早苗著
107,「源氏物語」の時代を生きた女性たち(NHKライブラリー115),服藤早苗著
108,源氏物語の女性たち,秋山虔著
109,源氏物語の世界,日向一雅著
110,源氏物語の美(シリーズ源氏大学),杉本苑子,近藤富枝,尾崎左永子著
111,源氏物語の人々,続木道子著
112,源氏物語の脇役たち,瀬戸内寂聴著
113,源氏物語の脇役たち,瀬戸内寂聴著
114,源氏物語の脇役たち,瀬戸内寂聴著
115,源氏物語二つのゆかり継承の主題と変化,熊谷義隆著
116,源氏物語まねびなほし(現代語完訳)第4帖夕顔第5帖若紫(ほか2件),加藤宏文著
117,源氏物語ものがたり(新潮新書284),島内景二著
118,源氏物語夕顔Level4(1300‐word)(ラダーシリーズ),ステュウットAヴァーナム‐アットキン著
119,恋みち現代版・源氏物語,reY,陽未,アポロ,Chaco,ゆき,十和著
120,殺人源氏物語,斉藤栄著
121,殺人源氏物語,斎藤栄著
122,ThetaleofGenjiVolume1,MurasakiShikibu[著]EdwardG.Seidenstick
123,ThetaleofGenjiVolume2,MurasakiShikibu[著]EdwardG.Seidenstick
124,私本・源氏物語,田辺聖子著
125,寂聴と読む源氏物語,瀬戸内寂聴著
126,十二単衣を着た悪魔源氏物語異聞,内館牧子著
127,小学生の日本古典全集3源氏物語?美しい王子の一生?,[紫式部原作]松田武夫文黒崎義介画
128,小説一途ふたりの「源氏物語」(the寂聴),田辺聖子,瀬戸内寂聴著
129,掌編源氏物語,馬場あき子著
130,新源氏物語上(新潮文庫),田辺聖子著
131,新源氏物語中(新潮文庫),田辺聖子著
132,新源氏物語中(新潮文庫),田辺聖子著
133,新源氏物語下(新潮文庫),田辺聖子著
134,新源氏物語下(新潮文庫),田辺聖子著
135,新選源氏物語五十四帖,森一郎編
136,新装版源氏物語の女性たち,瀬戸内寂聴著
137,好かれる女・嫌われる女源氏物語の恋と現代,藤本勝義著
138,瀬戸内寂聴の源氏物語(シリーズ・古典1),[紫式部][原作]瀬戸内寂聴著
139,千年の恋心源氏物語を彩る女君たち,荻野文子著
140,千年の黙異本源氏物語,森谷明子著
141,誰も教えてくれなかった『源氏物語』本当の面白さ(小学館101新書),林真理子,山本淳子著
142,ちかみち源氏物語(学研M文庫),橋本千恵著
143,超訳日本の古典4源氏物語,加藤康子監修[紫式部著]菅家祐文阿留多イラスト
144,遠野物語と源氏物語物語の発生する場所とこころ(こころの未来選書),鎌田東二編
145,殴り合う貴族たち平安朝裏源氏物語,繁田信一著
146,21世紀によむ日本の古典6源氏物語,[紫式部]著中井和子[訳]著石倉欣二絵
147,女人源氏物語第一巻,瀬戸内寂聴著
148,ひかりそへたる源氏物語の恋の歌(シリーズ源氏大学),俵万智,芳賀明夫著
149,姫君たちの京都案内『源氏物語』と恋の舞台,蔵田敏明,薄雲鈴代著
150,平安の気象予報士紫式部『源氏物語』に隠された天気の科学(講談社+α新書),石井和子[著]
151,ミックスサンドイッチ,池田鉄洋著
152,紫式部伝源氏物語はいつ、いかにして書かれたか,斎藤正昭著
153,紫式部の恋「源氏物語」誕生の謎を解く(河出文庫),近藤富枝著
154,明解源氏物語五十四帖あらすじとその舞台,池田弥三郎,伊藤好英著
155,望月のあと覚書源氏物語『若菜』,森谷明子著
156,もっと知りたい源氏物語,大塚ひかり著
157,妖説源氏物語1初版(C・novels),富樫倫太郎著
158,妖説源氏物語2初版(C・novels),富樫倫太郎著
159,妖説源氏物語3(C・novels),富樫倫太郎著
160,窯変源氏物語 1,橋本治著
161,窯変源氏物語 2,橋本治著
162,窯変源氏物語 3,橋本治著
163,窯変源氏物語 4,橋本治著
164,窯変源氏物語 5,橋本治著
165,窯変源氏物語 6,橋本治著
166,窯変源氏物語 7,橋本治著
167,窯変源氏物語 8,橋本治著
168,窯変源氏物語 9,橋本治著
169,窯変源氏物語 10,橋本治著
170,窯変源氏物語 11,橋本治著
171,窯変源氏物語 12,橋本治著
172,窯変源氏物語 13,橋本治著
173,窯変源氏物語 14,橋本治著
174,読み違え源氏物語,清水義範著
175,読み解き源氏物語(河出文庫こ12?1),近藤富枝著
176,私が源氏物語を書いたわけ紫式部ひとり語り,山本淳子著
177,わたしの源氏物語,瀬戸内寂聴著
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2014年10月27日

ハーバード本「須磨」を読み、話は池田本に至らず

 過日、本ブログ「立川市中央図書館でハーバード本『源氏物語』を読む方を募集中」(2014年10月22日)でお知らせした通り、市民のみなさまと一緒に楽しく『源氏物語』を読みました。

 ブログの記事を見て参加された方もいらっしゃったので、急遽ではありましたが掲載した意義がありました。しかも、しばらく御無沙汰していた方も参加されていたので、終了後に旧交を温め、新しい取り組みに参加していただけることになりました。

 ささやかな出会いから夢語りとなり、それが楽しい研究へとつながりそうです。直接会って話をすることの大切さを、あらためて認識しました。顔を見ながら語り合うことは、お付き合いする上での基本中の基本ですね。

 さて、立川市中央図書館では、ハーバード大学本『源氏物語』「須磨」の巻頭部分を例にして、古写本の変体仮名を読むことを体験していただきました。
 この「須磨」は、古写本の中でも比較的わかりやすい書写となっています。


141027_kouza





 前置きとして、ハーバード大学の写真を見ていただきました。
 私は調査に3回行きました。その内、2回も雪だったので、まずはみなさまにも雪の大学を見ていただきました。


03_harvarduniv




 また、所蔵先であるハーバード大学美術館に親しみを持ってもらうために、快晴のケンブリッジ(イギリスではなくてボストンのケンブリッジです)の写真をスクリーンに映しました。


04_harvard_artsm




 『源氏物語大成』や『源氏物語別本集成』、そして拙編ハーバード本「須磨・蜻蛉」の書籍の写真を映写しながら、現物を回覧しました。


02_gbs12





ハーバード大学本『源氏物語』の実寸をイメージしていただくために、国立歴史民俗博物館所蔵の中山本も回覧し、手に取ってその大きさ等を実感していただきました。

 お話としては、まず宮内庁書陵部にある檜製糸罫の説明をしました。この檜製の糸罫というものは、写本の製作過程がわかるものです。書写する時に糸罫を紙面を覆うように被せ、縦に張られた糸で行数と行幅を一定にして書写の書式を整える道具なのです。

 書写する人が使う小道具という実態をイメージしていただいてから、ハーバード大学本「須磨」の書写状態を確認しました。
 なぜ行末左下に小さく書かれた文字があるのか等は、この糸罫の存在を知るとわかりやすいのです。


141027_gyoumatu_2




 私がこの写本を読む上で困っていることも、ストレートにお話しました。それは、1行目と3行目の行末に書写されている「はしたなき」ということばです。
 3行目に「はしたなき」とあるのは、ハーバード大学本と陽明文庫本です。その他の写本では、例えば大島本や池田本では「まさる」となっています。さらには、陽明文庫本では1行目の「はしたなき」はないのです。つまり、この「はしたなき」ということばは、平安時代の物語本文ではどうなっていたのか、ということが、いまだに私の中で説明できないのです。

 本文の研究者としての専門的な視点からの問題箇所です。しかし、それを謎として、そのままみなさんに提示しました。『源氏物語』の本文がさまざまな問題を抱えており、物語本文は一つだけではないことを、こうした例から感得していただきたかったのです。

 なお、あらかじめ作成して配布した資料では、この1行目の箇所について、その字母を「八波之新堂奈」と印刷していました。これは、正しくは「波新堂奈」です。「八」と「之」は衍字です。字母資料を作成中に、この文字を消し忘れていました。あらためて訂正しておきます。

 「須磨」の第1丁表の本文を字母で示すと、次のようになります。


[1]与乃中・以止・和徒良之久波新堂奈
幾・己止乃三・末佐礼八・世免天・志良須可
本尓天・安里部武毛・己礼与里・八志多那支
己止毛也止・於保之奈里天・可乃・春末八・
武可之己曽・人乃・寸三可止毛・安里个礼
止・以末波・以止・佐止者那礼・心寿己久天・安
末乃・以恵堂仁・万礼尓奈武奈利尓堂留止・
幾ゝ・給部八・人・之計久・遠之奈部堂良
武・寸満井八・本以那可留部之・左里止天・
三也己遠・止本左可良无毛・不留左止・於保川(1オ)」


 これを字母別にその出現数を見ると、次のようになっています。


【漢字】人=2・中=1・心=1・給=1・ゝ=1
 
【仮名】止=12・可=6・己=6・之=6・里=5・天=5・八=5・礼=5・奈=5・以=5・乃=5・毛=4・武=4・部=4・末=4・堂=4・良=4・左=3・留=3・那=3・安=3・尓=3・本=3・三=3・久=3・遠=2・寸=2・保=2・於=2・也=2・志=2・佐=2・幾=2・波=2・与=2・川=1・不=1・无=1・井=1・満=1・計=1・利=1・万=1・仁=1・恵=1・寿=1・者=1・个=1・曽=1・春=1・支=1・多=1・須=1・免=1・世=1・新=1・徒=1・和=1


 今回の講座では、後半で、池田本『源氏物語』(天理図書館蔵)の存在に注目していることを語るつもりでした。しかし、みなさんの反応がよかったので、つい喋りすぎて池田本『源氏物語』についてお話する時間がありませんでした。
 これについては、後日形を変えて報告します。

 ここでは、今回用意した資料を転載することで、私が池田本『源氏物語』「須磨」の巻頭部分で問題だと思っている部分を提示することに留めます。


第一二巻「須磨」 六本校合

ハーバード本・・・・通番号
 池田本[ 池 ]
 大島本[ 大 ]
 陽明本[ 陽 ]
 尾州本[ 尾 ]
 麦生本[ 麦 ]

 
よの中[ハ]・・・・120001
 世中[池大麦]
 よのなか[陽尾]
いと[ハ=全]・・・・120002
わつらしく[ハ]・・・・120003
 わつらはしく[池大尾麦]
 わつらはしき[陽]
はしたなき[ハ=池大尾麦]・・120003
 ナシ[陽]

ことのみ[ハ=池大]・・・・120004
 事のみ[陽尾麦]
まされはせめて[ハ=全]・・・・120005
しらすかほにて[ハ=陽尾麦]・・・・120007
 しらすかほに[池大]
ありへむも[ハ]・・・・120008
 ありへても[池大陽尾]
 有へても[麦]
これより[ハ=全]・・・・120009
はしたなき[ハ=陽]・・・・120010
 まさる[池大麦]
 ます[尾]
こともやと[ハ=池大]・・・・120011
 ことも[陽]
 事もやと[尾]
 はちもやと[麦]
ナシ[ハ=池大尾麦]・・・・120012
 いてきこそ[陽]
ナシ[ハ=池大尾麦]・・・・120013
 せめと[陽]

おほしなりて[ハ]・・・・120014
 おほしなりぬ[池大]
 おほし成りて[陽]
 おほしはてぬ[尾]
 おもほし成ぬ[麦]
かのすまはむかしこそ人の[ハ=全]・・・120015
すみかとも[ハ]・・・・120019
 すみかなとも[池尾麦]
 すみかなとん/ん=も〈朱〉[大]
 すみかほも/ほ$[陽]
ありけれと[ハ]・・・・120020
 ありけれ[池大陽尾]
 有けれ[麦]
いまは[ハ=池大陽]・・・・120021
 いま/ま+は[尾]
 今は[麦]
いと[ハ=全]・・・・120022
さとはなれ[ハ=大尾]・・・・120023
 ナシ/+さとはなれ[池]
 人はなれ[陽]
 里はなれ[麦]
心すこくて[ハ=大]・・・・120024
 ナシ/+心すこくて[池]
 心ほそくて[陽]
 こゝろすこくて[尾]
 心ほそく[麦]
あまの[ハ=大陽尾麦]・・・・120025
 ナシ/+あまの[池]
いゑたに[ハ=大陽]・・・・120026
 たに/+いゑ[池]
 いへたに[尾]
 家たに[麦]
まれになむ[ハ]・・・・120027
 まれになんと[池陽]
 まれになと[大麦]
 かすかになむ[尾]
なりにたると[ハ=尾]・・・・120027
 ナシ[池大陽麦]

きゝ[ハ=全]・・・・120028
給へは[ハ]・・・・120029
 たまへと[池尾]
 給へと[大陽麦]
人しけく[ハ=全]・・・・120030
をしなへたらむ[ハ]・・・・120032
 おしなへた覧[陽]
 ひたゝけたらむ/前た=混?[池]
 ひたゝけたらむ[大尾]
 ひたゝけたらん[麦]

すまゐは[ハ=池大尾]・・・・120033
 すまひは[陽麦]
ナシ[ハ]・・・・120034
 いと[池大陽尾麦]
ほいなかるへしさりとて[ハ=全]・・・・120035
みやこを[ハ=池大尾]・・・・120037
 宮こを[陽麦]
とほさからんも[ハ]・・・・120038
 とをさからんも[池大]
 とをさからんも/ら〈判読〉[陽]
 とほさからむも[尾]
 遠さからんも[麦]
ナシ[ハ=池大尾麦]・・・・120039
 いと[陽]
ふるさと[ハ=池大陽尾]・・・・120040
 ふる郷[麦]
おほつかなかるへきを[ハ=池大陽尾]・・・・120041
 おほつかなかるへきをなと[麦]


 参加してくださっていた方々が好意的な反応を示してくださっていたので、ついその雰囲気に釣られて話をおもしろくしてしまったようです。もちろん、筆順や縦書きと横書きについても話しました。
 90分があっという間だったので、また機会があれば続きのお話をしたいと思っています。
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2014年10月22日

立川市中央図書館でハーバード本『源氏物語』を読む方を募集中

 報告が遅くなりました。
 今週末、10月26日(日)午後2時から、立川駅前にある立川市中央図書館で、ハーバード大学本『源氏物語』「須磨」巻を読みます。

 開催日が差し迫っています。参加を希望される方は、下記のチラシを参考にして、電話か直接図書館に申し込んでください。無料です。

 今回は、一般の方々を対象とした一回限りの講座です。
 11月1日の古典の日にちなんだイベントです。
 お気軽にお越しいただければ、と思っています。

 

141021_tatikawag


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2014年08月26日

放送大学でハーバード大学本『源氏物語(須磨巻)』を読みます

 昨日の本ブログで、日比谷図書文化館において開催する『ハーバード大学本『源氏物語』「蜻蛉」』を読むことに関して、講座の紹介と案内を記しました。

 それに加えて、11月には、「放送大学 平成26年度 第2学期 面接授業」で、『ハーバード大学本『源氏物語』「須磨」』を読むことになっています。
 昨日の「蜻蛉」巻とセットとなる、パーバード大学所蔵の本を対象にした内容なので、併せて紹介と案内を追記します。

 放送大学の中でも「面接授業」という枠組みで、会場も「東京文京学習センター」なので、限られた方々を対象とするものです。科目登録の申請期間も、8月30日(土)までとあと数日となっています。
 ご案内が遅くなり、関係者のみなさまには大変失礼いたしました。

 興味と関心をお持ちの方の受講を歓迎します。
 

140826_housou_univ


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2013年11月07日

連続講座「くずし字で読む『源氏物語』」第3回+最終回

 国文学研究資料館の今西祐一郎館長が講師として開催されている連続講演「くずし字で読む『源氏物語』」は、第3回は颱風のために中止となりました。

 そして、先々週に開催された繰り越しの第3回は、私がスペインに出張していたために拝聴できませんでした。
 この第3回については、これまで一緒に参加していた中国からの留学生である趙俊槐君が、その内容のメモを送ってくれました。
 以下、その趙君のメモを掲載します。


---------------- 趙俊槐君のメモより ----------------------
・今日もほぼ満席
・今西先生は、まず先週の台風で休講したことについてお詫びをなさいました。
 そして、来週は教室がすでに予約で取られているので、再来週に伸ばすとおっしゃいました。
・国文研所蔵の絵入り源氏物語(承応三年 八尾堪兵衛出版)全頁カラー原本閲覧システムを紹介。
 参加者全員にCDを配り、活用するようにとおっしゃいました。
・まず「帚木」の冒頭部分の一丁を読みました。
 「ははきぎ」という題簽の右下に「哥を名とせり」あり、これは「ははきぎ」というタイトルは文章の歌から出てくる言い方だ、と説明なさいました。
・「ひかる源氏」が周知の名のようになっているが、実はこれは人物の名前ではない。
 『源氏物語』の中の主要人物は一切名前が出てこない。
 原因としては、女房が語り手なので上司に対して名前を口にしてはいけない、ということが考えられる。今の「部長」「課長」と同じ。
・「ははきぎ」の第一丁の崩し字を説明中、3度も「ご質問は」と聞かれました。
 皆さん、崩し字の読み方に、少し慣れてこられたかと思われます。
・「ははきぎ」の第一丁のご説明が終わった後、質問がありました。
 ☆「けん」とお読みでしたが、「ん」はないようですが。
  答え:「ん」ではなくて、「无」の簡略された後の形態
 ☆「けん」はもともと「けむ」でしょうか。
  答え:「无」が「む」のもとの字の一つ
 ☆本文中に「人の物いひ」の右上に「\」が付いているが、どういう意味でしょうか。
  答え:これは歌の一部を引用したという意味。
・休憩の後、後半は「雨夜の品定め」の一部を読まれました。
・光源氏と頭中将が一緒に女からの手紙を読んでいる絵について説明なさった。
 まだ子供なのに、女の良しあしを批評しているね、と冗談をおっしゃいました。
・すらすらとご説明。崩し字について、質問なし。
・「よろしき」は今の意味では「よくできた」という意味だが、昔は「まあまあ、悪はない」という意味だったとご説明。
--------------------------------------



 さて、今日で今年の連続講座は最終回です。
 参加者はほとんど減りません。
 今日も、男性は30名ほどで、とにかく熱心です。
 お話の合間にも、男性からの反応や発言や質問があります。
 これが、今回の講座の特徴だろうと思います。
 今後の企画のためにも、この傾向は分析しておく必要があります。

 最終回は、第4巻「夕顔」と第5巻「若紫」です。
 巻頭から1丁分を、一文字ずつ文字を確認しながら、解釈を進めて行かれます。

 挿絵も丁寧に説明なさいます。

 最後に、ひらがなの「し」に関して、「志」という漢字使っているのは何か意味があるのか、という質問がありました。今西先生のお答えは、「特にないのです。今は使わない平仮名の字母を使っています。」とのお答えでした。

 「御」の使い分けについても、質問がありました。
 先生は、よくわからない、ということと、江戸時代の人は「み」と読みたがるようだ、との回答でした。

 最後に、声に出して言葉を覚えることが大事だ、という点を強調なさいました。
 この講座は、私も、楽しくいい勉強をさせていただきました。
 4回しか開講されなかったのが残念でした。
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2013年10月09日

連続講座「くずし字で読む『源氏物語』」第2回

 今西祐一郎館長が講師として開催されている連続講演「くずし字で読む『源氏物語』」は、今日が第2回目です。行って聞きたいけど、という方々からの要望もあり、可能な限り館長のお話しを再現します。ただし、あくまでも私の個人的日記のブログを通してのことなので、実況にならないように所々に私感を交えています。

 変体がなの字母を確認してから、江戸時代の版本『絵入源氏』を読みました。

 筆で書いた写本ではなくて、印刷された文字の方が読みやすいとのことで、この版本を読むことになさっています。ただし、写本も同時に読みます。

 まずは、「桐壺」の冒頭から。

いづれの御時にか女御更衣あまたさぶらひ給ひける中に……


 『源氏物語』の文章を暗唱していると、くずし字を読むのも上達しやすい近道だ、とおっしゃいます。少し読み出して、みなさん納得。

 本文の中に個人印を捺すのは、盗難防止だそうです。紙面の文字が書かれている所に大きな印が捺してあり、どうみても何故こんな所に、と思います。その説明を聞いて、これにはみなさん得心なさっていました。

 『絵入源氏』を少し読んでから、次は鎌倉時代の写本に移り、巻頭部分の同じ所を読みました。さらに別の鎌倉時代の写本も。
 都合5種類の冒頭部分を、それも字母に拘りながら、それでいて聴講者を沸かせながら、読んでいかれました。

 2行ほど読んで一息入れることになり、先生が何かご質問は、と会場のみなさまに問いかけられると、今日も質問が次々と出ました。

*「気」はなぜ「け」と読むのか

*読んでいる写本の書写年代について

*絵入の傍注の読み方等々

 「こと」の二点目が省筆されることの説明をしながら、柔軟に、臨機応変に対応することが大事ですね、とのことです。

 一通り切のいい所まで読むと、内容の解釈をわかりやすく優しくなさいました。敬語で身分関係まで読み取れたらいいと。これは、参会者がご年配中心なので、抵抗はなかったようです。

 しばらくして、会場からまた質問が。

*「こと」は合字か

*「給」という漢字のくずし方の確認

*濁点のこと


 再度の休憩が入ります。

 版本を読み進めながら、物語の意味を説明し解釈していかれます。

 先生が「男たるもの云々」とおっしゃると、参加者の年齢が高いこともあり、どっと沸きます。
 版本の絵の説明でも会場は沸きます。

 また質問がありました。

*奈良時代の采女と平安時代の女御更衣の違いは?


 いろいろな字があるということで、別の鎌倉時代の写本を読むことになります。
 文字に対して先入観があると読めないと。

 同じ文を違う写本で読むと、確かに効果的なくずし字の反復練習になることが、会場のみなさんの反応を見ているとよくわかりました。

終了後、また質問がありました。

*「え」という副詞の有無の違い

*再度、「給」のくずし方について

 今日も、中国からの留学生と一緒に参加しました。
 横で、変体がなは難しい、元は漢字なのに、どうしても、かなとしては読めない、と言っていました。慣れるしかないよね、と励ましました。

 今日も会場は満員です。男性も前回と同じく、3割の30人はいらっしゃいました。
 質問も、この前よりも男性の方が積極的でした。

 今西館長の惹きつけ方が巧みなことと、男性が文学や文化を理解しようという熱気が、こうしたやりとりになっているように思えます。
 女性が文字に拘っておられたのに対して、男性は歴史を背景にした質問が目立ったように思いました。

 この連続講座では、聴衆の質問の内容に、今後とも注視していきたいと思います。

 次回は、来週の16日水曜日です。
 終わっても、何人もの方々が会場に残り、読み方を教え合っておられました。
 とにかく、みなさん熱心です。続きを読む
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2013年10月02日

今西館長の連続講座「くずし字で読む『源氏物語』」

 今西祐一郎館長が講師として開催される連続講演「くずし字で読む『源氏物語』」が始まりました。本日が第1回目で、「仮名の発生と展開」というテーマでした。

 今回の日程は以下の通りです。

第1回 平成25年10月 2日(水)
第2回 平成25年10月 9日(水)
第3回 平成25年10月16日(水)
第4回 平成25年10月23日(水)
第5回 平成25年11月 6日(水)

 なお、すでに締め切られていますので、これから新たに受講することはできません。



 今回私が驚いたのは、参加者100人中、男性が30人ほどいらっしゃったことです。
 事前に150人くらいの応募があったそうです。その中から、先着順で100人が参加なさっているのです。

 それにしても、男性の参加者が多いのは、非常に興味深いことです。
 普通はこうした講演会には、9割方が女性です。それが、こんなに男性の参加があるのですから、これは今後のイベントのためにも分析しておく意義があります。

 今、男性の参加者が多い理由が思いつきません。年配の方が多いことと、夫婦共々いらっしゃっていること等が、第一印象として目に付くところです。

 『源氏物語』というテーマで講演会を開催すると、圧倒的に女性が多いことはよく知られています。今回は、くずし字を読むのです。つまり、写本を読み進みながら、『源氏物語』の勉強もしようということです。
 男性が、文字を読み解くことに興味を示した、ということでしょうか。料理教室でも、日曜大工でもないのです。墨で書かれたかな文字を読むことに、男性が意識を向け始めた、ということなのでしょうか。

 私には、この現象がまだわかりません。
 今、言えることは、写本に興味を示し始めた男性が多くなった、ということです。
 もちろん、館長の講演と言うこともあります。しかし、それと男性が多くなったことの接点が、私には見えないのです。

 さて、今西祐一郎館長のお話は、いつものように軽妙なテンポで進みます。

・このアジア地域では、中国にしか文字はなかった。
・漢字からくずし字ができた。
・漢字、ひらがな、カタカナと、3種類もの文字を使い分ける国は日本以外にはない。

 わかりやすく語りかけながら進めて行かれました。
 みなさん、スクリーンとお話に集中しておられました。

・ひらがなの字母の確認
・大和言葉を漢字で表記した

 このあたりから、『万葉集』の万葉仮名や、和歌のひらがななどがスクリーンに映し出され、みなさんが知りたいと思っておられる核心に向かって行きます。

・万葉仮名や草仮名は、漢字を知らないと書けない文字。
・女手、ひらがなは、漢字を知らなくても書ける文字。

 お話が佳境に入ったところで休憩となりました。
 そして、先生が何か質問はないかと、水を向けられると、すかさず会場から何人もの方から質問が出ました。

・庶民は仮名文字を読んだか
・庶民は手紙を書いたのか
・展覧会に出品される書はなぜ男のものばかりか
・なぜ女手というか
・男女の差別があるのではないか

 会場の反応が非常によくて、次から次へと手が上がりました。
 その熱心さは、これまであまり見かけなかったものだと言えます。

 休憩後の後半は、ひらがなの字母を一覧表で確認しながら、どんな文字を覚えておいたらいいのかを、丁寧に解説なさいました。

 次回から、具体的に『絵入源氏』を読んでいくことになります。

 終わってからも、質問が絶えません。
 今日は、女性3人、男性3人からの質問がありました。
 私は、中国から来ている留学生と一緒に、会場の最後列の隅で聞いていました。
 みなさんの熱心さが、後ろの片隅にいる私たちの所まで伝わってきました。
 大盛会でした。
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2011年09月19日

陽明文庫・名和修先生の講演会メモ

 今日は、10月から国文学研究資料館で始まる特別展示「近衞家陽明文庫 王朝和歌文化一千年の伝承」(会期:平成23年10月8日(土)〜12月4日(日))の事前講演会がありました。
 講師は陽明文庫長の名和修先生です。
 
 
 

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 会場は渋谷にある東京ウィメンズプラザ。定員200名が満員となる聴衆でした。著名な名和先生のお話ということもあり、年齢層の高い方々がお集まりでした。
 こうしたイベントに、もっと若い方々が足を運んでくださると、伝統文化の理解が深まり、次の世代につながるのですが……。先生のいつもの熱演が展開しただけに、この若手が少なかった一点だけが少し心残りでした。

 名和先生には特別展が始まると同時に、国文学研究資料館での連続講演をお願いしています。10月から12月まで全5回で、「近衞家陽明文庫の名宝」「御堂関白記」「歌合」の内容が語られます。
 事前の予約受付は終わりましたので、後日の報告を楽しみにしてください。

 今年の秋は、陽明文庫の名品の話が、東京で名和先生から存分に聞けるのです。

 今日の講演では、陽明文庫と国文学研究資料館の長い付き合いから話が始まりました。

 京都の仁和寺の隣にある陽明文庫には、近衛家伝来の貴重な資料として、国宝8件、重要文化財60件の資料が収蔵されています。陽明文庫には、十数万点の資料があります。従来は数十万点とおっしゃっていたそうです。しかし、公益法人化に伴い改めて数えなおしたので、今後は十数万点と言うことにしたい、とのことでした。

 国文学研究資料館は、全国に散在する約100万点の古典籍の調査をし、必要なものは画像として収集する事業をする目的で設立されました。全国の大学の先生方を中心とする調査員のみなさまの根気強い調査活動により、30数年が経った今、ようやく20万点の資料を調査したところです。まだまだ気の遠くなる年月がかかります。
 そして、昭和50年から今に至るまで、そして今後とも、この陽明文庫の資料も調査研究しています。
 昨年、平成22年度までに、陽明文庫所蔵の資料の内9219点、マイクロフイルムで917リール、写真としてのコマ数で言うと約48万コマが収集され、立川の地下の書庫で大切に管理されています。

 実際に原典を手にして見られなくても、国文学研究資料館にお出でになれば、フィルムで原典に書かれている内容は確認していただけます。気になる資料がありましたら、どうぞ立川にお越しください。マイクロフイルムで見て、さらにどうしても原典で確認が必要でしたら、その次に原典を見るための方策を考えていただければいいかと思います。

 そうした古典籍は、墨の崩し字で書かれています。この文字を読むのが一苦労です。
 ひらがななどは、今よりも多くの字があり、しかもどこで一字が切れるのか微妙です。いわゆる、連綿と言われる続け字です。
 現在は使われていないひらがなを含めて、そうした文字を「変体仮名」と言います。この字に関して、名和先生は若い人に、それも女性に古典籍の話をするとき、「変体仮名」と言わずに「古態仮名」と言っておられるそうです。
 確かに「変体」と発音すると「変態」ととられかねないので、避けたい言い方です。

 また、公家は幕末で170から180あったようだ、とか、藤原道長の日記で国宝に指定されている『御堂関白記』は、現在、世界記憶遺産に登録申請する準備を進めているのだそうです。

 その『御堂関白記』の長保6年あたりの記事をスライドで紹介されました。道長が藤原公任のもとに和歌を贈ったくだりを大写しにされ、道長が和歌を仮名ですらすらと書いていた事実が大事だ、と語られたりしました。もともと自筆本に道長が和歌を書いていた例も示されたのです。

 「この世をば〜」という道長の歌のことにも触れられましたが、面白そうになると、続きは連続講座で、とうまくかわされました。

 十巻本と二十巻本の歌合の話も、非常に興味深い内容になりそうでした。しかし、肝心のところは、これも連続講座でと。
 また、特別展示に3回通っていただくと、陽明文庫の歌合の資料がすべて見てもらえると、しっかりと宣伝もしておられました。

 とにかく今日は、10月に予定されている連続講演のエキスを語ってくださいました。
 後半は、展示予定の和歌懐紙の名品をスライドショーで見せてくださいました。
 独特の柔らかい語り口で、陽明文庫にある古典籍という実物にまつわる話で、会場のみなさんをしっかりと捕らえておられました。

 2時間という短い講演でした。しかし、中身の詰まった、そして国文学研究資料館へ行って展示を見たくなるお話でした。

 講演開始前に、会場入口で名和先生にお目にかかったとき、先生の方から「京都に帰ってたんやないのか」、と声を掛けてくださいました。「先生のお話を伺うために先週から東京におります」とお答えすると、いつもの赤い扇子を広げて私の方を仰ぎながら、「ハハハハッ」と笑っておられました。
 先生のお立場を考えると、とても近づき難い存在です。しかし、こうして気安く話しかけてくださるのです。

 今年もお盆には、京都の我が家に、近衛さんのところにお参りされた帰りに立ち寄ってくださいました。
 「その後、身体の調子はどうや」、「花をきれいに咲かせとるな」と、いつものサングラスにフルフェースのヘルメットで、革ジャンを羽織ってオートバイに跨がりながら玄関先で声をかけてくださいます。

 今日も、お話の合間合間に時間を気にしながら、それでいてサービス精神旺盛な語り口に、そのお人柄が滲み出ていて心和む気持ちになりました。

 このような機会を得て、多くの方が本物を日常的に管理なさっている名和先生の話の中から、日本の伝統文化というものに思いをめぐらされたことだと思います。
 最初に書きましたが、もっとたくさんの若い方々に聞いてほしいとの思いを、改めて強く抱きました。
 今を生きることが大変な時代です。しかし、千年前に想いを馳せてくれる若者たちとの出会いが多くなることを、今後とも楽しみにしたいと思っています。
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ■講座学習