2017年03月22日

全盲のOさんが大学院で古写本『源氏物語』の研究を続けます

 今月で終了する科研「古写本『源氏物語』の触読研究」(http://genjiito.sakura.ne.jp/touchread/)で、この2年間にわたって一緒に果敢に触読に挑戦していた共立女子大学のOさんが、めでたく立教大学大学院に合格し、来月から博士前期課程で研究を深めることになりました。
 先週末に開催された、百星の会の『点字百人一首』の集まりで会った時、Oさんからこの朗報を聴きました。一緒に高田馬場の駅まで送りながら、今後のことなどを楽しく話しました。
 嬉しい知らせは、一人でも多くの方々と喜びを共にしたいものです。

 全盲であっても、変体仮名を自在に触読しているOさんです。大学院では、『源氏物語』の研究に取り組むとのことです。私も、学外からではあっても、これまで通りにいろいろと支援していくつもりです。

 以下、本人から届いた、古写本『源氏物語』の触読研究会のみなさまへの報告と決意を認めた文章を紹介します。
 力強い決意表明となっています。古写本の触読で日々研鑽を積んで来たOさんのことです。ますますの活躍が楽しみです。


4月からの進路につきまして、ご報告させていただきます。

立教大学文学研究科 日本文学専攻に進学する運びとなりました。
「竹取物語絵巻」の研究はできませんが、これまでよりも専門的に古典文学を研究してまいります。
けして平坦な道ではございませんが、変体仮名の触読という新たな手法を手に、より一層研究に励みます。

私のように全盲で、古典文学を研究している学生を知りません。先行研究の読み込みや、変体仮名の触読が壁となっているのでしょう。これらは、目が見えなければ不可能だと考えられてきたと思います。私もこの二つが原因で、ある大学の文学部から受け入れを断られた事があります。

しかし、変体仮名の触読に関しては、共立女子大学の先生方のご配慮により、克服する事ができました。変体仮名を立体化して、それを触読するという方法があったのです。
簡単に変体仮名が読めるようにはなりませんでしたが、あきらめずに練習した事で、読めるようになりました。

この事で、私の学問は豊かになりました。何しろ、目が見えていても読めない文字が読めるようになったのです。
変体仮名が読めるようになった事で、一次資料作りに従事できました。卒業論文では、翻刻や解題資料のない、共立女子大学図書館に所蔵されている「竹取物語絵巻」の詞書の翻刻と絵の分析を行う事ができました。
努力の甲斐あって、学部の優秀卒業論文集に掲載していただける事になりました。

目が見えない事で、努力してもどうにもならない事があります。紙の資料と一晩寝ずに向き合ったところで、その資料が読めるようにならないといったように、晴眼の人と同じような努力では、成果が実らない事もあるでしょう。
しかし、変体仮名の触読のように、努力が確実に実る事もあります。
私は努力して何とかなる事であれば、精いっぱい努力すべきだと考えています。途中で投げ出す事なくやりぬく事こそ、最も重要なのです。この事を、大学の4年間で学んだ気がいたします。いつも応援してくださる先生方や助手の方々に応えたかった、という気持ちも強かったとは思いますが、自分のための努力こそが、生涯にわたって自分を支えとなるのです。

そこで私は、大学院に進学し、自分の研究をさらに発展させたいと考えました。目の見えない人が誰も挑戦した事のない分野だからこそ、やりがいがあります。
そして、次の世代の若者たちに、見えなくても古典文学の研究ができる事を伝えていきたいと思っています。そのために、修士論文の執筆と言う責務を果たします。

来年度も楽しみながら、新しい事にどんどん挑戦していきたいと思っております。
今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

 
 
 

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2017年03月19日

点字付百人一首〜百星の会で見た八つ橋型の新開発カルタ

 京橋であったNPO法人〈源氏物語電子資料館〉の打ち合わせを正午に終えるとすぐに、高田馬場へと急ぎました。1時から開催される、百星の会の『点字百人一首』の集まりに参加するためです。

 高田馬場の駅から、会場となっている新宿区社会福祉協議会へは、お好み焼き屋さんの前にある道案内が目印です。

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 先月の集まりの折には、施設の周りは工事中でした。「「点字付百人一首」の全国大会ができないか」(2017年02月25日)
 それも、すっかりときれいになっていました。

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 今日は初心者のために、一字決まりの札「むすめふさほせ」の7枚について、お世話をしてくださっている北村さんから、札の取り方に関する説明がありました。
 それに続いてその歌の解説が、りおさんからありました。りおさんの説明は、わかりやすいので、みなさん聞き入っておられました。質問も飛び出したりするので、非常に和やかに進んでいきます。
 その次には、2字決まりの札である「うつしもゆ」の10枚についての説明がありました。さらには、「押さえ手」「突き手」「払い手」という、カルタの取り方の具体的な指導もありました。次第に、実践モードでのテクニックが伝授されていきます。

 しばらくは練習時間です。みなさん、自分の力に応じたカルタで、練習を繰り返しておられます。

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 サポートとしておいでの方が、目隠しをして一緒に加わっておられました。
 不織布のマスクを目隠しにするなど、この会ではさまざまなアイデアのもとに臨機応変に対処しておられます。

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 決まり字だけが書かれた札もあります。

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 この「点字付百人一首」においては、常に新しい工夫がなされています。
 今回新たに開発された、札の短辺が丸く反った札は、すばらしい発明です。

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 発泡スチロールに窪みを付けたカルタ台は、作るのが大変です。そのため、台を量産できません。そこで、カルタに工夫を加えることで、目が見えなくても取りやすくしようということです。
 カルタを指で摘んで持ち上げるのが難しいので、丸く反っているのはいいと思いました。この八つ橋みたいなカードは、カルタを取る様子を見るギャラリー側から言っても、ごく自然なカルタ取りに見えます。また、取る方も、これまでのように指でカルタを摘まむのではなくて、上から押さえて指の第一関節を軽く曲げることで、楽にカルタが取れます。カルタ台の溝にしっかりとはめ込まれているのではなくて、隙間がポイントなのです。この活用をさらに競技に取り入れてルールを見直すことで、観客であるギャラリーも楽しめる「点字付百人一首」にすることを考えてもいいと思いました。。

 この形でいこうということが決まると、次の改良点に進めます。こうして、さまざまな方が参加できる対応ができるようになります。
 この八つ橋型のカルタは、厚紙にスプレーで水を含ませ、手で押し曲げて丸みを付けたとのことでした。常に工夫を積み重ねておられる関場さんの、面目躍如たるものがあります。

 さらに、レベルアップをはかりたい方には、こんなカルタもあります。

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 その裏面は、こうなっています。
 真ん中には、歌の番号も点字で貼られています。

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 その後、相対の勝負形式でカルタの取り合いです。

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 そして今回からは、勝った方には名札に星を1つ付けてもらえることになりました。

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 この星の数で、その実力のほどがわかるようになります。このアイデアで、ますます「点字付百人一首」が楽しく取り組めるものとなることでしょう。
 
 
 
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2017年02月25日

「点字付百人一首」の全国大会ができないか

 前回の「高田馬場で「百星の会」の新年会と点字百人一首のカルタ会」(2017年01月14日)に続き、今月の集まりにも参加してきました。

 高田馬場の社会福祉協議会は、今日は外壁の工事中でした。

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 今日は、広島大学3年生のAさんと一緒に行きました。Aさんは午前中に国文学研究資料館で調べ物をしてから、高田馬場へ来てくれたのです。自己紹介で日本文学の勉強をしていると言った時には、参加者から励ましのことばが飛び交いました。

 今回は、これまでとは少し違って、カルタ取りに集中する会でした。これもまた楽しい体験を共にできました。視覚障害者交流コーナーでは、熱気に包まれた3時間があっという間に過ぎていきました。

 今回は、初めてのカルタ台で対戦した方が多かったので、ルールについてさまざまな意見や感想が寄せられました。この「点字付百人一首〜百星の会」の活動は、まだまだ揺籃期です。そして、大きく発展する可能性を包み込んでいます。

 「点字付百人一首」といっても、さまざまなカルタが開発されています。上の句だけで取れるカルタもあります。初心者が参加しやすいことへの配慮が行き届いています。

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 いつもは読み手としてカルタ取りの指導にあたっておられる方は、自分で初めて真剣にカルタ取りをやった後で、日頃子どもたちにこんなむちゃなことをやらせていたのか、ということを実感した、とおっしゃっていました。どっと疲れたとのことで、こんなにハードなことをやらせていたんだ、としみじみと語っておられたのが印象的でした。

 新しい遊び方の提案がなされ、いろいろなことが試されました。
 「五色百人一首」の緑と橙の札を使ってグループで取り合うやり方は、私にはまだよく理解できていません。

 緑の札の20枚を10枚ずつに分け、お互いが並べたセットを相手側に置くというのは、少し手を加えただけでおもしろさが増したようです。自分が並べたものを相手側に置き、相手が並べたものを手前に置いて5分間で覚えてスタートする、というものも楽しそうです。

 ルールを少し変えるだけでまったく違うゲームになるので、さらに検討を進めると、多くの方が参加できるようになることでしょう。日々創意工夫がなされている百星の会の「点字付百人一首」です。これからがますます楽しみです。

 今日は、さまざまな札の取り方やテクニックを見ることができました。
 以下、バリエーションに富んだ手の動きがわかる写真を並べます。

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 広島から来たAさんが、この「点字付百人一首」の楽しさをすぐに理解したようです。そこで、「点字付百人一首」ではクイーンとでも言うべき理生さんと対戦してみないかと勧めたところ、快く引き受けてくれました。古典文学好きな心を刺激するものがあったのでしょう。
 このようなことになるとは思わず、何も準備をしていない上に、上の句に関する情報が何もないので、目が見えるという一点以外は不利な条件の中で、対戦に臨みました。

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 前半から中盤にかけては、見えない理生さんが有利に試合を進めていました。しかし、後半になると、見えるAさんが挽回してきました。札が少なくなってくると、限られた札の位置を目で追えるので有利になるようです。


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 結果は10対8という、わずかの差でした。
 どちらが勝ったのかは、ご想像にお任せします。
 すばらしい試合を見せてもらいました。

 福島県立盲学校の渡邊さんと話しているうちに、全国大会をしたらいいと思うようになりました。それも、個人戦だけではなくて、晴眼者との対戦や、全盲・弱視・晴眼者の組み合わせによるダブルスなども考えました。組み方によってはいろいろな対戦が可能です。しかも、全国から参加者を募るのです。初心者や上級者などのクラス別けも楽しいことでしょう。

 私の流儀である「とにかくやってみる」、ということでこの提案をしたいと思います。

 東京の関場さん、大阪の畑中さんたちによって、いろいろな趣向で楽しい「点字付百人一首〜百星の会」の運営がなされています。その中に、「点字付百人一首」の全国大会をスタートすることを検討していただけないか、と思うようになりました。いろいろと検討すべきルールや実施要領などを詰める必要があるかと思います。その検討も、楽しく取り組めば、さらに活動への理解は拡がることでしょう。
 今日の思いつきながら、ご検討のほどをよろしくお願いします。

 そんな全国大会のことを、最後の挨拶の中で言いました。今回の進行役であった理生さんからは、いつも夢のある話をありがとうございます、と言ってもらえたので、これは実現に向けて動いていくように思いました。
 この件でのご意見を、本ブログのコメント欄などを通してお寄せいただけると幸いです。

 なお、次回の「点字付百人一首〜百星の会」は、来月3月18日(土)午後1時より、今日と同じ高田馬場の社会福祉協議会の中にある視覚障害者交流コーナーで開催されます。
 
 
 

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2017年02月07日

科研の触読サイトから『立体〈ひらがな〉字典(第2版)』を公開

 科研費「挑戦的萌芽研究」による研究成果を公開している「古写本『源氏物語』の触読研究」のホームページで、「触読通信」のコーナーから、「『立体〈ひらがな〉字典』の第2版」をアップしました。

 これは、2016年2月7日の初版から、大幅にバージョンアップしたものです。
 前回同様に、科研運用補助員の関口祐未さんの労作です。
 内容は、「凡例」「索引」「ひらがな文字の説明文・五十音順」で構成しています。
 その「凡例」の冒頭を引用します。


 ひらがな文字の形を、触常者が触って学習することができるように、画用紙を用いて、ひらがなの形に切りとった凸文字を作成しました。「厚紙凸字」と呼ぶことにします。

 「厚紙凸字」を触りながら、ひらがなの形が、より明確にイメージできるように、文字の形を説明した『立体〈ひらがな〉字典』を作成しました。2016年2月7日に、初版を公開しました。その後、凡例と説明文を見直し、表現を改め、第2版として2017年2月4日に更新しました。
 
2.厚紙凸字とは
 
 厚紙凸字は、ひらがな五十音を、一文字ずつその文字の形に画用紙から切りとり、文字の線が凸型に突き出た形に作った道具です。
 厚紙凸字の字体は、丸ゴシック体です。一文字の大きさは約5センチ、線の幅(太さ)は3ミリから4ミリです。
 ひらがなの凸文字は、正方形の台紙に貼りつけ固定しました。台紙は、一辺が6センチの正方形です。文字の正しい向きが触ってわかるように、台紙の右上角を1センチ切り落としています。
 ひらがなの凸文字には、筆順に従って線に段差をつけました。1画目の線を一番高くし、一画進むごとに、線の高さが一枚(一段)ずつ低くなる仕組みです。段差をつけることによって、筆順を示すとともに、書き始めとなる1画目の線や、線同士の区別がしやすいようにしました。


 実際の厚紙凸字は、つぎのような形をしています。

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 この字典の「あ」の項目では、次のような説明文があります。

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 これは、目が見えない人に言葉で説明することを想定した文章です。

 説明文を作成するにあたったは、伊藤の科研の研究協力者である福島県立盲学校の渡邊寛子先生に、説明文を一つ一つ確認していただき、ご教示いただきました。ありがとうございました。

 関口さんの話では、懸案だったひらがな「つ」「ち」「わ」などの大きな曲線部分が、渡邊先生のご指導のおかげでうまく表現できたので、それが一番うれしかった、ということです。

 これはまだまだ試作段階です。今後とも、弛まぬ調査・研究を続けることで、よりよいものに仕上げていきたいと思います。

 この字典を通してお気付きの点がございましたら、いつでもお知らせいただけると幸いです。
 
 
 
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2017年02月04日

奈良で始まった「さわって楽しむ体感展示」

 今日から12日(日)までの9日間、「第32回国民文化祭・なら2017」と「第17回全国障害者芸術・文化祭なら大会」の一体開催という試みのプレイベントである、「奈良県障害者芸術祭 HAPPY SPOT NARA」が始まったので行ってきました。

 近鉄奈良駅前の行基菩薩像が建つ「行基広場」には、横断幕があります。
 ちょうど、2人の托鉢僧がいらっしゃいました。


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 会場となっている奈良県文化会館は奈良県庁の裏手にあり、右手に若草山がかすかに望めます。


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 奈良で子育てをした20年間に、この周辺はしばしば子供たちを遊ばせるために訪れました。秘密の駐車場に車を停めて、子供を奈良公園や東大寺や春日大社などの境内に放し飼いにしました。奈良公園・平城京跡地・唐招提寺と薬師寺・法隆寺・三室山と竜田川・馬見丘陵公園・石上神宮から山野辺の道・信貴山は、子供たちの遊び場にしていました。30年前のことです。

 奈良県文化会館は、母を連れて都はるみのコンサートに一度だけ来たことがあります。

 さて、今回のイベントでは、2階E展示室で行なわれている「さわって楽しむ体感展示」を見るために来ました。これは、“見る”鑑賞ではなく、“さわる”鑑賞を中心とした展覧会です。国立民族学博物館の広瀬浩二郎先生が関わっているとのことだったので来ました。

 この展覧会の紹介は、「奈良で開催される「さわって楽しむ体感展示」のお知らせ」(2017年01月24日)に、広瀬先生の文章を引いて詳しく書きましたので、ご参照ください。

 2階の会場へ行くまでに、道案内がないので戸惑います。館内の方に聞きながら行った方がいいと思います。奥まったところが会場なので、けっこう辿り着くまでに不安になります。

 キャッチフレーズに「カタチをさわって、奈良をさわって、新たな発見をしてみませんか」とあるように、触るということがコンセプトとしてあります。

 カーテンを押し開いて中に入ると、右のモニタに広瀬先生のビデオ解説が流れていました。展示物を触る上でのマナーなどが語られています。まずは、手を消毒してから触りましょう、などなど。


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 今回の展示概要として、次のことが謳われています。


・触ることで再発見を楽しめる「触る絵画」や立体作品
・歴史を肌で感じられる、奈良にまつわる品など


 私は、「さわった本物をあててみよう!」がおもしろいと思いました。3問とも当たりました。手触りの微妙さを、今回初めて体感しました。


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 展示されていた彫刻や絵画には、あまり新鮮さを感じませんでした。ただし、興福寺銅像仏頭(旧東金堂本尊、模造)は、日頃触ることのない仏様なので、心ときめくものがありました。
 その点から言えば、「奈良」というテーマがうまく活かされていません。歴史と地理をどのようにして感じてもらうかは、さらなる検討が必要だと思います。

 また、今回の展示は、緊張感に欠けるようにも思えました。もっと意外性を体感できる仕掛けがほしいところです。ごめんなさい。私は学芸員の一人として、展示のプロの役割という視点で見た感想でもあります。

 関係者の方お2人にお話を伺ったところ、今回のイベントを担当した県庁の担当部署には、障害者のことを専門とする方はいらっしゃらないとのことでした。触読について伺いたかったことがたくさんあったので残念でした。
 広瀬先生や奈良県立盲学校の美術の先生のアドバイスやアイデアや機材に助けられて開催に漕ぎつけられたようです。専門家に任せた生温い安心感が、この部屋には満ちています。それが、今回の展覧会における、思い遣りと思い入れと情熱と感じてほしいという熱意が欠けていた原因のように思われます。

 展示室の各所に、詰め切れないままに漠然と置かれた物や、導線から伝わるストーリーの不整合性を感じたのは、親身になっての取り組みにならなかったことがあるのではないでしょうか。
 中盤から私は、展示物を触る楽しみを感じなくなっていました。仏頭以外は。
 2周しました。しかし、もう1周してみようとは思いませんでした。もう1回、と思わせる味付けがあれば、楽しさが倍増することでしょう。

 出口でアンケートを書きました。そのテーブルに、展示物の配置を立体コピーにした会場案内図があります。A4版のカプセルベーパーに立体コピーしたものです。
 お尋ねしたところ、私が使っているビアフの機器と同じものを奈良県立盲学校から借りて来て、県庁内で作成したとのことです。そうであれば、この立体コピーは、展示を見て触って楽しんでもらうために、もっと有効利用ができるはずです。これでは、あまりにももったいない、立体コピーによる略図の資料に留まっています。
 「触読の研究をしている私たちの成果」を、いつかこうした展覧会とタイアップして盛り上げたいと思うようにりなりました。

 視覚障害者に関する慣れないイベントのため、担当なさったみなさまがご苦労なさったことは理解できます。そのことを忖度しながらも、非礼を承知で思いつくままに記しました。勝手な偉そうな無責任な放言は、ご寛恕のほどをお願いいたします。

 これは秋のためのプレイベントだとのことです。秋の本番では、展示内容の吟味と説明の工夫、そして来場者がもっと楽しめるものにしてくださることでしょう。
 さらなる発展と展開を楽しみにしています。
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2017年01月24日

奈良で開催される「さわって楽しむ体感展示」のお知らせ

 国立民族学博物館の広瀬浩二郎先生より、2月4日(土)〜12日(日)に奈良県文化会館で行われるイベント、「さわって楽しむ体感展示」の案内をいただきました。
 〔6日(月)は休館、開館時間は9時〜18時〕

 得難い体験ができそうなので、いただいた連絡を転記します。


 今年最初のお知らせ(宣伝)は、奈良で開かれる「さわって楽しむ体感展示」についてです。

 毎年、国民文化祭、障害者芸術・文化祭が各都道府県の回り持ちで開催されています。
 これまではオリンピックとパラリンピックのように、国民文化祭が行われた後、障害者芸術・文化祭が開かれてきました。
 この形だと、どうしても障害者芸術・文化祭は「後の祭」という印象で、あまり盛り上がりませんでした。
 今年から国民文化祭と障害者芸術・文化祭は同時開催されることになり、その初回担当が奈良県です。

 国民文化祭、障害者芸術・文化祭の一体開催という試みがうまくいけば、来年度以降、各県でこのイベントが続くことになります。
 障害の有無に関係なく、誰もが楽しめるユニバーサル・ミュージアムをめざす僕にとって、国民文化祭、障害者芸術・文化祭の同時開催はたいへん嬉しい企画です。

 このイベントは9月〜11月に大々的に実施されます。
 本番を前に、プレイベントとして2月4日〜12日に奈良県文化会館で「さわって楽しむ体感展示」が行われることになりました。
 プレイベントなので期間は短いし、小規模な展示です。
 しかし、このプレイベントが成功すれば、秋の本番でも「さわって楽しむ体感展示」が拡大実施されることになります。

 プレイベントの展示について、僕はアドバイザーという形で昨年から関わっています。
 昨年の夏から断続的に奈良県庁の担当者と打ち合わせを重ねてきました。
 いろいろとクリアすべき課題もありましたが、展示準備は順調に進んでいます。

 先日、会場入口で流すビデオを作りました。
 興福寺仏頭(国宝)のレプリカに僕がじっくりさわっている場面を「手」のアップを中心に撮影しました(顔のアップではありません、念のため)。
 さわる展示なのに、観客を集めるためにビデオを使うということに少し矛盾を感じますが、おもしろいビデオができたのではないかと自己満足しています。
 レプリカとはいえ、国宝にじっくりさわっているシーンはかなりインパクトがあります。

 このビデオを見た後、もちろん来場者は実際に仏頭のレプリカにさわることができます。
 来場者の反応が楽しみです。

 その他、奈良から出土した土器などの考古遺物、天平衣装、アート作品などにも触れることができます。

 また、「平城京のさわる地図を作ろう!」というコーナーでは、川、道路、山などを表す素材を手触りで選んでいただき、投票してもらいます。
 この結果を元に、秋の本番では「さわる平城京地図」を制作・展示する予定です。

 僕も会期中に、何度か会場に行くつもりです。
 奈良県文化会館は近鉄の奈良駅から徒歩で行けます。
 ぜひ多くのみなさんに「さわって楽しむ体感展示」を味わっていただき、いい形で秋の本番につなげたいと願っております。
 本メールの転送・転載を歓迎します。
 ご支援・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

                    広瀬浩二郎
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2017年01月18日

『葛原勾当日記』の製作再現映像を試験公開します

 全盲の琴師だった葛原勾当は、天保8年(1837)から明治14年(1881)まで45年の長きにわたり、自分で開発した木製のひらがな活字を駆使して、日々の日記を自分の手で印字していました。

 一昨日、本郷三丁目で開催された研究会で、この葛原勾当のご子孫である葛原眞氏の講演を伺う機会を得ました。その後の話を通して、貴重なレプリカによる再現映像を実験的に研究者や興味をもたれる方々のために公開し、こうした事実や問題の調査研究への協力をお願いしました。葛原眞氏は私のこの申し出に理解を示され、快く映像をお貸しくださいました。

「葛原勾当のひらがな日記について」(2017年01月15日)

 早速、映像を試験公開するための準備を、研究協力者である加々良さんにお願いしたところ、本日突貫工事の末にその実現が叶いました。
 さまざまな人の力が結集して、無事に試験公開にいたったのです。ありがたいことです。

 葛原勾当に関する調査は、一昨年の秋より問題意識を深めつつありました。広島県に調査に行く計画をしました。しかし、実現しないままに来ました。
 しばらくは遅々として進捗を見なかったテーマが、先週から突然動き出し、今日の願ってもない貴重な映像の公開となりました。葛原眞氏との幸運な出会いをはじめとして、周りのみなさまに感謝いたします。

 今回公開した映像は、次の手順で見られるようになります。
 ご覧いただいてのご意見などをおよせいただくと、今後の励みになります。
 また、関連する情報などをお寄せいただけると幸いです。

 この撮影は、葛原眞氏がご東京大学史料編纂所のご理解のもとに、自分の手でレプリカをもとにして撮影なさったものであり、あくまでも実態を記録するために作製されたものです。今回、研究に資するものになれば、というご理解をいただいたことで、試験的に公開することになりました。
 公の場で利用なさる場合には、このコメント欄を活用するなどして、あらかじめ了解を得てからにしていただくよう、お願いいたします。

 今回の公開にあたっては、念のために、パスワードなどで閲覧者の確認をしています。これで、簡略ながらも諸権利の保護にはなるかと思います。煩わしい一手間をおかけして恐縮します。公開の趣旨をご理解いただき、ご協力のほどをよろしくお願いいたします。
 
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【映像 葛原勾当日記・印刷用具の使い方】



(1)「ホームページ「古写本『源氏物語』の触読研究」」に移動


(2)「新着情報」の中の「2017年1月18日 NEW 葛原勾当日記について」をクリック

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(3)「[パスワード請求]へ」をクリックして、「名前」「メールアドレス」「視聴目的」を入力

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(4)確認メッセージが表示された後、「送信する」をクリック

(5)画面にパスワードが表示される

(6)「こちらから」をクリックして、パスワードの入力画面で(5)のパスワードを入力

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(7)映像が見られる画面が表示される
 (上下の枠内で説明文をスクロールさせてご覧ください)

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2017年01月16日

点字百人一首の様子をラジオ日本「小鳩の愛〜eye〜」で放送すること

 一昨日の記事「【追記】高田馬場で「百星の会」の新年会と点字百人一首のカルタ会」(2017年01月14日)で、ラジオ放送の取材があったことを次のように記しました。


ラジオ日本の「小鳩の愛」のスタッフの方が取材に入っておられました。今日の様子やインタビューが、2月に放送されるそうです。


 そのディレクターである宮島佑果さん(アール・エフ・ラジオ日本)から、先日の「百星の会」の様子が以下の日程で放送されることを教えていただきました。
 私は「百星の会」の活動を広報する立場でもあるので、ここで宣伝しておきます。
 何年もラジオを聴いていません。これを機会に、楽しみに放送を待ちたいと思っています。


【番組名】 「小鳩の愛〜eye〜」(こばとのあい)
 http://www.jorf.co.jp/?program=kobato
視覚障害者の方がより暮らしやすい社会を目指して、視覚障害者、晴眼者にとって役立つ情報をお届けする番組です。
 
【放送局】 ラジオ日本 1422kHz  毎週日曜朝 7時5分〜7時20分
      北日本放送 738kHz   毎週日曜朝 7時30分〜7時45分
※スマートフォンアプリ「radiko」でもお聴きいただけます。
 
【放送日】 2017年2月5日(日)、12日(日)、19日(日)
 3週に渡って特集予定です。
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2016年12月20日

「古写本『源氏物語』の触読研究」の情報を更新しました

 科研の「挑戦的萌芽研究」で取り組んでいる「視覚障害者と共に古写本の仮名文字を読み日本古典文化を共有するための挑戦的調査研究」(課題番号︰15K13257)のホームページ「古写本『源氏物語』の触読研究」で、情報の更新をしましたのでお知らせします。担当者は科研運用補助員の関口祐未さんです。

 トップページの「新着情報」の最初にある「2016年12月20日 NEW 第4回研究会報告」をクリックしていただくと、「第4回「古写本『源氏物語』の触読研究会」」の研究会報告が読めるようになっています。
 先々週の12月9日(金)に、国立民族学博物館で開催した第4回の記録です。

 私が本ブログに書いた「民博で古写本『源氏物語』の触読研究会」(2016年12月10日)より、ずっと詳細な報告です。

 着実に活動が進展しています。
 成果も、見えるようになりました。
 今後とも、ご理解とご支援を、よろしくお願いします。
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2016年10月22日

第5回・日本盲教育史研究会に参加して

 日本盲教育史研究会の第5回総会・研究会に参加してきました。
 会場は、筑波大学東京キャンパス文京校舎で、放送大学があるところです。


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 日本盲教育史研究会は創立5年目、会員約180名です。
 昨年は札幌と京都、今年は北九州で研修会や研究会があり、いずれも参加しました。

 今日の午前の第一番は、土居由知氏(静岡県視覚障害支援センター)と岩崎洋二氏(元筑波大学附属視覚特別支援学校)の「『むつぼしのひかり 墨字訳 第一集』出版とそこからわかること」でした。
 『むつぼしのひかり 墨字訳 第一集』は、「視覚障害者の歴史資料集1」として、東京盲学校の同窓生による会報(明治36年第1号〜37年第10号)を10年がかりで編集したものです。
 今年2月に刊行されたばかりの本書を、先般の九州でのミニ研修会の折にいただきました。ただし、まだすべてを読んでいません。


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 「むつぼしのひかり」は、昭和18年の第473号までが発行されました。『点字毎日』が刊行される前は、唯一の点字ジャーナルだったのです。

 続いて、村山佳寿子氏(お茶の水女子大学大学院・筑波大学附属視覚特別支援学校小学部課外箏指導)の「昭和初期における箏曲の点字記譜法の特徴 筑波大学附属視覚特別支援学校資料室蔵「宮城道雄作曲集」を例として」という報告がありました。わかりやすい発表でした。6点で記述する点字楽譜の実態を考察したものです。
 邦楽を点字で記す「手法記号」は、大正3年に始まります。西洋音楽の手法記号を箏曲に代用しているようです。実際に譜面をもとにして演奏も流れたので、説明がよくわかりました。
 後の質問に、山田流と生田流の違いは? というのがありました。これは、私も気になったことです。
 東京は山田流が主で先生を採用したそうです。宮城道雄の関係で、昭和6年からは、生田流を東京盲学校でも教えるようになったのだとか。
 恥ずかしながら、私は学生時代に少しだけお琴を教えていただいていました。しかも、山田流でした。歌いながら弾くのです。東京だったからで、これが関西で教わっていたら生田流だった可能性が高かったのです。

 閉会後の懇親会で、隣におられた村山氏に、山田流と生田流の話を詳しく伺うことができました。また、『源氏物語』に出てくる琴の音は、今の流派とは異なる中国から来たものだそうです。
 それにしても、まだまだ研究課題が多いことを知りました。

 記念講演は、岩波新書で『瞽女うた』を書いておられる山梨大学大学院のジェラルド・グローマー教授でした。この本については、本ブログの「読書雑記(119)ジェラルド・グローマー『瞽女うた』を読んで」(2015年03月16日)で紹介しましたので、ご参照いただければ幸いです。

 本日の演題は「瞽女(ごぜ)・旅芸人の歴史と芸能」です。

 ついメモをしたことは、三条西実隆の周辺に瞽女が来て演奏をしていた、という話です。また、男は当道の組織を持っており、女は高田や長岡で演奏をして生きていた、ということも興味を持ちました。瞽女組織は、総合的な組織であり、関八州と静岡などに文化圏を持っていたそうです。1970年代までは、瞽女が門付けをしていたのです。
 伝統芸能の復活は無理です、という言葉には力強い確信が満ちていました。今、個人的な個性は認められない、みんな同じ形をよしとする文化になっている、とも。

 講演後の質問に、宗教に関連したものがありました。それに対して、瞽女の歌の旋律には宗教がないそうです。そして、聞く側の気持ちに宗教があったかどうかは、よくわからないとのことでした。
 これに対して、時間が迫っていたので私は手はあげなかったものの、瞽女縁起や院宣に「下賀茂大明神」と出てくることの説明はどうなるか、という疑問と問題意識を持ちました。上賀茂神社は賀茂別雷が祭神なので、雷との関係で盲人との関係は想像できます。しかし、その親である下鴨神社とはどのような関係があるのか、わからなかったのです。今度ゆっくりと調べてみます。

 また、ウクライナに日本のような瞽女歌があったそうです。世界中にあったのではないか、とも。海外での瞽女の存在が知りたくなりました。

 続いて、香取俊光氏(群馬県立盲学校)の「江戸から近代への理療の発展 群馬県の事例を中心に」という報告がありました。
 盲人の教育システムを構築した杉山和一とその弟子を通して、鍼灸が職業たして成立する過程を話されました。また、理療と点字の指導に当たった瀬間福一郎の紹介もありました。

 最後の山口崇氏(筑波大学附属視覚特別支援学校)は、「楽善会と凸字聖書」と題する報告でした。
 明治初期に、日本には盲人が多かったことが報告されました。明治8年から11年にかけての、盲唖教育の実態もよくわかりました。さらに、明治9年の凸字聖書は、日本カタカナではなくて、ヘボン式ローマ字だったことが明らかにされました。
 京都高田盲学校には、カタカナ版の凸字聖書があるそうです。いつか見てみたいと思います。

 今日伺った内容は、明治から昭和初年の時間の流れの中でのことがたくさんありました。この時期に興味をもっている私は、一言も聞き漏らすまいとの心意気でしっかりと聞きました。

 最後の総括で、現在も元気な方から、盲教育に関する聞き取りを研究会として取り組むべきだ、との提言がありました。これについては、文献とともに今後はその調査にも着手するとの回答がありました。

 今回のまとめをなさった岸先生が、近世から近代へと移るつなぎ目の格闘が問題として意識できるようになった、とおっしゃっていました。明治・大正から昭和への移り変わりに興味を持つ私は、このテーマにさらなる魅力を感じる研究会となりました。

 今回の参会者は、90名を超えていたそうです。今後がますます楽しみな会となることを実感しました。

 閉会後は、駅前に場所を移して懇親会がありました。
 今回も、多くの方とさまざまな話題で盛り上がりました。
 いろろいな方とお話ができました。
 みなさま、刺激的な出会いを、ありがとうございました。
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2016年08月20日

駅のホームドア設置と「ホーム縁端警告ブロック」

 一昨日は、日比谷図書文化館から尾崎さんと一緒に、地下鉄三田線で途中まで帰りました。
 先日の、地下鉄ホームから転落した方の悲劇を思い出し、そのことを話題にしました。白杖を持った尾崎さんと一緒に駅の構内を歩いていると、こちらも五官が研ぎ澄まされ、あたりにアンテナを張り廻らす自分を意識しました。

 尾崎さんも中学生の時、電車から降りたところを前から来た人に押されて、ホームから線路に転落したことがあるそうです。何人かの方に引き上げてもらったとか。

 これまでに私が出会った多くの全盲の方々は、そのすべての方がと言ってもいいほどに、ホームからの転落を経験しておられました。それが、民博の広瀬浩二郎さんの言葉を借りれば「通過儀礼」であるかのように、みなさんがその怖さを語ってくださいます。
 新聞やテレビなどでは、ホームからの転落は「37パーセント」としています。しかし、現実にはもっと多いと思われます。

 一昨日の三田線大手町駅のホームには、電車との接触や転落を防止するために、両開きのホームドアがありました。


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 宿舎に帰ってから見た毎日新聞(平成28年8月18日(木)朝刊14版)には、1面、3面、28面の都合4箇所で、この問題を大きく取り上げていました。電子版で見たところ、関西版も大きく扱っていました。


 既存の地下鉄駅で、全国で初めて可動式のホーム柵(ホームドア)が設置され運用が始まったのは2000年。東京都営地下鉄三田線の高島平駅(東京都板橋区)だった。毎日新聞が視覚障害者向けに発行する点字毎日の紙面は、当時「落ちない駅が実現」と紹介した。それから16年。ホームドアは着実に増えているとはいえ、まだ不十分だ。(3面、「クローズアップ2016 視覚障害者ホーム転落 周囲の声掛け命綱」)


 設置や補強費用のことと共に、列車のドアの数や位置が現状ではまちまちなので、その対処策と問題点は単純ではないようです。しかし、バーが上下する「昇降式ホーム柵」などの改良を進め、一駅でも多くのホームにドアや柵を設置してほしいと思います。

 また、点字ブロックについて、同紙には私がまったく知らなかった説明があったので以下に引いておきます。それは、次の図版の右側にある「ホーム縁端警告ブロック」に関するものです(3面より)。


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 点字ブロックについては、「警告ブロック」(図版左側)と「誘導ブロック」(図版中央)があることは知っていました。「社会福祉法人日本盲人会連合」のホームページでも、「点字ブロックについて」という項目にはこの2種類だけが取り上げられています。

 「ホーム縁端警告ブロック」というのは駅のホームにだけ使われているためか、その他のホームページでも「点字ブロック」の説明には見当たりません。「ウィキペディア」でもそうなので、このあたりの説明には、手を入れる必要があるのではないか、と思われます。
 この「ホーム縁端警告ブロック」については、次の2つの報告書が参考になります。ユニバーサルデザインの分野の問題でもあります。

「視覚障害者誘導用ブロックを効果的に配置する」(大野央人、鉄道総合技術研究所、RRR Vol.71 No.7 2014.7 16〜19頁)

「鉄道技術来し方行く末 発展の系譜と今後の展望 第38回 視覚障害者誘導用ブロック」(大野央人、鉄道総合技術研究所、RRR Vol.72 No.6 2015.6 28〜31頁)

 点字ブロックは日本が開発したものであり、平成24年に国際規格として定められ、今や世界130カ国以上で採用されているそうです。

 インドでも、「警告ブロック」と「誘導ブロック」が使われていました。もっとも、その使われ方には疑問を抱きましたが。

「インド・デリーの点字ブロックなどには要注意」(2016年02月25日)

 日本でも、駅のホームにある柱との位置関係をどうするかには、課題があります。上記ブログで写真を掲載したように、インドで樹木やマンホールの蓋を避けて点字ブロックをカクカクと回り込ませているのは、どう見ても無理があります。

 「ホーム縁端警告ブロック」について、上記毎日新聞の説明では続けて次のように記されています。


 国土交通省によると、青山一丁目駅のホームで品田さんが転落した場所にあったのは、歩く方向を示す「誘導ブロック」ではなく、ホームの端が近くて危険だと示す「ホーム縁端警告ブロック」だった。
(中略)
 品田さんは両ブロックの接続する地点から離れた場所で転落した。同省担当者は「縁端警告ブロックの上を歩くことを想定していない」と指摘する。だが、混雑時には一般利用客が点字ブロックをふさぎ、機能しているとは言い難い状況も生まれる。実際、警告ブロックを頼りに移動する視覚障害者は少なくない。青山一丁目駅では、縁端警告ブロックの列を柱が遮るように建っている。
 国交省の指針ではホームに縁端警告ブロックを敷設する場合、途中に構造物があっても連続させるよう求めている。遠回りするよう敷くとかえって方向や位置が分からなくなるという視覚障害者の意見を反映させており、青山一丁目駅はこの指針に沿っている。


 点字ブロックに関して、検討すべき課題はいろいろとあるのです。
 これまでは、ブロックの上に立つ人や置かれた荷物に、注意喚起がなされていました。今は、スマートフォンのながら歩きが、目が見える見えないに関わらず問題になっています。

 尾崎さんに、歩きスマホの人とぶつかったことがあるかを聞きました。彼女の答えは、人にぶつかることは多いので、その相手が歩きスマホかかどうかは見えないのでわからない、とのことでした。
 目が見えない方々の実情を私がまだよく理解していないため、それが愚問であったことを教えられました。

 また、回りの方からの「大丈夫ですか?」という声掛けについても聞きました。
 彼女の返答は、通学などでよく通う道は熟知しているので、声を掛けていただくのはありがたいけれども、あまり続くといちいち対応するのに苛々することがある、とのことでした。ただし、通学路以外では、助かることが多いしありがたいと思うそうです。
 この件も、声掛けする方としては親切心からなので、相手のことを慮っての対応が微妙なこともあるようです。それはそれとして、やはり基本的には、押し付けにならない程度に声を掛けるのが自然なことだと思います。
 危険と隣り合わせの方には、原則として声をかける、という心構えを持ち続けたいと思います。
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2016年07月14日

「点字付き百人一首」とお香のワークショップのご案内

 開催直前の案内となりました。
 以下の通り、「点字付百人一首 〜百星の会」が主催する「香りのワークショップ&かるた会」が開催されます。

 会員ではない方で参加を希望される場合は、「点字付き百人一首 〜百星の会」の事務局を運営なさっている関場理華さん(r-sekiba@tenpitsu.com)に連絡をとってください。

 また、目が不自由な方やお知り合いの方でこのことに興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、こんなイベントがあることをお知らせいただけると幸いです。
 貴重な体験の場を共有できると思います。

 なお、あらかじめ連絡がとれないままにお越しいただいた場合には、会場にいる私にお声掛けいただければ、人数によってはご覧いただけることも可能かと思います。
 

日時:7月16日(土)午後1時より
場所:新宿区社会福祉協議会 交流コーナー
ワークショップ:「香り名人の百人一首の歌人・藤原公任の香りを再現する」
講師:田中圭子(広島女学院大学総合研究所・客員研究員)
内容:以下に引用する文章を参照願います。
   読みにくい固有名詞などには、読みがなが付いています。
   パソコンの読み上げ機能でお聞きいただけます。


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「点字付き(てんじつき)百人一首 〜百星の会(ひゃくぼしのかい)」でのイベントにおける薫物(たきもの)のワークショップについて


 
    田中(たなか) 圭子(けいこ)
   (広島女学院大学総合研究所・客員研究員)
 
■ 概 要 ■

 平安中期に活躍した公卿(くぎょう)・藤原公任(ふじわらのきんとう)は、清慎公(せいしんこう)実頼(さねより)二男廉義公(れんぎこう)関白太政大臣頼忠(よりただ)と中務卿代明親王(よあきらしんのう)女(じょ)厳子(げんし)女王の一男として誕生。
 同母姉妹に円融院太皇太后四条宮遵子(しじょうのみやじゅんし)と花山院女御ィ子(しし)があります。名家の嫡子として将来を嘱望されながら、人臣の位を極めることは叶いませんでしたが、学問芸道の分野において幅広く活躍して優れた成果を残し、高く評価され続けています。

 公任集(きんとうしゅう)の和歌や詞書によれば、公任父(きんとうちち)頼忠(よりただ)は薫物(たきもの)梅花(ばいか)を調合しており、知友との私的な交わりの中で珍重されたようです。公任(きんとう)自身も薫物(たきもの)を調合し、それにちなんだ和歌とともに贈答に及んだとされるほか、姉妹とともに調合や賞翫を楽しんだり、姉妹に献上したりすることもあったとされます。
 事実であるとすれば、頼忠家(よりただけ)では、薫物(たきもの)に関する父の嗜好と手法が子息子女にも受け継がれ、趣味として共有された可能性が伺えます。

 公任(きんとう)ゆかりと伝わる薫物(たきもの)の伝承は、平安後期以降の類纂と伝わる薫集類抄(くんしゅうるいしょう)を始めとして、鎌倉時代の初期から後期にかけて増補加筆の行われたとされる源氏物語古注釈書原中最秘抄(げんちゅうさいひしょう)、南北朝期の年号による跋文をとどめて鷹司家や壬生家に伝来した薫物(たきもの)秘伝書の薫物方(たきもののほう)に散見します。
 また、近年の調査において、京都大学附属図書館菊亭(きくてい)文庫の薫物(たきもの)秘伝書の薫物秘蔵抄(たきものひぞうしょう)一巻に、後徳大寺左府書(のちのとくだいじさふしょ)逸文として公任(きんとう)卿方こと公任(きんとう)ゆかりの薫物(たきもの)の処方七点の載録されることも確認しています。

 後徳大寺左府書(のちのとくだいじさふしょ)逸文の内、一部の薫物(たきもの)方は薫集類抄(くんしゅうるいしょう)載録の公任(きんとう)方と同じ種類であり、処方の内容もおおむね一致します。後徳大寺左府(のちのとくだいじさふしょ)こと藤原実定の所持した文書であったとすれば、既存の資料に確認できる公任(きんとう)方の中で最も古いと目される薫集類抄(くんしゅうるいしょう)載録方と、同時代に読まれていた可能性があります。

 今回は、新出資料である後徳大寺左府書(のちのとくだいじさふしょ)逸文に公任(きんとう)ゆかりの品として伝わる6種類・7点の薫物方(たきもののほう)の内、公任(きんとう)と小野宮家(おののみやけ)の薫物(たきもの)の真髄をくみ取るにはふさわしい種類と考えられます黒方(くろぼう)及び梅花(ばいか)の2種類・2点の薫物方(たきもののほう)を、この分野の専門家であられる鳩居堂製造株式会社社長(きゅうきょどうせいぞうかぶしきかいしゃしゃちょう)熊谷直久(くまがいなおひさ)氏と同社の皆さまのお力により調合、復元してお持ちしました。

 また、この逸文の冒頭脚欄の余白において記載されている、室町時代以降に隆盛した新作薫物(しんさくたきもの)の一種であります紅梅(こうばい)の処方も復元いただきました。

 会場では、粉末にした香料を和合した中に蜜を混ぜて練り合わせ、少量を手にとって丸がして(まろがして)いただいた後に、香炉に入れてたき匂わせる(たきにおわせる)予定です。

 公任(きんとう)が自ら工夫した可能性のある薫物(たきもの)と、後世の人々が公任(きんとう)という稀代の才人に寄せて継承、賞玩したかもしれない新作薫物(しんさくたきもの)それぞれの香りや手ざわりをご鑑賞いただきながら、公任(きんとう)その人の歌と心に思いをはせるひと時を共有できましたら、何よりありがたく存じております。

■薫物のレシピ■

 ワークショップで使用する薫物(たきもの)の処方(レシピ)をグラムに換算してご紹介します。
 
1 黒方(くろぼう)
薫陸(くんろく) 3.1
麝香(じゃこう) 6.2
白檀(びゃくだん) 3.1
甲香(かいこう) 12.5
丁子(ちょうじ) 25
沈香(じんこう) 50
 
2 梅花(ばいか)
沈香(じんこう) 53.1
甲香(かいこう) 18.7
甘松(かんしょう) 1.0
白檀(びゃくだん) 4.35
丁子(ちょうじ) 21.6
薫陸(くんろく) 1.5
 
3 紅梅
沈香(じんこう) 37.5
丁子(ちょうじ) 15.6
白檀(びゃくだん) 19.7
甘松(かんしょう) 7.2
霍香 3.1
甲香(かいこう) 12.5
龍脳(りゅうのう) 0.5
麝香(じゃこう) 9.3

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2016年06月21日

エレベータの開閉ボタンは今のままでいいのか?

 エレベータでのことです。

 後から急いで乗り込んで来られる方がいらっしゃった時、とっさにドアの開閉ボタン【開く】を押したつもりが、うっかり【閉まる】を押したことが何度もあります。これは、私はもとより、妻もよくやるので、少なくとも我々2人に関しては、あのボタンに付いている開閉マークは視認性が低く、混乱するだけのものだと思っています。瞬時に意味がわかるアイコンになっていないという点では、問題があるのではないでしょうか。再検討すべきです。

 ユニバーサルデザインである以前に、記号として不適当なデザイン画だと思っています。あの絵の意味するものが、すぐに共有できないのですから。
 ただし、今も全国で使われているので、それなりの役にはたっているのでしょう。
 いまさら変えられない、ということもあるのでしょう。
 そもそも、平仮名を添えないといけない状態にある、ということからして不完全なアイコンなのです。平仮名は、海外からお越しの方々への配慮なのでしょうか。日本人にもアイコンが視認され難いことが明らかになったことから、平仮名を添えることになったと思われます。
 以下に列挙する開閉ボタンの写真が、そうした実体を物語っています。

 あのボタンに付いている絵文字は、人間の感覚を錯乱させるものではないのか、との思いから、これまで折々に写真に収めてきました。
 そこで、撮り溜めて来た数百枚の写真から、ここにそのいくつかを例として揚げて、別の絵文字のアイコンに変更すべきであることを問題提起したいと思います。
 併せて、表記や表示場所の統一に関しても、判断材料を提供していきます。

 まず、手元に集まっているエレベータの開閉ボタンの写真を、いくつかに仕分けをして整理してみました。
 これは、あくまでも私が歩いた範囲で集めた開閉ボタンです。
 また、エレベータの中は狭い空間なので、写真が取り難いことが多いのです。ピンボケとなっているものが何枚もあります。点字などは、1つの点が2つに見える例がありますので、ご注意願います。

 以下の走り書きのコメントも、時間があれば丁寧に記したいと思っています。
 取り急ぎの中間報告であり、当座のメモとして記したものです。
 ご意見や情報、そして写真の提供などをいただけると幸いです。


   【現時点での、エレベータの開閉ボタンに関するまとめ】
(1)「漢字」か「平仮名」か「絵文字」かの統一が必要
(2)「漢字」の「開 閉」は共に門構えの文字なので、とっさの視認性が悪い
(3)「平仮名」の表記は、「ひらく とじる」か「ひらく しまる」のどちらかに統一を
(4)「絵文字」のデザインは、統一か刷新が必要
(5)「点字」を開閉ボタンの上下左右のどこに添えるかは、早急に統一を
(6)「点字」表記は、「ひらく とじる」「ひらく しまる」「あけ しめ」のいずれかに統一を
(7)応急処置である「アルミ印字プレート」や「ラミネート印字テープ」は剥がれやすい
(8)ボタンの背景の色分けは、「ひらく」は緑色、「とじる(しまる)」は黒色が一般的

 
 

(1)絵文字だけ(日本語も点字もない)


 

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 古いエレベータによくある押し間違えやすいタイプです。
 
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 この絵柄が圧倒的に多かった旧タイプです。
 
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 人物を加えて視認性の悪さを軽減させようとした少数派の絵柄です。
 
 
 

(2)漢字だけ


 

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 丸型ボタン
 
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 角型ボタン
 
 
 

(3)平仮名だけ



 未確認
 
 
 

(4)絵文字と平仮名



 未確認
 
 
 

(5)絵文字と点字


 

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 点字(「あけ」「しめ」)が上にあります。
 
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 点字(「あけ」「しめ」)が絵文字の左右にあります。
 
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 点字(「あけ」「しめ」)が絵文字の左側にあります。
 
 
 

(6)絵文字・平仮名・点字の3種類


 

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 点字(「あけ」「しめ」)がボタンの左右にあり、平仮名(「ひらく」「とじる」)が絵文字ボタンの上にあります。
 
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 点字(「あけ」「しめ」)がボタンの左側にあり、平仮名(「ひらく」「とじる」)が絵文字ボタンの下にあります。
 
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 点字(「あけ」「しめ」)が絵文字ボタンの左側にあり、平仮名(「ひらく」「しまる」)が絵文字ボタンの上にあります。「開延長」(点字は「ひらき つづく」)というボタンは役立つものだと思います。
 
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 この2枚の写真は、同じエレベータ内のものです。点字(「あけ」「しめ」)が絵文字ボタンの上か左にあります。点字を貼る位置は統一してほしいところでした。平仮名で「ひらく」だけが絵文字ボタンの下に貼られています。閉まるボタンにシールが貼られていないのは、前例の開くだけの使用を意識したものでしょう。
 
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 点字(「あけ」「しめ」)が絵文字ボタンの左側にあり、平仮名(「ひらく」「とじる」)が絵文字ボタンの下にあります。
 
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 点字(「あけ」「しめ」)が上に貼り付けてあり、平仮名(「ひらく」「しまる」)が絵文字ボタンの中の下にあります。
 
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 点字(「あけ」「しめ」)が絵文字ボタンの上にあり、平仮名(「ひらく」「しまる」)が絵文字ボタンの下にあります。
 
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 点字(「あけ」「しめ」)が絵文字ボタンの左横下にあり、平仮名(「ひらく」「しまる」)が絵文字ボタンの左横上にあります。
 
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 点字(「あけ」「しめ」)が上に貼り付けてあり、平仮名(「ひらく」「とじる」)が絵文字ボタンの中の下にあります。このエレベータには、さまざまな工夫が施されていました。
 ボタンを押しやすくするために手を支えるアルミの小さなプレートがあり、さらには聴覚障害者のためのボタン「耳マーク」もあります。本年4月より施行された障害者差別解消法を強く意識したものかと思われます。
 
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 点字(「あけ」「しめ」)が上にあり、平仮名(「ひらく」「とじる」)が絵文字ボタンの中の下にあり、さらに浮き出た絵文字がボタンの左上に付いています。
 
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 点字(「ひらく」「しまる」)が絵文字ボタンの上にあり、平仮名(「ひらく」「しまる」)が絵文字ボタンの中の下にあります。点字と平仮名が同一語となっているのです。これが一番自然な表現ではないでしょうか。

 
 
 

(7)漢字とひらがな



 未確認
 
 
 

(8)漢字と点字


 

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 点字(「ひらく」「とじる」)が下にあります。
 
 
 

(9)漢字とひらがなと点字



 未確認
 
 
 

(10)たまたま海外で見かけたもの


 

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・スペイン:マドリッドのホテルで見かけました。【開】の意味の絵文字ボタンだけで、【閉】のボタンはありません。これは、近年日本でもよく見かけます。下部のシンドラー社名の両側に、ネジの頭が潰れたものが写っています。プラスとマイナスのネジなので、おもしろいと思いました。同じネジがなかったのでしょうか。
 
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・インド:ニューデリーの地下鉄で見かけました。【開・閉】の絵文字が浮き出ていて点字付きです。点字がぼやけていて、二重に見えます。点字は英語で「close」「op?」。開閉ボタンが日本とは左右逆です。インドの自動車は、イギリスや日本と同じ右ハンドルです。どなたか、イギリスのエレベータの開閉ボタンの写真をお持ちではないでしょうか。)
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2016年06月10日

第3回「古写本『源氏物語』の触読研究会」のご案内

 来週6月18日(土)午前に、以下の通り科研「挑戦的萌芽研究」の研究会を開催します。
 これは、昨年度から取り組んでいる科研「視覚障害者と共に古写本の仮名文字を読み日本古典文化を共有するための挑戦的調査研究」の成果と、今後の課題を考え話し合う会です。
 小さな研究会ながら、最新の情報が行き交う集まりです。

 本科研の活動内容については、本科研のホームページ「古写本『源氏物語』の触読研究」をご覧ください。

 こうしたテーマに興味と関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、本ブログ下部にあるコメント欄から参加希望の旨を2日前の16日(木)までに連絡していただければ、資料を用意してご来場をお待ちいたします。

 なお、今回も4名の視覚障害者が参加なさいます。
 研究会当日は、地下鉄銀座線京橋駅の6番出口に近い改札口で【9時30分に集合】し、みなさんと一緒に会場に向かいます。
 目が不自由な方および付き添いの方も、安心して参加していただけます。
 
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日時:2016年6月18日(土) 午前9時30分集合。
研究会:10時から12時。
場所:京橋区民館 3号室
・住所:東京都中央区 京橋2丁目6番7号
・アクセス
(1)東京メトロ銀座線京橋駅下車6番出口 徒歩2分
(2)都営地下鉄浅草線宝町駅A5・A6番出口 徒歩2分
(3)中央区コミュニティバス(江戸バス)
  [北循環]八重洲通り西5番 10分程
「会場周辺地図」
「京橋区民館のホームページ」

 
〈内容〉
第3回「古写本『源氏物語』の触読研究会」
(1)挨拶(伊藤鉄也)
(2)2015年度の研究報告(伊藤鉄也)
(3)2015年11月から2016年6月までの活動報告(関口祐未)
(4)研究発表「視覚障碍者による絵巻研究の方法」(尾崎栞)
(5)研究発表「日本語漢字不可欠論再検討
    〜漢字がないと同音異義語でこまるのか?〜」(中野真樹)
(6)研究発表「触文化研究の課題と展望
    ―「無視覚流」の極意を求めて」(広瀬浩二郎)
(7)共同討議(質疑応答、用語確認と実験方法など、参加者全員)
(8)連絡事項(関口祐未)

 なお、研究会終了後に懇親会を予定しています。
 日時:2016年6月18日(土) 午後12時から13時30分
 会場:東京駅周辺を予定。
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2016年06月04日

日本盲教育史研究会第4回ミニ研修会 in 九州

 昨年、北海道の札幌で「日本盲教育史研究会 第3回ミニ研修会」がありました。

「日本盲教育史研究会 第3回ミニ研修会(in札幌)」(2015年05月30日)

 今年は、一気に南下して九州です。

 会場は、博多から電車で小倉に向かって1時間ほどの、黒崎というところにある北九州市立西部障害者福祉会館です。私は、この施設の一角にあるホテルに滞在し、情報収集と打ち合わせ等を続けています。

 今日の研究会は、長崎大学の平田勝政教授による、「日本盲教育史研究の成果と課題」と題する講演から始まりました。この題目は壮大なものです。副題の「1920年代における川本宇之介と希望社運動の検討」が今回の内容でした。
 川本という先人のことや、希望社という存在を知り、いろいろと刺激を受けました。これまでまったく知らなかった世界が、社会運動や政治活動を背景にして炙り出されました。時間が足りなくなり、盲教育と癩病根絶運動との接点までは話が及ばなかったのが残念でした。
 配布された資料は貴重なものが多いので、後で読み通すことを楽しみにします。

 続いて研究報告となりました。
 
1 明治期盲唖学校と支援組織―九州地方を中心に―
 〔長崎県立諫早特別支援学校・菅達也氏〕
 九州における盲学校を支援した組織の実態が、数字を示しながらわかりやすく語られました。
 
2 九州と盲唖教育
 〔日本社会事業大学・木下知威氏〕
 手話による発表なので、通訳の方の説明とスライドで聞きました。明治・大正期の開化を目指す熊本を取りあげたものです。手話通訳を交えた質疑応答の難しさも体験できました。目が見えない、耳が聞こえないという方がいらっしゃる集まりなので、意志の疎通をはかるのは大変です。手話通訳の方々のお力に負うところが多いのです。なお、配布された「九州と盲唖教育・年譜」は、丹念に資料を相互検討した貴重な意義深いものとなっています。
 
3 地方盲学校、聾学校の専門的教員の養成と補充 ―昭和初期から昭和30年代の熊本県―
 〔九州ルーテル学院大学・佐々木順二氏〕
 熊本の盲・聾学校の教職員の教育歴と保有免許状を、丹念に分析したものでした。

4 史料紹介
・「福岡県の盲教育の歴史」〔福岡点字図書館・吉松政春氏〕
 柳河盲学校の校歌は北原白秋と山田耕筰が作ったものです。ウィキペディアには、このペアで50校ほど掲載されているそうです。しかし、柳河盲学校は取り上げていない、とのことでした。

・「九州と京都盲唖院」〔京都府立盲学校・岸博実氏〕
 今後の研究に資するところ大の、貴重な資料15点を提供してくださいました。いずれも、京都府立盲学校が所蔵するものです。歴史を確認し掘り下げる上で、大いに活用されることでしょう。

◆意見交換での主な発言
・障害がある当事者が自分たちの仲間のために、という思いを大切にしたい。
・歴史研究と現状を踏まえた研究をお願いしたい。
・お互いがわかり合える社会にしよう。
・盲教育史は調査研究されていない課題が多い。

 今回の参加者は70名でした。予想外の多さに、運営側のみなさまも嬉しい悲鳴をあげておられました。
 多彩な意見がやりとりされ、充実した研究会でした。
 その後の懇親会では、今回も貴重な情報をいただきました。
 熊本からお出での方から、先般の地震で益城町におられた視覚障害の知人の家が全壊した折の話を伺いました。たまたま目が見える娘さんが来ておられたので、なんとか夜中に避難所までたどり着けたそうです。一般の方々と一緒に体育館での避難生活は大変で、まもなく開設された福祉避難所に移られたそうです。こうした障害をお持ちの方々も、被災されているのです。マスコミは、どの程度こうした情報を収集しているのでしょうか。今後のためにも、実態を掌握しておく必要があるように思いました。
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2016年06月03日

慌ただしく羽田-福岡-博多-黒崎へ

 JALで羽田から福岡に飛んで来ました。
 飛行機の国内線を使うことは滅多にないので、エコノミークラスも機内の環境がよくなっていることに感激です。

 無線のインターネットが、15分なら無料で使えるようになっていました。私は iPhone やパソコンでメールのチェックをするのが中心なので、これだけで満足です。有料のオプションに切り替えても500円なので、ヨーロッパへ行く時などは重宝しそうです。

 座席の目の前にモニタがなかったので、国内線はそうだったのかな、と思っていました。すると、前のポケットに、機内Wi-Fiサービスとしてドラマ等が手持ちの電子機器で観られる説明書が入っているのを見かけました。ドラマやバラエティー番組などが、自分が使い慣れた電子文具で観られるようになっていたのです。

 手持ちの電子デバイス(パソコンやスマートフォン)がないと、こうしたサービスを受けられないので、まだ差別的で不便だとも言えます。しかし、持っていると、国内線に乗っている時間は短いので、15分でもこれはこれでありがたいことです。

 30年近くコンピュータや通信に関わって来た者の一人として、こうしたサービスを目の当たりにし、隔世の感を堪能しています。
 これまでは、飛行機というと富裕層だけへの差別的サービスを展開していた航空機業界でした。ファーストクラスやビジネスクラスとは無縁の者にとっては、自分のシートに居ながらにしてインターネットにつながるとは、思いの外に業界の対処が速かったことに驚いています。

 福岡空港に降り立ってからは、地下鉄空港線で博多駅に出、JR鹿児島本線に乗り換えて1時間弱の黒崎駅まで移動しました。
 改札口前に、「黒崎神社 おみくじロボット」がありました。安川電機が、去年の8月からサービスをしているものです。


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 これは、7軸垂直多関節ロボットが小さなボールをレーンに転がし、「おみくじ」を上手に運んでくれるものです。今日の運勢を占ってくれるのです。
 私は「中吉」でした。一番中途半端な運勢です。まあまあ、そこそこ、ということにしておきましょう。


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 明日のイベント会場がある施設にチェックインし、目が見えない方々にお目にかかり、科研の「挑戦的萌芽研究」の説明と実験実証に関する打ち合わせをしました。
 黒崎という町が予想外に賑やかなので、これまた驚いています。きれいで、便利な町です。

 今回の旅の主目的については、明日詳しく書きます。
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2016年05月21日

埼玉県本庄市で『群書類従』の話をする

 今日と明日は、中古文学会春季大会が早稲田大学である日です。
 しかし、頼まれ事があったために、都心を離れて埼玉県本庄市へ行きました。

 目的地である本庄駅と岡部駅との間で車輛トラブルがありました。行きたい本庄駅の一つ手前の岡部駅で、しばらく安全確認のために電車が止まっていました。私にはよくあることなので、これくらいでは動じません。今日お話しする内容の確認をして、復旧を待ちました。

 駅では、「金鑽神社」の宮司である金鑚(かなさな)俊樹さんの出迎えを受けました。金鑚さんとは、初期のパソコン通信が縁で20年来の仲間です。大学の後輩でもあり、衣紋道に精通している関係から、奈良の春日大社で祭礼があった時に、神官への着装場所に入れてもらい間近で金鑚さんの装束の着付けを拝見しました。東京の大井町であった雅楽にも一緒に行ったりと、貴重な勉強をさせていただいている間柄です。
 今日は、私が行く会場が金鑽神社の近くということもあり、送迎を兼ねて周辺の案内もしていただきました。

 今日の打ち合わせを、総検校塙保己一先生遺徳顕彰会事務局の方とすることになっていました。
 本庄市教育委員会生涯学習課がある市庁舎に、金鑽さんの車で連れて行ってもらいました。しかし、私がよく確認しないままだったために、本日の会場である本庄市児玉文化会館(セルディ)に移動することになりました。

 時間の余裕があったので、金鑽さんの案内で本庄宿にある方の金鑽神社に案内してもらいました。そして、詳しく本庄市の歴史などの説明を聞きました。
 私はただでは帰りません。境内に、変体仮名を刻んだ石を見つけました。「割烹 根起志」とあります。


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 また、琴平神社の御垣の石に刻まれた名前に、江戸時代の女性の名前が変体仮名で刻まれていました。「古登女」「み徒」と読めます。


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 おしゃれなレストランで食事をしてから、本日の会場へ打ち合わせに行きました。

 本日使われる舞台上で、パソコンか iPhone のどちらを使うかをテストしました。
 私は、スクリーンに映像を写してお話をすることはあまりありません。あくまでも、プリントでお話をします。これは、機器のトラブルを何度も経験しているからです。

 今日の場合は、パソコンからスクリーンに映像が出ませんでした。しかし、iPhone からは写し出せたので、パソコンは使わずに、iPhone でプレゼンテーションを行うことにしました。

 また、私はプレゼン用のソフトウェアであるパワーポイントは、使ったことがありません。パワポと言われているこのアプリを使った発表は、あくまでも自己満足のための発表だと思っているので、聞く必要がない、という立場を何十年も取っています。

 私が人前で話す時、スクリーンに画像を写す必要がある場合は、写真やPDFを表示する専用のプレビューソフトか、エバーノートのスライドショーを使います。

 今日は、パソコンが使えない環境であることがテスト段階でわかったので、iPhone のエバーノートでスライドショーとして写真を写しながら、話を展開することに即決しました。

 まだ時間があったので、塙保己一の生家に案内してもらいました。藁葺きのしっかりした家でした。


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 その裏手に、保己一のお墓があります。
 町の偉人として定着しています。

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 金鑚さんが宮司をしておられる金鑚神社にも行きました。


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 ご神体は、拝殿の奥に聳える御室山です。三輪山と同じく、お山がご神体なのです。古代の神奈備山の祭祀を伝え、『延喜式』の「神名帳」には「金佐奈神社」と記されている官幣中社です。
 ここの拝殿で、神職の方が正式で厳かなご祈祷をしてくださいました。久しぶりに榊を捧げ、お神酒までもいただき、身を浄めていただきました。


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 今日の私の出番は3時からだったので、ゆっくりと会場に入ることができました。

 今日のお話のタイトルは「世界中だれでも読める『群書類従』」です。
 すでに『温故叢誌』という冊子に報告した内容に加えて、現在取り組んでいる目の不自由な方々と一緒に変体仮名を読む取り組みを話しました。
 手話通訳の方が横についていてくださいました。


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 あらかじめ、8頁のレジメと、『群書類従』に収録されている「竹取翁物語」の版本の立体コピー、そして、三つ折りチラシ2種「古写本『源氏物語』の触読研究」と「海外源氏情報」を配布して進めました。


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 お話した内容については、いつか印刷することになるはずです。今ここでは、その小見出しだけを揚げて、内容は省略します。


一、『群書類従』が英国ケンブリッジ大学に収蔵された経緯
二、米国バージニア大学から『群書類従』のDBを公開
三、電子化された『群書類従』の利用環境
四、国文学研究資料館の平成の大事業は『(新)群書類従』
五、『群書類従』の版本(変体仮名)を触読する


 終わってから、保己一記念館に立ち寄りました。閉館時間間際だったにも関わらず、質問を含めて丁寧に説明してくださいました。ありがとうございます。
 入口前広場は『群書類従』にならい、400字詰め原稿用紙をイメージしたデザインだそうです。

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 ここの展示で参考になる点を、記録として残しておきます。

 ガラスケースの前に、説明文を板に刻んだものがありました。平仮名を浮き出させて彫ったものです。文字の角が処理されていないので、指を滑らせるとチクチクします。触読には向いていません。しかし、これは今後の触読テストの参考になります。音声でも説明してもらえます。


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 外には、保己一の大きなった座像がありました。
 ヘレン・ケラーも尊敬する保己一像を感動的に触ったという、塙保己一史料館・温故学会にある首を傾げた姿とは違います。


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 自動販売機のイラストも気に入りました。


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 新幹線の本庄早稲田駅前の広場には、今年の3月12日に建ったばかりの、江戸へ旅立つ保己一の像がありました。

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 江戸に向かって歩み出すところです。
 新しい世界を切り開こうとする強い意志が伝わってきます。

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 今日は、長時間にわたり、送迎やら案内やらと、金鑚さんには本当にお世話になりました。お陰さまで充実した一日となりました。
 金鑚神社の拝殿で厳粛なご祈祷を受けたことが一番印象に残っています。
 また、いつかご一緒できる日を楽しみにしています。
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2016年02月28日

「第26回京都視覚障害者文化祭典」でお茶をいただく

 明け方7時前に、比叡山と吉田山の間から朝日が昇るのを、賀茂川散歩の途中で見ることができました。


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 出雲路橋の下では、白鷺が朝食をさがしています。


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 下鴨神社の西の鳥居では、その間からちょうど朝日が顔をのぞかせていました。


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 真っ直ぐ境内を突き抜けると、御手洗川には光琳の梅が咲き掛かっています。


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 気持ちのいい朝です。

 お昼前に、京都ライトハウスで開催中の「第26回 京都視覚障害者文化祭典」に行きました。
 いつも情報収集などでお世話になっている方や、ボランティアの方々からお話をうかがいました。
 「京都ライトハウスで体験三昧」(2015年10月25日)で知り合った方や、「京都ライトハウスでの点字百人一首体験会に参加」(2015年11月07日)で同席した方にも会えました。

 こうした催しは、いろいろな方と得難い出会いの場になります。お元気な姿を見かけると安堵します。


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 音楽は、幅広い人が楽しめるものであることを、あらためて実感しました。
 マトリョミンという楽器は手のひらで操作して音が出せるので、目が見えなくても自由に演奏ができるようです。

 女性部が和室で「お茶席」を設けておられました。
 前回この京都ライトハウスでお茶をいただいたことは、「「第25回京都視覚障害者文化祭典」で弱視の方のお点前をいただく」(2015年03月01日)に記した通りです。
 今回も一服いただきました。
 表千家のお点前です。

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 いつも思います。茶杓の扱いと柄杓でお湯を注ぐことは、目が見えないと大変です。
 先生も、そっと介助をなさっています。
 結構なお点前でした。
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2016年02月25日

インド・デリーの点字ブロックなどには要注意

 例えば、目が見えない方をインドのデリーに案内したとします。
 白杖を持って歩く際に、いろいろと日本とは状況が違うことが歴然としています。

 メトロには、点字板や点字ブロックが設置されています。
 カイラーシュコロニー駅に設置されているエレベータには、こんなボタンがありました。
 点字が添えられています。それも、シールが貼られているのではなくて、ボタン自体に加工が施されています。
 公共交通機関での写真撮影が煩いので、ゆっくりとカメラを構えることができず、ピンボケです。

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 これは、2010年10月3日から14日にかけて、インド・デリーで第19回コモンウェルスゲームズが開催されたことによる成果です。開催地決定の基準の中に、障害者に対する対策が必要事項として入っており、その条件を充たすために急遽対処されたものだそうです。

 ただし、街中はデコボコ道で石やレンガがゴロゴロ転がっています。
 段差や障害物も多いので、白杖があっても、よほど慣れていないと一人では歩けません。
 実際に、このカイラーシュコロニー駅の改札を出ると、もう障害物競走の世界が展開します。
 目が見えていても、段差はもとより、サイクルリキシャや呼び込みのお兄さんなどを避けながら歩くことになります。

 国際交流基金ニューデリー日本文化センターの最寄り駅となる、メトロのムールチャンド駅の改札を出ると、こんな点字ブロックがあります。

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 これでは、点字ブロックを信じて歩いて行くと、壁に突き当たり、柱にぶつかります。

 盲学校である「ザ・ブラインド・レリーフ・アソシエーション」の校門に行くまでには、次の点字ブロックを頼りに歩くことになります。
 これでは、道の状態をあらかじめ熟知していないと、とても危なくて歩けません。

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 目の見えない方に対する街中での配慮はもとより、学校などでの教育も、まだまだ障害のある方に対しては指導が行き届いていないようです。

 地方ではどうでしょうか。
 今回、アラハバードへ行きました。
 ほとんど手付かず、というのが実状のようでした。

 悠久の時間が流れている、と言われるインドです。
 インドの人々は、時間はかかっても、着実に1歩1歩進んで行かれます。
 気長に、教育と施設の整備を待つことになりそうです。
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2016年02月22日

インドの盲学校で手書き文字についてミッタル先生と議論する

 盲学校へ行こうとしてお寺のロビーに降りると、ちょうど寺沢上人がお着きになったところでした。
 私が「ソーナの温泉に連れて行っていただきました」と挨拶をすると、「そうでしたね、ずいぶん前のことですね」と、相変わらず柔和な笑顔で応えてくださいました。
 お元気で活躍なさっているようです。
 世界の平和を日々実践を通して願っておられる姿を、私は畏敬の念で見上げています。人間の盾となって紛争阻止の行動を起こしておられるお姿は、日本の報道でも紹介されていました。

「【日本の実力】第8部 草の根平和運動B紛争地で平和祈る僧(半沢隆実 共同通信記者)」(2010年8月27日)

 これから私は日本に帰るところです。寺沢上人は明日日本に行かれるそうです。ご一緒できなくて残念です。日本での滞在先をうかがったので、可能であれば日本でもお目にかかりたいと思っています。
 寺沢上人からは、挫けない気持ちを保つ心構えを、ぜひとも伝授していただきたいと願っています。
 慌ただしく外出なさる直前のことながら、一緒に記念撮影に応じてくださいました。
 優しいお気持ちは、上人のお顔に滲み出ています。ありがとうございました。


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 盲学校では、クマール君が待っていてくれました。デリー市内の渋滞に巻き込まれ、私は少し遅れて盲学校に着きました。
 先日お話をうかがったパンディ先生に加えて、仲立ちをしてくださった日本語教育担当のナンディ先生もご一緒です。ナンディ先生は日本人です。クマール君をネルー大学で教えた先生であり、タリク君も教えていたことがわかりました。人と人とのつながりは、不思議な糸で結ばれていることを実感します。

 まず確認したことは、インドでは先天盲の方と後天盲の方の比率です。これは、だいたい半々ではないか、とのことでした。日本では先天盲の方は1割位ではないか、と言われています。つまり、9割方が中途失明であることが、点字習得者は1割だろうといわれる理由でもあります。後天盲の方は、かつて文字が読み書きでき、その文字のイメージがあるので、点字を学習して習得するモチベーションが低いのです。点字が読めたとしても、書くまでには至らないと言われています。
 このインドと日本の先天盲の比率の違いは、今回私が課題として来た問題に大きな影響を与える一つとなりそうな感触を得ました。

 話始めてから、文字の専門家である A.K.ミッタル先生も参加してくださいました。ミッタル先生は最初から目が見えなかった方で、世界盲人連合(World Blind Union)のインド代表という立場の先生です。
 こうして、盲教育を牽引する3人の先生方という、豪華なメンバーで話し合いをすることになりました。(写真は右から、パンディ先生、ナンディ先生、ミッタル先生、私です。)


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 ミッタル先生は、私の説明を聞いてすぐに、それは点字の歴史に逆行するものである、点字ができる前の時代の動きをやろうとしている、と厳しく指摘されました。また、立体コピーについては、本が厚くなるだけなので、実践的ではない、義務教育で使えるだろうか?とも。イメージ全体を理解できるとは思えないからだそうです。
 それでも、中途失明者、後天盲の人には役にたつかもしれない、という理解はいただけました。

 こうした反応には馴れているので、今取り組んでいることは、おっしゃるように100年前の版木に文字を彫ったものの復活ではなくて、最新の技術と機器を活用した道具で、新たにスタートするものであることを説明しました。環境が変わったことを中心にした説明です。

 ミッタル先生から、彫った文字を読むことは失敗だったということを前提にして、点字にまさるものはないという論理が、日本に留まらずインドでも出てきたのには少なからず意外でした。

 この考え方の行き違いについては、私が長々と説明した後で最後には了解していただけました。そのためには、絵や図形の認識の必要性を間に挟むことで、手書きの文字の認識に理解をつなげることを力説したのです。
 日本でも同じ論法で、これまで積み上げてきた点字の功績を否定するものとして理解されることが多いのです。
 そうではなくて、点字で表記できないものや、過去の手書き資料や文書を読むことの意義を強調しました。先天盲の方には文字の姿形がインプットされていないことを前提にした、フォントのイメージを持ってもらう手段を模索していることも伝えました。

 このレベルの話に展開した後、ミッタル先生は4日前に IIT(インド工科大学)で開催されたイメージをテーマとする会議でワークショップをなさった話も、詳細に話してくださいました。目が見えない人に、形をイメージとしてどう活かすかを議論したそうです。
 その流れで、イメージのありかたについても、ミッタル先生とお互いの意見交換をしました。私は、あくまでも、変体仮名のような形をイメージできるようになる教育方法を模索している立場からです。先生は、図形の認識の視点からお話をしてくださいました。この点では、意見は噛み合ったので安心しました。ただし、先生は実践を重視なさるので、簡単な図形を触ることの重要性を強調なさいました。私が言う仮名文字は、先生にとっては複雑すぎるとおっしゃいます。「シェイプ」ということばを頻繁に使って説明してくださいました。この「シェイプ」ということばが、ミッタル先生とお話をする際にはキーワードになるのです。


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 私は、イメージとして図形を認識することについて、あくまでも日本の変体仮名を例にして説明しました。もちろん、地図や彫刻を触る広瀬浩二郎さんの手法も話題にしました。これについては、通訳をしてくださった先生とクマール君の理解に届かないものだったのか、先生の表情からお察しするに、うまく伝わらなかったかもしれません。私の言うことは、サインには使えるだろう、とおっしゃったので、そのように感じました。

 次回、機会があれば、このことについて先生とお話をしたいと思います。きっとわかってくださるという確信は得られましたので。

 その時の私の説明で、例えば、700年前の鎌倉時代に書かれた『源氏物語』の写本を読むためには、点字だけでは対応できないことを伝えようとしました。そこで、変体仮名という手書き文字の図形認識が必要になります。そして、これが現在の日本では可能になっていることを、渡邊さんや尾崎さんとの取り組みを通して、具体例を上げて詳細にお話しました。

 そんなものを目の見えない者が読む必要があるのか、との反論を、ミッタル先生からいただきました。これについては、指で触読する可能性と文化理解の問題である、という観点から説明しました。特に、手書きの文字が読めることは、コミュニケーションの広がりと、書き継がれてきた文字の文化を理解するスタート地点に立つことになります。その、先人によって書き継がれてきたものを触読して継承することは、温故知新の文化理解につながります、と。

 この手書き文字を読む、という展開になったときに、驚くべきインドの事情を知らされました。
 それは今、インドでは、ヒンディー語で使用するテーバナーガリー文字を手で書くことはほとんどない、ということなのです。すべて、印刷された文字である活字として読まれていて、書ける人は少ないそうです。書くとしたら、英語なら、とも。

 日本の書道の例をあげると、わかっていただけました。文字に美を読むからです。文字の美しさを感じることは大切だという点では、お互いに納得しました。しかし、ヒンディー語ではそれは求められていないのでした。
 ただし、ウルドゥー語には、日本で言う書道があるそうです。これは、先日行ったウルドゥー語の祭典の会場で見かけました。あの時は、日本や中国でよく見かける、いろいろな色を使ったグラフィク文字としか見ていなかったからです。ウルドゥー語の新聞がこの装飾的な文字を取り上げていたことと、石版によるリトグラフの話にも発展しました。

 そこから、アルファベットなどの装飾文字としての花文字の話にもなりました。
 ただし、ヒンディー文字に関しては、この文字に美を感じるという説明が通用しない現実を知らされました。
 私が言わんとすることはわかった。納得できた。しかし、今インドでは、手書き文字の読み書きは必要ない社会になっている、地方なら話は別だ、と言われると、私としては絶句するしかない状況に置かれました。衝撃的な内容だったのです。文字を手で書き、さらにそこに美しさを求めるということは、社会的な取り組みも今後ともなされないだろう、とおっしゃいました。

 ヒンディー語の立体コピーも持参していたので、それを触っていただいた時でした。ヒンディー語を触読する意味はない、と断言なさいました。もっとも、古い文献を読む時には役立つかもしれないが、とも。これは、サンスクリット文字のことになります。ヒンディー語で使うテーバナーガリー文字は、音声的な文字です。そのことから、インドでは英語のアルファベットの方が触読の意味はありそうだ、ということになりました。また、触読のテストをしてのデータは集めやすいだろう、とのことです。
 アルファベットのABCを使った立体コピーは用意して来ませんでした。世界的に意味があるのであれば、今秋インドに来る時に持ってくることにしましょう。

 また、日本点字図書館の理事長である田中徹二先生が、今回持参した古写本『源氏物語 須磨』の数文字を、北海道でお目にかかった時に触読なさったことをお話すると、私の説明を聞く姿勢が心なしか変わったように思えました。それは、ミッタル先生が田中先生をご存知だったからです。

 この変体仮名というイメージを、最初から目が見えない私などにどう植え付けようと考えているのか、という質問になりました。これは、理解を示してくださったからこその質問です。私は、今、書写という文字をなぞる練習をする中で可能だと思っていることをお伝えしました。左手で立体コピーを触読し、右手には「ゆび筆」という物をはめて同じ文字を書くことで、イメージとして文字を覚えることができるようになるはずだ、と説明したのです。すると、筆とはどんな物かと聞かれたので、これはパンディ先生とナンディ先生が詳しく説明してくださいました。

 また、名古屋工業大学の森川慧一君が開発したタッチパネルを触って、古写本に書かれている文字を音として聞き、説明も聞けるシステムの話もしました。すると、さらに耳をそばだてて質問が続きました。一通り説明してから、今秋またデリーに来るので、その時に開発したタッチパネルを持参する約束をしました。これはおもしろくなりました。もっと話を聞いてくださることになったのですから。
 とにかく、音でサポートすることに関しては、共通理解を得られることになりました。ヒンディー語では、この音を使った支援は重要だと痛感しました。もっとも、このタッチパネルで文字の説明をする時には、英語でしてくれ、との注文を受けました。これは大変な課題です。

 さらに、ヒンディー語ではコンピュータで文字を読み取ってテキストにするOCR技術は、まだ対応できていない文字があるので課題が残っているそうです。この点も、目が見えない方にとっては問題点として残っているようです。

 とにかく、パンディ先生、ナンディ先生、クマール君に代わる代わる通訳していただいたこともあり、ミッタル先生に私がやっていることとその考え方が、どの程度伝わったのかよくわかりません。
 しかし、日本から目が不自由な方々のことでインドを訪問したことに感謝のことばをいただきました。これまでになかったことだから、と。
 このお礼のことばを聞いて、こちらの考えがおおよそ伝わったことを感じました。
 そして私からは、こちらこそ、ざっくばらんな話ができたことに、感謝の気持ちを伝えました。

 今あの時間を思い出そうとしても、なかなか再構成できません。必死になって対応したからでしょう。しかし、お互いに前向きに理解しあえたことは確かです。

 インドを代表する世界盲人連合(World Blind Union)のメンバーであるミッタル先生と、お話から議論へと展開する機会を得て、この問題ではずぶの素人ながらも現在推進していることをお伝えできたことは幸いでした。突然に設定された話し合いの場だったのですから。
 ミッタル先生にとっても新鮮だったようです。この若造(?)が、と思いながら対応してくださったことでしょう。しかし、今取り組んでいることを具体的に示せる私にとって、怖じ気づくことなく先生に真っ正面から体当たりしたつもりです。インドにとって大きな存在の先生なので、私などが遠慮することはかえって失礼です。知らないことの強み、と言えるかもしれません。

 日本に帰った直後でもあり、通信事情が悪かったインドでは調べる余裕もなかったので、「世界盲人連合」について、「ウィキペディア」で調べてみました。以下のような組織だったのです。まだ記述が始まったばかりのようです。今後、この項目もさらに詳細になっていくことでしょう。関係者のみなさま、この項目の充実も忘れずに進めてください。


世界盲人連合(World Blind Union)は、盲人の権利を守る目的で1984年に国際盲人連盟(International Federation of the Blind)と世界盲人福祉協議会(World Council for Welfare of the Blind)が提唱してサウジアラビアのリヤドでの設立総会で合併して設立された世界盲人運動団体である。4年ごとに役員改選が行われ、理事会が開催される。現在、約170カ国の全国盲人団体が加盟しており、アフリカ、アジア、アジア太平洋、ヨーロッパ、南アメリカ、北アメリカ・カリブ海に地域事務局が置かれている。
運動団体として世界各国で点字を使う盲人の権利を推進している。会議言語として英語の音声と英語の点字を使うこととなっている。
日本からは日本盲人福祉委員会が設立当初から加盟している。


 ミッタル先生に対しては、話の展開の中では、大変失礼なことも申し上げたかと思います。しかし、終始話を真剣に聴き入ってくださっている表情から、すれすれの所で許してくださっていたからこそ、上記のような話の展開になったかと思います。先生が私にくださったご批判は、今後の活動の中で活かしていくつもりです。
 今後ともよきアドバイスを、どうかよろしくお願いいたします。
 今秋、11月にまたお目にかかれたら幸いです。
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2016年02月18日

デリーの盲学校で立体コピーに挑戦してもらう

 国際交流基金からオートリキシャを飛ばし、オベロイホテルの近くにある盲学校「ザ・ブラインド・レリーフ・アソシエーション」を訪問しました。

 この学校については、インドに来てから得られた幸運な情報によって、偶然に訪問が実現したものです。

 インドに来る前から、視覚障害者の施設について、知り合いに問い合わせていました。しかし、何も情報が得られないままに来ることとなり、今回は諦めていたことです。

 それが、デリー日本人会の大野さんを紹介していただき、そこから盲学校で日本語ボランティアとして先生をしておられるナンディさんに電話をし、さらにザ・ブラインド・レリーフ・アソシエーションのCEOをなさっているカイラシ・チャンドラ・パンディ先生へと、芋づる式に電話をリレーして面談に漕ぎ着けたのです。まさに、奇跡とでも言うしかない、連係プレーのなせる技だったのです。

 学校の入り口で、白杖を持った生徒さんが下校されるところに出くわしました。


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 狭い舗道なのに、慣れた手つきで白杖を使って歩いて行かれます。ここに敷かれた点字ブロックが理解できない敷設となっていることは、また後日、デリーの障害者対策としてまとめる予定です。

 パンディ先生は、少し遅くなった私と村上さんを、わざわざ外に出て待っていてくださいました。ありがたいことです。
 パンディ先生は1961年から日本大使館に勤務しておられ、その後ここにお出でになった方です。流暢な日本語を話されます。

 グラウンドでは、生徒達がクリケットを楽しんでいました。インドでは、野球ではなくてクリケットが国民的なスポーツなのです。見えないことが信じられないほど、早い球を遠くまで飛ばしていました。


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 柔道着を着た生徒や、競歩のように歩く3人連れなど、みんな寮から出てきて運動をしていました。

 パンディ先生とはあいさつもそこそこに、学校の中を詳しく説明していただきました。まずは、トレーニングセンターの中から。


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 最初の部屋では、コンピュータの習得を目指して、キーボードに向かうみなさんの様子を拝見しました。写真は自由に撮影させていただき、私のブログでも紹介していいとのお許しをいただきました。ブログで紹介する場合など、文字よりも写真の方が理解と共感が得やすいのは確かです。

 入ってすぐのコンピュータの前では、キー入力の基礎を若い先生の指導のもとに必死に覚えようとする少女がいました。


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 一番奥には、消えたモニタの前で、スピーカーの音を頼りにキーを叩く生徒がいます。


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 全盲の彼女にとって、モニタは何の役にもたたず、スピーカーから流れる音声だけが、入力した文字や書かれた文字の確認に必要不可欠な情報源なのです。この、真っ黒いモニタの前に座ってキーを無心に叩いている姿には、いろいろな思いが私の心の中に去来します。

 私が基盤むき出しのコンピュータであるマイコンキット「NEC〈TK-80〉」に触ったのは1980年なので、今から36年前になります。その頃は、モニタはまだなくて、電卓のように数字だけが表示されるセグメントが8個ならんでいるものがありました。コンピュータに入出力した情報を小さな窓で確認するのです。それでも、8個の数字を見ながらの操作でした。
 この目の前の少女は、何も見えない中で、墨字か点字を思い浮かべて文字列をイメージしているのです。瞑想という言葉を思い出しました。

 その手前では、ヒンディー語を入力するために、テーバナーガリー文字を扱っているところでした。複雑な文字の構成を、彼も音を頼りにして考えながらキーを叩いています。


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 後ろのテーブルには、点字ライターが数台あります。


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 これについては、19日に再訪することになっているので、その折にうかがうつもりです。

 録音室も完備していました。


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 学生たちが授業を受けたりする教室は、机の形が日本と違います。


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 一通り案内していただいた後は、パンディ先生のCEO室で、勉強の終わった生徒に来てもらい、立体文字を読む体験をしました。
 みんな、行儀良く挨拶をして入ってきます。躾が徹底しているようです。

 まず、ヒンディー語とひらがなの立体コピー文字にチャレンジしてくれたのは、18歳で高校1年生(10年級)のシュエーブアリー君です。パンディ先生に励まされながら、真剣勝負の触読です。


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 彼は先天盲です。しかし、ほんの少しだけ、夕方には見えていたそうです。母と兄が黒板に書いてくれた文字を見た記憶があるとのこと。
 ヒンディー語の点字で書かれた、ガンディーの「金の鉛筆のかけら」という文章を、目の前でスラスラと読んでくれました。確かに点字は自由自在に読めることがわかります。しかし、ヒンディー文字は学んでいないので、私が持参した立体コピーを触っても、ヒンディー文字の字形はわからないそうです。お父さんが木工細工で文字を作ってくれたので、英語のアルファベットなら自信があるようです。
 木工細工ということばを聞いて、今、科研運用補助員の関口祐未さんが作成中の厚紙凸字のひらがなをとり出して、それを触ってもらいました。


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 この日は、このひらがなについての感想は聞けませんでした。しかし、日本語検定試験のために、ひらがなを音として点字で勉強しているそうです。今後はひらがなの字形を覚えてみることも、日本語学習には効果的なものとなる可能性があります。
 外国語としてのひらがなの字形を習得する方法として、立体コピーや厚紙凸字を活用した研究を、さらに続けていきたいと思います。
 触読による文字認識の可能性が、今回の盲学校訪問で広がったようです。
 また、次回はアルファベットの立体コピーでの実験をしてみましょう。

 シュエーブアリー君は、鎌倉時代に書写されたハーバード本「須磨」の冒頭部分の触読にも果敢にチャレンジしてくれました。


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 今のところ彼は、ひらがなについては音だけでの習得に留まっています。それには、ローマ字を使った勉強のようです。
 この墨で書かれた変体仮名については、その多彩な字形を覚えるところから始まるので、彼にふさわしい教育方法を考えてみたいと思います。

 もう一人、昨夏日本に行ったという、サミエル・カーン君も挑戦してくれました。
 彼は17歳で、全盲ではなくて少しだけ見えるようです。彼も、英語の立体コピーなら読めると言い切りました。昨夏より日本語にも興味を持ち、以来勉強を始めたところです。今回試みたヒンディー語とひらがなの触読は、村上さんが少し介助をしたのですが、まったく読めませんでした。


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 彼も、これからに期待しましょう。
 今回は、突然のことでもあり、持参した立体コピーではシュエーブアリー君が数字の「2」だけを読みました。これは、世界共通なので当たり前のことです。しかし、触読できた、ということは、これからの展開の可能性を見せてくれた、ということでもあります。

 この盲学校については、『ノーマライゼーション』(2015年4月号)の巻頭に、「チャレンジ 将来を担って点字で日本語も習得」という写真を多用した記事で、詳しく紹介されています。パンディ先生も登場しておられます。
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2016年02月14日

ウルドゥ語の祭典のオープニングイベントに参加

 12日から14日まで開催されている「ウルドゥー語の祭典」「Jashn-e Rekhta」の会場は、Indira Gandhi National Centre for the Arts, Delhiです。

 あらかじめウエブで参加登録をしており、メールで情報はもらっていたので、スムーズに入ることができました。すべて、村上さんのおかげなのですが。


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 本のブースで、コーランをなぞると読み上げてくれるペンを見つけました。「デジタルペン コーラン」というものです。


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 これは、昨夏に本ブログで紹介した「しゃべるペン(音筆)で絵本の中の漢字と遊ぶ」(2015年08月25日)と同じ仕組みのようです。
 ボタンで言語の切り替えができます。ペンはドバイ製で、値段は1万円弱でした。

 サヒタヤアカデミーは何も並べていないので残念でした。
 オープニングの日なので、明日からの本番で展示なさるのでしょう。


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 一緒に行った村上さんが持っていた特別招待券の効果があり、メインイベントの会場では前の方のエリアの良い席に座れました。
 会場の一番後ろから舞台を見ました。用意された椅子は2500です。その周りに多くの方が立って見ておられたので、3000人は集っておられたと思われます。


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 開会にあたってのウルドゥ語のスピーチを聞いていて、まったくわからないながらも、柔らかい音で優しい感じのする言葉だと思いました。ただし、男性の方が滑らかで、女性の発音はややきついと思われる抑揚が気になりました。これは、スピーカーの個性なのでしょうが。

 この日の朗読は、村上さんが『想い出の小路』として日本語訳を出版している原本をもとにしたものです。


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 仲間が日本語に翻訳した原本が舞台で読まれているので、男性と女性が交互に朗読されるのを聞く方も、格別の思いで聴き入りました。


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 登壇の朗読者は、インドでは本格的な女優として有名なシャバーナー・アーズミーさん、男性の詩人がジャーヴェード・アフタルさんです。ジャーヴェードさんが作品の父親役を、シャバーナーさんが娘役をなさっていました。これ以上にない、特別に豪華な配役とのことです。そのせいもあって、こんなに人が集まるのです。

 舞台の右手前には、学問の神様へお祈りする聖なる火が灯されています。
 これは、かつてサヒタヤアカデミーで開催した「第1回 インド国際日本文学研究集会」(2004年10月29日)でも会場に置かれており、私も蝋燭を献灯させていただきました。下の写真右端が当時の在インド日本国大使の榎泰邦氏、その左横にS.B.バルマ博士、そしてその後ろに私、左下がアニタ・カンナ先生です。

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 この日のメインとなる朗読劇は、言葉はわからなくても、その音の流れと強弱がリズミカルで、楽しく聞くことができました。朗読の合間に演奏される音楽も程よいコラボレーションとなっていました。有名な曲が流れると、会場が大いに湧きます。映画音楽は、みなさん良くご存じなのです。


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 交互に二人が語りあい、佳境に入ったのか会場は沸きに沸きました。
 みなさん、話の内容をよくご存じの方が多いようです。笑いあり拍手ありの、言葉と音楽の総合劇です。後半の笑いの渦は一転して静かになりました。
 朗読がこんなに人々の心をつかむことに感動しました。

 終盤に、舞台の上に三日月が顔を出しました。


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 演者のみなさんが総出で並ばれると、観客の人々がどっと前に押し寄せて来られました。


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 女優のシャバーナー・アーズミーさんと村上さんは出版時にやりとりがあり、今回もメールを交換していたそうです。そして、舞台上で2人が大勢の人垣の中で挨拶する場面を撮影することができました。写真右端に、村上さんが刊行した青色の表紙の本が見えます。


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 ジャーヴェードさんの人気は絶大で、日本で言えば吉永小百合に相当するとおっしゃる方もいらっしゃいました。

 この後、村上さんにとって願ってもない僥倖と言える、奇跡的な展開があります。しかし、そのことは今は置いておきましょう。

 6時半に始まったイベントも、9時を過ぎるとお腹も空きました。
 会場には屋台がたくさん出ていました。


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 私はビリヤニとマトンのハンバーグをいただきました。しかし、辛くてほとんど食べることができませんでした。日頃はインドでも香辛料の少ない食事をしているので、こんな時には口にするものがありません。


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 途中で食料を仕入れてから、宿に帰りました。
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2016年02月03日

「きずなづくり大賞 2015」受賞の関場理華さんと「百星の会」

 「点字付き百人一首〜百星の会」の事務局を運営なさっている関場理華さんから、正月23日に、非常に嬉しい知らせが届きました。

 精力的に続けておられる「点字付き百人一首」の活動が、東京都社会福祉協議会の「きづなづくり大賞 2015」の中でももっとも輝かしい「都知事賞」を受賞した、とのことです。

 関場さんとは、昨夏8月末の暑い日に、京都嵯峨野で初めてお目にかかりました。その時のことは、「京洛逍遥(375)嵯峨野で「点字付百人一首」を楽しんだ後は時雨殿へ」(2015年08月31日)に書いた通りです。

 昨年11月には、東京駅構内の一角で長時間にわたって打ち合わせをしました。それは、12月6日(日)に東京・護国寺の筑波大学附属視覚特別支援学校で開催される「科学へジャンプ! イン東京」というイベントで、「五感を使って感じられる百人一首」というワークショップを関場さんがなさることに協力することになり、その詳細を話し合うものでした。
「五感を使って江戸時代の百人一首カルタにチャレンジ」(2015年11月23日)

 関場さんが書かれた文章「かるたを通したコミュニケーション」が掲載された雑誌の紹介も、「視覚障害をテーマとする3本の記事の紹介」(2015年12月02日)の中でしました。

 そして、筑波大学附属視覚特別支援学校で開催されたイベントの日に、関場さんのお手伝いをさせていただいたことは、「体験型学習会で点字付百人一首のお手伝い」(2015年12月06日)で報告した通りです。

 この3度のお付き合いだけでも、関場さんの誠意と情熱を肌身に感じ取ることができました。ありがたい、嬉しい出会いでした。

 そこへ、今回の受賞です。わが事のように嬉しくてなりません。

 関場さんから受賞の知らせを教えていただき、すぐにネットでその詳細を確認しようとしました。しかし、関場さんの名前が見あたりません。
 「2015 きずなづくり大賞」のホームページを見ても、いつまでたっても昨年の情報のままです。
 主催団体である「東京都社会福祉協議会」のホームページにも、この件での情報はアップされていません。

 公式発表が遅れている中で、関場さんは取る物も取り敢えず、いち早く私に朗報を知らせてくださったのだろうと思いました。そこで、関場さんのお気持ちを、私のフライングで迷惑をかけないようにしようと思いました。主催団体のホームページから正式に発表を待って、その確認をしてからこのブログで取り上げ、関場さんへのお祝いにかえよう、と思い留まったのです。

 ところが、待てど暮らせど、主催団体のホームページから公表がなされません。
 2月になったのを機に、もうどこかに公表されているだろうと思い、それこそ八方手を尽くしてネットを探しました。
 上記の「2015 きずなづくり大賞」のホームページは昨年のままであることは今も変わりません。
 そんな中で、「東京ボランティア・市民活動センター」のニュースの中に、「きずなづくり入選作決定 きずなづくり大賞2015入選作決定」という文字を見つけました。やっと受賞の報告にたどり着けたのです。
 そこには、「きずなづくり大賞2015 入選作が決まりました」とあります。
 この記事を、この10日ほど毎日探していたのです。
 もっとも、そのタイトルの下には、



■東京都知事賞
「点字の向こうに笑顔が見える」関根 理華さん

とあります。
 何と、「関場 理華さん」ではなくて「関根 理華さん」となっているのです。
 名前を間違って公表なさっているのです。いろいろとネットで「関場」さんを検索しても、見つからないはずです。
 この記事のタイムスタンプは、「2016-01-23; TVAC」となっているので、関場さんが私に受賞の知らせを届けてくださった、まさにその日なのです。

 へたに気を回さずに、関場さんから教えていただいてすぐに、本ブログでこの記事を書けばよかったのです。
 実に10日間、毎日探し回っていたことは徒労だったのです。しかし、おめでたいことなので、それはそれ、ということにしましょう。
 なお、上記「2015 きずなづくり大賞」のホームページの「※入賞作品が発表になりました。こちらをご覧ください。(2015年1月29日)」とある項目をクリックしても、これはいまだに「きずなづくり大賞'14 入賞作品」という、昨年の受賞報告に行くだけです。

 「2015 きずなづくり大賞」のホームページを担当なさっている方にお願いです。リンクを今年の授賞作品にたどり着けるようにしていただけませんか。
 よろしくお願いします。続きを読む
posted by genjiito at 23:54| Comment(0) | 視聴覚障害

2016年01月28日

点字による変体仮名版の翻字は可能か(4/from 渡邊)

 福島県立盲学校の渡邊寛子さんから、目が見えない方がどのようにして変体仮名を使いこなしておられるのかがよくわかる、貴重な報告をいただきました。
 これは、今後とも変体仮名を点字で翻字する上で、参考になる情報なので、ここに紹介します。

 なお、渡邊さんからいただいた文章中の用例に、変体仮名の字母を【 】付きで添えていることをお断わりしておきます。


点字の翻字ですが、
今まで私は、いただいた立体コピーはすべて翻字データをパソコンで聴きながら点訳して紙で持ち歩き、一緒に触って確認しておりました。
ですから、変体仮名は当たり前のように、ひらがなの字母の「以」でなければ、
 
  い(いとうのい)【伊】
  い(いどのい)【井】
 
のようにつけていました。
他には、
 
  に(なんじのぞくじ)【尓】
  ま(よろづ)【万】
  ま(まんいんのまん)【満】
  み(数符3)【三】
  は(数符8)【八】
  な(なは)【那】
  し(こころざし)【志】
  し(あたらしい)【新】
  す(ことぶき)【寿】
  す(はる)【春】
 
かさばりますが、それが私にとってわかりやすいので、音声読み上げの音訓を短くしたような、耳慣れたメモを作っております。


 今後とも、変体仮名を点字で表記する上で、この渡邊さんの事例は大いに参考にしたいと思います。
 さらなる検討を進めていきます。
 思いつきで結構です。
 さまざまな立場や角度からのご教示を、よろしくお願いします。
posted by genjiito at 12:32| Comment(0) | 視聴覚障害

2016年01月26日

点字による変体仮名版の翻字は可能か(3/伊藤 to 中野)

 昨日の本ブログで取り上げた通り、早速、中野さんから返信をいただきました。
 今回この標題に関する問題を検討する上で、まずは前提となる「源氏物語写本を日本語点字に翻字する意義と目的」に関する確認が、中野さんからの文章に記されていました。

 おおよそ、以下のことが中野さんから提示されています。

(1)点字翻字は、墨字で写本を現行の活字に翻字するときにも共通する問題でもある。
(2)写本に書き留められている情報をどれだけ再現するのか。
(3)源氏物語の点字翻字は、どのような研究に、どのような方法で使われることを想定しているのか。
(4)写本の翻字を「自動音声読み上げにより耳で聞いて読む」という利用方法があること。
(5)変体仮名がユニコードに対応したとき、視読以外の方法でデジタルテキストを利用している人々のことをどれだけ想定しているのか。

 自分の問題意識を整理するためにも、上記5項目を順番に、私なりの当座の私見を記しておきます。
 
(1)点字翻字は、墨字で写本を現行の活字に翻字するときにも共通する問題でもある。

 これは、従来のように、書写された文字を現行のひらがなに置き換えた、便宜的で不正確な翻字の場合に顕現することです。
 従来の翻字は、写本に「なつろ」と書かれていても、「なつろ」としてきました。字母である「古」が変体仮名であることから、明治33年に統制された一文字のひらがなの「こ」に置き換えていたのです。この翻字方法は、研究的な視点から言っても、いかに非学問的な対処であり続けていたのかは、あらためて言うまでもありません。
 これに対して、私は元の写本に戻れない翻字は後世に伝えるべきではない、との立場から、「変体仮名翻字版」という翻字方式を昨年正月より提唱しています。その成果が、『国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」』(伊藤鉄也・阿部江美子・淺川槙子 編著、新典社、2015年10月)として結実しています。
 今、写本に書写された文字を翻字する際に、現行の50音に配列されたひらがなは、問題なく点字で表記できます。問題は、変体仮名である「古」を点字でどう表記するか、ということです。
 この「古」などの変体仮名を点字で表記する際のルールを、新たに考えるか、代替的な処置を考案する必要に迫られています。

 
(2)写本に書き留められている情報をどれだけ再現するのか。

 これは、上記の問題の根底にあるものです。
 点字によって「変体仮名版」の再現をすることは、資料を正確に翻字することの原点にあたるものです。目が見えない方々にも、基礎資料として正確なものは必要です。これは、研究という視点で資料を考えた時に、目が見える見えないで区別することなく、等しく基本的な資料は整備しておくことが、ものごとの始発点になると思います。
 そのような厳密な資料は必要がない、ということではなく、あくまでも日本の文化の中で培われ、書き写されることで伝承してきた写本を、まずは正確に翻字したいものです。その次に、一般的な用途に向けての、簡略版とでもいえる現行のひらがなによる翻字方針のものがあってもいいでしょう。現在の翻字資料は、あくまでも暫定的なひらがな一文字政策の縛りの中で、禁欲的になされたものなのです。
 まずは、正確な本文の再現を目指す上で必要な、新たな表記文字としての変体仮名を表現できる点字を考えるべきではないか、と思います。それが6点で実現するのか、8点で構成するものとするのかは、今私は判断基準も私案も持っていません。これは、ご教示を受けながら可能性を求めて考えたいと思います。ここに記していることは、当座の意見であることを強調しておきます。
 とにかく、明治33年のひらがな一文字という統制政策の呪縛から、少なくとも翻字という作業では開放されるべきです。いつまでも、不正確な50音のひらがなによる翻字でごまかしていてはいけません。

 
(3)源氏物語の点字翻字は、どのような研究に、どのような方法で使われることを想定しているのか。

 いろいろなケースが想定されます。今思いつく、一例をあげます。
 私は、現在提唱している「変体仮名翻字版」による点字翻字は、今に伝わる『源氏物語』の写本に写されている本文の違いを表記文字レベルで知り、日本人が書写してきた実態と実相を確認して考えながら、平安時代に書かれていたと思われる文章に想いを馳せる手掛かりになれば、と思っています。
 写本の中での変体仮名の使われ方は、まだその実態が解明されていません。「あ」として使っているひらがなについて言えば、今の「あ」の字母「安」と異なる「阿」という変体仮名は、一体どのような場合に使われる傾向があったのか、などなど、多くの未解決の課題を解決することにつながっていくものと予想しています。
 その点では、想像力豊かな方々の文字に対する感覚を啓発する意味からも、「変体仮名翻字版」による翻字は、今後ともより一層、本文研究には必要不可欠なものとなるはずです。その分野に目の不自由な方々が、ぜひとも変体仮名を表記できる点字を駆使して研究に参加してほしいと願っています。

 
(4)写本の翻字を「自動音声読み上げにより耳で聞いて読む」という利用方法があること。

 これは、翻字の校正などの確認作業には、どうしても導入したいものです。そして、さまざまな形で伝わる異本や異文の違いを考える上で、この本文を読み上げることによる聞き分けという行程の導入は、有効な研究手段となることでしょう。見えないことによる聞く力の鋭敏さを、大いに活用していただきたいものです。

 
(5)変体仮名がユニコードに対応したとき、視読以外の方法でデジタルテキストを利用している人々のことをどれだけ想定しているのか。

 ここで中野さんは、次のように具体的な問題を提示されました。

「か」の変体仮名として「加」「可」「閑」「我」「家」などいくつか想定できるとおもいますが、これは自動読み上げのときは「か」なのか、それとも「変体仮名であり、字母は何である」などの情報も付与されるのか、などということが検討されているのでしょうか。

 これについて、今私に腹案はありません。
 おそらく、説明的な仮名文字の説明になるのではないか、と漠然と思っています。
 根拠はありませんが。

 
 以上、中野さんの第1信への、私なりの現在思い描ける限りの回答です。
 こうした遣り取りを続ける中で、少しでも実現性の高い、可能性のある解決策を見つけていきたいと思っています。
posted by genjiito at 00:02| Comment(0) | 視聴覚障害

2016年01月25日

点字による変体仮名版の翻字は可能か(2/from 中野)

 先週、次の記事を本ブログに掲載しました。

「点字による変体仮名版の翻字は可能か(1/伊藤 to 中野)」(2016年01月21日)

 これは、中野真樹さんの論文「日本語点字による写本翻字作成のための表記論」に触発されて、思いつくままに書いたものです。

 これに対して、中野さんから以下の返信をいただきました。
 このテーマについては、まだほとんど討議や検討がなされていないかと思います。
 中野さんとのやりとりを公開し、問題点の所在とその対処策が明確になれば、得るものの多い意見交換になるのでは、との思いから、今後とも折々に取り上げます。

 この意見交換の場を、科研のホームページ「古写本『源氏物語』の触読研究」に開設したいと思っています。
 しかし、その用意がまだ整っていないので、しばらくはこのブログに連載として掲載します。

 このテーマに関して、さまざまな立場からのご意見などをお寄せいただけると幸いです。
 
----- 以下、中野さんからの返信(1) -----


写本を点字に翻字する際の問題点について的確に整理していただきまして、ありがとうございました。

まずはじめに、確認しておきたいのは、「源氏物語写本を日本語点字に翻字する意義と目的」です。
ここであげられている問題点については、墨字で写本を現行の活字に翻字するときにも一部共通する部分があるのではないでしょうか。
変体仮名をどうするか、ミセケチなどをどのように処理するのか、漢字は現行の字体にするのか、写本にある情報をどれだけ再現するのか。
どの分野・どの研究者にとっても完璧な翻字方法などというものはなく、研究目的や方法によって、必要な情報はかわってくるのではないかとおもいます。
源氏物語の点字翻字は、どのような研究に、どのような方法でつかわれることを想定しているのかを確認することで、「どのような点字翻字を目指すべきか、またそのために解決しなければいけない問題点はなにか」が明確になるのではないかと思います。

次に、これと関連するのですが、写本の翻字は近年は紙媒体だけではなく、デジタルテキストとしてインターネット上などで公開されることも多くなっております。
この場合、翻字された文字を視読する以外に、「耳で聞いて読む」という利用方法が考えられるかとおもいます。
「自動音声読み上げにより源氏物語本文をよむ」という利用方法をしている人たちを想定する必要があるかとおもいます。
つまり、変体仮名がユニコードに対応されるというときに、視読以外の方法でデジタルテキストを利用している人々のことを、どれだけ想定しているのか。ということがとても気になっていました。
つまり「か」の変体仮名として「加」「可」「閑」「我」「家」などいくつか想定できるとおもいますが、これは自動読み上げのときは「か」なのか、それとも「変体仮名であり、字母は何である」などの情報も付与されるのか、などということが検討されているのでしょうか。
それともユニコードの変体仮名セットは、視読者の利用のみ、想定していればよいのでしょうか。

皆様のご意見をいただければ幸いです。

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〈この意見交換は、明日の「点字による変体仮名版の翻字は可能か(3/伊藤 to 中野)」へ続く〉
posted by genjiito at 23:43| Comment(0) | 視聴覚障害

2016年01月24日

駅のホーム等で点字表示が改善されています

 以前、駅のホーム等の点字表示が、目の不自由な方のことを考えていない点を取り上げました。

 「バリアフリーやユニバーサルデザインから学ぶこと」(2014年11月28日)

 外を歩くたびに、折々に、こうしたバリアフリーのことが気になります。
 気持ちの持ちようで、街を歩いていてもいろいろと感じるものがあります。

 目が見えない方にとって、これは苦労を強いられるだろうな、とか、耳が聞こえないと途方にくれることになるのでは、などなど。

 目が見える者だけで構築されている社会のありようが、視点を変えるとまったく違って見えるようになったのです。
 そこから、手足の不自由な方についても、耳が聞こえない方についても、同じように外出することの困難さに思いを致すことができるようになりました。

 そうした中で、JR有楽町駅のホームに新たに取り付けられた転落防止のためのセーフティーガードには、垂直面ではなく、傾斜した上面に点字表示がなされているのを見かけました。
 しかも、ドアが開く左右の傾斜面に貼られているのです。
 以前、上記ブログで紹介した写真にある左側の垂直面から、大きく進歩しました。


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 また、昨日はJR平塚駅のトイレの入口で、絶妙な角度で触読できる案内図付きの柱を見かけました。触読する時の手首の角度が考えられているのです。
 しかも、それが置かれているのが、トイレの入口で心憎い場所に建っているのです。いろいろと考えられた結果なのでしょう。


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 今、これが私に役立つものではありません。
 しかし、こうした配慮が感じられるものが少しずつ増えていくことは、なぜか理屈なしに嬉しいものです。

 配慮に欠けると思われる、いわゆる不備ばかりを指摘することに心苦しさを感じていました。
 それが、こうして、困っておられる方々に寄り添うようなポジションやデザインの工夫がなされている風潮を感じだすと、いい傾向だなと少しだけでも気持ちが明るくなります。

 これまで以上に気持ちの良い生活環境を作っていくことに、今私は何も協力できていません。しかし、気づいたことをこうしてブログに書くことで、一緒に社会参加し、協力しているような気持ちになっています。

 何もしないで自己満足に過ぎないものだ、と一蹴しないでください。
 いろいろな方へのまなざしが感じ取れるようになっただけでも、自分としては少し成長したな、と思っているところです。
 街には、こんなふうに変化のきざしがありますよ、と書くことが、これも社会参加の一つにつながるものだ、と思えるようになりました。
posted by genjiito at 21:41| Comment(0) | 視聴覚障害

2016年01月21日

点字による変体仮名版の翻字は可能か(1/伊藤 to 中野)

 現在、電子版『触読研究ジャーナル』の創刊号発刊の準備を進めています。
 来月には、科研のホームページ「古写本『源氏物語』の触読研究」に、電子ジャーナルとして公開し、ダウンロードしてもらえるようにします。

 その巻頭を飾る中野真樹さんの論文「日本語点字による写本翻字作成のための表記論」は、いろいろなことを考えさせてもらえる刺激的な内容です。
 ジャーナルの刊行を楽しみにお待ちください。

 そのゲラを拝読しながら、歴博本「鈴虫」を点字で翻字することにチャレンジしたいと思うようになりました。

 現在、私は変体仮名の字母を取り込んだ翻字を進めています。
 昨秋刊行した『国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」』(伊藤鉄也・阿部江美子・淺川槙子 編著、新典社、2015年10月)の翻字を例にして示しましょう。
 次の翻字は、歴博本「鈴虫」の冒頭部分一行目です。


【従来の翻字】
なつころ・はちすの・はな・さかりに・入道
 
【変体仮名版】
なつろ・ちすの・者那・さ可里に・【入道】


 この変体仮名版を点字翻字するとどうなるか、ということを考え出したのです。

 明治33年に一文字に統制された現行のひらがなは、今の点字に対応しているので問題はありません。「ゐ」も「ゑ」も大丈夫です。
 問題となるのは、上記の翻字例で赤字で示した変体仮名を、点字でどう表記するか、ということです。

 日本語点字で写本の翻字本文を、それも変体仮名を交えた翻字本文を作成しようということなので、そこには底知れぬ大きな問題が横たわっていそうです。

 そうです、と言えるのは、まだ私が日本語点字をよく理解していないからです。
 不勉強であることを認めつつ、そうであるからこそ新たな扉が開く、ということもあるかと思い、そこに期待する部分も多分にあります。
 それはともかく、変体仮名の文字セット(約300字弱)がユニコードに対応することがほぼ確実な今、この問題は避けて通れないはずです。

 目の見える方のために作成された墨字の翻字とは異なり、点字の翻字には仮名遣いや文字遣い固有の問題があるはずです。
 それが、原文に忠実な変体仮名を交えたものにするとなると、前例がないだけにさまざまな解決すべき課題が噴出することでしょう。

 今は、変体仮名を2年後のユニコードに対応させることが、喫緊の課題だと思います。そのためには、古写本に書写された文字に忠実な翻字を点字で試みる、という具体的な問題を解決する中で、問題点の洗い直しと、その解決策を考えていくことが急務だと思い、ここにこうして急遽駄文を承知で綴ることにしたのです。

 歴史的仮名遣いと点字仮名遣いについては、古写本に忠実な翻字を目指す点においては、原文通りの表記で問題はありません。
 大きな問題は、変体仮名をどう表記するかということに加えて、踊り字、ミセケチ、補入、ナゾリ、傍記などをどうするか、ということです。つまり、写本の再現性の問題です。
 従来の翻字のように、原本に戻れない翻字では、将来に伝え残せないので意味がありません。この新たな点字翻字では、原本に忠実なものにしたいものです。

 また、「御」「給」「入道」などの漢字をどう扱うか、ということもあります。
 これには、8点式の漢字点と、6点式の6点漢字の導入が考えられます。
 しかし、ただでさえ変体仮名によって文字種が増える上に、そこに点字漢字を加えることは、翻字者や学習者に負担を強いるばかりです。

 これについては、立体コピーによる浮き出し文字で、点字が表現できないところを補うことも可能かもしれません。
 ただし、こうなると写本という対象と、それを翻字する文字や図形と、さらには誰が誰のために、という利活用者の問題が錯綜してきます。

 いずれにしても、こうした問題に興味と関心のある方々と一緒に、解決の手だてを得るための情報交換を始めたいと思います。
 とにかく、変体仮名がユニコードとして国際文字規格に公認される前に、以上の点は解決しておかなければなりません。『源氏物語』の「変体仮名翻字版」でデータベース化を進めている立場から、このことを痛感しているところです。
 意見交換の場を、科研のホームページ「古写本『源氏物語』の触読研究」に開設したいと思います。

 準備が整い次第に本ブログでご案内しますので、自由な意見をお寄せください。
 ああでもない、こうでもない、と言い合っているうちに、解決の糸口が見つかり、妙案が飛び出し、雲を摑むような話が具体化して実現する、という流れを夢想しているところです。

 以上、とりとめもない話ながらも、本記事を今後の「点字翻字変体仮名版」のための「ことあげ」とします。
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2015年11月10日

理科系の先生方に古写本の触読研究の現状についてお話する

 愛知県岡崎市にある東岡崎駅前は、曇天ということもあり木々の発色はこれからという感じです。


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 総合研究大学院大学の研究プロジェクト第10回企画会議に参加しました。
 学融合推進センターでは、異分野連繋型の課題の創出を目指して取り組み中です。

 今回の会場は、東岡崎駅からすぐのところにある、自然科学研究機構 分子科学研究所でした。


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 以下に、プログラムをあげます。


・開催挨拶
  総合研究大学院大学 学長 岡田泰伸
・参加者による自己紹介
・「電子スピン共鳴(ESR)で何が分かるのか? -物理,化学,材料,生体,医療,食品,年代計測...-」
   機能分子科学専攻 准教授 中村敏和
・「炭水化物食と脂肪食の選択行動に関わるニューロンの発見とその制御機 構に関する研究」
   生理科学専攻 教授 箕越靖彦
・分子科学研究所内 見学
   機能分子科学専攻 准教授 繁政 英治
・「視覚障害者が鎌倉時代の写本『源氏物語』を指で読む」
   日本文学研究専攻 教授 伊藤鉄也
・「総合教育科目『大統合自然史(仮称)』の紹介」
   学融合推進センター 特任教授 鎌田進
・「研究ノートプロジェクトの現状と今後について」
   遺伝学専攻 准教授 木村暁/学融合推進センター 助教 小松睦美
・総合討論 ・意見交換会


 まさに、異分野の先生方の中に自分が置かれていることを実感します。
 しかし、先生方の話の内容は、非常に興味深いものでした。

 1人目の中野先生の話の中では、秋刀魚に大根、唐揚にレモンを添える合理的な根拠が説明されたことが、強く印象に残っています。
 2人目の箕越先生は、炭水化物の摂取に視床下部にある室傍核の影響があることを、実験成果から示されました。糖質制限食を意識している私にとって、これは参考になる貴重な情報です。
 その後の意見交換会でも、先生にはケトン体を始めとして多くのことをお尋ねし、教えていただきました。

 休憩時間に、分子科学研究所のシンクトロン光源加速器等を実際に見学することができました。


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 写真右下の数値は、放射線量です。
 詳しい説明をしてくださいました。しかし、理解を超える内容で、申し訳ないことです。
 それでも、すごい施設であることは、見ただけでわかります。
 放熱のためにアルミフォイルが使われていました。高熱が発生しているようです。
 実験結果から研究が1歩1歩進んでいく理科系の研究手法を目の当たりにして、いい勉強になりました。

 3番目の私の話は、数時間前に名古屋工業大学で実現したタッチパネルを使った触読の動画を見ていただくことから始めました。届いたばかりの映像なので、私もこの時に初めてその完成作を見ることになりました。

 普段私は、パワーポイントは決して使いません。配布したプリントをもとにして、聞いてくださるみなさまの反応を見ながら語る、という手法をとっています。

 しかし、今日は特別です。文字を触ると音声で説明がなされるシステムが、まさに数時間前にできたばかりだからです。その興奮を伝えたい、という思いで、いつもの展開とは違う流れにしました。
 ただし、なかなかパソコンの画面がスクリーンに影写されず、開始早々より間延びのした段取りとなりました。急遽、話題を変更したためとはいえ、みなさまには大変ご迷惑をおかけしました。
 また、プロジェクターへの影写にあたっては、学融合推進センターの准教授の七田麻美子さんが奮闘してくれました。その尽力に感謝します。

 機器を使用しての講演には、こうしたトラブルがままあります。この無為な時間が生まれることを避ける意味からも、私はパワーポイントで映写しないのです。
 今日は、どうしてもタッチパネルの動画を見ていただきたくて、最初にみなさまには我慢をしていただかざるを得ないこととなりました。本当に申し訳ないことです。

 この時に影写したのは、4分ほどに編集された、出来立てほやほやのYouTubeによる動画像です。前半がデータ登録の様子、後半が学習の様子となっています。
 実際に音声を聴きながら触読している様子は、スタートしてから3分10秒経ったあたりからです。

「音声触図学習システムで源氏物語のデータを作成している様子と学習している様子」
 
 なお、このスタートに手間取ったこともあり、私の持ち時間をややオーバーしてしまいました。
 これも、あらためて参会の諸先生方にお詫びいたします。

 4人目の鎌田先生のお話は、総合研究大学院大学における教育に関するものでした。まさに、異分野連携の実践といえるプランです。

 「研究ノートプロジェクトの現状と今後について」の議論は、おもしろく展開しました。

 最後の、記録の公開については、理系のみなさんは実験記録ノートに記入しておられることを知りました。
 私は、エバーノートに書きためているので、その違いに驚きました。そんなことを漏らすと、みなさんから逆に、文系の研究におけるノートについて聞かれてしまいました。
 日常的な研究生活の基本となる部分に関する話題なので、この話は留まることを知らずに展開します。あの小保方さんの研究ノートのことなども、例にあげられたりと、本当に楽しいディスカッションでした。

 最後に、今回の講演を聞いての質問などがやりとりされました。
 私がお話ししたことに関しては、以下のことを尋ねられました。


・人との出会いについて。
  これは、「偶然」による連続である、とお答えしました。
  また、ブログによって人とのつながりと情報が寄せられてくることも。

・研究と資金について。
  科研費の運用によるもので精いっぱいであることをお答えしました。
  その他の資金調達や今後の収益とは、まったく無縁の研究であることも。
  ここも、理系とは発想が違います。

・立体コピーに用いたカプセルペーパーの仕組みについて。
  私の知る限りでの、製造業者と研究開発担当者から聞いている話をお伝えしました。
  「大阪府八尾市にある会社へ立体コピーの調査に行く」(2015年05月14日)

・これまで立体コピーの取り組みはなかったのか、という点について。
  江戸時代以降、木に文字を彫ったり、紙をプレスしたものはありました。
  現在は、それからの資料が、京都府立盲学校に大切に保存されています。
  「京都府立盲学校の資料室(その1)」(2014年08月04日)
  「京都府立盲学校の資料室(その2)」(2014年08月05日)
  しかし、今回のように、簡便な手法で作成した触読資材はなかったことも、ご説明しました。


 今回の参加は、意義深い、収穫の多い、また多くの先生方に古写本の触読研究の実際を知っていただくいい機会となりました。
 それが、特に理科系の研究者として第一線でご活躍の先生方だったので、その後の意見交換会でも壮大なスケールの話へと飛躍しながら、大いに盛り上がりました。
 みなさま、貴重なご教示やおもしろい逸話を語っていただき、本当にありがとうございました。
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2015年10月25日

京都ライトハウスで体験三昧

 科研の研究会で一昨日お世話になった京都ライトハウスへ、いろいろな資料と情報をいただくために行ってきました。野々村さんがいらっしゃることを教えていただいていたからです。

 ちょうど今日は「京都ライトハウスまつり2015〜つながる・ひろがる 地域の輪〜」が開催されていました。これは、利用者や地域のみなさんとの交流の場として取り組んでおられるものです。


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 4階から地下1階までの全館を開放しての一大イベントです。
 以下の赤字のコーナーに立ち寄りました。


4F:船岡老人クラブハウス発表会・トモニー紹介コーナー。
3F:どきどき☆お楽しみ抽選会!新設キッズコーナーの紹介
2F:見えないこと体験点字体験、クイックマッサージなど・・・盛りだくさん!点字クラブ、オセロ、囲碁、将棋
1F:寿司・焼きそば・手作りパン・肉まん・チヂミ・フランクフルト・洋菓子・ビール・ジュースなど模擬店いろいろ!
B1F:物品販売、催し物関係、池坊華道会による生け花教室など


 午後からのステージでは、ちょうど大正琴の演奏が始まったところです。日頃の練習の成果が、楽しく伝わってきました。

 お昼は、お寿司をいただきました。


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 パッケージを見ると、私が好きな回転寿司屋「寿しの むさし」のにぎりでした。近くの上堀川店から持って来られたものだと思います。

 2階では、「見えないこと体験」のコーナーがいくつかありました。
 まず、「木のワークショップ」へ入りました。ここは、京都ユニバーサルミュージアム実行委員会が実験展示をしておられたのです。「視覚に障害がある人もそうでない人も共に楽しめる展示とは何か?」という問題意識のもとに、今年のテーマは「木」でした。
 私も学芸員の勉強をして来たことに加え、身体に不自由を感じておられる方々との文化の共有を意識して以来、ユニバーサルミュージアムには興味を深めているところです。


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 テーブルに置かれた、ヒノキ、コウヤマキ、ニレ等、たくさんの板を触り、その木の匂いを嗅ぎました。聞香を思い出しました。
 しかし、あまりにも多くの木があったので、5枚目以降は匂いがごちゃごちゃになってしまいました。
 これは、ただ単に多くの板を並べるだけでなく、もっとテーマを絞った方がよかったのではないでしょうか。ただし、丁寧に説明していただいたので、いろいろなことを知ることができました。

 その隣の部屋では、音の3D体験をしました。


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 アイマスクをして、ヘッドフォンで音を聞きます。見えない状況で日常の音を聞く体験です。
 マッチ箱を振りながら前後左右で音が聞こえました。ただし、マッチ箱の音は、今の若い人と生活実感を共有できるのでしょうか。また、大阪環状線の駅の発車時のメロディーは、非常にわかりにくいものでした。雑音が多すぎるからです。目が見えない方の状態を体験するにしても、これは不適切な音源だと思いました。また、時間が長すぎます。
 顔に風を当ててくださったり、霧吹きで湿り気を体感させるという小技も、あまり気持ちのいいものではありませんでした。この企画は、大いに再検討の必要がありそうです。

 アイマスクをして階段や外を歩く体験は、あまり乗り気がしなかったのでパスしました。

 盲導犬啓発コーナーでは、京都ハーネスの会の方から詳しい説明をうかがいました。
 東京の立川駅北口で、盲導犬の理解を求めながら募金活動をなさっています。通勤時にその前を通りながら、いつも気になっていました。そのこともあり、思いきって部屋の中に入りました。
 初めて知ることばかりで、いい勉強をさせていただきました。
 盲導犬と目が合った時、犬君がすっと横を向き、大きなあくびをしたのです。


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 私は、警戒しなくていい、しかも退屈な存在のようです。
 それでも、服を着ていることや背中に鞄を背負っている意味がわかり、日頃の疑問の一部が解消しました。

 視覚障害者ボランティア連絡会の活動紹介・啓発コーナーでは、点字の打ち方やパソコン点訳などの説明を受けました。少し知っていることでした。しかし、我流でのことだったので、あらためて教えていただくと、いろいろなことがよくわかり、いい勉強になりました。

 池坊のいけばな体験は、行った時にはすでに終わっていました。
 学生時代に少しやっただけなので、いつか機会があれば遊び気分でやってみようと思っています。

 知らなかったことが、こうして少しずつわかっていくと、いろいろな物事が点から線へとつながっていき、楽しくなります。
 体験の意義を、再認識する1日となりました。

 追伸
 木の体験コーナーで真剣に匂いを嗅ぎ分けておられた野々村さん、あらためてお礼の挨拶もせずに失礼しました。次は、点字百人一首のイベントでお会いしましょう。
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2015年10月24日

日本盲教育史研究会第4回研究会に関する報告

 会場に着いて早々、日本盲教育史研究会の引田会長、岸先生、指田先生、星野記者などなど、初夏の札幌でお世話になった方々と話をしました。

 抱えている古写本の触読というテーマがインパクトを持っていたこともあり、これまでの経緯をよく覚えてくださっていました。ありがたいことです。

 岸先生のお話では、ひらがなや漢字の学習には非常な困難さが伴うものであり、京都盲唖院が日本で最初に設立された明治10年頃から22年までは、退学者が続出だったそうです。

 それが、日本で点字が使えるようになった明治23年以降は、一気にコミュニケーションの手段として意志の疎通がはかられ、徐々に点字が広がったのです。

 現在推進している古写本に書写されている変体仮名を触読することと、この点字が果たす役割については、今後とも一般の方々に混同されないように気をつける必要があります。

 変体仮名の触読は、明治以前の筆写文字を通して、日本の古典文化への理解をみんなで共有するための手掛かりにしようというものです。点字と変体仮名の双方の機能も役割も異なるので、どちらがいいかというような単一化への理解にならないようにしていきたいと思います。

 さて、今回の研究会の案内文には、次の引田会長の言葉があります。


 日本盲教育史研究会は創立から4年目を迎え、お陰様で会員数170名を超す研究会に成長致しました。
 内容的にも、昨年の研究会で芽生えた異分野との共同研究や、聾史研との研究交流等多彩なものになってきています。
 5月の北海道ミニ研の成功や6月にロンドンの Royal Holloway 大学で開催された研究会 Blind Creations Conference 等国際交流の成果を踏まえ、新たな研究展開を図る予定です。
 日本の盲教育発祥の地での研究会に多くの皆様の参加をお待ちしています。
  日本盲教育史研究会会長
         引田秋生


 今日の引田先生のご挨拶で、この中にある「昨年の研究会で芽生えた異分野との共同研究」として、『源氏物語』の触読研究を例としてあげてくださいました。

 会場には、発表者が発言したことが即座にスクリーンに表示されていました。
 この時には、次のように映し出されていたのです。
 これは、同時通訳と同様にタイプなさる方々は大変でしょうが、参加者にとってはありがたい方式です。


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 札幌でもそうでしたが、会長をはじめとして多くの方々に本研究に期待を寄せていただいていることに感謝し、気持ちが引き締まる思いでいます。

 引き続いて午前の研究会となり、私の発表は2番目でした。


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 あらかじめレジメとして印刷されていた資料は、次のものです。


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 会場に追加資料として配布したパンフレットは、この日のために研究協力者の加々良さんが作成したものです。


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 また、「須磨」巻の巻頭部分の立体コピーを配布したことについては、みなさんから取り組んでいる内容が実感として非常によくわかった、と好評でした。

 午後の講演と研究発表は、後日公開される会からの報告に譲りたいと思います。

 本日の参加者は、70名という大盛会でした。
 プログラムは、以下の通りです。


■日時:2015年10月24日(土曜日)
    9時半から16時半
■挨拶 引田秋生
■公募報告
「戦前期盲学校の設立者・支援者」
    足立洋一郎氏

『源氏物語』を触って読む─700年前の写本に挑戦する─
    伊藤鉄也氏

小西信八が見た欧米の「盲唖教育」
    西野淑子氏

■記念講演
「日本の視覚障害者を支え続けた点字出版と点字図書館」
    全国視覚障害者情報提供施設協会参与 加藤俊和氏

■研究報告
「大阪における明治期盲唖教育史」
    近畿聾史研究グループ 新谷嘉浩氏

「インクルーシブな学校秩序の構築過程に関する社会学的探求―小学校における全盲児の学級参画と支援の組織化を中心に」
    大阪市立大学都市文化研究センター研究員 佐藤貴宣氏

「中村京太郎と普選―昭和3年の『点字大阪毎日』によるアンケート調査を中心に」
    関西学院大学人間福祉研究科研究員 森田昭二氏


 閉会後は、東京から一緒に来た3人を京都駅に送り、私は懇親会場へ直行しました。

 ここでも、引田会長をはじめとして、多くの方々から励ましをいただきました。
 また、2人の若い全盲男性が、『源氏物語』の触読研究に積極的に協力したいという申し出を受けました。
 2人とも文学との縁はなく、また1人の方は2才の時には視力を失った方なので、これまでとはまったく異なる角度から、触読に関する調査研究が可能となりました。

 この研究テーマは、ますます質量共に厚いものになろうとしています。

 折々に報告しますので、今後とも変わらぬご教示などをいただけると幸いです。
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2015年10月23日

皇太子さまとご一緒の新幹線で京都へ

 京都で2つの研究会と1つのイベントが、3日間にわたって開催されます。
 さらに調査もあるため、今週も慌ただしく東西を移動する日々です。

 午前10時に東京駅南口乗り換え口に集まって京都に向かうのは、福島県から1人、栃木県から1人、東京から2人の4人です。そのうちの2人は全盲なので、万全の旅立ちを期して、妻には東京駅を出発するまでの介助役として来てもらいました。

 予定の16番線に上がって列車の到着を待っていたところ、駅員さんがこのホーム入る予定の列車は、今日は18番線から出発すると教えてくださいました。理由を聞くと、しばらく口ごもりながらも、皇太子殿下が乗車なさるためだとのことでした。

 目の不自由な方と一緒なので、無理をして18番線に移動することなく、すぐ向かいの17番線に来る、予定よりも7分後に出発する列車に乗ることにしました。
 ところが、その電車が、実は皇太子殿下がお乗りになる列車だったことが、乗り込む直前にわかりました。
 とにかくガードマンの多さで、それが通常の新幹線のホームではないことがすぐにわかりました。

 こんなことはめったにないことなので、弥次馬根性の塊のような私は、すぐにグリーン車輌の10号車に行き、取り急ぎシャッターを切りました。


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 私たちは3号車に乗っていました。そこにも、警察関係の方がイヤホーンをしたままで座っておられました。
 車内は空いていました。この列車には皇太子殿下が乗車されている、ということが関係しているのかどうかはわかりません。

 座席は4人が向かい合わせにして、いろいろな話をしながら楽しく京都に向かいました。
 食事の時は、すぐそばのシートが空いていたので、そこでお弁当を広げることができました。
 グリーン車なみの贅沢な座席の使い方の旅となりました。

 私のことですから、寸暇を惜しんで実証実験を、新幹線の中でもやってもらいました。
 持参した、現在のひらがなで書いた文を、横書きと縦書きでどの程度読み取れるか、お2人に実際にチャレンジしてもらいました。


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 今回のテスト用の立体コピーは文字が少し小さいことと、縦でも横でもどちらでも一緒であることがわかりました。
 これで、図書館でルビ付きの本などを立体コピーすると、目が見えなくても自分なりに読書をすることが可能となることがわかったのです。

 点字にかわるコミュニケーションのために、ひらがなの触読は新たなツールとなるのです。

 京都駅からは、バスで京都ライトハウスに直行しました。


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 「古写本『源氏物語』の触読研究」の研究会の前に、少し時間があったので、京都府立盲学校に立ち寄り、岸先生から貴重な資料を見せていただき、説明もしてくださいました。
 明日の盲教育史研究会の事務局長の身で、何かと準備にお忙しいところを、ありがたい対応をしてくださいました。


 研究会での内容は、後日ホームページを通して会議記録を掲載しますので、ここでは省略します。


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 研究会や打ち合わせが終わってからは、北大路駅のそばにあるお店で京料理をたべながら、いろいろな話に花が咲きました。

 散会後は、歩いて宿まで案内しました。今宮通りを東に直進し、賀茂川のすぐ手前にある、四季倶楽部賀茂川荘が今日の宿です。
 荷物を一旦部屋に置いてから、夜の賀茂川散歩を楽しみにした。
 賀茂川の川音は、千年前から変わりません。

 賀茂川散歩は、明朝も案内するつもりです。
 私の自宅は、この宿の近くなので、雲一つない中天に浮かぶ月を眺めながら帰りました。
 今日も、充実した一日でした。
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2015年10月22日

名工大の音声触図学習システムを動画像で紹介

 名古屋工業大学大学院生の森川慧一さん(工学研究科社会工学専攻)が現在開発中の、「音声触図学習システム」の紹介動画が、よりわかりやすいものとなって「YouTube」にアップロードされました。


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 以下の「YouTube」のURL から、実際にこのシステムを使った使用例を動画像として確認できます。

「音声触図学習システムの紹介と使用している様子」

 これは、触図とタッチパネルを使った、音声による学習システムです。

 過日の本ブログ「名工大で触読への想いが実現する予感」(2015年10月09日)で報告したように、このシステムは私が現在進めている「古写本『源氏物語』の触読研究」で有効な、非常に魅力的な触読支援装置となる可能性の高いものです。

 来月には、また名古屋工業大学へ行くことになっています。
 触読研究と音声システム開発とのコラボレーションについて、進展がありしだい、またここで報告します。

 今後の展開を楽しみお待ちください。
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2015年10月20日

古写本の触読レポート第3弾を公開中

 私が現在取り組んでいる科研「挑戦的萌芽研究」の成果は、「古写本『源氏物語』の触読研究」というホームページから公開しています。

 今回新たに、「触読レポート(3)」(2015年10月16日)を掲載しました。


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 本ブログで取り上げる内容が多岐にわたることから、本件の報告が遅くなりました。

 触読に関するレポートとしては、これまで「触読通信」のコーナーから、渡邊寛子さん(福島県立盲学校高等部国語科教諭)の体験報告と、渡邊さんを取材した関口祐未さん(科研運用補助員)の調査報告を掲載していました。
 次の2つがそれです。

「わかる喜び再び ─古写本『源氏物語』触読体験─」(2015年8月3日)

「触読レポート(1)(2)」(2015年8月26日)

 今回公開した「触読レポート(3)」は、共立女子大学の学生Oさん(文芸学部3年)に関する関口祐未さんの調査報告です。

 Oさんは、大学側の理解と協力が得られる中で、古写本の触読に励んでおられます。
 これからの進展がますます楽しみな、現役の学生さんです。

 渡邊さんとOさんは、今週末に京都で開催される「古写本『源氏物語』の触読研究会」(京都ライトハウス)と「盲教育史研究会」(京都府立盲学校)に、一緒に参加してくださいます。
 23日(金)に東京駅で待ち合わせをして、京都の会場に向かうスケジュールも確認し合っています。

 週明けには、また刺激的な報告ができると思います。
 どうぞ、お楽しみに。
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2015年10月05日

昨日の全国盲学校弁論大会の続報

 昨日書いた、「第84回 全国盲学校弁論大会全国大会の優勝者」(2015年10月4日)の続報が入りました。

 渡邊さんから、以下の情報を教えていただきました。
 忘れないうちに、取り急ぎメモとして残しておきます。
 

全国弁論のラジオ放送は、
10月11(日)19時30分〜20時
  NHK第2 視覚障害ナビラジオ
再放送 18日 朝 7時30分〜8時

テレビは、
10月28(水) 20時〜
  NHK教育 上位3名
10月29(木) 同じ時間で 4位以下のハイライト
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2015年10月04日

第84回 全国盲学校弁論大会全国大会の優勝者

 昨日の毎日新聞に、「全国盲学校弁論大会:47歳、渡辺さんが優勝」という記事が掲載されていました。

 「光り輝くあの月へ」と題して発表された、福島県立盲学校高等部専攻科理療科1年の渡辺健さん(47)が優勝だった、というものです。

http://mainichi.jp/shimen/news/20151003ddm012040044000c.html


151003_watanabe



(写真は上記デジタル版からピックアップしています)

 その学校名を見て、すぐに福島県立盲学校の渡邊寛子さんにメールを送りました。
 この優勝者の渡辺健さんは、渡邊さんが教えていらっしゃる方ではないですか? と。
 すぐに返事が来ました。
 高等部の弁論担当は私です、と。

 6月の東北大会を経て、静岡での全国大会で、この大金星です。

 「どうせなら、全国大会を楽しもう!」と「聴衆の感銘度」に訴えることにし、笑いをとる前向きな内容に徹底したそうです。

 「シリアスな、障害と向き合う、どちらかというと不幸自慢になりがちな弁論大会で、笑いをとるのは難しいのですが。」ともありました。

 渡邊さんらしい、みごとなアドバイスが功を奏したようです。

 もっとも、渡辺健さんはアドリブが得意な方だそうです。
 聴衆の心を鷲掴みにしての弁論だったことでしょう。

 その内容は間もなく、点字毎日の紙上に公開されます。
 テレビ放送は、10月28日(水)20時からのNHK教育放送のようです。

 目が不自由な方々を含めて、障害を持つ方に関するニュースは、毎日新聞以外はあまり取り上げません。社会的に影響のあるニュースに留まっているようです。
 この「全国盲学校弁論大会全国大会」のニュースも、昨日の時点では毎日新聞以外のメディアではまったく取り上げていません。想定される読者の興味と関心などなど、その対象が各メディアで異なるからでしょうか。

 点字の新聞は大正11年以来、唯一毎日新聞だけなので仕方がないとしても、他紙はもう少しさまざまな障害を抱える方々の情報を、日常的に流してもいいと思います。
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2015年09月24日

色の見え方は人さまざま

 最近、いろいろな方にスマートフォン用のアプリケーションである「色のシミュレータ」(無料)を勧めています。android版もあります。


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 これは、人によって異なる色覚に関するツールです。人が物を見る時には、それぞれに見えている色が違うそうです。確かに、みんなが同じ色に見えていると思う方がおかしいのです。人さまざまなのですから。

 このアプリは、医学博士でメディアデザイン学博士でもある Kazunori Asada 氏によって開発されたものです。

 手近なところにあった、ソニーのテレビのリモコンでシュミレートしてみました。
 4パターンの異なる見え方が確認できます。


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 左上が一般的な色覚によるものであり、その右が1型2色覚、その下が3型2色覚、その左が2型2色覚です。

 それぞれの分類がどのような意味を持つのか、専門的なことは私にはわかりません。
 しかし、人によってはこんなに見え方に違いがあることを知り、折々に色を確認しています。
 違いを知ることが大事だと思います。

 毎日のようにフォトショップ・エレメンツを使っているので、日頃から色には気を配っています。そんな中で、このツールを知ってからは、自分の写真がどのように見られているのかを知ることは、ユニバーサル・デザインの観点からも意義深いことだと思います。

 目の見えない方や、色弱、色覚に問題を抱える方とのお付き合いが増えたこともあり、今後ともこのアプリは自分の意識改革の上でも重要な位置を占めそうです

 これに類するアプリは、まだ他にもたくさんあるようです。
 気に入ったものとの出会いがあれば、また紹介します。
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2015年09月01日

「点字付百人一首〜百星の会」の紹介と活動内容

 先週8月29日(土)と30日(日)の2日間にわたり、京都嵯峨野で合宿をなさった「点字付百人一首〜百星の会」の事務局より、会の活動についてわかりやすい説明をメールでお知らせいただきました。
 情報として広く共有するために、紹介を兼ねてその文章を以下に引用します。
 「百星の会」の会員のみなさまのますますの活躍と、会のさらなる発展をお祈りしています。

 今後の「イベントの予定」にある、10月31日(土)に開催される京都ライトハウスの体験会には、私も参加しようと思っています。
 点字の触読とともに、変体仮名の触読にも興味と関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、遠慮なくお声掛けください。
 


私達の活動をご紹介させて頂きます。

1.会の成り立ち

私達は、全盲の子育てママからの、
「子どもたちは学校で百人一首のかるた遊びを当たり前に楽しんでいるのに、どうして盲学校では出来なかったのかしら? 何か方法はないものかしら? 」
と問いかけられたことを切っ掛けにして、点訳・音訳者、盲学校教職員、小物制作のプロ、百人一首愛好家等々によって、結成されました。
新宿区社会福祉協議会の全面的な支援を受け、また、これまでの活動の模様は、「点字毎日」にも紹介されております。
視覚障がい者に、かるた遊びを楽しんでもらうため、また、「点字学習ビギナー」が、楽しみながら触読に親しんでもらえるよう、
「使いやすい点字の付いたかるた札」
「オリジナルかるた台」
を試作しております。
ルールには、学校教育現場で20年ほど前から実践されている、「五色百人一首」を導入し、これを立案された先生からの公認を頂いております。
いつか世代を越え、障害を越えて、百人一首を通したコミュニケーションの輪が、広がってゆくことを夢見ながら、活動しております。

2.イベントの予定

高田馬場 かるた会 10月24日(土)
京都ライトハウス 体験会 10月31日 (土)
サイトワールド お披露目会 11月3日(祝)
藤沢点字図書館 体験会 11月8日(日)
高田馬場 新春かるた会 1月16日(土)
※高田馬場の会場は、東京都新宿区社会福祉協議会「視覚障害者交流コーナー」

以上です。
長文を読んでいただきまして、どうもありがとうございました。
今後とも私達の活動に、ぜひ、アドバイスを頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。
 
「点字百人一首〜百星の会」
    事務局 関場理華
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2015年08月25日

しゃべるペン(音筆)で絵本の中の漢字と遊ぶ

 この本を開いて、紙面にペンを当ててスライドさせると、ペンがしゃべります。
 不思議な体験ができる『おとがでるえほん かいてみよう きいてみよう かんじ1』(桜雲会編、2015年3月)という本で、漢字と遊んでいます。



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 これは、視覚に障害のある子どもが、漢字の形を学習する本です。小・中学生向けに刊行されています。立川市中央図書館の調査資料係で、ハンディキャップサービスを担当なさっている福島さんと早坂さんに、この本のことを教えていただきました。いつも貴重なご教示を、ありがとうございます。


イラスト:たかはし こうこ
デザイン・DTP : Unison
音筆データ・作成:今人舎
朗読:益田沙稚子(おはなしピエロ劇団)
音声ペン:セーラー万年筆

製品の仕様
製品名 セーラー音声ペンAP-1B
外形寸法 長さ130mm、最大直径35mm
重量 35g(本体のみ)
使用電池 単4電池2本
メモリーカード マイクロSDカード(最大8GB)
USB USB2.0(データ転送に使用)
対応ファイル AP4
耐用温度 0°c〜+60°c
保管湿度 5〜95%RH
スピーカー 直径28mm、出力05W
イヤフォン出力 直径3.5mmステレオミニジャック
ストラップ 付属
稼働時間 4〜5時間
*AP4は、オーディオブック対応データフォーマットです。



 これは、目が見えない方々と一緒に変体仮名を読むことに挑戦している私にとって、いろいろなアイデアが湧き出ずる、非常に刺激的な道具です。

 触読研究で支援者として協力してもらっている淺川さんが最初に使ったので、その報告を以下に引用します。


さっそく使ってみました。
使い方は大変簡単で説明も丁寧でした。
上部にマイクがついているせいか音も大きめです。
電源を入れるときと切るときは、それぞれ異なる音が鳴ります。

左側のページは絵が主体の本で、学習する漢字を使った例文が書いてあります。
右側のページでは、学習する漢字の書き方が書いてあります。

例えば「九」という字を学習する場合、左側のページのイラストや文章にペンの先を当てると、例文をゆっくり読み上げます。



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 次に右側のページにいき、「九」の一画目の「はらい」にペン先をあてると「い・ち」、隣に書いてある方の文字にペン先をあてると「にーっい」と発音してくれます。


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 誰かが手を持って一緒に書いてくれるような感じがする本です。


 なお、ミニ USB 端子は、電源供給用として使用できます。
 いろいろな方に使ってもらい、さまざまな意見を聞いて、新たな活用方法を考えたいと思います。
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2015年08月12日

簡易型立体コピー作成機による触読実験を始める

 「立体コピー作成機 PIAF」(ピアフ)を、国文学研究資料館の事務を通して発注していました。
 その本体が、無事に手元に届きました。


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 卓上型なので、置き場所に困らず、移動も簡単です。研究室でも作業部屋でも、いつでもどこでも使えます。
 これは、先月うかがった共立女子大学でも使用しておられた、同型の機械です。

 これまでは、立川市中央図書館がお持ちの立体コピー機を、本研究に対するご理解とご協力をいただく中でお借りしていました。

「立川市中央図書館で源氏写本を再度立体コピー」(2015年03月17日)

 しかし、順調に触読研究が進展する中で、急遽立体コピーを作成する事態も発生し出しました。
 そこで、立川市中央図書館にある精巧な仕上がりではなくても、簡易版で当座の役を果たすようにと、科研費によって「立体コピー作成機 PIAF」を購入することにしたのです。

 これは、本科研を昨秋申請した時点から、研究計画調書に初年度の「設備備品費」による購入予定物品として計上していたものです。
 立川市中央図書館のご協力が得られたので、当面の購入は見送っていました。しかし、研究成果が顕著になったこの時点で、即応性のある対処をする必要性に迫られたこともあり、予定通りの発注となりました。
 これで、精細版と簡易版の2種類の資料が作成できる環境が整いました。

 届いたばかりの「立体コピー作成機 PIAF」で、試しに『絵入源氏物語』の「若紫」の図を浮き出してみたところ、次のように思い通りの立体図形が出来上がりました。


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 これで、古写本の変体仮名を読むための立体コピーも、必要になったら即座に少部数なら作成できます。調査研究のフットワークが、これで格段に軽くなることでしょう。個別の限定的な要望にも、これならすぐに対応できます。

 この「立体コピー作成機 PIAF」を活用して、まずは、触読用の「変体仮名字体集〈立体文字版〉」を作成することになります。ハーバード大学本と歴博本の『源氏物語』から、さまざまな文字を切り出すのです。そして、切り出した文字を編集して、変体仮名を触読する上での学習練習帖の役割を持った、字書と参考書を作成したいと思います。

 現在、次のようなプロジェクト(案)を考えています。


(1)触読体験プログラム(案)
 ・使用教材
   ■ハーバード大学本『源氏物語』「須磨」〈立体文字版〉
     A4用紙/5行分/縦長いっぱいに拡大
   ■触読用「変体仮名字体集〈立体文字版〉」
     今夏より編集開始
   ◇翻字テキスト(すでに作成済)

(2)学習システム(案)
  ・失明時期と古典理解度により3パターンを用意
  ・初級は平仮名と変体仮名の学習から始める
  ・中級は『源氏物語』「須磨」本文の触読から始める
  ・上級は『源氏物語』「蜻蛉」本文の書写から始める
  ・気分転換に『百人一首』の〈触読版かるた取り〉に挑戦


 もちろん、この科研は「挑戦的萌芽研究」なので、思うようにいかないことがあっても、とにかくチャレンジをすることに意義があります。調査・実験・研究の方針は、その折々に判断して変更も自在にすることになります。その意味では、現在は順調に前に進んでいます。

 幅広くアイデアを募り、効果的な立体文字触読資料の作成と、学習システムの構築を実現したいと思います。
 これまで同様に、淺川さん、加々良さん、関口さんの3名の研究協力者の若い力を借りながら、研究計画を推進していくことになります。
 変わらぬご理解とご協力を、どうかよろしくお願いいたします。
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2015年08月04日

日本盲教育史研究会(第4回)のご案内

 日本盲教育史研究会(第4回)が、「日本最初の盲唖院」である京都府立盲学校で今秋開催されます。

 研究会の案内が届きましたので、速報としてここに紹介します。

 私は報告者の一人として、「『源氏物語』を触って読む─700年前の写本に挑戦する─」と題するレポートを担当します。これまでの触読の成果を、広くみなさまにお知らせするものです。

 以下、この研究会の要点を摘記しておきます。
 さらに詳細な情報は、末尾の案内文(画像)をごらんください。
 
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日時:2015年10月24日(土)9時半〜16時半
会場:京都府立盲学校花ノ坊校地 多目的教室
  (〒603−8302 京都市北区紫野花ノ坊町1)
◎第4回研究会(11時〜16時30分)
 ○公募報告(11時15分〜12時)
  1. 「盲教育の支援基盤(仮)」 足立洋一郎氏
  2. 『源氏物語』を触って読む─700年前の写本に挑戦する─ 伊藤鉃也氏
  3. 小西信八が見た欧米の盲・唖教育(仮) 西野淑子氏
 ○記念講演(13時〜14時30分)
   「日本の視覚障害者を支え続けた点字出版と点字図書館」
       全国視覚障害者情報提供施設協会参与 加藤俊和氏
 ○研究報告(14時45分〜各30分)
  1. 「大阪における明治期盲唖教育史」
       近畿聾史研究グループ 新谷嘉浩氏
  2. 「インクルーシブな学校秩序の構築過程に関する社会学的探求
     ―小学校における全盲児の学級参画と支援の組織化を中心に」
       大阪市立大学都市文化研究センター研究員 佐藤貴宣氏
  3. 「中村京太郎と普選−昭和3年の『点字大阪毎日』によるアンケート調査を中心に」
       関西学院大学人間福祉研究科研究員 森田昭二氏
    参加費 1000円(当日徴収) 
    主催  日本盲教育史研究会 
    後援  (予定)全国盲学校長会・日本盲人福祉委員会・毎日新聞社点字毎日
 
 
 

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2015年07月23日

古写本『源氏物語』を触読するための立体コピーの新版作成

 目の不自由な方々が変体仮名で書かれた『源氏物語』を読めるようになれば、と、さまざまな取り組みを試行錯誤しています。

 本日、触読のための新しいパターンの資料をいくつか作成しましたので、アドバイスをいただく意味からも、ここに取り上げて紹介します。

 今回も、立川市中央図書館のハンディーキャップサービス担当の福島さんと早坂さんのご理解とご協力を得て、以下のような試作版を作りました。

(0)立体コピーによる触読資料は、A4版のカプセルペーパー(松本油脂製の浮き出し用紙)で作成することを原則としています。
 資料の大きさをA4に統一することは、資料の保管と閲覧の便宜を最優先させて決めました。

(1)カラー版の試作
 まず、ハーバード大学本『源氏物語』「蜻蛉」巻の14丁裏と15丁表を、カラー版で立体コピーを作成しました。
 この巻のなかでもこの場所を選んだのは、来週7月30日に日比谷図書文化館で開催される翻字者育成講座で、ここから読み進める予定の箇所だからです。他意はありません。


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 写真では、文字の浮き上がり具合が不鮮明です。しかし実際には、文字は浮き上がっています。もっとも、その浮き上がり具合は、以下のものよりも格段に低いものです。

 背景の水が滲みた所のキワの線や、汚れなどは、触読には何ら影響がありませんでした。用紙に塗布された薬品が、敏感に反応しなかったことが幸いしています。ただし、これは原寸で作成しただけのものなので、今後はさらに拡大したものでも実験をすることにします。

 カラーで立体コピーを作成したのは、白黒と違い、色の微妙な差が文字の浮き出し具合に影響しないか、と思ったからです。次回、以下に揚げるようなパターンを、カラーでも作成したいと思います。微妙に文字の浮き具合が異なるようなのです。

(2)14丁裏のカラー版(122%拡大)
 この拡大比率は、原本の10行がA4版の横幅一杯に入ることを最低条件として設定したものです。
 このカラー版は、背景処理をしてから立体コピーにかけたものです。次の(3)は白黒版なので、それと比べると、カラー版の方が微妙な反応を見せているようです。強弱が滑らかに変化しており、指への感触が柔らかいことがわかります。
 どちらが触常者にとって読みやすいのかは、これから実験を進める中で実証していきたいと思います。


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(3)14丁裏の白黒版(122%拡大)
 これは、上の(2)と比べると、文字がくっきりと浮き上がっています。
 触読しやすいように思われます。しかし、実際に一人でも多くの方に触っていただくことで、最終的な判断をしたいと思います。


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(4)14丁裏の白黒版(150%拡大)の右側5行分(前半)
 上掲(3)をさらに拡大し、上下をA4用紙一杯まで入るようにコピーしたものです。
 文字が大きくなったために、行間も開き、原本の10行分が1枚のA4用紙に入りません。そのために、左右それぞれ5行づつを立体コピーにして作成しました。


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(5)14丁裏の白黒版(150%拡大)の左側5行分(後半)
 上掲(4)に続いて左側となる5行分です。


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 15丁表も、14丁裏と同じように立体コピーを作成しました。しかし、ほとんど同じ形式のものなので、ここでは掲載を省略します。

(6)変体仮名を習得するのに役立つと思われる文字のパターン(字体)を、五十音順に立体文字にして並べてみました。


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 今回、参考資料として使用したのは、『影印本シリーズ 増補改訂 仮名変体集』(伊地知鉄男編、平成25年10月47刷、新典社)です。これは、既刊の40種類以上の変体仮名関連の書籍から、当面の用途に最適だと判断して選定し、そこから採字をしたものです。
 これは、14頁もの分量になっています。これでは資料としての枚数が多すぎます。触常者には、今しばらくはこれで変体仮名のパターンを習熟していただき、反応や意見を参考にして、さらによりよいコンパクトな字体集の作成に向けて展開していきたいと思います。
 ここで、字体集としてどの字母を選ぶかは、鎌倉時代中期に書写されたハーバード大学本によく出てくる文字を基本として、伊藤が独断で選定し構成しています。室町時代や江戸時代の古写本を読むために選んだ仮名文字ではないので、その点をあらかじめご了解いただきたいと思います。

(7)現行のひらがなである「あ」と「お」を、さまざまな大きさで立体文字にしました。
 触常者にとっては、ゴシック体が読みやすいということを伺っていたので、今回は「HG平成丸ゴシックW4」を使用しています。


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 現行の書籍などの印刷物で、ルビが多く付された本を触読することは、2人の全盲の方が実証してくださったので比較的容易であることが判明しました。変体仮名の触読ではなくて、下位レベルでの触読訓練のための情報を得ようとして、この資料を作成しました。
 この2文字はよく似ているので、触読の可否を判断するのに好例だと思います。

 今後は、どの大きさの平仮名活字が触読に最適かを、折々に調査していきたいと思います。
 ただし、これはあくまでも参考資料とするものであり、当面は変体仮名で700年前に書写されたハーバード大学本『源氏物語』を読むことが最優先課題であることに変わりはありません。
 
 今回、立川市中央図書館で作成した触読資料は、来週の30日に日比谷図書文化館で触読実験を行います。その後で、さらに詳しい報告を本ブログに掲載しますので、お楽しみにお待ちください。

 さて、この触読資料が今後ともさらにどのような成果を生むのか、ますます楽しみになりました。

 なお、触読資料作成にあたっては、科研における「挑戦的萌芽研究」の「視覚障害者と共に古写本の仮名文字を読み日本古典文化を共有するための挑戦的調査研究」で、科研運用補助員として国文研に来てもらっている関口祐未さんの貢献が大であることを明記しておきます。
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2015年07月08日

電子版『古写本『源氏物語』触読研究ジャーナル』の原稿募集

 本年度採択された科研「視覚障害者と共に古写本の仮名文字を読み日本古典文化を共有するための挑戦的調査研究」では、研究成果の公表や情報を共有する場を確保する意味から、電子ジャーナルを年1回刊行することになりました。

 雑誌名は、『古写本『源氏物語』触読研究ジャーナル』(ISSN番号:2189-597X(仮))としました。

 視覚障害者が古写本などに書写されている変体仮名を触読することに関連する、「論文」「小研究」「研究余滴」「資料紹介」などの積極的な投稿をお待ちしています。

 投稿される前に、「『古写本『源氏物語』触読研究ジャーナル』応募執筆要綱」をご覧いただき、執筆の意向を編集担当者にお知らせください。

 また、発刊後の電子版のイメージは、「『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN番号 2188ー8035)(オンラインジャーナル)」と同様の形式となりますので、当該サイトを参照し確認してください。

 「創刊号」の原稿に関しては、今月7月末までに仮の論文タイトル等を教えてください。

 お知り合いの方への伝言も、よろしくお願いいたします。

===

雑誌名:『古写本『源氏物語』触読研究ジャーナル』
      【ISSN番号:2189-597X(仮)】
 
1.論文分量 400字原稿用紙で30枚以上(12,000字以上)
 小研究(20枚以下)
 研究余滴(10枚以下)
 資料紹介(自由)

2.原稿表記 原則として日本語表記・横書き

3.原稿締切 9月末日

4.体裁 A5版の版面を想定したオンライン画面

5.推奨版面・活字11ポイント、27行×34字詰、余白上下左右20ミリ

・フォントは、MS明朝、Times New Roman

・節ごとに小見出しを付す

・注は版面ごとにそれぞれ下部にアンダーラインを引いて付す

・注番号は本文の当該箇所に丸括弧( )付きの数字で示す

・参考文献情報は、以下の情報を盛り込むこと

著者名、論文名/書籍名/コラム名、巻号数、掲載頁、出版社、(掲載誌名/新聞紙名/媒体名)、刊行年(新聞の場合には発行日付)。

海外の書籍の場合には出版地名、Web媒体の場合にはURL。

(参考文献書式の例は後掲)

6.原稿入稿 ワード文書およびエクセルデータをメールに添付して送付

・問い合わせ 送付先アドレス【ito.tetsuya@mac.com】

7.校正 執筆者の校正は初校のみ。

・ただし、公開から1年以内に1度だけ改訂版に差し替え可能

・10月23日(金)までに仮版ができるようにいたします

8.図版・写真など 掲載許可が必要な場合、原則として資料手配、使用料は執筆者の負担。
 図版・写真は、原稿枚数の中に含む

表記・参考文献書式(参考)

・書籍名:『源氏物語』『日本の仮名文字』

・論文、章名:「触読用文字の大きさに関する研究」「第1章 点字の歴史」

・人名:石川倉次、ルイ・ブライユ(Louis Braille)

 
参考書籍書式例

1 書籍

(日本):著者名『書籍名』pページ、校註・訳者名(出版社、刊行年)

『新編 日本古典文学全集21 源氏物語2』p161、阿部秋生・秋山虔・今井源衛・鈴木日出男 校註・訳(小学館、2000)

伊藤鉄也編『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「須磨」』p17(新典社、2013)

(海外):著者名, 斜体書籍名, pページ, 校註・訳者名, 出版地, 出版社, 刊行年.

Mario Rossi, Fascino del racconto di Genji, p.172, Roma, Tradizione, 1985.


2 論文

(日本):著者名「論文名:副題」『掲載誌名』(発行号数)、pページ、発表年

伊藤鉄也「海を渡った古写本『源氏物語』の本文:ハーバード大学蔵「須磨」の場合」『日本文学研究ジャーナル』(2)、p113-128、2008

(海外):著者名, “論文名:副題”, 斜体掲載誌名 発行号数, pページ, 発表年.

John Doe, “Codex of the Tale of Genji”, Succession 6, p.75-91, 2002.

※ 書籍からの引用もこれに準ずる


3 新聞

(日本):「記事名」新聞紙名(発刊月日)、発行年

「ルイ・ブライユ生誕200年」○○新聞(1月4日)、2009

(海外):記者名, 記事名, 新聞紙名(発刊月日), 発行年.

Jean Dupont, Vie de braille de Louis, ABC(Juillet 7), 2010.


4 オンライン文献

(日本):著者名「記事名」URL

伊藤鉄也「立体コピーで変体仮名を浮き上がらせる」http://genjiito.sakura.ne.jp/touchread/

(海外):著者名, “記事名”, URL

Jane Doe, “Aiming at universal design”, http://genjiito. sakura.ne.jp/touchread /


5 映像資料

(日本):監督名『タイトル』配給/発売、公開/発売年

アーサー・ペン『奇跡の人』東和、1963

(海外):監督名, 斜体タイトル名, 配給/発売,公開/発売年

Arthur Penn, The Miracle Worker, United Artists Entertainment LLC, 1962

※DVDの場合はタイトルの後に括弧書きで(DVD)、ダウンロード販売の場合は(DD)と併記する(DD=Digital distribution/ダウンロード販売)。

===
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2015年06月16日

3種類の変体仮名の立体コピーを作る

 立川市中央図書館のご協力をいただき、『源氏物語』「須磨」巻の巻頭部分の立体コピーを作成しました。

 これは、視覚障害者の職業支援や学校教育を担当なさっている先生から、『源氏物語』の立体コピーを読んでみたい、という連絡をいただいたので、その試験版をお送りするためです。

 今回は、先日届いたばかりの、立体コピー用紙「カプセルペーパー」を図書館に持参して作業をしました。お手伝いは、科研運用補助員の関口祐未さんにお願いしました。

 実際に作業に取りかかると、いろいろと新しいことがわかります。
 まず、コピー用紙の違いです。

 立川市中央図書館にあるカプセルペーパーは、数十年前の機器導入当時の相当古い物でした。
 それに引き換え、今回持参した用紙は、今春2月に製作されたものです。

 立体コピーの結果は意外でした。図書館にあった古い用紙の方が、線がくっきりと浮き出ているのです。シャープなのです。
 紙を長時間寝かせたものの方が、浮き上がりの具合が手に馴染んで感触がいいのでしょうか。ウヰスキーのような話です。


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 しかし、これから多くの立体コピーを作成することを考えると、残り少ない熟成物の用紙に頼るわけにはいきません。
 あくまでも、現在入手できる最新のカプセルペーパーを使うことにします。


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 もう一つ、興味深いことがわかりました。
 カプセルペーパーペーパーに最初にコピーする複写機の違いです。

 国文学研究資料館にある富士ゼロックス製のコピー機を使って、カプセルペーパーに前処理をした物を図書館の立体コピー機に通すと、少し太めのボテッとした仕上がりになったのです。

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 立川市中央図書館のリコー製のコピー機でカプセルペーパーに前処理をした物の方が、明らかにきれいに浮き上がっているように見えるのです。

 素人が見よう見まねでやっている実験なので、厳密なものではありません。複写機で前処理したときに映る黒い部分に惑わされていることも考えられます。

 しかし、国文学研究資料館で前もってコピーして持参したものは、やはり図書館の複写機で前処理してから立体コピー機にかけたものとは、その浮き出し具合に違いがあります。
 ダイヤルで熱量と圧力を変えても一緒です。

 結論としては、立川市中央図書館の複写機でカプセルペーパーに前処理をして、それを立体コピー機にかける、という工程が一番安定したサンプルが出来るようです。

 今回は、原寸、1.5倍、2倍の3種類を、圧力8で作りました。


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 これを、盲学校等に送って触読実験をしていただくことにします。

 なお、図書館で機器を操作している時に、間違ってカプセルペーパーの裏面に写本の影印をコピーしたものが、次のようなおもしろい結果を見せてくれました。
 文字が反転して浮き出したのです。


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 まさに、木版の版木に仮名文字を彫った状態となっているのです。
 これはこれで、また活用が考えられそうです。

 なお、先日の「700年前に書かれた『源氏物語』の仮名文字が自宅で浮き出たこと」(2015年06月13日)という記事で、水中ライトで文字が浮き出たことに関して、カプセルペーパーの開発元である松本油脂製薬株式会社第三事業部第三研究部の徳村幸子さんより、次のような励ましのメールをいただきました。


ダイビングのライトで文字を浮き出させることに成功とは面白いですね。
ブログを拝見させていただくと、ハロゲンランプとのこと。
ちょうどライト照射時の熱エネルギーが、黒字部分のカプセルを膨張させる熱量とマッチしたものと思われます。
化学薬品(物質)的には、特に問題はないと考えられます。
ただし、膨張させるだけの熱量が発せられているということになりますので、ライトの取扱(発熱やまぶしさなど)に御注意いただくことを推奨いたします。
簡易的に実験できることはすばらしいことと思います。
取扱に御注意いただきながら、色々と御検討いただけると幸いです。


 また、新典社の岡元学実社長から、以下の情報が届きました。


3Dプリンタを使用し変体仮名の触読サンプルを作る件につき、グラフィックデザイナーによる影印文字のモデリング(3Dソフトを使用し文字を3D化する)及び印刷会社による3Dプリンタ実機での作成が可能です。弊社がどこまで手をつけて良いのかまだ判りかねる状況ですが、一応報告いたします。
また、各種盛り上げ印刷のサンプルを集めておりますが、点字と同様に0.5ミリの高さを出せるものがあるか(通常のUV盛り上げ印刷ですと0.07ミリ程度)を基本に調べております。
実際に触読認識できるのは0.5ミリ以下からどこまでなのか。
お分かりになりますでしょうか。


 最後の「実際に触読認識できるのは0.5ミリ以下からどこまでなのか」という問い合わせについては、これから調べることになります。

 700年前に書写された『源氏物語』を触わって読む、という無謀とも言われている挑戦も、こうして牛歩の歩みながらも、着実に前進しています。
 今後の展開を、どうぞご期待ください。
 そして、触読実験の申し出と、情報提供をよろしくお願いいたします。
posted by genjiito at 22:44| Comment(0) | 視聴覚障害

2015年06月01日

日本点字図書館創設者・本間一夫生誕の地へ

 日本点字図書館の創設者である本間一夫先生は、今年が生誕100周年ということです。それを記念して、盲教育史研究会のみなさんがオプショナルツアーとして、生誕の地(旧商屋丸一本間家)の増毛町行きを組まれました。

 朝8時に札幌駅北口集合し、貸し切りバスで北上して2時間半。
 朝方は小雨が降っていました。
 増毛は留萌の少し南の港町です。

 30人以上を乗せたバスの車中では、本間先生に関するクイズ大会が企画されていました。


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 マニアックな問題も含めて、全12問に詳しい説明付きです。
 三択だったので、私も参加できました。しかし、半分くらいしか当たりません。
 全問正解者が2人もいらっしゃいました。
 質問者からのヒントや、正解をめぐる解説がおもしろくて、道中はあっと言う間でした。

 クイズが終わってから、本間先生の生涯を描いた漫画の冊子と、その点字版をいただきました。


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 ここに、出題されたクイズの答えとなる情報が満載です。
 これは、今年の3月にできたばかりの、10頁ほどの冊子です。いただいてすぐに、バスの中で拝読しました。日本点字図書館と本間一夫先生のことがわかりやすくまとめてあります。手にする機会があれば、ぜひご一読を。

 増毛町に着くころは、ほぼ雨は上がっていました。
 参加者には年配の方が多かったこともあり、「この雨には増毛効果は期待できないので一応傘を持って降りてください。」と、マイクで車内放送がありました。どっとわきました。
 地名の「増毛」を「ぞうもう」と読む、音声読み上げソフトがあるそうです。
 こんな楽しい話を小耳に挟みながら、増毛の街に入りました。

 ちょうど昨日と今日はお祭り日で、街の中心部は歩行者天国になっていました。
 地酒「國稀」は、本間家が手がけてきたお酒です。


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 本間一夫生家では、大番頭さんから詳しい説明を伺いました。
 廊下を歩くだけで、大きな家であったことがわかります。


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 本間少年が生活していた部屋も復元されています。


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 外を見ると、ちょうどお神輿が通るところでした。


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 私が一番興味を持ったのは、13歳の本間少年が口述した日記です。
 翻字されていないか確認しました。しかし、明確な答えが得られなかったので、後日調べてみます。
 事前に私が調査をしていなかったこともあり、先生方にも尋ねにくかったものですから。


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 昼食を共にしたレストランでは、指田先生とテーブルをご一緒しました。そして、『源氏物語』を触読する実験に協力してくださることになりました。さらには、福島県にいらっしゃる渡辺先生を紹介してくださるとのことです。

 昨日に続き、一気に古写本『源氏物語』の触読にチャレンジしてくださる方が増えました。
 みなさん、お忙しい日々なので、ご無理のないように触読の練習をしていただくことにします。

 帰りのバスも快調に走りました。
 途中で、休憩したところでは、山に雪が残っていました。ただし、この写真の左端なので残念ながら写っていません。


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 定刻に札幌駅に着きました。
 得るものが多かった札幌行でした。
 また、今後につながる出会いも多く、帰ってから連絡を取り合うことになります。
 「挑戦的萌芽研究」は、これからの進展が、ますます楽しみです。

 今回の研修会実施においては、主催者の日本盲教育史研究会はもとより、共催の北海道視覚障害教育史懇談会と、協賛の北海道盲学校退職校長会のみなさまの並々ならぬ情熱に支えられて、すばらしいものとなりました。単なる参加者の一人ではありますが、得難い人とのつながりや貴重な情報を一身に浴びることができ、ぜいたくな札幌行きとなりました。
 みなさんには、大変お世話になりました。
 こんなささやかな個人ブログという片隅からではありますが、篤くお礼を申し上げます。
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2015年05月31日

盲教育史研究会で多くの方々と歓談

 盛会のうちに閉会となった盲教育史研究会の後、参加者の半数となる30人以上の方々と一緒に、懇親会場があるすすきの地域へ向かいました。

 繁華街であるすすきのの交差点角には、ニッカウヰスキーのおじさんがいました。これは、「キング・オブ・ブレンダーズ」といわれるW・P・ローリーだそうです。「ブラック・ニッカ」のラベルに描かれています。ここにこのおじさんが姿を見せたのは1969年。今は3代目です。


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 懇親会場は、地元でも人気の「コロボックル(古艪帆来)」というお店でした。


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 始まる前に、『月刊 視覚障害 ─その研究と情報─』を発行しておられる星野敏康さんが、日本点字図書館の田中徹二理事長に紹介してくださいました。
 私が『源氏物語』の古写本を触読するテーマに取り組んでいることから、期せずして田中先生も早速挑戦してみよう、という展開になりました。

 「須磨」巻の立体コピーと木彫りの連綿文字をテーブルに置き、読むポイントとなる文字に人差し指を置いてさし上げると、指を小刻みに何度も何度も動かしたりなぞって、しばし思案しておられました。


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 表情が真剣で、難しい、判らないとおっしゃりながらも、2文字は確かに手応えがあったようです。少しご説明すると、なるほどと頷いておられました。

 突然の触読実験となり、引田会長や諸先生方も興味深くご覧になっていました。

 これは、私にとっても大きな自信になりました。目が見えなくても変体がなが読める、という好感触を田中先生の反応からいただけたからです。

 開会後すぐに挨拶に立たれた引田会長は、その最後に再度、異分野から挑戦をしている方の話題がこの後で語られるでしょう、とここでも好意的な言葉を添えてくださいました。

 参会者各自の自己紹介では、再三にわたってご紹介をいただいた後だったので、先ほど田中理事長に読んでいただいた『源氏物語』の立体コピーと木片を取り出して、現在の取り組み状況をお話ししました。
 そして、木彫りの連綿文字は、京都府立盲学校で岸 博実先生に見せていただいた、「七十二例法」と言う草書や行書で書かれた木片群にヒントをいただいたものである、ということと、音声の活用も考えていることを申し添えました。

 みなさんが、この古写本の触読というテーマに興味と関心を示してくださったことは、本当に心強く思います。近い将来、きっとよい成果が報告できることでしょう。

 テーブルを挟んだ前の席には、この会を取りまとめておられる岸先生がいらっしゃいました。周到な目配りと、細かな気遣いをなさる先生です。私はいつも、少しでも先生を見習おうと思っています。

 右隣の席には、北海道特別支援学校退職校長会会長の大泉恒彦先生がいらっしゃいました。
 大泉先生と『源氏物語』のお話をしているうちに、息子さんがNHK朝のテレビドラマ『まれ』に出演中の大泉洋さんであることがわかりました。大泉洋さんは私も知っています。妻は大のファンです。
 大泉先生は、広島大学の稲賀敬二先生と印象が重なる、温厚な先生でした。とても80歳以上とは思えないエネルギーが伝わってきました。

 そうこうするうちに、左隣にいらっしゃった香取先生は、国文学研究資料館が品川の戸越にあった頃にアルバイトとして行っていた、とのことでした。さらには、私と同僚の青木先生とは同級生だったとも。何とも奇遇としか言いようがありません。
 古文書を触読しているとおっしゃるので、早速持参のかな文字に挑戦していただきました。かなは勝手が違うようで、なかなか苦戦しておられました。

 少しずつではありますが、こうした集まりに顔を出すことで、今から700年前に書かれたかな文字を読む趣旨と意義をご理解いただき、お願いの輪を広げて行くことができるようになりました。

 今回は、学校の先生が多かったので、今後は学校とは関わりの薄い生活をなさっている方々にも、広くお声掛けをしていくつもりです。老若男女、幅広い方々が対象です。この触読に挑戦していただける方の紹介を、お待ちしています。

 今日は、非常に楽しく有意義な集まりに参加して、多くの方々とお知り合いになった1日でした。
 初めて来た北の大地で、充実した人との出会いを持てたことは、今後につながる大きな出来事となりました。
 折々にお声掛けいただいたみなさま、本当にありがとうございました。

 明日は、本研究会における2日目のイベントである、オプショナルツアーの報告をします。
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2015年05月30日

日本盲教育史研究会 第3回ミニ研修会(in札幌)

 札幌といえば、ライラックです。今は、紫や白い花が一番きれいな季節です。
 ちょうど「第57回さっぽろライラックまつり」が今月20日から明日まで開かれています。
 ただし、今日も明日も、非常にタイトなスケジュールの中を泳ぎ回っているので、残念ながら大通公園には行けません。移動の車窓から見ています。

 北海道には、初めて来ました。札幌は、予想外に大きな街です。
 会場へは、札幌駅前のビックカメラ前からバスで行きました。
 バスセンターが大きくて、踏み切りの遮断機のようなバーが印象的でした。


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 午前中は、今回の研究会の会場となっている、今春開校したばかりの北海道札幌視覚支援学校の真新しい校舎と施設の見学会でした。
 校舎の周りは、まだ工事中です。


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 中はすばらしい施設です。
 この廊下は、何と直線で114メートルもあります。雑巾掛けをしようものなら、向こうに行き着けるかどうか、心もとなくなってきます。


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 職員室の一角に、点字の活字棒が五十音順に並んで箱に入っていました。何に使うものか、聞き忘れてしまいました。このことは、また後日。


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 廊下の所々に、点字シールが、しかも目立たないように貼られていました。


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 街中では、これ見よがしに点字シールがあります。しかし、そのほとんどが低い位置に垂直に貼られています。あれでは、読む人は手首を直角に曲げないと触読できないので、手首がつりそうになります。車椅子の方が触読すると思って貼ってあるのであれば、それは見当違いです。
 この写真のように、手首を反り返るようには曲げず、指が自然な形で点字が読めるように貼るべきです。指をかけたり乗せたりすると、手首に負担がかからずに点字が読めるようです。

 体育館の上にあるギャラリー空間は、ランニングもできるようになっていました。
 取っ手を持って走ることもできます。


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 寄宿生のための食道では、椅子がテーブルの下で浮くように設置されていました。
 ちょうどランチタイムの前だったので、テーブルには昼食の準備がされているところです。
 私が大好きな四つ葉牛乳が置かれていました。さすが北海道です。

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 この研究会は、発足して4年目です。
 順調に会員を増やしていて、今回の参加者は、道外から26名、全体で57名もの方々が集まっておられました。もうミニではない、大きな研究会となっています。

 会場は、北海道札幌視覚支援学校附属理療研修センター2階 第1研修室です。


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 盲教育史研究会の会長である引田秋生先生のご挨拶で始まりました。その挨拶の中で、異分野からの参加として、『源氏物語』を目の不自由な方々と一緒に読む挑戦をしている者として、私のプロジェクトを紹介していただきました。そして、準備していたチラシを参加者に一斉に配布してくださいました。効果的な宣伝告知と、お心遣いに感謝いたします。

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 また、レジメは、墨字と点字の2種類です。膨大な量の資料なので、点字の資料を作成なさるのは大変だったことでしょう。


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 まず最初の講演は、佐藤忠道先生(札幌大学非常勤講師)の「北海道における盲・聾唖教育の形成過程〜戦前期の盲教育を中心として〜」です。
 わかりやすく、貴重な資料に加えて新資料も駆使してのお話でした。
 昭和24年にできた札幌聾学校は、今日のこの場所にできたのだそうです。

 今回も、講演と発表には、2人の手話通訳者が付いておられました。
 こうした配慮が、各所に見られます。事務局長の岸先生をはじめとして、関係者のみなさまのご苦労に感謝しています。

 続いて、「北海道の視覚障害教育の先達者に学ぶ」をテーマとした3人の研究発表となりました。

@シャーロッテ・P・ドレーパーと函館盲学校 (酒井 宏三 氏)
「ドレーパー夫人は、明治22年(1889)に横浜訓盲会を創立し、明治23年(1890)に採用されたばかりの石川倉次の「日本点字翻案」を取り入れて点字教育をした人です。日本最初の点字印刷機は、明治26年(1893)に印刷用として輸入したローラー式洗濯物絞り機のようなものだったそうです。」

A南雲総次郎と旭川盲学校 (伊藤 勇 氏)
「南雲は、3つの盲唖学校を開校しました。明治36年に鹿児島慈恵盲唖院、大正11年に私立北海道旭川盲唖学校、昭和22年に私立稚内盲唖学院です。また、点字計算機の研究開発に功績をあげました。観音開きで2億までの加減乗除計算ができるそうです。」

B岩元悦郎と帯広盲学校 (樋原 理恵 氏)
「岩元悦郎は、そろばん等を使わずに筆算をするための岩本式点字盤、点字数学器、点字計数板の考案者です。点字は打つと文字が裏に出るので苦心したようです。昭和11年の帝国盲教育会で、岩本は「点字数学器に就いて」と題して発表しています。左書き右読み、除法計算、分数等々、数学嫌いの私には呆然とする内容でした。それでも、面白くうかがいました。」

 研究会が終わってからは、北海道で一番知られている、すすきのへ移動しました。
 懇親会が、すすきのであるのです。

 このことは、また明日。
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2015年05月26日

立川市中央図書館で点字プリンタを使う

 今日は、出勤途中に立川市中央図書館へ立ち寄り、調査資料係でハンディキャップサービスを担当なさっている福島さんに、今私が抱えている問題の相談をしました。それは、点字プリンタに関連することです。

 今週末に、札幌で「日本盲教育史研究会 第3回ミニ研修会 in 北海道」が開催されます。それに参加するにあたって、事務局長の岸先生を通して「挑戦的萌芽研究」の宣伝チラシを現地で配布することの問い合わせをしていました。幸いにも運営委員のみなさまから歓迎との返信をいただき、ご理解いただけたことを喜んでいます。

 その回答の中に、点字版を作成するなら、という文言がありました。点字版に思いが及ばず、迂闊だったことを反省し、早速検討を始めました。今回は間に合わなくても、新たな取り組みが提示されたので、出来る時に出来ることを、という心構えで、この機会に試行錯誤を試みることにしました。

 そこで思いついたのが、立川市中央図書館にあった点字プリンタです。以前、説明を受けた時には、私の勉強不足もあり、その役割をよく理解できていませんでした。それが、このチラシの点字版という具体的な問題と直面し、自覚的にその道具の活用に思い至ったのです。

 一通り、点字プリンタの役割と、印刷するための文書を編集する「EXTRA」というウインドウズ版の自動点訳ソフトの実際を見せていただきました。現実の問題を抱えながら説明を聞くと、実によく話の内容がわかります。

 とにかく、ひらがなだけで文章を作り、それをパソコンで点字に変換して印刷するのです。
 ということは、チラシの文言をすべてひらがな書きにする必要があります。また、その表記は分かち書きによるもので、それなりのスタイルに整形しておくことも大事なことでした。

 頭の中を新しい知識でいっぱいにして、職場に向かいました。

 先日紹介した、立川駅前の原っぱで草を食むヤギさんたちは、今日の暑さにもめげずに除草作業という任務を遂行中です。


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 午後は、科研運用補助員として来ている関口さんの奮闘を得て、配布予定だったチラシの文言のすべてを、ひらがなの分かち書き表記文に作り替えることができました。

 それを持って、立川市中央図書館へ向かいました。
 職員の出退勤管理が厳密な職場なので、関口さんの勤務様態が国文研内ではなくて立川市中央図書館に変更となることと、その勤務に関しては私が全責任をとる旨を記した理由書を作成し、それを事務にはあらかじめ提出してありました。モノレールで1駅の所へ行って仕事をするのにも、こうした事務的な文書が発生するのです。

 立川市中央図書館では、ハンディキャップサービス担当の早坂さんと、以前この部署にいらっしゃった小林さんも助っ人としてお出でくださり、いろいろと手助けをしてくださいました。本当にありがたいことです。

 自動点訳ソフトの「EXTRA」で作業中の画面は、こんな感じでした。


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 実際にはもう1段上にエリアがありますが、それは省略しています。
 ひらがな文が点字に置き換えられていくのは、実に気持ちのいいものです。と言っても、まだ私は自由に点字が読めるわけではありませんが……

 これを点字プリンタで印刷すると、こんな感じで打ち出されます。


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 初めて自分が関わった点字文書なので、大きな感動がありました。
 ただし、予想に反して、点字プリンタから排出されたものは、3頁にわたっていました。1頁で打ち出される分量だと思っていたので、これをよい教訓にして認識を改めます。簡潔で要を得た文にすることが要諦だと知りました。

 実は、この図書館に来る直前に、国立民族学博物館の広瀬浩二郎さんにメールを出していました。それは、立川市中央図書館が使っている自動点訳ソフト「エクストラ」で読み込める、フリーの点訳ソフトでおすすめのものを尋ねるものでした。

 広瀬さんは、全盲にもかかわらずメールの返信が非常に速いので、目の見える私はいつも自戒しています。
 今日も、中央図書館で作業をしているときに、返信が届きました。

 広瀬さんからの返信には、別件の回答と共に、自動点訳ソフトについての詳細なアドバイスと、点訳資料を作成する上での貴重な意見が記されていました。こうしたことを教えてもらえるのは、本当に嬉しいことです。広瀬さんの人柄と共に、感謝感謝の思いで目を凝らして読みました。

 私が一人占めにしてはもったいない情報が書かれていたので、そのアドバイスをまとめて記しておきます。

 その前に一言。これも反省事項です。

 6月14日(日)の午後、地下鉄九段下駅すぐそばの千代田区立千代田図書館で、今回新規採択された「挑戦的萌芽研究」の第1回研究会を開催します。その案内状を協力者のみなさまに送りました。その中で、集合場所として「1階ロビー」としたことに関して、広瀬さんのメールには以下のようにありました。


 僕たち視覚障害者は初めて行く場所が苦手です。
 最寄駅から会場まで、晴眼の方に同行していただけると、いちばん安心です。
 九段下の駅までは独力で行けるので、改札口などで待ち合わせをしてもらえると、ありがたいです。
 ご検討ください。


 いやはや、お恥ずかしい限りです。配慮が足りませんでした。
 早速、駅の改札口で、という対処をします。

 目や耳が不自由な方々と一緒に『源氏物語』の古写本を読もう、というプロジェクトを立ち上げることによって、私はこれまで持っていなかった目をもう1つ得ることができました。それは、目の見えない人や耳が聞こえない人の感覚で、日常生活のそこここに目や耳が向くようになったことです。これまでは、そうした視点を持っていなかったので、自分が見知っていたことの狭さを、あまりにも狭小であったことを実感する日々です。

 私は、2個の見える目を持っています。これまでも、この目でいろいろなものを見てきました。見てきたと思っています。しかし、今は別の視点でものを見る目を持った自分が、自分の中にもう1人いるのです。視点が2つになった意義の大きさを痛感する日々です。長生きはするものです。いろいろなことに挑戦すべきです。思いもよらない生き方があるものですから。

閑話休題

 広瀬さんから自動点訳ソフトについて教えていただいたことを、取り急ぎ列記します。


(1)自動点訳ソフトを使うと、点字の知識がなくても点訳資料が作れる。
(2)自動点訳ソフトの変換効率は、英語の場合はほぼ100パーセント完璧な点字文ができる。日本語は読み間違いや点字の分かち書きのミスが出るため、完成度は80〜90パーセント。
(3)最終的には点字を知っている人が校正しなければ、正しい点字文にはならない。


 そして、さらに重要な指摘をいただきました。それは。


(4)「8割、9割の完成度でも、なんとか意味が通じるなら、自動点訳ソフトは有効である」という考えが一つ。
(5)「自動点訳ソフトの普及により、いいかげんな点字が流布するのは好ましくない」という考えもある。
(6)役所などから送られてきた点字が「いいかげんな点訳=自動点訳されたそのままのデータ」だと、あまりいい気はしない。
(7)外国でちょっとおかしな日本語表記に出合うのと同じ感じ。
(8)この科研プロジェクトの関連資料を(僕や高村先生のために)点訳してくださるのだとしたら、とりあえずは自動点訳したままの「ちょっと怪しい」点字文でもいいと思います。僕と高村先生なら、事情もわかるし、不十分な点訳でも、ないよりは、あった方がいいです。
(9)ワークショップなどで、不特定多数の視覚障害者に点字資料を配布する場合は、やはりきちんと校正した点字文にすべきです。いいかげんな点字資料を配布していたら、本プロジェクトの信頼にも悪影響を与えるでしょう。
(10)点字の校正をするためには、それなりの知識と経験が必要です。
(11)「EXTRA」があれば、他のソフトがなくても墨字データの自動点訳ができる。


 ここにあげた1つ1つが、私にとっては貴重なアドバイスです。ありがとうございます。
 そして、拙速は控えて、札幌には点字資料は持って行かないことにしました。

 さらにもう1点補足します。

 図書館の福島さんがチラシの文字を見て、ゴチックの方が弱視者などは助かるはずです、というアドバイスをくださいました。そうでした。広瀬さんからも聞いていました。本にも書いてありました。うっかりしていました。

 ことほどさように、私の注意力はまだまだ目の見えない方々には届かないレベルです。しかし、少しずつものが見え出したので、前に進んではいるようです。

 とにかく、新しい刺激を全身に浴びながらの日々に身を置いていることを実感しています。
 いろろいな方々にご迷惑をおかけしているかと思います。しかし、こうして秒針分歩の中にいることをご理解いただき、遠慮なく変わらぬご教示のほどを、どうかよろしくお願いいたします。
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | 視聴覚障害

2015年05月23日

視覚障害に関する本ブログの関連記事一覧

 最近、いろいろと問い合わせを受けて、過去のブログの紹介をすることが増えました。
 その1つ1つを抜き出すのも時間がかかることになってきたので、あらためて一覧にしました。
 ここには、本日までに公開した60本の記事が、降順(逆順)に並んでいます。
 
 
視覚障害者・点字・点訳・盲教育・触常者に関する記事一覧(2015年05月23日 現在)
 
「視覚障害に関する本ブログの記事一覧」(2015年05月23日)

「有明での教育ITソリューションEXPO(EDIX)雑感」(2015年05月22日)

「大阪府八尾市にある会社へ立体コピーの調査に行く」(2015年05月14日)

「立川市中央図書館へ科研採択の挨拶と報告に行く」(2015年05月12日)

「新規科研のホームページができました」(2015年04月22日)

「読書雑記(121)中野真樹著『日本語点字のかなづかいの歴史的研究』」(2015年04月02日)

「速報・科研費「挑戦的萌芽研究」で内定通知をいただく」(2015年04月01日)

「読書雑記(120)新井たか子著『愛情の庭 若き盲女の日記(復刻版)』」(2015年03月20日)

「立川市中央図書館で源氏写本を再度立体コピー」(2015年03月17日)

「読書雑記(118)ジェラルド・グローマー『瞽女うた』を読んで」(2015年03月16日)

「「京都視覚障害者文化祭典」で弱視の方のお点前をいただく」(2015年03月01日)

「京都駅前で充実した時間を過ごす」(2015年02月27日)

「視覚障害者と写本文化を共有するための47本の記事一覧」(2015年02月10日)

「谷崎全集読過(21)『盲目物語』」(2015年02月03日)

「祝「日本盲教育史研究会」の公式ウェブサイト公開」(2015年02月01日)

「読書雑記(117)嶺重慎・広瀬浩二郎編『知のバリアフリー』」(2015年01月31日)

「お茶のお稽古の後に視覚障害者のことを想う」(2014年12月23日)

「学術交流フォーラムの音楽ワークショップで受けた刺激」(2014年12月21日)

「視覚障害者と共に古写本を読むためのポスター発表をする」(2014年12月20日)

「読書雑記(115)大胡田誠著『全盲の僕が弁護士になった理由』」(2014年12月02日)

「テレビドラマ『全盲の僕が弁護士になった理由』を観て」(2014年12月01日)

「バリアフリーやユニバーサルデザインから学ぶこと」(2014年11月28日)

「読書雑記(114)三宮麻由子『目を閉じて心開いて』と『源氏物語』」(2014年11月25日)

「『月刊 視覚障害 11月号』に紹介された広瀬さんと私」(2014年11月05日)

「読書雑記(112)『愛盲―小杉あさと静岡県の盲教育』」(2014年11月04日)

「第12回オンキヨー世界点字作文コンクールの表彰者」(2014年11月03日)

「自動車運転免許証を自主返納せずに更新する」(2014年11月01日)

「立川市中央図書館で聞いた視覚障害者への対応」(2014年10月29日)

「〈筆順・縦書き〉問題とパソコン業界の日本語放棄の潮流」(2014年10月24日)

「日本盲教育史研究会に参加して(その3/3)」(2014年10月13日)

「日本盲教育史研究会に参加して(その2/3)」(2014年10月12日)

「日本盲教育史研究会に参加して(その1/3)」(2014年10月11日)

「筑波大学附属視覚特別支援学校訪問記」(2014年10月10日)

「日比谷図書文化館で『源氏物語』を読み始める」(2014年10月02日)

「知的財産権について考える」(2014年09月24日)

「私にも障害を持つ方のお役にたてることがあったのです」(2014年09月20日)

「江戸漫歩(87)霞ヶ関ビルで開催された総研大の教授会」(2014年09月19日)

「読書雑記(109)広瀬浩二郎のことば切り抜き帳(1)」(2014年09月18日)

「読書雑記(108)佐藤隆久著『日米の架け橋』への不信感」(2014年09月17日)

「視覚障害者と写本文化を共有する接点を求めて」(2014年09月15日)

「日南町散策と写本を木に彫る相談」(2014年09月14日)

「日南町でハーバード大学本「須磨」を読む」(2014年09月13日)

「読書雑記(107)中津文彦『つるべ心中の怪 塙保己一推理帖』」(2014年09月03日)

「読書雑記(106)中津文彦『塙保己一推理帖 枕絵の陥し穴』」(2014年08月29日)

「視覚障害者が古写本『源氏物語』を書写できるか?」(2014年08月22日)

「京都府立盲学校の資料室(その2)」(2014年08月05日)

「京都府立盲学校の資料室(その1)」(2014年08月04日)

「京洛逍遥(332)京都芸術センターの中の前田珈琲」(2014年07月24日)

「読書雑記(104)中津文彦『塙保己一推理帖 観音参りの女』」(2014年07月16日)

「江戸漫歩(82)高田馬場の「日本点字図書館」へ」(2014年06月20日)

「京洛逍遥(322)京都ライトハウスにて」(2014年06月12日)

「目の不自由な方と写本を読むために(2)」(2014年06月05日)

「目の不自由な方と写本を読むために(1)」(2014年06月04日)

「早朝の地震の後、渋谷の温故学会へ」(2014年05月05日)

「西国三十三所(20)壺阪寺」(2010/10/20)

「【復元】縦書き & 横書き」(2010/4/21)

「【復元】点字本『源氏物語』(全3冊)」(2009/9/10)

「点字本『源氏物語』(その後)」(2009/9/9)

「インド人留学生の眼(2)「日本の常識の不思議」」(2008/12/3)

「心身(22)身体への不安」(2008/9/1)
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2015年05月22日

有明での教育ITソリューションEXPO(EDIX)雑感

 江東区有明にある東京国際展示場「東京ビッグサイト」で開催中の「第6回 教育ITソリューション EXPO(EDIX)」に行ってきました。
 これは、教育分野においては日本最大の展示会で、広大な会場に620社が出展していました。


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 教育現場におられるみなさんが、日頃の山積する課題を解決する手掛かりを得るために、新しい発想による知的刺激に満ちた製品やツールを、直接見聞きする出会いの場となっています。「日本最大の学校向けIT専門展」といわれるゆえんです。

 全国各地から学校と教育関係者がいらっしゃっていることが、会場を回るだけでわかります。
 eラーニングや教育教材の開発に関する出展が目立ったのは、私の問題意識がそこにあったからでしょうか。

 事前にウェブサイトで、「特別支援教育教材・コンテンツ」というジャンルの出展カテゴリーで検索したところ、24件の業者がリストアップされました。
 今回は、全620社のブースはくまなく見ました。特に、あらかじめリストアップした24社の展示場所は、可能な限り展示物と説明パネルやパンフレットを確認するようにしました。

 しかし、実際に目の不自由な方と一緒に『源氏物語』の古写本を読むためのヒントがもらえる出展は、たった3社にしかすぎませんでした。これにはがっかりしました。
 各企業共に、まだこうした支援教育の分野には手をつけておられないようです。
 今後に期待しましょう。

 今日の時点では、今後とも協力が得られる会社との幸運な出会いは、残念ながらありませんでした。しかし、次の3社とは可能性があると思って、名刺交換をしました。記録ということで、以下に紹介がてら書き留めておきます。
 
(1)シナノケンシ株式会社の「PLEXTALK Producer」
 これは、「音声を聞きながら、同時に絵や写真を見ることができる。」というところに、私の注意が向きました。
 『源氏物語』の写本の立体文字を触りながら、音声による説明が聞ける仕掛けを創る際に、もう一工夫すれば活用できそうです。
 「マルチメディアDAISYが作りやすいソフトウェア」だとか、「ルビや発音設定による読み情報補正機能を搭載」という宣伝文句も、気に入りました。
 予定している『変体仮名触読字典』や『点字版古文学習参考書』でも、有効に活用できるものになりそうです。
 福祉・生活支援機器ビジネスユニット プロジェクトリーダーの西澤さんには、私の名刺と一緒に、科研「挑戦的萌芽研究」の内容をまとめたチラシを手渡しました。


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 私のプロジェクトに魅力を感じられたら連絡をください、と一言申し添えることを忘れませんでした。
 科研のテーマである「視覚障害者と共に古写本の仮名文字を読み日本古典文化を共有するための挑戦的調査研究」という長い文字列は、よく意味がわからなかったのか視線が動いたのは一瞬でした。
 しかし、この会社の製品との接点はありそうなので、『源氏物語』という語句に興味を示され、連絡があることを待つことにします。
 
(2)東芝ソリューション株式会社の「音訳支援クラウドサービス DaisyRingsトレードマーク(TM)
 これは、今日のプレゼンテーションを見て興味を持ったものです。
 音声合成を活用してオーディオブックの作成を支援するものなので、『源氏物語』の古写本に書写された物語本文を、翻字データを参照しながら読み上げたり、変体仮名の説明に活用できます。
 また、膨大な手間と時間のかかる音訳作業において、これはその軽減化に一役かいそうです。
 今年の7月からサービスを提供するとのことでした。
 官公ソリューション事業部 事業推進部 参事の木田さんの名刺をいただきました。
 こことも、接点がありそうなので、今後の連絡を楽しみに待つことにします。
 
(3)光村図書出版の「国語デジタル教科書」
 eラーニングと一緒に、デジタル図書やデジタル教科書の展示はたくさんありました。
 その中でも、今日のところは、光村図書出版の「国語デジタル教科書」に目が留まりました。
 また、「書写デジタル教科書」や「わくわく古典教室」と「わくわく漢字伝」も、目の見えない方々と一緒に古写本を読むときに、有効活用できそうな手法が盛り込まれているように思われます。
 

 今回、展示会場を駆け回り、教育分野でのITがおもしろい展開を見せていることを実感しました。

 私は数十年前に、大阪府立高校2校のコンピュータ導入にかかわりました。機種選定に留まらず、部屋のレイアウトや床下配線等々…… 他に人がいなかったことと、提案者として責任を取らされた、という事情もありました。
 やっと2バイトのひらがなと漢字が使えるようになった時代のことです。

 また、短期大学での情報教育文具としてのコンピュータの導入にも深く関わりました。そのときは、ネットワークを活用した教育支援システムを、マッキントッシュ50台で組みました。
 国語や文学・語学教育にコンピュータがどのように活用できるのか、先が見えない中でひたすら夢を描きながら挑むことができた、コンピュータ元年といわれていた過去の話です。
 懐かしく思い出すと共に、今日の熱気を肌身に感じて、今後とも教育分野の変化が楽しみになりました。

 そうした中での、目が見えない方々と一緒に古写本を読む試みは、このIT分野の参加協力なしには実現しないことはわかっています。
 よきパートナーとの出会いがありますように。
 今後とも、人と情報と物を求めて、可能な限り出歩いていきたいと思います。
posted by genjiito at 22:26| Comment(0) | 視聴覚障害