2018年01月17日

科研(A)「海外における平安文学」の第10回研究会のご案内

 2017年4月に、科研・基盤研究(A)で新たに採択された「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(研究代表者・伊藤鉄也、課題番号:17H00912)における第2回目(通算第10回)の研究会を、以下の通り東京で開催します。

 広く公開していますので、興味と関心をお持ちの方の参加を歓迎します。
 懇親会だけの参加でも構いません。
 なお、参加を希望なさる方は、準備の都合上、前日夜までにはこのブログのコメント欄を利用して連絡をいただけると幸いです。


2017年度 伊藤科研 第10回研究会

日時:2018年1月20日(土)14:30〜18:00(開場:14:00)

場所:水道橋駅前ホール
(東京都千代田区三崎町2-9-5 水道橋TJビル 2F 202号室)

海外における平安文学


・挨拶(伊藤鉄也) 14:30~14:35
・自己紹介 14:35~14:50
・報告「2017年4月〜12月までの研究報告」(淺川槙子) 14:50~15:00
・報告「2018年度の研究計画」(池野陽香) 15:00~15:10
・研究発表「インドにおける『源氏物語』の読みのパラダイム:ウルドゥー語の翻訳を通して@」(モハンマド・モインウッディン) 15:10~15:40
・研究発表「中国における世界文学としての『源氏物語』−中国語訳の序を通じて−」(庄婕淳) 15:40~16:10
・休憩(10分) 16:10~16:20
・研究紹介「「翻訳論」の意味を考える」(谷口裕久) 16:20~16:30
・研究紹介「『今昔物語』に現れたインドのイメージ」(佐久間留理子) 16:30~16:40
・研究発表「翻訳書籍の展示報告」(池野陽香) 16:40~16:55
・研究発表「『源氏物語』ベトナム語訳し戻し」(松口果歩・松口莉歩) 16:55~17:15
・研究発表「橋本本における『は』と『ば』」(門宗一郎・田中良) 17:15~17:25
・ディスカッション 17:25~17:50
・連絡事項 17:50~17:55

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懇親会【膳菜や 水道橋店】
所在地:〒101-0061東京都千代田区三崎町2-9-2鶴屋ビルB1
電話番号:050-3462-1443
アクセス:水道橋駅東口から徒歩2分。研究会会場(水道橋駅前ホール)からすぐ
URL:https://r.gnavi.co.jp/g299403/
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2018年01月12日

高校生が出す年賀状と『拾遺集』を回覧したこと

 今日は高校で、新年最初の授業がありました。年頭の話をする中で、年賀状のことに触れました。年賀状を一通も出さなかった生徒はちょうど半数でした。逆に言えば、半数は出したのです。私は、出した生徒はもっと少ないと思って聞いたつもりでした。スマホなどのコミュニケーションツールが普及したことから、わざわざハガキを使わないと思っていたので、これは意外でした。
 この17歳の女性徒たちは、さまざまなつながりを楽しんでいる、と思ったらいいのでしょうか。これも、一つの日本文化を継承している姿だと言ってもいいのでしょうか。そして、男子たちはどうしているのでしょうか。いつか確認してみたいと思っています。

 続く日本文学史の時間には、三代集の一つである『拾遺和歌集』の複製本を回覧しました。これは、『復刻日本古典文学館〈特装版〉山岸徳平蔵 拾遺和歌集〈限定四二〇部〉』(山岸徳平 解題、日本古典文学会、ほるぷ出版、昭和五十三年三月)として刊行されたものです。

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 回すにあたり、見てほしいと言ったことは、次の8点です。

(1)桐の箱に入っていること。
(2)白い絹の布で包まれていること。
(3)少し縦長の本であること。
(4)中に古筆鑑定家の極め札が貼り付けてあること。
(5)裏表紙が金の色の紙であること。
(6)8つの束ねた紙を糸で縫ってあること。
(7)ページが左右に平らにきれいに開くこと。
(8)桐の箱の裏に小さな穴があいていること。


 みんな、興味津々で触っていました。複製とはいえ、非常に精巧な作りです。歌集というものの原本の姿を目の前にして、しかも実際に手で触ることは、文学の歴史を理解する上で大事なことだと思っています。教科書からの文字による情報だけでなく、身体で書物というものを実感することも大切だからです。これは、私が目の不自由な方々とのお付き合いの中で、自然と体得したことです。千年近くも前の短歌が、こうして紙に書かれ、糸で綴じた冊子としてまとめられていることを、直に目と指の感触を持って実見するのです。
 この次は、和歌が巻き物になっていた姿も見てもらおうと思っています。

 昨秋の授業では、平安時代に書かれた3冊の日記を回覧しました。影印本として刊行されている『和泉式部日記』(三条西家本)・『紫(式部)日記』(黒川本)・『更級日記』(御物本)です。いずれも、宮内庁書陵部ご所蔵の古写本でした。今回は、さらに豪華な装幀の本です。
 いつかどこかで、こうした和本の手触りや姿を思い出してくれたら、との思いから、こんな機会を授業の中に作っています。
 
 
 
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2017年12月31日

京洛逍遥(481)大晦日に京都護国神社と錦市場へ行く

 坂本龍馬と中岡慎太郎に関する調査で、大晦日にも拘わらず高台寺の裏にある京都霊山護国神社へ行きました。長い坂を登った所にあります。

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 墓地には実に多くのお墓がありました。
 案内板に記された人名を手がかりにして、龍馬に関わる明治維新の人々のお墓と、その墓石に刻まれた文字を確認して廻りました。

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 大政奉還150周年、明治維新から150年という節目の年ということもあり、龍馬と慎太郎の像には国内外から次々と人が立ち寄っています。人気のスポットのようです。

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 ここには、とにかく多くの明治維新に関係する人々のお墓があるので、お墓の案内板があっても、誰の墓がどこにあるのかを探すのも大変です。
 そんな中で、偶然ながら東京裁判でただ一人日本は無罪だと主張した、パール判事の顕彰碑があることがわかりました。
 ただし、そこへ行く途中で、「平和の杜」にあった記念碑の裏面に、ビルマ(現・ミャンマー)派遣軍の方が建立されたことが記された碑を見かけました。年明け早々にミャンマーに行くので、これも何かの縁だと思い、写真に収めました。

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 池を挟んだ右側には、「満州開拓青年義勇隊碑」もありました。

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 両親がいた満州のことになると、無意識に反応します。両親は命からがら、満州から終戦後に日本に帰ってきました。親がそのことを話をしてくれなかった、ということよりも、聞かなかった自分の不徳を申し訳なく思っています。もっと戦争のことを聞くべきでした。両親は艱難辛苦の末に、やっとのことで過ごしながら、私と姉を育ててくれました。機会あるごとに、感謝の気持ちを伝えるようにしています。

 パール判事のエリアは、狭いながらも引き込まれます。

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 パール判事に関しては、中島岳志氏の本で得た知識が大半です。
 「読書雑記(2)『パール判事』快著誕生」(2007年08月02日)
 こうしたところに来たことも縁なので、今後はもっとあの戦争について考えたいと思っています。

 龍馬と慎太郎のことを確認できたので、その流れで河原町に下り、「坂本龍馬 中岡慎太郎 遭難之地」という石碑の横にある回転寿司屋のかっぱ寿司に入りました。

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 その足で、毎年恒例となっている大晦日の錦市場で、お正月用品やお節料理の材料を買いに行きました。この錦市場には伊藤若冲がいたところということもあり、各お店のシャッターには若冲の絵が描かれていて壮観です。

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 これでお正月の準備は万端です。
 2018年が良い年になりますように。
 
 
 
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2017年12月23日

緊急連絡︰明年一月のミャンマー行きを延期します

 慌ただしい年の瀬に、突然のことながらミャンマー行きを延期することになったお知らせです。
 かねてより進めていたミャンマーへの調査旅行に関して、ビザが出発日までに間に合わないことがわかりました。残念ながら、延期します。

 関係するみなさま、急遽このような事態となり延期としますので、各自のご都合をお知らせください。

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 先週からミャンマー行きのビザ取得などで、伊藤の科研(A)の研究分担者である谷口裕久先生が、精力的に動いてくださっていました。いくつかの業者や、オンライン申請についても検討してくださいました。
 しかし、残念なことに、予定していた出発日である1月20日までに、ビザが取得できないことが確定しました。ミャンマー国内での移動において、航空券のお客様控えが不可欠だということです。手配の完了を確認したいということが、今回は最大のネックとなったのです。
 その他、1月4日がミャンマーの独立記念日です。さらには、8日の成人の日の月曜日まで、大使館は続けて休む可能性が高い等のことも絡んでいます。

 ミャンマーの国内での航空券の控えが先に必要だとなると、ビザを一括申請するために東京のミャンマー大使館に行くことの意味もなくなります。旅程の行程表と予約一覧が必要なので、今からでは出発には間に合いそうにないのです。無理はしない、というよりも慌ただしく飛び回らないことを優先することにしました。

 今回の経緯を谷口先生から報告していただき、何度か連絡をとりながら、旅行と観光についていい勉強をさせられました。
 そこで現在は、2月にミャンマーからインドへ渡るプランに切り替えて、慎重に練っているところです。

 いずれにしても、もう少し時間をください。
 早急に次善の策を講じて、年明け早々にはビザなどの手続きに着手します。

 取り急ぎ、関係者への緊急連絡です。
 
 
 
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2017年12月18日

ミャンマー政府ホテル観光省からの研修生の「修了証書」授与式

 今日は、大阪観光大学の明浄1号館3階にある明浄ホールで、「ミャンマー政府ホテル観光省 研修生 修了証書 授与式」がおこなわれました。ミャンマーからお越しの俊英5名が9月から3ヶ月間、初めての慣れない日本での生活を乗り切って、無事に研修を終了なさったのです。おつかれさまでした。

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 今日のみなさまの挨拶をうかがい、この3ヶ月間に日本語が格段に上達なさったことが、その話しぶりからよくわかりました。多くの得難い実務の体験や勉強の成果が、今後の日本とミャンマーの文化交流に生かされることでしょう。
 来月の下旬にミャンマーへ行く計画を練っている私にとっても、心強いことだと思いながら祝福の拍手を送りました。

 この式典の直前に、5名のみなさまが私の研究室においでになりました。そして、プランニング中の私の渡航に関して、親しく相談に乗ってくださいました。ありがとうございます。
 今日の段階で、おおよその旅程がまとまって来ました。もっとも、また大幅に変更になるかと思いますが……

■目的
 ミャンマーにおける、日本文学と日本文化に関する研究情報と関連書籍と翻訳本の調査収集。
 1.日本学を研究しておられる先生や学生に会う
 2.日本の文学や文化に関する研究情報を収集する
 3.日本の文学や文化を翻訳した書籍を入手する


 今回この旅に参加されるみなさんは、過密スケジュールの中を調査研究の協力をしてくださいます。そのため、慌ただしい行程となっています。ご協力をありがとうございます。

 現地の研究情報や翻訳本などの資料収集の成果は、今年度中に公開します。楽しみに、お待ちください。
 
 
 

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2017年12月06日

日本とミャンマーの国際交流研究会に出席して

 大阪観光大学の2階にある国際交流サロンで、観光学研究所主催の「日本とミャンマーの国際交流研究会」がありました。
 今回は、以下の趣旨と内容で開催されました。配布資料から、そのプログラムを引用します。

 ミャンマー政府ホテル・観光省職員5名の当大学での研修終了にあたって、学内で日本とミャンマーの国際交流研究会を開催します。
 研修生の所属に合わせ、テーマを「ミャンマーの食と観光」とし、プロモーションの観点でプレゼンテーションしてもらうとともに、日本人にいかにしてミャンマーをPRできるかについて参加者と討議します。

タイトル:日本とミャンマーの国際交流研究会
テーマ:「ミャンマーの食と観光」
期日:12月6日(水)15:00−16:30
   *意見交換会 16:30−17:00
場所:大阪観光大学国際交流サロン
主催:大阪観光大学観光学研究所
コーディネーター:大阪観光大学観光学部 中村忠司

プログラム:

発表1 「ミャンマーの観光について」  ミャンマー政府ホテル・観光省
       ティッパイン・チョ(日本語) テッテッ・ウェー(英語)

発表2 「ミャンマーの食について」   ミャンマー政府ホテル・観光省
     テーザー・トゥン(日本語) タンザー・チュー・ジン(英語)

発表3 「日本におけるミャンマーのプロモーションの検討」
               大阪観光大学 中村忠司(英語、日本語)

質疑応答

*発表の視点:地域再生、イベント、ユニバーサル、女性、健康


 まだミャンマーに行ったことのない私にとって、非常に興味深い内容でした。
 最後に私は、一つ質問をしました。それは、日本文学作品でミャンマー語に翻訳されている本を集めたいと思っていることです。
 これに関しては、実際にミャンマーに行けば、いろいろとお手伝いしていただける、という回答をいただきました。
 これまでがそうであったように、実際に現地に足を運ぶと、書籍はもとよりさまざまな情報が集まります。大学の先生のみならず、図書館の司書の方とお話をする中で、貴重なものが得られるのです。こうした手法で、海外における日本文学に関するたくさんの情報をこれまでに得て来ました。
 今、私の手元には、ミャンマー語訳の日本文学関連の書籍も情報も皆無です。これは、自分で実際に行って収集して来るしかありません。
 ということで、来週は具体的に現地調査についての打ち合わせをすることになりました。
 これに関連する情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ご教示いただけると幸いです。
 
 
 
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2017年12月01日

翻訳本のミニ展示・第六弾は《上代・中世・近世文学》

 6回目となる翻訳本の展示替えをしました。
 大阪観光大学の図書館3階の一角を借りて、日本文学作品の翻訳本を展示しています。
 これで、本年度のミニ展示は終了します。
 今回も、『源氏物語』以外の作品として、上代・中世・近世文学の諸作品をご覧いただきます。
 20冊の翻訳本を並べました。ただし、今回も個人的に持っている本ということもあり、平安時代以外の本は極端に少なくなりました。お手元に余っている翻訳本がございましたら、ご恵与いただけると幸です。
 なお、これまでに展示した翻訳本と書誌情報は、一冊のパンフレットとしてまとめる準備を進めています。明年3月までには発行しますので、しばらくお待ちください。

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 この展示で見ていただくのは表紙だけです。しかし、それでも多彩な各国の顔がうかがえますので、どうぞお楽しみください。

 今回も、展示ケースの上にプリントを置きました。ご自由にお持ち帰りください。以下に、その内容を参考までに引用します。



《世界中の言語に翻訳された上代・中世・近世文学》



  平成29(2017)年11月30日(木)〜
       平成30(2018)年3月30日(金)

          於:大阪観光大学 図書館3階

 今回の特設コーナーでは、翻訳された上代文学・中世文学・近世文学の表紙デザインの多彩さを楽しんでいただけるような選書をしました。各国で古典文学作品がどのように受容されているか、という視点でご覧いただけると幸いです。

【上代文学・中世文学・近世文学が翻訳されている21種類の言語】
イタリア語・英語・韓国語・スペイン語・タイ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・デンマーク語・ドイツ語・トルコ語・ハンガリー語・ヒンディー語(インド)・フランス語・ブルガリア語・ベトナム語・ベンガル語(インド)・ポーランド語・ポルトガル語・ラトビア語・ルーマニア語・ロシア語


【展示している作品】
上代:『古事記』、『風土記』、『万葉集』

中世:『山家集』、『住吉物語』、『徒然草』、『東関紀行』、『とはずがたり』、能(『葵上』、『敦盛』、『綾鼓』、『生田』、『生贄』、『烏帽子折』、『杜若』、『景清』、『通小町』、『邯鄲』、『砧』、『熊坂』、『絃上(玄象)』、『猩々』、『須磨源氏』、『隅田川』、『卒塔婆小町』、『高砂』、『谷行』、『田村』、『張良』、『経正』、『錦木』、『白楽天』、『羽衣』、『橋弁慶』、『鉢の木』、『初雪』、『船弁慶』、『放下僧』)、『弁慶物語』、『毎月抄』

近世:『心中天網島』、『懐硯』、『万の文反故』



≪ 上 代 ≫


☆『古事記』
◯イタリア語訳『古事記』(2006年)
パオロ・ヴィランニによる訳。
表紙には、アイボリー色の地にタイトルと古事記の文字。

◯タイ語訳『古事記』(2010年/タイの暦で2553年と記載)
スワンダラー・アッタヤにより、『古事記』に登場する神と神話、神社の話が翻訳されている。
表紙には、日本地図、花、渦巻き模様。

☆『風土記』
◯英訳『風土記』(1997年)
ミチコ・山口・青木による訳。
表紙には、赤茶色の地に金色の字でタイトル、同じく金色で月と木。

☆『万葉集』
◯英訳『万葉集』(2009年)
中村久司による訳。
表紙は風景写真の地に緑色と桃色の絵の具をかける。

◯スペイン語訳『万葉集』(1992年)
ジェニ・ワキサカによる訳。
表紙は『万葉集』第4巻543にある笠金村の歌「大君の行幸のまにま〜立ちてつまづく」のうち、「(真土山 越ゆら)む君は〜すべを」までの写本の画像。裏表紙には、同歌の画像が全文掲載。

◯中国語訳『万葉集』(2002年)
赵乐甡による訳。
表紙は徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「橋姫」。


≪ 中 世 ≫


☆『山家集』
◯英訳『山家集』・『聞書集』(1991年)
バートン・ワトソンによる訳。
表紙は岩佐又兵衛が西行を描いたもの。

◯英訳『山家集』(2003年)
ウィリアム・R・ラフレールによる訳。
表紙は加山又造『花』(東京国立近代美術館蔵)。

☆『住吉物語』
◯イタリア語訳『住吉物語』(2000年)
カロリーナ・ネグリによる訳。
表紙は早稲田大学蔵『住吉物語』の絵。

☆『徒然草』
◯中国語訳『徒然草』(2004年)
王以鑄による訳。
表紙の上部には草の絵。

☆『東関紀行』
◯フランス語訳『東関紀行』(1998年)
ジャクリーヌ・ピジョ−による訳。
表紙は『西行物語絵巻』の一部。

☆『とはずがたり』
◯フランス語訳『とはずがたり』(2004年)
アラン・ロシェによる訳。
表紙はいわゆる引目鉤鼻の女性の顔を描いたもので、絵巻の一部と思われる。

☆能に関する翻訳書籍
◯能に関する翻訳書籍(英語・1959年)
『通小町』、『須磨源氏』、『熊坂』、『猩々』、『田村』、『錦木』、『砧』、『羽衣』、『景清』、『葵上』、『杜若』、『張良』、『絃上(玄象)』
エズラ・ウェストン・ルーミス・パウンド/アーネスト・フランシスコ・フェロノサによる訳
パウンドがフェロノサの遺した原稿を英文でまとめたもの。能の写真が掲載されている。
表紙は、能の写真を中心にチャールズ・カプランがデザイン。

◯能に関する翻訳書籍(英語・1965年)
『敦盛』、『生田』、『経正』、『熊坂』、『烏帽子折』、『橋弁慶』、『景清』、『鉢の木』、『卒塔婆小町』、『綾鼓』、『葵上』、『邯鄲』、『放下僧』、『羽衣』、『谷行』、『生贄』、『初雪』、『白楽天』
アーサー・ウェーリーによる訳。
上記の作品の他に、代表的な作品と狂言についての解説を掲載。
表紙はクリーム色の表紙に橙色でタイトルの文字。

◯能に関する翻訳書籍(英語・1981年)
『敦盛』、『生田』、『経正』、『熊坂』、『烏帽子折』、『橋弁慶』、『景清』、『鉢の木』、『綾鼓』、『葵上』、
『邯鄲』、『放下僧』、『羽衣』、『谷行』、『生贄』、『初雪』、『白楽天』(英語・1981年)
アーサー・ウェーリーによる訳。
上記の作品の他に、代表的な作品と狂言についての解説を掲載。
表紙は『羽衣』に登場する天女の写真。

◯能に関する翻訳書籍(スペイン語・2008年)
『高砂』、『敦盛』、『杜若』、『羽衣』、『隅田川』、『邯鄲』、『通小町』、『葵上』、『船弁慶』
クララ・ジェーンズにより翻訳され、高木香世子が編集したもの。本文には翻訳作品の他、能に関する解説・写真と『羽衣』の版本と『七十一番職人歌合絵巻』「白拍子」・「曲舞々」の絵を掲載。
表紙は能の写真を中心にチャールズ・カプランがデザイン。

☆『弁慶物語』
◯アラビア語訳『弁慶物語』(2001年)
アフマド・モスタファ・ファトヒによる訳。
表紙には赤紫色で「弁慶物語」というタイトル。

☆『毎月抄』
◯イタリア語訳『毎月抄』(2006年)
アルド・トリーニによる訳。
表紙は書道家のナツミ・カトウによる、「帰るさのものとや人のなかむらんまつ夜ながらの有明の月」、「旅人のそて吹きかへす秋風にゆふ日さひしき山のかけはし」の歌と、その背景に「藤原定家」の文字。

≪ 近 世 ≫


☆『心中天網島』(スペイン語・2000年)
◯スペイン語訳『心中天網島』
ハイメ・フェルナンデスにより翻訳され、タシアナ・フィサックと高木香世子が編集したもの。
表紙は鈴木春信『雪中相合傘』。

☆『懐硯』・『万の文反故』(フランス語・2000年)
◯フランス語訳『懐硯』巻1-1、1-2、2-2、『万の文反故』巻5-3
ダニエル・ストリューブによる訳。翻訳本文の他に、西鶴の研究者による論文を掲載。
表紙は芳賀一晶『浪華西鶴翁像』、裏表紙はこの書籍の説明と「烏賊の甲や我が色こぼす雪の鷺」(難波西鶴/『俳諧百人一句』)という、西鶴の俳句が書かれた絵。

 
 
 
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2017年11月21日

インドの方との見えない糸を意識させられた出会い

 現在、来年度に予定しているインドでの「第9回 インド国際日本文学研究集会」について、少しずつ話が具体的に展開しています。以下、その進捗状況を兼ねての報告です。
 そして、今回も意外な人と人とが結びつきました。不思議な縁を感じざるをえません。

 本日、京都駅でインドからお越しのバフルカル・シュリカント先生にお目にかかり、親しくお話ができました。引き合わせてくださった佐久間留理子先生に、お礼申し上げます。
 バフルカル先生は、プーナ市にある「バンダルカル東洋学研究所」の名誉幹事です。この研究所は1917年に創立され、現在、全インド東洋学会議の本部が置かれているそうです。
 バフルカル先生は、インド大叙事詩『マハーバーラタ』の校訂出版などにより、インド学の分野では世界的に著名な方です。

 その先生に、以下の3点について協力をいただけることになりました。

(1)『源氏物語』を「マラティー語」で翻訳するにあたり、今回同行のチェタナー・ゴサヴィ先生が担当してくださる。

(2)来秋、ハイデラバード外国語大学で国際日本文学研究集会を開催するにあたり、プーナから若手の研究発表者を紹介していただく。

(3)インドでの日本文学に関する研究情報をデータベース化していることに関して。学位論文や研究論文及び学会での研究発表に関する情報を提供していただく。


 マラティー語についてはかねてよりハイデラバード外国語大学のシェーク・タリクさんから情報をいただいていました。プーネでは日本語教育が盛んで、国立国語研究所のプラシャント先生がその分野での言語研究をなさっていると聞いていました。しかし、今春まで私は隣の研究所にいながら、近いということに気を許し、一度もプラシャント先生にお話を伺わないままに東京を離れてしまいました。また新たに面談の機会を作りたいと思っています。

 『十帖源氏』のマラティー語訳については、昨年のインド開催の国際集会の時点では、ニッシム・ベデカルさんにお願いしていました。しかし、何かと多忙とのことで、マラティー語訳は沙汰止みになったままでした。これで、また動き出せます。

 なお、今日もまた、人と人とのつながりの縁というものを感じました。
 私がインドに客員教授として行っていた時、そしてその後、インド研究家だった小磯千尋さんとお知り合いになり、いろいろとインドのことを教えていただきました。ご一緒にデリーでのお買い物にも連れて行っていただきました。インドの歩き方の伝授も受けました。また、帰国してからも、連絡をとって情報誌などをいただいたりしていました。
 その小磯さんのところに、今日初めてお目にかかったチェタナーさんが泊めてもらっている、とのことです。消えかかっていた人と人との細い糸が、この偶然を機縁として、また繋がり出しそうです。別れ際の話が意外な所へと展開していき、とにかく驚きと共に今日のところはお別れすることになりました。

 本日のバフルカル先生との面談を通して、ハイデラバード外国語大学のシェーク・タリクさんの所で開催する「第9回 インド国際日本文学研究集会」の次に、「第10回 インド国際日本文学研究集会」はプーナ大学(又は、ティラク・マハラシュトラ大学)で可能だということになりました。インドにおける日本文学研究のお手伝いに関して、また大きく前進することになります。ありがたいことです。

 私は前が見通せないままに、多くの方々のご理解とご協力をいただきながら、インドの日本文学研究の発展のために牛歩の歩みをしているところです。折々に、幅広い情報提供やアドバイスをいただけると幸いです。
 今後とも、ご支援のほどを、よろしくお願いします。
 
 
 
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2017年11月01日

広島大学で開催されたタチアナ先生による古典の日公開講演会

 広島大学で開催された、11月1日・古典の日を記念する公開講演会に行ってきました。古典の日も、今日でちょうど10年。ロシアからお越しのタチアナ・ソコロワ・デリューシナ先生とお会いするのも10年ぶりです。お元気で何よりです、と握手をする手にも力が籠ります。

 大阪観光大学で私の科研のアルバイトをしている学生9人も同行です。本年4月から取り組んでいる科研のテーマは「海外における平安文学」。現在、ロシアで刊行された日本文学の翻訳本の整理などもしているところです。タイムリーな企画であり、いい勉強になるので、みんなを連れて出かけて来ました。

 大学は山の中にあります。紅葉が見事でした。

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 開会の前に、タチアナ先生とご一緒にお食事をしました。逸翁美術館の伊井春樹館長とは、ここで合流です。食事をしながら、多くの興味深い話を伺うことができました。最近モスクワでは、寿司とピザはデリバリーで取り寄せられる、とのことです。自宅で居ながらにして食べられるので便利になった、とのことでした。
 この時間帯に、広島大学の妹尾好信先生ゼミの3、4年生の学生さんが、私が引率してきた大阪観光大学1年生9人を大学のキャンパス案内に連れて行ってくださったのです。そしてラウンジで食事をしながら、先輩としてのいろいろな話もしてもらえたようです。理想的な学生の交流会となりました。私の方の学生には、ミャンマー、ベトナム、韓国、中国からの留学生がいました。異文化交流ともなったようで、得がたい体験をさせていただいたことになります。

 さて、会場の前には、タチアナ先生の翻訳書等が並んでいます。

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 タチアナ先生のご講演は、「翻訳家の目で見た日本古典文学の特徴」と題するものです。

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 優しい口調で、学生たちや留学生にもわかりやすく語ってくださいました。日本文学の上代から現代までを、ヨーロッパと日本の文学の特質やその違いに視点を定めてのお話です。
 具体的には、『万葉集』『古今集』『後撰集』『新古今集』から9首を引きながら、言葉を忠実に吟味した上で、先生独自の解釈をすることで、一首ごとの読みを展開なさいました。
 詩人でもあるタチアナ先生の本領が発揮された講演会でした。

 その後はフリートーキングです。タチアナ先生、伊井春樹先生、そして私の3人が登壇。私が進行役となりました。

 まずは、大阪観光大学で実施している翻訳本の展示を、スクリーンを使って紹介しました。世界各国、多くの言語で日本文学が翻訳されていることをここで確認します。
 引き続き、伊井先生と行ったモスクワでの写真を映写しました。
 このフリートーキングは、2006年8月に伊井先生と私がロシアへ調査に行ったことが契機となっているものです。モスクワで、タチアナ先生と伊井先生とが対談をなさったことを踏まえての企画なのです。11年前の対談の内容は、『世界が読み解く日本』(伊井春樹編、2008年、學燈社)に収録されています。その時私は、録音・記録・写真撮影を担当しました。
 次の2枚の写真は、11年前のものです。

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 そんなことがあったので、せっかく3人が今日は揃ったこともあり、その思い出話に始まり、日本文学がロシアでどう読まれているか、とか、海外で日本文学が翻訳されている事情などに関連づけて、会場にお越しのみなさまのために優しく語りかけることになったのです。主催者である広島大学の妹尾好信先生の発案です。

 その準備のために、昨夜は11年前のモスクワでの写真をスクリーに映写するための写真選びをしながら、伊井先生と電話やメールでの打ち合わせに没頭していました。

 来場者はロシアのイメージをまったくお持ちではないと思われます。そこでスライドによって、まずは街中や大学の様子を見ていただきました。

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 17枚のスライドを見てもらいながら、タチアナ先生と伊井先生のお話を引き出すように心掛けました。

 最初に、伊井先生が古典の日の意義や、本日のタチアナ先生の講演のまとめをしてくださいました。

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 フリートークでは、本日の講演で語られなかったことなどを、タチアナ先生に自由に語っていただきました。講演では触れられなかった、『源氏物語』の翻訳の背景に始まり、ロシアにおける日本文学研究の現況などが浮き彫りになりました。

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タチアナ先生のお話は、おおよそ以下のようなことでした。

・『源氏物語』は長編であっても、断片的な短編から成り立っている。
・ロシア語訳の出版に至るまでの手続きや、翻訳するにあたっての問題点。
・和歌や敬語の訳はできないし、登場人物に名前がないことには工夫がいる。


 会場から質問もありました。
 『源氏物語』の翻訳を始めた巻は? との問いかけには、「桐壺」から順番にとのお答えでした。
 ロシアの古典文学の読者はどういう人か、とも。これについては、本屋の店頭にはあまり出ていないので、インターネットで買われているためによくはわからないそうです。
 また、誰が読んでいるのかは、これもよくわからないようです。
 旧ソ連時代は現代文学が翻訳できなかったので、古典文学が翻訳されていたことなどなど、さまざまな話題が提示されました。

 急ごしらえのフリートークだったので、来場者や学生さんたちに、お2人の先生のお考えがうまく伝わったのか気になっていました。しかし、閉会後、好意的な反応が多く聞こえてきたので、無事に役目は果たせたようで安堵しています。

 最後に、みんなで記念撮影をしました。若者が多く集まった講演会でした。

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 主催者である妹尾先生には、昨夜から今日のためのスライド写真を添付ファイルで送るなど、いろいろと面倒なことでお世話になりました。
 また、溝渕先生は、講演会の運営にあたっての、さまざまな気遣いをなさっていました。
 そして何よりも、昨日成田と羽田経由で来日されて時差ボケもものともせず、多くの示唆に富むお話をしていただいたタチアナ先生に感謝します。本当にありがとうございました。意義深い公開講演会でした。そして、みなさま、お疲れさまでした。当初の溝渕先生のご予定では、小さな会だったそうです。それが妹尾先生のアイデアで膨れあがり、伊井先生や私などにも出番がまわってきて、こんなに盛大な公開講演会として結実し、大成功となったのです。

 大阪から参加した9人の学生たちも、1年生という右も左もわからないながらも、貴重な勉強と異文化体験をしたようです。ここで得たものを今後に活かして、稔り多い学生生活を送ってほしいと願っています。
 
 
 
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2017年10月30日

京洛逍遥(472)百人一首をテーマとする京菓子展(その2-下鴨別邸)

 『百人一首』に関する京菓子展について、昨日にひき続き記します。
 本会場である有斐斎弘道館とは別に、特別会場である旧三井家下鴨別邸には、『百人一首』をテーマにした創作和菓子17点が展示されていました。
 この下鴨別邸については、「京洛逍遥(431)重要文化財「旧三井家下鴨別邸」でのお茶会」(2017年03月05日)で詳しく書いていますので、ご参照いただければと思います。

 ここでも、重要文化財の建物内部以外は写真撮影を許可されました。以下に入選した和菓子をご紹介します。

171030_かささぎの.jpgかささぎの

171030_このたびは.jpgこのたびは

171030_ちぎりきな.jpgちぎりきな

171030_ちはやぶる1.jpgちはやぶる1

171030_ちはやぶる2.jpgちはやぶる2

171030_ひさかたの.jpgひさかたの

171030_玉の緒よ.jpg玉の緒よ

171030_君がため・純雪.jpg君がため・純雪

171030_秋風に.jpg秋風に

171030_春すぎて.jpg春すぎて

171030_滝の音.jpg滝の音

171030_朝ぼらけ・静寂.jpg朝ぼらけ・静寂

171030_天つ風・余韻.jpg天つ風・余韻

171030_天つ風.jpg天つ風

171030_来ぬ人.jpg来ぬ人

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 なお、すばらしい庭を拝見しながら、呈茶のために選ばれた和菓子3種類とともに、抹茶をいただきました。

(1)朝ぼらけ・静寂
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(2)君がため・純雪
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(3)天つ風・余韻
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 仕事に追われる日々の中で、一息つく贅沢な時間を持つことができました。
 
 
 
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2017年10月26日

翻訳本のミニ展示・第五弾は《平安文学》

 5回目となる翻訳本の展示替えをしました。
 大阪観光大学の図書館3階の一角を借りて、日本文学作品の翻訳本を展示しています。
 今回から、『源氏物語』以外の作品をご覧いただきます。まずは、平安文学の特集です。
 欲張って、28冊もの翻訳本を並べました。しかし、あくまでも個人的に持っている本ということもあり、『源氏物語』以外は極端に少なくなります。お手元に余っている翻訳本がありましたら、ご恵与いただけると幸です。
 午後6時ともなると館内も暗くなり、デジタルカメラの写真にも靄がかかります。今は雑務に忙殺されていますので、いつか時間ができたらきれいな写真と差し替えます。しばらくは、これでその場凌ぎといたします。

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 この展示で見ていただくのは表紙だけです。しかし、それでも多彩な各国の顔がうかがえます。

 今回も、展示ケースの上に置いたプリントの内容を、参考までにここに引用します。

《世界中の言語に翻訳された平安文学》

   平成29(2017)年10月26日(木)〜11月30日(木)
             於:大阪観光大学 図書館3階

 今回の特設コーナーでは、翻訳された平安文学の表紙デザインの多彩さを楽しんでいただけるような選書をしました。各国で平安文学作品がどのように受容されているか、という視点でご覧いただけると幸いです。

【平安文学が翻訳されている29種類の言語】

アラビア語・イタリア語・ウクライナ語・英語・オランダ語・カタルーニャ語・韓国語・ギリシャ語・スペイン語・スロヴァキア語・セルビア語・チェコ語・チベット語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・デンマーク語・ドイツ語・トルコ語・ハンガリー語・ヒンディー語(インド)・フランス語・ブルガリア語・ベトナム語・ベンガル語(インド)・ポーランド語・ポルトガル語・ラトビア語・ルーマニア語・ロシア語


☆イタリア語
◯イタリア語訳『土佐日記』(2004年)
シモーナ・ヴィニャーリによる訳。
表紙は白地に黒字のタイトル、上に玄武のイラスト。

◯イタリア語訳『和泉式部日記』(2008年)
カロリーナ・ネグリによる訳。
表紙は鈴木其一『青桐・紅楓図』(ロサンゼルス・カウンティ美術館/心遠館コレクション)の紅楓の部分。

◯イタリア語訳『更級日記』(2005年)
カロリーナ・ネグリによる訳。
表紙は山口素絢『女官図』(奈良県立美術館蔵)。

◯イタリア語訳『枕草子』(2002年)
リーディア・オリグリーアによる古典からの訳。
表紙は葛飾北斎『させもが露 蚊帳の中で』。

◯イタリア語訳『竹取物語』(1994年)
アドリアーナ・ボスカロによる古典からの訳。
表紙は墨の字で「竹」の一文字。

◯イタリア語訳『堤中納言物語』(1989年)
久保田洋子による古典からの訳。
表紙は鳥文斎栄之『錦摺女三十六歌仙 嘉陽門院越前』。

◯イタリア語訳『落窪物語』(1992年)
アンドレア・マウリッティによる古典からの訳。
表紙は俵屋宗達『伊勢物語芥川図』の人物部分。

◯イタリア語訳『浜松中納言物語』(2008年)
アンドレア・マウリッティによる訳。
表紙は富岡鉄斎『掃蕩俗塵図』。

☆英語
◯英訳『蜻蛉日記』(1994年)
エドワード・G・サイデンスティッカーによる訳。
表紙は土佐派の『源氏物語絵巻』「真木柱」巻かと思われる。

◯英訳『紫式部日記』(1996年)
リチャード・ボーリングによる訳。
表紙は『紫式部日記絵詞』藤田家本第5段の絵(藤田美術館蔵)。一条天皇の土御門邸行幸に備えて、
新しく造られた竜頭鷁首の船。

◯英訳『紫式部日記』・『紫式部集』(1999年)
マーティーン・ベレンによる訳。
表紙は土佐光起『源氏物語画帖』「若紫」巻。

◯英訳『更級日記』(2000年)
原順子による古典からの訳。
表紙は左半分が赤紫色で右半分が白色であり、左上に縦書きで「更級日記」、中央に横書きで「Sarashina Nikki」。

☆韓国語
◯韓国語訳『蜻蛉日記』(2009年)
鄭順粉による訳。
表紙は白色と藍色の地に白色でタイトル。

◯韓国語訳『蜻蛉日記』(2011年)
李美淑による古典からの訳。
表紙は鎌倉時代に書写された『古筆手鑑』の断簡。『蜻蛉日記』967年3月の段で、「三月つこもりかたに〜一つむすひては結ひ」の部分。

☆スペイン語
◯スペイン語訳『竹取物語』(1998年)
高木香世子による古典からの訳。
表紙は『佐竹本三十六歌仙 小大君』(大和文華館蔵)。

◯スペイン語訳『竹取物語』(2001年)
高木香世子による古典からの訳で、1998年版の修正版。
表紙は『春日権現験記絵巻』に登場する藤原吉兼の庭にある竹林の上に、春日神社の第四殿に祀られている「比盗_(ひめがみ)」が出現した場面。

◯スペイン語訳『古今和歌集』(2005年)
トゥークル・ダシ-―による訳。
タイトル:Poesía clásica japonesa : Kokinwakashū
表紙は藤原定家筆『古今和歌集』巻第一(冷泉家時雨亭文庫蔵)。

◯スペイン語訳『更級日記』(2008年)
井本晶子とカルロス・ルビオによる訳。
表紙は『北野天神絵巻(弘安本断簡乙巻)』の女房狂乱の場面(東京国立博物館蔵)。裏表紙は土佐光吉『源氏物語絵色紙帖』「野分」巻(京都国立博物館蔵・重要文化財)。

☆チベット語
◯チベット語訳『竹取物語』(2002年)
ツェワン・ギャルポ・アリヤによる訳。
表紙はソナム・ドゥントップによる、かぐや姫が月を恋しがり涙を流す絵。
前書きによるとトヨタ財団の補助で作成された。また、英訳されたバージョンもある。絵本形式で
文章には挿絵がついているものの、月からの使者や兵士の一部がモンゴル風の装束をまとう絵となっている。訳者は、伊藤がインド・デリー大学で客員教授をしていた時の教え子。

☆中国語
◯中国語訳『枕草子』(2000年)
林文月による古典からの訳。
表紙は郭豫倫による草花の絵。

◯中国語訳『蜻蛉日記』・『和泉式部日記』・『紫式部日記』・『更級日記』(2002年)
林岚,鄭民欽による訳。
表紙は藍色の表紙で、表紙の3分の1から裏表紙にかけて和紙が貼り付けられている。

◯中国語訳『枕草子』(2003年)
周作人による古典からの訳。
表紙には尾形光琳『燕子花図』(根津美術館蔵)の「燕子花」の模様で、「心の感動を記録したいだけです」とある。

☆フランス語
◯フランス語訳『紫式部日記』(1978年)
ルネ・シフェールによる訳。
表紙には文机の前に座り、明かりを見つめる女房の絵。

◯フランス語訳『紫式部集』(1986年)
ルネ・シフェールによる訳。
表紙には橙色で「歌」の一文字。

◯フランス語訳『成尋阿闍梨母集』(2003年)
バーナードフランクによる訳。
表紙は五島美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「御法」巻の紫の上。

◯フランス語訳『春記』(2001年/2004年)
フランシーヌ・エライユによる訳。
橙色の表紙にタイトル。

☆ロシア語
◯ロシア語訳『狭衣物語』・『篁物語』(2007年)
V. I.シソーリによる訳。
表紙は、橋の下に屋形船がとまり、周囲に雪が積もっている情景が。

◯ロシア語訳『浜松中納言物語』・『松浦宮物語』(2010年)
V. I.シソーリによる訳。
表紙は、柳の木の下に閉じた傘を持った遊女と思われる女性がたたずんでいる絵。

 
 
 
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2017年10月13日

読書雑記(213)竹山道雄『ビルマの竪琴』

 『ビルマの竪琴』(竹山道雄、新潮文庫、平成29年6月25日、百六刷改版)を読みました。今これを、というのは、必要に駆られてという側面があります。しかし、いい読後感を持ったので、近い内に、もう一度読み直すことがありそうな気がしています。

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 この作品は読んだ記憶がないのに、お話の内容のおおよそは知っていました。いろいろな機会に聞いた小さな話が、記憶のどこかに堆積していたのではないか、と思っています。安井昌二の僧侶姿を覚えているので、映画で安井昌二が水島上等兵を演じたものを見たのかも知れません。映画の公開は私が5歳頃のことなので、学校で観に行ったのでしょうか。

■第一話 うたう部隊
 過酷な戦争の中で、ビルマの山中を惨めな退却を余儀なくされた日本人たちは、水島上等兵の竪琴に勇気付けられながら行軍します。情に流されず、ユーモア交じりに明るく語られているので、気を張り詰めることなく読み進められます。

■第二話 青い鸚哥(インコ)
 文章が丁寧な上に、よく練られているせいもあって、ゆったりと読み進められます。語られ、描かれている内容は非情な世界にもかかわらず、耳を傾けて聴き入ることのできる口調です。この作品が広く読まれて来たことがよくわかりました。
 なお、風俗習慣が克明に記されているようでいて、その実よくイメージできませんでした。ビルマという国がよくわからないままに読み進みます。
 この章の最後に歌われる「あおげばとうとし」には、感極まるものがあります。きれいなまとめとなっています。

■第三話 僧の手紙
 溢れんばかりの人間への想いが、水島からの最期の別れの手紙の形を借りて語られています。抑制した語り口で、水島の想いを淡々と伝えようとしています。情に流されない、理性的な考え方に共鳴します。ただし、あまりにも物分かりの良い水島の態度に、人間はもっと激情を宿しているはずなのに、との思いも抱きました。そこに、戦争の悲惨さを露骨に描くことを避けた印象を持ちました。船戸与一の『満州国演義』のような、あの煮えたぎるまでの筆の力を感じなかったのは、作者が伝えたかったのが死者の魂を鎮めることにあるからでしょう。これがかえって、子供たちにも伝わる戦争文学になったと思います。【4】

 今回読んだ文庫本の巻末には、著者による「ビルマの竪琴ができるまで」と「あとがき」、そして中村光夫「解説」と平川祐弘「『ビルマの竪琴』余聞」が収録されています。さらには、「注解」と「この作品に出てくる歌の歌詞と楽譜」も、読後の理解を深めるのに有益でした。これらによって、作者のことはもとより、執筆の経緯やこの作品の背景がさらに鮮明になりました。ただし、「『ビルマの竪琴』関係図」は残念な出来でした。これは、作図をし直した方がいいと思います。


初出誌:童話雑誌「赤とんぼ」(1947年3月〜1948年2月掲載)
※1956年(主演:安井昌二)と1985年(主演:中井貴一)の2回、市川崑監督が映画化しました。
 
 
 
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2017年09月28日

広島大学でロシアのタチアナ先生が講演をなさいます

 2017年11月1日(水)に、広島大学中央図書館(ライブラリーホール)において、翻訳家でモスクワ大学のタチアナ・デリューシナ先生の講演会が開催されます。

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 先生は、源氏千年紀の2008年に、日本文学に関する翻訳の功績が高く評価されて、日本国から旭日小綬章を受章しておられます。
 私は2006年8月、伊井春樹先生とご一緒にロシアへ調査に行きました。その折、モスクワでタチアナ先生と伊井先生が対談をなさいました。その内容は『世界が読み解く日本』(伊井春樹編、2008年、學燈社)に収録されています。私は、録音・記録・写真撮影を担当しました。モスクワ散策でも、タチアナ先生には大変お世話になり した。
 以来、折々にタチアナ先生およびロシアの文学研究者と交流を重ねてきました。さらには、教え子である土田久美子さんには、ロシア語訳『源氏物語』などの研究に関して科研の研究会や報告書でさまざまな支援をいただいています。
 この度、広島大学の妹尾先生と溝渕先生の企画で公開講演会が開催され、タチアナ先生が来日されます。参加したいとの意向を伝えると、タチアナ先生との情報交換を兼ねた面談もできることになりました。逸翁美術館館長の伊井春樹先生もお越しになります。また楽しい文学談義がご一緒にできることを、今から楽しみにしています。
 ちょうどいい機会でもあり、本年4月より取り組んでいる私の科研A「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」で、情報収集や整理のアルバイトをしている大阪観光大学の学生9名(観光学部と国際交流学部の1回生)を引率し、国際交流と海外の文化・文学の研究状況を学ぶ場にすることとしました。稔りの多い一日にするためにも、ロシアの日本文学研究の現状等は、事前に学習してから行くようにます。
 なお、講演会終了後は、広島大学の学生さんと大阪観光大学の参加学生との交流会を設定して下さるようです。こちらから連れて行くのは、新しい大学の、しかも新入生たちばかりです。科研での目的の中で若者の育成を掲げているので、時宜を得た取り組みとなります。多くの刺激がいただけることでしょう。
 快く外部からの参加を認めていただき、学生たちに貴重な勉学の場を設けてくださる、妹尾先生と溝渕先生に感謝しています。
 
 
 
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2017年09月21日

翻訳本『源氏物語』のミニ展示・第四弾は《英語編》

 本年5月から、大阪観光大学の図書館を会場として、世界各国で出版された『源氏物語』の翻訳本を展示しています。
 これまでに収集した翻訳本を、広く一般に公開することを目的とするものです。これは、科研の基盤研究Aで私が取り組んでいる、研究成果の報告も兼ねています。

(1)「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」(研究代表者・伊藤鉄也、課題番号:25244012)

(2)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(研究代表者・伊藤鉄也、課題番号:17H00912 )

 ミニ展示は、今回で4回目となります。
 本日、科研の手助けをしてくれている大阪観光大学の第1回生7名の協力を得て、悪戦苦闘を楽しみながら、何とか観ていただける形にしました。

 この第四弾では、『源氏物語』シリーズの最後として、英語で翻訳された本を18冊並べました。

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 向かって右側の展示ケースには、少し地味ながらも刊行年の古いものを中心にして、8冊を並べました。

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 左側のケースには、カラフルな表紙の本10冊で、明るく華やかな雰囲気にしました。

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 今回も、展示本の簡単な書誌を3頁のプリントにまとめ、ガラスケースの上に置いています。ご自由にお持ち帰りください。
 参考までに、以下に、そのテキストを引用します。

《世界中の言語に翻訳された『源氏物語』 英語編


   平成29(2017)年9月21日(木)〜10月31日(木)
            於:大阪観光大学 図書館3階
 
 今回の特設コーナーでは、翻訳本『源氏物語』の表紙デザインの多彩さを楽しんでいただけるような選書をしました。
 世界中で英訳された『源氏物語』がどのように受容されているか、という視点でご覧いただけると幸いです。

【『源氏物語』が翻訳されている33種類の言語】
          (2017年9月21日版)
アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・オランダ語・オディアー語(インド)・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロヴェニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・現代日本語・ハンガリー語・韓国語・パンジャービー語(インド)・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ロシア語


◯末松謙澄訳(英語・1894年)
 『源氏物語』における世界初の外国語訳の第2版。赤地に金色で源氏香の図が描かれている。後ろの見開きには、国語学者東条操と国文学者三谷栄一の手を経たという、この本の来歴が書かれている。

◯末松謙澄訳(英語・2000年)
 表紙は二代歌川国貞『紫式部げんじかるた 五十一 浮船』。

◯末松謙澄訳(英語・2008年)
 表紙は「若紫」巻で出典はChristie's Images。

◯アーサー・ウェーリー訳(英語・1935年)
 表紙は、赤い地に金字で『源氏物語』と書いてあり、背表紙も金字。扉には、ゴードン・ハニングトン・ルースがウェーリーを追悼した詩が、英国ケンブリッジ大学の数学者ジョン・コーツ博士により伊藤鉄也への献辞として書かれている。

◯アーサー・ウェーリー訳(英語・1971年)
 表紙は土佐光吉『源氏物語画帖』で、1巻の表紙は「末摘花 二」、裏表紙は「早蕨」。2巻の表紙は「橋姫」、裏表紙は「野分」。

◯アーサー・ウェーリー訳(英語・2010年)
 表紙は「野分」巻で出典はChristie's Images。

◯アーサー・ウェーリー訳(英語・2016年)
 表紙は岡田嘉夫『源氏絵巻 蛍』(1970年)、裏表紙は月岡芳年『月百姿』のうち『垣間見の月 かほよ』をアレンジしたもの。

◯エドワード・G・サイデンスティッカー訳(英語・1979年)
 表紙と外箱は、円山応挙『藤花図』(重文・根津美術館蔵、1776年)。古典からの翻訳。
 
◯エドワード・G・サイデンスティッカー訳(英語・1990年)
 表紙は海老名正夫『木版画 源氏五十四帖』「橋姫」巻。古典からの翻訳。
 
◯エドワード・G・サイデンスティッカー訳(英語・1990年)
 表紙は土佐光吉『源氏物語画帖 行幸 関屋図』(メトロポリタン美術館蔵)のうち、大鷹狩りの場面。裏表紙にはドナルド・キーンによるワシントンポストおよびニューヨークタイムズの書評が掲載されている。古典からの翻訳。

◯エドワード・G・サイデンスティッカー訳(英語・2002年)
 表紙と外箱は、「朝顔」巻の「雪まろばし」の場面。1・2巻で一体となる作りになっている。古典からの翻訳。
 
◯ロイヤル・タイラー訳(英語・2001年)
 本の表紙は赤地に絵巻を参考にした人物の顔の輪郭を黒い線で描く。1巻は男性、2巻は横向きの女性。古典からの翻訳。

◯ロイヤル・タイラー訳(英語・2001年)
 表紙は舞楽図『五常楽』、背表紙は舞楽図『蘭陵王』。古典からの翻訳。
 
◯ロイヤル・タイラー訳(英語・2006年)
 表紙は舞楽図『青海波』で、裏表紙にはライザ・ダルビーとザ・ウォールストリートジャーナルの書評が掲載されている。古典からの翻訳。

◯デニス・ウォッシュバーン訳(英語・2015年)
 2017年現在、一番新しい完訳本である。表紙は『国宝源氏物語絵巻』「夕霧」(五島美術館蔵)を刺繍にした画像で、夕霧の手紙をとろうとする雲居雁を描いている。

◯スチュアート・バーナム・アトキン訳(英語・2008年)
 「桐壺」・「夕顔」・「若紫」の抄訳。表紙は土佐光吉・長次郎『源氏物語画帖』「夕顔」巻(京都国立博物館蔵)で、光源氏と彼を見送るために出て着た中将の君かと思われる。

◯スチュアート・バーナム・アトキン訳(英語・2008年)
 「若紫」の抄訳。表紙は土佐光吉・長次郎『源氏物語画帖』「若紫」巻(京都国立博物館蔵)で、幼い紫の上が人形遊びをしている場面。

◯H.マック・ホートン訳(英語・2001年)
 日本語と英語の対訳形式の本で抄訳。表紙は切り絵作家の宮田雅之作「花宴」。


 これまでに開催したミニ展示(全3回)の内容は、本ブログの以下の記事で確認できます。

(第一弾)「大阪観光大学で翻訳本『源氏物語』の表紙絵を楽しむ」(2017年05月09日)

(第二弾)「翻訳本『源氏物語』の展示は《中国・韓国・インド編》に衣替え」(2017年06月02日)

(第三弾)「翻訳本『源氏物語』のミニ展示・第三弾は《ヨーロッパ編》」(2017年07月06日)

 再来月からの第五弾では、『源氏物語』を離れて、広く平安文学に関する翻訳本を数回に分けて展示します。
 その後、少数ながらも手持ちの近・現代文学の翻訳本を、各国別に並べる予定です。ご期待ください。
 
 
 
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2017年07月30日

京洛逍遥(453)下鴨神社のみたらし祭の足つけ神事 -2017

 ちょうど昨年の今頃、左足首を剥離骨折しました。
 「突然の左足首の捻挫で1日が止まる」(2016年07月27日)
 あれから1年。いまだに、右足の疣とともに、足の調子はよくありません。

 ちょうど下鴨神社で足つけ神事があったので、お医者さんがだめなら神頼みしかないとばかりに、暑い中を行ってきました。
 昨年は行けませんでした。
 一昨年の様子は「京洛逍遥(364)下鴨神社のみたらし祭 -2015-」(2015年07月19日)をご笑覧を。

 まずは腹ごしらえから。
 うどんの「ぼの」は、下鴨本通りのバス停「下鴨神社前」の北にあります。

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 清々しい店内の雰囲気は、うどん屋さんらしくありません。スイーツでも出てきそうな、おしゃれなうどん専門店です。
 私は外食でよくお腹が痛くなります。痛くなるとそこで食事はストップするので、お腹にやさしい「京湯葉かやく(しっぽく)」をいただきました。

 今年も「みたらし祭」はたくさんの方がお出でです。
 「光琳の梅」越しに、「輪橋」をくぐって「みたらし池」に向かう人が見えます。

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 上の写真では、左下の注意書きで「はきもの」に赤丸で傍点が打ってあることに注目です。海外からの参拝者が多いこともあり、平仮名で書いてあるのです。そして、「ここからは、着物を脱いで」と理解されると大変なので、改行位置に気を遣い、さらに「はきもの」に赤点を傍記してあるのです。「ここから」はなくてもいいのではないでしょうか。

 みたらし池の水は、痺れるほどに冷たいのです。しかし、しばらく歩くと、ほかほかと温まります。

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 池から上がると、神水がいただけます。
 持参のペットボトルにも、なみなみといただきました。

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 一年以上も不調で困っている両足を、賀茂の御祖の神様に治していただこうとの思いから、健脚の祈願をしました。

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 もと来た下鴨本通りに出て、みたらし団子の「ゑびす屋加兵衞」さんの隣にあるフランス洋菓子屋さんの「LAMARTINE(ラマルティーヌ)」で、チーズケーキを買って帰りました。

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2017年07月20日

新規科研(A)の取り組みが順調に動き出しています

 昨日は、システム開発管理会社にお願いしている、科研の新ホームページ「海外へいあんぶんがく情報」に関する打ち合わせをしました。これまで公開していた「海外源氏情報」(http://genjiito.org)のバージョンアップ版となります。

 昨年度までのホームページ「海外源氏情報」は、すでに海外における平安文学の研究に役立つ、膨大な情報を提供するサイトとして育ちました。そのデータを継承する中で、新たなスタイルに移行しながら、より使い勝手の良いデータバンクを構築しようとしているところです。
 システムの開発チームから寄せられている、いろいろな質問に答える形で、一つずつ前進しています。予定通り、8月上旬に試作版を公開できると思います。みなさまからのご意見を取り入れながら、平安文学に関するデータバンクを次の世代に手渡ししていくつもりです。

 過日このブログを通して募ったアルバイト要員に関しては、すでに10人が集まったので、ここで一旦締め切ります。全員が大阪観光大学の1回生という、おもしろい構成となりました。今回の科研の研究期間は4年間なので、彼らの卒業とともに次世代にすべてを引き継ぐことになります。ゴールがはっきりしたこともあり、なかなかいい形でのスタートとなりました。

 これまで手薄であった東南アジア出身の学生が中心となって翻訳本を整理し、日本語を母国語とする学生が各種言語の情報を日本語で整理し統合することになります。
 今日集まったメンバーは、生まれも育ちも興味のありようもバラバラです。しかし、今回のような気の遠くなる壮大なテーマには適任の若者たちです。
 アルバイトに関してご要望にお答えできなかった方々には、この場を借りてお詫びいたします。またの機会に、手助けをよろしくお願いします。

 今日は、新しいメンバーで、作業をする部屋の一大整理をしました。備え付けのソファーやテーブルを外に出し、体育館から折りたたみのテーブル3台とイス数脚を運び込んで、部屋の真ん中に広い作業空間を確保しました。三方の壁面はすべて書棚です。

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 これで、10人が同時に仕事をすることができます。事務の方々のご理解とご協力には、いつものことながら感謝という言葉しか表現方法が見つかりません。ありがとうございます。

 多言語を扱うテーマに取り組むだけに、知的好奇心に満ちた多彩なメンバーの学生集団となりました。それだけに、今日の部屋の片付けも、みんなでああでもない、こうでもないと、和気藹々とやりました。楽しい仲間が集まり、今回もおもしろい成果が得られそうです。

 実働部隊は確保できました。次は、このプロジェクトを事務的な面からサポートしてもらえる専任者を、依然として探し求めています。プロジェクト研究員という立場の役割分担者となります。条件がいろいろとあるので、なかなかいい出会いに至っていません。興味と関心をお持ちの方からの連絡を、今もお待ちしています。
 とりあえずは、週に3日ほど、午後に大阪観光大学に来てくださる方が見つかりましたら、この科研は本格的な始動となります。
 実際には、今秋10月から来てくださる方との出会いを待ち望んでいます。

 これまでに何かと支援をしてくださっていたみなさまに、まずはこの記事を通して現状の報告といたします。そして、今回の研究を支えてくださる方々へも、この場を借りて現時点での報告とするしだいです。
 こらからも変わらぬご支援を、どえぞよろしくお願いいたします。
 
 
 

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2017年07月18日

科研のアルバイト募集中[その2](「海外へいあんぶんがく情報」の情報収集と整理)

 過日、「科研のアルバイト募集(「海外へいあんぶんがく情報」に関する情報の収集整理)」(2017年06月05日)という記事を、本ブログに掲載しました。
 来月には、新たに「海外へいあんぶんがく情報」(http://genjiito.org)を公開できる予定です。そこで、さらにお手伝いをしてくださる方を追加募集することにしました。

 仕事の内容や条件は、過日とほぼ同じです。在宅ではなくて、実際に大阪観光大学に来ていただいて、情報や資料の収集と整理、ホームページの作成と更新および補訂をおこなっていただくことが基本となります。

 現在、4人の方がこうした仕事を手伝ってくださっています。大学一年生が中心なので、専門的な知識が求められるものではありません。こうしたテーマに関する、興味と関心が強ければ、十分に楽しくやっていただけるはずです。また、本科研のテーマの一つに、若手の育成があるので、これにも合致した取り組みとなっています。

 今回はさらに、もう一つのテーマである多言語翻訳に関して、お手伝いをしてくださる方を求めています。
 国際連合の公用語は〈英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語、アラビア語〉の6言語です。そこで、『源氏物語』が翻訳されている33言語のうち、この6言語以外の言語が(自由に?)読み書きできる方を求めています。これは、在宅でお願いすることになります。委細はすべてメールで確認したいと思います。

【『源氏物語』が翻訳されている33種類の言語】
 アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・ オランダ語・オディアー語(インド)・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロヴェニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・現代日本語・ハンガリー語・韓国語・パンジャービー語(インド)・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ロシア語


 このアルバイトに興味をお持ちの方は、過日同様に、このブログのコメント欄を通して、簡単な自己紹介と共に連絡をいただければ、私からあらためて具体的に説明するなり、直接お目にかかってご説明いたします。

 いい出会いがあることを、今回も楽しみにしています。
 
 
 

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2017年07月13日

雨野さんのスペイン語訳『今昔物語集』の公開

 昨年度までの伊藤科研(A)では、三省堂の雨野弥生さんが『伊勢物語』のスペイン語訳などの成果を公開してくださいました。

■「研究論文 スペイン語版『伊勢物語』について」
  (海外平安文学研究ジャーナルvol.4.0)

■「研究会拾遺 スペイン語版・英語版・フランス語版『伊勢物語』7 種における官職名の訳語対照表」
  (海外平安文学研究ジャーナルvol.5.0)

この『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN番号 2188ー8035)のダウンロードは以下から可能です。

「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル vol.1〜vol.6』の再公開」(2017年05月02日)

 その雨野さんから、最近の成果をお知らせいただきました。
 受け取ったのは先月末でした。しかし、私が忙しさにかまけて、今ごろ記事にすることをお許しください。
 以下、雨野さんからのメールをまとめながらの報告となります。

 雨野さんは、大学院では京都の説話を研究対象にしておられました。そのこともあり、本年4月より、「京都を舞台にした説話・伝承」をスペイン語訳し、インターネット上で日本語・スペイン語で紹介するという連載を、月1回のペースで開始なさいました。

 私が開設しているサイトの「平安文学翻訳史」や、『日本古典文学翻訳事典』がお役に立ったとのことです。嬉しい限りです。

 以下、今回の連載の内容と記事のアドレスを記します。
 各項目の下のアドレスをクリックすることで、ご自由にお読みいただけます。

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連載1 はじめに(4月)
 http://spanglish-club.com/archives/426

連載2 瀬田の唐橋(5月)
 http://spanglish-club.com/archives/508

連載3 『今昔物語集』巻27−14全文 スペイン語訳 (6月)
 http://spanglish-club.com/archives/566
 
 連載の趣旨と概要および翻訳の手法については、雨野さんの言葉を引くことで、説明にかえます。
 この続きは、今月末に「連載4」として公開されると思います。楽しみにお待ちください。

 5・6月は、京都行きの新幹線の車窓から見える最大の?説話舞台である、「瀬田の唐橋」を取り上げ、無謀にも、『今昔物語集』の一説話の全文翻訳にも取り組んでみました。
 瀬田橋の辺の荒家で鬼に出会うという説話ですが、原文のもつ、恐ろしげなあばら家の表現やテンポをそのままお伝えしたいため、ダイジェストではなく、敢えて全文訳に踏み切りました。
 私の西語作文ではスペイン語圏の方が読むに堪えないスペイン語になってしまいますので、日本語で私が現代語訳を作り、スペイン語上級者やネイティブに古典本文の背景を伝えながらスペイン語訳して頂き、再度、私が内容に大きなズレがないかチェックをし、ネットにアップする、という流れで掲載しております。
 たかが今昔の1説話ですが、訳文作りに2ヶ月かかりました。

(中略)

『今昔』にはスペイン語での「抄訳」はございますが、この『今昔』27−14は、まだスペイン語訳が無いようです(英語も少なく、本説話を訳しているのは1種類のみのようです)。
 としますと、スペイン語でこの話をご紹介するのは、おそらく、これが初なのだろうと思います。

(中略)

 翻訳は、自分を含め、完全ボランティアのみで進めておりますので、スケジュールやクオリティを安定させることに難はあります。が、これまでは貴重な紙の翻訳書でしか読めなかった今昔の説話本文の面白さや、注釈研究の蓄積を、現地の今の地図などとも併せてインターネットを通じて少しでもお伝えすることで、日本に興味をお持ちの方に微力であってもお役立て頂けたら、それは日本側の研究の集積の、具体的な活かしかたの一つにもなるのではないか、と考えております。
(もちろん、私が間違った内容を伝えれば、それが全方位的に出回る危険もありますが)

          雨野 弥生

 
 
 
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2017年07月06日

翻訳本『源氏物語』のミニ展示・第三弾は《ヨーロッパ編》

 5月から始めた、『源氏物語』の翻訳本を中心とするミニ展示は、今回で3回目となります。本日、悪戦苦闘を楽しみながら、何とか観ていただける形にしました。
 体系だった展示にするため、第一回目に出品した本が数冊入っています。

 イタリア・フランス・ドイツ等、ヨーロッパの言語で翻訳された本を24冊並べました。

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 向かって左側の展示ケースには、スペイン語・イタリア語・ポルトガル語・フランス語・オランダ語の13冊を並べました。
 カラフルな表紙の本が多いので、これまで以上に明るく華やかな雰囲気になりました。

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 右側のケースの中には、ドイツ語を始めとして、左側のケースの国以外のもの11冊を並べました。

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 展示した本が、それぞれどこに位置する国で出版されたものかがわかるように、ヨーロッパの地図を横断幕の下に貼り付けています。

 今回も、展示した本の簡単な書誌を中心にした解説を、プリントにしてガラスケースの上に置きました。ご自由にお持ち帰りください。
 参考までに、以下に、そのテキストを引用します。

《世界中の言語に翻訳された『源氏物語』》

        ヨーロッパ編


              
             2017年7月5日(水)〜8月31日(木)
               於:大阪観光大学 図書館3階

 今回の特設コーナーでは、翻訳本『源氏物語』の表紙デザインの多彩さを楽しんでいただけるような選書をしました。各国で『源氏物語』がどのように受容されているか、という視点でご覧いただけると幸いです。

【『源氏物語』が翻訳されている33種類の言語】
 アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・ オランダ語・オディアー語(インド)・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロヴェニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・現代日本語・ハンガリー語・韓国語・パンジャービー語(インド)・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ロシア語

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☆ドイツ語


◯マキシミリアン・ミューラー・ヤブシュ訳(ドイツ語・1911年)
 表紙は皮製。扉絵はフランツ・クリストフによる、具足をつけた男性と、傘を持った女性の絵。末松謙澄訳の重訳。

◯ヘルベルト・E・ヘルリチュカ訳(ドイツ語・1995年)
 表紙は江戸時代の役者絵。ウェーリー訳の重訳。

◯オスカー・ベンル訳(ドイツ語・1992年) 
 翻訳者名をべーネルとする文献もある。第1巻の表紙は、徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「宿木」巻で、今上帝と薫が碁を打つ場面。第2巻は、同巻で女房たちがその様子をうかがっている場面。底本は複数あるものの、古典からの翻訳。

☆フランス語


◯キク・ヤマタ訳(フランス語・1952年)
 表紙は文字のみ。ウェーリー訳の重訳。

◯ルネ・シフェール訳(フランス語・1985年)
 箱・表紙ともに『紫式部日記絵巻』の藤原斉信。本の表紙は背景が黒く、裏表紙には作品名のみ。ウェーリー訳の重訳。

☆イタリア語訳


◯アドリアーナ・モッティ訳(イタリア語・1992年)
 箱は、徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』の「宿木三」。本の表紙は、同絵巻の『源氏物語絵巻』「東屋二」。ウェーリー訳の重訳。

◯アドリアーナ・モッティ訳(イタリア語・1992年)
 第1巻の表紙は、徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「東屋二」。第2巻は、同絵巻の「東屋一」。ウェーリー訳の重訳。

◯ピエロ・ヤイエル/ピア・フランチェスコ・パオリーニ訳(イタリア語・2002年)
 ヤイエルが「匂宮」〜「宿木」前半を、パオリーニが「宿木」後半〜「夢浮橋」を翻訳。表紙は、鳥居清長の『角田川月見船』。ウェーリー訳の重訳。

◯アドリアーナ・モッティ訳(イタリア語・2006年)
 表紙は、三代歌川豊国、歌川広重合作の『風流げんじ須磨』。ウェーリー訳の重訳。

◯マリア・テレーザ・オルシ訳(イタリア語・2012年)
 表紙と箱は『国宝源氏物語絵巻』「鈴虫」・「関屋」巻を、山口伊太郎が西陣織にしたもの。作品名は『源氏物語錦織絵巻』で、同氏の遺作。古典からの翻訳。

☆スペイン語


◯ハビエル・ロカ・フェレール訳(スペイン語・2005年/2006年)
 表紙のうち、第1巻は宮川春汀の『当世風俗通』のうち『さくらがり』(1897年)。版が異なるものの中には、バークコレクションの一つ、土佐光起『源氏物語画帖』「浮舟」もある。第2巻は、月岡芳年の『大日本史略図会 第八十代 安徳天皇』。平教経が源義経の舟を見つけて、組みかかろうとする場面。複数の外国語訳を参照。

◯ホルディ・フィブラ訳(スペイン語・2006年)
 第1巻の表紙はバーク・コレクションの一つ、土佐光起の『源氏物語画帖』「花宴」。2巻は「浮舟」。タイラー訳の重訳。

◯下野泉/イヴァン・アウグスト・ピント・ロマン訳(スペイン語・2013年)
 ペルーで出版された本。表紙は國學院大學蔵「久我家嫁入本『源氏物語』初音巻」。古典からの翻訳をしつつも、与謝野晶子の『全訳源氏物語』も参考にしている。

☆ポルトガル語


◯リヒア・マリェイロ/エリザベート・カーリ・レイア訳(ポルトガル語・2007年)
 表紙は立松脩がデザインした、首飾りをしている黒髪の女性の絵。底本は一つではなく、ルネ・シフェール、アーサー・ウェーリー、ハビエル・ロカフェレール訳等を参考にした。

◯カルロス・コレイア・モンテイロ・オリベイラ訳(ポルトガル語・2008年)
 第1巻の表紙は、月岡芳年『月百姿』のうち『忍岡月 玉淵斎』(1889年)、ハーバード大学美術館蔵の土佐光信『源氏物語画帖』「椎本」巻を題材に、どちらもカルロス・セザールがデザインしたもの。底本は一つではなく、ルネ・シフェール、アーサー・ウェーリー、ロイヤル・タイラー、ハビエル・ロカ・フェレール訳等を参考にした。

☆セルビア語


◯スレーテン・リリック訳(セルビア語・2003年)
 表紙は「初音」巻。ウェーリー訳の重訳。

☆クロアチア語


◯ニキツァ・ペトラク訳(2004年)
 表紙は五島美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「鈴虫」巻。夕霧が笛を吹いている場面。サイデンスティッカー訳の重訳。

☆チェコ語


◯カレル・フィアラ訳(チェコ語・2002年)
 表紙は、徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「東屋二」。佐伯梅友校注『源氏物語購読』、ロイヤル・タイラー訳を参考にした。

☆リトアニア語


◯ダレ・シュバンバリーテ訳(リトアニア語・2006年)
 表紙は、黒地に日本庭園の写真。古典からの翻訳。

◯ダレ・シュバンバリーテ訳(リトアニア語・2011年)
 表紙は、写本の画像と平安時代の男女を描いた絵。古典からの翻訳。

☆スロヴェニア語


◯シルベスター・スカル訳(スロヴェニア語・1968年)
 表紙は、浮世絵(女性の絵)。ヘルリチュカ訳(ドイツ語)の重訳。

☆オランダ語


◯ヨス・フォス訳(オランダ語・2014年)
 表紙は、バーク・コレクションの一つ、土佐光起『源氏物語画帖』「花宴」巻。ウェーリー訳からの重訳。

☆フィンランド語


◯ツルネン・マルティ/カイ・ニエミネン訳(フィンランド語・1980年)
 マルティが本文、ニエミネンが和歌部分の翻訳を担当。表紙のカバーは『扇面法華経』、本の表紙にはSMの文字だけが書いてある。古典からの翻訳。

☆ハンガリー語


◯ホルバルト・ラースロー訳(ハンガリー語・2009年)
 第1巻の表紙はインディアナ大学美術館蔵『源氏物語図屏風』「若紫」、第2巻はフリーア美術館蔵の土佐光吉『若菜・帚木図屏風』のうち「若菜上」、第3巻は京都国立博物館蔵の伝土佐光元『源氏物語図』「蜻蛉」。サイデンスティッカー訳の重訳。


 このミニ展示の第3弾は、8月末までの2ヶ月間にわたって行います。9月からは、英語で翻訳されている『源氏物語』を並べます。

 今後も、月替わりで翻訳本を展示します。毎回、なかなか見る機会の少ない本を、こうして公開します。
 ご質問やお問い合わせには、可能な限り現状を確認して、お答えしています。
 大阪の南部にある大阪観光大学に、珍しい翻訳本との出会いを楽しみにして、一度足をお運びください。お待ちしています。
 
 
 
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2017年06月30日

科研(A)の第9回研究会を大阪観光大学で開催

 本日の研究会は、本年度の新規採択なので、第1回めです。しかし、昨年までのテーマをさらに大きく展開するものなので、通算で第9回となります。

 夜来の大雨も午前中には上がり、蒸し暑いながらも楽しい集まりとなりました。
 興奮気味に、帰路での投稿となっています。

 今回の開催にあたっては、大阪観光大学で研究分担者になっていただいた谷口先生が、会場確保や設営などを手回しよくやってくださいました。これまでは、準備などはすべて、科研付きの研究員やアルバイトの方にお願いしていました。今回は、研究支援を一手に引き受けてもらっていた淺川さんが東京からコントロールしてもらっていたとはいえ、何かと小回りが利きませんでした。内部の先生の協力は、ありがたいものです。

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 一昨日の本ブログで紹介した通り、プログラム通りに実施できました。

 最初は、図書館で翻訳本の展示を見ていただき、簡単に説明しました。
 インドからお越しのモインウッディン先生に、私の拙い説明を補っていただきました。

 場所を4階のセミナールームに移し、まずは自己紹介からです。

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 異分野のメンバーで構成する組織なので、ほとんどの方が初対面です。そのため、少し時間をかけました。
 事務方で、これからお世話になるお二人にも出席していただき、この科研を構成するメンバーとの対面も叶いました。事務方の理解と協力なくして、科研の遂行は困難だと思っているからです。

 高校の教員をしていた私が、25年前にこの大学(当時は大阪明浄女子短期大学)に赴任するにあたり、恩師伊井春樹先生は2つのことをおっしゃいました。それは、研究者として生きて行くためには、科研を取ること、そして事務方を大事にしなさい、ということでした。
 以来、その言葉を肝に銘じて、今に至っています。

 引き続き、科研の主旨などをお話し、活動方針の確認をしてから、研究発表に移りました。

(1)研究発表
「「海外源氏情報」にみる海外で翻訳・出版された平安文学情報」(淺川槙子)
 日本文学のどの作品が、どの言語で翻訳されているか、ということはもちろんのこと、翻訳されていない作品のことや、なぜこのような作品が翻訳されているのか、ということが浮き彫りになる発表でした。これまでとこれからの、情報収集の意義を再確認する資料の提示も、ありがたいものです。みんなで、この資料を大事に育て上げていきたいものです。

(2)研究発表
「『とりかへばや物語』における男君考 −なぜ男君は悩まないのか−」(長内綾乃)
 長内さんは、広島大学の4年生です。卒業論文をどのような内容にするか、という私が投げかけた課題に答える発表でした。自分が持っている問題意識が明確なので、中世王朝物語を専門に研究する先生方からの質問にも、堂々と答えていたのには感心しました。日頃から、鍛えられているからでしょう。
 本科研では、若手の育成を心がけています。その意味からも、長内さんの発表は、本人はもとより、我々も新鮮な気持ちになるものでした。

 全国の学校の先生方で、学会では発表できないとしても着眼点が光っていて、専門家の意見を聞きたいという学生さんがおられましたら、遠慮なくお知らせください。本科研が取り上げるテーマに応じて、発表や研究報告の機会を提供する用意があります。検討の結果発表となれば、会場までの交通費は支給します。

(3)研究発表
「『とりかへばや物語』の中国語訳の試み」(庄婕淳)
 実際に自分で『とりかへばや物語』を翻訳しての問題点が取り上げられました。具体的だったので、短時間ながらもみんなで参加できる討論ができました。

 『とりかへばや物語』の発表が2つ続いたこともあり、男性という性についての意見が楽しく展開する、おもしろい話題に身をおくことになりました。これは、多言語における異文化交流の観点からも、世界中の方々と意見を交わせるテーマです。いつか、国際集会で取り上げたいと思います。

(4)研究発表
「雀の子を犬君が逃がしつる」の外国語訳と現代語訳」(須藤圭)
 教科書に採られている有名な場面を、さまざまな訳文を提示して比較検討する、おもしろい問題提起がなされました。
 一つの言語における訳文の検討だけでも、多彩な問題が見えてきます。それが、多言語となると、さらに問題のスケールが大きくなり、多彩な意見交換の場となるはずです。

 次回は、本年12月に東京での開催を予定しています。
 海外における平安文学に関して、本研究会で研究発表したい方を募集しています。希望する方がいらっしゃいましたら、本ブログのコメント欄を利用して連絡をください。折り返し、相談の連絡を差し上げます。

 本日の参加者は以下の12名でした(敬称略)。楽しい会となり、次回がますます待ち遠しくなりました。今後とも、よろしくお願いいたします。

伊藤鉄也(大阪観光大学)
谷口裕久(大阪観光大学)
王静(大阪観光大学)
金光桂子(京都大学)
高田智和(国立国語研究所)
須藤圭(立命館大学)
モハンマド・モインウッディン(大阪大学)
庄婕淳(立命館大学)
長内綾乃(広島大学4年生)
池野陽香(大阪観光大学1年生)
淺川槙子(元・国文学研究資料館プロジェクト研究員)
塔下宣子(オフィス ティ〈デザイナー〉)
 
 
 

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2017年06月28日

第9回「海外における平安文学」研究会は大阪観光大学で今月30日に開催

 本年度より始動した、科研費による基盤研究(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(17H00912、研究代表者︰伊藤鉄也・大阪観光大学)の研究会の準備が整いました。
 これまでの科研のホームページである「海外源氏情報」(http://genjiito.org)が、いまだに不具合を抱えており、情報の更新が3月31日からまったくできていません。
 下記の要領で開催することを、この場を借りてお知らせします。
 連絡が遅くなり、大変失礼しました。
 広く公開していますので、興味と関心をお持ちの方はご自由に参加してください。
 また、本科研は若手の育成にも取り組んでいます。そのため、今回は若手の研究発表で構成しました。今後とも、異分野における異文化との交流を視野に入れて、研究活動を展開していきたいと思います。
 広く研究発表や、調査報告・実践報告などを募ります。さまざまな分野の、さまざまな立場の方々の、積極的な発表や報告を待ち望んでいます。

 なお、資料の準備などがありますので、参加を希望なさる方は本ブログのコメント欄を利用して、事前にお知らせください。

「海外における平安文学」



■日時:6月30日(金)13:30〜17:00
■場所:大阪観光大学 明浄1号館4階141セミナー室
※明浄1号館は一番手前の建物です。
入口から入っていただき、右側にあるエレベーターで4階に上がってください。
(〒590-0493 大阪府泉南郡大久保南5-3-1/ 072-453-8222)

■アクセス
当日は、以下の時間に発車するスクールバスをご利用ください。

泉佐野駅12:55発→日根野駅13:07発→大学13:15着

JR阪和線 日根野駅からスクールバスで8分(無料)
南海本線泉佐野駅からスクールバスで20分(無料)
詳細は http://www.tourism.ac.jp/concept/access.htmlをご覧ください。

■プログラム

【第一部】
世界中で翻訳された『源氏物語』の展示解説(伊藤鉄也) 13:30〜13:50
  ※ただいま図書館で、中国・韓国・インドの言葉に翻訳された『源氏物語』を展示中。
 
【第二部】
伊藤科研 第9回研究会 14:00〜17:00

・挨拶(伊藤鉄也)14:00〜14:05

・自己紹介(参加者全員) 14:05〜14:20

・科研の趣旨説明(伊藤鉄也)14:20〜14:30

・研究発表「「海外源氏情報」にみる海外で翻訳・出版された平安文学情報」(淺川槙子)14:30〜14:45

・休憩(15分)

・研究発表「『とりかへばや物語』における男君考−なぜ男君は悩まないのか−」(長内綾乃)15:00〜15:25

・研究発表「『とりかへばや物語』の中国語訳の試み」(庄婕淳)15:25〜16:00

・休憩(15分)

・研究発表「雀の子を犬君が逃がしつる」の外国語訳と現代語訳」(須藤圭)16:15〜16:50

■研究会後に、日根野駅前で懇親会を予定しています。参加は自由です。

【参加予定者12名/敬称略】
伊藤鉄也(大阪観光大学、『源氏物語』本文と触読の研究)
谷口裕久(大阪観光大学、文化人類学・比較言語学)
王静(大阪観光大学、中国茶・フードツーリズム研究)
金光桂子(京都大学、中世王朝物語の研究)
高田智和(国立国語研究所、国語学(文字・表記)・漢字情報処理)
野本忠司(国文学研究資料館、情報科学,言語工学)
須藤圭(立命館大学、中古中世王朝物語の研究)
モハンマド・モインウッディン(大阪大学、近代文学と多言語翻訳)
庄婕淳(立命館大学衣笠総合研究機構客員研究員、『とりかへばや物語』の研究)
長内綾乃(広島大学、文学部4年生、卒論は『とりかへばや物語』の研究)
池野陽香(大阪観光大学、観光学部1年生)
淺川槙子(元・国文学研究資料館プロジェクト研究員、中世軍記物語の研究)

 
 
 

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2017年06月06日

300年経つ雲南省の茶の木の紅茶をいただく

 大阪観光大学での午後のひと時を、王静先生の研究室で贅沢なお茶をいただきながら、いろいろなお話をして過ごしました。
 さすが、お茶の研究者だけに、詳しい中国茶の説明や、奥の深い茶葉についての話がうかがえました。

 白茶を初めて飲みました。茶葉は、円盤型に固めてあります。甘味のある薫り豊かな優しいお茶でした。

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 300年前の雲南省の紅茶もいただきました。これは、貴重な喫茶体験です。王先生も、あまりにも貴重な茶葉なので、ずっと大事にしていて、今日初めて淹れるとのことでした。

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 得難い体験を共にすることができました。ありがとうございました。

 大学の研究室棟の補修工事も、そろそろ終わりです。部屋の外周を覆っていた足場が撤去されたので、やっとベランダに出ることができるようになりました。
 私の研究室から関西国際空港を望むと、沖には淡路島が蜃気楼かと見紛うほどに、陸地と海の境目が浮き上がっていました。これは、何だったのでしょうか? 不思議な光景でした。

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2017年06月05日

科研のアルバイト募集(「海外へいあんぶんがく情報」に関する情報の収集整理)

 「海外源氏情報」(http://genjiito.org)の成果を引き継ぎ、さらに充実した情報群としての「海外へいあんぶんがく情報」をまとめたいと思います。

 そこで、平成29年度の科研費・基盤研究(A)で新規採択された、研究課題「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)に関するアルバイトを若干名募集します。

 今回は、JR 関西空港(阪和)線の日根野駅から徒歩20分の所にある、大阪観光大学(大阪府泉南郡熊取町大久保南5-3-1)に通勤してアルバイトができる方です。
「大阪観光大学へのアクセス」

 仕事の内容は、世界各国における〈平安文学〉の研究状況に関する実態調査(研究機関・研究者・研究成果・翻訳書等)を実施し、それを基にして、調査・収集した資料を整理し、海外における受容と研究の歴史を総合的に整理する研究支援をしていただくものです。
 具体的には、〈平安文学〉が海外において、誰がどのようにして受容・研究・翻訳されているのかを調査し情報を整理して、共同討議の基礎資料を作成していただきます。
 こうして得られた情報は、ホームページ「海外へいあんぶんがく情報」を通して発信します。新しいホームページは、現在作成が進行しています。

 今回の科研の概要については、以下の記事を参照してください。

「今年度の科研で「海外の平安文学」が採択(内定)となりました」(2017年04月05日)

「新規科研の開始にあたって1(翻訳された『源氏物語』の言語数)」(2017年04月06日)

「新規科研の開始にあたって2(翻訳文献と関係論文の点数と到達目標)」(2017年04月07日)

「新規科研の開始にあたって3(学術的な特色・独創性・成果・意義)」(2017年04月12日)

「新規科研の開始にあたって4(おおよその研究計画とその方法)」(2017年04月19日)

「新規科研の開始にあたって5(平成29年度の研究計画)」(2017年04月20日)

 このアルバイト募集は、研究課題の基礎資料となる情報群を、大阪観光大学に来ていただき、研究支援室で印刷物から情報を抜き出したり、インターネットを駆使してデータ収集と整理をしていただくものです。年齢や性別は問いません。
 情報の調査収集に使用するパソコンはマッキントッシュです。ウインドウズではありません。使い方は、最初に説明します。使用するソフトウェアは、「エクセル」と「ワード」が中心であり、「エバーノート」を併用します。

 時給は900円で、交通費は相談とします。
 勤務日は、水曜日と木曜日の13時から17時まで。
 海外の英語サイトが読める程度の英語力と、簡単な英文メールが書ける程度は、仕事内容の関係で必要です。

 情報の渦の中から、今回の課題に適合するデータをすくい上げる仕事に興味がある方で、かつ多言語に興味がある方の応募を、心待ちにしています。

 このアルバイトに興味をお持ちの方は、このブログのコメント欄を通して、簡単な自己紹介と共に連絡をいただければ、私からあらためて具体的に説明するなり、直接お目にかかってご説明いたします。
 4年前のアルバイト募集がそうであったように、多くの方からの応募が予想されます。2週間たっても何も返信がない場合は、その旨をご連絡ください。何かとバタバタするばかりの日々の中で私一人で対応するため、失礼も多々あろうかと思います。対応の不手際についてはご寛恕の程を、よろしくお願いいたします。
 
 
 

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2017年06月03日

京洛逍遥(448)第8回 京都吉田山大茶会に行く

 風が肌寒く感じられる一日でした。
 京都大学の裏手にある吉田神社で、世界の名茶がいただける大茶会がありました。

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 大阪観光大学で同僚の王静先生は、お茶の研究で大阪市立大学から学位を取っておられます。私の科研で研究分担者になっていただき、お茶の話で盛り上がったこともあり、境内で待ち合わせをしました。ちょうど、京都大学のダニエル・ミルン先生もご一緒だったので、紹介していただきました。これから、お茶をテーマにした研究を一緒にしたいと思っています。

 境内には、所狭しとお茶のコーナーが出ています。今年は、35店もの出店があります。
 中でも、軽トラックの荷台をお茶席にした野点は、ひときわ目立っていました。
 釜を吊り下げているのがツルハシなのです。これはアイデアです。

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 別のテントの下では、ウーロン茶を淹れる手つきもみごとです。

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 能管の音が、境内に響き渡っていました。

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 ダニエル先生に勧められた宮崎茶房「有機釜炒り茶」と、みとちゃ農園の「いろは」を、ゆったりとした気分で試飲しました。

 今回、ルイボスティと柚子のウーロン茶を買いました。

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 ルイボスティは、以前もこの大茶会でいただいたことを思い出し、過去のブログからこの大茶会のことを書いた記事を探しました。ありました、ありました。今から7年前の、ちょうどこの時期です。

「京洛逍遥(144)吉田山大茶会」(2010年06月06日)

 今日の様子と見較べると、おもしろいことがいろいろとわかって楽しいものです。
 
 
 

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2017年06月02日

翻訳本『源氏物語』の展示は《中国・韓国・インド編》に衣替え

 昨日、暦の上での衣替えよろしく、大阪観光大学で開催中の翻訳本『源氏物語』の展示替えをしました。
 これは、先月から開催している展示の、第2弾となるものです。


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 今回は、中国・韓国・インドで刊行された『源氏物語』の翻訳本に限定して、28冊を並べました。
 ガラスケースの左側が中国語の翻訳本です。あまりにも多いので、所狭しと並んでいます。実際には、まだまだあります。今回は、これだけにしました。



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 右側のケースには、韓国とインドで刊行された翻訳本が並んでいます。




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 このケースの右半分が、8種類のインド語で翻訳された『源氏物語』です。その8種類の表紙絵すべてを並べるのは、今回が初めてです。一部、表紙がない本はコピーで補いました。それでも、こうしてインド語で刊行されたことが確認できる翻訳本のすべてを展示できたのは、これまでにご協力いただいた皆様のご理解があってのことです。ありがとうございます。

 韓国とインドの結界には、夏らしく涼しそうな、ガラスの置物を4個並べてみました。
 また、展示ケースの中央には、各翻訳本の表紙絵を説明したA4版4頁のプリントを置きましたので、ご自由にお持ち帰りください。

 今回の展示をご覧になれない方のために、この説明文を以下に引いておきます。

         《世界中の言語に翻訳された『源氏物語』》
              中国・韓国・インド編
 
                   平成29(2017)年6月1日〜30日
                    於:大阪観光大学 図書館3階

 今回の特設コーナーでは、翻訳本『源氏物語』の表紙デザインの多彩さを楽しんでいただけるような選書をしました。
 各国で『源氏物語』がどのように受容されているか、という視点でご覧いただけると幸いです。

【『源氏物語』が翻訳されている33種類の言語】
 アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・オランダ語・オディアー語(インド)・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロベニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・現代日本語・ハンガリー語・韓国語・パンジャービー語(インド)・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ロシア語
 
 

☆中国☆


◯中国語訳(1993年)
 豊子ト 訳
 与謝野晶子・谷崎潤一郎などが訳した『源氏物語』を中国語に翻訳したものと推測されている。
 表紙は銀色の地に金色で『絵入源氏』の絵(右上から「総角」の2場面・「浮舟」・「若紫」・
「賢木」・「関屋」)が描かれている。

◯中国語訳(1996年)
 殷志俊 訳
 表紙は伊藤小坡『伊賀のつぼね』(猿田彦神社内 伊藤小坡美術館蔵)である。後醍醐天皇の妃である阿野廉子の御所に亡霊が出るとの噂が立ち、6月の夜に真偽を確かめるために、伊賀局が庭に出ている姿である。

◯中国語訳(1998年)
 林文月 訳
 主に『日本古典文学全集』を中国語に翻訳したものである。表紙は梵谷油畫局部によるあやめの絵である。

◯中国語訳(2001年)
 黄锋华 訳
「世界文学名著系列シリーズ」の1つで、表紙はボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』である。

◯中国語訳(2001年)
 豊子ト 訳
 与謝野晶子・谷崎潤一郎などが訳した『源氏物語』を中国語に翻訳したものと推測されている。
 表紙は徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「東屋一」である。

◯中国語訳(2001年)
 林文月 訳
 主に『日本古典文学全集』を中国語に翻訳したものである。表紙は画家の郭豫倫により、薄紫色の地に白色で葵の葉と思われる絵が描かれている。

◯中国語訳(2002年)
 梁春 訳
 表紙は上村松園『草子洗小町』である。

◯中国語訳(2002年)
 夏元清 訳
 表紙は衣冠束帯姿の男性と、おすべらかしを結った女性の絵である。

◯中国語訳(2004年)
 豊子ト 訳
 与謝野晶子・谷崎潤一郎などが訳した『源氏物語』を中国語に翻訳したものと推測されている。
 表の表紙は『絵入源氏』「宿木」巻で宇治の中君が月を見ている場面、裏表紙は同書の「紅葉賀」で光源氏が青海波を舞う場面である。

◯中国語訳(2006年)
 姚继中 訳
 表紙には銀色の地に赤紫色でタイトルと絵が描かれている。絵は土佐光吉・長次郎『源氏物語画帖』「夕顔」巻(京都国立博物館蔵)で、タイトルで顔が隠れているのが光源氏と見送りに出た中将の君、左下が六条御息所と思われる。

◯中国語訳(2006年)
 鄭民欽 訳
 底本に『日本古典文学大系』を用いた、古典からの翻訳である。表紙は「匂宮」巻かと思われる。

◯中国語訳(2008年)
 彭飛 等 訳
 田辺聖子『新源氏物語』を中国語に翻訳したものである。表紙は土佐光起『源氏物語図屏風』
「若紫」巻で、箱に入っているものに関しては外箱も同じ絵が使用されている。

◯中国語訳(2010年)
王烜 訳
 表の表紙は「若紫」巻で、裏表紙は「朝顔」の巻を加工したものである。

◯中国語訳(2010年)
 姚继中 訳
 表紙は徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「宿木二」である。

◯中国語訳(2010年)
 鄭民欽 訳
 底本に『日本古典文学大系』を用いた、古典からの翻訳である。表紙はひな人形の写真である。

◯中国語訳(2012年)
 康景成 訳
 1巻の表紙は徳川美術館蔵『源氏物語絵巻』「柏木三」(復元図)で、光源氏が生まれたばかりの薫を抱いている場面である。2巻は同絵巻の「蓬生」で光源氏が惟光と末摘花のいる常陸宮邸に行く場面である。
 
 

☆インド☆


◯アッサム語訳(インド・2005年)
 アトゥール・チャンドラ・ハジャリカ訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。表紙は青地にサヒタヤ・アカデミーのマークがついている。

◯ウルドゥー語訳(インド・1971年)
 サイド・エヘテシャーム・フサイン訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。本来の表紙は薄橙色に橙色でタイトルとサヒタヤアカデミーのマークが入っている。

◯オディアー語訳(インド・1984年)
 プラバーサ チャンドラ サタパティー訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。表紙は深緑色の地に、五島美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「鈴虫二」で夕霧が笛を吹いている絵が貼り付けられている。

◯タミル語訳(インド・2002年)
 K.アッパドライ訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。紙は太陽と金閣寺を背景にした、近世風の男女の絵。この絵は歌川芳虎『都名所源氏合 金閣寺桜の遊覧』からの影響が感じられる。

◯テルグ語訳(インド・1962年)
 N. V. R. クリシュナマチャーリヤ訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。表紙は橙色の表紙に、和服を着た女性が立っている絵である。

◯パンジャービー語訳(インド・2001年)
 ジャジット・シン・アナンド訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。表紙は一楽亭栄水の『美人五節句』のうち『扇屋内さかき わかは』を加工したものである。

◯ヒンディ−語訳(インド・2000年)
 C.パンディ訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。表紙は『枕草子絵詞』第一段で中宮定子と対面する、妹の藤原原子(淑景舎)の姿をモデルに加工したもの。

◯マラヤーラム語訳(インド・2008年)
 P.Kイッパン訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。表紙は、国際聚像館(広島県福山市の坂本デニム株式会社が創設した美術館)が所蔵する、『源氏物語挿絵貼屏風』(六曲一双)「初音」巻と類似した絵である。
 
 

☆韓国☆


◯韓国語訳(1999年)
 田溶新 訳
 底本に『日本古典文学全集』を用いた古典からの翻訳である。表紙に、『源氏物語』「須磨」の場面を描いた植村佳菜子の画・伊藤鉄也所蔵の源氏絵を切り抜いて反転したものを配している。

◯韓国語訳(2007年)
 金蘭周 訳
 瀬戸内寂聴『源氏物語』を韓国語訳したものである。全10巻の表表紙は石踊達哉の絵、裏表紙は『源氏物語扇面散屏風』が使用されている。

◯韓国語訳(2014年)
 李美淑 訳
 底本に『日本古典文学全集』を用いた古典からの翻訳である。翻訳だけでなく、『源氏物語』や平安時代を理解するための基礎知識と、「桐壺」〜「花宴」までの内容の解説も掲載されている。
表紙は藤原為相筆『源氏物語古系図断簡』(東北大学蔵)である。

◯韓国語訳(2015年、2016年)
 朴光華 訳
 底本は『日本古典文学全集』(小学館、1989年第25版及び1970年初版)を用い、古典からの翻訳をしている。『源氏物語』の本文に韓国語訳と韓国語での注釈をつけている。「桐壺」巻が2015年、「夕顔」巻が2016年に出版されている。表紙は黒地に白字と赤字でタイトルが書かれている。



 この展示に関するポスターが、今日から大学の近くにある熊取駅の構内に掲示してあります。大学からの帰りに、いつもの日根野駅には向かわず、20年前に通っていた熊取駅への道をたどりました。まったく、不思議なほどに道々の風景に記憶がありません。それだけ、この地域が様変わりしたのです。

 駅の構内にある「くまとりギャラリー」に、翻訳本の展示を知らせるポスターが、2枚をつなげて掲示してありました。事務の方がいろいろと配慮をしてくださったおかげで、こうして実現したのです。ありがとうございました。

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 次は、隣の日根野駅に掲示される日を心待ちにしています。
 さらに今後は、天王寺駅・関西空港駅・和歌山駅などにも掲示していただきます。
 このポスターが、一人でも多くの方の目に留まり、日本文学と翻訳本との出会いの場になればと願っています。
 
 
 
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2017年05月28日

円卓を使ったお茶のお稽古

 平群の山は新緑に包まれています。日差しが強くなったので、帽子を被って山を登ります。平群谷では、田植えが始まりました。

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 先週に続き、お茶のお稽古に来ました。今日は円卓(まるじょく)を使ったお手前です。
 最初は正座でした。しかし、今日もまだ足が痛いので、無理はしないようにとの先生の言葉を受けて、胡座でのお稽古です。
 円卓を使ったお手前は1年近くも前のことなので、すっかり忘れています。しかも、そのやり方がいく通りもあるようです。
 我が家にお客様がいらっしゃった時には、この円卓を使うようにしています。もっとも、東京を引き上げることでその余裕がなかったために、なかなかその機会はありませんでしたが。
 丸卓を使うと、目の前にいくつか道具が置かれているので、いかにもという雰囲気になります。私も出入りが少なくてすむので、気を使ってもらうことなくお客様と話に集中できることもあり、これは気に入っています。
 今日も、思い出しながら、言われながらの、ぎこちないものです。しかし、これはとにかく習得したいお手前なのです。やる気はあるのに身体がついて来ない有り様なので、回数を重ねるしかありません。
 また来週も足を運びます。
 
 
 
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2017年05月27日

もう一枚の翻訳本『源氏物語』の展示ポスター[楽しいバージョン]

 過日、大阪観光大学で【[ミニ展示]世界中の言語に翻訳された『源氏物語』】を開催していることを書きました。

「大阪観光大学で翻訳本『源氏物語』の表紙絵を楽しむ」(2017年05月09日)

 その後、宣伝用のポスターができたので、その紹介をしました。

「翻訳本のミニ展示会のポスターができました」(2017年05月18日)

 さらにこのたび、宣伝用のポスターで[楽しいバージョン]が出来上がりましたので、ここで紹介します。これも、「オフィス ティ」でデザイナーとして活躍中の、塔下宣子さんの作品です。
 学生さんには、こちらも好評です。



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 身近に、このような翻訳本に興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、「こんな催しが」と宣伝していただけると幸いです。
 配布用のポスターがきれいにプリントできるように、前回のものもスナップ写真ではなく、印刷用の写真として掲載します。



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 また、翻訳本を持参して、原本を触ってもらいながらの出前の解説会もいたします。
 これまでに、国文学研究資料館はもとより、昭和女子大学の文化祭を初めとして、中部大学と就実大学で実施したことは、以下のブログに報告した通りです。

[中部大学]「愛知県春日井市の中部大学でお話をしてきました」(2013年12月18日)
 
[国文学研究資料館]「ミニ展示《さまざまな言語に翻訳された『源氏物語』》-2015-」(2015年09月08日)
 
[就実大学]「岡山の就実大学で「世界中の33言語で読める源氏物語」という話をしました」(2016年11月26日)

 何かのイベントの一つとして、私が収集した翻訳本がお役にたつようでしたら、ご一報いただければその実現について検討いたします。

 今後は、手持ちの翻訳本を整理し、大阪観光大学の図書館を展示会場として、月替わりでミニ展示を続ける予定です。

6月【中国・韓国・インドで翻訳された『源氏物語』】
7月・8月【ヨーロッパで翻訳された『源氏物語』】
9月【海外で翻訳された平安文学】
10月【海外で翻訳された中世・近世文学】
11月【海外で翻訳された近代文学】
12月【海外で翻訳された現代文学】

 今秋以降に予定している近代・現代文学の翻訳本は、実数すらわからないほど膨大な量が刊行されています。私の手元にあるのは、ほんの一部にすぎません。
 現在、大阪観光大学の図書館の一画に、日本文学に関する翻訳本のライブラリを設けるための準備を進めています。もしみなさまのお手元に、重複していたりご不要の翻訳本がありましたら、大阪観光大学に寄贈していただけると幸いです。また、翻訳者と連絡がつくようでしたら、著者編者からの寄贈を待ち望んでいることをお伝えいただけるとありがたく思います。寄贈していただいたご本は、寄贈者のお名前も書誌情報に明記し、大切に大学図書館の蔵書として管理していきます。ご一報いただけると、送り先などをお知らせします。1冊でも2冊でも結構です。本ブログのコメント欄を利用して、遠慮なくお問い合わせください。

 なお来年以降は、これまでの展示が表紙絵だけだったので、次は翻訳本の冒頭部分を拡げて、翻訳文そのものを見てもらうつもりです。これについては、少し古いものながら『総研大ジャーナル 第15号』(2009年)に、その一部を掲載しました。これに、もう少し詳しい説明を付けて、展示を構成したいと思っています。
 これに関しても、いろいろとご教示いただけると幸いです。

『総研大ジャーナル 第15号』に掲載した翻訳本の冒頭一覧
 
 
 

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2017年05月26日

科研(A)の成果は「海外源氏情報」から[海外平安文学情報]へ

 科研費による基盤研究(A)で、平成25年度から28年度までに私が研究代表者となって取り組んで来た課題は、「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」(課題番号︰25244012)でした。そして、その研究概要と調査報告および研究成果を、「海外源氏情報」(科研HP)というホームページから公開してきました。

 そのホームページに不具合が見つかったのは、最終年度の最終日でした。あれから、まだ2ヶ月も経っていません。そのことについては、本ブログで報告し、その対処を提示してきました。
 まだ、この件でのお問い合わせが続いているので、現在の状況と今後について、ここに記しておきます。

 まず、ホームページ「海外源氏情報」において判明したいくつかの問題点は、その対処を本ブログにおける次の記事で報告しています。
 
「2つのホームページの不具合に関するお詫び」(2017年04月26日)
 
「ダウンロード版『海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016』の再公開」(2017年05月01日)
 
「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル vol.1〜vol.6』の再公開」(2017年05月02日)
 
「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル Vol.3 & Vol.6』の分割公開」(2017年05月04日)
 
「ダウンロード版『日本古典文学翻訳事典 1・2』のお詫びと再公開」(2017年05月25日)
 
 また、ホームページ「海外源氏情報」の画面に表示される文字列は、画面がロックされているために、コピー&ペーストができません。これは、公開している情報を引用してくださるみなさまには大変ご不便をおかけしているようで、恐縮しています。
 上記の、ダウンロードができないことと画面のロック以外については、特にこれ以上の不具合は確認していません。
 もしまだ何か問題があるようでしたら、ご教示いただけると幸いです。

 「海外源氏情報」については、先月4月1日以降は修復も含めて、まったく何も手を付けていません。問題の所在が不明確にならないようにするため、専門家からアドバイスをいただいての対処です。

 今後は、この「海外源氏情報」を通して公開してきたデータのすべてを、今年度から4年計画で新しく始まった科研(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)に取り込み、近日中に新たに立ち上げるホームページ[海外平安文学情報]に移行します。
 現在の「海外源氏情報」で発生している不具合は、新ホームページ[海外平安文学情報]に移行を終えたら、その段階で役割を終えることにします。

 現在は、新ホームページのデザイン(案)を検討しているところです。
 この画面は、その一部が動きますので、完成型を楽しみにお待ちください。

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 この入れ物に、これまでの情報のすべてと、これからの情報を盛り込むために、今は新築と引っ越しの作業で、慌ただしく立ち回っているところです。
 新しくお披露目するホームページ[海外平安文学情報]は、もう少しお待ちください。
 
 
 

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2017年05月25日

ダウンロード版『日本古典文学翻訳事典 1・2』のお詫びと再公開

 本年3月まで取り組んでいた科研(A)のホームページ「海外源氏情報」(http://genjiito.org)では、そこから公開していたオンライン版の冊子が、4月以降はまったくダウンロードできなくなっていました。そこで、以下のように本ブログから入手できるように対処しました。

(1)「ダウンロード版『海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016』の再公開」(2017年05月01日)
 
(2)「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル vol.1〜vol.6』の再公開」(2017年05月02日)
 
(3)「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル Vol.3 & Vol.6』の分割公開」(2017年05月04日)
 
 その後、『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』(伊藤鉄也編、2014年、319頁)と『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』(伊藤鉄也編、2016年、259頁)についても、ダウンロードできなくなっていることのご指摘を、何人もの方々からいただきました。これは、4月以降もダウンロードしていただけていると私が思い込んでいたものであり、不具合に気付いていませんでした。申し訳ございませんでした。
 そこで、これも急遽、このブログからダウンロードできるように、以下の通り対処いたしました。
 ここに転載したダウンロード版『日本古典文学翻訳事典 1・2』の内容は、これまで公開していたオンライン版と、まったく同じです。
 本年3月末から、一連の成果物がダウンロードができなくなっていることについては、多くの方々にご心配とご迷惑をおかけしています。この不具合の対処は、いまだに対応できない状況にあります。その原因はほぼ特定できました。しかし、修復するスキルと経費のメドがたちません。今のところ私自身も打つ手がなく、困惑の中にいることをご理解いただけると幸いです。
 あくまでも暫定的ではあるものの、以下からダウンロードしていただくことで急場をしのぎたいと思います。
 いつまでも不具合を抱えたホームページに拘っていてもいけないので、新しいホームページを作成しつつあります。これまでの「海外源氏情報」で公開していた膨大なデータは、そのまま移行する準備を進めています。いましばらくお待ちください。
 
■ダウンロード版『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』【約 3 MB】 (2014年3月31日発刊・非売品)
 
■ダウンロード版『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』【約 8 MB】 (2016年12月22日発刊・非売品)
 
 
 
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2017年05月24日

読書雑記(200)須田寛『日本の観光 きのう・いま・あす 現場から見た観光論』

 今私は、観光とは何か、観光学とはどのような学問なのかが知りたくて、いろいろな入門書を読んでいます。観光に関する基本的な知識の習得と、観光を考える際の物の見方を学ぼうとしているところです。
 まだ、これは、と言える本との出会いがありません。

 『日本の観光 きのう・いま・あす 現場から見た観光論』(須田寛、交通新聞社新書107、2017年2月)を読みました。

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 新刊ということもあり、興味を持って手にしたものの、私の方に直面する問題意識がなかったせいか、退屈な本でした。
 この道で幅広い経験と実績を踏まえ、豊富な情報を提供する一書です。しかし、読んでいて話に引き込まれないのです。私が観光業について知らないからだと思いながら、読み進みました。
 記述されていること、語られていることに、あまり新鮮味を感じません。また、文章の途中に補足説明がカッコ付きで加えられています。これが結構多くて話がぶつぎれとなり、それでなくても漫然とした説明がカッコでさらに意味不明となります。もったいないことです。
 社会状況の説明と伝聞による話題が多いのも、中身が締まらず雑然としたお話に終始する原因のように思いました。
 著者は「はじめに」で、本書について次のように言っておられます。

 最近「観光立国」の声の高まりと共に様々な観光への取組みが急伸しつつある。このため観光関係の人材育成の必要から各地の大学等に観光学科・学部等が開設されるようになった。筆者もいくつかの大学で非常勤講師として観光の講義も担当している。「観光学」は比較的歴史の浅い学問であることもあって、参考文献がまだ少なく、授業のためにも、また筆者自身の学習のためにもやや物足りなさを感じていた。そこで観光の参考書を自分でもつくることを考えた。本書もそのひとつである。しかし、筆者は実務担当者であって学者ではないため、学間的な知見を整理するというより、自分の実務経験を振り返りそこから得た教訓等、筆者なりの観光への学習成果をまとめたものをつくるのが精一杯であったことをまず反省しなければならない。(2頁)
(中略)
 実務者からみた観光の今の動きを記述することから今後にむかって発展していく観光の姿を描く、いわば「動態観光論」ともいつべきものにまとめようとしたのが本書の目標でもある。(3頁)


 まさに本書は、教科書のような、事実の羅列なのです。利用目的によっては、重宝する本かと思われます。しかし、通読には適しません。コラムも補注にしかすぎず、気分転換になっていないのが惜しまれます。ただし、資料には啓発されるものがいくつもありました。もっと引用してある資料や図版の説明があれば、内容に関連付けて理解が深まったかと思われます。これは、情報が投げ出され、情報の垂れ流しとなっています。もったいないと思いました。
 なお、次の地名に関する観光との問題は、私の興味を惹きました。地名が持つ歴史と文化は、観光客のイメージ作りと密接に結びつくからです。このことを、もっとわかりやすく掘り下げていただきたかったところです。

地名にかかわる問題は他の観光地でも起こっている。修善寺・湯ヶ島・韮山・長岡等、伊豆の有名観光地の地名が広域地図から消えてしまったのである。広域地図では普通、市町名を○で示すだけになる。このため合併で生まれた「伊豆市」「伊豆の国市」という新市名の表示だけになったからである。このため観光客の間にとまどいを生じている。
 市町村合併後も従来の観光地名等有名な地名は何等かのかたちで表示する工夫が必要だ(○○市××地区というような表示方など)。
 このようなことも観光を”まもる”重要な施策ではなかろうか。(225頁)


 もう一例を。
 私が興味を持っている、観光と食に関する問題は、驚くほどピンボケな説明でした。この「食」の項目は問題点の掘り下げ方や視点が極めて浅薄なものとなっていて残念です。

新しい「食」の観光
 「食」は、これまでも観光を構成する重要なひとつの要素であった。しかし、どちらかといえば、観光に付帯するものが中心で、観光に行ったついでに、「食」(名物菓子等)を味わったりみやげ品として買うこと等が多かった。観光地で名物のいわゆる「うまいもの」を食べるということによって観光に付加価値を加える、いわばいろどりをそえるものでもあった。
(中略)
 「食」の観光にも二つの流れがある。
 第1は、「ストーリー型『食』の観光」である。食材の由来(ストーリー)を共有する地域間の連携による広域にわたる「食」の観光だ。例えば、旧軍港の兵食を「海軍グルメ」として情報発信した横須賀の「海軍カレー」、呉、舞鶴の「肉じゃが」、佐世保の「バーガー」(米軍に由来)では、それらが地域の食文化にまで成長、多くの新しい「食」を求める観光客で賑わうようになった。
 第2は、「食」の生産から販売までを総合観光資源とするものである。漁場見学(体験)から始まり、魚市場見学、ショッピング、魚料理の賞味、魚の食品加工工場の見学(一部体験)等を、一貫した「食」の観光とする学習型要素の強い「食」の観光が人気を集めている。富山の「ますのすし」が新幹線開業を機に、一段と注目を集める全国的な観光資源として知られているが、この「すし」は右記のような一貫観光に近い受入体制が導入されている。
 このように「食」の観光は従来の観光の付随的なものから独立した観光の分野となり、しかも、所によっては大規模な新しい総合観光資源となりつつある。(156〜158頁)


 著者が提唱されている「国際観光」の振興について、具体的にどのように実現するのかが、読者に問われていると言えます。ただし、繰り返しになることに煩を厭わずに書くと、話がどんどん飛躍するので、問題点の所在とその対処策が不明確でした。そのために、問題が提起されていても投げ出されたままなのです。
 平成18年12月に議員立法により成立し、平成19年1月より施行されている「観光立国推進基本法」についても、もっと丁寧な説明が聞きたいと思い続けながら、読み進みました。
 本書の最後の方に、次の記述があります。

 以上、外国人客を誇救し、さらに国際観光を発展させるには様々な課題解決に取組む必要があるが、その多くの課題はソフトの問題、即ち主としてこころの持ちようで解決できるものが多い。即ち外国人客をもてなしの心で温かく迎える姿勢をもつことがそれであろう。(244頁)


 この箇所には、「こころ」と「もてなしの心」に圏点が付けてあります。それにしても、この解決策は非常に漠然としています。「こころの持ちよう」と「もてなしの心で温かく迎える姿勢」で解決できると言うのです。それが一体何なのか、その具体的な解決策を知りたいのに、言い古された曖昧模糊としたことばでしめくくっておられます。「もてなし」とは、どのようなことを言おうとしておられるのか、その具体的に意味するものが語られないままに、このことばで閉じようとされます。
 私ははぐらかされた気持ちで、そのまま本を閉じました。【1】
 
 以下に、本書で私がチェックしたことを、備忘録として引用して列記しておきます。

 いまから二千年程前中国に『易経』という書物があった。中国の儒教の教えをまとめたものである。そのなかに「観国之光 利用賓于王」という言葉が出ている。日本語読みで訓読してみると「国の光を観るはもって王の賓たるに用いるによろし」となる。辞書等によるとこれが「観光」の語源だとされる。(8〜9頁、引用者注・これに続いてその意味を解説するくだりは、私にはその意味するところがよくわかりませんでした。)
 
 幕末日本がオランダに発注した洋式軍艦は「観光丸」(他の一隻は有名な「成臨丸」)と命名されたが、その名の通り開国後海外視察団や海外への留学生の渡航に使われた。まさに外国の「光」を心をこめて学ぶための船であった。極めつきは明治4年右大臣岩倉具視が国の命を受けて欧米の政治経済事情視察団長として海外に派遣されたときのことである。帰国後に帰朝報告書が国に提出され、それが内閣(太政官)から公刊された。図1-1のように表題が「観光」と大書されていることに注目したい。外国の「光」を観、かつ学んで来た報告書の題として国の刊行物に「観光」という言葉がその語源通りの正確な意味で使われている。(11頁)
 
 しかし当時(引用者注・『万葉集』の時代)の観光は高貴な人、富裕な人中心のものであった。このような限られた人の観光が一般市民も広く参加する大衆的な行動にひろがっていくのは室町時代以降とみられる。この時期から伊勢神宮への一般人の参詣が許されるようになった。また庶民の間で熊野詣も始まった。仏教の各地への普及に伴い寺院が各地に建立される。このような寺社への参詣旅行が庶民の観光への大きい動機となった。また各地で山が信仰対象となる山岳宗教も普及。この頃から登山の慣習も広がる。この当時の神仏詣等の観光は団体旅行が中心であったといわれる。(36頁)
 
 江戸時代はこのように日本の大衆観光定着の時代となった。当時幕府の政策で架橋を極端に制限したため、徒歩旅行(今様にいうなら街道観光)が観光の中心になった。河を渡る際には、馬車等の利用ができなかったためである。このため安い経費で誰でも簡単に参加できる観光が普及することになった。車等によらず徒歩による旅行が中心となった日本独特の観光形態の原点はこの時期に形成されたのである。(38頁)
 
 欧米諸国の例も参考に日本版ともいつべき法人組織の"DMO"(広域観光推進機構)を結成する動きが各地でみられるようになってきた。国も先の「観光圏」構想をさらに前進させるものとしてDMOの設立を積極的に支援する体制を整えることになった。DMOは、民間主導型で設立されることを予定しているが、その候補となり得るしくみ設立を地域団体等と地方自治体が連名で計画し、国に登録して出発することになる。そのうえで具体的事業推進について国の財政支援も受けるみちがひらかれた。既に全国で100以上の登録準備地域が名乗りをあげており、今後の「広域観光」推進のしくみの中核としての活動が期待されている。(236頁)

 
 
 

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2017年05月19日

やました氏のエスペラント訳『源氏物語』の最新情報

 やましたとしひろ氏が精力的に取り組んでおられる、エスペラント訳『源氏物語』に関して、最新情報が入りました。
 今回は、以下の5帖が追補となりました。

第14帖★澪標
第15帖★蓬生
第17帖★絵合
第18帖★松風
第19帖★薄雲



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 詳しくは、「エスペラントの世界」でご確認ください。
 やました氏は、着実に成果を公開なさっているので、これからの進捗がますます楽しみです。
 私はエスペラントはわかりません。しかし、こうしてさまざまな言語に『源氏物語』が翻訳されて行くことを、広くお知らせすることで後方支援をしています。
 
 
 
 

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2017年05月18日

翻訳本のミニ展示会のポスターができました

 過日お知らせした「翻訳本のミニ展示」(2017年05月09日)を開催していることを幅広く知っていただくために、宣伝用のポスターを作りました。


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 これは、デザイン会社の オフィス ティ でデザイナーとして活躍中の、塔下宣子さんの作品です。
 塔下さんは、大阪観光大学の前身である大阪明浄女子短期大学の卒業生で、私の教え子です。また、22年前に短大の中に創設した、当時は世界的にも最先端だと言われた、「マルチメディア部」と「ワールド・ワイド・リサーチクラブ」の主要メンバーでもありました。

 この度、縁あって、いろいろとデザイン面で助けてもらうことになりました。
 新規採択となった科研のホームページのデザインも、お願いしています。これも、出来あがりが楽しみです。もうしばらくお待ちください。
 
 
 

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2017年05月09日

大阪観光大学で翻訳本『源氏物語』の表紙絵を楽しむ

 本日より、大阪観光大学図書館3階の円形階段前で、『源氏物語』の翻訳本を展示しています。

 ささやかな展示です。しかし、なかなか見ることのできない世界各国の多言語翻訳の『源氏物語』が、これだけまとまって居並ぶのは壮観です。

 タイトルは、【[ミニ展示] 世界中の言語に翻訳された『源氏物語』】です。

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 右側のケースにアジアで刊行された本を、左側のケースに欧米で刊行された本を選りすぐって並べました。

 アジア他〔アラビア・韓国・タイ・タミル・パンジャビ・モンゴル〕

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 欧米〔イタリア・英国・クロアチア・スペイン・スロベニア・ハンガリー・フランス・米国・ポルトガル〕

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 表紙の多様さを楽しんでいただくことが、今回の展示のテーマです。日本古典文学の代表作である『源氏物語』を、文化の国際交流という視点で実見していただけたら幸いです。

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 来月からは、【[ミニ展示] 中国・韓国・インドで翻訳された『源氏物語』】という特集を準備しています。
 その後は、【[ミニ展示] ヨーロッパで翻訳された『源氏物語』】、【[ミニ展示] 海外で翻訳された平安文学】と続きます。

 この展示は、昨年度まで4年間にわたって取り組んでいた、日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(A)「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」(課題番号:25244012、研究代表者︰伊藤鉄也)の研究成果の一部です。
 
 
 
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2017年05月04日

オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル Vol.3 & Vol.6』の分割公開

 過日の「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル vol.1〜vol.6』の再公開」(2017年05月02日)では、第3号と第6号が、ファイル容量がサーバーの許容範囲を超えたために、アップロードできませんでした。
 大容量のPDFファイルをうまくダウンロードできるような工夫を考えているうちに、時間ばかりが経ちます。とにかく、1日も早く読んでいただくために、原始的ながら、それぞれの号を手作業でいくつかに分割することにしました。今回は、手近なところで Macintosh の「プレビュー」を使っています。
 手間をおかけします。適宜ダウンロードしてお読みください。ツールをお持ちの方は、ダウンロードの後に結合してください。
 もし不具合が発生するようでしたら、コメント欄をつかって教えてください。
 

『海外平安文学研究ジャーナル Vol 3.0』(オンライジャーナル)

【1】本体(表紙〜116頁)
   (150930_Journal_3-1-main.pdf)[3.1MB]

【2】付録・スペイン語訳(117〜150頁)
   (150930_Journal_3-2-Spain.pdf)[23.9MB]

【3】付録・イタリア語訳(151頁〜奥付)
   (150930_Journal_3-3-Italia.pdf)[10.5MB]


『海外平安文学研究ジャーナル Vol 6.0』(オンラインジャーナル)

【1】本体(表紙〜102頁)
   (170329_Journal_6-1-main.pdf)[3.3MB]

【2】付録・「桐壺」翻訳(103〜155頁)
   (170329_Journal_6-2-kiritsubo.pdf)[22.3MB]

【3】(156〜218頁)付録・「若紫」翻訳《イタリア語・ロシア語》
   (170329_Journal_6-3-waka1-.pdf)[22.9MB]

【4】付録・「若紫」翻訳《ヒンディー語・ウルドゥー語》/『十帖源氏』(219頁〜奥付)
   (170329_Journal_6-4-waka2.pdf)[14.4MB]
 
 
 

posted by genjiito at 20:04| Comment(0) | ◆国際交流

2017年05月02日

オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル vol.1〜vol.6』の再公開

 昨日に続き、ダウンロードできなくなっている『海外平安文学研究ジャーナル』の第1号から第6号までを、このブログを通してダウンロードできるようにしました。
 ただし、残念ながら第3号と第6号は、本ブログの制限容量である25MBを超えるため現在その方法を検討中です。しばらくお待ちください。

 中でも、第6号は公開した翌日からダウンロードできなくなったようなので、これを読まれた方はいらっしゃらないと思われます。これは 60メガバイトを超える容量なので、今日の時点ではダウンロードをしていただけません。第3号も同じ理由で、ここでは保留しています。
 どなたか、この37メガと62メガのPDFをダウンロードできるような方法を御存知の方がいらっしゃったら、ご教示いただけると幸いです。

 第1・2・4・5号は、すでにダウンロードしてお読みになった方は多いようです。昨秋まで公開していたものと同じものです。

→以下の雑誌名をクリックするとダウンロード後にお手元の画面に誌面が表示されます。
 この報告書を保存したい方は、お使いのブラウザの機能で行なってください。

1『海外平安文学研究ジャーナル vol. 1.0』【約 1.5 MB】(2014/11/26 発行)


2『海外平安文学研究ジャーナル vol. 2.0』【約 2.0 MB】(2015/03/11 発行)


3『海外平安文学研究ジャーナル vol. 3.0』【約 37.0 MB】(2015/09/30 発行)
《本ブログの制限容量である25MBを超えるため現在その方法を検討中です》


4『海外平安文学研究ジャーナル vol. 4.0』【約 21.8 MB】(2016/03/30 発行)


5『海外平安文学研究ジャーナル vol. 5.0』【約 11.6 MB】(2016/09/21 発行)


6[最新刊]『海外平安文学研究ジャーナル vol. 6.0』【約 62.3 MB】(2017/03/30 発行)
《本ブログの制限容量である25MBを超えるため現在その方法を検討中です》
 
 
 
posted by genjiito at 23:50| Comment(0) | ◆国際交流

2017年05月01日

ダウンロード版『海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016』の再公開

 過日、本ブログの「2つのホームページの不具合に関するお詫び」(2017年04月26日)で、『海外平安文学研究ジャーナル』がダウンロードできない状況にあることを記しました。

 いまだ解決のメドが立たないので、このブログを通してダウンロードできるようにいたします。
 特に要望の多かった、『海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016』(2017/3/31 発行)から始めます。今回アップロードするPDFファイルの容量は、約20メガバイトです。ご自分のコンピュータ機器の環境をご確認の上、本記事の末尾の誌名をクリックしてダウンロードをした後、保存などの対処をしてください。

 この報告書は、残念なことに関係者数人以外は、公開した日以降はどなたも読めない状況下にありました。編集に関わった者としては、忸怩たる思いでいました。執筆及び編集に多大の労力を注いでくださった諸先生方および関係する方々には、本当に申し訳なく、そしてそこに至るまでのご労苦にありがたい感謝の思いでいました。長くお待ちいただいている方々にも、本当に申しわけありませんでした。

 現在は、「海外源氏情報」(科研HP)のリニューアル版の作成に着手しています。今月末までには、不十分ではあっても、何とか形にして公開したいと思っています。
 いましばらくの猶予をいただきたいと思います。

→以下の雑誌名をクリックするとダウンロード後にお手元の画面に誌面が表示されます。
 この報告書を保存したい方は、お使いのブラウザの機能で行なってください。

■ダウンロード版『海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016』【約 20 MB】(2017/3/31 発行)
 
 
 

posted by genjiito at 22:06| Comment(0) | ◆国際交流

2017年04月27日

「ニューツーリズム地域活性化研究会」に参加して

 大阪観光大学の観光学研究所が主催する「第1回 ニューツーリズム地域活性化研究会」が、明浄3号館2階国際交流サロンで開催されました。初めて参加しました。

 「健康・スポーツツーリズムによる地域活性化を考える ―ニューツーリズムの観光推進―」というテーマで、地域活性化につながる情報を共有することを念頭に実施するものだ、とのことです。
 以下、案内状の文章を引用します。

 観光学研究所では、いろいろなセミナー・シンポジウムを実施してまいりましたが、少し掘り下げて地域活性化につながる情報を共有させていただくことを念頭に実施いたします。

 この研究会は、観光、特にニューツーリズムによる地域活性化やまちづくりの推進に研究や事例を通して貢献することを目的としています。

 1回目として、「健康・スポーツツーリズムによる地域活性化」を取り上げます。泉州地域においても多くの市町がウォーキングやマラソンをはじめいろいろなイベントを開催しております。

 マラソン大会は年間1000を超えており、全国各地で行われています。なぜ、それだけ数が多いのでしょうか。まさに、「ニューツーリズムは競争相手にもなるが共存も出来る」ということになります。同じ志を持った人が集まる可能性が高いニューツーリズムはコミュニティーを形成しやすく、ネットワークも広がりやすいといわれています。健康志向、オリンピックに向けての運動需要の高まりも背景にあると思います。

 今回は、健康・スポーツのイベントの成功事例を旅行会社の視点からお話いただきます。また、九州で外国人誘客に力を発揮している「九州オルレ」の事例も紹介させていただき、マーケットが広がっている事例をお話させていただきます。


 今回は、次の2つの事例報告がありました。

事例1.
「阪南市の事例ー旅行会社を活用した新たな地域の魅力の掘り起こし」
 近畿日本ツーリスト株式会社
  和歌山支店次長 佐々木康敏氏


 移住の勧めを意図しているイベントだったようです。
 ネットで200名、電話FAXが100名の申し込みがあり、60代が多かったとか。みなさん元気です。満足度が高いイベントとなっているようです。食に関しては、参加者から好評だったようです。
 成功事例には学ぶことが多い、という考えでの発表会でした。
 若者の参加率が高くて3割以上だったので、今後とも継続が期待できる、とおっしゃっていました。今後の課題も聞きたいところでした。

事例2.
「九州オルレの成功事例紹介とニューツーリズムの特徴について」
 大阪観光大学教授 辻本千春


 韓国で始まったオルレの日本版(九州)の事例報告でした。オルレとは、地図を片手にリボンや標識を頼りに経巡り歩く旅です。自分のペースで楽しむウォーキングなのです。自然を肌身に感じて、地図を片手にではないウォーキングとして、最近人気があるようです。今後とも、広がるのでしょうか。日本では、何々トレイルとして実施されているものにイメージが近いと思いました。
 初めて話を聞いた者としては、なぜ韓国由来の「オルレ」なのかな、という感想を持ちました。巡礼やお遍路のバリエーションだと思うと、日本の文化と結びついたイベントとしてお色直しをして育ちそうな気がします。

 この後、質疑応答と自由討論が行われました。この意見の交歓も楽しいものでした。
 午後6時から8時まで、たっぷりとお話を伺いました。私にとっては、まさに異文化体験です。新しい学問に、いい刺激を受けています。
 
 
 
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2017年04月25日

空を飛ぶ4輪のキャリーバッグ

 バスの中で、大きな4輪のキャリーバッグが飛んでいくところを見ました。

 私の隣に座っておられた観光客の方のキャリーバッグが、突然バスの中ほどから前に向かって動き出し、少し助走してから浮き上がったまま真っ直ぐに宙を飛び、運転席と前の降車ドアにぶつかりました。ちょうど停留所に留まろうとした時でした。その大きなバッグの持ち主は海外からお越しの方で、京都の観光案内図を広げておられたので、バッグを握っていた手が離れたのでしょう。
 幸い、乗客もバッグも車内も、大事には至りませんでした。前に誰かいたらどうなったことかと、怖いことを想像しました。バスの中では、これまでにもこうした場面に出くわしています。

 以前、地下鉄のホームから線路に、キャリーバッグがコロコロと転がって落ちるのも見ました。電車のホームは、線路側に緩く傾いているようです。
 新幹線の中でも、あの狭い通路を巧みに自走するキャリーバッグを見ました。居眠りしておられた持ち主は、他の乗客の方にバッグを渡されるまで、まったく気づいておられませんでした。

 何度か目の前を飛んでいったり、勝手に走って行くキャリーバッグを見ました。しかし、それが大きな事故につながった場面は知りません。しかし、間一髪の危険なシーンは、たくさんあります。

 今回のバスの場合、運転手さんは会社にこのことを報告なさるのでしょうか。
 全国では、キャリーバッグの暴走により、いろいろな事故も起こっているかと思われます。この4輪のキャリーバッグが、手を放すと自走していくことに対する対策なり注意の喚起は、観光立国を目指す日本が抱える問題として、意識してもいいのではないでしょうか。
 すでに、動きがあるに違いありません。しかし、私の生活圏ではその兆候は見られません。

 私は、2輪車のキャリーバッグは長く引きずるので、人混みの中では迷惑になることから使わないようになりました。しかし、4輪のキャリーバッグは、迷惑以上に大きな事故に直結します。4輪の場合、キャスターのロックができる製品は、少し大きめのバッグでないと付いていません。また、付いていても、急ブレーキには対応できていません。
 これから新緑の季節となり、ゴールデンウイークが始まります。何かいい対策はないものでしょうか。

 キャリーバッグに関しては、最近のものでは以下の2つの記事を書いています。
 参考までに、関連情報のメモとして残しておきます。

「キャリーバッグのキャスターが壊れる」(2017年03月11日)

「最適な4輪式キャリーバッグとの出会いと点字ブロックの今後」(2016年10月16日)
 
 
 

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2017年04月20日

新規科研の開始にあたって5(平成29年度の研究計画)

 新規採択(内定)となった科研A「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」の、平成29年度に実施を予定している研究計画は以下の通りです。

 初年度は、今後4年間の準備と展望の確認を行ないます。最初に手がけるのは、翻訳文献資料の調査収集と各国語訳を日本語に訳し戻すことです。

 まず、海外で刊行された文献資料を再確認することから。これは、これまでの成果としてウエブに公開している『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』と『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』を基本情報として、さらに調査を進めることになるものです。訳し戻しについては、すでに着手済みの『源氏物語』に加えて、『古今和歌集』『伊勢物語』『宇津保物語』『蜻蛉日記』『枕草子』等の諸作品を対象とします。日本人研究者と、翻訳された現地の研究者との双方での共同作業です。

 『十帖源氏』の多言語翻訳については、すでに着手している第1巻「桐壺」と第5巻「若紫」に続き、第12巻「須磨」と第13巻「明石」を開始します。『源氏物語』は54巻あり、これはほんの一部にしかすぎません。しかし、ここで作成される多言語翻訳の成果は、今後の全巻翻訳のための基盤構築となるものです。

 「第1回 国際日本文学研究交流集会」は大阪で開催します。テーマは「海外で翻訳された平安文学の諸相」。これは、これまでの成果を踏まえて、今後の展開を見据えたものです。

 本科研に関わるメンバー内では、年間数回の情報と意見を交換する会合を持ち、研究と成果を討議していきます。その内の1回は、外部の研究者に向けての公開研究会とし、海外からゲストを招いて実施する予定です。

 たとえ思うような成果がまとまらない事態が生じたとしても、ここで構築をめざしている各種情報の総整理に対する視点と、そこから生み出されたデータは生き続けます。これまでに蓄積し、データベースとして公開している成果が、今回の申請課題を下支えしてくれることでしょう。日本古典文学を世界に広め、相互理解を深める上において、貴重な研究情報の公開となり成果となるはずです。

 こうした内容についても、興味と関心をお持ちの方からの連絡をお待ちしています。
 
 
 

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2017年04月19日

新規科研の開始にあたって4(おおよその研究計画とその方法)

 新規採択(内定)となった科研A「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」の、研究計画とその方法をまとめておきます。

 まず、研究目的を達成するための研究計画と方法についてです。

 本課題では、世界各国における日本古典文学に関する実態調査(研究機関・研究者・研究成果・翻訳書等)に基づき、受容と研究の歴史を総合的に整理します。それと共に、『十帖源氏』の多言語翻訳と研究を踏まえて、日本文化の海外における変容を共同研究のテーマとして取り組みます。これらは、インターネットを活用したコラボレーションと、毎年実施する国際日本文学研究交流集会で確認して推進していくことになります。
 具体的には、調査・研究・翻訳・公開に関する活動を通して、情報交換をする中で研究成果を集約していきます。

 本応募課題による調査研究は、次の3群で構成しました。

1.翻訳から見た日本文化の変容
 各国の平安文学に関する翻訳書を整理し、それを日本語に訳し戻して基礎資料とする。
 翻訳を通して、日本文化が変容して伝えられていく諸相と実態を確認する。

2.『十帖源氏』の翻訳と研究
 日本側で作成した平易な現代語訳を活用して各国語で翻訳を進める。
 各国語の翻訳の訳し戻しを基礎資料として共同討議を行なう。

3.共同研究基盤の整備
 ホームページ「海外源氏情報」や電子版『海外平安文学研究ジャーナル』等のメディアを活用して、情報公開と共同研究を推進する。


 この3群を4年間にわたって推進する過程で、海外の研究者との情報交換を密にし、恒常的な人的ネットワークを構築するのです。これは、今後につながる人的な資源の継承であり、ここに集まる情報は貴重な資産になるはずです。
 また、スペインとインドで開催する国際日本文学研究交流集会における講演・シンポジウム・研究発表の成果は、ウェブを通して情報を公開し共有します。
 この計画を着実に実現するために、次の細目を4年間で実施する予定です。

(1)【調査活動】
 研究論文と翻訳書を調査し収集整理
 コラボレーションを通して基礎資料を作成
 海外における受容と研究の諸相をまとめる

(2)【研究活動】
 翻訳における日本文化の変容
  1.海外で翻訳された平安文学を日本語に訳し戻す
   『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』と『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』(平成28年12月刊行予定)で確認済みの、各種言語で翻訳されているものを対象とする
  2.翻訳の訳し戻しから日本文化の各国における移し替えの実態を研究する

(3)【翻訳活動】
 各国語への翻訳を通して日本文学への理解と若手研究者の育成
  1.『十帖源氏』の多言語翻訳は各国の翻訳技術の向上が期待できる
  2.翻訳対象言語:英語・中国語・タイ語・インド諸言語(8言語)・イタリア語・スペイン語等
  (すでに完成させた現代語訳を、各国の研究者・翻訳家の支援のもとに翻訳)

(4)【情報交換】
 研究者ネットワークの形成
  1.研究者間のネットワークを形成するために調査と情報整理
  2.海外での新世代である学生たちとの情報交換

(5)【成果発表】
 研究発表および講演・シンポジウムの開催とウェブ公開
  1.国際日本文学研究交流集会で研究発表の場所と課題を提供し若手を育成
  2.研究情報や成果はホームページを活用して発信し共同研究態勢を構築
  3.研究成果は電子ジャーナル(毎年度発行)で公開発表


 以上の3群5項目を展開することで、昨年度まで取り組んできた「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」(科研番号︰25244012)をさらに発展的に拡大した、調査研究及び成果の公開を目指していきます。

 こうした研究テーマに興味と関心をお持ちの方の参加を待ち望んでいます。
 このブログのコメント欄等を通して連絡をいただければ、折り返しお知らせなどをお届けします。
 さまざまな角度からのご意見をいただけることを、前年度までと同様に楽しみにしています。
 
 
 

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2017年04月12日

新規科研の開始にあたって3(学術的な特色・独創性・成果・意義)

 今年度から新規採択(内定)となった科研A「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」の、学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義についてまとめておきます。

 この研究課題は、海外における日本文学研究に関して、英語のみならず、各種言語で公表されたものに対応するのが特徴です。そして、外国語訳等を日本語に置き換え、その訳し戻した情報や資料を活用して研究を推進するものです。多言語情報を日本語で一元化し、多角的に考察する環境を提供しようと思います。
 このことにより、外国語という障壁が軽減され、日本語を母語とする研究者が多言語翻訳された環境を共有し、海外の方々と一緒に考える場に参加できるようになるのです。

 基礎情報であるはずの日本文学研究関連の情報の整備が、現状では海外の部分が大きく欠落しています。本課題は、平安文学を中心とする海外の日本文学研究の情報を再構築し、さらに発展させて文化を共有する資源とする意義を持っています。
 また、これまでに構築した情報をデータベース化して公開しているホームページ「海外源氏情報」と、研究成果の発信母体となる電子版『海外平安文学研究ジャーナル』が、さらに発展して広く平安文学を対象として有機的な活用がなされることが期待できます。

 ここでは、新たな気持ちでスタートを切ろうとしている時点での、その意義を確認しておくしだいです。
 (つづく)
 
 
 

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2017年04月07日

新規科研の開始にあたって2(翻訳文献と関係論文の点数と到達目標)

 新規に採択された科研に着手する前に、これまでに「海外源氏情報」(科研HP)で公開している翻訳文献と翻訳関係論文の点数や到達目標をまとめておきます。

 ホームページで公開している翻訳文献は『源氏物語』が290点・平安文学が581点、翻訳関係論文は『源氏物語』を含む平安文学が514点、翻訳以外の関係論文は716点です(2017年4月7日現在)。

 こうした状況を基礎的な情報として、新科研の研究期間である4年間に取り組み解明する目標は、次の3点を考えています。

1. 世界各国で翻訳されている平安文学の総合的調査を実施し、各国の受容史と研究史を整理
(ホームページ「海外源氏情報」で情報の収集と公開)

2. 江戸時代の簡約版『十帖源氏』を多国語翻訳し、日本文化の変容と理解について共同研究
(電子版『海外平安文学研究ジャーナル Vol7』以降で成果を掲載)

3. ホームページや電子ジャーナル等のメディアを活用して、研究者が情報交換をする場所を提供
(上記メディアに加えて、スペインとインドで国際日本文学研究交流集会を開催予定)


 いずれも、海外の研究者と共同研究を進め情報を共有することで、具体的な成果物としての刊行及びウェブ公開に結実させることとなります。そして、これらをまとめる過程で、研究者のネットワークの形成も果たしていきたいと思っています。

 多くの方々が、このコラボレーションに参加されることを心待ちにしています。
 
 
 

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2017年04月06日

新規科研の開始にあたって1(翻訳された『源氏物語』の言語数)

 先月で終了した科研(基盤研究A)「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」は、平成25年度から28年度までの4年間にわたって取り組んで来たものです。新たに平成29年度から始まる4年間は、『源氏物語』を中心としてきたことから平安文学へと対象を拡げます。テーマは「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」です。
 今月から新課題でスタートするにあたり、これまでの基本的な事項を、あらためて確認しておきます。

 まず、『源氏物語』が何種類の言語で翻訳されているか、ということです。
 現在、私の手元に集まっている情報によると、以下の33種類が確認できています。

【『源氏物語』が翻訳されている33種類の言語】
アッサム語・アラビア語・イタリア語・ウルドゥー語・英語・エスペラント・オランダ語・オディア語・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロベニア語・セルビア語・タミール語・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語・ドイツ語・トルコ語・現代日本語・ハンガリー語・韓国語・パンジャービー語・ヒンディー語・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ポルトガル語・マラヤーラム語・モンゴル語・リトアニア語・ロシア語


 このことを踏まえて、海外における平安文学の研究状況の情報を収集し、これまでわかっていることと共に整理をし、分析を加えることになります。

 また、平安文学の多言語翻訳についても、『源氏物語』を参考にしながら取り組んでいきます。

 上記33言語に関連して、以下の言語に関する情報が集まっていないので、この言語について調査を始めたいと思います。
 具体的には、東南アジアだけで見ても、次の言語の『源氏物語』の翻訳がありません。これらの言語の翻訳状況の調査から始めたいと思っています。例えば、『あさきゆめみし』のタイ語訳版は手元にあります。しかし、物語本文の翻訳はまだないのです。
 こうしたことに関して、情報提供や資料の所在などのご協力をお待ちしています。

インドネシア語、カンボジア語、シンガポール語、タイ語、フィリピン語、ブルネイ語、マレーシア語、ミャンマー語、ラオス語

 
 
 
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2017年04月05日

今年度の科研で「海外の平安文学」が採択(内定)となりました

 昨秋、定年退職間際に申請した、平成29年度の科学研究費補助金の審査結果が、幸運にも採択(内定)となりました。
 国文学研究資料館を所属機関とする申請でした。しかし、今月から所属が大阪観光大学に異動となったので、これから転出と転入の手続きをします。

 申請分野は基盤研究(A)なので、個人研究としては大きな種目です。次の「申請課題」で、4年間の調査研究に挑みます。
「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」

 「研究目的」は、以下の通りです。
 本申請課題は、日本で平安時代の文学を研究する者が中心となり、海外の研究者と協力して実現するものである。海外での平安文学における研究情報の総合的な調査を踏まえ、その日本古典文学の受容と研究の歴史を総整理することをめざす。
 また、江戸時代のダイジェスト版『源氏物語』である『十帖源氏』の多国語翻訳をとおして、日本文化が変容して海外に伝えられていく様子と文化理解についての共同研究も展開する。
 こうした活動と成果は、情報交換を目的とするホームページ「海外源氏情報」(http://genjiito.org)と電子版『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN:2188-8035)を媒介として、研究者間の交流の場へと展開していくものに育て上げる。

 先月末まで、がむしゃらに取り組んでいた基盤研究(A)の「海外源氏情報」を、さらに拡大して「海外の平安文学」に展開することとなります。
 海外の『源氏物語』に関する研究課題は、予想をはるかに超える成果が得られました。そのことを踏まえて、これまでに培った情報収集の手法と分析、さらには多言語翻訳にも多角的に取り組むことになります。

 これまで通り、コラボレーションを展開する中で研究を深めていきます。幸い、今月から勤務している大阪観光大学には、観光学部と国際交流学部があります。私が所属することになった国際交流学部のみならず、観光学部共々、学際的な視野のもとで多彩な研究をなさっている先生方と一緒に、今回の申請課題に取り組めるのです。
 これまでは、国文学を中心とした環境にありました。しかし、これからはさらに海外に拓いた多方面からのお力添えが得られます。全世界を見据えた研究環境に身を置くありがたさを、赴任したばかりの大学で、日々実感しているところです。

 みなさまのご理解とご協力を推進力として、さらにギアを一段上げての研究遂行となります。これまでに変わらぬご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

 科研費研究の道がさらに大きく開けたことを受けて、この研究に協力してくださる方を募っています。ネット社会なので、参加のしかたはいろいろとあるかと思います。
 海外の平安文学、及び多言語翻訳に興味と関心をお持ちの方で、一緒に夢を追いかけようとお思いの方からの連絡を、心よりお待ちしています。
 
 
 

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2017年04月01日

大阪観光大学国際交流学部に着任しました

 昨日3月31日は、東京の立川で国文学研究資料館の今西祐一郎館長から、研究部教授を定年退職する辞令をいただきました。
 今日4月1日は、大阪の日根野で大阪観光大学の明野欣一理事長から、国際交流学部特命教授として採用の辞令をいただきました。

 昨年末からの激動の日々を経て、先月は想像を絶する怒涛の時間の流れの中にいました。
 そのことが嘘であったかのように、昨夜は東京から辿り着いた京都の家で、日付が31から1にカシャッと変わりました。

 今朝は、街中で新入社員らしいフレッシュな若者たちに紛れて、私も晴れて初出勤となりました。これからは、京都駅と大阪駅で乗り換えての、片道2時間半の小旅行の日々が始まります。18年間にわたって、奈良や京都から東京へと、4時間半をかけて通っていたので、長時間の移動はさほど苦ではありません。本を読む時間が確保できるので大歓迎です。

 今日は、大阪観光大学の辞令交付式と入学式がありました。会場は泉佐野市立文化会館で、愛称は「エブノ泉の森ホール」と呼ばれているところです。
 入学式の後、ガルーダ・インドネシア航空との調印式があり、関空のお膝元で仕事をすることに実感を強めました。

 その後のアトラクションは、和太鼓、ダンス、吹奏楽と、新入生を楽しませるイベント。さらに、ダンサーの洋平さんがプロデュースした、7人のアイドルグループ「Chu-Z(チューズ)」のパフォーマンスです。これは、学生のみならず、教職員も一緒になって盛り上がりました。
 いい入学式でした。
 来週から始まるオリエンテーションが、実質的な私の仕事始めとなります。

 1999年に、この大学の前身である大阪明浄女子短期大学から、籍を東京の品川にあった国文学研究資料館に移しました。このたび、18年ぶりに古巣に帰ったことになります。
 研究室をはじめ、職員の方々や建物が懐かしく、遠い思い出が一気に蘇ります。玉手箱をひっくり返したような、言葉にし難い感慨に耽っています。
 
 
 
posted by genjiito at 19:32| Comment(1) | ◆国際交流

2017年03月31日

電子版「海外平安文学研究ジャーナル」を2冊同時に公開

 昨日に続き、オンライン版の電子ジャーナルが完成しましたので、科研のホームページから公開しています。これは、科学研究費補助金による研究である科研A『海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究』の研究成果として、2種類の電子ジャーナルをまとめて公開したものです。

 いずれも、以下のサイトから自由にダウンロードして読んでいただけます。

(1)『海外平安文学研究ジャーナル vol.6.0』(全261頁)

(2)『海外平安文学研究ジャーナル インド編2016』(245頁)


 多彩なテーマが、膨大な成果としてまとまりました。その意義等については、巻頭の拙文「あいさつ」と「はじめに」に書きました。まずは、そこからお読みいただけると、編集の意図がみえてくるかと思います。
 ここでは、それぞれの「目次」を引きます。

(1)「海外平安文学研究ジャーナル 6.0 」(全261頁)

●目次
あいさつ 伊藤 鉄也 p3
[研究論文] 『十帖源氏』の本文と各種版本―和歌の異文と解釈の問題― 清水婦久子 p11
[研究論文] 母語話者・非母語話者によるロシア語訳『十帖源氏』桐壺巻比較考―母語話者による翻訳に見る日本文化の受容― 土田久美子 p29
[研究論文] 「交じらふ」女主人公―ジェンダーコードの視点から読む『とりかへばや物語』― 庄婕淳  p39
[研究の最前線] 「訳し戻し」という「翻訳」  藤井由紀子 p61
[研究の最前線] 英訳『今昔物語集』兵と戦いの世界 淺川槙子 p65
[科研活動報告] 科研活動報告 vol.2 加々良恵子 p93
【付録】各国語訳『源氏物語』「桐壺」「若紫」『十帖源氏』「桐壺」翻訳データ  p103
執筆者一覧 p259
編集後記 p260
研究組織 p261

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(2)「海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016」(245頁)

●目次
はじめに 伊藤鉄也 p3
ご挨拶 宮本薫 p15
第8回研究集会の趣旨 伊藤鉄也 p16
[基調講演] 「 変体仮名の国際標準化について」 高田智和 p25
[講演] 「 インド8言語訳『源氏物語』の書誌」 伊藤鉄也 p31
[講演]  「 江戸時代のダイジェスト版『十帖源氏』について」 入口敦志 p40
[講演]「『源氏物語』の英訳について」 須藤圭 p49
[問題提起]
パネルディスカッション
シンポジウム
【資料集】資料集(各国誤訳『十帖源氏』「桐壺」)
執筆者一覧 p243
編集後記 p244
研究組織 p245

 海外における平安文学の研究については、今後とも引き続き取り組んでいきます。変わらぬご支援のほどを、よろしくお願いいたします。
 
 
 

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2017年02月12日

江戸漫歩(153)最終日に行った五島美術館の茶道具展

 五島美術館で開催中の「茶道具取合せ展」を、最終日に駆け込みで見てきました。  何かと用事があり、やっと行くことができたのです。  今日展示されていた作品70点の中では、次の5点が印象に残っています。 (1)「長次郎黒楽茶碗 銘 千声 桃山時代・16世紀、釉薬の原料は加茂川石」 (2)「志野茶碗 銘 梅が香 桃山時代・16−17世紀、松平不昧旧蔵」 (3)「黒織部沓形茶碗 銘 わらや 桃山時代・17世紀、銘は利休の孫宗旦」 (4)「有馬茶会記 友阿弥筆 阿弥陀堂宛 桃山時代・天正18年(1590)書」 (5)「重要美術品 豊臣秀吉消息 おちゃちゃ宛 桃山時代・16世紀」  帰りに庭園を散策しました。そこで見かけた石像たちで、気になったものを、今日の出会いの記録として残しておきます。



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2016年11月17日

クマール君から届いた紙幣無効に関するエッセイ

 今回インドへ行き、到着から帰る直前まで、教え子であるクマール君のお世話になりました。
 よく気遣いができる青年で、毎日のように心配をして連絡をくれました。

 そのクマール君から私に向けて、今回の突然の紙幣無効に関する、インド人としての解説をしてくれました。ニュースや風聞を読み別け、整理をして語ってくれています。
 私がわかるように、わかりやすく語ってほしいとお願いしたからでもあります。

 私だけが読んで終わりにしてはもったいないので、このブログを通して紹介します。
 日本語の表現がこなれていないのは、しばらく日本を離れていて、日常的に日本語を使う機会が少ないためです。その点は、判読のほどをお願いします。

 また、クマール君は経済の専門家ではないし、インドの若者を代表して語ったものでもありません。この説明がどれだけ的を射ているのかはともかく、何がどうなっているのかわからない私に、とにかく伝えようとの思いから述べたものであることを、まずは前置きとして記しておきます。



「ブラックマネー(やみ金)撲滅から始まるインドの明治維新レベルの大事件」


 
 2016年11月8日の午後6時半に、日本からお出での先生をお迎えに、インディラガンディ空港に行きました。先生は、源氏物語のシンポジウムのご用でデリーに来印されました。空港でタクシーを拾い、デリーの高級住宅街にあるWorld Buddist Centerに午後8時ごろに着きました。

 World Buddhist Centerはお寺ですが、宿泊のサービス(食事付き)も提供しています。宿泊先のWorld Buddist Center では、晩こ飯の指定時間は午後8時です。それで、着いてすぐ「ご飯ですよ」とお坊さんに声をかけられました。

 日本と同じく、足のひくい食卓にしゃがんで食事をし始めると、後ろにあったテレビからインド首相の声が聞こえました。振り向くと、話し方も、彼の立ち方も、長いスピーチに思えました。国立記念日や重要なお祭りの前日に、インド首相が国にスピーチするのは、しきたりです。それで、しわを寄せて「明日なんのお祭り? 国立記念日?」と思いました。しかし、ニュースを聴いて、びっくりしました。

 500ルピーと1000ルピーの紙幣は今夜零時で無効になり、ただの紙屑に変わるという二ユースでした。病院、火葬場、空港、バス停、メトロ、ガソリンスタンド、国の機関で、あと3日間は使えるという話もありました。それを聴いて、すごくショックでした。

 先生がインドにいらっしゃるので、1万ルピーをATMから出したばかりでした。ATMだと500ルピーや1000ルピーが多いです。1万ルピーをドブに捨てた気がしました。しかし、しばらく聴くと、「今月30日までに最寄の銀行で古紙幣から新紙幣に両替できる、そして、その以降も両替できるが、インド準備銀行であるRESERV BANK OF INDIA だけで両替できる」というニュースでした。
 この移行期間で社会混乱が起こらないように、インドの軍や空軍はアンテナを張って社会を見張っている、守っているという話もありました。

 ご飯が終わって、早速ATMに行こうと先生が決めました。それで、近くにあったSapna映画館の商店街みたいな場所に行きました。行ってみると、ATMの場所で長い行列を見かけました。零時まで間にあわないほど長い行列でした。
 零時までは使えると思って、お店で500ルピーを出してみました。しかし、「紙屑だよ」という目線だけで、誰も受け入れてくれません。

 猶予期間である3日間が経って、それで社会にどんな影響があるかと考えると、ひっくり返るほど驚きました。この出来事を理解するには、まず、「現金イコール力」ということを考える必要があります。
 専門家によると、銀行に戻って来ないお金、つまりどこかで税金を払わないで眠っているお金は、銀行に顔を出すお金の6倍くらいあるということです。もし、現金イコール力だと、インド政府と同じ力を持っている人たちと、それにインド政府が知らない人たちがいるということです。

 専門的には、その事象を平行経済といいます。現金の平行経済は成り立つと格差社会が広がり、税金は払わない人が多くなります。インドで商売や小さなビジネスする人は、税金を払わないのです。それで、登録済みの会社で働く人が、多めに税金を払っているのです。年収は112万ルピー(190万円相当:2016年11月相場)であれば、年収の4割も税金として取られるのです。それで、大きなビジネスマンや映画業界の人など、年収のほぼ半分は税金として払っています。インドでは、たった2〜3パーセントの人が年収からなる税金を払います。そのために、紙幣廃止となり、みんなお金を銀行に戻すのです。

 年間の取引でどれくらいの税金になるか、政府から通知が来ます。多くの人が税金を払うようになります。その他、膨大な額の現金を持っている政治家などが、その膨大な金額を銀行に持って行けなくなったから、彼らは困っています。膨大な現金を持っているビジネスマンも困りました。

 一番重要なことは、現金はあらゆる社会問題に使われるということです。例えば、現金を配って選挙に勝ったりします。その現金はもう無効になりました。そろそろ3つの州で選挙があります。しかし、政治家が貯めていた膨大な現金は紙屑になったので、もう配れません。政治は、少し綺麗になったといえます。

 そして、インドでテロに使われるのも現金です。パキスタンやドバイにあるテロリストは、インドでSattaというギャンブルを行っています。それはすべて、現金でやっています。インド経済の5分の1ほども、インドの現金はテロリスト、ときにダウドというテロリストは持っています。その現金がすべて紙屑になりました。
 ニュースで「インドにいながら、ダウドを殺した」という話がありました。テロに使う兵器や人間は現金で買うから、その力はなくなったといえます。

 現金なしで生活をするのは難しいのですが、長い目で見ると私の将来のためになると考えると、その苦労は苦労には思えないのです。1日で銀行から4千ルピー以上はおろせない状況です。
 今日、11月13日、首相はまたスピーチをし、
「インド独立以来70年間、政治家やビジネスマンは、いろんなスキャム(公的な機関にいて、膨大なお金をねこばばすること)や横領をしてきました。膨大な現金を持っています。この病は70年間の古いものなので、すぐには治せません。現金がないので、生活に苦労しているのは承知しています。私に50日間ください。50日間だけ我慢してください。」
という話をしました。

 現金廃止以来、あらゆるインドの銀行は、20万かける1000万(2Billionルピー)インドルピーの現金を預かりました。歴史上初めての銀行残高となりました。
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2016年11月14日

国際交流基金で2回目の打ち合わせ

 第2回目の打ち合わせを、国際交流基金の事務所で朝から行ないました。


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 参加者は、日本からの5人と、インド在住の日本人2人、そして国際交流基金のお2人です。

 具体的にプログラムを詰めていく過程で、様々な案が出ました。当初の予定になかったことも話し合いの中で決まり、内容がますます多彩になるのは楽しいことです。いかにして参加者のみなさまと楽しい時間を共有するか、ということに心を砕く一時となりました。

 この、「第8回 インド国際日本文学研究集会」に関する第2回目の打ち合わせの成果は、進行する側の者としてもわくわくするものとなりました。
 明日の集会で展開する内容を、今から楽しみにしていただきたいと思います。


※この記事は、研究集会の前日、11月10日(木)のことを記したものです。
 インドの紙幣であるルピーが、デリーに到着した8日(火)の夜に無効になるという驚愕の事態に巻き込まれています。そのため、困惑しかないという状況に置かれていることもあり、本ブログの記事が大幅に遅れていることをご了承ください。
 現在、大量の無効となった紙幣が、街中に廃棄されているというニュースも入りました。
 これにより、大量に紙幣を溜め込んでいた政治家や資産家やテロリスト等は、茫然自失との風聞もあります。今この宿におられる1人の旅行者は、10万ルピーものお金が一夜にして紙くずとなったことで、ご一緒に食事をしていても元気がありません。
 今回の大鉈は、ブラックマネーを秘匿していた政財界関係者に対しては、息の根を止めるに等しいものだったので、絶大な効果があるとのことです。しかし、旅人は路頭に迷うしかないので、「不運」の一言で片づけられない深刻な問題です。
 インドに着陸して以来、1度も両替やキャッシングをすることもなく、明日はインディラガンディ空港を離陸して帰国の途につきます。いかにして現金を手にするか、ということだけに全精神を使った6日間となります。
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2016年11月13日

地下鉄の転落防止柵は工事中

 地下鉄に乗りました。インドが成長し続けている姿が、行くたびに感じられる場所です。
 防犯カメラ、乗り換え駅での足元の誘導サイン、転落防止柵などなど、少しずつ進んでいます。

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 上の転落防止柵は、人の高さほどあります。これだけ高くしている理由が、今は思いつきません。
 駅の構内での点字ブロックは、一つも見かけませんでした。街中の点字ブロックは、本年2月の記事「インド・デリーの点字ブロックなどには要注意」(2016年02月25日)をご覧ください。

 銀行に列をなす人々は、至る所で見かけます。今日から銀行が開きました。とにかく、数時間にして紙くずと化した紙幣を手に、少しでも身を守るためです。しかし、旅人である私は、あの列に並ぶだけの時間的な余裕も、精神的な強さもありません。ただただ、お金を使わないことを心がけるしかありません。クレジットカードが使える店で食いつなぎます。それでも日々を過ごせるのがインドです。


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 街中から牛や象や駱駝や猿がいなくなり、国際化を急ぐ中で、インコ(?)を見かけました。


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 夕陽が、少しスモッグに包まれています。思ったほど、大気汚染の影響は感じません。
 社会情勢がどうであれ、風景はいつも通りに、刻々と変化する悠久の流れを感じさせてくれます。


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