2017年05月27日

もう一枚の翻訳本『源氏物語』の展示ポスター[楽しいバージョン]

 過日、大阪観光大学で【[ミニ展示]世界中の言語に翻訳された『源氏物語』】を開催していることを書きました。

「大阪観光大学で翻訳本『源氏物語』の表紙絵を楽しむ」(2017年05月09日)

 その後、宣伝用のポスターができたので、その紹介をしました。

「翻訳本のミニ展示会のポスターができました」(2017年05月18日)

 さらにこのたび、宣伝用のポスターで[楽しいバージョン]が出来上がりましたので、ここで紹介します。これも、「オフィス ティ」でデザイナーとして活躍中の、塔下宣子さんの作品です。
 学生さんには、こちらも好評です。



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 身近に、このような翻訳本に興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、「こんな催しが」と宣伝していただけると幸いです。
 配布用のポスターがきれいにプリントできるように、前回のものもスナップ写真ではなく、印刷用の写真として掲載します。



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 また、翻訳本を持参して、原本を触ってもらいながらの出前の解説会もいたします。
 これまでに、国文学研究資料館はもとより、昭和女子大学の文化祭を初めとして、中部大学と就実大学で実施したことは、以下のブログに報告した通りです。

[中部大学]「愛知県春日井市の中部大学でお話をしてきました」(2013年12月18日)
 
[国文学研究資料館]「ミニ展示《さまざまな言語に翻訳された『源氏物語』》-2015-」(2015年09月08日)
 
[就実大学]「岡山の就実大学で「世界中の33言語で読める源氏物語」という話をしました」(2016年11月26日)

 何かのイベントの一つとして、私が収集した翻訳本がお役にたつようでしたら、ご一報いただければその実現について検討いたします。

 今後は、手持ちの翻訳本を整理し、大阪観光大学の図書館を展示会場として、月替わりでミニ展示を続ける予定です。

6月【中国・韓国・インドで翻訳された『源氏物語』】
7月・8月【ヨーロッパで翻訳された『源氏物語』】
9月【海外で翻訳された平安文学】
10月【海外で翻訳された中世・近世文学】
11月【海外で翻訳された近代文学】
12月【海外で翻訳された現代文学】

 今秋以降に予定している近代・現代文学の翻訳本は、実数すらわからないほど膨大な量が刊行されています。私の手元にあるのは、ほんの一部にすぎません。
 現在、大阪観光大学の図書館の一画に、日本文学に関する翻訳本のライブラリを設けるための準備を進めています。もしみなさまのお手元に、重複していたりご不要の翻訳本がありましたら、大阪観光大学に寄贈していただけると幸いです。また、翻訳者と連絡がつくようでしたら、著者編者からの寄贈を待ち望んでいることをお伝えいただけるとありがたく思います。寄贈していただいたご本は、寄贈者のお名前も書誌情報に明記し、大切に大学図書館の蔵書として管理していきます。ご一報いただけると、送り先などをお知らせします。1冊でも2冊でも結構です。本ブログのコメント欄を利用して、遠慮なくお問い合わせください。

 なお来年以降は、これまでの展示が表紙絵だけだったので、次は翻訳本の冒頭部分を拡げて、翻訳文そのものを見てもらうつもりです。これについては、少し古いものながら『総研大ジャーナル 第15号』(2009年)に、その一部を掲載しました。これに、もう少し詳しい説明を付けて、展示を構成したいと思っています。
 これに関しても、いろいろとご教示いただけると幸いです。

『総研大ジャーナル 第15号』に掲載した翻訳本の冒頭一覧
 
 
 

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2017年05月26日

科研(A)の成果は「海外源氏情報」から[海外平安文学情報]へ

 科研費による基盤研究(A)で、平成25年度から28年度までに私が研究代表者となって取り組んで来た課題は、「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」(課題番号︰25244012)でした。そして、その研究概要と調査報告および研究成果を、「海外源氏情報」(科研HP)というホームページから公開してきました。

 そのホームページに不具合が見つかったのは、最終年度の最終日でした。あれから、まだ2ヶ月も経っていません。そのことについては、本ブログで報告し、その対処を提示してきました。
 まだ、この件でのお問い合わせが続いているので、現在の状況と今後について、ここに記しておきます。

 まず、ホームページ「海外源氏情報」において判明したいくつかの問題点は、その対処を本ブログにおける次の記事で報告しています。
 
「2つのホームページの不具合に関するお詫び」(2017年04月26日)
 
「ダウンロード版『海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016』の再公開」(2017年05月01日)
 
「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル vol.1〜vol.6』の再公開」(2017年05月02日)
 
「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル Vol.3 & Vol.6』の分割公開」(2017年05月04日)
 
「ダウンロード版『日本古典文学翻訳事典 1・2』のお詫びと再公開」(2017年05月25日)
 
 また、ホームページ「海外源氏情報」の画面に表示される文字列は、画面がロックされているために、コピー&ペーストができません。これは、公開している情報を引用してくださるみなさまには大変ご不便をおかけしているようで、恐縮しています。
 上記の、ダウンロードができないことと画面のロック以外については、特にこれ以上の不具合は確認していません。
 もしまだ何か問題があるようでしたら、ご教示いただけると幸いです。

 「海外源氏情報」については、先月4月1日以降は修復も含めて、まったく何も手を付けていません。問題の所在が不明確にならないようにするため、専門家からアドバイスをいただいての対処です。

 今後は、この「海外源氏情報」を通して公開してきたデータのすべてを、今年度から4年計画で新しく始まった科研(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)に取り込み、近日中に新たに立ち上げるホームページ[海外平安文学情報]に移行します。
 現在の「海外源氏情報」で発生している不具合は、新ホームページ[海外平安文学情報]に移行を終えたら、その段階で役割を終えることにします。

 現在は、新ホームページのデザイン(案)を検討しているところです。
 この画面は、その一部が動きますので、完成型を楽しみにお待ちください。

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 この入れ物に、これまでの情報のすべてと、これからの情報を盛り込むために、今は新築と引っ越しの作業で、慌ただしく立ち回っているところです。
 新しくお披露目するホームページ[海外平安文学情報]は、もう少しお待ちください。
 
 
 

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2017年05月25日

ダウンロード版『日本古典文学翻訳事典 1・2』のお詫びと再公開

 本年3月まで取り組んでいた科研(A)のホームページ「海外源氏情報」(http://genjiito.org)では、そこから公開していたオンライン版の冊子が、4月以降はまったくダウンロードできなくなっていました。そこで、以下のように本ブログから入手できるように対処しました。

(1)「ダウンロード版『海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016』の再公開」(2017年05月01日)
 
(2)「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル vol.1〜vol.6』の再公開」(2017年05月02日)
 
(3)「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル Vol.3 & Vol.6』の分割公開」(2017年05月04日)
 
 その後、『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』(伊藤鉄也編、2014年、319頁)と『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』(伊藤鉄也編、2016年、259頁)についても、ダウンロードできなくなっていることのご指摘を、何人もの方々からいただきました。これは、4月以降もダウンロードしていただけていると私が思い込んでいたものであり、不具合に気付いていませんでした。申し訳ございませんでした。
 そこで、これも急遽、このブログからダウンロードできるように、以下の通り対処いたしました。
 ここに転載したダウンロード版『日本古典文学翻訳事典 1・2』の内容は、これまで公開していたオンライン版と、まったく同じです。
 本年3月末から、一連の成果物がダウンロードができなくなっていることについては、多くの方々にご心配とご迷惑をおかけしています。この不具合の対処は、いまだに対応できない状況にあります。その原因はほぼ特定できました。しかし、修復するスキルと経費のメドがたちません。今のところ私自身も打つ手がなく、困惑の中にいることをご理解いただけると幸いです。
 あくまでも暫定的ではあるものの、以下からダウンロードしていただくことで急場をしのぎたいと思います。
 いつまでも不具合を抱えたホームページに拘っていてもいけないので、新しいホームページを作成しつつあります。これまでの「海外源氏情報」で公開していた膨大なデータは、そのまま移行する準備を進めています。いましばらくお待ちください。
 
■ダウンロード版『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』【約 3 MB】 (2014年3月31日発刊・非売品)
 
■ダウンロード版『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』【約 8 MB】 (2016年12月22日発刊・非売品)
 
 
 
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2017年05月24日

読書雑記(200)須田寛『日本の観光 きのう・いま・あす 現場から見た観光論』

 今私は、観光とは何か、観光学とはどのような学問なのかが知りたくて、いろいろな入門書を読んでいます。観光に関する基本的な知識の習得と、観光を考える際の物の見方を学ぼうとしているところです。
 まだ、これは、と言える本との出会いがありません。

 『日本の観光 きのう・いま・あす 現場から見た観光論』(須田寛、交通新聞社新書107、2017年2月)を読みました。

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 新刊ということもあり、興味を持って手にしたものの、私の方に直面する問題意識がなかったせいか、退屈な本でした。
 この道で幅広い経験と実績を踏まえ、豊富な情報を提供する一書です。しかし、読んでいて話に引き込まれないのです。私が観光業について知らないからだと思いながら、読み進みました。
 記述されていること、語られていることに、あまり新鮮味を感じません。また、文章の途中に補足説明がカッコ付きで加えられています。これが結構多くて話がぶつぎれとなり、それでなくても漫然とした説明がカッコでさらに意味不明となります。もったいないことです。
 社会状況の説明と伝聞による話題が多いのも、中身が締まらず雑然としたお話に終始する原因のように思いました。
 著者は「はじめに」で、本書について次のように言っておられます。

 最近「観光立国」の声の高まりと共に様々な観光への取組みが急伸しつつある。このため観光関係の人材育成の必要から各地の大学等に観光学科・学部等が開設されるようになった。筆者もいくつかの大学で非常勤講師として観光の講義も担当している。「観光学」は比較的歴史の浅い学問であることもあって、参考文献がまだ少なく、授業のためにも、また筆者自身の学習のためにもやや物足りなさを感じていた。そこで観光の参考書を自分でもつくることを考えた。本書もそのひとつである。しかし、筆者は実務担当者であって学者ではないため、学間的な知見を整理するというより、自分の実務経験を振り返りそこから得た教訓等、筆者なりの観光への学習成果をまとめたものをつくるのが精一杯であったことをまず反省しなければならない。(2頁)
(中略)
 実務者からみた観光の今の動きを記述することから今後にむかって発展していく観光の姿を描く、いわば「動態観光論」ともいつべきものにまとめようとしたのが本書の目標でもある。(3頁)


 まさに本書は、教科書のような、事実の羅列なのです。利用目的によっては、重宝する本かと思われます。しかし、通読には適しません。コラムも補注にしかすぎず、気分転換になっていないのが惜しまれます。ただし、資料には啓発されるものがいくつもありました。もっと引用してある資料や図版の説明があれば、内容に関連付けて理解が深まったかと思われます。これは、情報が投げ出され、情報の垂れ流しとなっています。もったいないと思いました。
 なお、次の地名に関する観光との問題は、私の興味を惹きました。地名が持つ歴史と文化は、観光客のイメージ作りと密接に結びつくからです。このことを、もっとわかりやすく掘り下げていただきたかったところです。

地名にかかわる問題は他の観光地でも起こっている。修善寺・湯ヶ島・韮山・長岡等、伊豆の有名観光地の地名が広域地図から消えてしまったのである。広域地図では普通、市町名を○で示すだけになる。このため合併で生まれた「伊豆市」「伊豆の国市」という新市名の表示だけになったからである。このため観光客の間にとまどいを生じている。
 市町村合併後も従来の観光地名等有名な地名は何等かのかたちで表示する工夫が必要だ(○○市××地区というような表示方など)。
 このようなことも観光を”まもる”重要な施策ではなかろうか。(225頁)


 もう一例を。
 私が興味を持っている、観光と食に関する問題は、驚くほどピンボケな説明でした。この「食」の項目は問題点の掘り下げ方や視点が極めて浅薄なものとなっていて残念です。

新しい「食」の観光
 「食」は、これまでも観光を構成する重要なひとつの要素であった。しかし、どちらかといえば、観光に付帯するものが中心で、観光に行ったついでに、「食」(名物菓子等)を味わったりみやげ品として買うこと等が多かった。観光地で名物のいわゆる「うまいもの」を食べるということによって観光に付加価値を加える、いわばいろどりをそえるものでもあった。
(中略)
 「食」の観光にも二つの流れがある。
 第1は、「ストーリー型『食』の観光」である。食材の由来(ストーリー)を共有する地域間の連携による広域にわたる「食」の観光だ。例えば、旧軍港の兵食を「海軍グルメ」として情報発信した横須賀の「海軍カレー」、呉、舞鶴の「肉じゃが」、佐世保の「バーガー」(米軍に由来)では、それらが地域の食文化にまで成長、多くの新しい「食」を求める観光客で賑わうようになった。
 第2は、「食」の生産から販売までを総合観光資源とするものである。漁場見学(体験)から始まり、魚市場見学、ショッピング、魚料理の賞味、魚の食品加工工場の見学(一部体験)等を、一貫した「食」の観光とする学習型要素の強い「食」の観光が人気を集めている。富山の「ますのすし」が新幹線開業を機に、一段と注目を集める全国的な観光資源として知られているが、この「すし」は右記のような一貫観光に近い受入体制が導入されている。
 このように「食」の観光は従来の観光の付随的なものから独立した観光の分野となり、しかも、所によっては大規模な新しい総合観光資源となりつつある。(156〜158頁)


 著者が提唱されている「国際観光」の振興について、具体的にどのように実現するのかが、読者に問われていると言えます。ただし、繰り返しになることに煩を厭わずに書くと、話がどんどん飛躍するので、問題点の所在とその対処策が不明確でした。そのために、問題が提起されていても投げ出されたままなのです。
 平成18年12月に議員立法により成立し、平成19年1月より施行されている「観光立国推進基本法」についても、もっと丁寧な説明が聞きたいと思い続けながら、読み進みました。
 本書の最後の方に、次の記述があります。

 以上、外国人客を誇救し、さらに国際観光を発展させるには様々な課題解決に取組む必要があるが、その多くの課題はソフトの問題、即ち主としてこころの持ちようで解決できるものが多い。即ち外国人客をもてなしの心で温かく迎える姿勢をもつことがそれであろう。(244頁)


 この箇所には、「こころ」と「もてなしの心」に圏点が付けてあります。それにしても、この解決策は非常に漠然としています。「こころの持ちよう」と「もてなしの心で温かく迎える姿勢」で解決できると言うのです。それが一体何なのか、その具体的な解決策を知りたいのに、言い古された曖昧模糊としたことばでしめくくっておられます。「もてなし」とは、どのようなことを言おうとしておられるのか、その具体的に意味するものが語られないままに、このことばで閉じようとされます。
 私ははぐらかされた気持ちで、そのまま本を閉じました。【1】
 
 以下に、本書で私がチェックしたことを、備忘録として引用して列記しておきます。

 いまから二千年程前中国に『易経』という書物があった。中国の儒教の教えをまとめたものである。そのなかに「観国之光 利用賓于王」という言葉が出ている。日本語読みで訓読してみると「国の光を観るはもって王の賓たるに用いるによろし」となる。辞書等によるとこれが「観光」の語源だとされる。(8〜9頁、引用者注・これに続いてその意味を解説するくだりは、私にはその意味するところがよくわかりませんでした。)
 
 幕末日本がオランダに発注した洋式軍艦は「観光丸」(他の一隻は有名な「成臨丸」)と命名されたが、その名の通り開国後海外視察団や海外への留学生の渡航に使われた。まさに外国の「光」を心をこめて学ぶための船であった。極めつきは明治4年右大臣岩倉具視が国の命を受けて欧米の政治経済事情視察団長として海外に派遣されたときのことである。帰国後に帰朝報告書が国に提出され、それが内閣(太政官)から公刊された。図1-1のように表題が「観光」と大書されていることに注目したい。外国の「光」を観、かつ学んで来た報告書の題として国の刊行物に「観光」という言葉がその語源通りの正確な意味で使われている。(11頁)
 
 しかし当時(引用者注・『万葉集』の時代)の観光は高貴な人、富裕な人中心のものであった。このような限られた人の観光が一般市民も広く参加する大衆的な行動にひろがっていくのは室町時代以降とみられる。この時期から伊勢神宮への一般人の参詣が許されるようになった。また庶民の間で熊野詣も始まった。仏教の各地への普及に伴い寺院が各地に建立される。このような寺社への参詣旅行が庶民の観光への大きい動機となった。また各地で山が信仰対象となる山岳宗教も普及。この頃から登山の慣習も広がる。この当時の神仏詣等の観光は団体旅行が中心であったといわれる。(36頁)
 
 江戸時代はこのように日本の大衆観光定着の時代となった。当時幕府の政策で架橋を極端に制限したため、徒歩旅行(今様にいうなら街道観光)が観光の中心になった。河を渡る際には、馬車等の利用ができなかったためである。このため安い経費で誰でも簡単に参加できる観光が普及することになった。車等によらず徒歩による旅行が中心となった日本独特の観光形態の原点はこの時期に形成されたのである。(38頁)
 
 欧米諸国の例も参考に日本版ともいつべき法人組織の"DMO"(広域観光推進機構)を結成する動きが各地でみられるようになってきた。国も先の「観光圏」構想をさらに前進させるものとしてDMOの設立を積極的に支援する体制を整えることになった。DMOは、民間主導型で設立されることを予定しているが、その候補となり得るしくみ設立を地域団体等と地方自治体が連名で計画し、国に登録して出発することになる。そのうえで具体的事業推進について国の財政支援も受けるみちがひらかれた。既に全国で100以上の登録準備地域が名乗りをあげており、今後の「広域観光」推進のしくみの中核としての活動が期待されている。(236頁)

 
 
 

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2017年05月19日

やました氏のエスペラント訳『源氏物語』の最新情報

 やましたとしひろ氏が精力的に取り組んでおられる、エスペラント訳『源氏物語』に関して、最新情報が入りました。
 今回は、以下の5帖が追補となりました。

第14帖★澪標
第15帖★蓬生
第17帖★絵合
第18帖★松風
第19帖★薄雲



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 詳しくは、「エスペラントの世界」でご確認ください。
 やました氏は、着実に成果を公開なさっているので、これからの進捗がますます楽しみです。
 私はエスペラントはわかりません。しかし、こうしてさまざまな言語に『源氏物語』が翻訳されて行くことを、広くお知らせすることで後方支援をしています。
 
 
 
 

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2017年05月18日

翻訳本のミニ展示会のポスターができました

 過日お知らせした「翻訳本のミニ展示」(2017年05月09日)を開催していることを幅広く知っていただくために、宣伝用のポスターを作りました。


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 これは、デザイン会社の オフィス ティ でデザイナーとして活躍中の、塔下宣子さんの作品です。
 塔下さんは、大阪観光大学の前身である大阪明浄女子短期大学の卒業生で、私の教え子です。また、22年前に短大の中に創設した、当時は世界的にも最先端だと言われた、「マルチメディア部」と「ワールド・ワイド・リサーチクラブ」の主要メンバーでもありました。

 この度、縁あって、いろいろとデザイン面で助けてもらうことになりました。
 新規採択となった科研のホームページのデザインも、お願いしています。これも、出来あがりが楽しみです。もうしばらくお待ちください。
 
 
 

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2017年05月09日

大阪観光大学で翻訳本『源氏物語』の表紙絵を楽しむ

 本日より、大阪観光大学図書館3階の円形階段前で、『源氏物語』の翻訳本を展示しています。

 ささやかな展示です。しかし、なかなか見ることのできない世界各国の多言語翻訳の『源氏物語』が、これだけまとまって居並ぶのは壮観です。

 タイトルは、【[ミニ展示] 世界中の言語に翻訳された『源氏物語』】です。

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 右側のケースにアジアで刊行された本を、左側のケースに欧米で刊行された本を選りすぐって並べました。

 アジア他〔アラビア・韓国・タイ・タミル・パンジャビ・モンゴル〕

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 欧米〔イタリア・英国・クロアチア・スペイン・スロベニア・ハンガリー・フランス・米国・ポルトガル〕

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 表紙の多様さを楽しんでいただくことが、今回の展示のテーマです。日本古典文学の代表作である『源氏物語』を、文化の国際交流という視点で実見していただけたら幸いです。

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 来月からは、【[ミニ展示] 中国・韓国・インドで翻訳された『源氏物語』】という特集を準備しています。
 その後は、【[ミニ展示] ヨーロッパで翻訳された『源氏物語』】、【[ミニ展示] 海外で翻訳された平安文学】と続きます。

 この展示は、昨年度まで4年間にわたって取り組んでいた、日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(A)「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」(課題番号:25244012、研究代表者︰伊藤鉄也)の研究成果の一部です。
 
 
 
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2017年05月04日

オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル Vol.3 & Vol.6』の分割公開

 過日の「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル vol.1〜vol.6』の再公開」(2017年05月02日)では、第3号と第6号が、ファイル容量がサーバーの許容範囲を超えたために、アップロードできませんでした。
 大容量のPDFファイルをうまくダウンロードできるような工夫を考えているうちに、時間ばかりが経ちます。とにかく、1日も早く読んでいただくために、原始的ながら、それぞれの号を手作業でいくつかに分割することにしました。今回は、手近なところで Macintosh の「プレビュー」を使っています。
 手間をおかけします。適宜ダウンロードしてお読みください。ツールをお持ちの方は、ダウンロードの後に結合してください。
 もし不具合が発生するようでしたら、コメント欄をつかって教えてください。
 

『海外平安文学研究ジャーナル Vol 3.0』(オンライジャーナル)

【1】本体(表紙〜116頁)
   (150930_Journal_3-1-main.pdf)[3.1MB]

【2】付録・スペイン語訳(117〜150頁)
   (150930_Journal_3-2-Spain.pdf)[23.9MB]

【3】付録・イタリア語訳(151頁〜奥付)
   (150930_Journal_3-3-Italia.pdf)[10.5MB]


『海外平安文学研究ジャーナル Vol 6.0』(オンラインジャーナル)

【1】本体(表紙〜102頁)
   (170329_Journal_6-1-main.pdf)[3.3MB]

【2】付録・「桐壺」翻訳(103〜155頁)
   (170329_Journal_6-2-kiritsubo.pdf)[22.3MB]

【3】(156〜218頁)付録・「若紫」翻訳《イタリア語・ロシア語》
   (170329_Journal_6-3-waka1-.pdf)[22.9MB]

【4】付録・「若紫」翻訳《ヒンディー語・ウルドゥー語》/『十帖源氏』(219頁〜奥付)
   (170329_Journal_6-4-waka2.pdf)[14.4MB]
 
 
 

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2017年05月02日

オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル vol.1〜vol.6』の再公開

 昨日に続き、ダウンロードできなくなっている『海外平安文学研究ジャーナル』の第1号から第6号までを、このブログを通してダウンロードできるようにしました。
 ただし、残念ながら第3号と第6号は、本ブログの制限容量である25MBを超えるため現在その方法を検討中です。しばらくお待ちください。

 中でも、第6号は公開した翌日からダウンロードできなくなったようなので、これを読まれた方はいらっしゃらないと思われます。これは 60メガバイトを超える容量なので、今日の時点ではダウンロードをしていただけません。第3号も同じ理由で、ここでは保留しています。
 どなたか、この37メガと62メガのPDFをダウンロードできるような方法を御存知の方がいらっしゃったら、ご教示いただけると幸いです。

 第1・2・4・5号は、すでにダウンロードしてお読みになった方は多いようです。昨秋まで公開していたものと同じものです。

→以下の雑誌名をクリックするとダウンロード後にお手元の画面に誌面が表示されます。
 この報告書を保存したい方は、お使いのブラウザの機能で行なってください。

1『海外平安文学研究ジャーナル vol. 1.0』【約 1.5 MB】(2014/11/26 発行)


2『海外平安文学研究ジャーナル vol. 2.0』【約 2.0 MB】(2015/03/11 発行)


3『海外平安文学研究ジャーナル vol. 3.0』【約 37.0 MB】(2015/09/30 発行)
《本ブログの制限容量である25MBを超えるため現在その方法を検討中です》


4『海外平安文学研究ジャーナル vol. 4.0』【約 21.8 MB】(2016/03/30 発行)


5『海外平安文学研究ジャーナル vol. 5.0』【約 11.6 MB】(2016/09/21 発行)


6[最新刊]『海外平安文学研究ジャーナル vol. 6.0』【約 62.3 MB】(2017/03/30 発行)
《本ブログの制限容量である25MBを超えるため現在その方法を検討中です》
 
 
 
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2017年05月01日

ダウンロード版『海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016』の再公開

 過日、本ブログの「2つのホームページの不具合に関するお詫び」(2017年04月26日)で、『海外平安文学研究ジャーナル』がダウンロードできない状況にあることを記しました。

 いまだ解決のメドが立たないので、このブログを通してダウンロードできるようにいたします。
 特に要望の多かった、『海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016』(2017/3/31 発行)から始めます。今回アップロードするPDFファイルの容量は、約20メガバイトです。ご自分のコンピュータ機器の環境をご確認の上、本記事の末尾の誌名をクリックしてダウンロードをした後、保存などの対処をしてください。

 この報告書は、残念なことに関係者数人以外は、公開した日以降はどなたも読めない状況下にありました。編集に関わった者としては、忸怩たる思いでいました。執筆及び編集に多大の労力を注いでくださった諸先生方および関係する方々には、本当に申し訳なく、そしてそこに至るまでのご労苦にありがたい感謝の思いでいました。長くお待ちいただいている方々にも、本当に申しわけありませんでした。

 現在は、「海外源氏情報」(科研HP)のリニューアル版の作成に着手しています。今月末までには、不十分ではあっても、何とか形にして公開したいと思っています。
 いましばらくの猶予をいただきたいと思います。

→以下の雑誌名をクリックするとダウンロード後にお手元の画面に誌面が表示されます。
 この報告書を保存したい方は、お使いのブラウザの機能で行なってください。

■ダウンロード版『海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016』【約 20 MB】(2017/3/31 発行)
 
 
 

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2017年04月27日

「ニューツーリズム地域活性化研究会」に参加して

 大阪観光大学の観光学研究所が主催する「第1回 ニューツーリズム地域活性化研究会」が、明浄3号館2階国際交流サロンで開催されました。初めて参加しました。

 「健康・スポーツツーリズムによる地域活性化を考える ―ニューツーリズムの観光推進―」というテーマで、地域活性化につながる情報を共有することを念頭に実施するものだ、とのことです。
 以下、案内状の文章を引用します。

 観光学研究所では、いろいろなセミナー・シンポジウムを実施してまいりましたが、少し掘り下げて地域活性化につながる情報を共有させていただくことを念頭に実施いたします。

 この研究会は、観光、特にニューツーリズムによる地域活性化やまちづくりの推進に研究や事例を通して貢献することを目的としています。

 1回目として、「健康・スポーツツーリズムによる地域活性化」を取り上げます。泉州地域においても多くの市町がウォーキングやマラソンをはじめいろいろなイベントを開催しております。

 マラソン大会は年間1000を超えており、全国各地で行われています。なぜ、それだけ数が多いのでしょうか。まさに、「ニューツーリズムは競争相手にもなるが共存も出来る」ということになります。同じ志を持った人が集まる可能性が高いニューツーリズムはコミュニティーを形成しやすく、ネットワークも広がりやすいといわれています。健康志向、オリンピックに向けての運動需要の高まりも背景にあると思います。

 今回は、健康・スポーツのイベントの成功事例を旅行会社の視点からお話いただきます。また、九州で外国人誘客に力を発揮している「九州オルレ」の事例も紹介させていただき、マーケットが広がっている事例をお話させていただきます。


 今回は、次の2つの事例報告がありました。

事例1.
「阪南市の事例ー旅行会社を活用した新たな地域の魅力の掘り起こし」
 近畿日本ツーリスト株式会社
  和歌山支店次長 佐々木康敏氏


 移住の勧めを意図しているイベントだったようです。
 ネットで200名、電話FAXが100名の申し込みがあり、60代が多かったとか。みなさん元気です。満足度が高いイベントとなっているようです。食に関しては、参加者から好評だったようです。
 成功事例には学ぶことが多い、という考えでの発表会でした。
 若者の参加率が高くて3割以上だったので、今後とも継続が期待できる、とおっしゃっていました。今後の課題も聞きたいところでした。

事例2.
「九州オルレの成功事例紹介とニューツーリズムの特徴について」
 大阪観光大学教授 辻本千春


 韓国で始まったオルレの日本版(九州)の事例報告でした。オルレとは、地図を片手にリボンや標識を頼りに経巡り歩く旅です。自分のペースで楽しむウォーキングなのです。自然を肌身に感じて、地図を片手にではないウォーキングとして、最近人気があるようです。今後とも、広がるのでしょうか。日本では、何々トレイルとして実施されているものにイメージが近いと思いました。
 初めて話を聞いた者としては、なぜ韓国由来の「オルレ」なのかな、という感想を持ちました。巡礼やお遍路のバリエーションだと思うと、日本の文化と結びついたイベントとしてお色直しをして育ちそうな気がします。

 この後、質疑応答と自由討論が行われました。この意見の交歓も楽しいものでした。
 午後6時から8時まで、たっぷりとお話を伺いました。私にとっては、まさに異文化体験です。新しい学問に、いい刺激を受けています。
 
 
 
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2017年04月25日

空を飛ぶ4輪のキャリーバッグ

 バスの中で、大きな4輪のキャリーバッグが飛んでいくところを見ました。

 私の隣に座っておられた観光客の方のキャリーバッグが、突然バスの中ほどから前に向かって動き出し、少し助走してから浮き上がったまま真っ直ぐに宙を飛び、運転席と前の降車ドアにぶつかりました。ちょうど停留所に留まろうとした時でした。その大きなバッグの持ち主は海外からお越しの方で、京都の観光案内図を広げておられたので、バッグを握っていた手が離れたのでしょう。
 幸い、乗客もバッグも車内も、大事には至りませんでした。前に誰かいたらどうなったことかと、怖いことを想像しました。バスの中では、これまでにもこうした場面に出くわしています。

 以前、地下鉄のホームから線路に、キャリーバッグがコロコロと転がって落ちるのも見ました。電車のホームは、線路側に緩く傾いているようです。
 新幹線の中でも、あの狭い通路を巧みに自走するキャリーバッグを見ました。居眠りしておられた持ち主は、他の乗客の方にバッグを渡されるまで、まったく気づいておられませんでした。

 何度か目の前を飛んでいったり、勝手に走って行くキャリーバッグを見ました。しかし、それが大きな事故につながった場面は知りません。しかし、間一髪の危険なシーンは、たくさんあります。

 今回のバスの場合、運転手さんは会社にこのことを報告なさるのでしょうか。
 全国では、キャリーバッグの暴走により、いろいろな事故も起こっているかと思われます。この4輪のキャリーバッグが、手を放すと自走していくことに対する対策なり注意の喚起は、観光立国を目指す日本が抱える問題として、意識してもいいのではないでしょうか。
 すでに、動きがあるに違いありません。しかし、私の生活圏ではその兆候は見られません。

 私は、2輪車のキャリーバッグは長く引きずるので、人混みの中では迷惑になることから使わないようになりました。しかし、4輪のキャリーバッグは、迷惑以上に大きな事故に直結します。4輪の場合、キャスターのロックができる製品は、少し大きめのバッグでないと付いていません。また、付いていても、急ブレーキには対応できていません。
 これから新緑の季節となり、ゴールデンウイークが始まります。何かいい対策はないものでしょうか。

 キャリーバッグに関しては、最近のものでは以下の2つの記事を書いています。
 参考までに、関連情報のメモとして残しておきます。

「キャリーバッグのキャスターが壊れる」(2017年03月11日)

「最適な4輪式キャリーバッグとの出会いと点字ブロックの今後」(2016年10月16日)
 
 
 

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2017年04月20日

新規科研の開始にあたって5(平成29年度の研究計画)

 新規採択(内定)となった科研A「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」の、平成29年度に実施を予定している研究計画は以下の通りです。

 初年度は、今後4年間の準備と展望の確認を行ないます。最初に手がけるのは、翻訳文献資料の調査収集と各国語訳を日本語に訳し戻すことです。

 まず、海外で刊行された文献資料を再確認することから。これは、これまでの成果としてウエブに公開している『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』と『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』を基本情報として、さらに調査を進めることになるものです。訳し戻しについては、すでに着手済みの『源氏物語』に加えて、『古今和歌集』『伊勢物語』『宇津保物語』『蜻蛉日記』『枕草子』等の諸作品を対象とします。日本人研究者と、翻訳された現地の研究者との双方での共同作業です。

 『十帖源氏』の多言語翻訳については、すでに着手している第1巻「桐壺」と第5巻「若紫」に続き、第12巻「須磨」と第13巻「明石」を開始します。『源氏物語』は54巻あり、これはほんの一部にしかすぎません。しかし、ここで作成される多言語翻訳の成果は、今後の全巻翻訳のための基盤構築となるものです。

 「第1回 国際日本文学研究交流集会」は大阪で開催します。テーマは「海外で翻訳された平安文学の諸相」。これは、これまでの成果を踏まえて、今後の展開を見据えたものです。

 本科研に関わるメンバー内では、年間数回の情報と意見を交換する会合を持ち、研究と成果を討議していきます。その内の1回は、外部の研究者に向けての公開研究会とし、海外からゲストを招いて実施する予定です。

 たとえ思うような成果がまとまらない事態が生じたとしても、ここで構築をめざしている各種情報の総整理に対する視点と、そこから生み出されたデータは生き続けます。これまでに蓄積し、データベースとして公開している成果が、今回の申請課題を下支えしてくれることでしょう。日本古典文学を世界に広め、相互理解を深める上において、貴重な研究情報の公開となり成果となるはずです。

 こうした内容についても、興味と関心をお持ちの方からの連絡をお待ちしています。
 
 
 

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2017年04月19日

新規科研の開始にあたって4(おおよその研究計画とその方法)

 新規採択(内定)となった科研A「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」の、研究計画とその方法をまとめておきます。

 まず、研究目的を達成するための研究計画と方法についてです。

 本課題では、世界各国における日本古典文学に関する実態調査(研究機関・研究者・研究成果・翻訳書等)に基づき、受容と研究の歴史を総合的に整理します。それと共に、『十帖源氏』の多言語翻訳と研究を踏まえて、日本文化の海外における変容を共同研究のテーマとして取り組みます。これらは、インターネットを活用したコラボレーションと、毎年実施する国際日本文学研究交流集会で確認して推進していくことになります。
 具体的には、調査・研究・翻訳・公開に関する活動を通して、情報交換をする中で研究成果を集約していきます。

 本応募課題による調査研究は、次の3群で構成しました。

1.翻訳から見た日本文化の変容
 各国の平安文学に関する翻訳書を整理し、それを日本語に訳し戻して基礎資料とする。
 翻訳を通して、日本文化が変容して伝えられていく諸相と実態を確認する。

2.『十帖源氏』の翻訳と研究
 日本側で作成した平易な現代語訳を活用して各国語で翻訳を進める。
 各国語の翻訳の訳し戻しを基礎資料として共同討議を行なう。

3.共同研究基盤の整備
 ホームページ「海外源氏情報」や電子版『海外平安文学研究ジャーナル』等のメディアを活用して、情報公開と共同研究を推進する。


 この3群を4年間にわたって推進する過程で、海外の研究者との情報交換を密にし、恒常的な人的ネットワークを構築するのです。これは、今後につながる人的な資源の継承であり、ここに集まる情報は貴重な資産になるはずです。
 また、スペインとインドで開催する国際日本文学研究交流集会における講演・シンポジウム・研究発表の成果は、ウェブを通して情報を公開し共有します。
 この計画を着実に実現するために、次の細目を4年間で実施する予定です。

(1)【調査活動】
 研究論文と翻訳書を調査し収集整理
 コラボレーションを通して基礎資料を作成
 海外における受容と研究の諸相をまとめる

(2)【研究活動】
 翻訳における日本文化の変容
  1.海外で翻訳された平安文学を日本語に訳し戻す
   『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』と『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』(平成28年12月刊行予定)で確認済みの、各種言語で翻訳されているものを対象とする
  2.翻訳の訳し戻しから日本文化の各国における移し替えの実態を研究する

(3)【翻訳活動】
 各国語への翻訳を通して日本文学への理解と若手研究者の育成
  1.『十帖源氏』の多言語翻訳は各国の翻訳技術の向上が期待できる
  2.翻訳対象言語:英語・中国語・タイ語・インド諸言語(8言語)・イタリア語・スペイン語等
  (すでに完成させた現代語訳を、各国の研究者・翻訳家の支援のもとに翻訳)

(4)【情報交換】
 研究者ネットワークの形成
  1.研究者間のネットワークを形成するために調査と情報整理
  2.海外での新世代である学生たちとの情報交換

(5)【成果発表】
 研究発表および講演・シンポジウムの開催とウェブ公開
  1.国際日本文学研究交流集会で研究発表の場所と課題を提供し若手を育成
  2.研究情報や成果はホームページを活用して発信し共同研究態勢を構築
  3.研究成果は電子ジャーナル(毎年度発行)で公開発表


 以上の3群5項目を展開することで、昨年度まで取り組んできた「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」(科研番号︰25244012)をさらに発展的に拡大した、調査研究及び成果の公開を目指していきます。

 こうした研究テーマに興味と関心をお持ちの方の参加を待ち望んでいます。
 このブログのコメント欄等を通して連絡をいただければ、折り返しお知らせなどをお届けします。
 さまざまな角度からのご意見をいただけることを、前年度までと同様に楽しみにしています。
 
 
 

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2017年04月12日

新規科研の開始にあたって3(学術的な特色・独創性・成果・意義)

 今年度から新規採択(内定)となった科研A「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」の、学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義についてまとめておきます。

 この研究課題は、海外における日本文学研究に関して、英語のみならず、各種言語で公表されたものに対応するのが特徴です。そして、外国語訳等を日本語に置き換え、その訳し戻した情報や資料を活用して研究を推進するものです。多言語情報を日本語で一元化し、多角的に考察する環境を提供しようと思います。
 このことにより、外国語という障壁が軽減され、日本語を母語とする研究者が多言語翻訳された環境を共有し、海外の方々と一緒に考える場に参加できるようになるのです。

 基礎情報であるはずの日本文学研究関連の情報の整備が、現状では海外の部分が大きく欠落しています。本課題は、平安文学を中心とする海外の日本文学研究の情報を再構築し、さらに発展させて文化を共有する資源とする意義を持っています。
 また、これまでに構築した情報をデータベース化して公開しているホームページ「海外源氏情報」と、研究成果の発信母体となる電子版『海外平安文学研究ジャーナル』が、さらに発展して広く平安文学を対象として有機的な活用がなされることが期待できます。

 ここでは、新たな気持ちでスタートを切ろうとしている時点での、その意義を確認しておくしだいです。
 (つづく)
 
 
 

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2017年04月07日

新規科研の開始にあたって2(翻訳文献と関係論文の点数と到達目標)

 新規に採択された科研に着手する前に、これまでに「海外源氏情報」(科研HP)で公開している翻訳文献と翻訳関係論文の点数や到達目標をまとめておきます。

 ホームページで公開している翻訳文献は『源氏物語』が290点・平安文学が581点、翻訳関係論文は『源氏物語』を含む平安文学が514点、翻訳以外の関係論文は716点です(2017年4月7日現在)。

 こうした状況を基礎的な情報として、新科研の研究期間である4年間に取り組み解明する目標は、次の3点を考えています。

1. 世界各国で翻訳されている平安文学の総合的調査を実施し、各国の受容史と研究史を整理
(ホームページ「海外源氏情報」で情報の収集と公開)

2. 江戸時代の簡約版『十帖源氏』を多国語翻訳し、日本文化の変容と理解について共同研究
(電子版『海外平安文学研究ジャーナル Vol7』以降で成果を掲載)

3. ホームページや電子ジャーナル等のメディアを活用して、研究者が情報交換をする場所を提供
(上記メディアに加えて、スペインとインドで国際日本文学研究交流集会を開催予定)


 いずれも、海外の研究者と共同研究を進め情報を共有することで、具体的な成果物としての刊行及びウェブ公開に結実させることとなります。そして、これらをまとめる過程で、研究者のネットワークの形成も果たしていきたいと思っています。

 多くの方々が、このコラボレーションに参加されることを心待ちにしています。
 
 
 

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2017年04月06日

新規科研の開始にあたって1(翻訳された『源氏物語』の言語数)

 先月で終了した科研(基盤研究A)「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」は、平成25年度から28年度までの4年間にわたって取り組んで来たものです。新たに平成29年度から始まる4年間は、『源氏物語』を中心としてきたことから平安文学へと対象を拡げます。テーマは「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」です。
 今月から新課題でスタートするにあたり、これまでの基本的な事項を、あらためて確認しておきます。

 まず、『源氏物語』が何種類の言語で翻訳されているか、ということです。
 現在、私の手元に集まっている情報によると、以下の33種類が確認できています。

【『源氏物語』が翻訳されている33種類の言語】
アッサム語・アラビア語・イタリア語・ウルドゥー語・英語・エスペラント・オランダ語・オディア語・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロベニア語・セルビア語・タミール語・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語・ドイツ語・トルコ語・現代日本語・ハンガリー語・韓国語・パンジャービー語・ヒンディー語・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ポルトガル語・マラヤーラム語・モンゴル語・リトアニア語・ロシア語


 このことを踏まえて、海外における平安文学の研究状況の情報を収集し、これまでわかっていることと共に整理をし、分析を加えることになります。

 また、平安文学の多言語翻訳についても、『源氏物語』を参考にしながら取り組んでいきます。

 上記33言語に関連して、以下の言語に関する情報が集まっていないので、この言語について調査を始めたいと思います。
 具体的には、東南アジアだけで見ても、次の言語の『源氏物語』の翻訳がありません。これらの言語の翻訳状況の調査から始めたいと思っています。例えば、『あさきゆめみし』のタイ語訳版は手元にあります。しかし、物語本文の翻訳はまだないのです。
 こうしたことに関して、情報提供や資料の所在などのご協力をお待ちしています。

インドネシア語、カンボジア語、シンガポール語、タイ語、フィリピン語、ブルネイ語、マレーシア語、ミャンマー語、ラオス語

 
 
 
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2017年04月05日

今年度の科研で「海外の平安文学」が採択(内定)となりました

 昨秋、定年退職間際に申請した、平成29年度の科学研究費補助金の審査結果が、幸運にも採択(内定)となりました。
 国文学研究資料館を所属機関とする申請でした。しかし、今月から所属が大阪観光大学に異動となったので、これから転出と転入の手続きをします。

 申請分野は基盤研究(A)なので、個人研究としては大きな種目です。次の「申請課題」で、4年間の調査研究に挑みます。
「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」

 「研究目的」は、以下の通りです。
 本申請課題は、日本で平安時代の文学を研究する者が中心となり、海外の研究者と協力して実現するものである。海外での平安文学における研究情報の総合的な調査を踏まえ、その日本古典文学の受容と研究の歴史を総整理することをめざす。
 また、江戸時代のダイジェスト版『源氏物語』である『十帖源氏』の多国語翻訳をとおして、日本文化が変容して海外に伝えられていく様子と文化理解についての共同研究も展開する。
 こうした活動と成果は、情報交換を目的とするホームページ「海外源氏情報」(http://genjiito.org)と電子版『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN:2188-8035)を媒介として、研究者間の交流の場へと展開していくものに育て上げる。

 先月末まで、がむしゃらに取り組んでいた基盤研究(A)の「海外源氏情報」を、さらに拡大して「海外の平安文学」に展開することとなります。
 海外の『源氏物語』に関する研究課題は、予想をはるかに超える成果が得られました。そのことを踏まえて、これまでに培った情報収集の手法と分析、さらには多言語翻訳にも多角的に取り組むことになります。

 これまで通り、コラボレーションを展開する中で研究を深めていきます。幸い、今月から勤務している大阪観光大学には、観光学部と国際交流学部があります。私が所属することになった国際交流学部のみならず、観光学部共々、学際的な視野のもとで多彩な研究をなさっている先生方と一緒に、今回の申請課題に取り組めるのです。
 これまでは、国文学を中心とした環境にありました。しかし、これからはさらに海外に拓いた多方面からのお力添えが得られます。全世界を見据えた研究環境に身を置くありがたさを、赴任したばかりの大学で、日々実感しているところです。

 みなさまのご理解とご協力を推進力として、さらにギアを一段上げての研究遂行となります。これまでに変わらぬご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

 科研費研究の道がさらに大きく開けたことを受けて、この研究に協力してくださる方を募っています。ネット社会なので、参加のしかたはいろいろとあるかと思います。
 海外の平安文学、及び多言語翻訳に興味と関心をお持ちの方で、一緒に夢を追いかけようとお思いの方からの連絡を、心よりお待ちしています。
 
 
 

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2017年04月01日

大阪観光大学国際交流学部に着任しました

 昨日3月31日は、東京の立川で国文学研究資料館の今西祐一郎館長から、研究部教授を定年退職する辞令をいただきました。
 今日4月1日は、大阪の日根野で大阪観光大学の明野欣一理事長から、国際交流学部特命教授として採用の辞令をいただきました。

 昨年末からの激動の日々を経て、先月は想像を絶する怒涛の時間の流れの中にいました。
 そのことが嘘であったかのように、昨夜は東京から辿り着いた京都の家で、日付が31から1にカシャッと変わりました。

 今朝は、街中で新入社員らしいフレッシュな若者たちに紛れて、私も晴れて初出勤となりました。これからは、京都駅と大阪駅で乗り換えての、片道2時間半の小旅行の日々が始まります。18年間にわたって、奈良や京都から東京へと、4時間半をかけて通っていたので、長時間の移動はさほど苦ではありません。本を読む時間が確保できるので大歓迎です。

 今日は、大阪観光大学の辞令交付式と入学式がありました。会場は泉佐野市立文化会館で、愛称は「エブノ泉の森ホール」と呼ばれているところです。
 入学式の後、ガルーダ・インドネシア航空との調印式があり、関空のお膝元で仕事をすることに実感を強めました。

 その後のアトラクションは、和太鼓、ダンス、吹奏楽と、新入生を楽しませるイベント。さらに、ダンサーの洋平さんがプロデュースした、7人のアイドルグループ「Chu-Z(チューズ)」のパフォーマンスです。これは、学生のみならず、教職員も一緒になって盛り上がりました。
 いい入学式でした。
 来週から始まるオリエンテーションが、実質的な私の仕事始めとなります。

 1999年に、この大学の前身である大阪明浄女子短期大学から、籍を東京の品川にあった国文学研究資料館に移しました。このたび、18年ぶりに古巣に帰ったことになります。
 研究室をはじめ、職員の方々や建物が懐かしく、遠い思い出が一気に蘇ります。玉手箱をひっくり返したような、言葉にし難い感慨に耽っています。
 
 
 
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2017年03月31日

電子版「海外平安文学研究ジャーナル」を2冊同時に公開

 昨日に続き、オンライン版の電子ジャーナルが完成しましたので、科研のホームページから公開しています。これは、科学研究費補助金による研究である科研A『海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究』の研究成果として、2種類の電子ジャーナルをまとめて公開したものです。

 いずれも、以下のサイトから自由にダウンロードして読んでいただけます。

(1)『海外平安文学研究ジャーナル vol.6.0』(全261頁)

(2)『海外平安文学研究ジャーナル インド編2016』(245頁)


 多彩なテーマが、膨大な成果としてまとまりました。その意義等については、巻頭の拙文「あいさつ」と「はじめに」に書きました。まずは、そこからお読みいただけると、編集の意図がみえてくるかと思います。
 ここでは、それぞれの「目次」を引きます。

(1)「海外平安文学研究ジャーナル 6.0 」(全261頁)

●目次
あいさつ 伊藤 鉄也 p3
[研究論文] 『十帖源氏』の本文と各種版本―和歌の異文と解釈の問題― 清水婦久子 p11
[研究論文] 母語話者・非母語話者によるロシア語訳『十帖源氏』桐壺巻比較考―母語話者による翻訳に見る日本文化の受容― 土田久美子 p29
[研究論文] 「交じらふ」女主人公―ジェンダーコードの視点から読む『とりかへばや物語』― 庄婕淳  p39
[研究の最前線] 「訳し戻し」という「翻訳」  藤井由紀子 p61
[研究の最前線] 英訳『今昔物語集』兵と戦いの世界 淺川槙子 p65
[科研活動報告] 科研活動報告 vol.2 加々良恵子 p93
【付録】各国語訳『源氏物語』「桐壺」「若紫」『十帖源氏』「桐壺」翻訳データ  p103
執筆者一覧 p259
編集後記 p260
研究組織 p261

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(2)「海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016」(245頁)

●目次
はじめに 伊藤鉄也 p3
ご挨拶 宮本薫 p15
第8回研究集会の趣旨 伊藤鉄也 p16
[基調講演] 「 変体仮名の国際標準化について」 高田智和 p25
[講演] 「 インド8言語訳『源氏物語』の書誌」 伊藤鉄也 p31
[講演]  「 江戸時代のダイジェスト版『十帖源氏』について」 入口敦志 p40
[講演]「『源氏物語』の英訳について」 須藤圭 p49
[問題提起]
パネルディスカッション
シンポジウム
【資料集】資料集(各国誤訳『十帖源氏』「桐壺」)
執筆者一覧 p243
編集後記 p244
研究組織 p245

 海外における平安文学の研究については、今後とも引き続き取り組んでいきます。変わらぬご支援のほどを、よろしくお願いいたします。
 
 
 

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2017年02月12日

江戸漫歩(153)最終日に行った五島美術館の茶道具展

 五島美術館で開催中の「茶道具取合せ展」を、最終日に駆け込みで見てきました。  何かと用事があり、やっと行くことができたのです。  今日展示されていた作品70点の中では、次の5点が印象に残っています。 (1)「長次郎黒楽茶碗 銘 千声 桃山時代・16世紀、釉薬の原料は加茂川石」 (2)「志野茶碗 銘 梅が香 桃山時代・16−17世紀、松平不昧旧蔵」 (3)「黒織部沓形茶碗 銘 わらや 桃山時代・17世紀、銘は利休の孫宗旦」 (4)「有馬茶会記 友阿弥筆 阿弥陀堂宛 桃山時代・天正18年(1590)書」 (5)「重要美術品 豊臣秀吉消息 おちゃちゃ宛 桃山時代・16世紀」  帰りに庭園を散策しました。そこで見かけた石像たちで、気になったものを、今日の出会いの記録として残しておきます。



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2016年11月17日

クマール君から届いた紙幣無効に関するエッセイ

 今回インドへ行き、到着から帰る直前まで、教え子であるクマール君のお世話になりました。
 よく気遣いができる青年で、毎日のように心配をして連絡をくれました。

 そのクマール君から私に向けて、今回の突然の紙幣無効に関する、インド人としての解説をしてくれました。ニュースや風聞を読み別け、整理をして語ってくれています。
 私がわかるように、わかりやすく語ってほしいとお願いしたからでもあります。

 私だけが読んで終わりにしてはもったいないので、このブログを通して紹介します。
 日本語の表現がこなれていないのは、しばらく日本を離れていて、日常的に日本語を使う機会が少ないためです。その点は、判読のほどをお願いします。

 また、クマール君は経済の専門家ではないし、インドの若者を代表して語ったものでもありません。この説明がどれだけ的を射ているのかはともかく、何がどうなっているのかわからない私に、とにかく伝えようとの思いから述べたものであることを、まずは前置きとして記しておきます。



「ブラックマネー(やみ金)撲滅から始まるインドの明治維新レベルの大事件」


 
 2016年11月8日の午後6時半に、日本からお出での先生をお迎えに、インディラガンディ空港に行きました。先生は、源氏物語のシンポジウムのご用でデリーに来印されました。空港でタクシーを拾い、デリーの高級住宅街にあるWorld Buddist Centerに午後8時ごろに着きました。

 World Buddhist Centerはお寺ですが、宿泊のサービス(食事付き)も提供しています。宿泊先のWorld Buddist Center では、晩こ飯の指定時間は午後8時です。それで、着いてすぐ「ご飯ですよ」とお坊さんに声をかけられました。

 日本と同じく、足のひくい食卓にしゃがんで食事をし始めると、後ろにあったテレビからインド首相の声が聞こえました。振り向くと、話し方も、彼の立ち方も、長いスピーチに思えました。国立記念日や重要なお祭りの前日に、インド首相が国にスピーチするのは、しきたりです。それで、しわを寄せて「明日なんのお祭り? 国立記念日?」と思いました。しかし、ニュースを聴いて、びっくりしました。

 500ルピーと1000ルピーの紙幣は今夜零時で無効になり、ただの紙屑に変わるという二ユースでした。病院、火葬場、空港、バス停、メトロ、ガソリンスタンド、国の機関で、あと3日間は使えるという話もありました。それを聴いて、すごくショックでした。

 先生がインドにいらっしゃるので、1万ルピーをATMから出したばかりでした。ATMだと500ルピーや1000ルピーが多いです。1万ルピーをドブに捨てた気がしました。しかし、しばらく聴くと、「今月30日までに最寄の銀行で古紙幣から新紙幣に両替できる、そして、その以降も両替できるが、インド準備銀行であるRESERV BANK OF INDIA だけで両替できる」というニュースでした。
 この移行期間で社会混乱が起こらないように、インドの軍や空軍はアンテナを張って社会を見張っている、守っているという話もありました。

 ご飯が終わって、早速ATMに行こうと先生が決めました。それで、近くにあったSapna映画館の商店街みたいな場所に行きました。行ってみると、ATMの場所で長い行列を見かけました。零時まで間にあわないほど長い行列でした。
 零時までは使えると思って、お店で500ルピーを出してみました。しかし、「紙屑だよ」という目線だけで、誰も受け入れてくれません。

 猶予期間である3日間が経って、それで社会にどんな影響があるかと考えると、ひっくり返るほど驚きました。この出来事を理解するには、まず、「現金イコール力」ということを考える必要があります。
 専門家によると、銀行に戻って来ないお金、つまりどこかで税金を払わないで眠っているお金は、銀行に顔を出すお金の6倍くらいあるということです。もし、現金イコール力だと、インド政府と同じ力を持っている人たちと、それにインド政府が知らない人たちがいるということです。

 専門的には、その事象を平行経済といいます。現金の平行経済は成り立つと格差社会が広がり、税金は払わない人が多くなります。インドで商売や小さなビジネスする人は、税金を払わないのです。それで、登録済みの会社で働く人が、多めに税金を払っているのです。年収は112万ルピー(190万円相当:2016年11月相場)であれば、年収の4割も税金として取られるのです。それで、大きなビジネスマンや映画業界の人など、年収のほぼ半分は税金として払っています。インドでは、たった2〜3パーセントの人が年収からなる税金を払います。そのために、紙幣廃止となり、みんなお金を銀行に戻すのです。

 年間の取引でどれくらいの税金になるか、政府から通知が来ます。多くの人が税金を払うようになります。その他、膨大な額の現金を持っている政治家などが、その膨大な金額を銀行に持って行けなくなったから、彼らは困っています。膨大な現金を持っているビジネスマンも困りました。

 一番重要なことは、現金はあらゆる社会問題に使われるということです。例えば、現金を配って選挙に勝ったりします。その現金はもう無効になりました。そろそろ3つの州で選挙があります。しかし、政治家が貯めていた膨大な現金は紙屑になったので、もう配れません。政治は、少し綺麗になったといえます。

 そして、インドでテロに使われるのも現金です。パキスタンやドバイにあるテロリストは、インドでSattaというギャンブルを行っています。それはすべて、現金でやっています。インド経済の5分の1ほども、インドの現金はテロリスト、ときにダウドというテロリストは持っています。その現金がすべて紙屑になりました。
 ニュースで「インドにいながら、ダウドを殺した」という話がありました。テロに使う兵器や人間は現金で買うから、その力はなくなったといえます。

 現金なしで生活をするのは難しいのですが、長い目で見ると私の将来のためになると考えると、その苦労は苦労には思えないのです。1日で銀行から4千ルピー以上はおろせない状況です。
 今日、11月13日、首相はまたスピーチをし、
「インド独立以来70年間、政治家やビジネスマンは、いろんなスキャム(公的な機関にいて、膨大なお金をねこばばすること)や横領をしてきました。膨大な現金を持っています。この病は70年間の古いものなので、すぐには治せません。現金がないので、生活に苦労しているのは承知しています。私に50日間ください。50日間だけ我慢してください。」
という話をしました。

 現金廃止以来、あらゆるインドの銀行は、20万かける1000万(2Billionルピー)インドルピーの現金を預かりました。歴史上初めての銀行残高となりました。
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2016年11月14日

国際交流基金で2回目の打ち合わせ

 第2回目の打ち合わせを、国際交流基金の事務所で朝から行ないました。


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 参加者は、日本からの5人と、インド在住の日本人2人、そして国際交流基金のお2人です。

 具体的にプログラムを詰めていく過程で、様々な案が出ました。当初の予定になかったことも話し合いの中で決まり、内容がますます多彩になるのは楽しいことです。いかにして参加者のみなさまと楽しい時間を共有するか、ということに心を砕く一時となりました。

 この、「第8回 インド国際日本文学研究集会」に関する第2回目の打ち合わせの成果は、進行する側の者としてもわくわくするものとなりました。
 明日の集会で展開する内容を、今から楽しみにしていただきたいと思います。


※この記事は、研究集会の前日、11月10日(木)のことを記したものです。
 インドの紙幣であるルピーが、デリーに到着した8日(火)の夜に無効になるという驚愕の事態に巻き込まれています。そのため、困惑しかないという状況に置かれていることもあり、本ブログの記事が大幅に遅れていることをご了承ください。
 現在、大量の無効となった紙幣が、街中に廃棄されているというニュースも入りました。
 これにより、大量に紙幣を溜め込んでいた政治家や資産家やテロリスト等は、茫然自失との風聞もあります。今この宿におられる1人の旅行者は、10万ルピーものお金が一夜にして紙くずとなったことで、ご一緒に食事をしていても元気がありません。
 今回の大鉈は、ブラックマネーを秘匿していた政財界関係者に対しては、息の根を止めるに等しいものだったので、絶大な効果があるとのことです。しかし、旅人は路頭に迷うしかないので、「不運」の一言で片づけられない深刻な問題です。
 インドに着陸して以来、1度も両替やキャッシングをすることもなく、明日はインディラガンディ空港を離陸して帰国の途につきます。いかにして現金を手にするか、ということだけに全精神を使った6日間となります。
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2016年11月13日

地下鉄の転落防止柵は工事中

 地下鉄に乗りました。インドが成長し続けている姿が、行くたびに感じられる場所です。
 防犯カメラ、乗り換え駅での足元の誘導サイン、転落防止柵などなど、少しずつ進んでいます。

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 上の転落防止柵は、人の高さほどあります。これだけ高くしている理由が、今は思いつきません。
 駅の構内での点字ブロックは、一つも見かけませんでした。街中の点字ブロックは、本年2月の記事「インド・デリーの点字ブロックなどには要注意」(2016年02月25日)をご覧ください。

 銀行に列をなす人々は、至る所で見かけます。今日から銀行が開きました。とにかく、数時間にして紙くずと化した紙幣を手に、少しでも身を守るためです。しかし、旅人である私は、あの列に並ぶだけの時間的な余裕も、精神的な強さもありません。ただただ、お金を使わないことを心がけるしかありません。クレジットカードが使える店で食いつなぎます。それでも日々を過ごせるのがインドです。


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 街中から牛や象や駱駝や猿がいなくなり、国際化を急ぐ中で、インコ(?)を見かけました。


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 夕陽が、少しスモッグに包まれています。思ったほど、大気汚染の影響は感じません。
 社会情勢がどうであれ、風景はいつも通りに、刻々と変化する悠久の流れを感じさせてくれます。


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2016年11月12日

宿でうどんを食べた後、銀行の様子を見る

 昨夜の食事はうどんでした。
 この宿では、ときどきこうしたメニューがあります。


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 揚げ玉が入っていたので、どこで買ったのかを聞くと、近くのマーケットだとのことでした。その袋を見せていただきました。


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 今朝は、黒いひよこ豆をマサラ風に調理したものでした。
 とにかく、このデリーは食材が豊富です。

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 今回も宿泊している WBC(World BudhistCentre)の入口は、こんな感じの建物です。
 モダンな建物の3階と4階が個室になっています。


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 そしてなんと、右隣の建物が銀行なのです。

 インドに到着したその日の夜、インドルピーの高額紙幣が突然無効になりました。隣は銀行だし、まわりにATMが多い地域なので、お金は何とかなるだろうと思っていました。ところが、金融機関は閉められ、ATMは停止なので、現地通貨の入手経路が断たれているのです。

 この日の朝、周りを散策して様子を見ました。紙幣無効から2日経ち、銀行が業務を開始すると共に、人々が長蛇の列をなしています。しかも、相当の制限があるのです。そして、並んでいる人の大多数は、手持ちの無効となった現金を72時間という猶予期間に、自分の口座に預け入れるのだそうです。あと1日しかありません。猶予といっても、街中ではもう使えないので紙くずです。旅人は、どうしようもありません。


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 今回、新しいタイプのオートリキシャに乗りました。バッテリーでモーターを回して走ります。
 おじさん自慢のマシンです。静かで、乗り心地もいいのです。
 写真の奥に、これまでのオートリキシャが写っています。


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 排気ガスが出ないので、これまでの液化天然ガスよりもいいと思います。しかし、インドは台数が多いので、これだけでは環境はよくなりません。
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2016年11月11日

国際交流基金で打ち合わせをした後の散策

 朝食後、WBC(World BudhistCentre)の食事をいただく広間で、書道教室が開かれていることを知りました。
 仕事の関係でインドに滞在しておられるTさんは、3年前からこの地域の方々に書道を教えておられるのです。


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 これからもずっと続けたいとの思いをお持ちです。しかし、来春には日本に帰らなければならないとのことでした。後継者がお出でのようなので、この教室は安泰のようです。
 こうした地道な活動は、とにかく根気強く続けることが大事だということで、意見が一致しました。

 お昼前から、地下鉄ムールチャンド駅のすぐ横にある国際交流基金ニューデリー事務所を訪問し、今回の「第8回 インド国際日本文学研究集会」に関して、第1回目の打ち合わせをしました。


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 宮本薫所長と野口晃佑さんからの全面的な協力をいただいていることもあり、順調に事前の打ち合わせを行なうことができました。

 その打ち合わせの最中に、今回配布するレジメの印刷を頼もうとしていた印刷屋さんが、たまたま来ておられることがわかりました。こちらから連絡をして、データを送ろうと思っていたところだったので、本当にいいタイミングで直接説明をして印刷をお願いすることができました。66頁の冊子となったレジメが明日には届くこととなり、その幸運な展開にありがたく感謝しています。

 打ち合わせの後は、下の階にある立命館大学のインドオフィスへご挨拶に行きました。


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 掲示板の右下には、国文学研究資料館で今月19日・20日に開催される「国際日本文学研究集会」の大きなポスターが貼られていました。ありがたいことです。


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 所長は外出中でした。また明日来ることにして、タクシーで北上して、スンダルナガルマーケットの「マサラ・ハウス」へ食事に行きました。


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 なかなかおしゃれなお店で、おしぼりにバラの花弁が添えられて出てきました。


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 ミッタルの紅茶もいただきに行きました。ここは、インドに来るといつも来るお店です。


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 そこからすぐ北の工芸美術館にも足を留めました。


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 ここで織り機を操作している方との話の中で、日本人に感謝しているとの気持ちを語ってくださいました。以前、パキスタンの近くにあるグジャラート州で地震があった時、日本のNGOの方々に助けてもらった、ということです。こうしたことを忘れることなく、日本人に会ったことから思い出されたようです。感謝されるということは、国際交流に留まらず人間関係において、非常に大事なことだと思いました。


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 帰りがけに、ライトアップされたインド門にも立ち寄りました。
 インドの家族のみなさんが大勢出かけて来ておられます。
 国内旅行に興味が向くようになったことは、インドが豊かになったということではないでしょうか。


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 今日も、インドルピーの現金を入手することができませんでした。銀行もATMも営業停止です。街でも、手持ちの1000ルピー札と500ルピー札は受け取ってもらえません。持参した紙幣で、とにかく心細く1日をつないでいます。お札を持っているのに使えないという経験は初めてです。もちろん、インド全土のみなさんがそうです。クレジットカードが使えるお店を探して食事をします。おのずと、高級店になります。いやはや、突然の紙幣廃止によって手持ちのお金が紙くずになるとは、旅人にはきつい一撃です。

 明日は現金の手持ちがない状態で、どう過ごすかを思案しています。
posted by genjiito at 03:20| Comment(0) | ◆国際交流

2016年11月10日

インドで紙幣が突然無効となり大混乱

 インドで2種類の高額紙幣が国の方針によって、突然無効なお金となりました。街中は大混乱です。そして、私のような旅人は途方に暮れています。

 現在、日本では、アメリカの大統領選挙のことでニュースは埋め尽くされていることでしょう。そのことをも計算してのことか、インドではこんな事態になっていることは、日本では少しの記事にしかなっていないようです。


「高額紙幣は無効」インド首相が突然発表 混乱広がる


(朝日新聞デジタル・2016年11月9日17時55分)

 インドのモディ首相は8日夜、テレビ演説し、高額紙幣の1千ルピー(約1600円)札と500ルピー(約800円)札を演説の約4時間後から無効にすると突然発表し、9日午前0時から全土で使えなくなった。偽造紙幣や不正蓄財などの根絶が目的。旧紙幣は10日以降、銀行に預金したり、新紙幣と交換したりできるとしているが、金額に制限があり、混乱が広がっている。

 新紙幣は2千ルピー札と500ルピー札の2種類。当面、旧紙幣の交換は4千ルピー(約6400円)まで、預金引き出しは1週間に2万ルピー(約3万2千円)までなどと上限が設けられている。発表の直後から、使用不能になる高額紙幣を現金自動出入機(ATM)で預金してしまおうと、銀行に人々が殺到した。政府系の病院や鉄道、ガソリンスタンドなどでは例外的に3日間に限り旧紙幣を使えるとしているが、ニューデリー市内のスタンドは高額紙幣の受け取りを拒否し始めた。

 モディ氏は、偽造紙幣がテロの資金源になり、インフレの原因になっているとして、「一時的に困難はあるが、国民は犠牲をいとわないはずだ」と忍耐を求めた。ただ、中央銀行の当局者は記者会見で「最初の15〜20日は混乱が予想される。とにかく新紙幣を刷り続ける」と、準備が整っていないことを暗に認めている。(ニューデリー=武石英史郎)


 昨夜(11月8日)、インドに着いてすぐに、宿泊先である WBC(World BudhistCentre)で晩ご飯を食べていた時のことでした。突然、インドでの高額紙幣である1000ルピーと500ルピーの2種類のお札を無効にする、という内容の首相からの国民向けの説明が、テレビを通して流れてきました。

 驚いたというよりも、最初はその「無効」の意味がよくわかりませんでした。
 現地の方の説明を聞いてしばらくしてから、手持ちのお金が紙くずになったことが理解できました。
 街中では大騒ぎになっているようです。宿にしているお寺の前にあるマーケットに行くと、多くの人がATMの前に並んでいます。しかし、その機械は動いていません。3時間後の午前0時に動くことを期待して、まずは手持ちのお金を預金し、また小額紙幣を手に入れようということなのです。


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 首相が国民に訴えたことは、現在流通している1000ルピーと500ルピーの高額紙幣を、すべて「無効」にし、新しい紙幣に切り替えることへの理解を求めるものでした。しかし、このことによる影響は、さまざまな所へと波及します。

 発表の4時間後の11月9日午前0時から72時間の猶予があるということです。しかし、この発表があった後は、すぐに街では1000ルピーと500ルピーのお札を、店側が受け取りを拒否するようになりました。私も水を買う時に、100ルピー札がほしさに差し出した1000ルピーも500ルピーも受け取ってもらえず、手持ちの数少ない100ルピー札で何とか買うことができました。100ルピー札がないと、何もできない状態になりました。

 酒屋の前では、多くの人がお札を高々と差し上げて買い求める人が群がっていました。ただし、そのほとんどの人が1000ルピーと500ルピー紙幣を拒否されるので、買えないままに引き上げていくしかないという状況を、まさに目にすることとなりました。


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 手持ちのお金が使えなくなったのです。とにかく、移動もままならない生活となりました。
 100ルピー以下のお金しか使えないのです。しかも、ATMは止められています。100ルピー札を手に入れようにも、なかなか手に入らないので、買い物もできないし、タクシーにも乗れません。
 勢い、クレジットカードの使えるお店しか行けなくなったのです。そして、そこは自然と料金が高めです。

 混乱の中の2日目は、この後で書きます。
 今朝のインドの新聞は、次のような紙面となっています。


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 先程、在日本大使館から公布された、次の文書が届きました。これが、正式な最新情報です。

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2016年11月09日

インド行きのJAL機内でのメモ

・今回も、成田空港にたどり着くのに苦労しました。
 電車が遅れたために乗り継ぎがうまくいかず、スマートフォンを使って最短時間で行ける経路を探すのに疲れました。都内からでも、成田は遠い異国の地です。もう来春まで、この成田へ電車で行くことはないと思います。今後は、可能な限り羽田から飛び立つ便を活用したいと思います。
 
・機内での緊急脱出の説明で、「袋を破いて」というアナウンスがありました。「破いて」という言い方は、昔懐かしい言葉だと思いました。
 
・機内で見た映画「後妻業の女」は期待はずれ。
 出演者が多彩すぎて、大竹しのぶ以外はもったいない起用だったと思います。また、関西弁がふんだんに使われている割には、東京の人のための喜劇となっています。笑いを取るタイミングが、鶴瓶以外は関西の発想ではありません。謎解きで惹き付けようとしたものの、それも中途半端でした。【1】
 
・映画「君の名は」のキーワードは「つながり」でした。
 話の展開が夢を媒介にしています。ただし、私には現実と非現実のメリハリを、もっと付けてほしいと思いました。画面はきれいでした。【2】
 
・映画「シン・ゴジラ」
 国を守ることがテーマです。核兵器や放射能のあり方が展開を支えています。政治家の決断がいかに重要であるかが、現在の日本の政界を連想させるように作られていました。世界の中の日本について自覚させられます。このリアルさは、私の好みです。立川の自衛隊駐屯地が出て来るたびに、職場の建物が写っていないか、背景を注視しながら観ました。【4】

・機内で、82歳だというターバンを巻いた男性から、客室後部でヨガを教えてもらいました。若さを売り物にしている方のようです。
 それにしても、英語が苦手な私が言うのも何ですが、意味不明の英語でした。いや、のような言葉でした。
 
・眼下にヒマラヤが見えるという機長のアナウンスで、窓から外を見渡しました。

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 山並みだけで、よくはわかりませんでした。いつか一度だけ、エベレストを写したことがあります。
 山を見下ろすのは、気持ちのいいものです。
 
・入国する時に目に入る仏様の手のオブジェは、インドに来たことを実感させてもらえます。


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 常宿としている WBC(World BudhistCentre)に着いたのは午後7時半でした。
 お寺の上には、半月が温かく迎えてくれていました。


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 心配しながらの大気汚染は、今日は少しよくなっているようです。
 月がこんなに明るく見えるのですから、今日に限っては汚染の度合いは低いと思われます。
 
 午後8時過ぎに、お寺の食堂で晩ご飯をいただきました。
 これまた、いつものマイルドな、辛さのない、私好みの食事です。


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 ここの薬膳料理をいただいて、今回のインドでの生活を稔りあるものにしたいと思います。
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2016年11月08日

インド・ニューデリーは大気汚染で非常事態とのことです

 今日から行くニューデリーでは、昨日、政府が非常事態を宣言しました。
 大気汚染が深刻化し、危険な状況になっているそうです。
 この緊急対策は、昨日7日から3日間なので、まさに私が行く日がそうです。

 新聞記事を引きます。


インド PM2.5深刻 首都大気汚染、基準値の16倍


 
 【ニューデリー金子淳】インドの首都ニューデリーで大気汚染が深刻化している。地元当局の観測データによると、微小粒子状物質PM2・5の濃度は6日も一時、インドの基準値の16倍超の1立方メートル当たり965マイクログラムに達する地点もあり、市内は白い霧に包まれた。

 地元当局は6日、緊急の対策会議を開催。市内の学校を9日まで休校とし、汚染の一因とされる郊外の石炭火力発電所の操業や、市内での建設作業を一時的に禁じることを決めた。観光名所「インド門」前で働くヤシ売りのイシャンさん(38)は「ここ数日はずっとインド門がかすんでいる」と話した。

 今年5月に世界保健機関(WHO)が公表したデータによると、ニューデリーのPM2・5の年間平均濃度は世界約3000都市のうち11番目に高く、北京の約1・4倍に上った。濃度が高い20都市のうち、最悪だったのはイランの都市ザーボルだが、インドは半数の10都市を占め、中国(4都市)やサウジアラビア(3都市)を大きく上回っている。

(毎日新聞2016年11月7日)

 

大気汚染で「非常事態」インド首都、休校に工事禁止



 インド・ニューデリーを抱えるデリー首都圏政府は6日、大気汚染が深刻な段階に突入したとして、学校を7日から3日間にわたり休校、建設工事を5日間禁止にするなどの緊急対策を発表した。中央政府のダベ閣外相(環境担当)は「非常事態」と述べるなど、危機感が強まっている。

 首都圏は近年、冬の接近とともに大気汚染のスモッグが拡大。野焼きや車の排ガスなどが原因とみられ、今年は過去17年間で最悪といわれている。ニューデリーの米大使館によると、大気中の微小粒子状物質PM2・5を含む汚染指数は6日も最悪レベルの「危険」を記録した。

 PTI通信などによると、首都圏政府のケジリワル首相は大気汚染に関し「ガス室のようだ」と述べ、近隣の北部ハリヤナ州やパンジャブ州での野焼きを批判した。市民には「できるだけ屋内にとどまってほしい」と呼び掛けた。

 対策はこの他、ディーゼル燃料を用いた自家発電機の一時的な使用禁止や道路の清掃など。(共同)

(産経ニュース2016.11.7 07:15)


 これまでにも、インドで暴動などで外出禁止令が出された時にも遭遇しました。
 いろいろなことがあったインドなので、計画の変更は考えていません。しかし、現地入りしてからは、慎重に判断して行動したいと思います。

 参考までに、「BBCニュース」(6 November 2016,From the section India)も引用しておきます。

 そんな中で、現地からは「N95 かN99 のマスクが良い」という情報も入りました。
 早速、近所のドラッグストアで、「N95」と書かれているマスクを手に入れました。


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 うがい薬も、ノドスプレーもバックに詰めました。
 準備万端です。

 さて、今回はどのような旅になりますか。
 とにかく、研究集会は盛況のうちに終えたいと願っています。
posted by genjiito at 07:00| Comment(0) | ◆国際交流

2016年10月31日

「第8回 インド国際日本文学研究集会」開催のお知らせ

 来週、11月11日(金)と12日(土)の2日間、インドのニューデリーにある国際交流基金(日本文化センター)を会場にして、「第8回 インド国際日本文学研究集会」を開催します。

 本年2月に、今回のイベントの準備や調整をするために、インドへ行きました。
 そして、8月からはいろいろな方に助けられながら、無事に開催へと漕ぎつけるところまで来ました。
 インドとの時差は3時間半です。ヨーロッパに較べると、近いところです。
 しかし、日本から研究集会の段取りなどを含めての連絡や調整をするのは、メールが使えるとはいっても、何かと気苦労の多いことが怒濤のごとく押し寄せてきました。それに押し潰されることなく、みなさまの理解を得ながら実施できることとなりました。ありがたいことです。

 明日からは、レジメの手配や討議資料の作成に入ります。ここまでくれば、もう流れに任せるしかありません。
 先日、ストレスチェックの記事を書きました。あれは、このインドでのイベントの視界が良好になったこともあって、危機的な結果が出なかったと思っています。

 なお、「インド国際日本文学研究集会」も、今回が8回目です。
 これまでの経緯については、「『インド国際日本文学研究集会の記録』が出来ました」(2012年04月05日)という記事に詳しく書いていますので、併せてご覧いただければと思います。

 今回の研究集会の内容は『海外平安文学研究ジャーナル』の特集号として、年明けの2月に公開します。これまでの第1号から第5号までは、以下のサイトから確認及びダウンロードができます。
『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN番号 2188ー8035)
 オープンデータとして公開しているものなので、ご自由にお読みいただけるようにしています。

 今回の開催の趣旨(日本語と英語)と、プログラムを以下に記します。

 お知り合いの方や、旅行で通りかかるという方がいらっしゃいましたら、こんなイベントがあることを広く宣伝していただけると幸いです。
 
 

【日本語】
 
『源氏物語』をインド7言語に翻訳するためのシンポジウム
─ダイジェスト版『十帖源氏』を世界33言語で翻訳するプロジェクト─
(「第8回 インド国際日本文学研究集会」の案内)
 
■目的
 現在、『源氏物語』は33種類の言語で翻訳されている。
 今回の研究集会では、江戸時代にダイジェスト版として刊行された『十帖源氏』を対象とする。
 これは、原文の10分の1ほどの分量に要約された『源氏物語』であり、各巻に絵も入っていて易しい文章になっている。
 翻訳にあたっては、多くの問題がある。
 今回は第1巻「桐壺」を共通の話題とする。
 翻訳を通して気付いた疑問点や問題点を、公開の共同討議と意見交換をする中で確認する。
 今回のシンポジウムで得られた共通理解をもとにして、全54巻の翻訳に進んで行く。
 
■シンポジウムの内容
 『十帖源氏』を、ヒンディー語・ウルドゥ語・オリヤー語・パンジャーブ語・マラヤラム語・ベンガル語・マラティ語の7言語に翻訳した、若手研究者の実践例を提示してディスカッションを行なう。
 
■プロジェクトの今後
 現在、『十帖源氏』のイタリア語訳・スペイン語訳・英語訳・ロシア語訳を進めている。
 これにインド語7言語の翻訳を加えることにより、さらに世界中の人々が、日本の古典文学として評価の高い『源氏物語』を理解する環境の整備ができる。
 そして、幅広い日本文化を理解する道が開ける。
 日本文化が姿を変えながら伝えられていく様子と文化理解についての共同研究も、これを契機として活発に展開していくことであろう。
 加えて、『十帖源氏』の多言語翻訳は各国の翻訳技術の向上をもたらすはずである。
 なお、情報発信にあたっては、すでに実績があり積極的な活動を展開している「海外源氏情報」(http://genjiito.org)を活用する。

 
 

【English】
 
Symposium: Translating "the Tale of Genji" into seven Indian languages
─A project for translating digest-version "Jujo Genji" into 33 languages─
(”The eighth Indo-Japan Seminer on Japanese literature”)
 
■ Project Schedule
Nov. 11 (Fri) Open Panel discussion
  Theme : (1) Problems in multi-lingual translation of "Jujo Genji"
Nov. 12 (Sat) Open Symposium
  Theme : (2) Method and issues for multi-lingual translation of "Jujo Genji".
 
■ Purposes
 "the Tale of Genji" has been translated into 33 languages.
 In today's meeting, we will focus on "Jujo Genji", a digest version published in Edo period.
 "Jujo Genji" summarizes original "Tale of Genji" into one-tenth in volume in easier sentences with pictures.
 However, when it comes to translation, it contains several problems.
 Today we will focus the first chapter "Kiritsubo".
 We would like to have open discussion and exchange opinions by sharing any questions or problems that were found through translation.
 The understanding we share in this symposium will greatly help future translation of all 54 chapters.
 
■ Symposium objective
 Discussion by young researchers who translated the "Jujo Genji" into 7 languages: Hindi, Urdu, Oriya, Punjab, Malayalm, Bengal, and Marathi.
 
■ Future project
 Translations of "Jujo Genji" into Itaian, Spanish, English, Russian are now ongoing.
 We will add 7 Indian languages to this translation project. With this, more people in the works will enjoy a world-famous Japanese classis literature "the Tale of Genji".
 This will further allow opening opportunities for foreign people to understand Japanese culture.
 With this trend, a research study in how Japanese culture has been transformed in its succession and cultural understanding will be further developed.
 In addition, multi-lingual translation of "Jujo Genji" will improve translation technique.
 Any update of this projest can be found in "Overseas Genji information"」(http://genjiito.org) where you can find various activities and past records on this research field.

 


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プログラム【第4版】
   (2016年10月31日(月)現在)
   (2016年11月01日(火)[時期]の年月を訂正)

第8回 インド国際日本文学研究集会



■2016年度 テーマ■
『源氏物語』をインド7言語に翻訳するためのシンポジウム
─ダイジェスト版『十帖源氏』を世界33言語で翻訳するプロジェクト─
■時期:2016年11月11日(金)−12日(土) [2日間]
■会場:国際交流基金・日本文化センター(ニューデリー)

11日(金) 公開パネルディスカッション
   10:00−11:15 開会式と講演
        総合司会 伊藤鉄也(国文学研究資料館)
      挨 拶  宮本 薫(国際交流基金ニューデリー事務所長)
      趣旨説明 伊藤鉄也(国文学研究資料館)
      基調講演 高田智和(国立国語研究所)
       「変体仮名の国際標準化について」
      講 演  伊藤鉄也(国文学研究資料館)
       「インド8言語訳『源氏物語』の書誌」
   11:15―11:30 ( 休 憩 )
   11:30―13:30
      講演 入口敦志(国文学研究資料館)
       「江戸時代のダイジェスト版『十帖源氏』について」
      問題提起 コメンテーター:麻田豊(元東京外国語大学)
       シャム・アルン(English and Foreign Languages University)
         「マラヤラム語訳の問題点」
         (ドラヴィダ語族)
       菊池智子(翻訳家)
         「ヒンディー語訳の問題点」
         (インド・アーリア諸語の中央語群西部ヒンディー語)
       村上明香(University of Allahabad)
         「ウルドゥ語訳の問題点」
         (インド・アーリア諸語の中央語群西部ヒンディー語)
   13:30−14:45 ( 昼 食 )
   14:45−17:30 パネルディスカッション
      テーマ:(1)『十帖源氏』を多言語翻訳するための問題点
         コメンテータ アニタ・カンナ(ネルー大学)
                麻田豊
12日(土) 公開シンポジウム
   10:00−11:15
      挨拶 伊藤鉄也
      基調講演 伊藤鉄也
       「〈海外源氏情報〉を科研の成果から見る」
      講演 須藤圭(立命館大学)
       「『源氏物語』の英訳について」
   11:15―11:30 ( 休 憩 )
   11:30―13:15
      問題提起 コメンテーター:麻田豊
       リーマ・シン(Ph.D candidate, University of Delhi)
         「パンジャーブ語訳の問題点」
         (インド・アーリア諸語の中央語群)
       シェーク・タリク(English and Foreign Languages University)
         「ベンガル語訳の問題点」
         (インド・アーリア諸語の東部語群)
       ナビン・パンダ(Delhi University)
         「オディアー語訳の問題点」
         (インド・アーリア諸語の東部語群)
   13:15−14:30 ( 昼 食 )
   14:30−17:30 シンポジウム
      テーマ:(2)『十帖源氏』を多言語翻訳するための方法と課題
         司会・進行 伊藤鉄也
         コメンテータ アニタ・カンナ
                麻田豊
■主催;インド日本文学会
■共催:科学研究費補助金(基盤研究A)「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」(研究代表者:伊藤鉄也、N0.25244012)
■後援:国際交流基金、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉
 
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2016年05月25日

【復元】イラクの文学者との面談

 10年ほど前に、情報を発信していたプロバイダのサーバがクラッシュしました。
 そのたために、読めない状態になっていた記事の復元を試みています。
 
(※本記事は、平成19年3月に消失したブログの復元です。)
 
********************** 以下、復元掲載 **********************
 
2006年7月23日公開分
 
副題「可能なことを身近なところから」
 
 イラク人ニュースキャスターと、親しくお話をする機会を得ました。
 昼食を入れて、たっぷりと4時間も面談しました。夕刻からはテレビ神奈川に生出演するとのことで、タクシーで飛んで行かれました。

 そのH氏は、イラクのムサンナ県唯一のTV局であるムサンナTV局で、ニュース・プロデューサー兼キャスターを努めておられる方です。
 昨年までは、地元紙である「サマーワ」の編集部長であったと聞くと、私にも自衛隊派遣の地との関連から、少しイメージがわいてきました。
 H氏は、現在も日本の共同通信を始めとする外国の通信社・新聞社の現地特派員を務めるなど、ジャーナリストとしても定評があります。

 そんな人と、一体なぜ私が会うことになったのかと言うと、文学とのつながりからでした。
 H氏は、詩作を中心に長年文学活動に携わってこられ、ムサンナ県文学者・作家連盟の創設者の一人で、現在はその会長でもあります。今回は、日本文学の歴史や現状について知りたいということで、国際交流基金がその間に入ってくださったものです。私からの質問にも、たくさん答えていただきました。

 お話は、間に同時通訳の方を入れて進みました。私が、昨年エジプトに、一昨年はトルコへ行っており、インドとの交流も深いということが、お互いの距離を縮めたように思います。

 「詩」ということばがよく出ました。日本で言えば「歌」に近い意味で使われていると理解しました。文学の中の宗教については、インド、エジプト、トルコでの現地体験があったので、違和感なく聞くことができました。この壁は、日本だけの基準で文学を考えていると、どうしても立ちはだかるものです。

 それにしても、階級と地域による文字の使い分けには、文化の普及の障害となりかねないことを痛感しました。同じアラビア語でも、地域によって違うとのことでした。インドにおいても、多くの方言とでもいうべき各種言語が今も使われていることに思い及びました。言語芸術が享受される範囲というものに、改めて目がいきました。

 詩人であるH氏は、コーランなどを例にして、ことばの美しさを大事にしておられることが、よく伝わってきました。また、イラクの文化のすばらしさに自信を持っておられました。ただ、それが世界中の人々に正しく理解してもらえないことに対して、何とかしたいという熱意も感じられました。

 イラクでは、外国語を勉強する学校はあります。しかし、日本語・日本文学は設けられていないそうです。なんとかしたいとのこと。大学の中に、日本語学科を開設するところからスタートすべきでしょう。街の日本語会話学校でもいいのです。しかし、やはり大学を舞台にして展開しないと、根付かないように思われます。日本の文化について興味を持っておられる方がいらっしゃるというのなら、日本としても何か提言をすべきではないでしょうか。私にできることもあるようなので、少しずつ動いてみようかと思います。
 まずは、理解者や協力者を得ないと、どうしようもありませんが。

 イラクの方々は、ことばに込められた美に敏感なようです。日本も、言霊(ことだま)というものを大事にしてきました。この、ことばに対する感覚を共有するところから、文化交流のスタートが切れるように思いました。

 国際的な交流は、経済や科学技術が特段に注目されています。しかし、このように、文化レベルでの交流ならば、私にも可能なのです。目に見えての成果は確認しにくいと思います。しかし、根気強く続ければ、幅広い交流につながっていくはずです。

 国際文化交流には、もっともっと国が援助の手を差し伸べるべきです。今こそ、人文科学分野への補助金を増やすべきです。大幅に削減するのではなくて、とにかく再検討すべき時期だと思います。
 
********************** 以上、復元掲載 **********************
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2016年02月21日

日本文化センターへ報告に行き助言をいただく

 今回も無事に、予定していた課題をすべて遂行することができました。
 予想以上の成果があり、慌ただしい日々の中を遠路足を運んで来たかいがありました。

 今週始めの15日に訪問した国際交流基金ニューデリー日本文化センターへ、今回の成果と課題に関して得られた感触などを報告をするために行きました。田中洋二郎さんからは、多忙な会議の合間に貴重な時間を割いていただき、丁寧な対応と今後のための貴重なアドバイスをいただきました。

 田中さんの適切な状況判断と的確な助言には、いつも感謝しています。
 いちいちわざわざ、とお思いのことかと思います。しかし、よくわからない国での文化交流となると、やはり現地の専門家の分析と判断を伺うことは貴重です。得難い方からの話は、次の行動を見極める上での重要な羅針盤ともなるのです。お話を聞いていただき、個人的な感想を含めてお考えをうかがうだけで、それで充分なのです。
 その意味からも、帰国する前にこれまでの報告をするように心がけています。

 今回は、秋11月に「第8回 インド国際日本文学研究集会」を開催するという具体的な活動事例があり、かつ『十帖源氏』のインド語10言語に翻訳するという、規模の大きなプロジェクトを動かす課題がありました。

 また、インドにおける日本文学関連の研究論文を集約して、これからの研究者に基本的な情報提供をする基盤を構築する、というテーマもありました。このインフラの整備なくしては、着実な進展はのぞめないからです。各自が勝手に取り組んでいては、調査手法と成果が共有されず、悠久のインドを彷徨うだけです。

 さらには、目の見えない方々と一緒に日本語を学べる環境作りのお手伝いができないか、という問題もありました。
 これに関しては、日本文化センターが文化的な事業を取り扱っている機関であることから、これはジャイカへ話を持って行った方がいいのではないか、というアドバイスを、別途身近な方から示唆をいただきました。
 そうであれば、田中さんには何とも返答しづらい話題を持ちかけたことになります。
 そのあたりの事業上の棲み分けが、私にはよくわかっていませんでした。
 この件は、盲学校の方々と接する中で、手探りながらも気長に考えていきたいと思っています。

 今回のインドでの最終日には、当初のネルー大学へ行く予定を入れ替えて、盲学校の「ブラインド・レリーフ・アソシエーション」へ行くことになりました。急な予定変更に対処していただいたネルー大学のアニタ・カンナ先生に感謝します。

 日本文化センターからの帰り道、メトロで行き先案内板を撮影しました。


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 インドでは、公共機関などでの撮影は煩いようなので、可能な限り自粛してきました。しかし、この表示は自分の名前にも関わるネタにもなるので、歩きながらシャッターを切りました。ピンボケです。

 電車の先頭車輌の上に表示されている行き先名にも「ITO」とあります。この撮影は勇気がいります。これもいつか果たしたい、私にとっての課題の一つです。
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2016年02月20日

小さな軍用空港を双発プロペラ機で飛び立つ

 ホテルに迎えにきてもらった村上さんと、タクシーでアラハバードの空港に向かいました。
 途中で、延々と続く商店街に目が留まりました。いつか、ここをぶらぶらしたいものです。

 突然タクシーが止まったので外を見ると、道路の脇のスペースでした。トイレ休憩かと思っていると、空港に着いたとのこと。長い塀際なので空港とは思えません。村上さん共々、騙されて別の組織に売り渡されるのでは、との思いが過ぎるほど、場違いな場所に下ろされました。

 刑務所の塀のような所で少し途切れた一角に人がいます。言われて見れば、空港らしいのです。
 狭い入口で、二三人の空港関係者らしき人にチケットとパスポートを見せました。2人共に入ろうとすると、付き添いは入れないとのこと。しかし、そこは百戦錬磨の村上さん。殺し文句を使うのです。私が英語もヒンディーも使えない日本人であることを説明し、
「あなたの国のゲストが困っているのですよ。」
と。
 この一言で、そこのゲートまでだ、との条件で10メートルほど進めます。

 ゲートでは、長い銃を肩から下げた戦闘服の人に、またチケットとパスポートを見せました。そして、またもや付き添いはだめだと。しかし、村上さんは言います。
「このためだけに、はるばる日本から、わざわざ来た教授だ。」
と言って、アラハバード大学の学生証を見せると、もう一人の人と二言三言言葉を交わして、入ってもいいと首を横に振ります。インドでは、首を縦ではなくて横に振るとOK、わかった、なのです。

 やっと、空港の手荷物チェック場所らしい所に来ました。
 そこでも、椅子に腰を少しずらせて座った三人の偉そうな関係者から、根掘り葉掘り問いただされます。しかし、村上さんはそれにも動ずることなく、国のためという気持ちをくすぐる言葉で、チェックインカウンターまでの入場の了解を取り付けることに成功していました。

 こうして、あろうことか、一緒にチェックインカウンターまでたどり着きました。
 村上さんがいなかったら、50メートルの障害物競争が500メートルも走らされるところでした。

 こうした村上さんのような若者が海外で勉学を積み、活躍していることを思うと、日本のこれからの国際交流は大丈夫だと思えて来ます。

 ほぼ定刻に双発プロペラ機で飛び立ち、デリーに降り立ちました。
 機内の振動と乗り心地は、意外といいものでした。
 座席の前にあった雑誌に掲載されていた搭乗機の写真を引用します。


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 インディラ・ガンディ空港からは、メトロで宿まで帰りました。
 稔り多いアラハバードの旅となりました。
 感謝感謝です。
posted by genjiito at 01:51| Comment(0) | ◆国際交流

2016年02月19日

ヒンドゥ教のお祭りマーグ・メーラに行く

 アラハバードは、ガンジス河とヤムナー川が交わる場所にあるヒンドゥ教の聖地で、4大聖地の一つだと言われています。ただし、いずこも同じで、4大聖地と言ってもさまざまな説があって、なかなか難しそうです。

 インドのヒジュラ暦でマーグの月に行われる祭りを「マーグ・メーラ」と言っています。ちょうど今回訪問したこの時期に、敬虔なヒンドゥー教徒たちの祭りが開催されています。森山さんをバラナシへ見送った後、現地人となっている村上さんに案内されるままに行ってみました。やはり、言葉を自由自在に操れる人と一緒だと、安心してどこへでも行けます。

 川の手前の公園は、子どもたちのための遊園地となっていました。


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 この観覧車は、とんでもない速さで回っています。今にも振り落とされそうです。安全対策などあるようには思えません。

 大人のための見せ物小屋がありました。日本にも、かつてはこんな怪しげな小屋があったように思います。差別的な見せ物だということで、今ではなくなっているものです。


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 川への入口には、たくさんの店がありました。


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 そこで見つけたキーホルダーを、娘夫婦のお土産として買いました。


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 2つの川の合流地点をサンガムと言い、その水は魂を浄化する力があるとされているそうです。ガンジス河とヤムナー川が合流するここから地下に流れているというサラスヴァティ川が、天に昇るのがこの地なのです。

 その合流地点の川原には、おびただしいテントが林立しています。


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 川には多くの小舟が漕ぎ出していました。


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 しだいに夕焼けがきれいになってきました。
 サドゥーと言われる修行僧が、この川原に集まった善男善女(?)に物乞いをしています。


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 水着で沐浴をする人もいます。


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 思いきって小舟で川中に出てみることにしました。


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 川中から見る景色は、ことばでの表現を拒むものがあります。
 水鳥はユリカモメのように見えます。
 賀茂川や隅田川の水鳥と同じ顔をしているのです。

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 小さなボートが、鳥たちのための餌を売りに来ました。
 見た目は太めのフライ麺です。

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 一ついただき、川に向かって投げると、夥しい鳥たちが競うようにして集まって来てついばみます。村上さんの話では、日本ではかっぱえびせんを鳥にやったとか。


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 しだいに川原の光が川面に揺らめくようになりました。
 これから沐浴をする人がテントから出てくることでしょう。

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 ガンジス河とヤムナー川の合流地点では、ガンジス河の黄色とヤムナー川の乳白色が混じって、チャイのような色になるそうです。この日は日が暮れ出したこともあり、その色の変化は見ることができませんでした。

 女性が川の合流地点で裸になって飛び込むそうです。今回、それは見ることができませんでした。
 とにかく、大勢の巡礼者が集まって来て、さまざまなパフォーマンスを繰り広げているのです。

 遠藤周作の『深い河』に、この川が合流する地点のことが語られていたように思います。どのように描かれていたのか、いつか確認してみます。

 ホテルに帰ると、2階の少し広めの部屋に替わることになっていました。私を見て、階段を上がれる奴だ、と思ってくれたようです。
 1階の時と大違いで、静かで落ち着く部屋でした。ただし、蚊が3匹いました。電気蚊取りは緩やかすぎて、蚊を追い出す効力しかないようです。宗教心の顕れと、好意的に解釈することにしましょう。
posted by genjiito at 23:26| Comment(0) | ◆国際交流

あまりにも煩くてホテルの部屋を変えてもらう

 アラハバードのホテルはいい雰囲気です。
 気に入りました。しかしです。
 昼間の工事は別にしても、夜の11時を過ぎても部屋の外が煩いのです。

 私は一階の奥の部屋でした。ところが、その隣が配膳室だったので、ガチャガチャと食器の音がします。また、ホテルのスタッフの方々の休憩場所もその横だったので、ずっと声が聞こえます。ヒンディ語なのでわからないとはいえ、その抑揚や笑い声が気になり出しました。
 夜中の1時半を過ぎても、人声が煩いのです。
 おまけに、ひっきりなしに電話の呼び出し音が聞こえます。どこかと連絡をとっておられるのでしょうか。

 朝になって朝食をいただくときに、夜中じゅう煩いので部屋を替えてほしい、と頼みました。
 マネージャと相談するので、少し待ってほしいとのことでした。

 午前中からアラハバード大学へ行くことになっていました。
 朝早く村上さんがタクシーで迎えに来てくれたので、部屋の荷物のことをフロントに伝えて出かけました。昨夜、街中の大きなショッピングモールの中にあるスーパーマーケットで、チーズや牛乳を買いました。


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 それが冷蔵庫に入れたままだったので、それも新しい部屋に移してほしいと伝えたのです。



 後で村上さんに聞くと、ホテル側としては私の年齢が64歳だったので、2階の部屋では階段の上り下りが大変かと思い、1階の部屋にしたとのことだったそうです。
 老人扱いされていたのです。
 インド人は、そんなに早く老けるのでしょうか。

 さて、帰ってからどんな部屋に移ることになるのか、大いに楽しみです。
posted by genjiito at 08:45| Comment(0) | ◆国際交流

2016年02月16日

世界一大きなアクシャルダーム寺院で考えたこと

 ネルー大学でのデモが、マスコミの情報などによると、さらに教職員と学生のストへと展開していることがわかりました。先日来の2回のネルー大学訪問で、その様子が非日常のものであることが、朧気ながらも想像できます。私が昭和44年に、高校3年生の時に体験した学生運動を思い出します。
 「ヒンドゥスタン・タイムス」(2016年2月15日)の1面にも、重大記事として掲載されています。
 右側の記事のタイトルに「JNU」とあるのが、ジャワハルラル・ネルー大学(Jawaharlal Nehru University)の略称です。


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 今日の「ヒンドゥスタン・タイムス」(2月16日)の1面中央には、さらに詳しい現状が報告されています。
 この記事のタイトルにある「DU」はデリー大学(Delhi University)のことです。


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 こんな時に、わざわざ学内に近付くことは避けたいものです。
 デリー大学とネルー大学の卒業生たちから、日本文学に関する多くの貴重な情報をもらっています。それを整理することに、この予定外の時間を当てました。

 早朝よりいろいろな方に電話をし、メールを出し、可能な限りお目にかかって、今回のインド訪問の目的を達成するために手を尽くしています。
 まさに、日本でも海外でも、一年365日24時間態勢での仕事となっています。
 この土日も、フルに情報収集と打ち合わせをしているのですから。

 インターネットは便利です。しかし、いつでもどこでも情報が共有でき、何でも届けることができるので、休息日を確保するのが大変です。自覚の問題だとはいえ、特に順調にミッションが推移しているこんな時には、休む、止める、という勇気が必要です。ただし、それが、今の私にはなかなかできないのが実情です。

 翻訳をお願いする方々への連絡は、思いの他手間がかかります。
 コツコツと、お一人お一人に説明をして進めているところです。

 デリー市内で日本人が多く居住しているといわれる、ディフェンスコロニーの中にある中華レストラン「赤坂」に、お昼ご飯を食べに行きました。この隣のバーには行ったことがあります。
 このお店の名前が、日本料理屋さんを思わせるものであることの理由がわかりました。政治的な流れの中での命名だったのです。観光客を引き付けるためばかりではないという、いろいろと深い意味があってのことだとわかりました。


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 午後は、気分転換も兼ねて、デリー市内からは郊外にある、アクシャルダーム寺院へ行きました。世界一大きな寺院として、ギネスブックに登録されている新興のお寺です。宿の前からオートリキシャに乗り、30分ほどで行ける近場でした。ヤムナー川の対岸へ渡ったのは初めてです。


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 クマール君との待ち合わせは、寺院の入口でした。その入口付近は、とにかく人ヒトひとの、黒山の人だかりです。万に近いという喩えではなくて、実際に1万人以上の人が入場を待っています。

 この寺院では、別の所がテロにあったこともあり、セキュリティが非常に厳しくなされています。携帯電話やカメラなど、電子機器はすべて飛行機並に持ち込み禁止です。それらを預ける場所の列が、ほとんど前が見えないほどです。
 1時間の待ち時間と言われると、1970年に大阪で開催された万国博覧会を知っている者としては、ひたすら並ぶことに抵抗はありません。しかし、牛歩戦術のようにじりじりと前に進む行列に付き合うのは、やはり大変です。

 持ち込み禁止の物を預けた後も、ボディチェックのためにまた並びます。男女別に別れる所に来ると、みなさん一斉に我先にと猛ダッシュとなります。このパワーはどこから来るのでしょうか。

 30分ほどの近場と思ったのが、入場するのにさらに2時間もかかりました。
 早々と携帯もカメラも取り上げられたので、写真はありません。
 何も身に着けないことの自由さと、目の前に見えるものに集中することのよさを、あらためて思い知りました。
 人と連絡したい、連絡があるかもしれない、写真に記録しておきたい、という思いを振り捨てることは、ある種の快感があります。

 寺院の中はすばらしいものでした。特に、大理石の彫刻群が圧巻です。色っぽい姿態の女神が数多く彫られていて、自ずから目を惹きます。

 大勢の子どもたちが親子連れで来ているのは、日曜日であることと、広大な寺院の開放感と、彫刻の美に加えて、無料で入れることもその理由となっていそうです。

 大きなホールのような大食堂で南インド料理をいただきました。

 帰りに、メトロの駅のホームからライトアップされた寺院を撮影しました。


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 明日以降のこともあるので、メトロのトラベルカード買いました。日本のスイカやイコカに類する、チャージをして使うものです。


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 メトロが市内に展開するようになってから、移動が便利になりました。
 サイクルリキシャやオートリキシャで移動していた数年前が、嘘のように一変したのです。
 ただし、それに伴って、リキシャの視点で街を見ることが少なくなり、インドを実感することが希薄になっていくのも事実です。
 私が京都を自転車で移動するように、インドも人力で移動する視点で見て回ることに意義がありそうです。それを放棄してメトロに頼ることに、我ながら逡巡するものが意識の片隅にあります。しかし、便利さに押し切られそうです。

 こうして、生活の中からその地域独特の文化を受け入れる姿勢が変化し、外から眺めるだけの、通りすがりの旅人と化していく自分がいることに気づかされました。

 「私もインドで考えた」と言えそうな、ささやかな発見です。
posted by genjiito at 18:36| Comment(0) | ◆国際交流

2016年02月11日

デリーでの第1夜は仕事漬けです

 今回のデリー行きは、JALを使いました。
 機内での映画は、私が観たいものがなかったので、『スティーブ・ジョブズ』だけを観ました。共感することの多い映画でした。

 夢を持っている人とのお付き合いを、もっと大切にしたいと思いました。信念を持ち続けることの大切さが、映画の中のジョブズの生き様から伝わってきます。単なる成功者の物語ではないところが、この映画の見どころです。ただし、娘のリサの扱われ方に中途半端な感じを抱きました。

 観たい映画がなかった分だけ、機内で多くの仕事ができました。
 着陸時のアナウンスによると、デリーの気温は25度だそうです。
 東京よりも10度以上も暖かいのです。
 冬のデリーは日本と同じ気温だと思っていたので、しっかりと防寒対策をして来ました。ユニクロのヒートテックの出番は、予定よりも少なくなりそうです。

 空港内のトイレの絵を見ると、新しいインドを印象付けられます。


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 入国審査の所の壁面にも、インドらしい意匠が凝らされています。


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 空港では、国文学研究資料館に研究生として数年来ていたクマール君が、久しぶりに元気な姿を見せてくれました。身体も大きくなり、逞しい青年になっています。日本には、もう7年も行っていないとのこと。インドで翻訳の仕事をしているのです。才能豊かな若者なので、これからがさらに楽しみです。

 宿舎まではタクシーで一緒に行きました。車中でも話が止まりません。彼も喋りたい、私も喋りたいで、とにかくずっと会話が途切れません。

 ワールド・ブッティスト・センター(WBC)は、前回来た3年前とまったく変わっていません。いや、一つだけ変わりました。それは、インターネットが有線から無線になったのです。これは、一大変革です。

 クマール君と一緒に、簡単な夜食をいただきました。
 ダルのカレーとカリフラワーは、いつ来ても素朴で口当たりのいい食事です。


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 これから数日、こんな薬膳料理の日々です。チベットの方が料理を作っておられるので、身体に優しい味付けです。まったく辛くありません。刺激物が苦手な私には、ぴったりの食事なのです。

 日本とインドとの時差は3時間半です。これは、身体への負担が少ないので、欧米へ行った時とは格段に楽です。
 デリーでの第1夜は、もう少し仕事をしてから寝ることにします。
 今、インド時間で真夜中の23時半、日本では夜明け前の3時です。
posted by genjiito at 03:19| Comment(0) | ◆国際交流

2016年02月10日

160210_成田からインドへ出発する前に

 毎度のことながら、バタバタする中での旅立ちです。
 引き受けていた仕事は、9本の内4本しか仕上げられませんでした。
 関係者のみなさま、少し遅れます。申し訳ありません。

 昨夜は、業務に関する書類4種類に関して記述内容を追加してほしいとの指示が来たために、急遽手直しをして再提出することになりました。
 押印が必要な書類です。しかし、旅立ちの直前でもあり、郵送はもとより、職場に持参する時間がありません。
 職場での書類はいまだに印鑑が必要なものがあるので、こんな時にはどうしようもありません。
 かくなる上は、ということで、宿舎を同じくする同僚の所へ夜分に行って頼み込み、明朝出勤したら手渡ししてもらうことにしました。
 これまでにも、こんなことがありました。感謝、感謝です。

 今回は10日ほどの旅です。しかし、その準備となると、毎回あれやこれやと手間取ります。
 お土産は、お世話になることがわかっている9人分と追加1個を用意しました。
 2月に海外へ行く時には、女性にはお雛祭りに関係するお菓子を、男性には抹茶をまぶした煎餅を持参します。特に、パリパリした煎餅やおかきは海外で喜ばれるので、お目にかかる相手をイメージしてお土産選びをしています。お土産の用意だけでも、けっこう時間がかかるものです。

 今朝は、地下鉄東西線の門前仲町から船橋まで出て、京成船橋から空港第2ビルへと乗り継ぎました。約1時間半、順調な出発 … のはずでした。しかし、そこは私のこと。そうすんなりとはいきません。
 門前仲町のホームに立つと、ちょうどいい具合に西船橋行きが来ました。ホームにいた駅員さんに、この西船橋行きは船橋に留まりますか、と聞きました。すると、留まるとのことだったので、乗り込みました。駅員さんに京成乗り換えで成田空港に行くと言うと、船橋から少し歩くけど、とのことです。

 電車に乗っていて、これはおかしいと気付きました。大急ぎでiPhone を取り出して調べると、船橋はこの電車の終点である西船橋の次の駅なのです。面倒なことになります。すぐ後に来る津田沼行きなら、西船橋の次の船橋に留まります。大急ぎで一旦電車を降りて、後に来る電車に乗り換えました。
 門前仲町のホームでは、駅の整理員ではない方に聞きました。年配の方で、親切に教えてくださったのです。しかし、その方の指示は間違っていたのです。
 あの時、「この次の電車なら、西船橋で乗り換えずに船橋まで行けますよ。」の一言があればよかったのに。
 海外の方がますます増えるのですから、自信たっぷりに間違った案内はしないようにしてほしいと思います。私は、なんとか切り替えて事なきを得ましたが。

 一人旅なので、持ち物は少なめです。ただし、仕事をたくさん抱えているために、資料がいつもより多いのが頭痛の種です。
 成田空港に行くのは、いつも何かがあります。鬼門です。

 出発ゲートは66番です。空港の一番奥です。遠出のウォーキングをすることになりました。

 慌ただしく飛行機で出かけ、現地では時間と移動に追われる日々を送り、とる物も取り敢えず用事をすませたらとんぼ返りで帰ってくることになるはずです。
 多くの方に会い、面談と打ち合わせの連日となります。
 のんびりとした旅とは、いつになっても無縁です。
posted by genjiito at 11:10| Comment(0) | ◆国際交流

2016年01月20日

インドビザの申請で悪戦苦闘

 インドへ行くためには、あらかじめビザを取得しておく必要があります。

 先週から作成に取り組み、昨日と今日、やっとインドビザセンターに申請書類を持参し、手続きを終えました。
 東京のインドビザセンターは、現在は三田にあります。
 そのビルの入口は目立たないので、うっかりしていると通り過ぎてしまいます。


160119_indiqvisacenter




 これまでは九段下や茗荷谷にあったビザセンターに行って手続きをしていました。

「インドビザの申請に行って」(2012年02月04日)

 2002年から10年間にわたって毎年行っていたインドも、2012年に『インド国際日本文学研究集会の記録』(2012年04月05日)をまとめてから、しばらく足が遠のいていました。
 久しぶりのビザの申請ということもあり、いろいろと戸惑いながら手続きをしました。
 ビザセンターの移転と共に、ウエブサイトも移動しているので、この点も注意が必要でした。

 ビザ申請の経験がある方なら、障害物競争でさまざまなバリアをクリアして走ったことが、まざまざと思い出されるかと思います。今回も、思いがけないところで躓き、三田のビザセンターに2度も通うことになりました。

 先週末には、娘と婿殿が私の申請書類を確認してアドバイスをしてくれました。英語が堪能な家族がいると、こんな時に心強いものがあります。
 しかし、それでも思いがけないフェイントというものがあるのです。

 私にとって障害となったことのうち、特に今回一番悩んだことをいくつか記しておきます。

(1)ウェブサイトにアクセスしてデータを入力し、申請書を作成した後、自分の写真をアップロードしようとしたところ、どうしてもエラー続きで先に進めません。
 ウェブサイトでは、次の「写真の仕様」が示されています。


フォーマット - JPEG
サイズ - 最小10キロバイト、最大1メガバイト
最小寸法 - 350ピクセル(幅)×350ピクセル(高さ)


 いろいろなサイズや容量の写真画像を作成して挑戦しました。しかし、艱難辛苦の末に作成した15パターンの写真のすべてが、ことごとくはねつけられます。
 先週の土曜日から昨日まで、3日にわたって試行錯誤をし、ついに諦めて昨日センターに直接電話をしました。先週も電話を何度かしました。しかし、いずれもつながらないか途中で切られてしまいました。
 結論は、顔写真はアップロードしないで持参してほしい、ということでした。それなら最初にホームページに明記しておいてほしい、などというのは禁句です。全身から力が抜けて、気持ちが萎えてしまいました。徒労とはこのことです。

(2)昨日、無事にネットのフォームに入力を終え、確認をしてからプリントアウトしたものをビザセンターに持参しました。しかし、いくつかの不備を指摘され、書類は再提出となりました。
 なお、このビザ申請のための入力フォームは、PDFによって申請書を作成するアプリケーションとなっています。入力したデータを、再利用できるテキストとして保存することはできません。つまり、印刷が終わった後は、何か修正が必要になると、また最初から入力することになります。
 再入力の繰り返しになったので、すぐに入力すべき文字列をテキストとして作っておき、それをコピー&ペーストしながら申請書類の再作成を繰り返しました。それでも、入力欄を間違えないように、結構気を使いました。
 すべて英語によるやりとりで書類を仕上げるので、なおさら頭はフル回転です。

(3)自分のパスポートの発行場所は、記載面にある奈良県だと思っていました。しかし、実は神奈川県だったのです。そのことは、パスポートの最終頁の行頭に手書きされた数字でわかるのだそうです。
 私のパスポートにメモとしてボールペンで記されたその数字が神奈川県であることは、教えてもらわないと一般には知りようがない情報だと思われます。事情通の方には常識かもしれませんが。
 パスポートの本籍欄には奈良県とあるので、てっきりこれが発行場所だとずっと思っていたのです。
 今のパスポートは、2007年2月に更新したものです。その時までは横浜の宿舎にいて、その年の8月に職場が品川から立川に移転したことに伴い、都内深川の宿舎に転居したのでした。
 確かに言われてみれば、横浜でパスポートの更新をしたのかもしれません。その時の本籍地が奈良県だったので、その奈良県が印字されており、神奈川県という新たな更新情報は、ボールペンで手書きされた番号だけで識別できるようになっていたようです。
 転居した覚えのある方は、印刷面だけでなく、ボールペンで手書きされた文字列から情報を復元できることもあるので、確認されたらいいかと思います。

(4)印刷した申請書の一枚目の最下部に、バーコードが印字されます。それが、私が印刷して提出したものは、印刷範囲からはみ出した部分が少し切れていました。紙面を一杯に使ったプリントになっていたために、プリンターの余白の調整が必要となるのです。
 印字の際に97パーセントにして、少し縮小した設定をして印字することで、この不備だと言われた件はクリアできました。少し縮小してプリントアウトしたものを提出することなど、申請者のコンピュータとプリンタの組み合わせによって変わることがあるようです。これも、事前にはわからないことでした。

 実際にはもっともっと苦労譚があります。しかし、今はこれだけにしておきましょう。

 2日目となった今日は、無事に受け付けてもらえました。上記の点や、その他もろもろの不備を調整して、何度も何度も点検して持参したのです。

 受け付けのカウンターで名前を呼ばれるまでは、どの項目の何がよくないと指摘されるのか、気が気ではありません。ハラハラドキドキの長い時間を、多くの申請者が待っておられらベンチシートに身を沈めてひたすら待ちました。

 受理されたことは、名前を呼んでくださった方が手にしておられる紙の種類でわかります。
 突き返される場合は、昨日がそうだったように、提出した3枚の書類とパスポートが握られているからです。
 今日は、最難関をクリアできました。

 パスポートの返送用となる宅急便のラベルに住所を書き、料金を支払って終了となりました。
 ほっとする間もなく、以下のメールがスマホに届きました。


Your FILE No is ○○○ and Application Status is Your application is accepted and your passport is now with agency. You will get the next update when the application reaches mission.
As on 20-JAN-16

This is an Auto generated mail please dont try to reply


 このあたりは、自動化されているようで、迅速な対応で安心できます。
 申請の煩雑さから疑心暗鬼になっている身としては、このようなメールが届くことはありがたいことです。

 とにかく、こうして無事にビザの申請を終えることができました。

 ネットでの体験談やアドバイスと事例紹介等も、事前に見ていました。しかし、やはり人それぞれに事情があるので、一発で完璧な書類を作成することは難しいことを痛感しています。
 今秋また訪印する予定です。
 今回の経験を生かして、次回は一度で申請手続が終わるようにしたいものです。
posted by genjiito at 22:39| Comment(0) | ◆国際交流

2015年12月12日

国際連携研究の第3回目は「時間を翻訳する」でした

 本日、国際連携研究の一環として実施してきた、第3回国際シンポジウム「日本文学のフォルム」が国文学研究資料館で開催されました。
 今回のテーマは「時間を翻訳する」です。


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 この国際連携研究の代表者となっている私は、最後に過去3年間全3回の総括と閉会の辞を述べることになっていました。しかし、盛会だったこともあり終了の時間が延びていて、予定していた内容を大幅に割愛してご挨拶に代えました。

 以下に、用意したままで本日はことばにしなかったことを、ここに記録として残しておきます。
 少し硬い内容となっているのは、そうした理由によるものです。

 この国際連携研究は、日本文学の国際的な共同研究を促進するために、国文学研究資料館が先導的に推進してきたものです。

 国文学研究資料館では、これまでに「国際日本文学研究集会」を毎年実施し、海外の研究者との国際交流を図ってきました。これは、先月開催された集会で第39回を数え、国際的な日本文学研究集会としては老舗という位置づけがなされているものです。

 そこで、従来の研究を踏まえてさらに発展させるべく、明確なテーマを設定して、学術交流協定を締結している海外諸機関や大学との間で、新たな共同研究を開始することになりました。
 日本文学の時代や分野という領域に限らず、学際的・国際的な視野からの研究の創出を目指そうとするものです。

 この研究集会は、平成25年より次の3つのテーマを設定し、各年度に海外から招いた研究者の研究発表およびシンポジウムを通して、海外における日本文学研究の実態を踏まえた共同研究を深める一助とすべくスタートしました。


【第1回】平成25年度〔平成26年1月11日開催〕
 《もう一つの室町―女・語り・占い》
 [担当:小林健二教授]
 日本国内外の研究者が共有しやすいテーマであり、言語に縛られない幅広い議論の展開がなされました。

「国際シンポジウム「日本文学のフォルム」が開催されたこと」(2014年01月11日)
 
【第2回】平成26年度〔平成26年12月6日開催〕
 《男たちの性愛―春本と春画》
 [担当:神作研一教授]
 最近とみに注目を集めているテーマだけに、多くの参加者が共同討議を通して異文化間の理解を深める交流の場となりました。

「盛会だった国際シンポ「男たちの性愛―春本と春画と―」」(2014年12月06日)
 
【第3回】平成27年度〔本日、平成27年12月12日開催〕
 《時間を翻訳する》
 [担当:谷川惠一教授・野網摩利子助教]
 近代文学からの視点で、翻訳と時間について考えました。日本古典文学を研究対象とすることの多い国文学研究資料館での開催ということで、新たな知的刺激と好奇心が掻き立てられました。


 本国際連携研究では、毎回数人の海外からの研究者を招き、日本の研究者とのディスカッションを展開する中で、日本文学が持つフォルムやスタイルを多角的に解明してきました。さまざまな視点からの研究報告と議論は、発表者と参加者がお互いを刺激し合う意味からも、今後の新たな国際研究交流に資するものとなったはずです。

 また、国文学研究資料館と学術交流協定を締結している各国の研究機関との具体的な研究交流の実践ともなりました。

 なお、各回とも展示室における小展示とリンクさせて、テーマにふさわしい館蔵の絵画資料等を、小規模ながらも用意して実施するように配慮しました。

 3年間で、3回の研究発表とシンポジウムと小展示を実施したことになります。
 その成果は、最終年度末である平成28年3月末に、一冊の報告書として編集し刊行することになっています。これによって、海外を含めて多くの研究者の方々と、日本文学研究に関する情報の共有を図ることとなります。
 参加できなかった方々には、この報告書で全3回の内容を追体験していただくことになります。

 本日のプログラムは以下の通りでした。
 各発表に対するコメントは、私の独断によるものであることをご了承願います。
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開会の挨拶(今西祐一郎館長)

趣旨説明と講師紹介(野網摩利子助教)
 
第1セッション
スティーブン・ドッド先生(ロンドン大学)
「梶井基次郎におけるモノの歴史」

*モダニズムと翻訳について、日頃は意識していないことを取り上げてくださったので、非常に刺激的でした。個人的には、梶井基次郎の作品における京都の存在に注意が向きました。
 
第2セッション
谷川惠一先生(国文学研究資料館)
「テクストの中の時計 ―『クリスマス・キャロル』の翻訳をめぐって」

*明治20年以降の翻訳を通して見た当時の時計の描かれ方は、非常に興味深いものでした。私は、アップルウォッチのありようと今後に想いを巡らしました。
 
第3セッション
林少陽先生(東京大学)
「近代中国の誤読した<江戸>と<明治>―漢字圏の二つの言文一致運動の関連」

*日本の文字の問題や言文一致運動について、中国からの視点で興味深くうかがいました。個人的には、井沢修二が国語を五十音で統治教育することを、中国に対して言及していることでした。

 最後に、コメンテーターとして参加していただいた、河野至恩先生(上智大学)・山本史郎先生(東京大学)・安田敏朗先生(一橋大学)を交えて、総合討議を行いました。また、会場からの質問をもとにして、活発な質疑応答がなされました。

 この3回の研究集会開催にあたっては、機関研究員である谷川ゆきさんの献身的な尽力があったことも記録しておきます。ありがとうございました。お疲れさまでした。
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ◆国際交流

2015年12月09日

2015年度日本研究功労賞記念講演会で上野へ

 「第5回 人間文化研究機構日本研究功労賞 受賞記念講演」が上野公園の中にある日本学士院でありました。

 公園の黄葉は、今が一番いいようです。


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 振り返ると、スカイツリーの尖頭部が見えました。


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 この地に足を運んだのは、一昨年の林文月先生の授賞式以来です。

 その日のブログ「日本学士院での林文月先生の授賞式に参加して」(2013年12月10日)に記した通りです。

 今回の受賞者は、アレキサンダー・ヴォヴィン先生(Alexander Vovin、フランス国立社会科学高等研究院教授)です。

 人間文化研究機構日本研究功労賞という賞は、海外に在住し、日本に関する文学や言語、歴史や民俗・民族、文化や環境などの研究において、学術上特に優れた成果をあげた研究者に対して授与されるものです。。
 YKK株式会社の協力を得て、毎年行われています。

 今回のヴォヴィン先生は、日本語日本文化の研究を通して国際交流に功績があった、ということでの授賞です。

 ヴォヴィン先生は、『万葉集』の新しい英訳をイギリスの出版社から刊行中です。現在5巻まで完成しているとのことなので、完結が楽しみです。

 今日は、9世紀までの日本語とアイヌ語を中心にして、その関係性について多くのことを学びました。
 日頃聞きなれない、「上代東国日本語」「上代大和言葉」「上代中央日本語」「琉球祖語」「アイヌ語」などが話題となりました。語彙を比較しながらのお話は、その視点といい提示される用例といい、スケールが大きくて刺激的なものでした。

 興味と関心がまったく異なる分野の話は、いろいろな異文化が交錯して楽しく聞くことができます。また、情報の整理と結論への導き方のみならず、資料のまとめ方などでもヒントをいただきました。
 非常に難解な表現が頻出する論理展開には、ついていくのがやっとという局面もありました。しかし、大胆な仮説を含めて、いい勉強をさせていただきました。
 日頃の殻を抜け出して、こうした異分野の話を聞くことは、機会がある限り続けていきたいと思っています。
posted by genjiito at 23:27| Comment(0) | ◆国際交流

2015年12月03日

年末開催の国際連携研究「日本文学のフォルム」

 国文学研究資料館が開催する国際連携研究「日本文学フォルム」で、第3回目の国際シンポジウムが来週末、12月12日(土)に開催されます。
 今年度のテーマは「時間を翻訳する」(担当:谷川惠一教授)です。
 開催日が近づきましたので、ここで紹介させていただきます。


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 これは、私が代表者となっているイベントであり、「国際日本文学研究集会」を踏まえてさらに発展させるべく、学術交流協定を締結している海外諸機関や大学との間で、新たな共同研究を開始する準備に着手することにしたものです。日本文学の時代や分野という領域に限らず、学際的・国際的な視野からの研究の創出を目指すものです。

 この国際シンポジウムは、これまでに以下の2回を開催しました。

・第1回 2014年1月「もう一つの室町−女・語り・占い」(担当:小林健二教授)

・第2回 2014年12月「男たちの性愛」(担当:神作研一教授)

 今回のプログラムは、次のようになっています。


国際連携研究「日本文学のフォルム」
第3回 国際シンポジウム
The 3rd International Symposium
International Collaborative Research “Forms of Japanese Literature”

「時間を翻訳する」
The Translation of Time

【日時Date & Time】
2015年12月12日(土)13:30-17:00
12th December, 2015 (Sat) 1:30-5:00 pm

【場所 Venue】
国文学研究資料館 2階 大 会議室
Main Conference Room, 2nd Floor
National Institute of Japanese Literature (NIJL)

*This symposium is open to public.
No registration is required.
Japanese will be the official language.

【プログラム Program】
13:00-13:35 開 会の辞 Opening Address 今西祐一郎館長 Yuichiro Imanishi(Director-General, NIJL)

13:50-14:30 Paper 1 & Comment
スティーブン ドッドStephen Dodd(Professor, ロンドン大学東洋アフリカ研究学院University of London, SOAS)
梶井基次郎文学におけるモノの歴史
The History of Things in the Literature of Kajii Motojirô
Commentator 河野至恩Shion Kono(Associate Professor, 上 智大学Sophia University)

14:35-15:15 Paper 2 & Comment
谷川惠一Keiichi Tanikawa(Professor, 国文学研究資料館NIJL)
テクストの中の時計――「クリスマス・ キャロル」の翻訳をめぐって
Clocks in Texts: Japanese Translations of A Christmas Carol
Commentator山本史郎Shiro Yamamoto(Professor, 東 京大学The University of Tokyo)

15:30-16:10 Paper 3 & Comment
林少陽Lin Shaoyang(Associate Professor, 東京大学The University of Tokyo)
近代中国の誤読した<江戸>と<明治>――漢字圏の二つの言 文一致運動の関連
Modern China’s Misreading of ‘Edo’ and ‘Meiji’ Japan: The Link between Two Vernacularized Writing Movements in East Asia
Commentator安田敏朗Toshiaki Yasuda(Associate Professor, 一 橋大学Hitotsubashi University)

16:35-16:55 総 合討議 Discussion
16:55-17:00 閉 会の辞 Closing Address 伊藤鉄也 Tetsuya Ito(Professor, 国文学研究資料館 NIJL)

司会MC 野網摩利子Mariko Noami(Assistant Professor, 国文学研究資料館NIJL)

【主催 Organizer】
国文学研究資料館 National Institute of Japanese Literature


 参加は自由です。
 多数の方のお越しをお待ちしています。
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2015年11月26日

スペイン・マドリッドから届いた紅葉の写真

 スペインにいらっしゃる高木香世子先生から、お宅の紅葉の写真を送ってくださいました。


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 これまで、スペイン語で紅葉は翻訳できないと聞いていました。
 『源氏物語』の翻訳で、みなさん苦心しておられたのに、高木先生のお宅に紅葉があり、しかもこんなにきれいなのです。

 先般の研究会でも、紅葉のことが話題になったので、非常に興味のあるところです。
 『海外平安文学研究ジャーナル 第3号』に掲載している淺川槙子さんの「各国語訳『源氏物語』「桐壺」について」の説明でも「スペインには存在しないとされる「紅葉」」(71頁)とあります。

 これは、スペインに一般的にあるものなのか、それとも、高木先生のお宅が特別なのか、お尋ねしたところ、すぐに詳しい説明をしてくださいました。

 今先生がお住まいの家は、長い間オランダ人に貸していたそうです。
 そこで、多分そのオランダ人が植えたのではないか、とのことです。
 高木先生からの説明を引用します。


紅葉はとても育ちが遅く、落ちた種が萌芽すると鉢に植え替えて育てております。
もう少し早く気がつけば良かったのですが、現在4本ほど垣根近くに植え、育成しております。
ただマドリードはとても乾燥が激しく、夏季は日照り状態になりますので安心はできません。
気温の高い間は朝晩水撒きを良くして直射が強くないことを祈るばかりです。

確かに他の方たちの話しでは、日本から紅葉を持ってきても葉が赤くならないとのこと。
拙宅では紅葉がきれいに楽しめます。
もっとも昨年は春に水分が不足したようで、残念ながら枝が何本か枯れました。
今年は気を付けておりましたので、紅葉を皆様に自慢しているところです。
春の緑もこの紅葉が一番きれいです。


 またマドリッドに伺う機会がありましたら、ぜひともこの紅葉を拝見したいと思います。
 高木先生、貴重な写真と説明をありがとうございました。
posted by genjiito at 01:16| Comment(0) | ◆国際交流

2015年11月19日

インド料理屋さんでインドに関する情報収集

 先週から身の回りでインド情報が行き交っています。
 数年来、おりおりに研究と生活面で励まして来たアンビカ・バスさんが、無事に学位論文を仕上げました。
 近松門左衛門と演劇の問題に悪戦苦闘し、大変な環境の中でよくやり遂げたと思います。これからがますます楽しみです。
 先週も国際日本文学研究集会に誘ったところ、すぐに国文学研究資料館に来てくれたのでいろいろな話をしました。

 そのアンビカさんが、ハイデラバード外国語大学のシェーク・タリク君が今日本に来ているとのことで、連絡をとってくれました。
 シェーク君とは、平成19年2月27日と28日の2日間にわたって国際交流基金ニューデリー日本文化センターで開催した、第3回インド国際日本文学研究集会で会っています。私が座長を務めた「学術セッション2」のデリー大学及びネルー大学の学生による発表で、いい発表をしたことを覚えていたのです。

 名前と顔が一致しないことが多い私なのに、シェーク君についてよく覚えていました。
 目が輝いている好青年だったからだけではなくて、その勉強に対する姿勢に好印象を持ったのです。
 当時、ネルー大学修士課程 1 年生だったシェーク君は、「『奥の細道』における季節感」と題するいい発表をしました。今はサバティカルを利用して、早稲田大学で『北越雪譜』の著者である鈴木牧之の研究をしているそうです。
 彼も、これからがますます楽しみな若手研究者です。

 今日は、立川での会議が終わるやいなや速攻で電車を乗り継ぎ、お互いの家に近い門前仲町駅のそばにあるインド料理屋さん「ディーパック」で食事をしながら、最近のインドの様子を詳しく聞くことができました。


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 このお店は、2ヶ月前にオープンしたお店です。妻と何度かランチを食べに来ました。オーナーが親しみやすくて話しやすい方です。
 インド料理といっても、実際にはパキスタンやネパールの方が作っておられることが多いようです。しかし、このお店のオーナーはデリー出身なのです。
 私はパニールが入った料理が好きなので、今日もパニールとほうれん草の料理にしました。
 最近あまり飲まなくなったラム酒も、久しぶりにいただきました。私が大好きなオールドモンクもあるとか。それは、この次にいただきましょう。

 現在、来春2月にインドへ行く計画を立案中です。
 数年前に、ニューデリーにあるサヒタヤアカデミーの所長さんと、『源氏物語』のインド語8言語による翻訳プロジェクトの相談をしました。
 それが中断したままなので、これを再始動することが今回の目的です。
 来春2月の下準備を経て、来秋11月頃に、これも中断したままの「第8回インド国際日本文学研究集会」を開催する予定でいます。
 これまでの活動記録は、「『インド国際日本文学研究集会の記録』が出来ました」(2012年04月05日)で詳しく報告した通りです。

 今回のインド行きは、私の最後の海外における仕事となりそうです。

 今日のシェーク君との話は、そのための情報収集としても有意義でした。

 今度インドへ行ったら、アラーハバード大学にいる村上さんと打ち合わせをしようと考えています。
 それに加えて、来年2月にハイデラバード外国語大学に帰るシェーク君に、かの地の大学や日本研究の情報収集をすることの可能性を、これからプランニングする中で探ることにします。
 北から南へと大移動の旅程となるので、慎重に行程をこれから組みたいと思っています。

 また、今日は、特にプネで日本語教育が盛んであることを教えてもらいました。
 そこは、マラティ語が使われているそうです。私が聞き知っているマラヤラム語ではないとのことなので、インドの言語の多彩さがわかります。マラティ語は、どちらかというと、ヒンディー語に近いようです。

 国立国語研究所にいらっしゃる言語学者のプラシャント教授が、この分野の研究をなさっているそうです。隣の研究所なので、近日中に挨拶に行くことにします。

 こうして、インドに関して具体的な問題が展開しつつあります。
 この進捗状況などについては、今後ともこのブログに書きながら、関係する方々と情報を交換していきたいと思います。
posted by genjiito at 21:51| Comment(0) | ◆国際交流

2015年11月15日

第39回 国際日本文学研究集会(2日目)-2015-

 国際集会の2日目です。

 午前中の研究発表は4人でした。
 その中で、新聞に連載された文章が、後に単行本に収録されるにあたり、文体が改変されることを論ずる発表に興味を持ちました。


「中里介山「大菩薩峠」の文体  ―改稿による地の文の変化を手がかりに 」
崔惠秀(早稲田大学大学院博士課程)


 ここでは、中里介山の「大菩薩峠」が取り上げられています。私もこの視点からの問題意識をもっており、井上靖をはじめとして、新聞に連載された小説が後にどう変化して公刊されていくのかを追っかけています。

 今日の発表では、単行本になるときに改変される内容が、ストーリーではなくて文体の変更の場合を考察するものでした。

 実に丹念に調べた結果を整理して提示されたので、その改変の過程がよくわかりました。そして、その意義も今後の展開が期待されるものでした。

 午後は【シンポジウム】「日本文学の越境 ―非・日本語でHaikuを読む/詠む―」です。


[ 司会 ]深沢眞二(和光大学教授)
[パネラー]木村 聡雄(日本大学教授)
      FESSLER Michael(日本エズラ・バウンド協会役員)
      GURGA Lee(アメリカ俳句協会元会長)
      鳥羽田重直(和洋女子大学教授)


 国文学研究資料館で開催される国際集会では、英語による発表はありませんでした。今日は、初めて同時通訳がつきました。

 一節ごとに日本語の訳がスピーカーから流れます。発表者の後ろに同時通訳者が控えておられ、話の進展にしたがって日本語の訳がなされるのです。

 その日本語が自然なものだったので、少し時差はあっても、スムーズに話の内容がわかりました。

 いろいろな同時通訳を体験してきました。
 中国・大連での学会では、日本語・中国語・韓国語の3種類の言語が切り替えできるレシーバーでした。しかし、日本語があまりきれいではなかったので、耳障りに感じました。
 今日は快適に聞くことができたので、いい配慮でした。アナウンサーのような語り口で、聞きやすい日本語でした。

 今後は、話される外国語の理解を深めるためにも、ドラえもんの「翻訳コンニャク」が1日も早く実現することを願いたいものです。

 海外の諸国、諸言語で俳句が読まれている実例も興味深いものでした。
 日本の真似に留まらない、さまざまな工夫があるのには驚きました。
 俳句のパロディーでも、海外では楽しい世界が拓けているようです。

 パネルディスカッションも、熱気が伝わる意見を聞くことができました。

・歳時記はない
・季語を詠み込むのではない
・俳句は自然詩(nature poetry )

 こうした違いだけではなくて、さらなる創意と工夫が凝らされて普及していることを知りました。

・デジタル俳句
・ダブルテイク(フラッシュバック)

 この言葉が記憶に残っています。
 今は具体的なイメージとはなっていません。
 いつか何かと結びつくことでしょう。
posted by genjiito at 20:51| Comment(0) | ◆国際交流

2015年02月22日

【追補】クイーンズから「剣橋」を通ってエマニュエルへ

 ケンブリッジ大学図書館から、少し泥濘んだケム川沿いを歩いて、クイーンズカレッジへ行きました。このカレッジに入るのは初めてです。これまで、ここには女性しか入れないと思っていたからです。

 今回は、このクイーンズカレッジの研究員としてオフィスを持つレベッカ・クレメンツさんの配慮で、カレッジの中のレストランで食事を共にしました。天井が高くて広々とした、本当にすばらしい食堂です。

 ケンブリッジでは、毎週金曜日には肉は食べずに魚を食べるそうです。大きな鱈の揚げ物がおいしそうでした。しかし、食の細い私にはとても食べきれません。
 日頃は手を出さないケーキも、クリームチーズケーキにイチジクを載せたものがあったので、これはいただきました。糖質制限などすっかり無視して、一口ずつ口に運びました。

 先生方の休憩室になっているラウンジで珈琲タイム。これまでに何度も通った橋も、こんな角度からは初めて見ました。この橋の下には、ケンブリッジ名物となっているケム川散策のボート「パント」の乗り場があります。ただし、私はまだ乗ったことがありません。いつかいつかと思いながら、いつも慌ただしく仕事を終えるとすぐに帰るので、その機会に恵まれないのです。


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 レベッカさんにカレッジの中を案内していただきました。
 ニュートンが設計したと言われる有名な「数学の橋」も、今回が初めてです。この橋は、外から見たほうがニュートンらしい(?)形をしています。下を流れるのはケム川なので、まさにケム川に架かる橋でケン(ケム)ブリッジなのです。コーニツキ先生が以前いらっしゃったカレッジの踊り場の壁面に、「剣橋」と墨でダイナミックに書かれた軸が掛かっていたことを思い出しました。
 ただし、この「数学の橋」は本当はニュートンとは関係ないそうです。


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 クイーンズカレッジの中は、ゆったりとした時間が流れ、風格のある雰囲気の中に身を包まれます。


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 最初は、旧食堂といわれるところで「お客様食事会」を、という提案をレベッカさんがしてくれました。しかし、何かと用務が多かったので断念しました。ケンブリッジ大学らしい食事会だそうです。これも、またの機会ということにします。


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 数年前に、ピーター・コーニツキ先生が別のカレッジの食事会に連れていってくださいました。荘厳な雰囲気の中で、先生の楽しいお話をうかがいながら食事をいただいたことを、今でも覚えています。

 今回は、何しろ3泊5日のハードスケジュールでの英国出張です。
 今朝も、図書館へ行く途中で出会った知らない先生に声をかけられました。ケンブリッジは2泊するだけだと言うと、「オー、クレイジー!」と驚き呆れておられました。
 仕事だけしてすぐに街を去る日本人の行動は、信じられないのでしょう。

 慌ただしく、クイーンズカレッジから次の訪問先であるエマニュエルカレッジまでは、レベッカさんに道案内をしていただきました。
 エマニュエルカレッジには、世界的に著名な数学者であるジョン・コーツ先生がおられます。

 エマニュエルカレッジの門まで出迎えてもらった陳雲蓮さんと、カレッジの庭を散策しました。
 たくさんの鴨が池の畔にいます。賀茂川の鴨と、その姿形は同じです。この鴨たちは、クイーンズイングリッシュで鳴きそうな顔をしています。


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 今日は、イェール大学のエドワード・ケイメンズ先生とご一緒に、コーツ先生ご所蔵の貴重な古典籍や骨董をじっくりと拝見しました。
 ケイメンズ先生には、イェール大学へ行った時やハーバード大学で私が研究発表をした時の司会などで、大変お世話になりました。先日も連絡をくださり、コーツ先生の源氏絵を私がブログに紹介記事として書いたそのアドレスを教えてほしい、というメールをいただいたばかりです。

 この源氏絵については、以下の記事に詳細な報告を記しています。

「在英国・コーツ版「源氏画帖」の記事一覧」(2011/9/26)

 このコーツ先生の源氏絵との出会いは、レベッカさんからの連絡でした。
 いろいろな人とのつながりの中で、こうした貴重な人との出会いと勉強をさせていただいています。

 すでに本ブログでも紹介した源氏絵を、じっくりと拝見しました。予想外に大振りな紙に、絵と本文が書かれていて驚きました。すばらしいものです。

 その他にも興味深いものを数多く拝見しました。その中でも、私はアーサー・ウェイリーの写真とそのサインが目に焼き付きました。


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 また、『古今詩賦』の見開きに記されたアーサー・ウェイリーの自筆の文章も、注目すべきものとして拝見しました。


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 豊かな時間の中で、コーツ先生ご所蔵の貴重な資料を拝見しました。
 自分が大きくなったような思いを抱きながら、門まで見送ってくださったコーツ先生と再会を約してお別れしました。

 日本や韓国によくお出でになるコーツ先生なので、次は日本でお目にかかれるかもしれません。
 コーツ先生は日本語がおわかりにならず、私は英語がわかりません。それでいて、いつも誰かを介して、お互いの気持ちを伝え合っているので、本当に不思議な関係です。
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2015年02月21日

ケンブリッジ大学図書館で濃縮された時間を持つ

 宿泊場所である嘉悦ケンブリッジ教育文化センターから歩いてケンブリッジ大学図書館へ向かう途中で、かわいらしい花を見かけました。

 センターを出てすぐの庭には、こんな花が。


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 ケンブリッジ大学図書館の横にも、春に向かう花々が咲いています。
 冬から春へという季節の変わり目を、この異国の地で感じることになりました。


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 ケンブリッジ大学図書館は、この地域では一際高く聳えています。


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 その図書館で今日は、小山騰さんと「コーニツキ版欧州所在日本古書総合目録データベース」の相談をしました。昨日のコーニツキ先生との話し合いに加え、今日も小山さんの理解をいただき、すべてがうまく進展しています。ありがたいことです。

 お2人のご意見をうかがい、提案に理解をいただけたことで、この旅の目的はすべてを果たすことができました。
 お2人とのお付き合いは、もう15年になります。いい刺激を受けながら、新しいことに挑みながら、着実に成果をあげて来たことになります。遠く離れてはいても、折々にお目にかかってお話をするように心がけてきたことが、このようないい仕事につながっていると思います。
 さらなる新しい展開に向けて、また歩みを刻んで行きます。

 ここに来ると、必ず小山さんに貴重なお話を伺っています。聞くたびに、知識に対するパワーも一緒にいただけます。いつも、もっとお聞きしたいと思いながら、時間が限られた訪問なので残念な思いで辞することになります。

 今日も、明治初期には日本語の活字がロンドンに来ており印刷されていた、という話に興味を覚えました。また、「日英新報」の存在も教えていただきました。私の課題に活用できそうです。
 50音図については、ドイツの日本語の教科書が貴重な情報を掲載しているようです。さらには、『源氏物語』の英訳をいち早く手がけた末松謙澄のことや、『群書類従』が英国のイートン校やベルギーのルーヴァンにあるはずだということ、ハワイ大学にあった『群書類従』が今はケンブリッジ大学にあること等々。
 知的好奇心をいやましに掻き立てられる話で、得難い豊かな時間を持つことができました。

 帰りがけに、立命館大学が推進しているデジタルアーカイブズとして、ケンブリッジ大学図書館が所蔵する本の撮影現場にも足を運びました。
 大変な仕事であっても、これはいずれ私たちに役立つ画像データベースを構成するものとなります。倦まず弛まず、画像の集積を続けていただきたいと思っています。
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2015年02月20日

コーニツキ先生のご自宅からケンブリッジに移動

 ロンドンでは、キングス・クロス(セント・パンクラス)駅の真ん前のホテルに泊まりました。
 この駅舎の姿は大好きです。


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 その隣には、大英図書館があり、来るたびにお世話になっている所です。


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 今日は早朝より、ケンブリッジ大学名誉教授のピーター・コーニツキ先生のご自宅にうかがい、現在公開中のデータベースについて打ち合わせをしました。


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 国文学研究資料館のホームページから、先生が調査をされた成果をまとめた「コーニツキ版欧州所在日本古書総合目録データベース」を公開しています。
 これは、以下の解説画面にあるように、2001年まではコーニツキ先生がデータ作成をなさり、その後は国文学研究資料館が引き受けて公開のお手伝いをしています。
 コーニツキ先生とご一緒に立ち上げたこのデータベースも、すでに14年が経過しました。


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 国文学研究資料館に着任して早々、私がデータベースに詳しいということで、当時の松野洋一館長からコーニツキ先生と連絡を取るように依頼を受けました。そして、すぐにケンブリッジへ飛んで行き、直接コーニツキ先生と話し合いをし、先生がヨーロッパ各地を調査されたカードをコピーして帰国しました。
 その後は、順調に公開データも増え、今では2万点弱のデータが検索可能な情報として公開されています。

 今日は、このデータベースの今後について、長時間にわたってお話ができました。
 今後ともさらに展開していくデータベースなので、楽しみにしていただければ幸いです。

 先生のご自宅の近くに、古風なイギリスの小道と住宅街がありました。


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 イギリスに親近感を持つのは、こうした光景が日本と文化的に通じるものを持っているからだと思います。

 午後は、キングス・クロス駅からケンブリッジに電車で向かいました。ロンドンらしく、霧雨でした。

 ケンブリッジでは、東京の小平市にある嘉悦学園とケンブリッジ大学Murray Edwards College が提携して設立した、嘉悦ケンブリッジ教育文化センターを宿泊場所としました。

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 このセンター建物のデザインは、1997年度のCivic Trust Awards建築部門賞を受けています。


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 雰囲気のいい快適な空間に身を置き、いろいろなことを考えるいい機会となりました。
posted by genjiito at 06:50| Comment(0) | ◆国際交流

2015年02月19日

機内で観た映画『るろうに剣心』と『ガンディー』

 海外に行く時、機内で観る映画は毎回楽しみの1つとなっています。
 今回は、ネットで何が観られるかを、事前に調べておきました。しかし、JALの共同運行便だったことと、機体が英国航空だったせいか、まったく違うメニューでした。
 おまけに、座席の前のポケットに、映画や音楽の情報誌がありません。私の席には、ショッピングの冊子もありません。隣の席は、ショッピングの冊子はありました。出発前に、機内の確認が疎かだったったようです。

 画面も小さくて、おまけにすべて英語です。日本語モードで検索すると、5本だけ日本語でタイトルが表示されました。
 日本映画は『るろうに剣心 京都大火編』しか見つかりませんでした。英語のリストの中にでも紛れ込んでいたのかもしれませんが。

 『るろうに剣心 京都大火編』は、一応最後まで観ました。しかし、血を血で洗うシーンが多くて、食傷ぎみでした。迫力のある画面だったので、つい見つめました。このパワーは凄いと思います。ただし、このような映画に縁のない私は、見終わってから人間の愚かさだけが印象として残りました。大半の時間が、人を殺すシーンなのです。そういう分野の映画なのでしょう。
 我が家の子供が、この漫画を見ていたように思います。話を聞いていたら、幕末から明治の頃を舞台とする話のようでした。しかし、実際の映画は残酷なので、あまり子供には見せたくないものです。
 ハリウッドの野蛮なアクション物を真似しているのでしょう。日本人の共感は得られない映画だと思いました。

 他には、『ガンディー』を観ました。
 最初と最後のシーンにあった、ガンディーが撃たれた時に発した言葉は「オー!ゴーッド」と聞こえました。しかし、私の記憶では「へイ!ラーマ」と言ったように覚えています。インドで中島岳志君と一緒に暮らしていた時、彼に墓所に案内してもらい、その時に「へイ・ラーマ」と言ったことを聞いたように思います。「ラーマ」の意味とともに。博識の彼から、懇切丁寧な話を聞きました。今あいまいなので、帰国後にまた調べてみます。

 なお、この『ガンディー』は字幕のない英語版だったので、これから行くイギリスでの耳慣らし、ということになりました。映画の中での会話はほとんどわかりません。ただし、この映画はすでに2回も観ているので、話の筋はわかりました。
 インドの風景をきれいに切り取っています。現実とは異なる、それでいてインドらしいイメージが膨れ上がります。群衆の描き方も含めて、カメラワークがいいと思いました。

 このいい映画を観た後、JALも共同運行をするなら、字幕付きにするとか、もっと日本人の乗客のためのサービスを心がけたらいいのに、と思いました。

 この便は、すべてが英国航空の主導権の元に運行されています。これでは、思いやりに満ちた日本人には、無愛想のすすめという異文化体験の空間に身を置くことになります。

 いろいろと事情があることでしょう。しかし、日本として少しでもこの便に関わるのであれば、「もてなす」という精神を放棄してはいけません。JALの再生は、そこにしかないのですから。
 これは、温かい心で人を見つめる、日本文化の発現の場でもあります。ここに誇り持つべきです。
posted by genjiito at 07:07| Comment(0) | ◆国際交流

2015年02月18日

2月18日(水)羽田からロンドンへ

 天気予報では、今日の夕方から関東地方は雪がチラつくそうです。空がぐづついた朝靄の中を、羽田空港に向かいました。今日からイギリスです。

 昨日、あたふたとキャリー付きのボストンバッグを取り出しました。そのキャスターが、ガタガタと軋んでいます。
 昨秋カナダから帰って早々に、お気に入りだった一回り大きなキャリーバッグは、寿命が来たので感謝の思いを込めて処分しました。20年ほど使いました。

 この小ぶりのキャリーバッグも、交互に使って来たので、かれこれ20年。
 今回でお役ご免となりそうです。

 いつもは、成田空港まで2時間以上かけて移動します。しかし、今回は羽田空港なので、宿舎からは1時間もかかりません。この便利な羽田空港には、一昨年スペインへ行ったとき以来です。

 成田も羽田も共に「第1ターミナル」と「第2ターミナル」があります。
 成田空港の場合は、「第1ターミナル」は「成田空港駅」で、「第2ターミナル」は「空港第2ビル駅」で降ります。

 今日は、大門駅で乗り換えて、浜松町駅から東京モノレールの「羽田空港第1ビル」で降りる予定でした。JAL便なので「第1旅客ターミナル」です。ANA便なら「第2旅客ターミナル」です。
 いつも混乱します。数字で区別するのではなくて、愛称を付けてほしいものです。

 ところが、「I」と「1」で大混乱です。
 モノレールの中で、その疑問点に思い至りました。

 次の写真の上が、旅行業者から受け取った「旅程表」です。
 これを「1」と見るか「I」と見るかです。
 下が、それを元にして事前に私が電車の乗り継ぎをプリントアウトしたものです。


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 この記事は書きかけのままに投稿したものです。
 羽田でLANが繋がらないので、四苦八苦しながらの搭乗です。
 続きはロンドンで。
posted by genjiito at 09:17| Comment(0) | ◆国際交流