2017年07月20日

新規科研(A)の取り組みが順調に動き出しています

 昨日は、システム開発管理会社にお願いしている、科研の新ホームページ「海外へいあんぶんがく情報」に関する打ち合わせをしました。これまで公開していた「海外源氏情報」(http://genjiito.org)のバージョンアップ版となります。

 昨年度までのホームページ「海外源氏情報」は、すでに海外における平安文学の研究に役立つ、膨大な情報を提供するサイトとして育ちました。そのデータを継承する中で、新たなスタイルに移行しながら、より使い勝手の良いデータバンクを構築しようとしているところです。
 システムの開発チームから寄せられている、いろいろな質問に答える形で、一つずつ前進しています。予定通り、8月上旬に試作版を公開できると思います。みなさまからのご意見を取り入れながら、平安文学に関するデータバンクを次の世代に手渡ししていくつもりです。

 過日このブログを通して募ったアルバイト要員に関しては、すでに10人が集まったので、ここで一旦締め切ります。全員が大阪観光大学の1回生という、おもしろい構成となりました。今回の科研の研究期間は4年間なので、彼らの卒業とともに次世代にすべてを引き継ぐことになります。ゴールがはっきりしたこともあり、なかなかいい形でのスタートとなりました。

 これまで手薄であった東南アジア出身の学生が中心となって翻訳本を整理し、日本語を母国語とする学生が各種言語の情報を日本語で整理し統合することになります。
 今日集まったメンバーは、生まれも育ちも興味のありようもバラバラです。しかし、今回のような気の遠くなる壮大なテーマには適任の若者たちです。
 アルバイトに関してご要望にお答えできなかった方々には、この場を借りてお詫びいたします。またの機会に、手助けをよろしくお願いします。

 今日は、新しいメンバーで、作業をする部屋の一大整理をしました。備え付けのソファーやテーブルを外に出し、体育館から折りたたみのテーブル3台とイス数脚を運び込んで、部屋の真ん中に広い作業空間を確保しました。三方の壁面はすべて書棚です。

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 これで、10人が同時に仕事をすることができます。事務の方々のご理解とご協力には、いつものことながら感謝という言葉しか表現方法が見つかりません。ありがとうございます。

 多言語を扱うテーマに取り組むだけに、知的好奇心に満ちた多彩なメンバーの学生集団となりました。それだけに、今日の部屋の片付けも、みんなでああでもない、こうでもないと、和気藹々とやりました。楽しい仲間が集まり、今回もおもしろい成果が得られそうです。

 実働部隊は確保できました。次は、このプロジェクトを事務的な面からサポートしてもらえる専任者を、依然として探し求めています。プロジェクト研究員という立場の役割分担者となります。条件がいろいろとあるので、なかなかいい出会いに至っていません。興味と関心をお持ちの方からの連絡を、今もお待ちしています。
 とりあえずは、週に3日ほど、午後に大阪観光大学に来てくださる方が見つかりましたら、この科研は本格的な始動となります。
 実際には、今秋10月から来てくださる方との出会いを待ち望んでいます。

 これまでに何かと支援をしてくださっていたみなさまに、まずはこの記事を通して現状の報告といたします。そして、今回の研究を支えてくださる方々へも、この場を借りて現時点での報告とするしだいです。
 こらからも変わらぬご支援を、どえぞよろしくお願いいたします。
 
 
 

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2017年07月18日

科研のアルバイト募集中[その2](「海外へいあんぶんがく情報」の情報収集と整理)

 過日、「科研のアルバイト募集(「海外へいあんぶんがく情報」に関する情報の収集整理)」(2017年06月05日)という記事を、本ブログに掲載しました。
 来月には、新たに「海外へいあんぶんがく情報」(http://genjiito.org)を公開できる予定です。そこで、さらにお手伝いをしてくださる方を追加募集することにしました。

 仕事の内容や条件は、過日とほぼ同じです。在宅ではなくて、実際に大阪観光大学に来ていただいて、情報や資料の収集と整理、ホームページの作成と更新および補訂をおこなっていただくことが基本となります。

 現在、4人の方がこうした仕事を手伝ってくださっています。大学一年生が中心なので、専門的な知識が求められるものではありません。こうしたテーマに関する、興味と関心が強ければ、十分に楽しくやっていただけるはずです。また、本科研のテーマの一つに、若手の育成があるので、これにも合致した取り組みとなっています。

 今回はさらに、もう一つのテーマである多言語翻訳に関して、お手伝いをしてくださる方を求めています。
 国際連合の公用語は〈英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語、アラビア語〉の6言語です。そこで、『源氏物語』が翻訳されている33言語のうち、この6言語以外の言語が(自由に?)読み書きできる方を求めています。これは、在宅でお願いすることになります。委細はすべてメールで確認したいと思います。

【『源氏物語』が翻訳されている33種類の言語】
 アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・ オランダ語・オディアー語(インド)・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロヴェニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・現代日本語・ハンガリー語・韓国語・パンジャービー語(インド)・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ロシア語


 このアルバイトに興味をお持ちの方は、過日同様に、このブログのコメント欄を通して、簡単な自己紹介と共に連絡をいただければ、私からあらためて具体的に説明するなり、直接お目にかかってご説明いたします。

 いい出会いがあることを、今回も楽しみにしています。
 
 
 

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2017年07月13日

雨野さんのスペイン語訳『今昔物語集』の公開

 昨年度までの伊藤科研(A)では、三省堂の雨野弥生さんが『伊勢物語』のスペイン語訳などの成果を公開してくださいました。

■「研究論文 スペイン語版『伊勢物語』について」
  (海外平安文学研究ジャーナルvol.4.0)

■「研究会拾遺 スペイン語版・英語版・フランス語版『伊勢物語』7 種における官職名の訳語対照表」
  (海外平安文学研究ジャーナルvol.5.0)

この『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN番号 2188ー8035)のダウンロードは以下から可能です。

「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル vol.1〜vol.6』の再公開」(2017年05月02日)

 その雨野さんから、最近の成果をお知らせいただきました。
 受け取ったのは先月末でした。しかし、私が忙しさにかまけて、今ごろ記事にすることをお許しください。
 以下、雨野さんからのメールをまとめながらの報告となります。

 雨野さんは、大学院では京都の説話を研究対象にしておられました。そのこともあり、本年4月より、「京都を舞台にした説話・伝承」をスペイン語訳し、インターネット上で日本語・スペイン語で紹介するという連載を、月1回のペースで開始なさいました。

 私が開設しているサイトの「平安文学翻訳史」や、『日本古典文学翻訳事典』がお役に立ったとのことです。嬉しい限りです。

 以下、今回の連載の内容と記事のアドレスを記します。
 各項目の下のアドレスをクリックすることで、ご自由にお読みいただけます。

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連載1 はじめに(4月)
 http://spanglish-club.com/archives/426

連載2 瀬田の唐橋(5月)
 http://spanglish-club.com/archives/508

連載3 『今昔物語集』巻27−14全文 スペイン語訳 (6月)
 http://spanglish-club.com/archives/566
 
 連載の趣旨と概要および翻訳の手法については、雨野さんの言葉を引くことで、説明にかえます。
 この続きは、今月末に「連載4」として公開されると思います。楽しみにお待ちください。

 5・6月は、京都行きの新幹線の車窓から見える最大の?説話舞台である、「瀬田の唐橋」を取り上げ、無謀にも、『今昔物語集』の一説話の全文翻訳にも取り組んでみました。
 瀬田橋の辺の荒家で鬼に出会うという説話ですが、原文のもつ、恐ろしげなあばら家の表現やテンポをそのままお伝えしたいため、ダイジェストではなく、敢えて全文訳に踏み切りました。
 私の西語作文ではスペイン語圏の方が読むに堪えないスペイン語になってしまいますので、日本語で私が現代語訳を作り、スペイン語上級者やネイティブに古典本文の背景を伝えながらスペイン語訳して頂き、再度、私が内容に大きなズレがないかチェックをし、ネットにアップする、という流れで掲載しております。
 たかが今昔の1説話ですが、訳文作りに2ヶ月かかりました。

(中略)

『今昔』にはスペイン語での「抄訳」はございますが、この『今昔』27−14は、まだスペイン語訳が無いようです(英語も少なく、本説話を訳しているのは1種類のみのようです)。
 としますと、スペイン語でこの話をご紹介するのは、おそらく、これが初なのだろうと思います。

(中略)

 翻訳は、自分を含め、完全ボランティアのみで進めておりますので、スケジュールやクオリティを安定させることに難はあります。が、これまでは貴重な紙の翻訳書でしか読めなかった今昔の説話本文の面白さや、注釈研究の蓄積を、現地の今の地図などとも併せてインターネットを通じて少しでもお伝えすることで、日本に興味をお持ちの方に微力であってもお役立て頂けたら、それは日本側の研究の集積の、具体的な活かしかたの一つにもなるのではないか、と考えております。
(もちろん、私が間違った内容を伝えれば、それが全方位的に出回る危険もありますが)

          雨野 弥生

 
 
 
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2017年07月06日

翻訳本『源氏物語』のミニ展示・第三弾は《ヨーロッパ編》

 5月から始めた、『源氏物語』の翻訳本を中心とするミニ展示は、今回で3回目となります。本日、悪戦苦闘を楽しみながら、何とか観ていただける形にしました。
 体系だった展示にするため、第一回目に出品した本が数冊入っています。

 イタリア・フランス・ドイツ等、ヨーロッパの言語で翻訳された本を24冊並べました。

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 向かって左側の展示ケースには、スペイン語・イタリア語・ポルトガル語・フランス語・オランダ語の13冊を並べました。
 カラフルな表紙の本が多いので、これまで以上に明るく華やかな雰囲気になりました。

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 右側のケースの中には、ドイツ語を始めとして、左側のケースの国以外のもの11冊を並べました。

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 展示した本が、それぞれどこに位置する国で出版されたものかがわかるように、ヨーロッパの地図を横断幕の下に貼り付けています。

 今回も、展示した本の簡単な書誌を中心にした解説を、プリントにしてガラスケースの上に置きました。ご自由にお持ち帰りください。
 参考までに、以下に、そのテキストを引用します。

《世界中の言語に翻訳された『源氏物語』》

        ヨーロッパ編


              
             2017年7月5日(水)〜8月31日(木)
               於:大阪観光大学 図書館3階

 今回の特設コーナーでは、翻訳本『源氏物語』の表紙デザインの多彩さを楽しんでいただけるような選書をしました。各国で『源氏物語』がどのように受容されているか、という視点でご覧いただけると幸いです。

【『源氏物語』が翻訳されている33種類の言語】
 アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・ オランダ語・オディアー語(インド)・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロヴェニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・現代日本語・ハンガリー語・韓国語・パンジャービー語(インド)・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ロシア語

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☆ドイツ語


◯マキシミリアン・ミューラー・ヤブシュ訳(ドイツ語・1911年)
 表紙は皮製。扉絵はフランツ・クリストフによる、具足をつけた男性と、傘を持った女性の絵。末松謙澄訳の重訳。

◯ヘルベルト・E・ヘルリチュカ訳(ドイツ語・1995年)
 表紙は江戸時代の役者絵。ウェーリー訳の重訳。

◯オスカー・ベンル訳(ドイツ語・1992年) 
 翻訳者名をべーネルとする文献もある。第1巻の表紙は、徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「宿木」巻で、今上帝と薫が碁を打つ場面。第2巻は、同巻で女房たちがその様子をうかがっている場面。底本は複数あるものの、古典からの翻訳。

☆フランス語


◯キク・ヤマタ訳(フランス語・1952年)
 表紙は文字のみ。ウェーリー訳の重訳。

◯ルネ・シフェール訳(フランス語・1985年)
 箱・表紙ともに『紫式部日記絵巻』の藤原斉信。本の表紙は背景が黒く、裏表紙には作品名のみ。ウェーリー訳の重訳。

☆イタリア語訳


◯アドリアーナ・モッティ訳(イタリア語・1992年)
 箱は、徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』の「宿木三」。本の表紙は、同絵巻の『源氏物語絵巻』「東屋二」。ウェーリー訳の重訳。

◯アドリアーナ・モッティ訳(イタリア語・1992年)
 第1巻の表紙は、徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「東屋二」。第2巻は、同絵巻の「東屋一」。ウェーリー訳の重訳。

◯ピエロ・ヤイエル/ピア・フランチェスコ・パオリーニ訳(イタリア語・2002年)
 ヤイエルが「匂宮」〜「宿木」前半を、パオリーニが「宿木」後半〜「夢浮橋」を翻訳。表紙は、鳥居清長の『角田川月見船』。ウェーリー訳の重訳。

◯アドリアーナ・モッティ訳(イタリア語・2006年)
 表紙は、三代歌川豊国、歌川広重合作の『風流げんじ須磨』。ウェーリー訳の重訳。

◯マリア・テレーザ・オルシ訳(イタリア語・2012年)
 表紙と箱は『国宝源氏物語絵巻』「鈴虫」・「関屋」巻を、山口伊太郎が西陣織にしたもの。作品名は『源氏物語錦織絵巻』で、同氏の遺作。古典からの翻訳。

☆スペイン語


◯ハビエル・ロカ・フェレール訳(スペイン語・2005年/2006年)
 表紙のうち、第1巻は宮川春汀の『当世風俗通』のうち『さくらがり』(1897年)。版が異なるものの中には、バークコレクションの一つ、土佐光起『源氏物語画帖』「浮舟」もある。第2巻は、月岡芳年の『大日本史略図会 第八十代 安徳天皇』。平教経が源義経の舟を見つけて、組みかかろうとする場面。複数の外国語訳を参照。

◯ホルディ・フィブラ訳(スペイン語・2006年)
 第1巻の表紙はバーク・コレクションの一つ、土佐光起の『源氏物語画帖』「花宴」。2巻は「浮舟」。タイラー訳の重訳。

◯下野泉/イヴァン・アウグスト・ピント・ロマン訳(スペイン語・2013年)
 ペルーで出版された本。表紙は國學院大學蔵「久我家嫁入本『源氏物語』初音巻」。古典からの翻訳をしつつも、与謝野晶子の『全訳源氏物語』も参考にしている。

☆ポルトガル語


◯リヒア・マリェイロ/エリザベート・カーリ・レイア訳(ポルトガル語・2007年)
 表紙は立松脩がデザインした、首飾りをしている黒髪の女性の絵。底本は一つではなく、ルネ・シフェール、アーサー・ウェーリー、ハビエル・ロカフェレール訳等を参考にした。

◯カルロス・コレイア・モンテイロ・オリベイラ訳(ポルトガル語・2008年)
 第1巻の表紙は、月岡芳年『月百姿』のうち『忍岡月 玉淵斎』(1889年)、ハーバード大学美術館蔵の土佐光信『源氏物語画帖』「椎本」巻を題材に、どちらもカルロス・セザールがデザインしたもの。底本は一つではなく、ルネ・シフェール、アーサー・ウェーリー、ロイヤル・タイラー、ハビエル・ロカ・フェレール訳等を参考にした。

☆セルビア語


◯スレーテン・リリック訳(セルビア語・2003年)
 表紙は「初音」巻。ウェーリー訳の重訳。

☆クロアチア語


◯ニキツァ・ペトラク訳(2004年)
 表紙は五島美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「鈴虫」巻。夕霧が笛を吹いている場面。サイデンスティッカー訳の重訳。

☆チェコ語


◯カレル・フィアラ訳(チェコ語・2002年)
 表紙は、徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「東屋二」。佐伯梅友校注『源氏物語購読』、ロイヤル・タイラー訳を参考にした。

☆リトアニア語


◯ダレ・シュバンバリーテ訳(リトアニア語・2006年)
 表紙は、黒地に日本庭園の写真。古典からの翻訳。

◯ダレ・シュバンバリーテ訳(リトアニア語・2011年)
 表紙は、写本の画像と平安時代の男女を描いた絵。古典からの翻訳。

☆スロヴェニア語


◯シルベスター・スカル訳(スロヴェニア語・1968年)
 表紙は、浮世絵(女性の絵)。ヘルリチュカ訳(ドイツ語)の重訳。

☆オランダ語


◯ヨス・フォス訳(オランダ語・2014年)
 表紙は、バーク・コレクションの一つ、土佐光起『源氏物語画帖』「花宴」巻。ウェーリー訳からの重訳。

☆フィンランド語


◯ツルネン・マルティ/カイ・ニエミネン訳(フィンランド語・1980年)
 マルティが本文、ニエミネンが和歌部分の翻訳を担当。表紙のカバーは『扇面法華経』、本の表紙にはSMの文字だけが書いてある。古典からの翻訳。

☆ハンガリー語


◯ホルバルト・ラースロー訳(ハンガリー語・2009年)
 第1巻の表紙はインディアナ大学美術館蔵『源氏物語図屏風』「若紫」、第2巻はフリーア美術館蔵の土佐光吉『若菜・帚木図屏風』のうち「若菜上」、第3巻は京都国立博物館蔵の伝土佐光元『源氏物語図』「蜻蛉」。サイデンスティッカー訳の重訳。


 このミニ展示の第3弾は、8月末までの2ヶ月間にわたって行います。9月からは、英語で翻訳されている『源氏物語』を並べます。

 今後も、月替わりで翻訳本を展示します。毎回、なかなか見る機会の少ない本を、こうして公開します。
 ご質問やお問い合わせには、可能な限り現状を確認して、お答えしています。
 大阪の南部にある大阪観光大学に、珍しい翻訳本との出会いを楽しみにして、一度足をお運びください。お待ちしています。
 
 
 
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2017年06月30日

科研(A)の第9回研究会を大阪観光大学で開催

 本日の研究会は、本年度の新規採択なので、第1回めです。しかし、昨年までのテーマをさらに大きく展開するものなので、通算で第9回となります。

 夜来の大雨も午前中には上がり、蒸し暑いながらも楽しい集まりとなりました。
 興奮気味に、帰路での投稿となっています。

 今回の開催にあたっては、大阪観光大学で研究分担者になっていただいた谷口先生が、会場確保や設営などを手回しよくやってくださいました。これまでは、準備などはすべて、科研付きの研究員やアルバイトの方にお願いしていました。今回は、研究支援を一手に引き受けてもらっていた淺川さんが東京からコントロールしてもらっていたとはいえ、何かと小回りが利きませんでした。内部の先生の協力は、ありがたいものです。

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 一昨日の本ブログで紹介した通り、プログラム通りに実施できました。

 最初は、図書館で翻訳本の展示を見ていただき、簡単に説明しました。
 インドからお越しのモインウッディン先生に、私の拙い説明を補っていただきました。

 場所を4階のセミナールームに移し、まずは自己紹介からです。

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 異分野のメンバーで構成する組織なので、ほとんどの方が初対面です。そのため、少し時間をかけました。
 事務方で、これからお世話になるお二人にも出席していただき、この科研を構成するメンバーとの対面も叶いました。事務方の理解と協力なくして、科研の遂行は困難だと思っているからです。

 高校の教員をしていた私が、25年前にこの大学(当時は大阪明浄女子短期大学)に赴任するにあたり、恩師伊井春樹先生は2つのことをおっしゃいました。それは、研究者として生きて行くためには、科研を取ること、そして事務方を大事にしなさい、ということでした。
 以来、その言葉を肝に銘じて、今に至っています。

 引き続き、科研の主旨などをお話し、活動方針の確認をしてから、研究発表に移りました。

(1)研究発表
「「海外源氏情報」にみる海外で翻訳・出版された平安文学情報」(淺川槙子)
 日本文学のどの作品が、どの言語で翻訳されているか、ということはもちろんのこと、翻訳されていない作品のことや、なぜこのような作品が翻訳されているのか、ということが浮き彫りになる発表でした。これまでとこれからの、情報収集の意義を再確認する資料の提示も、ありがたいものです。みんなで、この資料を大事に育て上げていきたいものです。

(2)研究発表
「『とりかへばや物語』における男君考 −なぜ男君は悩まないのか−」(長内綾乃)
 長内さんは、広島大学の4年生です。卒業論文をどのような内容にするか、という私が投げかけた課題に答える発表でした。自分が持っている問題意識が明確なので、中世王朝物語を専門に研究する先生方からの質問にも、堂々と答えていたのには感心しました。日頃から、鍛えられているからでしょう。
 本科研では、若手の育成を心がけています。その意味からも、長内さんの発表は、本人はもとより、我々も新鮮な気持ちになるものでした。

 全国の学校の先生方で、学会では発表できないとしても着眼点が光っていて、専門家の意見を聞きたいという学生さんがおられましたら、遠慮なくお知らせください。本科研が取り上げるテーマに応じて、発表や研究報告の機会を提供する用意があります。検討の結果発表となれば、会場までの交通費は支給します。

(3)研究発表
「『とりかへばや物語』の中国語訳の試み」(庄婕淳)
 実際に自分で『とりかへばや物語』を翻訳しての問題点が取り上げられました。具体的だったので、短時間ながらもみんなで参加できる討論ができました。

 『とりかへばや物語』の発表が2つ続いたこともあり、男性という性についての意見が楽しく展開する、おもしろい話題に身をおくことになりました。これは、多言語における異文化交流の観点からも、世界中の方々と意見を交わせるテーマです。いつか、国際集会で取り上げたいと思います。

(4)研究発表
「雀の子を犬君が逃がしつる」の外国語訳と現代語訳」(須藤圭)
 教科書に採られている有名な場面を、さまざまな訳文を提示して比較検討する、おもしろい問題提起がなされました。
 一つの言語における訳文の検討だけでも、多彩な問題が見えてきます。それが、多言語となると、さらに問題のスケールが大きくなり、多彩な意見交換の場となるはずです。

 次回は、本年12月に東京での開催を予定しています。
 海外における平安文学に関して、本研究会で研究発表したい方を募集しています。希望する方がいらっしゃいましたら、本ブログのコメント欄を利用して連絡をください。折り返し、相談の連絡を差し上げます。

 本日の参加者は以下の12名でした(敬称略)。楽しい会となり、次回がますます待ち遠しくなりました。今後とも、よろしくお願いいたします。

伊藤鉄也(大阪観光大学)
谷口裕久(大阪観光大学)
王静(大阪観光大学)
金光桂子(京都大学)
高田智和(国立国語研究所)
須藤圭(立命館大学)
モハンマド・モインウッディン(大阪大学)
庄婕淳(立命館大学)
長内綾乃(広島大学4年生)
池野陽香(大阪観光大学1年生)
淺川槙子(元・国文学研究資料館プロジェクト研究員)
塔下宣子(オフィス ティ〈デザイナー〉)
 
 
 

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2017年06月28日

第9回「海外における平安文学」研究会は大阪観光大学で今月30日に開催

 本年度より始動した、科研費による基盤研究(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(17H00912、研究代表者︰伊藤鉄也・大阪観光大学)の研究会の準備が整いました。
 これまでの科研のホームページである「海外源氏情報」(http://genjiito.org)が、いまだに不具合を抱えており、情報の更新が3月31日からまったくできていません。
 下記の要領で開催することを、この場を借りてお知らせします。
 連絡が遅くなり、大変失礼しました。
 広く公開していますので、興味と関心をお持ちの方はご自由に参加してください。
 また、本科研は若手の育成にも取り組んでいます。そのため、今回は若手の研究発表で構成しました。今後とも、異分野における異文化との交流を視野に入れて、研究活動を展開していきたいと思います。
 広く研究発表や、調査報告・実践報告などを募ります。さまざまな分野の、さまざまな立場の方々の、積極的な発表や報告を待ち望んでいます。

 なお、資料の準備などがありますので、参加を希望なさる方は本ブログのコメント欄を利用して、事前にお知らせください。

「海外における平安文学」



■日時:6月30日(金)13:30〜17:00
■場所:大阪観光大学 明浄1号館4階141セミナー室
※明浄1号館は一番手前の建物です。
入口から入っていただき、右側にあるエレベーターで4階に上がってください。
(〒590-0493 大阪府泉南郡大久保南5-3-1/ 072-453-8222)

■アクセス
当日は、以下の時間に発車するスクールバスをご利用ください。

泉佐野駅12:55発→日根野駅13:07発→大学13:15着

JR阪和線 日根野駅からスクールバスで8分(無料)
南海本線泉佐野駅からスクールバスで20分(無料)
詳細は http://www.tourism.ac.jp/concept/access.htmlをご覧ください。

■プログラム

【第一部】
世界中で翻訳された『源氏物語』の展示解説(伊藤鉄也) 13:30〜13:50
  ※ただいま図書館で、中国・韓国・インドの言葉に翻訳された『源氏物語』を展示中。
 
【第二部】
伊藤科研 第9回研究会 14:00〜17:00

・挨拶(伊藤鉄也)14:00〜14:05

・自己紹介(参加者全員) 14:05〜14:20

・科研の趣旨説明(伊藤鉄也)14:20〜14:30

・研究発表「「海外源氏情報」にみる海外で翻訳・出版された平安文学情報」(淺川槙子)14:30〜14:45

・休憩(15分)

・研究発表「『とりかへばや物語』における男君考−なぜ男君は悩まないのか−」(長内綾乃)15:00〜15:25

・研究発表「『とりかへばや物語』の中国語訳の試み」(庄婕淳)15:25〜16:00

・休憩(15分)

・研究発表「雀の子を犬君が逃がしつる」の外国語訳と現代語訳」(須藤圭)16:15〜16:50

■研究会後に、日根野駅前で懇親会を予定しています。参加は自由です。

【参加予定者12名/敬称略】
伊藤鉄也(大阪観光大学、『源氏物語』本文と触読の研究)
谷口裕久(大阪観光大学、文化人類学・比較言語学)
王静(大阪観光大学、中国茶・フードツーリズム研究)
金光桂子(京都大学、中世王朝物語の研究)
高田智和(国立国語研究所、国語学(文字・表記)・漢字情報処理)
野本忠司(国文学研究資料館、情報科学,言語工学)
須藤圭(立命館大学、中古中世王朝物語の研究)
モハンマド・モインウッディン(大阪大学、近代文学と多言語翻訳)
庄婕淳(立命館大学衣笠総合研究機構客員研究員、『とりかへばや物語』の研究)
長内綾乃(広島大学、文学部4年生、卒論は『とりかへばや物語』の研究)
池野陽香(大阪観光大学、観光学部1年生)
淺川槙子(元・国文学研究資料館プロジェクト研究員、中世軍記物語の研究)

 
 
 

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2017年06月17日

京洛逍遥(449)梅雨入りしたのに雨が降らず賀茂川の水嵩が心配です

 賀茂川の水が少ないため、藻が目立つようになりました。
 こんなに水が少なく、藻が一面に広がっている様子は、これまでに見たことがありません。
 今年は超猛暑の夏になると言われています。
 涼しさを感じさせてくれる川面の緩やかな流れと、川風の心地よさが、今年の夏はどうなるのか心配しています。

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 我が家でトントンと呼んでいる飛び石を渡ると、水が少ないことが一目瞭然です。
 足元で水の流れが感じられないと、何となく物足りなさを覚えます。

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2017年06月06日

300年経つ雲南省の茶の木の紅茶をいただく

 大阪観光大学での午後のひと時を、王静先生の研究室で贅沢なお茶をいただきながら、いろいろなお話をして過ごしました。
 さすが、お茶の研究者だけに、詳しい中国茶の説明や、奥の深い茶葉についての話がうかがえました。

 白茶を初めて飲みました。茶葉は、円盤型に固めてあります。甘味のある薫り豊かな優しいお茶でした。

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 300年前の雲南省の紅茶もいただきました。これは、貴重な喫茶体験です。王先生も、あまりにも貴重な茶葉なので、ずっと大事にしていて、今日初めて淹れるとのことでした。

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 得難い体験を共にすることができました。ありがとうございました。

 大学の研究室棟の補修工事も、そろそろ終わりです。部屋の外周を覆っていた足場が撤去されたので、やっとベランダに出ることができるようになりました。
 私の研究室から関西国際空港を望むと、沖には淡路島が蜃気楼かと見紛うほどに、陸地と海の境目が浮き上がっていました。これは、何だったのでしょうか? 不思議な光景でした。

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2017年06月05日

科研のアルバイト募集(「海外へいあんぶんがく情報」に関する情報の収集整理)

 「海外源氏情報」(http://genjiito.org)の成果を引き継ぎ、さらに充実した情報群としての「海外へいあんぶんがく情報」をまとめたいと思います。

 そこで、平成29年度の科研費・基盤研究(A)で新規採択された、研究課題「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)に関するアルバイトを若干名募集します。

 今回は、JR 関西空港(阪和)線の日根野駅から徒歩20分の所にある、大阪観光大学(大阪府泉南郡熊取町大久保南5-3-1)に通勤してアルバイトができる方です。
「大阪観光大学へのアクセス」

 仕事の内容は、世界各国における〈平安文学〉の研究状況に関する実態調査(研究機関・研究者・研究成果・翻訳書等)を実施し、それを基にして、調査・収集した資料を整理し、海外における受容と研究の歴史を総合的に整理する研究支援をしていただくものです。
 具体的には、〈平安文学〉が海外において、誰がどのようにして受容・研究・翻訳されているのかを調査し情報を整理して、共同討議の基礎資料を作成していただきます。
 こうして得られた情報は、ホームページ「海外へいあんぶんがく情報」を通して発信します。新しいホームページは、現在作成が進行しています。

 今回の科研の概要については、以下の記事を参照してください。

「今年度の科研で「海外の平安文学」が採択(内定)となりました」(2017年04月05日)

「新規科研の開始にあたって1(翻訳された『源氏物語』の言語数)」(2017年04月06日)

「新規科研の開始にあたって2(翻訳文献と関係論文の点数と到達目標)」(2017年04月07日)

「新規科研の開始にあたって3(学術的な特色・独創性・成果・意義)」(2017年04月12日)

「新規科研の開始にあたって4(おおよその研究計画とその方法)」(2017年04月19日)

「新規科研の開始にあたって5(平成29年度の研究計画)」(2017年04月20日)

 このアルバイト募集は、研究課題の基礎資料となる情報群を、大阪観光大学に来ていただき、研究支援室で印刷物から情報を抜き出したり、インターネットを駆使してデータ収集と整理をしていただくものです。年齢や性別は問いません。
 情報の調査収集に使用するパソコンはマッキントッシュです。ウインドウズではありません。使い方は、最初に説明します。使用するソフトウェアは、「エクセル」と「ワード」が中心であり、「エバーノート」を併用します。

 時給は900円で、交通費は相談とします。
 勤務日は、水曜日と木曜日の13時から17時まで。
 海外の英語サイトが読める程度の英語力と、簡単な英文メールが書ける程度は、仕事内容の関係で必要です。

 情報の渦の中から、今回の課題に適合するデータをすくい上げる仕事に興味がある方で、かつ多言語に興味がある方の応募を、心待ちにしています。

 このアルバイトに興味をお持ちの方は、このブログのコメント欄を通して、簡単な自己紹介と共に連絡をいただければ、私からあらためて具体的に説明するなり、直接お目にかかってご説明いたします。
 4年前のアルバイト募集がそうであったように、多くの方からの応募が予想されます。2週間たっても何も返信がない場合は、その旨をご連絡ください。何かとバタバタするばかりの日々の中で私一人で対応するため、失礼も多々あろうかと思います。対応の不手際についてはご寛恕の程を、よろしくお願いいたします。
 
 
 

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2017年06月03日

京洛逍遥(448)第8回 京都吉田山大茶会に行く

 風が肌寒く感じられる一日でした。
 京都大学の裏手にある吉田神社で、世界の名茶がいただける大茶会がありました。

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 大阪観光大学で同僚の王静先生は、お茶の研究で大阪市立大学から学位を取っておられます。私の科研で研究分担者になっていただき、お茶の話で盛り上がったこともあり、境内で待ち合わせをしました。ちょうど、京都大学のダニエル・ミルン先生もご一緒だったので、紹介していただきました。これから、お茶をテーマにした研究を一緒にしたいと思っています。

 境内には、所狭しとお茶のコーナーが出ています。今年は、35店もの出店があります。
 中でも、軽トラックの荷台をお茶席にした野点は、ひときわ目立っていました。
 釜を吊り下げているのがツルハシなのです。これはアイデアです。

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 別のテントの下では、ウーロン茶を淹れる手つきもみごとです。

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 能管の音が、境内に響き渡っていました。

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 ダニエル先生に勧められた宮崎茶房「有機釜炒り茶」と、みとちゃ農園の「いろは」を、ゆったりとした気分で試飲しました。

 今回、ルイボスティと柚子のウーロン茶を買いました。

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 ルイボスティは、以前もこの大茶会でいただいたことを思い出し、過去のブログからこの大茶会のことを書いた記事を探しました。ありました、ありました。今から7年前の、ちょうどこの時期です。

「京洛逍遥(144)吉田山大茶会」(2010年06月06日)

 今日の様子と見較べると、おもしろいことがいろいろとわかって楽しいものです。
 
 
 

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2017年06月02日

翻訳本『源氏物語』の展示は《中国・韓国・インド編》に衣替え

 昨日、暦の上での衣替えよろしく、大阪観光大学で開催中の翻訳本『源氏物語』の展示替えをしました。
 これは、先月から開催している展示の、第2弾となるものです。


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 今回は、中国・韓国・インドで刊行された『源氏物語』の翻訳本に限定して、28冊を並べました。
 ガラスケースの左側が中国語の翻訳本です。あまりにも多いので、所狭しと並んでいます。実際には、まだまだあります。今回は、これだけにしました。



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 右側のケースには、韓国とインドで刊行された翻訳本が並んでいます。




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 このケースの右半分が、8種類のインド語で翻訳された『源氏物語』です。その8種類の表紙絵すべてを並べるのは、今回が初めてです。一部、表紙がない本はコピーで補いました。それでも、こうしてインド語で刊行されたことが確認できる翻訳本のすべてを展示できたのは、これまでにご協力いただいた皆様のご理解があってのことです。ありがとうございます。

 韓国とインドの結界には、夏らしく涼しそうな、ガラスの置物を4個並べてみました。
 また、展示ケースの中央には、各翻訳本の表紙絵を説明したA4版4頁のプリントを置きましたので、ご自由にお持ち帰りください。

 今回の展示をご覧になれない方のために、この説明文を以下に引いておきます。

         《世界中の言語に翻訳された『源氏物語』》
              中国・韓国・インド編
 
                   平成29(2017)年6月1日〜30日
                    於:大阪観光大学 図書館3階

 今回の特設コーナーでは、翻訳本『源氏物語』の表紙デザインの多彩さを楽しんでいただけるような選書をしました。
 各国で『源氏物語』がどのように受容されているか、という視点でご覧いただけると幸いです。

【『源氏物語』が翻訳されている33種類の言語】
 アッサム語(インド)・アラビア語・イタリア語・ウルドゥー語(インド)・英語・エスペラント・オランダ語・オディアー語(インド)・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロベニア語・セルビア語・タミル語(インド)・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語(インド)・ドイツ語・トルコ語・現代日本語・ハンガリー語・韓国語・パンジャービー語(インド)・ヒンディー語(インド)・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ポルトガル語・マラヤーラム語(インド)・モンゴル語・リトアニア語・ロシア語
 
 

☆中国☆


◯中国語訳(1993年)
 豊子ト 訳
 与謝野晶子・谷崎潤一郎などが訳した『源氏物語』を中国語に翻訳したものと推測されている。
 表紙は銀色の地に金色で『絵入源氏』の絵(右上から「総角」の2場面・「浮舟」・「若紫」・
「賢木」・「関屋」)が描かれている。

◯中国語訳(1996年)
 殷志俊 訳
 表紙は伊藤小坡『伊賀のつぼね』(猿田彦神社内 伊藤小坡美術館蔵)である。後醍醐天皇の妃である阿野廉子の御所に亡霊が出るとの噂が立ち、6月の夜に真偽を確かめるために、伊賀局が庭に出ている姿である。

◯中国語訳(1998年)
 林文月 訳
 主に『日本古典文学全集』を中国語に翻訳したものである。表紙は梵谷油畫局部によるあやめの絵である。

◯中国語訳(2001年)
 黄锋华 訳
「世界文学名著系列シリーズ」の1つで、表紙はボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』である。

◯中国語訳(2001年)
 豊子ト 訳
 与謝野晶子・谷崎潤一郎などが訳した『源氏物語』を中国語に翻訳したものと推測されている。
 表紙は徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「東屋一」である。

◯中国語訳(2001年)
 林文月 訳
 主に『日本古典文学全集』を中国語に翻訳したものである。表紙は画家の郭豫倫により、薄紫色の地に白色で葵の葉と思われる絵が描かれている。

◯中国語訳(2002年)
 梁春 訳
 表紙は上村松園『草子洗小町』である。

◯中国語訳(2002年)
 夏元清 訳
 表紙は衣冠束帯姿の男性と、おすべらかしを結った女性の絵である。

◯中国語訳(2004年)
 豊子ト 訳
 与謝野晶子・谷崎潤一郎などが訳した『源氏物語』を中国語に翻訳したものと推測されている。
 表の表紙は『絵入源氏』「宿木」巻で宇治の中君が月を見ている場面、裏表紙は同書の「紅葉賀」で光源氏が青海波を舞う場面である。

◯中国語訳(2006年)
 姚继中 訳
 表紙には銀色の地に赤紫色でタイトルと絵が描かれている。絵は土佐光吉・長次郎『源氏物語画帖』「夕顔」巻(京都国立博物館蔵)で、タイトルで顔が隠れているのが光源氏と見送りに出た中将の君、左下が六条御息所と思われる。

◯中国語訳(2006年)
 鄭民欽 訳
 底本に『日本古典文学大系』を用いた、古典からの翻訳である。表紙は「匂宮」巻かと思われる。

◯中国語訳(2008年)
 彭飛 等 訳
 田辺聖子『新源氏物語』を中国語に翻訳したものである。表紙は土佐光起『源氏物語図屏風』
「若紫」巻で、箱に入っているものに関しては外箱も同じ絵が使用されている。

◯中国語訳(2010年)
王烜 訳
 表の表紙は「若紫」巻で、裏表紙は「朝顔」の巻を加工したものである。

◯中国語訳(2010年)
 姚继中 訳
 表紙は徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「宿木二」である。

◯中国語訳(2010年)
 鄭民欽 訳
 底本に『日本古典文学大系』を用いた、古典からの翻訳である。表紙はひな人形の写真である。

◯中国語訳(2012年)
 康景成 訳
 1巻の表紙は徳川美術館蔵『源氏物語絵巻』「柏木三」(復元図)で、光源氏が生まれたばかりの薫を抱いている場面である。2巻は同絵巻の「蓬生」で光源氏が惟光と末摘花のいる常陸宮邸に行く場面である。
 
 

☆インド☆


◯アッサム語訳(インド・2005年)
 アトゥール・チャンドラ・ハジャリカ訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。表紙は青地にサヒタヤ・アカデミーのマークがついている。

◯ウルドゥー語訳(インド・1971年)
 サイド・エヘテシャーム・フサイン訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。本来の表紙は薄橙色に橙色でタイトルとサヒタヤアカデミーのマークが入っている。

◯オディアー語訳(インド・1984年)
 プラバーサ チャンドラ サタパティー訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。表紙は深緑色の地に、五島美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』「鈴虫二」で夕霧が笛を吹いている絵が貼り付けられている。

◯タミル語訳(インド・2002年)
 K.アッパドライ訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。紙は太陽と金閣寺を背景にした、近世風の男女の絵。この絵は歌川芳虎『都名所源氏合 金閣寺桜の遊覧』からの影響が感じられる。

◯テルグ語訳(インド・1962年)
 N. V. R. クリシュナマチャーリヤ訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。表紙は橙色の表紙に、和服を着た女性が立っている絵である。

◯パンジャービー語訳(インド・2001年)
 ジャジット・シン・アナンド訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。表紙は一楽亭栄水の『美人五節句』のうち『扇屋内さかき わかは』を加工したものである。

◯ヒンディ−語訳(インド・2000年)
 C.パンディ訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。表紙は『枕草子絵詞』第一段で中宮定子と対面する、妹の藤原原子(淑景舎)の姿をモデルに加工したもの。

◯マラヤーラム語訳(インド・2008年)
 P.Kイッパン訳
 サヒタヤ・アカデミーが企画した、アーサー・ウェーリーの重訳の1冊。表紙は、国際聚像館(広島県福山市の坂本デニム株式会社が創設した美術館)が所蔵する、『源氏物語挿絵貼屏風』(六曲一双)「初音」巻と類似した絵である。
 
 

☆韓国☆


◯韓国語訳(1999年)
 田溶新 訳
 底本に『日本古典文学全集』を用いた古典からの翻訳である。表紙に、『源氏物語』「須磨」の場面を描いた植村佳菜子の画・伊藤鉄也所蔵の源氏絵を切り抜いて反転したものを配している。

◯韓国語訳(2007年)
 金蘭周 訳
 瀬戸内寂聴『源氏物語』を韓国語訳したものである。全10巻の表表紙は石踊達哉の絵、裏表紙は『源氏物語扇面散屏風』が使用されている。

◯韓国語訳(2014年)
 李美淑 訳
 底本に『日本古典文学全集』を用いた古典からの翻訳である。翻訳だけでなく、『源氏物語』や平安時代を理解するための基礎知識と、「桐壺」〜「花宴」までの内容の解説も掲載されている。
表紙は藤原為相筆『源氏物語古系図断簡』(東北大学蔵)である。

◯韓国語訳(2015年、2016年)
 朴光華 訳
 底本は『日本古典文学全集』(小学館、1989年第25版及び1970年初版)を用い、古典からの翻訳をしている。『源氏物語』の本文に韓国語訳と韓国語での注釈をつけている。「桐壺」巻が2015年、「夕顔」巻が2016年に出版されている。表紙は黒地に白字と赤字でタイトルが書かれている。



 この展示に関するポスターが、今日から大学の近くにある熊取駅の構内に掲示してあります。大学からの帰りに、いつもの日根野駅には向かわず、20年前に通っていた熊取駅への道をたどりました。まったく、不思議なほどに道々の風景に記憶がありません。それだけ、この地域が様変わりしたのです。

 駅の構内にある「くまとりギャラリー」に、翻訳本の展示を知らせるポスターが、2枚をつなげて掲示してありました。事務の方がいろいろと配慮をしてくださったおかげで、こうして実現したのです。ありがとうございました。

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 次は、隣の日根野駅に掲示される日を心待ちにしています。
 さらに今後は、天王寺駅・関西空港駅・和歌山駅などにも掲示していただきます。
 このポスターが、一人でも多くの方の目に留まり、日本文学と翻訳本との出会いの場になればと願っています。
 
 
 
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2017年05月28日

円卓を使ったお茶のお稽古

 平群の山は新緑に包まれています。日差しが強くなったので、帽子を被って山を登ります。平群谷では、田植えが始まりました。

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 先週に続き、お茶のお稽古に来ました。今日は円卓(まるじょく)を使ったお手前です。
 最初は正座でした。しかし、今日もまだ足が痛いので、無理はしないようにとの先生の言葉を受けて、胡座でのお稽古です。
 円卓を使ったお手前は1年近くも前のことなので、すっかり忘れています。しかも、そのやり方がいく通りもあるようです。
 我が家にお客様がいらっしゃった時には、この円卓を使うようにしています。もっとも、東京を引き上げることでその余裕がなかったために、なかなかその機会はありませんでしたが。
 丸卓を使うと、目の前にいくつか道具が置かれているので、いかにもという雰囲気になります。私も出入りが少なくてすむので、気を使ってもらうことなくお客様と話に集中できることもあり、これは気に入っています。
 今日も、思い出しながら、言われながらの、ぎこちないものです。しかし、これはとにかく習得したいお手前なのです。やる気はあるのに身体がついて来ない有り様なので、回数を重ねるしかありません。
 また来週も足を運びます。
 
 
 
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2017年05月27日

もう一枚の翻訳本『源氏物語』の展示ポスター[楽しいバージョン]

 過日、大阪観光大学で【[ミニ展示]世界中の言語に翻訳された『源氏物語』】を開催していることを書きました。

「大阪観光大学で翻訳本『源氏物語』の表紙絵を楽しむ」(2017年05月09日)

 その後、宣伝用のポスターができたので、その紹介をしました。

「翻訳本のミニ展示会のポスターができました」(2017年05月18日)

 さらにこのたび、宣伝用のポスターで[楽しいバージョン]が出来上がりましたので、ここで紹介します。これも、「オフィス ティ」でデザイナーとして活躍中の、塔下宣子さんの作品です。
 学生さんには、こちらも好評です。



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 身近に、このような翻訳本に興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、「こんな催しが」と宣伝していただけると幸いです。
 配布用のポスターがきれいにプリントできるように、前回のものもスナップ写真ではなく、印刷用の写真として掲載します。



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 また、翻訳本を持参して、原本を触ってもらいながらの出前の解説会もいたします。
 これまでに、国文学研究資料館はもとより、昭和女子大学の文化祭を初めとして、中部大学と就実大学で実施したことは、以下のブログに報告した通りです。

[中部大学]「愛知県春日井市の中部大学でお話をしてきました」(2013年12月18日)
 
[国文学研究資料館]「ミニ展示《さまざまな言語に翻訳された『源氏物語』》-2015-」(2015年09月08日)
 
[就実大学]「岡山の就実大学で「世界中の33言語で読める源氏物語」という話をしました」(2016年11月26日)

 何かのイベントの一つとして、私が収集した翻訳本がお役にたつようでしたら、ご一報いただければその実現について検討いたします。

 今後は、手持ちの翻訳本を整理し、大阪観光大学の図書館を展示会場として、月替わりでミニ展示を続ける予定です。

6月【中国・韓国・インドで翻訳された『源氏物語』】
7月・8月【ヨーロッパで翻訳された『源氏物語』】
9月【海外で翻訳された平安文学】
10月【海外で翻訳された中世・近世文学】
11月【海外で翻訳された近代文学】
12月【海外で翻訳された現代文学】

 今秋以降に予定している近代・現代文学の翻訳本は、実数すらわからないほど膨大な量が刊行されています。私の手元にあるのは、ほんの一部にすぎません。
 現在、大阪観光大学の図書館の一画に、日本文学に関する翻訳本のライブラリを設けるための準備を進めています。もしみなさまのお手元に、重複していたりご不要の翻訳本がありましたら、大阪観光大学に寄贈していただけると幸いです。また、翻訳者と連絡がつくようでしたら、著者編者からの寄贈を待ち望んでいることをお伝えいただけるとありがたく思います。寄贈していただいたご本は、寄贈者のお名前も書誌情報に明記し、大切に大学図書館の蔵書として管理していきます。ご一報いただけると、送り先などをお知らせします。1冊でも2冊でも結構です。本ブログのコメント欄を利用して、遠慮なくお問い合わせください。

 なお来年以降は、これまでの展示が表紙絵だけだったので、次は翻訳本の冒頭部分を拡げて、翻訳文そのものを見てもらうつもりです。これについては、少し古いものながら『総研大ジャーナル 第15号』(2009年)に、その一部を掲載しました。これに、もう少し詳しい説明を付けて、展示を構成したいと思っています。
 これに関しても、いろいろとご教示いただけると幸いです。

『総研大ジャーナル 第15号』に掲載した翻訳本の冒頭一覧
 
 
 

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2017年05月26日

科研(A)の成果は「海外源氏情報」から[海外平安文学情報]へ

 科研費による基盤研究(A)で、平成25年度から28年度までに私が研究代表者となって取り組んで来た課題は、「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」(課題番号︰25244012)でした。そして、その研究概要と調査報告および研究成果を、「海外源氏情報」(科研HP)というホームページから公開してきました。

 そのホームページに不具合が見つかったのは、最終年度の最終日でした。あれから、まだ2ヶ月も経っていません。そのことについては、本ブログで報告し、その対処を提示してきました。
 まだ、この件でのお問い合わせが続いているので、現在の状況と今後について、ここに記しておきます。

 まず、ホームページ「海外源氏情報」において判明したいくつかの問題点は、その対処を本ブログにおける次の記事で報告しています。
 
「2つのホームページの不具合に関するお詫び」(2017年04月26日)
 
「ダウンロード版『海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016』の再公開」(2017年05月01日)
 
「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル vol.1〜vol.6』の再公開」(2017年05月02日)
 
「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル Vol.3 & Vol.6』の分割公開」(2017年05月04日)
 
「ダウンロード版『日本古典文学翻訳事典 1・2』のお詫びと再公開」(2017年05月25日)
 
 また、ホームページ「海外源氏情報」の画面に表示される文字列は、画面がロックされているために、コピー&ペーストができません。これは、公開している情報を引用してくださるみなさまには大変ご不便をおかけしているようで、恐縮しています。
 上記の、ダウンロードができないことと画面のロック以外については、特にこれ以上の不具合は確認していません。
 もしまだ何か問題があるようでしたら、ご教示いただけると幸いです。

 「海外源氏情報」については、先月4月1日以降は修復も含めて、まったく何も手を付けていません。問題の所在が不明確にならないようにするため、専門家からアドバイスをいただいての対処です。

 今後は、この「海外源氏情報」を通して公開してきたデータのすべてを、今年度から4年計画で新しく始まった科研(A)「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)に取り込み、近日中に新たに立ち上げるホームページ[海外平安文学情報]に移行します。
 現在の「海外源氏情報」で発生している不具合は、新ホームページ[海外平安文学情報]に移行を終えたら、その段階で役割を終えることにします。

 現在は、新ホームページのデザイン(案)を検討しているところです。
 この画面は、その一部が動きますので、完成型を楽しみにお待ちください。

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 この入れ物に、これまでの情報のすべてと、これからの情報を盛り込むために、今は新築と引っ越しの作業で、慌ただしく立ち回っているところです。
 新しくお披露目するホームページ[海外平安文学情報]は、もう少しお待ちください。
 
 
 

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2017年05月25日

ダウンロード版『日本古典文学翻訳事典 1・2』のお詫びと再公開

 本年3月まで取り組んでいた科研(A)のホームページ「海外源氏情報」(http://genjiito.org)では、そこから公開していたオンライン版の冊子が、4月以降はまったくダウンロードできなくなっていました。そこで、以下のように本ブログから入手できるように対処しました。

(1)「ダウンロード版『海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016』の再公開」(2017年05月01日)
 
(2)「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル vol.1〜vol.6』の再公開」(2017年05月02日)
 
(3)「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル Vol.3 & Vol.6』の分割公開」(2017年05月04日)
 
 その後、『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』(伊藤鉄也編、2014年、319頁)と『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』(伊藤鉄也編、2016年、259頁)についても、ダウンロードできなくなっていることのご指摘を、何人もの方々からいただきました。これは、4月以降もダウンロードしていただけていると私が思い込んでいたものであり、不具合に気付いていませんでした。申し訳ございませんでした。
 そこで、これも急遽、このブログからダウンロードできるように、以下の通り対処いたしました。
 ここに転載したダウンロード版『日本古典文学翻訳事典 1・2』の内容は、これまで公開していたオンライン版と、まったく同じです。
 本年3月末から、一連の成果物がダウンロードができなくなっていることについては、多くの方々にご心配とご迷惑をおかけしています。この不具合の対処は、いまだに対応できない状況にあります。その原因はほぼ特定できました。しかし、修復するスキルと経費のメドがたちません。今のところ私自身も打つ手がなく、困惑の中にいることをご理解いただけると幸いです。
 あくまでも暫定的ではあるものの、以下からダウンロードしていただくことで急場をしのぎたいと思います。
 いつまでも不具合を抱えたホームページに拘っていてもいけないので、新しいホームページを作成しつつあります。これまでの「海外源氏情報」で公開していた膨大なデータは、そのまま移行する準備を進めています。いましばらくお待ちください。
 
■ダウンロード版『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』【約 3 MB】 (2014年3月31日発刊・非売品)
 
■ダウンロード版『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』【約 8 MB】 (2016年12月22日発刊・非売品)
 
 
 
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2017年05月24日

読書雑記(200)須田寛『日本の観光 きのう・いま・あす 現場から見た観光論』

 今私は、観光とは何か、観光学とはどのような学問なのかが知りたくて、いろいろな入門書を読んでいます。観光に関する基本的な知識の習得と、観光を考える際の物の見方を学ぼうとしているところです。
 まだ、これは、と言える本との出会いがありません。

 『日本の観光 きのう・いま・あす 現場から見た観光論』(須田寛、交通新聞社新書107、2017年2月)を読みました。

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 新刊ということもあり、興味を持って手にしたものの、私の方に直面する問題意識がなかったせいか、退屈な本でした。
 この道で幅広い経験と実績を踏まえ、豊富な情報を提供する一書です。しかし、読んでいて話に引き込まれないのです。私が観光業について知らないからだと思いながら、読み進みました。
 記述されていること、語られていることに、あまり新鮮味を感じません。また、文章の途中に補足説明がカッコ付きで加えられています。これが結構多くて話がぶつぎれとなり、それでなくても漫然とした説明がカッコでさらに意味不明となります。もったいないことです。
 社会状況の説明と伝聞による話題が多いのも、中身が締まらず雑然としたお話に終始する原因のように思いました。
 著者は「はじめに」で、本書について次のように言っておられます。

 最近「観光立国」の声の高まりと共に様々な観光への取組みが急伸しつつある。このため観光関係の人材育成の必要から各地の大学等に観光学科・学部等が開設されるようになった。筆者もいくつかの大学で非常勤講師として観光の講義も担当している。「観光学」は比較的歴史の浅い学問であることもあって、参考文献がまだ少なく、授業のためにも、また筆者自身の学習のためにもやや物足りなさを感じていた。そこで観光の参考書を自分でもつくることを考えた。本書もそのひとつである。しかし、筆者は実務担当者であって学者ではないため、学間的な知見を整理するというより、自分の実務経験を振り返りそこから得た教訓等、筆者なりの観光への学習成果をまとめたものをつくるのが精一杯であったことをまず反省しなければならない。(2頁)
(中略)
 実務者からみた観光の今の動きを記述することから今後にむかって発展していく観光の姿を描く、いわば「動態観光論」ともいつべきものにまとめようとしたのが本書の目標でもある。(3頁)


 まさに本書は、教科書のような、事実の羅列なのです。利用目的によっては、重宝する本かと思われます。しかし、通読には適しません。コラムも補注にしかすぎず、気分転換になっていないのが惜しまれます。ただし、資料には啓発されるものがいくつもありました。もっと引用してある資料や図版の説明があれば、内容に関連付けて理解が深まったかと思われます。これは、情報が投げ出され、情報の垂れ流しとなっています。もったいないと思いました。
 なお、次の地名に関する観光との問題は、私の興味を惹きました。地名が持つ歴史と文化は、観光客のイメージ作りと密接に結びつくからです。このことを、もっとわかりやすく掘り下げていただきたかったところです。

地名にかかわる問題は他の観光地でも起こっている。修善寺・湯ヶ島・韮山・長岡等、伊豆の有名観光地の地名が広域地図から消えてしまったのである。広域地図では普通、市町名を○で示すだけになる。このため合併で生まれた「伊豆市」「伊豆の国市」という新市名の表示だけになったからである。このため観光客の間にとまどいを生じている。
 市町村合併後も従来の観光地名等有名な地名は何等かのかたちで表示する工夫が必要だ(○○市××地区というような表示方など)。
 このようなことも観光を”まもる”重要な施策ではなかろうか。(225頁)


 もう一例を。
 私が興味を持っている、観光と食に関する問題は、驚くほどピンボケな説明でした。この「食」の項目は問題点の掘り下げ方や視点が極めて浅薄なものとなっていて残念です。

新しい「食」の観光
 「食」は、これまでも観光を構成する重要なひとつの要素であった。しかし、どちらかといえば、観光に付帯するものが中心で、観光に行ったついでに、「食」(名物菓子等)を味わったりみやげ品として買うこと等が多かった。観光地で名物のいわゆる「うまいもの」を食べるということによって観光に付加価値を加える、いわばいろどりをそえるものでもあった。
(中略)
 「食」の観光にも二つの流れがある。
 第1は、「ストーリー型『食』の観光」である。食材の由来(ストーリー)を共有する地域間の連携による広域にわたる「食」の観光だ。例えば、旧軍港の兵食を「海軍グルメ」として情報発信した横須賀の「海軍カレー」、呉、舞鶴の「肉じゃが」、佐世保の「バーガー」(米軍に由来)では、それらが地域の食文化にまで成長、多くの新しい「食」を求める観光客で賑わうようになった。
 第2は、「食」の生産から販売までを総合観光資源とするものである。漁場見学(体験)から始まり、魚市場見学、ショッピング、魚料理の賞味、魚の食品加工工場の見学(一部体験)等を、一貫した「食」の観光とする学習型要素の強い「食」の観光が人気を集めている。富山の「ますのすし」が新幹線開業を機に、一段と注目を集める全国的な観光資源として知られているが、この「すし」は右記のような一貫観光に近い受入体制が導入されている。
 このように「食」の観光は従来の観光の付随的なものから独立した観光の分野となり、しかも、所によっては大規模な新しい総合観光資源となりつつある。(156〜158頁)


 著者が提唱されている「国際観光」の振興について、具体的にどのように実現するのかが、読者に問われていると言えます。ただし、繰り返しになることに煩を厭わずに書くと、話がどんどん飛躍するので、問題点の所在とその対処策が不明確でした。そのために、問題が提起されていても投げ出されたままなのです。
 平成18年12月に議員立法により成立し、平成19年1月より施行されている「観光立国推進基本法」についても、もっと丁寧な説明が聞きたいと思い続けながら、読み進みました。
 本書の最後の方に、次の記述があります。

 以上、外国人客を誇救し、さらに国際観光を発展させるには様々な課題解決に取組む必要があるが、その多くの課題はソフトの問題、即ち主としてこころの持ちようで解決できるものが多い。即ち外国人客をもてなしの心で温かく迎える姿勢をもつことがそれであろう。(244頁)


 この箇所には、「こころ」と「もてなしの心」に圏点が付けてあります。それにしても、この解決策は非常に漠然としています。「こころの持ちよう」と「もてなしの心で温かく迎える姿勢」で解決できると言うのです。それが一体何なのか、その具体的な解決策を知りたいのに、言い古された曖昧模糊としたことばでしめくくっておられます。「もてなし」とは、どのようなことを言おうとしておられるのか、その具体的に意味するものが語られないままに、このことばで閉じようとされます。
 私ははぐらかされた気持ちで、そのまま本を閉じました。【1】
 
 以下に、本書で私がチェックしたことを、備忘録として引用して列記しておきます。

 いまから二千年程前中国に『易経』という書物があった。中国の儒教の教えをまとめたものである。そのなかに「観国之光 利用賓于王」という言葉が出ている。日本語読みで訓読してみると「国の光を観るはもって王の賓たるに用いるによろし」となる。辞書等によるとこれが「観光」の語源だとされる。(8〜9頁、引用者注・これに続いてその意味を解説するくだりは、私にはその意味するところがよくわかりませんでした。)
 
 幕末日本がオランダに発注した洋式軍艦は「観光丸」(他の一隻は有名な「成臨丸」)と命名されたが、その名の通り開国後海外視察団や海外への留学生の渡航に使われた。まさに外国の「光」を心をこめて学ぶための船であった。極めつきは明治4年右大臣岩倉具視が国の命を受けて欧米の政治経済事情視察団長として海外に派遣されたときのことである。帰国後に帰朝報告書が国に提出され、それが内閣(太政官)から公刊された。図1-1のように表題が「観光」と大書されていることに注目したい。外国の「光」を観、かつ学んで来た報告書の題として国の刊行物に「観光」という言葉がその語源通りの正確な意味で使われている。(11頁)
 
 しかし当時(引用者注・『万葉集』の時代)の観光は高貴な人、富裕な人中心のものであった。このような限られた人の観光が一般市民も広く参加する大衆的な行動にひろがっていくのは室町時代以降とみられる。この時期から伊勢神宮への一般人の参詣が許されるようになった。また庶民の間で熊野詣も始まった。仏教の各地への普及に伴い寺院が各地に建立される。このような寺社への参詣旅行が庶民の観光への大きい動機となった。また各地で山が信仰対象となる山岳宗教も普及。この頃から登山の慣習も広がる。この当時の神仏詣等の観光は団体旅行が中心であったといわれる。(36頁)
 
 江戸時代はこのように日本の大衆観光定着の時代となった。当時幕府の政策で架橋を極端に制限したため、徒歩旅行(今様にいうなら街道観光)が観光の中心になった。河を渡る際には、馬車等の利用ができなかったためである。このため安い経費で誰でも簡単に参加できる観光が普及することになった。車等によらず徒歩による旅行が中心となった日本独特の観光形態の原点はこの時期に形成されたのである。(38頁)
 
 欧米諸国の例も参考に日本版ともいつべき法人組織の"DMO"(広域観光推進機構)を結成する動きが各地でみられるようになってきた。国も先の「観光圏」構想をさらに前進させるものとしてDMOの設立を積極的に支援する体制を整えることになった。DMOは、民間主導型で設立されることを予定しているが、その候補となり得るしくみ設立を地域団体等と地方自治体が連名で計画し、国に登録して出発することになる。そのうえで具体的事業推進について国の財政支援も受けるみちがひらかれた。既に全国で100以上の登録準備地域が名乗りをあげており、今後の「広域観光」推進のしくみの中核としての活動が期待されている。(236頁)

 
 
 

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2017年05月19日

やました氏のエスペラント訳『源氏物語』の最新情報

 やましたとしひろ氏が精力的に取り組んでおられる、エスペラント訳『源氏物語』に関して、最新情報が入りました。
 今回は、以下の5帖が追補となりました。

第14帖★澪標
第15帖★蓬生
第17帖★絵合
第18帖★松風
第19帖★薄雲



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 詳しくは、「エスペラントの世界」でご確認ください。
 やました氏は、着実に成果を公開なさっているので、これからの進捗がますます楽しみです。
 私はエスペラントはわかりません。しかし、こうしてさまざまな言語に『源氏物語』が翻訳されて行くことを、広くお知らせすることで後方支援をしています。
 
 
 
 

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2017年05月18日

翻訳本のミニ展示会のポスターができました

 過日お知らせした「翻訳本のミニ展示」(2017年05月09日)を開催していることを幅広く知っていただくために、宣伝用のポスターを作りました。


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 これは、デザイン会社の オフィス ティ でデザイナーとして活躍中の、塔下宣子さんの作品です。
 塔下さんは、大阪観光大学の前身である大阪明浄女子短期大学の卒業生で、私の教え子です。また、22年前に短大の中に創設した、当時は世界的にも最先端だと言われた、「マルチメディア部」と「ワールド・ワイド・リサーチクラブ」の主要メンバーでもありました。

 この度、縁あって、いろいろとデザイン面で助けてもらうことになりました。
 新規採択となった科研のホームページのデザインも、お願いしています。これも、出来あがりが楽しみです。もうしばらくお待ちください。
 
 
 

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2017年05月09日

大阪観光大学で翻訳本『源氏物語』の表紙絵を楽しむ

 本日より、大阪観光大学図書館3階の円形階段前で、『源氏物語』の翻訳本を展示しています。

 ささやかな展示です。しかし、なかなか見ることのできない世界各国の多言語翻訳の『源氏物語』が、これだけまとまって居並ぶのは壮観です。

 タイトルは、【[ミニ展示] 世界中の言語に翻訳された『源氏物語』】です。

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 右側のケースにアジアで刊行された本を、左側のケースに欧米で刊行された本を選りすぐって並べました。

 アジア他〔アラビア・韓国・タイ・タミル・パンジャビ・モンゴル〕

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 欧米〔イタリア・英国・クロアチア・スペイン・スロベニア・ハンガリー・フランス・米国・ポルトガル〕

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 表紙の多様さを楽しんでいただくことが、今回の展示のテーマです。日本古典文学の代表作である『源氏物語』を、文化の国際交流という視点で実見していただけたら幸いです。

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 来月からは、【[ミニ展示] 中国・韓国・インドで翻訳された『源氏物語』】という特集を準備しています。
 その後は、【[ミニ展示] ヨーロッパで翻訳された『源氏物語』】、【[ミニ展示] 海外で翻訳された平安文学】と続きます。

 この展示は、昨年度まで4年間にわたって取り組んでいた、日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(A)「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」(課題番号:25244012、研究代表者︰伊藤鉄也)の研究成果の一部です。
 
 
 
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2017年05月04日

オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル Vol.3 & Vol.6』の分割公開

 過日の「オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル vol.1〜vol.6』の再公開」(2017年05月02日)では、第3号と第6号が、ファイル容量がサーバーの許容範囲を超えたために、アップロードできませんでした。
 大容量のPDFファイルをうまくダウンロードできるような工夫を考えているうちに、時間ばかりが経ちます。とにかく、1日も早く読んでいただくために、原始的ながら、それぞれの号を手作業でいくつかに分割することにしました。今回は、手近なところで Macintosh の「プレビュー」を使っています。
 手間をおかけします。適宜ダウンロードしてお読みください。ツールをお持ちの方は、ダウンロードの後に結合してください。
 もし不具合が発生するようでしたら、コメント欄をつかって教えてください。
 

『海外平安文学研究ジャーナル Vol 3.0』(オンライジャーナル)

【1】本体(表紙〜116頁)
   (150930_Journal_3-1-main.pdf)[3.1MB]

【2】付録・スペイン語訳(117〜150頁)
   (150930_Journal_3-2-Spain.pdf)[23.9MB]

【3】付録・イタリア語訳(151頁〜奥付)
   (150930_Journal_3-3-Italia.pdf)[10.5MB]


『海外平安文学研究ジャーナル Vol 6.0』(オンラインジャーナル)

【1】本体(表紙〜102頁)
   (170329_Journal_6-1-main.pdf)[3.3MB]

【2】付録・「桐壺」翻訳(103〜155頁)
   (170329_Journal_6-2-kiritsubo.pdf)[22.3MB]

【3】(156〜218頁)付録・「若紫」翻訳《イタリア語・ロシア語》
   (170329_Journal_6-3-waka1-.pdf)[22.9MB]

【4】付録・「若紫」翻訳《ヒンディー語・ウルドゥー語》/『十帖源氏』(219頁〜奥付)
   (170329_Journal_6-4-waka2.pdf)[14.4MB]
 
 
 

posted by genjiito at 20:04| Comment(0) | ◆国際交流

2017年05月02日

オンライン版『海外平安文学研究ジャーナル vol.1〜vol.6』の再公開

 昨日に続き、ダウンロードできなくなっている『海外平安文学研究ジャーナル』の第1号から第6号までを、このブログを通してダウンロードできるようにしました。
 ただし、残念ながら第3号と第6号は、本ブログの制限容量である25MBを超えるため現在その方法を検討中です。しばらくお待ちください。

 中でも、第6号は公開した翌日からダウンロードできなくなったようなので、これを読まれた方はいらっしゃらないと思われます。これは 60メガバイトを超える容量なので、今日の時点ではダウンロードをしていただけません。第3号も同じ理由で、ここでは保留しています。
 どなたか、この37メガと62メガのPDFをダウンロードできるような方法を御存知の方がいらっしゃったら、ご教示いただけると幸いです。

 第1・2・4・5号は、すでにダウンロードしてお読みになった方は多いようです。昨秋まで公開していたものと同じものです。

→以下の雑誌名をクリックするとダウンロード後にお手元の画面に誌面が表示されます。
 この報告書を保存したい方は、お使いのブラウザの機能で行なってください。

1『海外平安文学研究ジャーナル vol. 1.0』【約 1.5 MB】(2014/11/26 発行)


2『海外平安文学研究ジャーナル vol. 2.0』【約 2.0 MB】(2015/03/11 発行)


3『海外平安文学研究ジャーナル vol. 3.0』【約 37.0 MB】(2015/09/30 発行)
《本ブログの制限容量である25MBを超えるため現在その方法を検討中です》


4『海外平安文学研究ジャーナル vol. 4.0』【約 21.8 MB】(2016/03/30 発行)


5『海外平安文学研究ジャーナル vol. 5.0』【約 11.6 MB】(2016/09/21 発行)


6[最新刊]『海外平安文学研究ジャーナル vol. 6.0』【約 62.3 MB】(2017/03/30 発行)
《本ブログの制限容量である25MBを超えるため現在その方法を検討中です》
 
 
 
posted by genjiito at 23:50| Comment(0) | ◆国際交流

2017年05月01日

ダウンロード版『海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016』の再公開

 過日、本ブログの「2つのホームページの不具合に関するお詫び」(2017年04月26日)で、『海外平安文学研究ジャーナル』がダウンロードできない状況にあることを記しました。

 いまだ解決のメドが立たないので、このブログを通してダウンロードできるようにいたします。
 特に要望の多かった、『海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016』(2017/3/31 発行)から始めます。今回アップロードするPDFファイルの容量は、約20メガバイトです。ご自分のコンピュータ機器の環境をご確認の上、本記事の末尾の誌名をクリックしてダウンロードをした後、保存などの対処をしてください。

 この報告書は、残念なことに関係者数人以外は、公開した日以降はどなたも読めない状況下にありました。編集に関わった者としては、忸怩たる思いでいました。執筆及び編集に多大の労力を注いでくださった諸先生方および関係する方々には、本当に申し訳なく、そしてそこに至るまでのご労苦にありがたい感謝の思いでいました。長くお待ちいただいている方々にも、本当に申しわけありませんでした。

 現在は、「海外源氏情報」(科研HP)のリニューアル版の作成に着手しています。今月末までには、不十分ではあっても、何とか形にして公開したいと思っています。
 いましばらくの猶予をいただきたいと思います。

→以下の雑誌名をクリックするとダウンロード後にお手元の画面に誌面が表示されます。
 この報告書を保存したい方は、お使いのブラウザの機能で行なってください。

■ダウンロード版『海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016』【約 20 MB】(2017/3/31 発行)
 
 
 

posted by genjiito at 22:06| Comment(0) | ◆国際交流

2017年04月27日

「ニューツーリズム地域活性化研究会」に参加して

 大阪観光大学の観光学研究所が主催する「第1回 ニューツーリズム地域活性化研究会」が、明浄3号館2階国際交流サロンで開催されました。初めて参加しました。

 「健康・スポーツツーリズムによる地域活性化を考える ―ニューツーリズムの観光推進―」というテーマで、地域活性化につながる情報を共有することを念頭に実施するものだ、とのことです。
 以下、案内状の文章を引用します。

 観光学研究所では、いろいろなセミナー・シンポジウムを実施してまいりましたが、少し掘り下げて地域活性化につながる情報を共有させていただくことを念頭に実施いたします。

 この研究会は、観光、特にニューツーリズムによる地域活性化やまちづくりの推進に研究や事例を通して貢献することを目的としています。

 1回目として、「健康・スポーツツーリズムによる地域活性化」を取り上げます。泉州地域においても多くの市町がウォーキングやマラソンをはじめいろいろなイベントを開催しております。

 マラソン大会は年間1000を超えており、全国各地で行われています。なぜ、それだけ数が多いのでしょうか。まさに、「ニューツーリズムは競争相手にもなるが共存も出来る」ということになります。同じ志を持った人が集まる可能性が高いニューツーリズムはコミュニティーを形成しやすく、ネットワークも広がりやすいといわれています。健康志向、オリンピックに向けての運動需要の高まりも背景にあると思います。

 今回は、健康・スポーツのイベントの成功事例を旅行会社の視点からお話いただきます。また、九州で外国人誘客に力を発揮している「九州オルレ」の事例も紹介させていただき、マーケットが広がっている事例をお話させていただきます。


 今回は、次の2つの事例報告がありました。

事例1.
「阪南市の事例ー旅行会社を活用した新たな地域の魅力の掘り起こし」
 近畿日本ツーリスト株式会社
  和歌山支店次長 佐々木康敏氏


 移住の勧めを意図しているイベントだったようです。
 ネットで200名、電話FAXが100名の申し込みがあり、60代が多かったとか。みなさん元気です。満足度が高いイベントとなっているようです。食に関しては、参加者から好評だったようです。
 成功事例には学ぶことが多い、という考えでの発表会でした。
 若者の参加率が高くて3割以上だったので、今後とも継続が期待できる、とおっしゃっていました。今後の課題も聞きたいところでした。

事例2.
「九州オルレの成功事例紹介とニューツーリズムの特徴について」
 大阪観光大学教授 辻本千春


 韓国で始まったオルレの日本版(九州)の事例報告でした。オルレとは、地図を片手にリボンや標識を頼りに経巡り歩く旅です。自分のペースで楽しむウォーキングなのです。自然を肌身に感じて、地図を片手にではないウォーキングとして、最近人気があるようです。今後とも、広がるのでしょうか。日本では、何々トレイルとして実施されているものにイメージが近いと思いました。
 初めて話を聞いた者としては、なぜ韓国由来の「オルレ」なのかな、という感想を持ちました。巡礼やお遍路のバリエーションだと思うと、日本の文化と結びついたイベントとしてお色直しをして育ちそうな気がします。

 この後、質疑応答と自由討論が行われました。この意見の交歓も楽しいものでした。
 午後6時から8時まで、たっぷりとお話を伺いました。私にとっては、まさに異文化体験です。新しい学問に、いい刺激を受けています。
 
 
 
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2017年04月25日

空を飛ぶ4輪のキャリーバッグ

 バスの中で、大きな4輪のキャリーバッグが飛んでいくところを見ました。

 私の隣に座っておられた観光客の方のキャリーバッグが、突然バスの中ほどから前に向かって動き出し、少し助走してから浮き上がったまま真っ直ぐに宙を飛び、運転席と前の降車ドアにぶつかりました。ちょうど停留所に留まろうとした時でした。その大きなバッグの持ち主は海外からお越しの方で、京都の観光案内図を広げておられたので、バッグを握っていた手が離れたのでしょう。
 幸い、乗客もバッグも車内も、大事には至りませんでした。前に誰かいたらどうなったことかと、怖いことを想像しました。バスの中では、これまでにもこうした場面に出くわしています。

 以前、地下鉄のホームから線路に、キャリーバッグがコロコロと転がって落ちるのも見ました。電車のホームは、線路側に緩く傾いているようです。
 新幹線の中でも、あの狭い通路を巧みに自走するキャリーバッグを見ました。居眠りしておられた持ち主は、他の乗客の方にバッグを渡されるまで、まったく気づいておられませんでした。

 何度か目の前を飛んでいったり、勝手に走って行くキャリーバッグを見ました。しかし、それが大きな事故につながった場面は知りません。しかし、間一髪の危険なシーンは、たくさんあります。

 今回のバスの場合、運転手さんは会社にこのことを報告なさるのでしょうか。
 全国では、キャリーバッグの暴走により、いろいろな事故も起こっているかと思われます。この4輪のキャリーバッグが、手を放すと自走していくことに対する対策なり注意の喚起は、観光立国を目指す日本が抱える問題として、意識してもいいのではないでしょうか。
 すでに、動きがあるに違いありません。しかし、私の生活圏ではその兆候は見られません。

 私は、2輪車のキャリーバッグは長く引きずるので、人混みの中では迷惑になることから使わないようになりました。しかし、4輪のキャリーバッグは、迷惑以上に大きな事故に直結します。4輪の場合、キャスターのロックができる製品は、少し大きめのバッグでないと付いていません。また、付いていても、急ブレーキには対応できていません。
 これから新緑の季節となり、ゴールデンウイークが始まります。何かいい対策はないものでしょうか。

 キャリーバッグに関しては、最近のものでは以下の2つの記事を書いています。
 参考までに、関連情報のメモとして残しておきます。

「キャリーバッグのキャスターが壊れる」(2017年03月11日)

「最適な4輪式キャリーバッグとの出会いと点字ブロックの今後」(2016年10月16日)
 
 
 

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2017年04月20日

新規科研の開始にあたって5(平成29年度の研究計画)

 新規採択(内定)となった科研A「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」の、平成29年度に実施を予定している研究計画は以下の通りです。

 初年度は、今後4年間の準備と展望の確認を行ないます。最初に手がけるのは、翻訳文献資料の調査収集と各国語訳を日本語に訳し戻すことです。

 まず、海外で刊行された文献資料を再確認することから。これは、これまでの成果としてウエブに公開している『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』と『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』を基本情報として、さらに調査を進めることになるものです。訳し戻しについては、すでに着手済みの『源氏物語』に加えて、『古今和歌集』『伊勢物語』『宇津保物語』『蜻蛉日記』『枕草子』等の諸作品を対象とします。日本人研究者と、翻訳された現地の研究者との双方での共同作業です。

 『十帖源氏』の多言語翻訳については、すでに着手している第1巻「桐壺」と第5巻「若紫」に続き、第12巻「須磨」と第13巻「明石」を開始します。『源氏物語』は54巻あり、これはほんの一部にしかすぎません。しかし、ここで作成される多言語翻訳の成果は、今後の全巻翻訳のための基盤構築となるものです。

 「第1回 国際日本文学研究交流集会」は大阪で開催します。テーマは「海外で翻訳された平安文学の諸相」。これは、これまでの成果を踏まえて、今後の展開を見据えたものです。

 本科研に関わるメンバー内では、年間数回の情報と意見を交換する会合を持ち、研究と成果を討議していきます。その内の1回は、外部の研究者に向けての公開研究会とし、海外からゲストを招いて実施する予定です。

 たとえ思うような成果がまとまらない事態が生じたとしても、ここで構築をめざしている各種情報の総整理に対する視点と、そこから生み出されたデータは生き続けます。これまでに蓄積し、データベースとして公開している成果が、今回の申請課題を下支えしてくれることでしょう。日本古典文学を世界に広め、相互理解を深める上において、貴重な研究情報の公開となり成果となるはずです。

 こうした内容についても、興味と関心をお持ちの方からの連絡をお待ちしています。
 
 
 

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2017年04月19日

新規科研の開始にあたって4(おおよその研究計画とその方法)

 新規採択(内定)となった科研A「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」の、研究計画とその方法をまとめておきます。

 まず、研究目的を達成するための研究計画と方法についてです。

 本課題では、世界各国における日本古典文学に関する実態調査(研究機関・研究者・研究成果・翻訳書等)に基づき、受容と研究の歴史を総合的に整理します。それと共に、『十帖源氏』の多言語翻訳と研究を踏まえて、日本文化の海外における変容を共同研究のテーマとして取り組みます。これらは、インターネットを活用したコラボレーションと、毎年実施する国際日本文学研究交流集会で確認して推進していくことになります。
 具体的には、調査・研究・翻訳・公開に関する活動を通して、情報交換をする中で研究成果を集約していきます。

 本応募課題による調査研究は、次の3群で構成しました。

1.翻訳から見た日本文化の変容
 各国の平安文学に関する翻訳書を整理し、それを日本語に訳し戻して基礎資料とする。
 翻訳を通して、日本文化が変容して伝えられていく諸相と実態を確認する。

2.『十帖源氏』の翻訳と研究
 日本側で作成した平易な現代語訳を活用して各国語で翻訳を進める。
 各国語の翻訳の訳し戻しを基礎資料として共同討議を行なう。

3.共同研究基盤の整備
 ホームページ「海外源氏情報」や電子版『海外平安文学研究ジャーナル』等のメディアを活用して、情報公開と共同研究を推進する。


 この3群を4年間にわたって推進する過程で、海外の研究者との情報交換を密にし、恒常的な人的ネットワークを構築するのです。これは、今後につながる人的な資源の継承であり、ここに集まる情報は貴重な資産になるはずです。
 また、スペインとインドで開催する国際日本文学研究交流集会における講演・シンポジウム・研究発表の成果は、ウェブを通して情報を公開し共有します。
 この計画を着実に実現するために、次の細目を4年間で実施する予定です。

(1)【調査活動】
 研究論文と翻訳書を調査し収集整理
 コラボレーションを通して基礎資料を作成
 海外における受容と研究の諸相をまとめる

(2)【研究活動】
 翻訳における日本文化の変容
  1.海外で翻訳された平安文学を日本語に訳し戻す
   『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』と『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』(平成28年12月刊行予定)で確認済みの、各種言語で翻訳されているものを対象とする
  2.翻訳の訳し戻しから日本文化の各国における移し替えの実態を研究する

(3)【翻訳活動】
 各国語への翻訳を通して日本文学への理解と若手研究者の育成
  1.『十帖源氏』の多言語翻訳は各国の翻訳技術の向上が期待できる
  2.翻訳対象言語:英語・中国語・タイ語・インド諸言語(8言語)・イタリア語・スペイン語等
  (すでに完成させた現代語訳を、各国の研究者・翻訳家の支援のもとに翻訳)

(4)【情報交換】
 研究者ネットワークの形成
  1.研究者間のネットワークを形成するために調査と情報整理
  2.海外での新世代である学生たちとの情報交換

(5)【成果発表】
 研究発表および講演・シンポジウムの開催とウェブ公開
  1.国際日本文学研究交流集会で研究発表の場所と課題を提供し若手を育成
  2.研究情報や成果はホームページを活用して発信し共同研究態勢を構築
  3.研究成果は電子ジャーナル(毎年度発行)で公開発表


 以上の3群5項目を展開することで、昨年度まで取り組んできた「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」(科研番号︰25244012)をさらに発展的に拡大した、調査研究及び成果の公開を目指していきます。

 こうした研究テーマに興味と関心をお持ちの方の参加を待ち望んでいます。
 このブログのコメント欄等を通して連絡をいただければ、折り返しお知らせなどをお届けします。
 さまざまな角度からのご意見をいただけることを、前年度までと同様に楽しみにしています。
 
 
 

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2017年04月12日

新規科研の開始にあたって3(学術的な特色・独創性・成果・意義)

 今年度から新規採択(内定)となった科研A「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」の、学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義についてまとめておきます。

 この研究課題は、海外における日本文学研究に関して、英語のみならず、各種言語で公表されたものに対応するのが特徴です。そして、外国語訳等を日本語に置き換え、その訳し戻した情報や資料を活用して研究を推進するものです。多言語情報を日本語で一元化し、多角的に考察する環境を提供しようと思います。
 このことにより、外国語という障壁が軽減され、日本語を母語とする研究者が多言語翻訳された環境を共有し、海外の方々と一緒に考える場に参加できるようになるのです。

 基礎情報であるはずの日本文学研究関連の情報の整備が、現状では海外の部分が大きく欠落しています。本課題は、平安文学を中心とする海外の日本文学研究の情報を再構築し、さらに発展させて文化を共有する資源とする意義を持っています。
 また、これまでに構築した情報をデータベース化して公開しているホームページ「海外源氏情報」と、研究成果の発信母体となる電子版『海外平安文学研究ジャーナル』が、さらに発展して広く平安文学を対象として有機的な活用がなされることが期待できます。

 ここでは、新たな気持ちでスタートを切ろうとしている時点での、その意義を確認しておくしだいです。
 (つづく)
 
 
 

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2017年04月07日

新規科研の開始にあたって2(翻訳文献と関係論文の点数と到達目標)

 新規に採択された科研に着手する前に、これまでに「海外源氏情報」(科研HP)で公開している翻訳文献と翻訳関係論文の点数や到達目標をまとめておきます。

 ホームページで公開している翻訳文献は『源氏物語』が290点・平安文学が581点、翻訳関係論文は『源氏物語』を含む平安文学が514点、翻訳以外の関係論文は716点です(2017年4月7日現在)。

 こうした状況を基礎的な情報として、新科研の研究期間である4年間に取り組み解明する目標は、次の3点を考えています。

1. 世界各国で翻訳されている平安文学の総合的調査を実施し、各国の受容史と研究史を整理
(ホームページ「海外源氏情報」で情報の収集と公開)

2. 江戸時代の簡約版『十帖源氏』を多国語翻訳し、日本文化の変容と理解について共同研究
(電子版『海外平安文学研究ジャーナル Vol7』以降で成果を掲載)

3. ホームページや電子ジャーナル等のメディアを活用して、研究者が情報交換をする場所を提供
(上記メディアに加えて、スペインとインドで国際日本文学研究交流集会を開催予定)


 いずれも、海外の研究者と共同研究を進め情報を共有することで、具体的な成果物としての刊行及びウェブ公開に結実させることとなります。そして、これらをまとめる過程で、研究者のネットワークの形成も果たしていきたいと思っています。

 多くの方々が、このコラボレーションに参加されることを心待ちにしています。
 
 
 

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2017年04月06日

新規科研の開始にあたって1(翻訳された『源氏物語』の言語数)

 先月で終了した科研(基盤研究A)「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」は、平成25年度から28年度までの4年間にわたって取り組んで来たものです。新たに平成29年度から始まる4年間は、『源氏物語』を中心としてきたことから平安文学へと対象を拡げます。テーマは「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」です。
 今月から新課題でスタートするにあたり、これまでの基本的な事項を、あらためて確認しておきます。

 まず、『源氏物語』が何種類の言語で翻訳されているか、ということです。
 現在、私の手元に集まっている情報によると、以下の33種類が確認できています。

【『源氏物語』が翻訳されている33種類の言語】
アッサム語・アラビア語・イタリア語・ウルドゥー語・英語・エスペラント・オランダ語・オディア語・クロアチア語・スウェーデン語・スペイン語・スロベニア語・セルビア語・タミール語・チェコ語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・テルグ語・ドイツ語・トルコ語・現代日本語・ハンガリー語・韓国語・パンジャービー語・ヒンディー語・フィンランド語・フランス語・ベトナム語・ポルトガル語・マラヤーラム語・モンゴル語・リトアニア語・ロシア語


 このことを踏まえて、海外における平安文学の研究状況の情報を収集し、これまでわかっていることと共に整理をし、分析を加えることになります。

 また、平安文学の多言語翻訳についても、『源氏物語』を参考にしながら取り組んでいきます。

 上記33言語に関連して、以下の言語に関する情報が集まっていないので、この言語について調査を始めたいと思います。
 具体的には、東南アジアだけで見ても、次の言語の『源氏物語』の翻訳がありません。これらの言語の翻訳状況の調査から始めたいと思っています。例えば、『あさきゆめみし』のタイ語訳版は手元にあります。しかし、物語本文の翻訳はまだないのです。
 こうしたことに関して、情報提供や資料の所在などのご協力をお待ちしています。

インドネシア語、カンボジア語、シンガポール語、タイ語、フィリピン語、ブルネイ語、マレーシア語、ミャンマー語、ラオス語

 
 
 
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2017年04月05日

今年度の科研で「海外の平安文学」が採択(内定)となりました

 昨秋、定年退職間際に申請した、平成29年度の科学研究費補助金の審査結果が、幸運にも採択(内定)となりました。
 国文学研究資料館を所属機関とする申請でした。しかし、今月から所属が大阪観光大学に異動となったので、これから転出と転入の手続きをします。

 申請分野は基盤研究(A)なので、個人研究としては大きな種目です。次の「申請課題」で、4年間の調査研究に挑みます。
「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」

 「研究目的」は、以下の通りです。
 本申請課題は、日本で平安時代の文学を研究する者が中心となり、海外の研究者と協力して実現するものである。海外での平安文学における研究情報の総合的な調査を踏まえ、その日本古典文学の受容と研究の歴史を総整理することをめざす。
 また、江戸時代のダイジェスト版『源氏物語』である『十帖源氏』の多国語翻訳をとおして、日本文化が変容して海外に伝えられていく様子と文化理解についての共同研究も展開する。
 こうした活動と成果は、情報交換を目的とするホームページ「海外源氏情報」(http://genjiito.org)と電子版『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN:2188-8035)を媒介として、研究者間の交流の場へと展開していくものに育て上げる。

 先月末まで、がむしゃらに取り組んでいた基盤研究(A)の「海外源氏情報」を、さらに拡大して「海外の平安文学」に展開することとなります。
 海外の『源氏物語』に関する研究課題は、予想をはるかに超える成果が得られました。そのことを踏まえて、これまでに培った情報収集の手法と分析、さらには多言語翻訳にも多角的に取り組むことになります。

 これまで通り、コラボレーションを展開する中で研究を深めていきます。幸い、今月から勤務している大阪観光大学には、観光学部と国際交流学部があります。私が所属することになった国際交流学部のみならず、観光学部共々、学際的な視野のもとで多彩な研究をなさっている先生方と一緒に、今回の申請課題に取り組めるのです。
 これまでは、国文学を中心とした環境にありました。しかし、これからはさらに海外に拓いた多方面からのお力添えが得られます。全世界を見据えた研究環境に身を置くありがたさを、赴任したばかりの大学で、日々実感しているところです。

 みなさまのご理解とご協力を推進力として、さらにギアを一段上げての研究遂行となります。これまでに変わらぬご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

 科研費研究の道がさらに大きく開けたことを受けて、この研究に協力してくださる方を募っています。ネット社会なので、参加のしかたはいろいろとあるかと思います。
 海外の平安文学、及び多言語翻訳に興味と関心をお持ちの方で、一緒に夢を追いかけようとお思いの方からの連絡を、心よりお待ちしています。
 
 
 

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2017年04月01日

大阪観光大学国際交流学部に着任しました

 昨日3月31日は、東京の立川で国文学研究資料館の今西祐一郎館長から、研究部教授を定年退職する辞令をいただきました。
 今日4月1日は、大阪の日根野で大阪観光大学の明野欣一理事長から、国際交流学部特命教授として採用の辞令をいただきました。

 昨年末からの激動の日々を経て、先月は想像を絶する怒涛の時間の流れの中にいました。
 そのことが嘘であったかのように、昨夜は東京から辿り着いた京都の家で、日付が31から1にカシャッと変わりました。

 今朝は、街中で新入社員らしいフレッシュな若者たちに紛れて、私も晴れて初出勤となりました。これからは、京都駅と大阪駅で乗り換えての、片道2時間半の小旅行の日々が始まります。18年間にわたって、奈良や京都から東京へと、4時間半をかけて通っていたので、長時間の移動はさほど苦ではありません。本を読む時間が確保できるので大歓迎です。

 今日は、大阪観光大学の辞令交付式と入学式がありました。会場は泉佐野市立文化会館で、愛称は「エブノ泉の森ホール」と呼ばれているところです。
 入学式の後、ガルーダ・インドネシア航空との調印式があり、関空のお膝元で仕事をすることに実感を強めました。

 その後のアトラクションは、和太鼓、ダンス、吹奏楽と、新入生を楽しませるイベント。さらに、ダンサーの洋平さんがプロデュースした、7人のアイドルグループ「Chu-Z(チューズ)」のパフォーマンスです。これは、学生のみならず、教職員も一緒になって盛り上がりました。
 いい入学式でした。
 来週から始まるオリエンテーションが、実質的な私の仕事始めとなります。

 1999年に、この大学の前身である大阪明浄女子短期大学から、籍を東京の品川にあった国文学研究資料館に移しました。このたび、18年ぶりに古巣に帰ったことになります。
 研究室をはじめ、職員の方々や建物が懐かしく、遠い思い出が一気に蘇ります。玉手箱をひっくり返したような、言葉にし難い感慨に耽っています。
 
 
 
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2017年03月31日

電子版「海外平安文学研究ジャーナル」を2冊同時に公開

 昨日に続き、オンライン版の電子ジャーナルが完成しましたので、科研のホームページから公開しています。これは、科学研究費補助金による研究である科研A『海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究』の研究成果として、2種類の電子ジャーナルをまとめて公開したものです。

 いずれも、以下のサイトから自由にダウンロードして読んでいただけます。

(1)『海外平安文学研究ジャーナル vol.6.0』(全261頁)

(2)『海外平安文学研究ジャーナル インド編2016』(245頁)


 多彩なテーマが、膨大な成果としてまとまりました。その意義等については、巻頭の拙文「あいさつ」と「はじめに」に書きました。まずは、そこからお読みいただけると、編集の意図がみえてくるかと思います。
 ここでは、それぞれの「目次」を引きます。

(1)「海外平安文学研究ジャーナル 6.0 」(全261頁)

●目次
あいさつ 伊藤 鉄也 p3
[研究論文] 『十帖源氏』の本文と各種版本―和歌の異文と解釈の問題― 清水婦久子 p11
[研究論文] 母語話者・非母語話者によるロシア語訳『十帖源氏』桐壺巻比較考―母語話者による翻訳に見る日本文化の受容― 土田久美子 p29
[研究論文] 「交じらふ」女主人公―ジェンダーコードの視点から読む『とりかへばや物語』― 庄婕淳  p39
[研究の最前線] 「訳し戻し」という「翻訳」  藤井由紀子 p61
[研究の最前線] 英訳『今昔物語集』兵と戦いの世界 淺川槙子 p65
[科研活動報告] 科研活動報告 vol.2 加々良恵子 p93
【付録】各国語訳『源氏物語』「桐壺」「若紫」『十帖源氏』「桐壺」翻訳データ  p103
執筆者一覧 p259
編集後記 p260
研究組織 p261

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(2)「海外平安文学研究ジャーナル インド編 2016」(245頁)

●目次
はじめに 伊藤鉄也 p3
ご挨拶 宮本薫 p15
第8回研究集会の趣旨 伊藤鉄也 p16
[基調講演] 「 変体仮名の国際標準化について」 高田智和 p25
[講演] 「 インド8言語訳『源氏物語』の書誌」 伊藤鉄也 p31
[講演]  「 江戸時代のダイジェスト版『十帖源氏』について」 入口敦志 p40
[講演]「『源氏物語』の英訳について」 須藤圭 p49
[問題提起]
パネルディスカッション
シンポジウム
【資料集】資料集(各国誤訳『十帖源氏』「桐壺」)
執筆者一覧 p243
編集後記 p244
研究組織 p245

 海外における平安文学の研究については、今後とも引き続き取り組んでいきます。変わらぬご支援のほどを、よろしくお願いいたします。
 
 
 

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2017年02月12日

江戸漫歩(153)最終日に行った五島美術館の茶道具展

 五島美術館で開催中の「茶道具取合せ展」を、最終日に駆け込みで見てきました。  何かと用事があり、やっと行くことができたのです。  今日展示されていた作品70点の中では、次の5点が印象に残っています。 (1)「長次郎黒楽茶碗 銘 千声 桃山時代・16世紀、釉薬の原料は加茂川石」 (2)「志野茶碗 銘 梅が香 桃山時代・16−17世紀、松平不昧旧蔵」 (3)「黒織部沓形茶碗 銘 わらや 桃山時代・17世紀、銘は利休の孫宗旦」 (4)「有馬茶会記 友阿弥筆 阿弥陀堂宛 桃山時代・天正18年(1590)書」 (5)「重要美術品 豊臣秀吉消息 おちゃちゃ宛 桃山時代・16世紀」  帰りに庭園を散策しました。そこで見かけた石像たちで、気になったものを、今日の出会いの記録として残しておきます。



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2016年11月17日

クマール君から届いた紙幣無効に関するエッセイ

 今回インドへ行き、到着から帰る直前まで、教え子であるクマール君のお世話になりました。
 よく気遣いができる青年で、毎日のように心配をして連絡をくれました。

 そのクマール君から私に向けて、今回の突然の紙幣無効に関する、インド人としての解説をしてくれました。ニュースや風聞を読み別け、整理をして語ってくれています。
 私がわかるように、わかりやすく語ってほしいとお願いしたからでもあります。

 私だけが読んで終わりにしてはもったいないので、このブログを通して紹介します。
 日本語の表現がこなれていないのは、しばらく日本を離れていて、日常的に日本語を使う機会が少ないためです。その点は、判読のほどをお願いします。

 また、クマール君は経済の専門家ではないし、インドの若者を代表して語ったものでもありません。この説明がどれだけ的を射ているのかはともかく、何がどうなっているのかわからない私に、とにかく伝えようとの思いから述べたものであることを、まずは前置きとして記しておきます。



「ブラックマネー(やみ金)撲滅から始まるインドの明治維新レベルの大事件」


 
 2016年11月8日の午後6時半に、日本からお出での先生をお迎えに、インディラガンディ空港に行きました。先生は、源氏物語のシンポジウムのご用でデリーに来印されました。空港でタクシーを拾い、デリーの高級住宅街にあるWorld Buddist Centerに午後8時ごろに着きました。

 World Buddhist Centerはお寺ですが、宿泊のサービス(食事付き)も提供しています。宿泊先のWorld Buddist Center では、晩こ飯の指定時間は午後8時です。それで、着いてすぐ「ご飯ですよ」とお坊さんに声をかけられました。

 日本と同じく、足のひくい食卓にしゃがんで食事をし始めると、後ろにあったテレビからインド首相の声が聞こえました。振り向くと、話し方も、彼の立ち方も、長いスピーチに思えました。国立記念日や重要なお祭りの前日に、インド首相が国にスピーチするのは、しきたりです。それで、しわを寄せて「明日なんのお祭り? 国立記念日?」と思いました。しかし、ニュースを聴いて、びっくりしました。

 500ルピーと1000ルピーの紙幣は今夜零時で無効になり、ただの紙屑に変わるという二ユースでした。病院、火葬場、空港、バス停、メトロ、ガソリンスタンド、国の機関で、あと3日間は使えるという話もありました。それを聴いて、すごくショックでした。

 先生がインドにいらっしゃるので、1万ルピーをATMから出したばかりでした。ATMだと500ルピーや1000ルピーが多いです。1万ルピーをドブに捨てた気がしました。しかし、しばらく聴くと、「今月30日までに最寄の銀行で古紙幣から新紙幣に両替できる、そして、その以降も両替できるが、インド準備銀行であるRESERV BANK OF INDIA だけで両替できる」というニュースでした。
 この移行期間で社会混乱が起こらないように、インドの軍や空軍はアンテナを張って社会を見張っている、守っているという話もありました。

 ご飯が終わって、早速ATMに行こうと先生が決めました。それで、近くにあったSapna映画館の商店街みたいな場所に行きました。行ってみると、ATMの場所で長い行列を見かけました。零時まで間にあわないほど長い行列でした。
 零時までは使えると思って、お店で500ルピーを出してみました。しかし、「紙屑だよ」という目線だけで、誰も受け入れてくれません。

 猶予期間である3日間が経って、それで社会にどんな影響があるかと考えると、ひっくり返るほど驚きました。この出来事を理解するには、まず、「現金イコール力」ということを考える必要があります。
 専門家によると、銀行に戻って来ないお金、つまりどこかで税金を払わないで眠っているお金は、銀行に顔を出すお金の6倍くらいあるということです。もし、現金イコール力だと、インド政府と同じ力を持っている人たちと、それにインド政府が知らない人たちがいるということです。

 専門的には、その事象を平行経済といいます。現金の平行経済は成り立つと格差社会が広がり、税金は払わない人が多くなります。インドで商売や小さなビジネスする人は、税金を払わないのです。それで、登録済みの会社で働く人が、多めに税金を払っているのです。年収は112万ルピー(190万円相当:2016年11月相場)であれば、年収の4割も税金として取られるのです。それで、大きなビジネスマンや映画業界の人など、年収のほぼ半分は税金として払っています。インドでは、たった2〜3パーセントの人が年収からなる税金を払います。そのために、紙幣廃止となり、みんなお金を銀行に戻すのです。

 年間の取引でどれくらいの税金になるか、政府から通知が来ます。多くの人が税金を払うようになります。その他、膨大な額の現金を持っている政治家などが、その膨大な金額を銀行に持って行けなくなったから、彼らは困っています。膨大な現金を持っているビジネスマンも困りました。

 一番重要なことは、現金はあらゆる社会問題に使われるということです。例えば、現金を配って選挙に勝ったりします。その現金はもう無効になりました。そろそろ3つの州で選挙があります。しかし、政治家が貯めていた膨大な現金は紙屑になったので、もう配れません。政治は、少し綺麗になったといえます。

 そして、インドでテロに使われるのも現金です。パキスタンやドバイにあるテロリストは、インドでSattaというギャンブルを行っています。それはすべて、現金でやっています。インド経済の5分の1ほども、インドの現金はテロリスト、ときにダウドというテロリストは持っています。その現金がすべて紙屑になりました。
 ニュースで「インドにいながら、ダウドを殺した」という話がありました。テロに使う兵器や人間は現金で買うから、その力はなくなったといえます。

 現金なしで生活をするのは難しいのですが、長い目で見ると私の将来のためになると考えると、その苦労は苦労には思えないのです。1日で銀行から4千ルピー以上はおろせない状況です。
 今日、11月13日、首相はまたスピーチをし、
「インド独立以来70年間、政治家やビジネスマンは、いろんなスキャム(公的な機関にいて、膨大なお金をねこばばすること)や横領をしてきました。膨大な現金を持っています。この病は70年間の古いものなので、すぐには治せません。現金がないので、生活に苦労しているのは承知しています。私に50日間ください。50日間だけ我慢してください。」
という話をしました。

 現金廃止以来、あらゆるインドの銀行は、20万かける1000万(2Billionルピー)インドルピーの現金を預かりました。歴史上初めての銀行残高となりました。
posted by genjiito at 23:42| Comment(0) | ◆国際交流

2016年11月14日

国際交流基金で2回目の打ち合わせ

 第2回目の打ち合わせを、国際交流基金の事務所で朝から行ないました。


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 参加者は、日本からの5人と、インド在住の日本人2人、そして国際交流基金のお2人です。

 具体的にプログラムを詰めていく過程で、様々な案が出ました。当初の予定になかったことも話し合いの中で決まり、内容がますます多彩になるのは楽しいことです。いかにして参加者のみなさまと楽しい時間を共有するか、ということに心を砕く一時となりました。

 この、「第8回 インド国際日本文学研究集会」に関する第2回目の打ち合わせの成果は、進行する側の者としてもわくわくするものとなりました。
 明日の集会で展開する内容を、今から楽しみにしていただきたいと思います。


※この記事は、研究集会の前日、11月10日(木)のことを記したものです。
 インドの紙幣であるルピーが、デリーに到着した8日(火)の夜に無効になるという驚愕の事態に巻き込まれています。そのため、困惑しかないという状況に置かれていることもあり、本ブログの記事が大幅に遅れていることをご了承ください。
 現在、大量の無効となった紙幣が、街中に廃棄されているというニュースも入りました。
 これにより、大量に紙幣を溜め込んでいた政治家や資産家やテロリスト等は、茫然自失との風聞もあります。今この宿におられる1人の旅行者は、10万ルピーものお金が一夜にして紙くずとなったことで、ご一緒に食事をしていても元気がありません。
 今回の大鉈は、ブラックマネーを秘匿していた政財界関係者に対しては、息の根を止めるに等しいものだったので、絶大な効果があるとのことです。しかし、旅人は路頭に迷うしかないので、「不運」の一言で片づけられない深刻な問題です。
 インドに着陸して以来、1度も両替やキャッシングをすることもなく、明日はインディラガンディ空港を離陸して帰国の途につきます。いかにして現金を手にするか、ということだけに全精神を使った6日間となります。
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2016年11月13日

地下鉄の転落防止柵は工事中

 地下鉄に乗りました。インドが成長し続けている姿が、行くたびに感じられる場所です。
 防犯カメラ、乗り換え駅での足元の誘導サイン、転落防止柵などなど、少しずつ進んでいます。

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 上の転落防止柵は、人の高さほどあります。これだけ高くしている理由が、今は思いつきません。
 駅の構内での点字ブロックは、一つも見かけませんでした。街中の点字ブロックは、本年2月の記事「インド・デリーの点字ブロックなどには要注意」(2016年02月25日)をご覧ください。

 銀行に列をなす人々は、至る所で見かけます。今日から銀行が開きました。とにかく、数時間にして紙くずと化した紙幣を手に、少しでも身を守るためです。しかし、旅人である私は、あの列に並ぶだけの時間的な余裕も、精神的な強さもありません。ただただ、お金を使わないことを心がけるしかありません。クレジットカードが使える店で食いつなぎます。それでも日々を過ごせるのがインドです。


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 街中から牛や象や駱駝や猿がいなくなり、国際化を急ぐ中で、インコ(?)を見かけました。


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 夕陽が、少しスモッグに包まれています。思ったほど、大気汚染の影響は感じません。
 社会情勢がどうであれ、風景はいつも通りに、刻々と変化する悠久の流れを感じさせてくれます。


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2016年11月12日

宿でうどんを食べた後、銀行の様子を見る

 昨夜の食事はうどんでした。
 この宿では、ときどきこうしたメニューがあります。


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 揚げ玉が入っていたので、どこで買ったのかを聞くと、近くのマーケットだとのことでした。その袋を見せていただきました。


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 今朝は、黒いひよこ豆をマサラ風に調理したものでした。
 とにかく、このデリーは食材が豊富です。

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 今回も宿泊している WBC(World BudhistCentre)の入口は、こんな感じの建物です。
 モダンな建物の3階と4階が個室になっています。


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 そしてなんと、右隣の建物が銀行なのです。

 インドに到着したその日の夜、インドルピーの高額紙幣が突然無効になりました。隣は銀行だし、まわりにATMが多い地域なので、お金は何とかなるだろうと思っていました。ところが、金融機関は閉められ、ATMは停止なので、現地通貨の入手経路が断たれているのです。

 この日の朝、周りを散策して様子を見ました。紙幣無効から2日経ち、銀行が業務を開始すると共に、人々が長蛇の列をなしています。しかも、相当の制限があるのです。そして、並んでいる人の大多数は、手持ちの無効となった現金を72時間という猶予期間に、自分の口座に預け入れるのだそうです。あと1日しかありません。猶予といっても、街中ではもう使えないので紙くずです。旅人は、どうしようもありません。


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 今回、新しいタイプのオートリキシャに乗りました。バッテリーでモーターを回して走ります。
 おじさん自慢のマシンです。静かで、乗り心地もいいのです。
 写真の奥に、これまでのオートリキシャが写っています。


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 排気ガスが出ないので、これまでの液化天然ガスよりもいいと思います。しかし、インドは台数が多いので、これだけでは環境はよくなりません。
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2016年11月11日

国際交流基金で打ち合わせをした後の散策

 朝食後、WBC(World BudhistCentre)の食事をいただく広間で、書道教室が開かれていることを知りました。
 仕事の関係でインドに滞在しておられるTさんは、3年前からこの地域の方々に書道を教えておられるのです。


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 これからもずっと続けたいとの思いをお持ちです。しかし、来春には日本に帰らなければならないとのことでした。後継者がお出でのようなので、この教室は安泰のようです。
 こうした地道な活動は、とにかく根気強く続けることが大事だということで、意見が一致しました。

 お昼前から、地下鉄ムールチャンド駅のすぐ横にある国際交流基金ニューデリー事務所を訪問し、今回の「第8回 インド国際日本文学研究集会」に関して、第1回目の打ち合わせをしました。


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 宮本薫所長と野口晃佑さんからの全面的な協力をいただいていることもあり、順調に事前の打ち合わせを行なうことができました。

 その打ち合わせの最中に、今回配布するレジメの印刷を頼もうとしていた印刷屋さんが、たまたま来ておられることがわかりました。こちらから連絡をして、データを送ろうと思っていたところだったので、本当にいいタイミングで直接説明をして印刷をお願いすることができました。66頁の冊子となったレジメが明日には届くこととなり、その幸運な展開にありがたく感謝しています。

 打ち合わせの後は、下の階にある立命館大学のインドオフィスへご挨拶に行きました。


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 掲示板の右下には、国文学研究資料館で今月19日・20日に開催される「国際日本文学研究集会」の大きなポスターが貼られていました。ありがたいことです。


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 所長は外出中でした。また明日来ることにして、タクシーで北上して、スンダルナガルマーケットの「マサラ・ハウス」へ食事に行きました。


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 なかなかおしゃれなお店で、おしぼりにバラの花弁が添えられて出てきました。


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 ミッタルの紅茶もいただきに行きました。ここは、インドに来るといつも来るお店です。


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 そこからすぐ北の工芸美術館にも足を留めました。


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 ここで織り機を操作している方との話の中で、日本人に感謝しているとの気持ちを語ってくださいました。以前、パキスタンの近くにあるグジャラート州で地震があった時、日本のNGOの方々に助けてもらった、ということです。こうしたことを忘れることなく、日本人に会ったことから思い出されたようです。感謝されるということは、国際交流に留まらず人間関係において、非常に大事なことだと思いました。


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 帰りがけに、ライトアップされたインド門にも立ち寄りました。
 インドの家族のみなさんが大勢出かけて来ておられます。
 国内旅行に興味が向くようになったことは、インドが豊かになったということではないでしょうか。


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 今日も、インドルピーの現金を入手することができませんでした。銀行もATMも営業停止です。街でも、手持ちの1000ルピー札と500ルピー札は受け取ってもらえません。持参した紙幣で、とにかく心細く1日をつないでいます。お札を持っているのに使えないという経験は初めてです。もちろん、インド全土のみなさんがそうです。クレジットカードが使えるお店を探して食事をします。おのずと、高級店になります。いやはや、突然の紙幣廃止によって手持ちのお金が紙くずになるとは、旅人にはきつい一撃です。

 明日は現金の手持ちがない状態で、どう過ごすかを思案しています。
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2016年11月10日

インドで紙幣が突然無効となり大混乱

 インドで2種類の高額紙幣が国の方針によって、突然無効なお金となりました。街中は大混乱です。そして、私のような旅人は途方に暮れています。

 現在、日本では、アメリカの大統領選挙のことでニュースは埋め尽くされていることでしょう。そのことをも計算してのことか、インドではこんな事態になっていることは、日本では少しの記事にしかなっていないようです。


「高額紙幣は無効」インド首相が突然発表 混乱広がる


(朝日新聞デジタル・2016年11月9日17時55分)

 インドのモディ首相は8日夜、テレビ演説し、高額紙幣の1千ルピー(約1600円)札と500ルピー(約800円)札を演説の約4時間後から無効にすると突然発表し、9日午前0時から全土で使えなくなった。偽造紙幣や不正蓄財などの根絶が目的。旧紙幣は10日以降、銀行に預金したり、新紙幣と交換したりできるとしているが、金額に制限があり、混乱が広がっている。

 新紙幣は2千ルピー札と500ルピー札の2種類。当面、旧紙幣の交換は4千ルピー(約6400円)まで、預金引き出しは1週間に2万ルピー(約3万2千円)までなどと上限が設けられている。発表の直後から、使用不能になる高額紙幣を現金自動出入機(ATM)で預金してしまおうと、銀行に人々が殺到した。政府系の病院や鉄道、ガソリンスタンドなどでは例外的に3日間に限り旧紙幣を使えるとしているが、ニューデリー市内のスタンドは高額紙幣の受け取りを拒否し始めた。

 モディ氏は、偽造紙幣がテロの資金源になり、インフレの原因になっているとして、「一時的に困難はあるが、国民は犠牲をいとわないはずだ」と忍耐を求めた。ただ、中央銀行の当局者は記者会見で「最初の15〜20日は混乱が予想される。とにかく新紙幣を刷り続ける」と、準備が整っていないことを暗に認めている。(ニューデリー=武石英史郎)


 昨夜(11月8日)、インドに着いてすぐに、宿泊先である WBC(World BudhistCentre)で晩ご飯を食べていた時のことでした。突然、インドでの高額紙幣である1000ルピーと500ルピーの2種類のお札を無効にする、という内容の首相からの国民向けの説明が、テレビを通して流れてきました。

 驚いたというよりも、最初はその「無効」の意味がよくわかりませんでした。
 現地の方の説明を聞いてしばらくしてから、手持ちのお金が紙くずになったことが理解できました。
 街中では大騒ぎになっているようです。宿にしているお寺の前にあるマーケットに行くと、多くの人がATMの前に並んでいます。しかし、その機械は動いていません。3時間後の午前0時に動くことを期待して、まずは手持ちのお金を預金し、また小額紙幣を手に入れようということなのです。


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 首相が国民に訴えたことは、現在流通している1000ルピーと500ルピーの高額紙幣を、すべて「無効」にし、新しい紙幣に切り替えることへの理解を求めるものでした。しかし、このことによる影響は、さまざまな所へと波及します。

 発表の4時間後の11月9日午前0時から72時間の猶予があるということです。しかし、この発表があった後は、すぐに街では1000ルピーと500ルピーのお札を、店側が受け取りを拒否するようになりました。私も水を買う時に、100ルピー札がほしさに差し出した1000ルピーも500ルピーも受け取ってもらえず、手持ちの数少ない100ルピー札で何とか買うことができました。100ルピー札がないと、何もできない状態になりました。

 酒屋の前では、多くの人がお札を高々と差し上げて買い求める人が群がっていました。ただし、そのほとんどの人が1000ルピーと500ルピー紙幣を拒否されるので、買えないままに引き上げていくしかないという状況を、まさに目にすることとなりました。


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 手持ちのお金が使えなくなったのです。とにかく、移動もままならない生活となりました。
 100ルピー以下のお金しか使えないのです。しかも、ATMは止められています。100ルピー札を手に入れようにも、なかなか手に入らないので、買い物もできないし、タクシーにも乗れません。
 勢い、クレジットカードの使えるお店しか行けなくなったのです。そして、そこは自然と料金が高めです。

 混乱の中の2日目は、この後で書きます。
 今朝のインドの新聞は、次のような紙面となっています。


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 先程、在日本大使館から公布された、次の文書が届きました。これが、正式な最新情報です。

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2016年11月09日

インド行きのJAL機内でのメモ

・今回も、成田空港にたどり着くのに苦労しました。
 電車が遅れたために乗り継ぎがうまくいかず、スマートフォンを使って最短時間で行ける経路を探すのに疲れました。都内からでも、成田は遠い異国の地です。もう来春まで、この成田へ電車で行くことはないと思います。今後は、可能な限り羽田から飛び立つ便を活用したいと思います。
 
・機内での緊急脱出の説明で、「袋を破いて」というアナウンスがありました。「破いて」という言い方は、昔懐かしい言葉だと思いました。
 
・機内で見た映画「後妻業の女」は期待はずれ。
 出演者が多彩すぎて、大竹しのぶ以外はもったいない起用だったと思います。また、関西弁がふんだんに使われている割には、東京の人のための喜劇となっています。笑いを取るタイミングが、鶴瓶以外は関西の発想ではありません。謎解きで惹き付けようとしたものの、それも中途半端でした。【1】
 
・映画「君の名は」のキーワードは「つながり」でした。
 話の展開が夢を媒介にしています。ただし、私には現実と非現実のメリハリを、もっと付けてほしいと思いました。画面はきれいでした。【2】
 
・映画「シン・ゴジラ」
 国を守ることがテーマです。核兵器や放射能のあり方が展開を支えています。政治家の決断がいかに重要であるかが、現在の日本の政界を連想させるように作られていました。世界の中の日本について自覚させられます。このリアルさは、私の好みです。立川の自衛隊駐屯地が出て来るたびに、職場の建物が写っていないか、背景を注視しながら観ました。【4】

・機内で、82歳だというターバンを巻いた男性から、客室後部でヨガを教えてもらいました。若さを売り物にしている方のようです。
 それにしても、英語が苦手な私が言うのも何ですが、意味不明の英語でした。いや、のような言葉でした。
 
・眼下にヒマラヤが見えるという機長のアナウンスで、窓から外を見渡しました。

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 山並みだけで、よくはわかりませんでした。いつか一度だけ、エベレストを写したことがあります。
 山を見下ろすのは、気持ちのいいものです。
 
・入国する時に目に入る仏様の手のオブジェは、インドに来たことを実感させてもらえます。


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 常宿としている WBC(World BudhistCentre)に着いたのは午後7時半でした。
 お寺の上には、半月が温かく迎えてくれていました。


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 心配しながらの大気汚染は、今日は少しよくなっているようです。
 月がこんなに明るく見えるのですから、今日に限っては汚染の度合いは低いと思われます。
 
 午後8時過ぎに、お寺の食堂で晩ご飯をいただきました。
 これまた、いつものマイルドな、辛さのない、私好みの食事です。


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 ここの薬膳料理をいただいて、今回のインドでの生活を稔りあるものにしたいと思います。
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2016年11月08日

インド・ニューデリーは大気汚染で非常事態とのことです

 今日から行くニューデリーでは、昨日、政府が非常事態を宣言しました。
 大気汚染が深刻化し、危険な状況になっているそうです。
 この緊急対策は、昨日7日から3日間なので、まさに私が行く日がそうです。

 新聞記事を引きます。


インド PM2.5深刻 首都大気汚染、基準値の16倍


 
 【ニューデリー金子淳】インドの首都ニューデリーで大気汚染が深刻化している。地元当局の観測データによると、微小粒子状物質PM2・5の濃度は6日も一時、インドの基準値の16倍超の1立方メートル当たり965マイクログラムに達する地点もあり、市内は白い霧に包まれた。

 地元当局は6日、緊急の対策会議を開催。市内の学校を9日まで休校とし、汚染の一因とされる郊外の石炭火力発電所の操業や、市内での建設作業を一時的に禁じることを決めた。観光名所「インド門」前で働くヤシ売りのイシャンさん(38)は「ここ数日はずっとインド門がかすんでいる」と話した。

 今年5月に世界保健機関(WHO)が公表したデータによると、ニューデリーのPM2・5の年間平均濃度は世界約3000都市のうち11番目に高く、北京の約1・4倍に上った。濃度が高い20都市のうち、最悪だったのはイランの都市ザーボルだが、インドは半数の10都市を占め、中国(4都市)やサウジアラビア(3都市)を大きく上回っている。

(毎日新聞2016年11月7日)

 

大気汚染で「非常事態」インド首都、休校に工事禁止



 インド・ニューデリーを抱えるデリー首都圏政府は6日、大気汚染が深刻な段階に突入したとして、学校を7日から3日間にわたり休校、建設工事を5日間禁止にするなどの緊急対策を発表した。中央政府のダベ閣外相(環境担当)は「非常事態」と述べるなど、危機感が強まっている。

 首都圏は近年、冬の接近とともに大気汚染のスモッグが拡大。野焼きや車の排ガスなどが原因とみられ、今年は過去17年間で最悪といわれている。ニューデリーの米大使館によると、大気中の微小粒子状物質PM2・5を含む汚染指数は6日も最悪レベルの「危険」を記録した。

 PTI通信などによると、首都圏政府のケジリワル首相は大気汚染に関し「ガス室のようだ」と述べ、近隣の北部ハリヤナ州やパンジャブ州での野焼きを批判した。市民には「できるだけ屋内にとどまってほしい」と呼び掛けた。

 対策はこの他、ディーゼル燃料を用いた自家発電機の一時的な使用禁止や道路の清掃など。(共同)

(産経ニュース2016.11.7 07:15)


 これまでにも、インドで暴動などで外出禁止令が出された時にも遭遇しました。
 いろいろなことがあったインドなので、計画の変更は考えていません。しかし、現地入りしてからは、慎重に判断して行動したいと思います。

 参考までに、「BBCニュース」(6 November 2016,From the section India)も引用しておきます。

 そんな中で、現地からは「N95 かN99 のマスクが良い」という情報も入りました。
 早速、近所のドラッグストアで、「N95」と書かれているマスクを手に入れました。


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 うがい薬も、ノドスプレーもバックに詰めました。
 準備万端です。

 さて、今回はどのような旅になりますか。
 とにかく、研究集会は盛況のうちに終えたいと願っています。
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2016年10月31日

「第8回 インド国際日本文学研究集会」開催のお知らせ

 来週、11月11日(金)と12日(土)の2日間、インドのニューデリーにある国際交流基金(日本文化センター)を会場にして、「第8回 インド国際日本文学研究集会」を開催します。

 本年2月に、今回のイベントの準備や調整をするために、インドへ行きました。
 そして、8月からはいろいろな方に助けられながら、無事に開催へと漕ぎつけるところまで来ました。
 インドとの時差は3時間半です。ヨーロッパに較べると、近いところです。
 しかし、日本から研究集会の段取りなどを含めての連絡や調整をするのは、メールが使えるとはいっても、何かと気苦労の多いことが怒濤のごとく押し寄せてきました。それに押し潰されることなく、みなさまの理解を得ながら実施できることとなりました。ありがたいことです。

 明日からは、レジメの手配や討議資料の作成に入ります。ここまでくれば、もう流れに任せるしかありません。
 先日、ストレスチェックの記事を書きました。あれは、このインドでのイベントの視界が良好になったこともあって、危機的な結果が出なかったと思っています。

 なお、「インド国際日本文学研究集会」も、今回が8回目です。
 これまでの経緯については、「『インド国際日本文学研究集会の記録』が出来ました」(2012年04月05日)という記事に詳しく書いていますので、併せてご覧いただければと思います。

 今回の研究集会の内容は『海外平安文学研究ジャーナル』の特集号として、年明けの2月に公開します。これまでの第1号から第5号までは、以下のサイトから確認及びダウンロードができます。
『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN番号 2188ー8035)
 オープンデータとして公開しているものなので、ご自由にお読みいただけるようにしています。

 今回の開催の趣旨(日本語と英語)と、プログラムを以下に記します。

 お知り合いの方や、旅行で通りかかるという方がいらっしゃいましたら、こんなイベントがあることを広く宣伝していただけると幸いです。
 
 

【日本語】
 
『源氏物語』をインド7言語に翻訳するためのシンポジウム
─ダイジェスト版『十帖源氏』を世界33言語で翻訳するプロジェクト─
(「第8回 インド国際日本文学研究集会」の案内)
 
■目的
 現在、『源氏物語』は33種類の言語で翻訳されている。
 今回の研究集会では、江戸時代にダイジェスト版として刊行された『十帖源氏』を対象とする。
 これは、原文の10分の1ほどの分量に要約された『源氏物語』であり、各巻に絵も入っていて易しい文章になっている。
 翻訳にあたっては、多くの問題がある。
 今回は第1巻「桐壺」を共通の話題とする。
 翻訳を通して気付いた疑問点や問題点を、公開の共同討議と意見交換をする中で確認する。
 今回のシンポジウムで得られた共通理解をもとにして、全54巻の翻訳に進んで行く。
 
■シンポジウムの内容
 『十帖源氏』を、ヒンディー語・ウルドゥ語・オリヤー語・パンジャーブ語・マラヤラム語・ベンガル語・マラティ語の7言語に翻訳した、若手研究者の実践例を提示してディスカッションを行なう。
 
■プロジェクトの今後
 現在、『十帖源氏』のイタリア語訳・スペイン語訳・英語訳・ロシア語訳を進めている。
 これにインド語7言語の翻訳を加えることにより、さらに世界中の人々が、日本の古典文学として評価の高い『源氏物語』を理解する環境の整備ができる。
 そして、幅広い日本文化を理解する道が開ける。
 日本文化が姿を変えながら伝えられていく様子と文化理解についての共同研究も、これを契機として活発に展開していくことであろう。
 加えて、『十帖源氏』の多言語翻訳は各国の翻訳技術の向上をもたらすはずである。
 なお、情報発信にあたっては、すでに実績があり積極的な活動を展開している「海外源氏情報」(http://genjiito.org)を活用する。

 
 

【English】
 
Symposium: Translating "the Tale of Genji" into seven Indian languages
─A project for translating digest-version "Jujo Genji" into 33 languages─
(”The eighth Indo-Japan Seminer on Japanese literature”)
 
■ Project Schedule
Nov. 11 (Fri) Open Panel discussion
  Theme : (1) Problems in multi-lingual translation of "Jujo Genji"
Nov. 12 (Sat) Open Symposium
  Theme : (2) Method and issues for multi-lingual translation of "Jujo Genji".
 
■ Purposes
 "the Tale of Genji" has been translated into 33 languages.
 In today's meeting, we will focus on "Jujo Genji", a digest version published in Edo period.
 "Jujo Genji" summarizes original "Tale of Genji" into one-tenth in volume in easier sentences with pictures.
 However, when it comes to translation, it contains several problems.
 Today we will focus the first chapter "Kiritsubo".
 We would like to have open discussion and exchange opinions by sharing any questions or problems that were found through translation.
 The understanding we share in this symposium will greatly help future translation of all 54 chapters.
 
■ Symposium objective
 Discussion by young researchers who translated the "Jujo Genji" into 7 languages: Hindi, Urdu, Oriya, Punjab, Malayalm, Bengal, and Marathi.
 
■ Future project
 Translations of "Jujo Genji" into Itaian, Spanish, English, Russian are now ongoing.
 We will add 7 Indian languages to this translation project. With this, more people in the works will enjoy a world-famous Japanese classis literature "the Tale of Genji".
 This will further allow opening opportunities for foreign people to understand Japanese culture.
 With this trend, a research study in how Japanese culture has been transformed in its succession and cultural understanding will be further developed.
 In addition, multi-lingual translation of "Jujo Genji" will improve translation technique.
 Any update of this projest can be found in "Overseas Genji information"」(http://genjiito.org) where you can find various activities and past records on this research field.

 


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プログラム【第4版】
   (2016年10月31日(月)現在)
   (2016年11月01日(火)[時期]の年月を訂正)

第8回 インド国際日本文学研究集会



■2016年度 テーマ■
『源氏物語』をインド7言語に翻訳するためのシンポジウム
─ダイジェスト版『十帖源氏』を世界33言語で翻訳するプロジェクト─
■時期:2016年11月11日(金)−12日(土) [2日間]
■会場:国際交流基金・日本文化センター(ニューデリー)

11日(金) 公開パネルディスカッション
   10:00−11:15 開会式と講演
        総合司会 伊藤鉄也(国文学研究資料館)
      挨 拶  宮本 薫(国際交流基金ニューデリー事務所長)
      趣旨説明 伊藤鉄也(国文学研究資料館)
      基調講演 高田智和(国立国語研究所)
       「変体仮名の国際標準化について」
      講 演  伊藤鉄也(国文学研究資料館)
       「インド8言語訳『源氏物語』の書誌」
   11:15―11:30 ( 休 憩 )
   11:30―13:30
      講演 入口敦志(国文学研究資料館)
       「江戸時代のダイジェスト版『十帖源氏』について」
      問題提起 コメンテーター:麻田豊(元東京外国語大学)
       シャム・アルン(English and Foreign Languages University)
         「マラヤラム語訳の問題点」
         (ドラヴィダ語族)
       菊池智子(翻訳家)
         「ヒンディー語訳の問題点」
         (インド・アーリア諸語の中央語群西部ヒンディー語)
       村上明香(University of Allahabad)
         「ウルドゥ語訳の問題点」
         (インド・アーリア諸語の中央語群西部ヒンディー語)
   13:30−14:45 ( 昼 食 )
   14:45−17:30 パネルディスカッション
      テーマ:(1)『十帖源氏』を多言語翻訳するための問題点
         コメンテータ アニタ・カンナ(ネルー大学)
                麻田豊
12日(土) 公開シンポジウム
   10:00−11:15
      挨拶 伊藤鉄也
      基調講演 伊藤鉄也
       「〈海外源氏情報〉を科研の成果から見る」
      講演 須藤圭(立命館大学)
       「『源氏物語』の英訳について」
   11:15―11:30 ( 休 憩 )
   11:30―13:15
      問題提起 コメンテーター:麻田豊
       リーマ・シン(Ph.D candidate, University of Delhi)
         「パンジャーブ語訳の問題点」
         (インド・アーリア諸語の中央語群)
       シェーク・タリク(English and Foreign Languages University)
         「ベンガル語訳の問題点」
         (インド・アーリア諸語の東部語群)
       ナビン・パンダ(Delhi University)
         「オディアー語訳の問題点」
         (インド・アーリア諸語の東部語群)
   13:15−14:30 ( 昼 食 )
   14:30−17:30 シンポジウム
      テーマ:(2)『十帖源氏』を多言語翻訳するための方法と課題
         司会・進行 伊藤鉄也
         コメンテータ アニタ・カンナ
                麻田豊
■主催;インド日本文学会
■共催:科学研究費補助金(基盤研究A)「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」(研究代表者:伊藤鉄也、N0.25244012)
■後援:国際交流基金、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉
 
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2016年05月25日

【復元】イラクの文学者との面談

 10年ほど前に、情報を発信していたプロバイダのサーバがクラッシュしました。
 そのたために、読めない状態になっていた記事の復元を試みています。
 
(※本記事は、平成19年3月に消失したブログの復元です。)
 
********************** 以下、復元掲載 **********************
 
2006年7月23日公開分
 
副題「可能なことを身近なところから」
 
 イラク人ニュースキャスターと、親しくお話をする機会を得ました。
 昼食を入れて、たっぷりと4時間も面談しました。夕刻からはテレビ神奈川に生出演するとのことで、タクシーで飛んで行かれました。

 そのH氏は、イラクのムサンナ県唯一のTV局であるムサンナTV局で、ニュース・プロデューサー兼キャスターを努めておられる方です。
 昨年までは、地元紙である「サマーワ」の編集部長であったと聞くと、私にも自衛隊派遣の地との関連から、少しイメージがわいてきました。
 H氏は、現在も日本の共同通信を始めとする外国の通信社・新聞社の現地特派員を務めるなど、ジャーナリストとしても定評があります。

 そんな人と、一体なぜ私が会うことになったのかと言うと、文学とのつながりからでした。
 H氏は、詩作を中心に長年文学活動に携わってこられ、ムサンナ県文学者・作家連盟の創設者の一人で、現在はその会長でもあります。今回は、日本文学の歴史や現状について知りたいということで、国際交流基金がその間に入ってくださったものです。私からの質問にも、たくさん答えていただきました。

 お話は、間に同時通訳の方を入れて進みました。私が、昨年エジプトに、一昨年はトルコへ行っており、インドとの交流も深いということが、お互いの距離を縮めたように思います。

 「詩」ということばがよく出ました。日本で言えば「歌」に近い意味で使われていると理解しました。文学の中の宗教については、インド、エジプト、トルコでの現地体験があったので、違和感なく聞くことができました。この壁は、日本だけの基準で文学を考えていると、どうしても立ちはだかるものです。

 それにしても、階級と地域による文字の使い分けには、文化の普及の障害となりかねないことを痛感しました。同じアラビア語でも、地域によって違うとのことでした。インドにおいても、多くの方言とでもいうべき各種言語が今も使われていることに思い及びました。言語芸術が享受される範囲というものに、改めて目がいきました。

 詩人であるH氏は、コーランなどを例にして、ことばの美しさを大事にしておられることが、よく伝わってきました。また、イラクの文化のすばらしさに自信を持っておられました。ただ、それが世界中の人々に正しく理解してもらえないことに対して、何とかしたいという熱意も感じられました。

 イラクでは、外国語を勉強する学校はあります。しかし、日本語・日本文学は設けられていないそうです。なんとかしたいとのこと。大学の中に、日本語学科を開設するところからスタートすべきでしょう。街の日本語会話学校でもいいのです。しかし、やはり大学を舞台にして展開しないと、根付かないように思われます。日本の文化について興味を持っておられる方がいらっしゃるというのなら、日本としても何か提言をすべきではないでしょうか。私にできることもあるようなので、少しずつ動いてみようかと思います。
 まずは、理解者や協力者を得ないと、どうしようもありませんが。

 イラクの方々は、ことばに込められた美に敏感なようです。日本も、言霊(ことだま)というものを大事にしてきました。この、ことばに対する感覚を共有するところから、文化交流のスタートが切れるように思いました。

 国際的な交流は、経済や科学技術が特段に注目されています。しかし、このように、文化レベルでの交流ならば、私にも可能なのです。目に見えての成果は確認しにくいと思います。しかし、根気強く続ければ、幅広い交流につながっていくはずです。

 国際文化交流には、もっともっと国が援助の手を差し伸べるべきです。今こそ、人文科学分野への補助金を増やすべきです。大幅に削減するのではなくて、とにかく再検討すべき時期だと思います。
 
********************** 以上、復元掲載 **********************
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2016年02月21日

日本文化センターへ報告に行き助言をいただく

 今回も無事に、予定していた課題をすべて遂行することができました。
 予想以上の成果があり、慌ただしい日々の中を遠路足を運んで来たかいがありました。

 今週始めの15日に訪問した国際交流基金ニューデリー日本文化センターへ、今回の成果と課題に関して得られた感触などを報告をするために行きました。田中洋二郎さんからは、多忙な会議の合間に貴重な時間を割いていただき、丁寧な対応と今後のための貴重なアドバイスをいただきました。

 田中さんの適切な状況判断と的確な助言には、いつも感謝しています。
 いちいちわざわざ、とお思いのことかと思います。しかし、よくわからない国での文化交流となると、やはり現地の専門家の分析と判断を伺うことは貴重です。得難い方からの話は、次の行動を見極める上での重要な羅針盤ともなるのです。お話を聞いていただき、個人的な感想を含めてお考えをうかがうだけで、それで充分なのです。
 その意味からも、帰国する前にこれまでの報告をするように心がけています。

 今回は、秋11月に「第8回 インド国際日本文学研究集会」を開催するという具体的な活動事例があり、かつ『十帖源氏』のインド語10言語に翻訳するという、規模の大きなプロジェクトを動かす課題がありました。

 また、インドにおける日本文学関連の研究論文を集約して、これからの研究者に基本的な情報提供をする基盤を構築する、というテーマもありました。このインフラの整備なくしては、着実な進展はのぞめないからです。各自が勝手に取り組んでいては、調査手法と成果が共有されず、悠久のインドを彷徨うだけです。

 さらには、目の見えない方々と一緒に日本語を学べる環境作りのお手伝いができないか、という問題もありました。
 これに関しては、日本文化センターが文化的な事業を取り扱っている機関であることから、これはジャイカへ話を持って行った方がいいのではないか、というアドバイスを、別途身近な方から示唆をいただきました。
 そうであれば、田中さんには何とも返答しづらい話題を持ちかけたことになります。
 そのあたりの事業上の棲み分けが、私にはよくわかっていませんでした。
 この件は、盲学校の方々と接する中で、手探りながらも気長に考えていきたいと思っています。

 今回のインドでの最終日には、当初のネルー大学へ行く予定を入れ替えて、盲学校の「ブラインド・レリーフ・アソシエーション」へ行くことになりました。急な予定変更に対処していただいたネルー大学のアニタ・カンナ先生に感謝します。

 日本文化センターからの帰り道、メトロで行き先案内板を撮影しました。


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 インドでは、公共機関などでの撮影は煩いようなので、可能な限り自粛してきました。しかし、この表示は自分の名前にも関わるネタにもなるので、歩きながらシャッターを切りました。ピンボケです。

 電車の先頭車輌の上に表示されている行き先名にも「ITO」とあります。この撮影は勇気がいります。これもいつか果たしたい、私にとっての課題の一つです。
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2016年02月20日

小さな軍用空港を双発プロペラ機で飛び立つ

 ホテルに迎えにきてもらった村上さんと、タクシーでアラハバードの空港に向かいました。
 途中で、延々と続く商店街に目が留まりました。いつか、ここをぶらぶらしたいものです。

 突然タクシーが止まったので外を見ると、道路の脇のスペースでした。トイレ休憩かと思っていると、空港に着いたとのこと。長い塀際なので空港とは思えません。村上さん共々、騙されて別の組織に売り渡されるのでは、との思いが過ぎるほど、場違いな場所に下ろされました。

 刑務所の塀のような所で少し途切れた一角に人がいます。言われて見れば、空港らしいのです。
 狭い入口で、二三人の空港関係者らしき人にチケットとパスポートを見せました。2人共に入ろうとすると、付き添いは入れないとのこと。しかし、そこは百戦錬磨の村上さん。殺し文句を使うのです。私が英語もヒンディーも使えない日本人であることを説明し、
「あなたの国のゲストが困っているのですよ。」
と。
 この一言で、そこのゲートまでだ、との条件で10メートルほど進めます。

 ゲートでは、長い銃を肩から下げた戦闘服の人に、またチケットとパスポートを見せました。そして、またもや付き添いはだめだと。しかし、村上さんは言います。
「このためだけに、はるばる日本から、わざわざ来た教授だ。」
と言って、アラハバード大学の学生証を見せると、もう一人の人と二言三言言葉を交わして、入ってもいいと首を横に振ります。インドでは、首を縦ではなくて横に振るとOK、わかった、なのです。

 やっと、空港の手荷物チェック場所らしい所に来ました。
 そこでも、椅子に腰を少しずらせて座った三人の偉そうな関係者から、根掘り葉掘り問いただされます。しかし、村上さんはそれにも動ずることなく、国のためという気持ちをくすぐる言葉で、チェックインカウンターまでの入場の了解を取り付けることに成功していました。

 こうして、あろうことか、一緒にチェックインカウンターまでたどり着きました。
 村上さんがいなかったら、50メートルの障害物競争が500メートルも走らされるところでした。

 こうした村上さんのような若者が海外で勉学を積み、活躍していることを思うと、日本のこれからの国際交流は大丈夫だと思えて来ます。

 ほぼ定刻に双発プロペラ機で飛び立ち、デリーに降り立ちました。
 機内の振動と乗り心地は、意外といいものでした。
 座席の前にあった雑誌に掲載されていた搭乗機の写真を引用します。


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 インディラ・ガンディ空港からは、メトロで宿まで帰りました。
 稔り多いアラハバードの旅となりました。
 感謝感謝です。
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2016年02月19日

ヒンドゥ教のお祭りマーグ・メーラに行く

 アラハバードは、ガンジス河とヤムナー川が交わる場所にあるヒンドゥ教の聖地で、4大聖地の一つだと言われています。ただし、いずこも同じで、4大聖地と言ってもさまざまな説があって、なかなか難しそうです。

 インドのヒジュラ暦でマーグの月に行われる祭りを「マーグ・メーラ」と言っています。ちょうど今回訪問したこの時期に、敬虔なヒンドゥー教徒たちの祭りが開催されています。森山さんをバラナシへ見送った後、現地人となっている村上さんに案内されるままに行ってみました。やはり、言葉を自由自在に操れる人と一緒だと、安心してどこへでも行けます。

 川の手前の公園は、子どもたちのための遊園地となっていました。


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 この観覧車は、とんでもない速さで回っています。今にも振り落とされそうです。安全対策などあるようには思えません。

 大人のための見せ物小屋がありました。日本にも、かつてはこんな怪しげな小屋があったように思います。差別的な見せ物だということで、今ではなくなっているものです。


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 川への入口には、たくさんの店がありました。


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 そこで見つけたキーホルダーを、娘夫婦のお土産として買いました。


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 2つの川の合流地点をサンガムと言い、その水は魂を浄化する力があるとされているそうです。ガンジス河とヤムナー川が合流するここから地下に流れているというサラスヴァティ川が、天に昇るのがこの地なのです。

 その合流地点の川原には、おびただしいテントが林立しています。


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 川には多くの小舟が漕ぎ出していました。


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 しだいに夕焼けがきれいになってきました。
 サドゥーと言われる修行僧が、この川原に集まった善男善女(?)に物乞いをしています。


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 水着で沐浴をする人もいます。


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 思いきって小舟で川中に出てみることにしました。


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 川中から見る景色は、ことばでの表現を拒むものがあります。
 水鳥はユリカモメのように見えます。
 賀茂川や隅田川の水鳥と同じ顔をしているのです。

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 小さなボートが、鳥たちのための餌を売りに来ました。
 見た目は太めのフライ麺です。

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 一ついただき、川に向かって投げると、夥しい鳥たちが競うようにして集まって来てついばみます。村上さんの話では、日本ではかっぱえびせんを鳥にやったとか。


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 しだいに川原の光が川面に揺らめくようになりました。
 これから沐浴をする人がテントから出てくることでしょう。

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 ガンジス河とヤムナー川の合流地点では、ガンジス河の黄色とヤムナー川の乳白色が混じって、チャイのような色になるそうです。この日は日が暮れ出したこともあり、その色の変化は見ることができませんでした。

 女性が川の合流地点で裸になって飛び込むそうです。今回、それは見ることができませんでした。
 とにかく、大勢の巡礼者が集まって来て、さまざまなパフォーマンスを繰り広げているのです。

 遠藤周作の『深い河』に、この川が合流する地点のことが語られていたように思います。どのように描かれていたのか、いつか確認してみます。

 ホテルに帰ると、2階の少し広めの部屋に替わることになっていました。私を見て、階段を上がれる奴だ、と思ってくれたようです。
 1階の時と大違いで、静かで落ち着く部屋でした。ただし、蚊が3匹いました。電気蚊取りは緩やかすぎて、蚊を追い出す効力しかないようです。宗教心の顕れと、好意的に解釈することにしましょう。
posted by genjiito at 23:26| Comment(0) | ◆国際交流

あまりにも煩くてホテルの部屋を変えてもらう

 アラハバードのホテルはいい雰囲気です。
 気に入りました。しかしです。
 昼間の工事は別にしても、夜の11時を過ぎても部屋の外が煩いのです。

 私は一階の奥の部屋でした。ところが、その隣が配膳室だったので、ガチャガチャと食器の音がします。また、ホテルのスタッフの方々の休憩場所もその横だったので、ずっと声が聞こえます。ヒンディ語なのでわからないとはいえ、その抑揚や笑い声が気になり出しました。
 夜中の1時半を過ぎても、人声が煩いのです。
 おまけに、ひっきりなしに電話の呼び出し音が聞こえます。どこかと連絡をとっておられるのでしょうか。

 朝になって朝食をいただくときに、夜中じゅう煩いので部屋を替えてほしい、と頼みました。
 マネージャと相談するので、少し待ってほしいとのことでした。

 午前中からアラハバード大学へ行くことになっていました。
 朝早く村上さんがタクシーで迎えに来てくれたので、部屋の荷物のことをフロントに伝えて出かけました。昨夜、街中の大きなショッピングモールの中にあるスーパーマーケットで、チーズや牛乳を買いました。


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 それが冷蔵庫に入れたままだったので、それも新しい部屋に移してほしいと伝えたのです。



 後で村上さんに聞くと、ホテル側としては私の年齢が64歳だったので、2階の部屋では階段の上り下りが大変かと思い、1階の部屋にしたとのことだったそうです。
 老人扱いされていたのです。
 インド人は、そんなに早く老けるのでしょうか。

 さて、帰ってからどんな部屋に移ることになるのか、大いに楽しみです。
posted by genjiito at 08:45| Comment(0) | ◆国際交流

2016年02月16日

世界一大きなアクシャルダーム寺院で考えたこと

 ネルー大学でのデモが、マスコミの情報などによると、さらに教職員と学生のストへと展開していることがわかりました。先日来の2回のネルー大学訪問で、その様子が非日常のものであることが、朧気ながらも想像できます。私が昭和44年に、高校3年生の時に体験した学生運動を思い出します。
 「ヒンドゥスタン・タイムス」(2016年2月15日)の1面にも、重大記事として掲載されています。
 右側の記事のタイトルに「JNU」とあるのが、ジャワハルラル・ネルー大学(Jawaharlal Nehru University)の略称です。


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 今日の「ヒンドゥスタン・タイムス」(2月16日)の1面中央には、さらに詳しい現状が報告されています。
 この記事のタイトルにある「DU」はデリー大学(Delhi University)のことです。


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 こんな時に、わざわざ学内に近付くことは避けたいものです。
 デリー大学とネルー大学の卒業生たちから、日本文学に関する多くの貴重な情報をもらっています。それを整理することに、この予定外の時間を当てました。

 早朝よりいろいろな方に電話をし、メールを出し、可能な限りお目にかかって、今回のインド訪問の目的を達成するために手を尽くしています。
 まさに、日本でも海外でも、一年365日24時間態勢での仕事となっています。
 この土日も、フルに情報収集と打ち合わせをしているのですから。

 インターネットは便利です。しかし、いつでもどこでも情報が共有でき、何でも届けることができるので、休息日を確保するのが大変です。自覚の問題だとはいえ、特に順調にミッションが推移しているこんな時には、休む、止める、という勇気が必要です。ただし、それが、今の私にはなかなかできないのが実情です。

 翻訳をお願いする方々への連絡は、思いの他手間がかかります。
 コツコツと、お一人お一人に説明をして進めているところです。

 デリー市内で日本人が多く居住しているといわれる、ディフェンスコロニーの中にある中華レストラン「赤坂」に、お昼ご飯を食べに行きました。この隣のバーには行ったことがあります。
 このお店の名前が、日本料理屋さんを思わせるものであることの理由がわかりました。政治的な流れの中での命名だったのです。観光客を引き付けるためばかりではないという、いろいろと深い意味があってのことだとわかりました。


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 午後は、気分転換も兼ねて、デリー市内からは郊外にある、アクシャルダーム寺院へ行きました。世界一大きな寺院として、ギネスブックに登録されている新興のお寺です。宿の前からオートリキシャに乗り、30分ほどで行ける近場でした。ヤムナー川の対岸へ渡ったのは初めてです。


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 クマール君との待ち合わせは、寺院の入口でした。その入口付近は、とにかく人ヒトひとの、黒山の人だかりです。万に近いという喩えではなくて、実際に1万人以上の人が入場を待っています。

 この寺院では、別の所がテロにあったこともあり、セキュリティが非常に厳しくなされています。携帯電話やカメラなど、電子機器はすべて飛行機並に持ち込み禁止です。それらを預ける場所の列が、ほとんど前が見えないほどです。
 1時間の待ち時間と言われると、1970年に大阪で開催された万国博覧会を知っている者としては、ひたすら並ぶことに抵抗はありません。しかし、牛歩戦術のようにじりじりと前に進む行列に付き合うのは、やはり大変です。

 持ち込み禁止の物を預けた後も、ボディチェックのためにまた並びます。男女別に別れる所に来ると、みなさん一斉に我先にと猛ダッシュとなります。このパワーはどこから来るのでしょうか。

 30分ほどの近場と思ったのが、入場するのにさらに2時間もかかりました。
 早々と携帯もカメラも取り上げられたので、写真はありません。
 何も身に着けないことの自由さと、目の前に見えるものに集中することのよさを、あらためて思い知りました。
 人と連絡したい、連絡があるかもしれない、写真に記録しておきたい、という思いを振り捨てることは、ある種の快感があります。

 寺院の中はすばらしいものでした。特に、大理石の彫刻群が圧巻です。色っぽい姿態の女神が数多く彫られていて、自ずから目を惹きます。

 大勢の子どもたちが親子連れで来ているのは、日曜日であることと、広大な寺院の開放感と、彫刻の美に加えて、無料で入れることもその理由となっていそうです。

 大きなホールのような大食堂で南インド料理をいただきました。

 帰りに、メトロの駅のホームからライトアップされた寺院を撮影しました。


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 明日以降のこともあるので、メトロのトラベルカード買いました。日本のスイカやイコカに類する、チャージをして使うものです。


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 メトロが市内に展開するようになってから、移動が便利になりました。
 サイクルリキシャやオートリキシャで移動していた数年前が、嘘のように一変したのです。
 ただし、それに伴って、リキシャの視点で街を見ることが少なくなり、インドを実感することが希薄になっていくのも事実です。
 私が京都を自転車で移動するように、インドも人力で移動する視点で見て回ることに意義がありそうです。それを放棄してメトロに頼ることに、我ながら逡巡するものが意識の片隅にあります。しかし、便利さに押し切られそうです。

 こうして、生活の中からその地域独特の文化を受け入れる姿勢が変化し、外から眺めるだけの、通りすがりの旅人と化していく自分がいることに気づかされました。

 「私もインドで考えた」と言えそうな、ささやかな発見です。
posted by genjiito at 18:36| Comment(0) | ◆国際交流

2016年02月11日

デリーでの第1夜は仕事漬けです

 今回のデリー行きは、JALを使いました。
 機内での映画は、私が観たいものがなかったので、『スティーブ・ジョブズ』だけを観ました。共感することの多い映画でした。

 夢を持っている人とのお付き合いを、もっと大切にしたいと思いました。信念を持ち続けることの大切さが、映画の中のジョブズの生き様から伝わってきます。単なる成功者の物語ではないところが、この映画の見どころです。ただし、娘のリサの扱われ方に中途半端な感じを抱きました。

 観たい映画がなかった分だけ、機内で多くの仕事ができました。
 着陸時のアナウンスによると、デリーの気温は25度だそうです。
 東京よりも10度以上も暖かいのです。
 冬のデリーは日本と同じ気温だと思っていたので、しっかりと防寒対策をして来ました。ユニクロのヒートテックの出番は、予定よりも少なくなりそうです。

 空港内のトイレの絵を見ると、新しいインドを印象付けられます。


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 入国審査の所の壁面にも、インドらしい意匠が凝らされています。


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 空港では、国文学研究資料館に研究生として数年来ていたクマール君が、久しぶりに元気な姿を見せてくれました。身体も大きくなり、逞しい青年になっています。日本には、もう7年も行っていないとのこと。インドで翻訳の仕事をしているのです。才能豊かな若者なので、これからがさらに楽しみです。

 宿舎まではタクシーで一緒に行きました。車中でも話が止まりません。彼も喋りたい、私も喋りたいで、とにかくずっと会話が途切れません。

 ワールド・ブッティスト・センター(WBC)は、前回来た3年前とまったく変わっていません。いや、一つだけ変わりました。それは、インターネットが有線から無線になったのです。これは、一大変革です。

 クマール君と一緒に、簡単な夜食をいただきました。
 ダルのカレーとカリフラワーは、いつ来ても素朴で口当たりのいい食事です。


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 これから数日、こんな薬膳料理の日々です。チベットの方が料理を作っておられるので、身体に優しい味付けです。まったく辛くありません。刺激物が苦手な私には、ぴったりの食事なのです。

 日本とインドとの時差は3時間半です。これは、身体への負担が少ないので、欧米へ行った時とは格段に楽です。
 デリーでの第1夜は、もう少し仕事をしてから寝ることにします。
 今、インド時間で真夜中の23時半、日本では夜明け前の3時です。
posted by genjiito at 03:19| Comment(0) | ◆国際交流

2016年02月10日

160210_成田からインドへ出発する前に

 毎度のことながら、バタバタする中での旅立ちです。
 引き受けていた仕事は、9本の内4本しか仕上げられませんでした。
 関係者のみなさま、少し遅れます。申し訳ありません。

 昨夜は、業務に関する書類4種類に関して記述内容を追加してほしいとの指示が来たために、急遽手直しをして再提出することになりました。
 押印が必要な書類です。しかし、旅立ちの直前でもあり、郵送はもとより、職場に持参する時間がありません。
 職場での書類はいまだに印鑑が必要なものがあるので、こんな時にはどうしようもありません。
 かくなる上は、ということで、宿舎を同じくする同僚の所へ夜分に行って頼み込み、明朝出勤したら手渡ししてもらうことにしました。
 これまでにも、こんなことがありました。感謝、感謝です。

 今回は10日ほどの旅です。しかし、その準備となると、毎回あれやこれやと手間取ります。
 お土産は、お世話になることがわかっている9人分と追加1個を用意しました。
 2月に海外へ行く時には、女性にはお雛祭りに関係するお菓子を、男性には抹茶をまぶした煎餅を持参します。特に、パリパリした煎餅やおかきは海外で喜ばれるので、お目にかかる相手をイメージしてお土産選びをしています。お土産の用意だけでも、けっこう時間がかかるものです。

 今朝は、地下鉄東西線の門前仲町から船橋まで出て、京成船橋から空港第2ビルへと乗り継ぎました。約1時間半、順調な出発 … のはずでした。しかし、そこは私のこと。そうすんなりとはいきません。
 門前仲町のホームに立つと、ちょうどいい具合に西船橋行きが来ました。ホームにいた駅員さんに、この西船橋行きは船橋に留まりますか、と聞きました。すると、留まるとのことだったので、乗り込みました。駅員さんに京成乗り換えで成田空港に行くと言うと、船橋から少し歩くけど、とのことです。

 電車に乗っていて、これはおかしいと気付きました。大急ぎでiPhone を取り出して調べると、船橋はこの電車の終点である西船橋の次の駅なのです。面倒なことになります。すぐ後に来る津田沼行きなら、西船橋の次の船橋に留まります。大急ぎで一旦電車を降りて、後に来る電車に乗り換えました。
 門前仲町のホームでは、駅の整理員ではない方に聞きました。年配の方で、親切に教えてくださったのです。しかし、その方の指示は間違っていたのです。
 あの時、「この次の電車なら、西船橋で乗り換えずに船橋まで行けますよ。」の一言があればよかったのに。
 海外の方がますます増えるのですから、自信たっぷりに間違った案内はしないようにしてほしいと思います。私は、なんとか切り替えて事なきを得ましたが。

 一人旅なので、持ち物は少なめです。ただし、仕事をたくさん抱えているために、資料がいつもより多いのが頭痛の種です。
 成田空港に行くのは、いつも何かがあります。鬼門です。

 出発ゲートは66番です。空港の一番奥です。遠出のウォーキングをすることになりました。

 慌ただしく飛行機で出かけ、現地では時間と移動に追われる日々を送り、とる物も取り敢えず用事をすませたらとんぼ返りで帰ってくることになるはずです。
 多くの方に会い、面談と打ち合わせの連日となります。
 のんびりとした旅とは、いつになっても無縁です。
posted by genjiito at 11:10| Comment(0) | ◆国際交流