2026年07月27日

古都散策(86)お茶のお稽古の後は奈良の観光施策を考える

 大和西大寺までの道中は、昨日とは打って変わって秋の気配すら感じました。
 駅前からお稽古の会場までは歩いてすぐなので、陽射しに当たるのはほんの数十秒です。NPO法人〈源氏物語電子資料館〉が主催する源氏講座も、京都駅前・宇治駅前・日比谷公園内と駅に近いところなので、便利なターミナルにあるというのは定期的に行く場所としては大助かりです。

 今日は、洗い茶巾のお稽古をしました。
 これまでの桑子卓とは違い、涼しさを演出する仕掛けが盛られています。まず、茶碗に水を張り、そこへ茶巾を入れて持ち出すところからして違います。ガラスの器に黒塗りの丸い蓋がある水差しを使い、蓋は半月に折り曲げて開けます。最後に、柄杓と蓋置きを水差し上に置いて終わるのも、私が大好きなお点前です。

 茶碗に水が入っている間は、手を茶碗に添えて両手で扱います。この、微妙な違いが、かつてやったお作法とはいえ、すっかり忘れているのでうろたえます。
 頭の中は、こうだったかなとフル回転でお手前をしました。先生からは、至る所でささやきの指示を受けました。

 後ろのテーブルで立礼のお稽古をしていた妻は、家での練習ではきれいに出来ていた帛紗さばきが、先生の前では緊張するのかバラバラだったようです。しかし、お茶を点てる時の茶筅の振り方はずっとよくなった、と先生に褒めていただいていました。
 嬉しい、とか楽しいと言う声が聞こえていました。何事も、楽しいことが一番です。

 昨日よりは暑さが少しマシとはいえ、やはり気を許せない熱暑です。
 近隣の史跡や遺跡の散策は控えて、真っ直ぐに帰りました。

 行きも帰りも、電車の中の8割方は海外からの観光客でした。京都を起点にして奈良に遠出をし、日本の原風景を満喫して京都に帰る、という行程のようです。乗った電車は、京都発の奈良行きでした。
 奈良では夕方になると早く店を閉めるので、ゆっくり泊まることもなく京都へ帰ることになります。
 20数年間、奈良の生駒で子育てをした元奈良県民としては、いろいろとお薦めの場所があります。しかし、レンタカーを使わない限りは、夕食は京都で、ということになります。

 今の内閣総理大臣は奈良県選出の女性です。昨日、飛鳥と藤原の宮都がユネスコの世界遺産として登録されました。東アジアの古代国家が成立した過程を証明する遺跡群が、世界的に注目されています。

 石舞台古墳や高松塚古墳のことは、多くの日本人が知っています。私が大好きな松本清張の『火の路』は、飛鳥の酒船石などの石造遺物と古代ペルシアのゾロアスター教(拝火教)とを結びつけた、スケールの大きな清張史観を展開する古代史ミステリーです。海外の方々も、興味をもつ物語性があります。あとは、こうしたものをどう海外の方々に問いかけるか、ということに尽きます。そうです。物語作者の出番です。

 今や、奈良は魅力的な観光資源を抱え持つ地域になったのです。
 鹿さんのことで頭を悩ませる延長線上に、こうした問題への積極的な対処策を生み出してほしいものです。

 私は、平城京と平安京を対立させるのではなく、京都の文化へと繋げる中継ぎ役に徹するという発想が、こうした問題の決め手になると思っています。観光地が点在しているということは、ストーリーさえ魅力的であれば、もう一つ行ってみよう、もう一日泊まろう、という思いにさせることが可能です。点を繋げるプランを提示し、それらが京都の文化と結びつくように仕向けるのです。そのためには、近畿圏内での文化の移り変わりという、大きな視点が必要です。

 京都と東京は文化的には断絶しています。そこで、近畿圏内で文化の遷移を体感してもらうのです。移動が重要な要素となります。その点では、近畿地方は私鉄が発達しているので、ストーリーさえ提示できれば、リピーターは増えます。
 今こそ、物語作者が観光に寄与すべき時なのです。




posted by genjiito at 21:36| Comment(0) | ・古都散策
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