2026年05月23日

キャンパスプラザ京都で相愛大学本『源氏物語 藤裏葉(断簡)』を読む(第4回)

 キャンパスプラザ京都(京都市大学のまち交流センター)の正面ホールには、いつものように本日の勉強会の案内が掲示されていました。

260523_案内板.jpg

 今日は、過日の相愛大学で調査したことの報告からしました。
 3日前の本ブログに書いたように、持参した顕微鏡でわかったことなどをお話しました。
 相愛大学のこの写本は、700年から800年前に書き写されたと思われるものなので、こうして精密機器を活用することで疑問点などを解明しています。感触としては、ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「須磨」「蜻蛉」や、国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」と並ぶか、その少し前に位置する写本ではないか、との思いを抱くようになりました。いずれも、何度か実見しての感想なので、そんなに大きく外れてはいないと思います。その一端の報告を、まだまだ私見ながらも今日少ししました。

 次に、プリントに取り上げた、普通選挙(昭和4年)のポスター(京都新聞、2026.05.12)に書かれていた、「奈」や「尓」の文字の意味を考えました。
 「そん奈ら〜奈いか」とか「【明日】尓」と書かれていることです。この資料は、まだ女性に投票権がない時代のものです。しかし、25歳以上の男子で納税資格の縛りがない条件での選挙だったので、一般市民向けのチラシでありポスターということになります。その中に、今では使われない仮名文字があるので、こうした文字は昭和4年時点で日常生活の中で使われていたということになります。国政選挙ではなく地方議会選挙の時のものなので、貴重な資料です。京都府立京都学・歴彩館で公開されているので、後でゆっくりと拝見することにします。

 お店の看板(伏見区桃山御陵前)に、「うな希」と書いて「うなぎ」、「希々花」と書いて「ののか」と読ませ、「う越弥」の横に「う我弥」と書く看板があることもお話しました。
 これは、先週の日比谷図書文化館でも紹介した例です。街中には、日本語の正しい使い方とは異なる仮名文字が、こうして民間レベルの勝手な解釈や判断や誤認で表記されている事例を見かけます。その一端の報告です。あらためて、仮名文字とは何かを考えさせてくれます。

 「教科書に見る平安朝・小学校−国語」も取り上げました。教科書の監修に関わった池田亀鑑の影響力が大きかったことを、具体例を元にしてお話しました。詳しくは本ブログの「教科書に見る平安朝・小学校−国語(6)教育出版(その3)」(2010年11月22日、http://genjiito.sblo.jp/article/178934956.html)をご覧下さい。

 今日の相愛大学本「藤裏葉(断簡)」の3回目は、第4丁裏から第7丁表の5行目の「めや可なる」までを確認しました。

 まず、凡例に付加情報としての〈*〉を追加して、字母である漢字の再確認がしやすいようにする対処を決めたことの、具体的な説明をしました。参会者のみなさまには。了解していただきました。その新しい方針の元で、今日の[変体仮名翻字版]の確認を進めました。「■/奈〈*〉」となっている箇所がそれです。以下では、赤字で示しています。


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■相愛大学本「藤裏葉(断簡)」(今回:第4丁裏〜第7丁表まで)
  [変体仮名翻字版] (翻字:辻 義孝/確認:伊藤鉄也)
   ・翻字データの中にある付加情報(/)の記号について
     傍書(=)、 ミセケチ($)、 ナゾリ(&)、
     補入記号有(+)、補入記号無(±)、 和歌の始発部( 「 )・末尾( 」 )、
     底本陽明文庫本の語句が当該本にない場合(ナシ) 、 翻字不可・不明(△)
    ※「宇(う)」が特徴的な字形となっている。
    ※「【見】」に「三」を使う傾向がある。(ハーバード本「蜻蛉」と同様)

※字母(漢字)に近い字体が複数ある時には、付加情報〈*〉を付す場合がある。

  [例] 多/多〈*〉


260514_2種類の多.png


※判断に迷う字は次のようにする
  [例] 奈れ/奈〈*〉 (判断に迷う文字(「な」か「奈」)の字母・字体を再確認できるようにする。)

 相愛本「帚木」10丁裏8行目
260514_「帚木」10uL8な奈.jpg


※判断に迷う字で判読を併記する場合
  [例] なりたり/た〈*、判読〉 (「た」を判読として、字母・字体を再確認できるようにする。)

 相愛本「橋姫」14丁表5行目
260514_相愛「橋姫」14uL5なりたり.jpg



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佐毛・於ほし者ゝ可里ぬへ
き/(於ほし者者可里ぬへき)・【事】奈れ八・王多り・【給】ぬ・【御】つ可日の・ろ
く・奈へ弖ならて/奈〈*〉・堂てま川里・【給】へり・
【中将】・を可しき・さ満尓・毛てなし・堂満
ふ・つ祢尓・ひき可く新川ゝ/(ひき可く新川川)・可くろへあり
きし/り〈行末左〉・【御使】・介ふ八・を毛ゝちなと/(を毛毛ちなと)・【人】/\
志弖/(【人人】志弖)・布るまふ免り・うこ乃そうなる・
【人】の・む川まし宇・於ほし・つ可ひ・【給】奈り
遣り・【六条】乃をとゝ毛/(【六条】乃をとと毛)・可くと・きこし
めして・遣ふ・【宰相】・つ祢より毛・いと・い堂う・ひか里/か〈次頁〉、(4ウ)
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そひ弖・まいり・堂満へれ八・うち
ま本里・堂まひて・遣さは・い可尓・布三なと・
毛能新川や・さ可しき・日と毛・をんなの・
すちは・三堂るゝ/(三堂るる)・多免し・ある越・日と王
ろく・可ゝつらひ/(可可つらひ)・こゝろいられ/(こころいられ)・世弖・春くさ
れ堂る奈ん/奈〈*〉・すこし・日と尓・ぬ遣堂る・三【心】
となむ・於ほえ遣累・をとゝ乃/(をとと乃)・三越き弖乃・
あま里・すく三て・なこり奈く/奈〈*〉・ゝ川をれ/(く川をれ)・多
万ひぬる越・よ【人】毛・い日い川る・【事】・あらむや・
さ里と弖毛・【我】・可堂・ゝ遣う/(堂遣う)・【思】可本尓・心於こり/於〈次頁〉、(5オ)
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新弖・すき/\しき/(すきすきしき)・こゝろ者へ奈と/(こころ者へ奈と)・
毛らし・【給】奈・さこそ・をいら可尓・於ほきなる・
【心】を幾てと・三ゆ礼と・し堂乃・こゝろ者へ/(こころ者へ)・
をゝし可らす/(ををし可らす)・く勢・【有】弖・日と・三え尓く
き・【所】・川き・堂る・【人】奈り那と・れいの・をしへ・
きこえ・【給】・【事】・うちあひ・めやすき・【御】ゆ可りと・
於ほさる・【御事】毛・みえす・ゝこ新可/(すこ新可)・この
か三とそ・【見】え・堂まふ・本可/\尓弖は/(本可本可尓弖は)・奈
し/±を(を奈し)・可越・う川し多ると・三る越・を満へ尓て
八・さま/\/(さまさま)・あ奈/奈〈*〉・めて多と・みえ・【給】へり・をとゝは/(をととは)、は〈次頁〉、(5ウ)
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うすき・【御】奈越し・新ろき・【御】その・可ら
免き堂累可・毛む・介さや可尓・川や/\と/(川や川やと)・す
き堂るを・堂弖まつ里て・なを・つき世す・
あ弖尓・なま免可新宇・於八します・【宰
将】のき三八・すこし・【色】・ふ可き・奈をし尓・ちや
新そめの・古可累ゝ満弖/(古可累累満弖)・新める・こゝ/(ここ)・あや能・奈
川可しき越・き・堂まへる・こと佐ら免き弖・
えむ尓・三ゆ・くわむ宇ふ川/宇$、く=卯月八日事也、傍卯〈判読〉、(くわむふ川)・井て・堂て満
川里弖・【御】堂宇し・をそく・まいり遣れは・
ひ・く礼弖・【御】可多/\より/(【御】可多可多より)・わら八へ・川くろ日い多し/(6オ)
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ふ勢奈と・於ほや遣さま尓八・可者らす・さ満/\
尓/(さ満さ満尓)・新・堂まへ里・をまへ乃・さ本宇越・う川
新弖・き三多ちなと毛・万い里川とひ弖・
奈可/\/(奈可奈可)・う累八しき・【御前】より毛・ナシ・こゝろつ可ひ/(こころつ可ひ)・世
ら礼弖・をくし可ち奈り/△&ち・【宰相】八・し川【心】奈
く・いよ/\/(いよいよ)・遣さうし・日き川くろ日て・いて・
【給】を・王さとなら祢と・奈さ遣堂ち・堂まふ・
王可き・ひと/\八/(ひとひと八)・うらめしと・於もふ毛・【有】介り・と
古ろ乃・川毛り・と里そへ弖・【思】・やうな累・【御】
奈可らひ奈免れ八・三川・毛らむや八・あるしのをとゝ毛/(あるしのをとと毛)、の〈次頁〉、(6ウ)
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いとゝしき/(いととしき)・ち可まさ里越・う
川くしき・毛乃尓・於ほして・い三し宇・も弖
可新つき・ゝ古え/(き古え)・【給】・ま遣ぬる・可堂能・くちをし
さは・な越・ゝ本勢と/(越本勢と)・川三毛・乃こる満し宇・ま
めや可なる・[2026/05/23 ココマデ] 御こゝろさまなと能/(【御】こころさまなと能)・としころ・事
こゝろ/(【事】こころ)・なくて・祢んしすくし・堂まへるなと
を・【有】可多く・於ほしゆるす/於〈*〉・【女御】の・【御】【有】さ満な
とよ里毛・者那や可尓・免弖堂く・あらま
本し遣れ八・き堂能可多・さ布ら婦・【人】/\
奈とは/(【人人】奈とは)・こゝろよ可らす/(こころよ可らす)・於もひ・いふ毛・あれと・奈尓能/奈〈*〉、尓〈次頁〉、(7オ)
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 今日も、中身の濃い内容だったと思います。丁寧にお話したので、その意図は伝わったと思っています。

 次回は、来月27日(土)第5講習室で開催します。また楽しく変体仮名を勉強していきましょう。

 帰りに、いつものように京都ヨドバシカメラに行きました。4月から「海鮮回転寿司がんこ 京都ヨドバシ店」が、6階のレストラン街に開店していたことを知りました。早速、行ってみました。
 我が家は、一人一食1,200円以内を原則としています。ここは、価格が少し高めに設定されていたので、小腹を満たす程度にしたはずなのに、2人で3,000円を超えていました。いつものように、最後にはデザートをいただくのに、今日は予算がオーバーしたので別のお店へ行きました。
 回転寿司を標榜するお店にしては、値段が高いグループに入ると思います。もっと安くておいしいお店がいくつもあります。もう京都では、インバウンド客を想定しての営業はしていないお店が多いので、このご時世に高価格となっているのには何か理由があるのでしょう。
 私がよく行く、回転寿司ではないもののイオン京都の中にある高木鮮魚店の方が、価格も味も新鮮さも比べものにならないほど上です。
 ただし、1つだけ興味を惹いたものがありました。壁に懸かっていた絵が、『源氏物語』の絵だったのです。記録として撮影しただけなので、細かな分析は今はできません。また何かの折にでも、正面から撮影したいと思っています。

260523_がんこ寿司のG絵.jpg

 なお、生成AI氏にこの写真を見てもらいました。しかし、どうも私の感触とは大きく隔たる解説だったので、今ここでの紹介は止めておきましょう。さらにきれいな写真が撮れた時に、あらためて生成AI氏に聞くことにします。






posted by genjiito at 21:59| Comment(0) | ■講座学習
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