2026年05月20日

相愛大学で鎌倉期『源氏物語』の原本調査

 現在、相愛大学の春曙文庫所蔵の『源氏物語』を、京都と宇治と東京の社会人講座で読んでいます。正確に言うと、本文を[変体仮名翻字版]に翻字して確認をしています。

 すべて断簡ながら、「帚木」「藤裏葉」「橋姫」「宿木」「浮舟」の5帖が、相愛大学に伝わっています。鎌倉時代の貴重で興味深い本文が、断簡ながら字母レベルで確認できるデータベース作成の一環として、手元の本文データ群に取り込むことにしたのです。

 より精度の高い本文データベースとなるように、原本も直接確認しています。
 今日は、相愛大学の図書館で、昨年3月の事前調査を踏まえた、2回目の調査としての熟覧を実施しました。

260520_図書館.jpg

 NPO法人〈源氏物語電子資料館〉の理事でもあるTさんと、手分けしながら本文を丹念に確認しました。そして、まずは半分を終え、後は来週です。

 図書館長とは、今回の調査の目的やこれまでのシリーズの5冊目として刊行すること、さらには臨模本も作成することをお話ししました。快くご理解いただき、ご高配いただけることになりました。一安心です。

 今回私が見た中では、「橋姫」で6ヶ所を補正することができました。やはり、原本を見ないとわからないことがたくさんあります。

 1例をあげます。

 「橋姫」の9丁表7行目に、次のナゾリとミセケチと傍記があります。国文学研究資料館から公開されている当該箇所の画像を引きます。

260520_相愛「橋姫」9oL7个り全体.jpg

 ここには、「へ」と「个り」が重ね書きされています。ここでは、どちらの文字が上に書かれているかがわかると、どの字にどの字がナゾられているかがわかります。墨の重なり具合を見るのです。

 今日は顕微鏡を持参していたので、図書館の許可をいただいてこの箇所を撮影しました。
 すると、ご覧のように、縦と横の線が交差する箇所で、縦の線が上に、横の線が下に書かれていることがわかります。つまり、「へ」の上から「个り」が書かれていたことになるのです。

260520_相愛「橋姫」9oL7个り.jpg


 そして、上に書かれた「个り」をミセケチにして、その横に「个り」が書き添えてあります。

 精巧な機器を活用すると、墨の乗り具合や、削られた文字の下に書かれていた文字などがわかります。本文を調査する際には、有効な補助具となります。

 帰りは、住之江公園駅経由でなんばに出ました。あまりの懐かしさに、つい降りてしまいました。何年ぶりでしょうか。
 かつては、なんばや日本橋に自転車を置き、そこから高校へ通勤していました。1981年(昭和56年)頃のことです。このコンピュータの黎明期に私は、電気屋さんの店頭で、小中学生たちにプログラミングを教えてもらっていたのです。basicという言語が出る直前で、マシン語と言われていました。
 まだ、パソコンで漢字や平仮名が使えなかった時代です。半角カタカナと英数字を駆使して、『源氏物語』の本文データベースを作っていた時代です。秒進分歩と言われたあの頃は、情報をいかにして得るのかに腐心していたのです。そして、さまざまな可能性を夢見ていました。

 そんな懐かしい思い出があるなんばには、どうしても行きたかったお店があります。千日前にある551の蓬莱です。母は、なんば花月に行った帰りには、必ず551のアイスキャンディを買って来ました。子供たちも、母が帰ると玄関に飛んで行き、何はさておきアイスキャンディを手にして大喜びでした。

260520_551蓬莱.jpg

 京都の高島屋や伊勢丹にも551はあります。しかし、アイスキャンディは季節限定なのです。今年は猛暑が早く来そうなので、5月末には店頭に並ぶかもしれません。いや、もう並んでいるかもしれません。

 それが待ちきれずに、なんばを通ったことを幸いに、20本をいただいて来ました。いつもの豚まんやシュウマイはパスです。
 なんばからは、近鉄で大和西大寺駅経由で帰りました。




posted by genjiito at 21:17| Comment(0) | ■変体仮名
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