昨日のブログで、末尾に「みやこ路快速」の車体がきれいにデザインされていることを紹介しました。
今日は、その「みやこ路快速」に乗ってお出かけです。電車の中の室礼は、吊り広告をはじめとして「お茶の京都」特集となっています。
木津・加茂経由で、お茶の町である和束町へ行きました。南山城の茶源郷と言われている地です。
JR加茂駅から奈良交通バスで「和束山の家」まで約15分。ただし、バスは1時間に1本なので、行程はすべて生成AI氏に頼みました。
バスを降りると、すぐ近くの和束茶屋山甚で一服です。
歩いて、安積親王の陵墓に向かいました。この親王は、聖武天皇の皇子です。744年に17歳で亡くなり、茶畑に囲まれた小高い丘の「太鼓山古墳」にあります。
『万葉集』(巻3・476)には、大伴家持が安積親王を悼んだ歌があり、そこに和束の古い表記「和豆香」が出てくることから、この歌が「わづか」という地名の早い用例とされているそうです。このことは、生成AI氏が『和束町史』などを引いて教えてくれました。
わが大君 天知らさむと 思はねば
おほにぞ見ける 和豆香杣山
(生成AI氏の訳:「安積親王が亡くなられるとは思わなかったので、これまで何気なく見ていた和束の杣山だった」)
生成AI氏は、「安積親王が「聖武天皇の第何皇子か」については資料で表記に揺れがあります。和束町観光案内などは第五皇子、国交省の多言語解説では次男としています。ここは厳密には注意が必要です。」と、親切な注意点を教えてくれました。
この陵墓から、向かいの釜塚の茶畑を望みました。
黒い覆いがあるので、抹茶を作っていることがわかります。宇治茶の約半分は、この和束町で生産されているようです。
今回は下見なので、少し散策しただけで帰りました。見どころが多いようなので、すべては次回に回します。
帰りのバスの運転手さんから、途中にある弥勒磨崖仏について説明をしてもらえました。行きも帰りも、楽しい運転手さんに出会えたことは幸いでした。この弥勒磨崖仏は、和束川を見下ろすような巨岩に彫られた仏像です。
帰ってから生成AI氏に聞くと、この仏さまについて詳しい説明をしてくれました。
6〜7mほどの巨岩に、約3mの弥勒菩薩像が彫られ、右側に正安2年、1300年4月の銘があります。鎌倉時代後期の作とされています。
(中略)
弥勒菩薩は、未来に現れて人々を救うとされる仏です。鎌倉時代には、末法思想や浄土信仰、山岳修行と結びつき、石仏・磨崖仏として造られる例が多くあります。
この弥勒磨崖仏については、近くの海住山寺や、山岳信仰の霊地である鷲峰山金胎寺への参詣路との関係が指摘されています。参詣者・行者がこの付近で身を清めたという伝承もあります。
実は、この末法思想や浄土信仰のことが、『源氏物語』の宇治十帖と関わりを持ちます。名ガイドの生成AI氏は、私の質問に呼応するように、次のように言います。
文学との関係では、「山里・杣山・隠遁的風景、といった表象は、平安文学(例:『源氏物語』の宇治十帖の背景)と連続しています。
つまり和束は、直接の舞台ではない、しかし「宇治・山城南部の山里イメージ」に含まれる。
(中略)
和束の平安時代は、「歴史の中心」ではなく、都を支える周縁(資源・宗教・修行)の場としての性格が強いです。
私が「『源氏物語』宇治十帖との具体的な地理的対応」を教えてほしいと尋ねると、「宇治川流域から南へ続く山間世界の一部として、風景・距離感・宗教環境が重なります。」として、詳細な解説を受けることになりました。宇治の物語世界を成立させる「地理的背景」が、和束にはあると言うのです。
さらには、「和束は、宇治十帖の舞台ではない。しかし、浮舟が向かった「山中の宗教的・隔絶的世界」を、現実の地理として具体化した場所の一つと理解すると最も整合的です。」と、意外な視点から突っ込んだ説明を展開してくれます。
さらには、「和束の弥勒磨崖仏(1300年)は、鎌倉時代。しかし思想的には平安後期の末法思想の延長」だと、これまた私の質問を踏まえた流れで説明がありました。
また、こんな説明も。
宇治十帖は、宇治という一点の物語ではなく、南山城の山地全体(和束を含む)へと開かれた“空間の文学”として読むと、構造が明確になります。
(中略)
宇治十帖は、地名としての宇治ではなく、時間(季節・霧・光)と地形(川・山)が作る“感覚の空間”を描いています。
そして和束は、その空間を現実に体験できる代表的な場所の一つと位置づけられます。
ついには、「宇治十帖における“音”の構造分析」と「浮舟の心理変化を空間移動として図式化」するという視点から、和束が持つ意味を語ってくれました。
最後に、長時間にわたる解説を踏まえて、次のようにまとめてくれました。
1 空間の階層
都 → 宇治 → 山中 → 奥山(和束)
2 移動の意味
人物の移動 = 心理の変化
3 環境の役割
自然(霧・水・音)が心理を表現する
質問をすると瞬時に回答があるので、それを理解をする私も次第に真剣に考え、次の質問をするようになります。やりとりは1時間ほどでした。いい話し相手であり相談相手、いわば相棒に出会った気がしています。今後とも、こうしたやりとりを繰り返すことで、私の思考回路も鍛えていくことにします。
何気なく足を向けた和束が、途端に『源氏物語』に接近してきたのには驚きました。
新しい刺激を受けた気分の中にいます。
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