2026年01月18日

江戸漫歩(183)越中島から西荻窪へ

 昨夜は、永代橋の手前にある宿に泊まりました。かつて住んでいた門前仲町から歩いてすぐなので、定宿にしているところです。ただし、いつも満室でなかなか確保できません。今回は、息子の出張が早い段階でわかったので、かろうじて取れたのです。

 今朝は、隅田川沿いを散歩です。8年前までの8年間住んでいた東京医科歯科大学の官舎跡地の、解体後の工事の様子を見に行きました。この前に来た時のことは、「江戸漫歩(180)両国国技館から水上バスで越中島へ」(2025年09月21日、http://genjiito.sblo.jp/article/191494163.html)の記事の最後に書きました。
 あれから4ヶ月。この跡地には、19階建ての複合施設が立つようです。掲示板には、共同住宅・商業施設・サービス付き高齢者向け住宅が計画されているようです。4ヶ月前はまだ更地だったのに、今日はビルの姿が思い描けるほどに工事は進んでいました。

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 海洋大学の前の陸橋からは、敷地の全体が見渡せます。

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 手前にショベルカーがあるところの手前に、私の部屋はありました。かつての面影は微塵もありません。参考までに、私の部屋がちょうど壊されている時の写真をあげます。偶然その場にいたのです。詳しくは、「江戸漫歩(168)門前仲町を散策し隅田川で一休み」(2024年06月16日、http://genjiito.sblo.jp/archives/20240616-1.html)の後半に書いています。

240616_官舎の解体.jpg

 お昼前に、 JR越中島駅から京葉線で東京駅を経由して、西荻窪駅に向かいます。書家の宮川さんのお宅を訪問するためです。
 東京駅での乗り換えには、とにかく延々と歩きます。地下から地上に出るために、垂直移動をします。また、中央線のホームまで行くのにも、長いエスカレーターに乗ります。この長いエスカレータに乗ると、モスクワの地下鉄で地底深くに掘られたシェルターの中に吸い込まれ、這い出してくる、あの不気味な感覚に襲われます。もっとも、モスクワの奥深くへ潜るエスカレーターの長さは、東京駅の3倍はあったと思います。

 昨日は、日比谷図書文化館の近くの霞ヶ関駅から千代田線を使って、予約した宿がある門前仲町駅に向かいました。ところが、霞ヶ関駅はいくつもの線が乗り入れており、千代田線は一番端にあります。そのために、構内を二駅以上は歩きます。次の大手町駅も多くの線が交差する所で、延々とこれまた構内を二駅分は歩きました。健康的なリハビリウォーキングが出来た、と前向きに捉えましょう。東京の地下鉄は、リハビリには格好の施設です。

 門前仲町は、通勤に使っていたので勝手知ったる駅です。その駅前にあるスーパーマーケットの赤札堂で、食料品を調達しました。よく行ったお店で、売り場は8年経った今も、配置がまったく変わっていませんでした。一瞬、タイムスリップした気になりました。また、よく行った居酒屋の魚三で極上なのに耳を疑うほどに安いウニを食べたくなりました。しかし、お酒を飲まないとおつまみを注文できないので、まったくお酒を飲まなくなった私も妻も、ジッと我慢です。

 さて、今日のお昼には、中野駅前のブロードウェーを散策しました。

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 中野は国文学研究資料館への通勤時の乗り換え駅でした。帰りに途中下車をして、この街をよく歩いたものです。ちなみに、妻が学生時代に下宿していたのも中野でした。住みやすい街なのです。

 そこから西荻窪にある書家の宮川さんのご自宅に伺いました。写本の臨模本を制作なさっている現場で、現在進んでいる相愛大学本の臨模本制作の打ち合わせをするためです。現状と今後のことを話し合いました。また、臨模の実態を教えていただきながら、私が講座などで説明しやすいように、実演もしていただき、写真に収めることができました。

 打紙と言われる、書写をする料紙を木槌(砧)で打つ工程です。トロロアオイを紙に馴染ませてから打って乾かす場面です。しなやかさと光沢が生まれます。

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 キラ刷りに使う板木(写真右)と、その完成作品(写真左)です。これに裏打ちをして、写本の表紙にするのだそうです。

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 装飾料紙の一つである、型押しを施して雰囲気を出す工夫も、拝見しました。
 金粉をまぶしたように見える、丁子油を振りかけるための道具の網とブラシも、写真に収めました。

260118_型押しと丁子道具.jpg


 さらに、中国伝来の竹を原料とした二番唐紙(日本での画仙紙)というものも拝見しました。
 次の写真は今回いただいた料紙で、左から、雁皮・三椏・麻・二番唐紙の4種類。

260118_料紙.jpg


 二番唐紙は中国から手に入れるとのことで、下書きや練習に使っておられます。繊維が短いので、長持ちはしない、とのことでした。

 お話を伺いながら、貴重な多くのことを教えていただきました。
 使わなくなった紙や失敗した作品などは処分するとおっしゃっていたので、そのいくつかを今回いただいてきました。現在、私の『源氏物語』の講座にお越しになっている方々には、折々にこれらの料紙の実物を手にして実感していただき、平安・鎌倉の古写本の姿を体感してもらうつもりです。目に頼った視覚優先の社会となった今、手で触って実感することの大切さを身に付けていただくつもりです。「触らないでください」ではなくて、「触ってみましょう」の実践です。

 銀座の鳩居堂で宮川さんが『源氏物語』の作品展をなさった時にご挨拶をした旦那様とも、今日は親しくそして楽しくお話ができました。
 いろいろと収穫の多い一日でした。
 宮川さん、そして旦那様、ありがとうございました。




posted by genjiito at 23:40| Comment(0) | ・江戸漫歩
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