東京に着くと、いつものようにまずは有楽町に出ます。お昼ご飯は、駅前のビックカメラの中にあるスシローで腹ごしらえをします。その日に合わせて食べる量を調節できるので、消化管を持たない私は重宝しています。最近は、デザートが充実してきました。
ビルを出ると、東京国際フォーラムの広場で「大江戸骨董市」をやっていました。400もの店舗が出店しているそうです。東京駅の近くまで延びていました。大半が海外からの観光客のようです。ざっと見たところ、弘法市や天神市よりも相当高目の値札が付いていました。
日比谷公園に入ると、「魚ジャパンフェス 2025 in 日比谷公園」をやっていました。全国各地の新鮮な魚介を使った料理が集結する、日本最大級の魚食イベントでした。
最近私は、お寿司よりも海鮮ものに興味が移っているので、大いに期待して見て廻りました。しかし、その値段が我が家の予算の2倍から3倍だったので、このイベントは無縁のものだと諦め、早々に日比谷図書文化館に入りました。
入口では、いつもの掲示があります。
まずは、「ハーバード大学本『源氏物語 須磨』の変体仮名を読む」からです。
今日は、先日も中之島図書館の講座で見てもらった『探幽筆三十六歌仙』を12枚ほど持参したので、テーブルに拡げ、その概略をお話しました。これは、国宝『源氏物語絵巻』の「鈴虫(1)」(五島美術館蔵)の画面を赤外線写真で調査したところ、彩色の下から文字が出て来たことに関連して、絵に書かれた指示書きというもののお話につなげるものです。
実際に『探幽筆三十六歌仙』(架蔵粉本、一部数枚)を手に取っていただき、実感実証の体験をしていただきました。私がコンピュータグラフィックを駆使して描いた歌仙絵も見てもらいました。また、30年前に仲間と刊行した『パソコン国語国文学』(啓文社、平成7・1995年1月)を紹介し、その中に収録した「画像としての小野小町」(第4章、伊藤鉄也、添付フロッピーディスクに画像収録)についても話しました。
次は、前回先送りにした「天」と「弖」について、その識別のポイントを説明しました。併せて、「介」と「个」の識別方法についても説明しました。
ハーバード大学蔵『源氏物語 須磨』の「変体仮名翻字版」の翻字確認については、55丁表5行目から56丁裏まで、用意した資料のすべてを終えました。以下に、この部分の翻字をあげます。
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堂ゝあま尓毛/(堂堂)・なり奈ん・う三の・そこ尓
毛・いり奈んとそ・【思】ひける・ちゝ【君】/(ちち【君】)・【所】世く・
【思】ひ可し徒きて・とし尓・ふ多ゝひ/(ふ多多ひ)・す三よ
し尓・まうてさせ介り・【神】乃・【御】志る
志を・とく【見】者やとそ・於もひける・【251129_ココカラ】→[31]す満尓八・
としなと・可へりて・【日】・な可く・徒れ/\なる
尓/(徒れ徒れなる尓)・うゑし・王可き乃・さくらの・本の可尓・さ
きそめ・そらの・うらゝ可なる尓/(うらら可なる尓)・よろ川
乃・こと・於ほしいてゝ/(於ほしいてて)・うち奈き・堂満ふ・於里・
於ほ可り・【二月】・【廿】よ【日】尓・なりて・い尓し/(55オ)
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とし・【京】を・王可れし・【程】・【心】くるし介奈
里し・【人】/\乃/(【人人】乃)・【御】あ里さ満なと・いと・【恋】
しく・【南殿】乃・さくら八・さ可り尓・なり
ぬらん・ひとゝ勢乃/(ひとと勢乃)・【花】の・えむ尓・【院】能・
【御】介しき・【内】の・うへ乃・いと・きよらに・奈
満免きて・【我】可・川くれる・【句】を・春ん
しなとし・【給】ひし【御】あ里佐ま奈と・【思】い
てきこゑ・【給】・
「い徒と・那く・【大宮人】の・【恋】しき尓・
佐くら・可さしゝ/(可さしし)・介ふ毛・きに介り」・[32]いと/(55ウ)
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徒れ/\なる尓・可の於ほとのゝ/(於ほとのの)・【三位中将】八
【今】八・【宰相】尓・なりて・【人】可ら乃・いと・よ介れ
八・【時】よの・於ほえ・いと・於毛くて・【物】志・【給】へと・よ
乃【中】・あ者れ尓・あちき奈く・毛のゝ/(毛のの)・を
里ことに・こひしく・於ほえ・【給】へ八・こと乃・き
こゑ・あ里て・徒三に・あ多るとも・い可ゝは/(い可可は)・
勢んと・於ほし奈して・尓は可尓・まうて・
【給】へ里・うち三るより・め川らしく・うれ
しきに毛・ひと川・奈三多なら須そ・こ本
れる・すまい・【給】へる・さ満・い者ん可多奈く/く〈次頁〉、(56オ)
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可ら免い多り・【所】乃・さ満・あ多り・ゑ尓・可き
堂らん・やうなる尓・堂け・あ免る・可き・
志王多して・いしの・はし・【松】の・者しら・
をろそ可なる毛乃可ら・めつら可尓・を可し・
【山】可川めきて・ゆるしいろの・き可ちなる・
あを尓ひ乃・可里きぬ・さしぬき・うち
や徒れ弖・こと佐ら尓・ゐ【中】ひ・毛て奈
し・【給】へるし毛・い三しうみる尓・ゑ万れ・
きよらなり・とり川可ひ・【給】へる・てうとも・
堂ゝ/(堂堂)・可里そ免尓・うちして・於満し【所】なと毛/な〈次頁〉、(56ウ)
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1時間の休憩時間を置いて、次は「『百人一首』を2種類の変体仮名で読む」という2つ目の講座になります。
この時間は、『変体仮名でよむ 百人一首』(伊藤鉄也・吉村仁志 編、新典社、2025年5月)をテキストにして進んでいるものなので、今日はカルタの人物画がどのような性格のもので、どのようにして描かれたものであるのかということを、『探幽筆三十六歌仙』の実見を通して体験してもらいました。『探幽筆三十六歌仙』は画家の工房から出た資料なので、なかなか見られるものではありません。実際に見てもらい、その紙面などの実状をお話しました。
直前の講座にも出席しておられた方も数人いらっしゃるので、その時よりも詳しい説明をプリントに沿ってしました。
お話の内容は、「八人会蔵『探幽筆 三拾六哥仙』について」(『大阪明浄女子短期大学紀要 第8号』1994.3.10)(https://genjiito.sakura.ne.jp/t_ito/HTML/R2.3_ronkou/R2.3.1_MJ08kasen.html)に書いたことの要点をプリントにまとめて提示したので、相当詳しく歌仙絵の説明をしたことになります。興味を持ってくださった方が多かったようなので、またいつか、さらに具体的な歌仙絵の話をしようと思っています。
テキストである『変体仮名でよむ 百人一首』に関しては、37文屋朝康から43権中納言敦忠までの歌仙絵と和歌の説明をしました。
つい説明に時間をとったこともあり、配布したプリントにあった、自販機に『百人一首』の絵柄が描かれたものの紹介は、まったくできませんでした。これは次回にします。
終わってからは、今日の宿がある日本橋馬喰町に移動しました。
連日、慌ただしい日々が続いています。インフルエンザが流行し出した時期でもあり、しっかりとマスクをして街中を歩いています。
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