■「歯止め」
言うことを聞かず、ますます粗暴になる息子をめぐる話が展開します。さらには、病的性欲が問題となります。
同時に、姉が自殺した原因を妹は知りたく思っています。いろいろと調べているうちに、姉の自殺の真相に辿り着きました。
話が込み入っていて混乱し、私はうまく内容を整理ができないままに読み進めました。興味深い素材を扱った作品なので、時間さえあればもっと完成度の高い、胸を打つ話に仕上がったことでしょう。巧みな構成で人が死んだことが語られます。しかし、もっとわかりやすく整理して語ってほしかったと思います。
また、息子の異常な性欲を処理するために、母親は身をもって歯止め役を務めます。その病的性欲についても、もっと語ってほしいと思いました。いわゆる、自慰と勉学の問題です。清張らくしない、奥歯に物の挟まった歯切れの悪い語り口です。【2】
初出誌:『週刊朝日』1967年1月〜2月
※参考資料:『松本清張事典 決定版』(郷原宏、角川学芸出版、平成17年4月)では、本作について次のように言っています。
「母子相姦が生んだ悲劇を高校生の母親の立場から描いた問題作。」
■「犯罪広告」
養父だった男が母を虐待し殺した、ということを綴った文書を、村に配って告発した男の話です。
母親が埋められていると思われる、養父の家の床下を掘ります。しかし、何も出ません。
やがて、その告発した男も行方不明になり、母子がその男に殺された可能性が出て来ました。
犯人はほぼ特定できている形で、物語は進んでいきます。しかし、その確証が得られないのです。
事件は、ウミホタルが解決の糸口となり、その手口が犯人の自供書によって明らかになります。
読者には、いつ、どこで、どのようにして殺害されたのかが、最後までわからない構成となっています。ウミホタルが印象的な情景を読者に印象づける、清張の本領発揮と言うべき作品です。【5】
初出誌:『週刊朝日』1967年3月〜4月
※参考資料:『松本清張事典 決定版』(郷原宏、角川学芸出版、平成17年4月)では、本作について次のように言っています。
「犯罪告発が巻き起こす騒動を描いた風土色豊かな社会派推理。」(142頁)
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