京都駅のすぐ近く、西本願寺の前に龍谷大学の龍谷ミュージアムがあります。現在、「特別展 仏教と夢 ガンダーラから日本まで(夢でつながる教えの物語)」を開催中なので、行って来ました。
素晴らしい企画の展覧会でした。惜しむらくは、私にもっと幅広い知識があったなら、感性豊かに展示物から壮大な世界を思い描けたのにと思うと、自分自身に残念な思いが残りました。こうした環境に身を置けることのありがたさよりも、自分の中に「仏教と夢」の物語が大きく展開しないことに悔しい思いをしたのです。
展示物の名前や説明には、知っている用語や単語が散見します。しかし、それらがバラバラな知識の点に留まっていて、つながらないのです。
インドの説明が多かったので、何十回と行った中で学んだことが思い合わされました。しかし、それが散発の出来事で終わり、悠久の時間の流れの中で行ったり来たりします。えーっと、えーっとで終わります。返す返すも、もったいないことです。
明恵の夢の話には興味深いものがありました。大阪大学に提出した博士論文の副査をしてくださった荒木浩先生には、ご著書や論文のみならず、ハーバード大学で展示されていた明恵の夢の資料を見ながら、直接説明をお聞きする貴重な機会がありました。しかし、それらが具体的な内容を伴って、今思い出せないのでした。
横長の写本を見た時には、ミャンマーで見つけた書写の道具を使って書き写していることに思いが及びました。
天台山や五台山に関する資料の前では、中国浙江省天台県へ行った時のブログの報告記事が、インターネットのサーバーがクラッシュしたために関連する記事がすべて無くなってしまい、いまだに復元できないままであることを思い出しました。
絵伝をみると、マンガの駒割りを連想しました。
展示物を見ている内に、かつて通っていたインドの雑貨屋さんで見かけたり買って来たりした小物を、突然思い出しました。引っ越しの時にまとめてパックしたので、いつか取り出してそれらが何なのか、再確認したいと思います。得体のしれないガラクタであっても、研究の資料になるものが混じっているかも知れないからです。
シルクロードの遺跡にあった美術工芸品を、世界各国の探検隊が自国に持ち帰りました。大谷探検隊も、その例に漏れません。遺物はあった場所にあるのがいい、と思った時期もありました。しかし、宗教的な意味を持つものであればなおさら、異教徒によって破壊される現実を知り、文化財の保護という観点からも現場から避難させる意味での移動や持ち帰りは必要だ、と思うようになりました。平山郁夫の考え方に賛同しています。
そのような視点でみると、ロンドンの大英博物館が泥棒博物館と言われ、カイロの博物館の収蔵品が暴動の際に壊され持ち去られたことの意味が、いろいろに解釈されている実状がわかります。私がちょうどカイロに行った後に、政局の混乱に乗じて博物館の中が荒らされました。私が現地の先生や学生さんと見た物は、今も多くが行方不明です。「やはり野に置けレンゲ草」などという悠長な考えではどうしようもない現実の中に、宗教がらみの遺物や歴史資料があるのです。今回の展示でも、シルクロードの現地から持ち帰った物を見て、雑念が混じった視点で資料や史料を見ている自分を実感しました。
いろいろなものに接することでさまざまに反応する中で、自分自身が溜め込んで知っていることとの連携がスムーズに結びつくようにしたいものです。知識として断片的なものとして知るのではなく、知りえた点と点が連接して物語となるように、物の背景と共にさらに学んで行きたいと思いました。
館内のシアターでは、短編の映画を3本見ました。丁寧に編集された、よくできたものだったので、各テーマに沿った内容がわかりやすく理解できました。
(1)「ベゼクリク石窟」
(2)「仏伝浮彫で見る釈尊の生涯」
(3)「世にも素敵な当麻曼茶羅」
この内、「ベゼクリク石窟」については、石窟15号窟回廊壁画が龍谷大学古典籍デジタルアーカイブセンターで実際に復元され、その石窟の中を自由に歩いて仏教石窟の雰囲気を体験することが出来ました。ただし、回廊の幅は実際には1.2mであっても、今回は安全確保のために1.5mにしている、とのことでした。
また、写真などはネットに転載可能となっていました。最近のこうした傾向は、仲間との情報交換にプラスとなります。早速、以下に3点ほど紹介します。
3階の展示を見た後は、2階の展示を見ました。これまでは単語としてしか知らなかった、仏伝浮彫に始まり、書籍や絵巻や図像や仏像の数々が、きれいな会場に整然と並べられています。わかりやすい説明文を読みながら、それらを追いました。充実した、実感実証の一日となりました。
龍谷ミュージアムのホームページから、今回の出品リストを参考までにあげます。
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