2025年08月25日

平安文学リレー講座の第7回は「谷崎潤一郎と『源氏物語』」

 本日は、大阪府立中之島図書館の重要文化財となっている大広間で、同志社女子大学の大津直子さんの「谷崎潤一郎と『源氏物語』」と題する講演会が開催されました。
 その概要は、「中之島図書館での谷崎潤一郎と『源氏物語』に関するご案内2件」(2025年07月16日、http://genjiito.sblo.jp/article/191420655.html)に記した通りです。

 本日の講演者については、私の後輩に当たることや、谷崎潤一郎の書き込み原稿の鬱蒼とした森に分け入り、余人が知らなかったことを次々と明らかにしている、新進気鋭の研究者であることを中心にして紹介しました。

 大津さんの講演は、2回目の現代語訳となる新版谷崎源氏の書き込み原稿を中心とした調査報告がなされました。興味深い問題点の指摘と、謎解きに似たたのしい話が展開しました。
 谷崎訳に関する原稿は膨大なもので、しかも夥しい書き込みがあります。「ウィキペディア」(https://ja.wikipedia.org/wiki/谷崎潤一郎訳源氏物語)から摘記します。

・玉上による書き入れのある旧訳本
・山田による書き入れのある旧訳本
・谷崎による書き入れのある旧訳本
・山田書き入れタイプ原稿
・玉上書き入れタイプ原稿
・谷崎書き入れタイプ原稿

 この6種類の原稿を管理する國學院大學の出身である大津さんは、紆余曲折があった中で、恵まれた環境下で調査を進め、途中報告とでも言うべき成果を『谷崎源氏の基礎的研究』(武蔵野書院、2024年)にまとめて刊行しました。

 その成果をもとにして今日は、歯切れのいい口調で、わかりやすく谷崎訳の背景と谷崎の訳出にあたっての問題点を浮き彫りにしました。
 どのように訳すかに注力し、文学的翻訳を目指す姿勢を提示していました。
 難しい問題を抱えるテーマを、きれいに整理して語ってくれました。わからないことがまだまだあるので、今後の展開が自身でも楽しみなようです。聞き手の我々も、この先の報告が聞きたくなります。

 発表の後半で、「旧訳は原文よりも一文が長い」という指摘は、谷崎の文体を考える上でも、私には新鮮だったので、しっかりとメモをしました。

 参考までに、私が持っている愛蔵本・特製桐箱入りの『潤一郎訳 源氏物語』を展示し、講演会が始まる前と後で参会者に自由に触っていただきました。これは、触って実感することの大切さを感得していただくために、私が心がけていることです。

250825_愛蔵本谷崎G.jpg


 そして、この愛蔵本に関する資料をA4判で2枚のプリントにまとめて配布しました。
 講演の中で、大津さんは何度かこの旧版の訳文となる愛蔵本の本文の意義に触れていました。

250820_谷崎g見本巻頭.jpg

250820_谷崎g見本巻末.jpg

 本日の講演は、若さ溢れるエネルギッシュな話で、参会者はみなさん満足してお帰りになったようです。好評で、続きをまた聞かせてほしい、という声を何人もから聞くことができました。大盛会となりました。

 次回は、本年12月の初旬に、「歌舞伎と『源氏物語』」と題して開催する予定です。
 また、多くの方のお越しをお待ちしています。

 大津直子さん、本日は有意義で楽しい話を、ありがとうございました。




posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ■講座学習
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。