『締め切りより早く提出されたレポートはなぜつまらないのか 「先延ばし」と「前倒し」の心理学』(安達未来、光文社新書、2025年4月)を読みました。
そして、読み終わって思い返すと、書名とはズレた内容に、肩透かしを食らわされた思いがしています。書名からの期待が裏切られたからです。「なぜつまらないのか」の分析には人さまの研究成果を引くだけで、ご自分がタイプだとされる「前倒し」の側に立った論調が目立ちました。これを「羊頭狗肉」というのでしょう。
ということで、本書は、締め切りより《早く》提出された原稿を出版したものではないか、と思わせるものでした。
まず、読んでいる行文にメリハリが効いていないせいか、意味が頭に入らず、私には読みはじめから戸惑う文章でした。一文の中にインパクトに欠ける内容がいろいろと詰め込まれていたので、読む私の注意力が散漫になったようです。これは、海外での成果とされるものの説明に終始する文章であり、自分の研究成果を語るものとなっていないせいだと思われます。
さらには、何かを提示したすぐその後に、反対のものの見方「も」ある、という語り口になるので、トピックがぼやけてしまいます。読んだそばから頭の中で打ち消されるので、読んでいても冷や水を浴びせかけられた気持ちになるのです。論法で損をしていると思います。
総じて、話題がポンポン飛ぶので、集中して読めませんでした。わかりやすくするために出された例でも、話の中での意味を考えているうちに次の話になるのです。一見丁寧なようでも、読者には目まぐるしく変わる話についていけないのです。
著者の仮説を確かめるために、アンケート調査の分析がなされています。例えば、好きなものを最初に食べるか最後まで残すか、ということに関して、私はその分析に違和感を持ちました。具体的なことがあまり書かれていないのでよくわからないながらも、書かれている範囲の情報では著者の見解になるとは限らないと思いました。
これには、本書の日本語の文章が理解しづらい行文であることから、私の読み取りとの間に誤差が生じたためかもしれません。実際のアンケートの実情がわかると、その分析の意義と結果が判断できると思われます。仮説と結論だけを説明されても、その解釈に疑義が生ずると思われます。
好きな仕事や、注射を打つタイミングなどの調査結果も、例として挙げるにはその解釈が違うように思いました。
また、105頁に提示されたグラフとその説明は、これでいいのでしょうか?
説明はわかっても、その説明とグラフの分析が合っていないと思われます。
長々と説明をしてから私見を述べるよりも、まずは言いたいことを言ってから説明をした方がいいことを、本書から学びました。
私がレポートを書く場合は、少しでもいいものにしたいという思いがあると、つい先延ばしになってしまいます。それが、かえって自分への、良い意味でのプレッシャーになります。私は、このタイプです。このことの詳細な分析とその意味合いが、本書のどこに出てくるのかを楽しみにしていました。ところが、少し匂わすかのようなチョイ見せはあっても、結局は語られじまいでした。それはないでしょう、という内容の本です。発展途上の研究テーマが語られた本だった、ということで今は閉じます。【1】
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