気の置けない仲間がいる、ということは幸せです。
1986(昭和61)年11月に、私は『新・文学資料整理術パソコン奮戦記』を刊行しました。日本文学研究と情報処理を結びつけた草分け、と言われています。ちなみに、イラストのすべてを妻が担当しています。
この本のことが毎日新聞に取り上げられたことが機縁となり、I先生・T氏・O氏と共に「日本文学データベース研究会(NDK)」を結成しました。今から38年半前の1987(昭和62)年2月のことです。このNDKが、コンピュータを活用した日本文学研究を今に推し進めて来た、という自負があります。
1988(昭和63)年に『源氏物語別本集成 全15巻』を刊行開始。しかし、データにミスがあり、第1巻は回収して再作成した第1巻を刊行したのは、折しも改元されたばかりの1989(平成元)年3月でした。このミスを見つけたのが、NDKの強力な助っ人となるN氏です。
今日は、NDKの結成当初の仲間である、O氏とN氏と私の3人が京都駅ビルで会食をしながら、四方山話に花を咲かせました。実に、5年半ぶりに集まったことになります。
5年半前の2020(令和2)年というのは、古稀を控えた私にとってはコロナの禍中で身辺が大きく揺れた年です。白内障の手術、腸閉塞で開腹手術、学長と理事職就任などなど。前回はその直前の、束の間の平安の中での会食だったのです。
今日は、3人それぞれの生活が安定している時期でもあり、和やかに話が進みました。38年前のNDK創立以来、思うようにコンピュータが進化せず、期待に反してパソコンが下書きマシンに堕落してしまったことは返す返すも残念です。
しかし、昨年から生成AIが社会に認知され浸透し、今年は新たな展開を見せています。折しも、一昨日には私の息子が生成AIを駆使しての国の情報戦略のブレーンの一人として、マスコミに取り上げられていました。これは、文学研究においても新たな転機をもたらすはずです。
パソコンが注目されたにもかかわらず失速して以来の、久しぶりの好機です。
かつて、新しい日本文学の研究を夢見たNDKにとって、この機会を逃さずに積極的に活動を展開できないかを、3人で話題にしました。幸い、手元にはコツコツと作り溜めている物語本文のデータがあります。これを、生成AIの能力を活用して、新たな研究手法の元、人力だけでの調査研究では見えなかった研究成果に結びつけることに、今まさに動き出すタイミングなのです。挑戦する環境は十分に整っています。どのようなステップで展開し、成果を得るかが課題です。
3人の話題は、お決まりの身体の不調や身辺のことの間に、こうした夢のあるテーマも語ることができました。まさに、気の置けない仲間だからこそ、好き勝手なことが言えるのです。
5年前には、『源氏物語別本集成』を引き継ぐ新たなプロジェクトとなる《源氏物語本文集成》をスタートさせようとしました。しかし、コロナ禍と各自の身辺の慌ただしさに追われ、ほとんどプロジェクトは進展しませんでした。しかし、今は違います。データを作る実作業はこれまで通り進める中で、とにかくアイデアを持ち寄って、生成AIを活用した実験をすることが急務です。チャレンジのしがいはあります。
そんなこんなの話をしながら、2時間ほどで散会となりました。
また新たに取り組む課題が見え出したところなので、NDKの再起動となればと思っています。
実に楽しい時間でした。今日集まった2人は、私のちょうど10年下になります。NPO法人〈源氏物語電子資料館〉には、さらに若い仲間もいます。考える楽しさの中で、具体的な方策はすでに今から練っています。
本ブログのコメント欄を通して、楽しいアイデアの提案をお待ちしています。
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