今日は、昨日までの暑さが嘘だったかのような、気持ちのいい爽やかな風を感じながら、涼しい公園の散策路を歩いて近くの駅に向かいました。まさに秋です。
京阪で淀屋橋に着くと、大阪も連日の熱暑とは違う優しい風に包まれながら、中之島図書館の別館へ行きました。今日の講座は、本館ではなくて別館での開催です。
まず、「変体仮名で書かれた『百人一首』をよむ」の15回目から。
「平仮名で脳活」と「宝塚の役者名のこと」は、すでに日比谷図書文化館の報告に書いたので、今ここでは省略します。
『百人一首』は、12番歌の僧正遍昭の歌から、2種類のカルタに書かれている変体仮名の確認を進めました。
「あまつかぜ〜」の歌の説明で、宝塚の伝説的なトップスターだつた「天津乙女」に触れました。また、大徳寺の近くにある雲林院の境内に、この歌を刻んだ歌碑があることも話題にしました。そして、「ふきとぢよ」の「よ」がわからずに、後で「餘」であることが調べてわかった話をしました。ただし、その時にはすぐにその写真をスクリーンに映すことができなかったので、今ここにそのことを書いた記事をあげます。失礼しました。
「京洛逍遙(79)雲林院の歌碑」
(2009年05月20日、http://genjiito.sblo.jp/article/178933973.html)
今日は、2種類のカルタに書かれている変体仮名の字母の違いなどを中心にして、21番歌の素性法師まで確認しました。
のんびりとではあっても、少しずつ書かれている文字を中心に進めています。
30分の休憩をしてから、次は「ハーバード大学本『蜻蛉』巻の仮名文字を読む」の26回目です。
最初に、2冊のマンガ本を回覧しました。次の写真の上は和装本、下は中国語版です。
内容はまったく一緒です。和装本の手触りとその製本の妙を、中国語版の吹き出しなどが翻訳されていることなどを、手に取って見ていただきました。私の講座では、可能な限り触って実見し感得していただくことを大切にしています。
『源氏物語 あさきゆめみし 豪華愛蔵版 三 炎の章』
(大和和紀、講談社、1988年12月13日第1刷、1989年8月23日第2刷)
『源氏物语 あさきゆめみし 3 炎之章』
(大和和紀、文字翻译:章吾一・ 章世菁、山东文艺出版社、2000年10月第1版)
ハーバード大学蔵『源氏物語 蜻蛉』の「変体仮名翻字版」の確認は、59丁表2行目〜61丁表までを見ました。
次の3箇所については、プリントに拡大した画像を掲載して、なぞられた文字や訂正の方法について説明しました。
(1)60丁裏2行目_「ゐ多累/ゐ$ゐ、る&累、累=る」
ここでは、「ゐ」という文字をミセケチにして、その横に同じ「ゐ」を書いていることの意味がわからないことを指摘しました。これまでにも何箇所にもあったことなので、書いた文字が気に入らなかったとして片づけられない例です。書家の方に伺って解決したいものです。
次の文字の「累」の下には「る」が書かれており、その横に「る」が傍記されたものと判断しました。
(2)61丁表1行目_「堂た/り&た」
ここは、「堂」の次に「り」と書き、その「り」の上に「累」をなぞった例としました。下に書かれている「り」の字形については、他の箇所での文字を参照して確定したことも付け加えました。
(3)61丁表10行目〈貼紙〉「△なに/〈△ニ貼紙、「△なに」ヲ隠ス〉」
ここに貼り紙があるのは、その下に書かれた「△なに」が前の行の末尾の「花二」を二度書きしたため、後の方の「はなに」に貼紙をしてこの語句がなかったものとして隠すものです。実は、今日は進めなかった次の丁に、もう一例、貼り紙の例があります。〈貼紙〉という方法で文字の訂正がなされていることを確認しました。
すでに見終わった所にも、二例あります。
・30丁表2行目「よろつに・つかひ」の「に」と「つ」の右横に小紙片「あ」を貼る。
・45丁表2行目「心けれは」の「け」の右横に小紙片「う」を貼る。
今日の講座では、このことを説明することを失念しました。次回に、補足の説明をすることにします。これまた、大変しつれいしました。
さらに、「お」という平仮名と、その字母とされる「於」について貴重な例を指摘しました。
これは、61丁表4行目に「おもと」と書かれている例です。
私は、「お」の字母は「於」ではないのではないか、という疑念をずっと抱え持っています。こうした例を少しずつ集めているので、いつか整理します。とにかく、この例は明らかに「お」であり、その他のほとんどで確認できる「於」ではないことを、あらためて指摘しておきます。
以下に、本日確認し終えた「変体仮名翻字版」の翻字を掲載します。
講座に参加できないために自学自習しておられる方のためにも、これまでと同じルールによるデータをあげます。参考になさってください。
--------------------------------------
■ハーバード大学蔵『源氏物語 蜻蛉』59丁表2行目〜61丁裏
翻字データの中にある付加情報(/)の記号について
傍書(=)、 ミセケチ($)、 ナゾリ(&)、補入記号有(+)、補入記号無(±)、 和歌の始発部
( 「 )・末尾( 」 )、底本陽明文庫本の語句が当該本にない場合(ナシ) 、 翻字不可・不明(△)
--------------------------------------
い川可多尓も/\/(い川可多尓もい川可多尓も)・よりて・めて多き・【御】すく
せ・みえ多る・さ万尓てそよに・於八せまし
かし・あさ満しく・八可なく・【心】うかりける・【御心】可
奈なと・【人】尓八・その・王多りの・こと・かけても・し
里可本尓・い者ぬ・ことなれ八・【心】日と川二・あ可春・
むね・い多く・【思】・【宮】八・うちの・【御】もの可多りなと・
こ万や可尓・きこえ・【給】へ八・いま・【一所】八・多ちいて/ち&ち・
【給】・みつけられ/△&み・多て万川らし・【御】者てをも・すく
さ春・【心】あさしと・みえ・多て万つらしと・【思】へ八・
かくれぬ・[31]ひん可しの・わ多【殿】尓・あきあい多る/(59オ)
--------------------------------------
とくち尓・【人】/\/(【人人】)・ゐて・もの可多りなと・する・【所】尓・
於者して・なにかし越そ・【女房】八・む川可し
う/可=ま、(む川ましう)・於ほすへきや・【女房】多に・かく・【心】や春き八・
あらし可し・さるへ可らん/±さす可尓・こと八・於しへ・きこ
えぬへくも・阿り・やう/\/(やうやう)・三し里・【給】へ可免れ八・
いとなん・うれしきと・の多万へ八・いといらへ尓くゝ/(いらへ尓くく)・
於もふ・【中】尓・【弁】のをもとゝて/(【弁】のをもととて)・なれ多る・於と
なそ・む川可しう・於もひ・きこゆへき・ゆへ
なき・【人】の・八ち・きこえ・八へらぬ尓や・もの八・
さこそは・【中】/\/(【中中】)・八へり介れ・可ならす・その・ゆへ・多つねて/つ〈次頁〉、(59ウ)
--------------------------------------
うちとけ・【御】らんせらるゝにしも/(【御】らんせらるるにしも)・【侍】ら
ねと・か者可り尓・於もなく・川くりそめてける・
【身】尓・於者さらんも・可多八らい多くてなんなと・
きこゆれ八・ゝ川へき/ゝ&へ、(八川へき、八川川き)・あえ/あ$ゆ、(ゆえ)・【侍】らしと・【思】さ多
めて/て$、・多万ひてけるこそ・くちをし介れ
なと・能【給】川ゝ/(能【給】川川)・三れ八・からきぬ八・ぬきすへし・
於しや里・うちと介て・ゝならひしけるなるへし/(てならひ)・
すゝりの/(すすりの)・ふ多川尓/川$、(ふ多尓)・すへて・【心】もとなき・八なの・す
江/\/(す江す江)・於里て・もてあそひけ里と/ひ&そ、(もてあひひけ里と)・三ゆ・可多へ八・
きちやうの・あな多に・春へり可くれ・あるい八(60オ)
--------------------------------------
うちそむき・於し阿介多る・との・可多尓・
万きゝ八し川ゝ/前ゝ$ら、(万きき八し川川、万きら八し川川)・ゐ多累/ゐ$ゐ、る&累、累=る・可しらつきともゝ/(可しらつきともも)・を可
しと・三王多し・【給】て・すゝり/(すすり)・ひきよせ弖・
「於三なへし・三多るゝ/(三多るる)・【野】へ尓・ましると母・
川ゆの・あたなを・王れ尓・可介免や」・【心】や春く
者・於ほさてと・多ゝ/(多多)・この・しやうしに・うしろ・
志多る・【人】尓・三せ・【給】へ八・うちみしろきなと
も・せ須・のとや可なるもの可ら・いと・ゝく/(とく)・
「いなと/い$八、(八なと)・いへ八・なこそ・あ多なれ・於三なへし・
なへての・川ゆ尓・三多れや八・する」と・可き多る/多〈次頁〉、(60ウ)
--------------------------------------
て・堂た/り&た・可多そ八なれと・よしつきて・
於ほ可多・めや春介れ八・多れならんと・三・【給】・いま・ゝ
うの本り介る/(まうの本り介る)・三ちに・ふ多遣られて・とゝこ本り
い多るなるへしと/(ととこ本り)・三ゆ・【弁】のおもと八・いと・けさ
や可なる・於きな【事】尓て・八へりとて・
「たひね・して・な越・【心】三よ・【女】へし・さ可り能
さ可りの/さ可りの〈ママ〉・いろ尓・う川り・うつら春」・さて・のち・さ
多め・きこえさせんと・いへは・
「やと・可さ八・【一夜】八・ねなん・於ほ可多の・【花】二
△なに/〈△ニ貼紙、「△なに」ヲ隠ス〉・うつらぬ・【心】なりと母」と/【心】&【心】・阿れ八・な尓可は(61オ)
--------------------------------------
【■講座学習の最新記事】
- 宇治で相愛本『源氏物語 橋姫』の変体仮名..
- キャンパスプラザ京都で相愛大学本『源氏物..
- 日比谷で「宿木」(3)と『百人一首』(1..
- 宇治で相愛本『橋姫』の変体仮名を読む会(..
- キャンパスプラザ京都で相愛大学本『源氏物..
- 日比谷で「宿木」(2)と『百人一首』(1..
- 宇治で相愛本『源氏物語 橋姫』の変体仮名..
- キャンパスプラザ京都で相愛大学本『源氏物..
- 日比谷で「宿木」(1)と『百人一首』(1..
- 大阪府立中之島図書館での社会人講座が取り..
- 宇治で相愛本『源氏物語 橋姫』の変体仮名..
- [私見追補]キャンパスプラザ京都で相愛大..
- 日比谷で「須磨」(34)と『百人一首』(..
- 中之島で最終回となる『百人一首』と『源氏..
- 宇治で相愛本『源氏物語 橋姫』の変体仮名..
- キャンパスプラザ京都で相愛本「藤裏葉」を..
- [その1]中之島での『百人一首』(第21..
- 宇治で相愛本『源氏物語 橋姫』の変体仮名..
- 日比谷で「須磨」(32)と『百人一首』(..
- 中之島での『百人一首』(第20回)と『源..
