2025年07月26日

キャンパスプラザ京都で尾州家河内本「桐壺」を読む(第32回)

 キャンパスプラザ京都(京都市大学のまち交流センター)の1階正面入口にある掲示板には、いつものように本日の会合の案内が出ています。NPO法人〈源氏物語電子資料館〉では、基本的には5階の第5演習室をお借りするようにしています。

250726_掲示板.jpg

 今日はまず、吉村氏から問題提起された前回の課題に関して、私が追跡調査した報告から始めました。
 Android 15を搭載した OS では、変体仮名が基本的にサポートされていることを、さらに量販店の店頭で確認した話です。
 また、「白舟書体「教育漢字版」フォント」と「NINJAL変体仮名フォント」についても説明しました。
 こうしたことが、今後とも日本国内でどのように認知されて行くのか、というところで話は終えています。まずは、店頭に並んでいる変体仮名が表示できるスマホがこのまま販売され続けるのか、興味深いところです。ある日突然、店頭から消えるのではないか、と個人的には想像しています。

 さて、尾州家河内本「桐壺」の本文を「変体仮名翻字版」で作成した資料で確認する勉強は、今日は第22丁表から第24丁裏までを行いました。
 特定の単語にどのような変体仮名を用いて表記するのか、ということについて、相変わらず疑問符をつけながら進めています。

 今日の範囲で言えば、「【源氏】の【君】」(23丁表10行目)と「【源氏】能【君】」(24丁表9行目)の場合に、「の」と「能」のにはどんな使い分けがあるのか、などなど、これまでにも問題となったことを思い合わせました。
 本日確認した「変体仮名翻字版」の本文は次の通りです。


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【春】【東宮】能・【御】遣んふく能・【南殿】尓/±〈朱点〉・ありし・き志
き・よそ本し可里し【御】ひゝき尓/±〈朱点〉、(【御】ひひき尓)・於とさせ・多ま
八寸・ナシ・ナシ・ところ/\能/±〈朱点右〉、(ところところ能)・きやう/=△〈削〉饗・くら川可さ/±〈朱点〉、=内蔵寮・こくさうゐなと/±〈朱点〉、=穀倉院・
ナシ・於本や遣【事】尓/±〈朱点〉・ナシ・ナシ・つ可う万つ礼るれいの於ろそ可なる/れ±〈朱点〉・
【事】も・と里王き多流/±〈朱点〉・於本世【事】/±〈朱点〉・あ里て・ナシ・をの/\/±〈朱点〉、(をのをの)・
きよらを・つくして徒可うまつ礼り/徒±〈朱点〉・於八しま春/±〈朱点右〉・
てん乃・日ん可し能・飛さし尓・日ん可しむき尓/±〈朱点〉・【御】
いし/±〈朱点〉、い=倚子・堂てゝ火さ能【御座】/±〈朱点〉、火±〈朱点〉、(堂てて)、火=冠者・飛きいれの/±〈朱点〉・【大臣】乃・
【御】さ・【御前】尓/±〈朱点〉・阿り・【時】なりて/±〈朱点右〉・【源氏】/±〈朱点〉・まいり・多まふ・
三つら/±〈朱点右〉・ゆひ・多まへる・つらつき/±〈朱点〉・可本の/±〈朱点〉・尓本ひ・さま/±〈朱点〉・
可へ・堂まはむ/へる&はむ・【事】・於し遣なり/±〈朱点〉・【大蔵卿】/±〈朱点右〉・三蔵人/三$〈墨〉、±〈朱点〉(22オ)
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つ可う万川る/±〈朱点〉・いと/±〈朱点右〉・きよらなる/±〈朱点〉・【御】くしを/±〈朱点〉・そく/±〈朱点〉・本と・
【心】くるし遣なり/±〈朱点〉・うへ者/±〈朱点右〉・三やすところ能/±〈朱点〉・【見】多万
八まし可八と/み〈削〉【見】、【見】=【見】〈削〉・於本しいつる尓/±〈朱点〉・いと多へ可多き越/±〈朱点〉、江〈削〉へ・
【心】徒よく/±〈朱点〉・於本し可へ春・かうふりし/±〈朱点右〉・【給】て・【御】や春三
ところ尓/±〈朱点〉・ま可て/±〈朱点〉・堂まて・【御】そ/±〈朱点〉・多てまつり可へ弖・
於里弖/±〈朱点〉・八いし/±〈朱点〉、=拝・多て万つり・【給】・さま尓そ・三那【人】/±〈朱点〉・
な三多・於とし/±〈朱点〉・多まふ・み可と八/±〈朱点右〉・まし弖/±〈朱点〉・江/±〈朱点〉・多へさせ・
堂ま八春・於本しま起るゝ/±〈朱点右〉、(於本しま起るる)・於里も・阿り遣類/±〈朱点〉・
む可しの/±〈朱点〉・【事】・と里可へし・ナシ・可奈しう/±〈朱点〉・於も本さる・
いと/±〈朱点右〉・可う/±〈朱点〉・き飛わなる/±〈朱点〉、き=〈朱傍点〉、飛=〈朱傍点2〉、わ=〈朱傍点〉・本と八・あけをとりもやと/±〈朱点〉・う
多可八しく/±〈朱点〉・於ほされつるを/±〈朱点〉・ナシ・ナシ・あさましう/±〈朱点〉・ゝ川くし遣さ/く〈次頁〉、(う川くし遣さ)、(22ウ)
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そひ・多まへり・飛きいれの/±〈朱点右〉・【左大臣】・
みこ八ら尓/±〈朱点〉・堂ゝ/±〈朱点〉、(堂堂)・日とり・可し川き/±〈朱点〉・【給】・【御】むすめ/±〈朱点〉・【春
宮】よりも/±〈朱点〉・【御】遣しき/±〈朱点〉・あるを/±〈朱点〉・於本し王つらふ/±〈朱点〉・【事】・
ありける・こ乃/±〈朱点〉・【君】尓・多て万つらん能・【心】・ふ可きなり
遣り・うへ尓/±〈朱点右〉・【御】遣しき・堂ま八らせ・【給】遣れ八・
【御】とき/±〈朱点〉・よくて・さら八/±〈朱点〉・や可て・こ乃・おり能・うしろ
三・な可めるを・そひふしにもと/±〈朱点〉・毛よ本させ/±〈朱点〉・【給】
遣れ八・さ/±〈朱点〉・於ほし多り・さふらひ尓/±〈朱点右〉・ま可て・【給】て・
ナシ・【御】みきなと/±〈朱点〉・まいる・本と・みこ多ちの/±〈朱点〉・【御】さの・すゑ
耳・【源氏】の【君】/±〈朱点〉・つき・【給】へり・於とゝ/±〈朱点右〉、(おとと)・遣しき八三・
【給】・【事】・あれと・八つ可しくて/±〈朱点〉・と可くも/±〈朱点〉・あへしらひ起こ江/±〈朱点〉、起〈次頁〉、(23オ)
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堂ま八春・【御前】より/±〈朱点右〉・【内侍】/±〈朱点〉・世んし/=宣旨・うけ
堂ま八り・徒多へ弖・於とゝ/±〈朱点〉、(於とと)・まいり・【給】へき・め志・
阿れ八・万いり/±〈朱点〉・【給】・ろく乃/±〈朱点〉・【物】・うへの命婦/±〈朱点〉・と里て/±〈朱点〉・
多まふ・しろき/±〈朱点右〉・於ほうちき尓・【御】そ/±〈朱点〉・日とく
堂り・連いの/±〈朱点〉・【事】なり・【御】さ可川きの/±〈朱点右〉・ついて尓・
「いときな起・八つもと遊ひ尓・な可き・よ越・
ちきる・【心】八・む春ひこめつや」と・【御心】八へ/±〈朱点〉・阿りて・
於とろ可さ勢/±〈朱点〉・【給】・
「む春ひつる・【心】も・ふ可き・もとゆひ耳・
古き・むらさきの・いろし・あせす八」と・そうして/±〈朱点〉、=奏、=して〈左傍記〉・
ナシ・な可八しより/±〈朱点〉、=長階・於りて・ふ多うし/=舞踏・【給】・飛多り能つ可さの/±〈朱点右〉、能〈次頁〉、(23ウ)
--------------------------------------
【御馬】・くら【人】ところ能/±〈朱点〉・堂可・すゑて・
たま八り/±〈朱点〉・【給】・み八しの/±〈朱点右〉・もと尓・みこ多ち/±〈朱点〉・可む多ち
め/±〈朱点〉・徒らねて/±〈朱点〉・ろくとも/±〈朱点〉・新那/\/±〈朱点〉、(新那新那)・堂ま八り/±〈朱点〉・【給】・
そ乃/±〈朱点右〉・【日】能・於まへ能・ナシ・於りひ川【物】こものなと/こ±〈朱点〉、こ=籠物・
【右大弁】なん/±〈朱点〉・う遣堂ま八りて/±〈朱点〉・つ可う万徒ら勢
遣る/±〈朱点〉・としき/±〈朱点右〉、=屯食・ろく能/±〈朱点〉、=禄・可らひ川ともなと・ゝ古ろせ
きまて/±〈朱点〉、(と古ろせきまて)・【春宮】能/±〈朱点〉・【御元服】尓・可寸・まさり弖・な可/\/±〈朱点〉、(な可な可)・
かきり・なく・い可めしくなん/±〈朱点〉・あり遣る・や可て/±〈朱点右〉・【所】能・
【夜】・於とゝ能/(於とと能)・【御】さと尓・【源氏】能【君】/±〈朱点〉・ま可てさせ・多て
万川り・【給】・さ本う/±〈朱点右〉・よ尓/±〈朱点〉・めつらしきまて/±〈朱点〉・もて可し
つき/±〈朱点〉・ナシ・多まへり・いと/±〈朱点右〉・き飛わ尓て/±〈朱点〉・於八し多流を/±〈朱点〉、(24オ)
--------------------------------------
ゆゝしう/±〈朱点〉・ゝ川くしと/±〈朱点〉、(う川くしと)・於本春/±〈朱点〉・ナシ・ナシ・をん那【君】八/±〈朱点右〉・すこ
し/±〈朱点〉・すくし/±〈朱点〉・堂まへる本と尓・いと/±〈朱点〉・わ可う/±〈朱点〉・於八春連
八・尓けなう/±〈朱点〉・八つ可しと/±〈朱点〉・於本し多り/±〈朱点〉・こ乃/±〈朱点右〉・おとゝ乃/(おとと乃)・
【御】於ほ江・いと/±〈朱点〉・やむ【事】なく/±〈朱点〉・於八する尓/±〈朱点〉・者ゝ【宮】八/±〈朱点〉、【宮】±〈朱点〉、(者者【宮】八)・
み可との/±〈朱点〉・日と川きさい八ら尓なん・ナシ・ナシ・ナシ・於八し遣礼八/±〈朱点〉・
いつ可多尓/±〈朱点〉・つ遣ても・いと/±〈朱点〉・八那や可なる尓/±〈朱点〉・こ乃/±〈朱点〉・
【君】さへ/へ〈削〉へ・かく於八しそひぬれ八/±〈朱点〉、於±〈朱点〉・【春宮】能/±〈朱点〉・【御】於ほ
ち尓て・つ井尓/±〈朱点〉・【世】乃な可を・しり・【給】へき・【右】乃
於とゝ能/±〈朱点〉、(【右】乃於とと能)・【御】いきをひ者・ナシ・【物】尓も/±〈朱点〉・あら寸・をさ
れ/±〈朱点〉・堂まへり・【御】ことも/±〈朱点右〉・八ら/\尓/±〈朱点〉、(八ら八ら尓)・あま多/±〈朱点〉、多&多・ナシ・【物】し・
【給】・ナシ・【宮】乃/±〈朱点右〉・【御】八ら尓八・【蔵人】の【少将】尓て/±〈朱点〉・またいと/±〈朱点〉、い±〈朱点〉、(24ウ)
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 尾州家河内本「桐壺」は、次回で終わる予定です。これまでの資料で索引をつくることで、どのような字母で言葉が構成されているのかが、明らかになることも多いかと思います。
 さらには、このキャンパスプラザ京都では池田本「桐壺」の本文を変体仮名で確認し終えているので、あわせて写本における字母の使い分けのおおよその傾向がわかるはずです。
 いずれも、詳しくは次回に、ということで終わりました。

 帰りに、変体仮名が表示されるスマホを買いに、駅前のヨドバシカメラに寄りました。吉村氏が購入したものと同じ機種にする前に、店員の方にこの Android 15を搭載したスマホ同士で、変体仮名を交えた言葉をメールでやりとりができるのか、ということと、その言葉を印刷できるのか、ということを質問しました。
 今日は違う方に聞いたにもかかわらず、前回同様、話にならない対応でした。とにかく、スマホに表示される文字に関する知識がないし、ピンボケの対応です。機械を売ることにしか関心はなく、機能に関する説明は仕事ではないと思っておられるようです。お店の方で、Android 15のスマホを持っている方2人にやりとりをしてもらえないか、と聞くと、他の方と相談するために出たり入ったりした揚げ句に、いろいろな理由を付けて、できないとのことでした。別のコーナーの方にも同じようなことを聞いても、とにかく社員の勉強不足で話になりません。何人もの社員がおられるのにまともな対応ができない日本の若者に、とにかく失望しました。みなさん、機械を作った会社に聞いてくれ止まりです。ここまでが、今の京都での現状です。ちょうど1週間前の、東京の有楽町駅前にあるビックカメラでの対応と変わりません。

 店員の意識の根底には、日本語がどのようにして表示されるのか、などにはまったく興味がないのです。まあ、問題意識がないので仕方のないこととはいえ、いつかどこかで説明してくださる方との出会いを楽しみにしています。
 こうした現実を、マスコミも興味がないのでしょう。ネットのニュースなどにもみかけません。日本語の中でも、仮名文字が無責任に放置されています。もうすこし待ってから、こうしたことを専門とする方に聞いてみようと思っています。




posted by genjiito at 20:39| Comment(0) | ■講座学習
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