淀屋橋から大阪府立中之島図書館を望んでシャッターを切ると、左手上空を伊丹空港に向かう飛行機が写っていました。今日は、万博会場を中心にして、ブルーインパルスが大阪上空を編隊飛行する日です。午後3時前後の予定とのことなので、ちょうど講座のまっ最中になります。見られなくて残念です。
本日の『百人一首』の講座で使用したプリントは5枚です。その内の4枚を、画像として引きます。
まず最初の3枚の資料は、すでにブログで報告したことを取り上げて、現在問題があると思っていることをお話しました。ブログでは、「■スマホで変体仮名が送受信できる時代に突入していること(2025年06月30日、「http://genjiito.sblo.jp/article/191404255.html」)と題して書いたことです。
」
次の1枚は、これもブログで報告した記事の「■変体仮名が今のスマホ社会で認知されていることを知って
(2025年07月02日、「http://genjiito.sblo.jp/article/191406349.html」)の要約です。
私の講座は、変体仮名が読めるようになることを主眼とするものです。そこへ、変体仮名が表示できるスマートフォンが販売されている現実がわかりました。これは、相容れない状況が起きているので、どうしても無視できないために、実状の報告とそれに対するコメントをしました。いずれは、どこからか圧力がかかって、変体仮名が表示できるスマホは市場から姿を消すと思っていますが。
メインの『変体仮名でよむ 百人一首』をテキストとする勉強は、7番歌(安倍仲麻呂)から11番歌(参議篁)までの5首を扱いました。陽明文庫と国文研の二種類のカルタに書かれている変体仮名の和歌を、その字母の違いに留意しながら確認しました。
30分の休憩時間に、ブルーインパルスの編隊飛行が大阪城の上を飛んでいるところを、図書館の窓から撮影した方がいらっしゃいました。見せてくださった写真には、はっきりとブルーインパルスが白煙を引いて飛んで行く姿が写っていました。なかなか見られないものなので、思い出の写真となることでしょう。
次は、ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「蜻蛉」の変体仮名を読む時間です。
ここでも、スマホで変体仮名が表示される現在の状況を、簡単にお話しました。
そして、すぐに宮川保子さんが相愛大学の写本の臨模本を手がけておられることに触れ、実際に試作版の資料を見てもらいました。800年前の古写本の実態がわかる資料なので、紙質や文字や装飾料紙をじっくりと見てもらいました。まさに、実感実証の体験を伴った勉強会となっています。
ハーバード大学蔵『源氏物語 蜻蛉』は、57丁表から59丁表の1行目までを確認しました。
今日は、同じ文字をなぞっている箇所がいくつもあったので、その理由がよくわからないことを伝えました。また、変体仮名の「者(は)」や「王(わ)」そして「を」が認識しにくい字形であることの確認もしました。
現在使っているテキストは白黒写真であり、よくわからない箇所に関して、カラー画像を拡大したものを提示して、詳しく見ました。次の例がそれです。
まず、58丁表9行目の「万いら△給」とあるところです。11年前に刊行したテキストでは、「まいらせ給」として「せ」の横に「(判読)」と付記しました。しかし、次の写真を見てもわかる通り、赤く囲った箇所を「せ」と読むには大いに疑問があります。そこで、「万いら△給」として無理に読まないで不読文字の△で翻字することにしました。
もう1例。上記の次の行である58丁表10行目「さ可り/$ころ」とした箇所には、ミセケチの点があることです。カラー写真で見るとわかるように、本行の文字の左横に点が打たれていることが確認できます。その右横に書かれた「ころ」は、墨の色からも後に傍記として書き込まれた文字のようです。
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■ハーバード大学蔵『源氏物語 蜻蛉』57丁表〜59丁裏
翻字データの中にある付加情報(/)の記号について
傍書(=)、 ミセケチ($)、 ナゾリ(&)、補入記号有(+)、補入記号無(±)、 和歌の始発部
( 「 )・末尾( 」 )、底本陽明文庫本の語句が当該本にない場合(ナシ) 、 翻字不可・不明(△)
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【御】く尓て・いと・こよな可らぬ・【御程】の【人】なれ八・や
むことなくて・佐ふらひ・【給】・可きり・あれ八・三や
のきみなと・うちいひて・も者可り・ひき可け・
【給】そ・いと・あ者れなり介る・【兵部卿】の三や/【式】&【兵】、(【式部卿】の三や)・
この・きみ者可りや・こひしき・【人】尓・於もひ・よ
そへ徒へき・さま・し多らん・ちゝ/(ちち)・みこ八・者ら
からそ可しなと・れいの・【御心】八・【人】を・こひ・【給】尓・
川けても・【人】の・ゆ可しき・【御心】・やまて・い川し可と・
【御心】可け・【給】て介り・【大将】も・もとかしき万て・
ある王さ可な・【昨日】・介ふと・いふ者可り・【春宮】尓やなと/や〈次頁〉、(57オ)
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於ほし・王れ尓も・けしき八万せ・【給】
きかし・かく・者可奈き・よの・於とろ江・【思】尓八/八〈行末左〉・
【水】の・そこ尓・【身】を・し川めても・ゝと可し可らぬ/(もと可し可らぬ)・
王さにこそなと/な&な・【思】川ゝ/(【思】川川)・【人】より八・【心】よせ・きをゑ/を〈ママ、諸本こ〉・
【給】へり・この・【院】尓/尓&尓・於八し万春を八・【内】よりも・
ひろく・於もしろく・す三よき・もの尓して・つね
尓・【候】八ぬ・【人】ともゝ/(【人】ともも)・三な・うちと介・春三川ゝ/(春三川川)・
八る/\と/(八る八ると)・於ほ可る・多いとも・らう・王た【殿】尓・み
ち多り・【右】の於ほ【殿】ゝ/(【右】の於ほ【殿】の)・む可しの・【御】け者い尓も・
於とらす・すへて・可きり・なく・いとな三・川かく万川里・/く$う、万〈次頁〉、(川かう万川里)、(57ウ)
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【給】・い可めしう・なり尓多る・【御】そうな
れ八・な可/\/(な可な可)・い尓しへよりも・い可めしき・こと八・まさ
里てさへなん・阿りける・この・【宮】・れいの・【御心】な
羅八/れ&羅、(【御心】なれ八)・【月】ころの・本とに・い可なる・すきことと母を・
しいて・【給】八まし・こよなう・し川まり・【給】弖・
【人】め尓八・をいな本りし・【給】可なと・三ゆる越・こ
のころは・【又】・三やのきみ尓/多&き、(三やの多み尓)・【本上】・あら八れて・
かゝ川らひ阿りき/(かか川らひ阿りき)・【給】介る・[30]すゝしう/(すすしう)・なりぬと
て・三や・うち尓・万いら△・【給】なと・すれと・あきの・さ可り・も
みちの・さ可りなと越/さ可り$ころ、(ころなと越)・みさらんこそと具ちをしかりて/△&具、か〈次頁〉、(58オ)
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王可き・【人】/\なと/(【人人】なと)・三な・川とひまいり
多る・ころなり・【水】尓・なれ・【月】を・三てゝ/三〈ママ、諸本め〉、(三てて)、(めてて)・【御】
あそひ・多へ須・つねよりも・いまめ可しけれ八・この・
三や八・かゝる/(かかる)・すち八・いとこよなう・もて八やし・
【給】・あさゆふ尓/い&ゆ、(あさいふ尓)・三ても・な越・つね尓/尓&尓・三ん・八
川八奈の・さま・し・【侍】多る尓・【大将】のきみ八・いと・さ
しも・いり多ちいり多ちなら八・し・【給】八ぬ本とにて・
者川可しう・【心】ゆるひ・なき・もの尓・三な・【思】多り・
れいの・布多【所】母・いり・【給】へり・【御前】尓・於八する・
本とに/本&本・【侍従】八/±可の・ものより・のそきて・三・多て万つる尓/尓〈次頁〉、(58ウ)
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い川可多尓も/\/(い川可多尓もい川可多尓も)・よりて・めて多き・【御】すく
(2025/07/13 ココマデ)
今日も、鎌倉時代に書き写された『源氏物語』の本文を、字母に注意しながら丹念に見ました。みなさん、800年前の仮名文字に少しずつ慣れてこられたようで、文字を追っておられる姿を拝見していて、スキルがアップしてきていることを実感する場面が何度かありました。和歌と違い、物語の文字列は読みにくいものが多いと思われます。それでも、コツコツと読み続けていくと、自然に読めるようになります。確実に変体仮名が読めるようになっていることを自覚して、さらにさまざまな字形の文字を読む訓練をし、挑戦してほしいものです。終わってから、いろいろと質問もあるので、折々にお手伝いをしています。
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