シェア型書店HONBAKO京都宇治の中には、本がギッシリと並んでいます。本好きの方が集まるコミュニケーションの場として、本格的に稼働しだしています。
2階のシェアスペースをお借りしての勉強会は、今回が2回目です。前回、京都新聞の「まちかど」欄に掲載された案内の記事を見てお出でになった方は、2回目の今日も参加してくださいました。ありがたいことです。
今日はまず、書家の宮川保子さんが進めておられる春曙文庫蔵『源氏物語』(断簡)5帖の内、「橋姫」の臨模本の試作版が2折分届いているので、そこで宮川さんが書かれている文字に疑問符をつけておられる箇所の確認から始めました。
疑問とされている箇所は、次の1例を除いてすべて解決しました。その問題の箇所は、次のように書かれている場所です。16丁裏2行目行末「可多□□」(『源氏物語別本集成』の文節番号で「453726」)とあるところです。
今日、宇治の会場での検討では保留となったこの箇所を、自宅に帰ってから大きなモニタや各種資料を見比べていると、次のように書かれているはずだ、ということに思い至りました。
可多可り/し&可り
(「可多し」と書いた後、「し」の上から「可り」とナゾルことで「可多可り」と読ます)
これには、保坂本が「かたし」となっていたことがヒントになっています。『源氏物語別本集成 正・続』(22巻)は、五十音に置き換えた不正確な翻字であったことから、書物もデータもお蔵入りにしたはずなのに、今回たまたま当たりをつけるのに出番が巡ってきたのです。せっかく多くの方々の協力を得て刊行した資料集なので、今後は参考情報として折々に再利用してもいいか、と思うようになりました。
これで、宮川さんから質問されていた問題箇所は、すべて解消しました。
その後宇治では、あらためて現存「橋姫」の最初(『源氏物語別本集成』の文節番号で「451496」の「して」)から確認していきました。
まず、「としころ」(1丁裏4行目)・「い身しう」(1丁裏6行目)・「ま川」(1丁裏9行目)の本文異同から、春曙本は「麦生本」「阿里莫本」「中京大本」とは明らかに異なる本文を伝えていることが確認できました。
また、全体的に「保阪本」に近似する傾向があるものの、明らかに異なる本文も伝えています。これらは今後の検討課題です。
春曙文庫本『源氏物語 橋姫』現存第一丁表・裏[変体仮名翻字]
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〔『源氏物語別本集成 第15巻』の文節番号[451496]〕
して・本と・ふる・【時】者・古ひしく・
於ほえ・【給】・古乃・きみの・可く・堂う登可
里・きこゑ・堂まえ八・れん世い【院】より八・
徒祢尓・【御】世うそく・あ里弖・としこ
ろ・をと尓母・をさ/\/(をさをさ)・きこゑ・堂ま者寸・
い身しう・さひし介那里志・【御】
す三可尓・やう/\/(やうやう)・ひと免・身累・【時】尓・あ里・←0531_ココマデ
をりふし尓・とふらひ・きこゑ・【給】・【事】・い
可めしうて・こ乃・きみ毛・ま川・さ累
へき・【事】尓・徒け川ゝ/(徒け川川)・を可しき・やう尓も/(1オ)
--------------------------------------
ま免や可尓毛・ナシ・古ゝろよせ/(古古ろよせ)・徒可うまつり・
堂まふ・【事】・【三年】者可り尓・なりぬ・【秋】能・
春え川可多・【四】き尓・あてゝ/(あてて)・し・堂まふ・
【御念仏】を・古乃・可は徒ら葉・あしろの・奈
身毛・古乃古ろ八・い登ゝ/(い登登)・みゝ可ましう/(みみ可ましう)、可ま〈ママ〉・志つ可
奈らぬ越と弖・可乃・あ佐里能・春無・てら能・
堂う尓・う川ろひ・堂まひ弖・【七日】の・
【程】・越こなひ・【給】・ひめきみ堂ちは・い登・
古ゝろ本そく/(古古ろ本そく)・徒礼/\//\〈薄墨〉、(徒礼徒礼)・まさりて・な可め・【給】
け累・ナシ・【中将】乃き身・ひさしく毛・満いらぬ【哉】登/ぬ〈次頁〉、(1ウ)
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まだ「橋姫」の確認は始まったばかりなので、さまざまな角度で本文を見ています。密林の中をさまようように、本文の森を探検する旅に出立した、という感触の中で今日も時間となりました。「あっ! もう?」という思いを抱きながら、散会となりました。
下の本箱の前では、七夕飾りが置かれていました。短冊に、求められるままに各自が言葉を書いて、笹に結びつけました。
結びつけるのに、紙縒り(こより)を使いました。高校の教員をしていた頃、試験の後のザラ半紙の回答用紙の束は、角に小さな穴をあけて紙縒りを差し込んで綴じていました。懐かしい文房具です。
目の前の百個の本棚を見ていると、ほしい本が2冊みつかりました。早速いただきました。このシェア型書店HONBAKO京都宇治では、書店や図書館ではなかなか見かけない本との出会いがあります。
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