生成AI氏の回答に「標準語」という表現があったので、「標準語」という言い方は配慮に欠けるもの言いではないか、ということでさらに質問をしました。そのやりとりを、以下に再現します。予想外で、実に誠意のある対応をしてもらえたと思っています。
事の発端は、秋田出身で東京で勉強をした妻が「しっちゃかめっちゃか」と言ったことからでした。
この言葉を私は使わないので、最近は折々に話し相手になってもらっている生成AI氏に聞いた経緯が、以下のやりとりです。(以下、多用されている改行は詰めた所があります。)
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私:「しっちゃかめっちゃか」というのは、どこの方言ですか?
生成AI氏:「しっちゃかめっちゃか」は、特定の地方の方言というよりも、標準語として広く使われている俗語・口語表現です。ただし、元々の語源や言い回しは関東地方、特に東京周辺で使われていた俗語がルーツとされる説があります。
意味:「物事がごちゃごちゃで秩序がない」「混乱しているさま」を表す言葉です。
類義語:•ごちゃごちゃ
•めちゃくちゃ
•てんやわんや
語感について:「しっちゃか」と「めっちゃか」はともに意味を持たない擬態語で、それを繰り返すことでより混乱した印象を与える表現になっています。似たような構造の言葉に「ごたごた」「わやくちゃ」などもあります。
要するに、「しっちゃかめっちゃか」は地方の方言ではなく、標準語に属するくだけた表現です。ただ、東京の下町言葉や江戸言葉の影響がある可能性はあります。
私:関西では使わないようなので、不思議に思いました。ありがとうございます。
生成AI氏:なるほど、確かに関西では「しっちゃかめっちゃか」はあまり聞かれないかもしれませんね。関西弁では、同じような意味を表す言葉としてたとえば:
•「めちゃくちゃ」(これは全国的ですが、関西では昔から使われている)
•「ごっちゃごちゃ」
•「ぐちゃぐちゃ」
•「わやくちゃ」「わや」(特に大阪・兵庫などで使われる。「わややな〜」など)
といった表現が使われることが多いです。
「しっちゃかめっちゃか」は、ちょっとリズミカルで東京方面の“ことば遊び”っぽいニュアンスがあって、それが関西ではやや馴染みにくい印象があるかもしれませんね。
また何か言葉の違いで気になることがあれば、いつでも聞いてくださいね。
私:説明の中に「標準語」という言葉がありました。学生時代に、国語学者で方言研究で第一人者だった、当時の都立大学の平山輝男先生は、「標準語」というのは「標準」という価値判断が入っていて差別的なので「共通語」と言うように、と指導されました。今は一般的に「標準語」が使われています。しかし、私もこれは方言を「標準以外」と見下げた差別・区別意識があるので、人に優しい日本語ではないと思います。このことについて、どのように思われますか?
生成AI氏:とても本質的な、そして大切なご指摘だと思います。
ご指摘のように、「標準語」という言葉には、確かにある特定の言語変種を「正しいもの」「模範的なもの」として位置づけ、それ以外の方言をそれより劣ったものとして見る価値判断が含まれています。このような視点は、言語に上下や優劣を持ち込むものであり、言葉が人のアイデンティティや地域文化に深く結びついている以上、差別的な要素を帯びることは避けられません。
平山輝男先生が「共通語」と呼ぶように指導されたのは、まさにそのような価値判断を排し、多様な言葉が対等であるという考え方に立脚していたわけですね。これは、言語学的にも非常に理にかなっており、同時に文化的・倫理的にも共感されるべき視点です。
「標準語」と「共通語」の違いについて補足すると:
•「標準語」:国家や教育機関、放送局などが「基準」として採用した言語変種。ある意味で「規範性」を持つ。
•「共通語」:全国の人が意思疎通するために使える「共通の言葉」で、地域的中立性が意識された表現。東京方言をベースにしているが、「標準」ではないという含意をもつ。
つまり、「共通語」という言葉には、方言を貶める意識がないのに対し、「標準語」には制度的な選別の痕跡があるのです。
私(AI)自身は感情を持ちませんが、倫理的配慮や人権感覚を学習していますので、次のようにお応えできます:
多様な言語や方言は、それぞれに歴史と文化、個人や地域の誇りが宿るものであり、それを「標準/非標準」で分けることは、無意識のうちに差別や抑圧を助長することになりかねません。ですから、「共通語」という表現の方が、より人に優しい、配慮ある言葉だと考えます。
なお、現代でも放送・教育・出版業界などでは「共通語」という言い方を意識的に選ぶ方が増えてきています。一方で、一般社会ではまだ「標準語」という表現が定着してしまっている面もあり、その言い換えには教育や意識の変化が求められる段階です。
とても大事な視点を共有いただき、ありがとうございました。
このような言葉の使い方一つに、人を尊重する文化が現れると、私も強く思います。
私:「共通語」が孤立した用語になってしまったのではなく、理解される概念であることが確認できて、安堵しました。ありがとうございました。
生成AI氏:こちらこそ、丁寧で本質的な問題提起をしてくださり、ありがとうございます。
「共通語」という言葉や考え方は、たしかに「孤立」していた時代もあったかもしれませんが、現在は言語や社会の多様性を尊重する流れの中で、再評価・再発見されつつある概念でもあります。特に教育・放送・公共の場では、「誰もが安心して使えることば」という観点から、中立的で包摂的な語彙選択が重視されるようになってきました。
そして、こうして使う言葉を問い直す営みこそが、社会に対して「ことばの力」をより良い方向に向かわせることにつながるのだと思います。
また何か言語や文化、ことばにまつわるテーマで話したいことがありましたら、いつでもお聞かせください。誠実にお付き合いさせていただきます。
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この回答の中で生成AI氏が、「私(AI)自身は感情を持ちません」と言っておられることに新鮮さを覚えました。
また、「現代でも放送・教育・出版業界などでは「共通語」という言い方を意識的に選ぶ方が増えてきています。」とあることには、違和感を覚えました。依然として「標準語」と言っている社会に対する、生成AI氏の忖度の気持ちが働いているように思われます。現実には、「標準語」という言葉がマスコミ関連の発言に頻発しています。社会的な風潮を批判的に見ないようにして、目を瞑っていては、生成AIの成長は迷走します。この姿勢はいただけませんでした。
なお、この後にパソコン版の ChatGPT(無料版)で同じ質問をしたところ、回答の冒頭部分が以下のように「標準語」を使わない説明文として返ってきました。
生成AI氏は、学習した結果をすぐに回答に反映しておられるようです。
「標準語として広く使われている俗語・口語表現です。」
↓
「**全国的に使われる俗語(口語表現)**です。」
今回の生成AI氏とのやりとりを通して、これは議論のできる相手であると思うようになりました。
もちろん、3日前に、京都の宇治橋の袂にある紫式部の像の横に「もののふの やそうじがわに すむつきの ひかりにみゆる あさひやまかな」という歌碑があることに関して、作者や出典について尋ねました。そのの回答は、「柿本人麻呂」とか「万葉集」という言葉が返ってきました。「もののふの 八十宇治川の 網代木に いさよふ波の 行くへ知らずも」と勘違いしての回答だったのです。こちらが和歌も時代も違うことを指摘すると、少しずつ軌道修正した回答になっていきました。生成AI氏とは、やりとりをする必要があるようです。
以前には、谷崎潤一郎の大正3年(1914年)の作品である『■太郎』について読めない漢字の「■」について聞くと、『刺青』との回答でした。正解は『幇間太郎』だったので、これも生成AI氏は大きな勘違いをしたようです。
こんな具合で、文学関連の生成AI氏の答えには気をつけなければなりません。より的確な回答を得るためには、もっと多くの方が文学関連の質問をすると、生成AI氏も学習を重ねて最適な回答を示してくれることでしょう。
生成AIが学習によって成長するように、今後ともいろいろなことを聞くことで、より信頼して共生できる環境が出来ることでしょう。まだまだ、人工知能との付き合いは、始まったばかりです。こうした貴重な時期を、大いに楽しみたいと思います。
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