大文字山は初夏の装いです。
今日の京大病院へは、妻のMR検査の付き添いです。レカネマブ(レケンビ)を3月から隔週で点滴し、アミロイドβがどれくらい減ったのかを調べるものです。点滴がどの程度効いているのかということと、身体への負担を定期的に確認するために、この検査が入っています。
待合室でのんびりと本を読んでいたら、15分ほどで終わりました。
少しお腹が空いてきたので、地下のコンビニで軽食を買い、休憩室でいただこうとした時でした。急に私のお腹が締めつけられるように痛くなったのです。
5年前に、絞扼性腸閉塞(いわゆる腸捻転)で、この病院で開腹手術をしています。その再発かと思い、痛みが収まるのをしばらくジッと待っていても、まったく収まりません。1時間半も、休憩室で休んでいました。それでも痛みが止まらないので、もうこれまでと思い、妻に受け付けへ行って消化管外科での診察をお願いしに行ってもらいました。
受け付けの方が手際よく手続をしてくださり、体調がよくなったらいつでも救急外来に行くように、とのことです。しかし、肝心の私が痛くて歩けません。そこで、妻に車イスを頼みました。すぐに近くにおられた看護士の方が手早く車イスを用意してくださり、救急外来に運んでいただき急遽診察となりました。
腹部を押されると、痛みが走ります。血液検査や点滴などの応急手当てを受けると共に、別室で造影剤を使ったCTによる腹部の画像診断になりました。
結果は、15年前の胃癌の手術による接合部分で腸重積が起きている、とのことでした。5年前に腸閉塞で手術をしたのは、接合部分で腸が食い込む状態になっていたことも原因の一つだったようです。いろいろな検査のたびに経過観察をしていただいていたそうです。
今日は、体内の詳しい説明をしてくださいました。私は、18歳の時に十二指腸潰瘍穿孔性腹膜炎で十二指腸が突然破れ、胃の3分の2と十二指腸を摘出しています。その十二指腸はすべてではなくて、膵臓から出る膵液という消化液を腸に流すために、十二指腸の一部は残されていたことを、今日はじめて知りました。先日、膵臓癌の検査を受けたのも、こうしたことの経過観察を考慮してのことだったのです。
とにかく、今日は接合部分のY字の分岐部分の重積が、何とか元にもどってくれたために、入院しての手術という事態は免れました。しかし、接合されたY字の部分が、今後とも問題箇所であることには変わりません。
次に何か異状を感じたら、いつでも京大病院に飛び込むように、との指導を受けました。
私の身体のデータは、すべてこの病院にあります。今日も、手際よく最善の対処がしてもらえたように、ここに転がり込めばこれまでの詳細な治療と経過の情報があるので、何とか命は守ってもらえます。今回も、放置していたら、腸の閉塞・重積部分に血が通わなくなり、内臓が壊死する経過を辿るところでした。そうした過去の詳細な診察データが、病院内の診察記録として引き出せるようになっているので、原因の特定と対処の当たりと治療の方針がすぐにつくようです。
ありがたいことです。
救急治療室を出たのは、2時間後の19時を回っていました。妻は、待合室でずっと待っていてくれました。私は妻の付き添いで行ったはずです。それなのに、当の妻は15分で検査が終わり、代わりに妻は、長時間にわたって私の診察の付き添い人として、待合室でいつ終わるとも知れない救急治療のプロセスに付き合ってくれたのです。主客転倒とはこのことです。
帰る前に、病院のロビーでしばらく気持ちを落ち着けました。買ったペットボトルのラベルを見ていたら、伊右衛門の剥がす位置に、亀の背中に鶴が乗ってラベルの剥がし口を摘んでいる絵に目が留まりました。しかも、その下にはおみくじがあります。遊び心満載で、お腹が痛かったことを忘れました。
病院を出て、神宮丸太町駅に向かう途中で、またお腹が痛くなりました。5分もかからない道を、20分かけて駅に辿り着きました。京阪の電車に乗ると、私の表情が尋常ではなかったのか、女子学生がすぐに席を代わってくれました。近鉄の電車に乗り換えた時も、若い女性が変わりますと声をかけてくれました。しかし、すぐに降りるので、と丁重にお礼を言い、立ったまま下車駅まで乗りました。
いやはや、申し訳ないことです。感謝感謝の日となりました。
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