キャンパスプラザ京都(京都市大学のまち交流センター)の入口正面のロビーには、いつものように『源氏物語』の講座の案内が大画面に表示されていました。
今日は最初に、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉がこれから夏にかけて予定・協力している3つのイベントの確認をしました。詳細は、随時このブログで告知します。
(1)【シェア型書店HONBAKO京都宇治】 (JR宇治駅より徒歩3分)
第1土曜日 5/31、7/5、8/2、9/6、10/4、11/1、12/6、
「宇治で古写本『源氏物語 橋姫』の変体仮名を読む会」 14:00〜16:00
(2)6月15日(日)NPO主催の宇治散策
(3)8月25日(月)「新古典塾 平安文学リレー講座」大阪府立中之島図書館
同志社女子大学 大津直子
「谷崎潤一郎と『源氏物語』」+谷崎潤一郎記念館のパネル展
次に、[■街中の変体仮名「お可毛登」or「お可无登」]として、次の表札の変体仮名をどう読むか、という問いかけをしました。
この、左から3文字めの仮名文字を「Mo」と読むことは、その横にあった表札からわかっています。それでは、この仮名文字の字母は何だろうか、と考えた時に、「毛」なのか「无」なのか迷います。
参考までに、『携帯かな字典』(角川書店)の「も」の例示から、その一部を引きます。
これを見ても、その字母を特定するのに戸惑います。一応、私は「毛」としておくことにしました。専門家のご教示をお願いします。
さらには、写真と資料をあげて、『源氏物語別本集成 正・続』(全二十二巻、桜楓社・おうふう、1989(平成元)年〜2010(平成22)年)を第七巻で中断した説明と、今後は変体仮名で翻字したデータを生成AIで分析するプロジェクトに移行する意義と、今後の展望と課題についてお話しました。
■『源氏物語別本集成 正・続』の刊行の経緯今後の問題点
15年前まで、『源氏物語別本集成 正・続』(全二十二巻、桜楓社・おうふう、1989年〜2010年)という本文資料集を刊行していました。しかし、嘘の翻字を後世に残したくないので、刊行を中断しました。その時の弁明は「『源氏物語別本集成』中断の弁」(2010年06月24日、http://genjiito.sblo.jp/article/178934604.html)に書きました。
正編15巻については、総勢80人が376帖の写本を読み、各帖を3人が読んで確認したので、約10億字を読んだことになります。続編は3倍の分量の写本を対象としていたので、約30億字を読む計画でした。しかし、上記の理由で道半ばの続編の第7巻で打ち切りました。『源氏物語別本集成 正・続』のプロジェクトで得られた約20億字以上の翻字データは、現行の平仮名に置き換えた翻字であったために、今回の「変体仮名翻字版」には、参考にはなってもデータとしては使えません。。
『源氏物語別本集成 正・続』では、お手伝いしていただいた方々のお名前を各巻の冒頭に掲載し、感謝の気持ちに代えました。それが、最近は、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉を介したプロジェクトになっているため、薄謝をお支払いして、「変体仮名翻字版」の翻字作業を進めてきました。しかし、今後も増え続ける翻字データの対処について、NPO活動に限界を感じています。資金が足りないからです。官民からの活動支援を得て、対処すべきでしょう。しかし、100年計画のどこまでをどのように進めるのか、という展望を整理する必要が直近の課題となっています。「生成AIを意識したデータベース構築のために」(2025年05月06日、http://genjiito.sblo.jp/article/191343538.html)
このことは、折々に話題にしていきます。
本日のメインである尾州家河内本「桐壺」の本文の確認は、第19丁表2行目から19丁裏までを扱いました。尾州家本特有の、朱による句読点の扱いについて、今日は傍記に打たれた朱の読点をどう扱うかで、予想外に時間を取りました。そのために、2頁分しか進みませんでした。
問題となったのは、「・いふ可う/±〈朱点〉、い+と、傍とノ下ニ〈朱点〉・」(19丁裏9行目)とした箇所です。
「い」と「ふ」の間に補入記号の「◦」を付して書かれた、傍記の「と」の下に打たれた朱点について、本文のデータベース化にあたってどう記述するか、という問題です。
これについては、ありのままに「い+と、傍とノ下ニ〈朱点〉」としました。
これと同じ例は、この後、21丁表6行目に「と」が補入されてその下に朱点が打たれているので、来月また取り上げます。
以下、本日確認した「変体仮名翻字版」の翻字結果をあげます。
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於ほしめ志む春本ゝれ多里/±〈朱点〉、流〈削〉里、(む春本本れ多流)・【先帝】
能/±〈朱点右〉・【四】能【宮】・ナシ/+【御】可多ちよに、よ±〈朱点〉・ナシ/+春くれ弖・ナシ/+きこえ・ナシ/+堂可う・ナシ/+於八しま須(「須」ノ右下ニ朱点)・八ゝきさ起、(八八)・よ尓なう/±〈朱点〉・かしつき/±〈朱点〉・ゝ古江/(き古江)・
【給】を・うへ尓/±〈朱点〉・さ布ら婦・【内侍】乃す遣/±〈朱点〉・せん多い乃/±〈朱点〉・
【御時】の・【人】尓て・可能/±〈朱点〉・【宮】尓も・新多しく・万いり気
礼八/±〈朱点〉・い盤けなく/±〈朱点〉・於八しましける/±〈朱点〉・【時】より・【見】/±〈朱点〉、△〈削〉【見】、【見】=【見】〈削〉・多て
まつり遣り・いまも/±〈朱点右〉・本乃【見】・多てまつりて・う勢/±〈朱点〉・
【給】尓し・【更衣】能/±〈朱点〉・【御】可多ち尓・ゝ/±〈朱点〉、(尓)・多まへる・【人】を・【三代】
能/±〈朱点〉・三や徒可へ尓・ナシ・江/±〈朱点〉・【見】/△〈削〉【見】、【見】=【見】〈削〉・多てまつり・つ遣ぬ尓・きさい
乃【宮】能/±〈朱点〉・飛め【宮】こそ・いと/±〈朱点〉・よう・於本江弖/±〈朱点〉・於ひい
てさ勢/±〈朱点〉・多まへれ・ナシ・あり可多き/±〈朱点右〉・【御】可たち尓なんと/±〈朱点〉・
そうし遣る尓/±〈朱点〉・ナシ・まこと尓やと/±〈朱点〉・【御心】/±〈朱点〉・とまりて・ナシ・まいら勢/±〈朱点〉、ら〈次頁〉、(19オ)
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堂てまつり/へ〈削〉つ・【給】へき・よし・ねんころ尓/±〈朱点〉・きこ
江・堂まひ遣るを・八ゝきさ起/±〈朱点〉、(八八)・あ那/±〈朱点〉・於そろし
や・とうく乃女御の/±〈朱点〉・み【心】・いと・さ可那くて・起りつ本能
かういの/±〈朱点〉・あら八尓・八可那う/±〈朱点〉、く〈削〉う、う=う〈削〉・もてなされ尓し・多
めし毛/±〈朱点〉・ゆゝしうと/(ゆゆしうと)・於本しつゝ三弖/±〈朱点〉、(つつ三弖)、【見】$〈削〉三、三=△〈削〉・す可/\しうも/±〈朱点〉、=速ゝ(速速)、も〈行末左〉、(す可す可しうも)・
於本し多ゝ佐り遣る/±〈朱点〉、(多多佐り遣る)・本と尓・起さき/±〈朱点〉・うせ・【給】
ぬ・【心】本そくて/±〈朱点〉・於八しま春らんを・多ゝ/±〈朱点〉、(多多)・王可をん
那みこ多ち能/±〈朱点〉、=我・於なし・つら尓・於もひ/±〈朱点〉・起こ江ん
なと・いふ可う/±〈朱点〉、い+と、傍とノ下ニ〈朱点〉・起こ江/±〈朱点〉・たまふ・さふら婦/±〈朱点右〉・【人】/\/±〈朱点〉、(【人人】)・【御】うし
ろ三多ち/し〈行末左〉、±〈朱点〉・【御】せうと能/±〈朱点〉・【兵部卿】乃【宮】なとも・遣尓/±〈朱点〉・
かう/±〈朱点〉・【心】本そくて/±〈朱点〉・於八しまさむより八/±〈朱点〉・【内】す三も/±〈朱点〉、も〈次頁〉、(19ウ)
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本日も、慌ただしく終わりました。大急ぎでテーブルを片づけて退室しました。時間に厳しい管理がなされているので、終盤は駆け足になることが多いように思います。90分ではなくて、あと30分、120分の講座にしたいところです。今後の課題とします。
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