2025年04月29日

読書雑記(357)水野敬也『夢をかなえるゾウ4 ガネーシャと死神』

 『夢をかなえるゾウ4 ガネーシャと死神』(水野敬也、文響社、2020年7月)を読みました。


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 奇想天外な話にはすぐに慣れました。軽快に、予想外の展開が繰り広げられます。おもしろく読み進みました。文章の間に挟み込まれたイラストも秀逸です。話題を滑らかに進めます。

 そして何よりも、人間を見る目と、社会を見る目が変わります。


 勘当された父に、余命幾許もない今しか気持ちを伝える機会はない、と思って会いに行く話は、感動的な物語となっています。父が自分のために貴重な時間を割いてくれたことに対して、素直な感謝の気持ちを伝えたのです。自分が親よりも先に死ぬことは言いませんでした。しかし、それでも気持ちはスッキリしたのです(133頁)。


 本作ではもう一箇所、感動的な場面が出てきます。夫が妻に宛てた遺書とでも言うべき手紙を読み聞かせる場面です。(274頁)

 そして、妻は末期ガンのために倒れ、苦しい中で夫に語る話と、その妻に対する夫の姿がみごとに描かれています。


 余命宣告された夫とガン末期の妻の話が、軽快にコミカルに語られます。人生訓を随所に盛り込みながら、それでいて重くないのがいいと思います。「夢をかなえる」ということを考えさせられました。


 本書は、人間が生きていく上での根源を、さまざまなわかりやすい例を挙げることで、読者に気付かせようとしています。納得しながら読み進みました。しかし、しばらくすると現実の世界に意識が戻り、いつもの俗世観に立ち戻っています。達観と俗念を行きつ戻りつしながら、ガネーシャの関西弁の語り口と作者の想いの中を遊ぶことができる、ズッシリとした重みのある物語に仕上がっています。折々に、何度も読んで感心する本だと思います。


 最後の詩織の言葉、「あなたたちと会うために……私は生まれてきたの」(367頁)は、なかなか意味があるものでした。


 巻末のまとめで、「人間が死に際に後悔する十のこと」(6頁の再掲)があります。それを引きます。


本当にやりたいことをやらなかったこと

健康を大切にしなかったこと

仕事ばかりしていたこと

会いたい人に会いに行かなかったこと

学ぶべきことを学ばなかったこと

人を許さなかったこと

人の意見に耳を貸さなかったこと

人に感謝の言葉を伝えられなかったこと

死の準備をしておかなかったこと

生きた証を残さなかったこと



 これも、何度か読み返して、自分に当てはめています。【5】



 これまでに『夢をかなえるゾウ』に関して、読書雑記で取り上げたのは以下の3件です。
 おついでの折にご笑覧ください。

・読書雑記(122)水野敬也『夢をかなえるゾウ』

・読書雑記(126)水野敬也『夢をかなえるゾウ2』

・読書雑記(131)水野敬也『夢をかなえるゾウ3』




posted by genjiito at 20:05| Comment(0) | ■読書雑記
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