2025年03月08日

中之島での『百人一首』(第11回)と『源氏物語 蜻蛉』(第22回)の講座

 土佐堀川沿いのみおつくしプロムナードの花壇は、市役所の真横ということもあってか、いつも手入れがなされています。

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 今日の講座は、いつもの重要文化財の本館ではなくて、新しい別館です。本館の東側(裏手)には新館ができました。しかし、そこから別館へは行けないので、別館へお越しの際にはお気をつけください。

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 今日は、まず『百人一首』からです。陽明文庫旧蔵カルタの89番歌から100番歌までの、現代語訳と仮名文字の注意点を確認しました。

 98番歌の現代語訳で、「証だなあ。」の「証」を「あかし」と読むのは、高校生には難しいと思われます。今、新しく2種類のカルタを収録した『百人一首』の本を刊行する準備をすすめているところなので、適当な言葉に言い換えることにします。
 また、99番歌の「人が愛しく」も、高校生には読めないと思われます。平仮名で「いとおしく」とするか、別の言葉を考えることにします。


■吉村仁志『百人一首』八九〜一〇〇・試訳 (付・仮名文字に関するメモ:伊藤鉃也)
・吉海直人『百人一首で読み解く平安時代』(角川学芸出版、二〇一二年)の訳(以下、底本の訳)を参考にした。
・高校生を意識して、また耳で聞くだけでもわかりやすく、イメージしやすい訳を心がけた。

【八九】
[現代語訳]私の命よ、絶えるならば絶えてしまえ。生きながらえていると、我慢することができなくなって、恋心を他の人に知られてしまうから。
[仮名文字の注意点]「毛そ春る」の字形に注意。

【九○】
[現代語訳]あなたに見せたいものだ。血の涙のせいで、色が変わってしまった私の袖を。雄島の漁師の袖でさえ、どんなに濡れていても、色は変わらないだろうに。
[仮名文字の注意点]「勢」「満」「礼(禮)」「須」の字形に注意。

【九一】
[現代語訳]こおろぎが鳴いている。霜が置くほど寒い夜、私はむしろの上に、自分の衣だけを敷いて、一人寂しく寝るのだろうか。
[仮名文字の注意点]「ころも」「幾」「飛」「年」の字形に注意。

【九二】
[現代語訳]私の袖は、まるで引き潮の時にも見えない、沖にある石のようだ。人は知らないだろうが、涙に濡れて乾くひまもない。
[仮名文字の注意点]「王可」「幾」「こ楚」「満」の字形に注意。

【九三】
[現代語訳]世の中は常に変わらずにあってほしいものだ。渚を漕いでいく漁師が、小舟に繋いだ綱を引く。そんななんでもないような光景を見ると、面白くも、また悲しくも思われる。
[仮名文字の注意点]「可も」「ふ年」「可那」の字形に注意。

【九四】
[現代語訳]吉野山から秋風が吹いてくる。夜も更けた頃、かつての都には、寒い中で衣を打つ砧の音が聞こえてくるようだ。
[仮名文字の注意点]「古ろも」「川」の字形に注意。

【九五】
[現代語訳]恐れ多くも、このつらい世に生きる人々を、私の袖で覆いかけることだ。比叡山に住む私の、墨染めの袖で。
[仮名文字の注意点]「希」「支」「多川」の字形に注意。

【九六】
[現代語訳]花を散らす激しい風が吹く庭で、雪が降るように散りゆく花、だが本当に古びてゆくものは、我が身だったのだなあ。
[仮名文字の注意点]「布」「盤」「王」「遣」の字形に注意。

【九七】
[現代語訳]いくら待っても来ない人を待つ時は、あの松帆の浦の夕凪に焼く藻塩のように、身も心も焦がれながら待っている。
[仮名文字の注意点]「農」「な幾耳」「屋具」の字形に注意。

【九八】
[現代語訳]風がそよそよと楢の葉を揺らす、ならの小川の夕暮れは、もう秋のような涼しさだが、禊が行われていることが、まだ夏であることの証だなあ。
[仮名文字の注意点]「楚」「川」「遣る」の字形に注意。

【九九】
[現代語訳]人が愛しくも、また恨めしくも思われる。世の中をどうしようもないと思うがゆえに、物思いをしている私には。
[仮名文字の注意点]「毛」と「も」の区別と、「免」「幾」「おも」「盤」の字形に注意。

【一〇〇】
[現代語訳]宮中の古い軒端に、忍ぶ草が生えている。それを見て偲ぶにつけても、思いが溢れ出てしまう昔であることだなあ。
[仮名文字の注意点]「婦る幾」「無可し」の字形に注意。


 続いて、光琳カルタの55番歌から100番歌までの、読み札と取り札に書かれている変体仮名を確認しました。

 まず、64番歌に「愛しろ【木】」とある「愛」の文字に注目しました。この「愛」は「あ」と読む変体仮名です。これまでに多くの『源氏物語』の写本を読んできました。特に鎌倉時代のもので、この「愛」が仮名文字として使われている例に出会っていません。初めての出会いとなります。

250308_64番歌「愛」.jpg


 また、92番歌の二条院讃岐の歌の下の句で、「【人】こ楚志らね」とある「ね」は次のような字形で書かれています。

250308_光琳「しらね」.jpg


 一見「志らぬ」かと思います。しかし、ここは「こそ+已然形」の係り結びの文脈なので、「こそ〜ね」となるべきところなので、「ね」でいいと思われます。なお、陽明文庫旧蔵カルタでは「しら年」となっています。


■光琳かるた[変体仮名翻字版-2023] 五五〜一〇〇番歌
(『別冊太陽愛蔵版「百人一首」』、平凡社、一九七四年十一月九日発行 より)
五五 大納言公任
【瀧】の【音】盤 堂え弖ひさしく 【成】ぬ連と
【名】こ楚な可れ帝 なを支こ盈希礼

五六 和泉式部
あらさ羅無 【此】よの【外】乃 【思出】耳
い満【一】堂飛の 阿ふことも可な

五七 紫式部
免く里阿ひ弖 三しやそ連とも 【分】ぬ万に
【雲】かくれ尓し よはの【月】か希  (陽明本は「【哉】」)

五八 大弐三位
【有馬山】 いな農さゝ【原】 【風】ふけ盤
い弖そよ【人】を わすれやは春る

五九 赤染衛門
やすらはて ねな万しものを さよ【更】帝
閑た布く満弖乃 【月】をみし可那

六〇 小式部内侍
【大江山】 いくのゝ【道】乃 登をけ連八
満多ふみも三寸 【天】能者し【立】

六一 伊勢大輔
い尓しへの なら能【都】乃 【八重】さ九ら
けふこゝのへ耳 【匂】ひぬる【哉】

六二 清少納言
よ越こめ弖 【鳥】のそらね者 は可るとも
よ耳【逢坂】乃 せき盤ゆるさし

六三 左京大夫道雅
【今】は多ゝ おも飛堂え【南】 登者可りを
【人】徒弖ならて い婦よしも可な

六四 権中納言定頼
あさ本ら希 う【治】の【川霧】 多え/\耳
阿ら者連わ多る 【瀬】ゝの愛しろ【木】

六五 相模
うらみ【侘】 ほさ怒【袖】堂に【有】毛のを
こひ耳くちなむ 【名】こ楚おしけ連

六六 前大僧正行尊
もろともに 【哀】登【思】へ 屋満さく良
者なよりほか尓 志類【人】母なし

六七 周防内侍
【春】のよ能 【夢】者可りな留 【手枕】耳
かひな具堂ゝ無 【名】こ所於し遣れ

六八 三条院
こゝろ尓も あら弖【此】よ耳 な可らへは  ([陽明]は「う支よ耳」)
【恋】し可類遍き よ者乃【月】か那

六九 能因法師
あらし布具 【三】むろの【山】乃 もみち者ゝ
堂徒多の【川】濃 尓し支【成】け里

七〇 良暹法師
佐ひしさ尓 【宿】を【立】【出】て な可む連八
い徒具も【同】し 【秋】の【夕暮】

七一 大納言経信
【夕】さ礼盤 【門田】乃いな【葉】 【音】つ連て
あし乃まろ屋に 【秋】可勢そ【吹】

七二 祐子内親王家紀伊
をと尓き具 堂可しの者満乃 あた【波】八
かけしや【袖】の ぬ連もこ楚すれ

七三 権中納言匡房
堂可【砂】の 【尾上】のさくら 佐支にけり
とや満の可すみ 多ゝすも阿ら【南】

七四 源俊頼朝臣
う可里ける 【人】をはつせの 【山】おろしよ  ([陽明]は「おろし」)
は遣し可れとは いのらぬも能を

七五 藤原基俊
地支里【置】し させも可徒ゆを 【命】尓て
あ者れことしの 【秋】毛意ぬめ里

七六 法性寺入道前関白太政大臣
わ多のはら 【漕】【出】弖三れ盤 【久】可多の
くも井尓満可ふ 【奥】徒しらなみ

七七 崇徳院
【瀬】を者やみ い者尓せ可留ゝ 【滝川】の
わ連てもす衛耳 あ者むと曽【思】

七八 源兼昌
あ者【路】し満 可よふ【千鳥】の なく【声】に
いくよねさ免怒 【須】満の【関守】

七九 左京大夫顕輔
【秋】可せ耳 【棚引】くもの 【絶間】より
も連【出】類【月】の 可け能さや気散

八〇 待賢門院堀川      ([陽明]は「堀河」)
な可ゝらむ 【心】もしら春 くろかみの
見堂れ帝けさは ものをこ楚【思】へ

八一 後徳大寺左大臣
ほとゝ支数 【鳴】つる【方】を な可む連八
多ゝ【有】あけの 【月】楚のこ連累

八二 道因法師
おもひ【侘】 さても【命】盤 あるものを
う起耳多え怒は な三多【成】けり

八三 皇太后宮大夫俊成
【世】の【中】は 【道】こ楚な介連 おも日【入】  ([陽明]は「【世中】よ」)
【山】の於く尓も 志可楚【鳴】な類

八四 藤原清輔朝臣
な可らへは 【又】このころや 志の者連ん
うしとみしよ所 【今】盤【恋】し起

八五 俊恵法師
よもす可ら 【物】【思】ふころ八 【明】やら怒   ([陽明]は「やら弖」)
ねやの日万さへ 徒連な可里けり

八六 西行法師
なけゝとて 【月】や盤【物】を おも者する
かこち可本なる わ可【涙】可な

八七 寂蓮法師
【村雨】の つゆも万多日怒 【槙】乃者尓
きり【立】の本類 【秋】乃【夕】くれ

八八 皇嘉門院別当
【難波江】の 阿し能可里ね乃 【一】よゆへ
【身】を徒くしてや こひ王多るへき

八九 式子内親王
【玉】の【緒】よ 多えな盤【絶】ね な可らへは
志のふることの 余は里も楚す類

九〇 殷富門院大輔
みせ者やな をし万のあ満乃 そて多尓も
ぬ連尓楚ぬ礼し 【色】は可盤らし

九一 後京極摂政前太政大臣
き里/\寸 【鳴】や【霜】よの さむしろ尓
ころも可多し起 日と里可もね無

九二 二条院讃岐
わ可そ弖は 【塩干】尓みえ怒 【沖】の【石】能
【人】こ楚志らね かはく【間】もなし          ([陽明]は「しら年」)

九三 鎌倉右大臣
【世中】盤 徒年尓もか毛な ゝきさこく
あ万のを【舟】乃 徒な弖可なしも

九四 参議雅経
みよしのゝ 【山】の【秋】可せ さよ【更】て
ふる【郷】さ無く ころもう津なり

九五 前大僧正慈円
於ほ希なく うき【世】の【民】耳 お本ふ可な
わ可多徒そ万尓 すみ所めの【袖】

九六 入道前太政大臣
【花】さ所ふ あらしの【庭】乃 【雪】ならて
婦りゆくもの盤 わ可【身】な里けり

九七 権中納言定家
こぬ【人】を 万川本のうら能 【夕】なき尓
屋くや毛しほの 【身】もこ可連川ゝ

九八 従二位家隆
【風】そよく ならのを【川】乃 【夕】くれ八
みそ起所【夏】の 志るし【成】けり     ([陽明]は「【成】ける」)

九九 後鳥羽院
【人】もおし 日と毛うら免し あち支なく
よ越【思】ふゆへ耳 もの【思】婦【身】は

一〇〇 順徳院
もゝしきや 布る起【軒】者の 志能ふ尓も
な越あ万里阿類 【昔】な里気り


 光琳カルタは55番歌から確認したので、45首の確認をしたことになります。慌ただしいことでした。5分だけ超過して無事に終えることができました。昨年春からの『百人一首』の講座は、これで前期と後期が終了です。みなさま、お疲れさまでした。四月からは、テキストを変えて、2種類の『百人一首』のカルタの変体仮名を読みます。

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 30分の休憩を置いて、次は『源氏物語』の「蜻蛉」巻の仮名文字を読み進めました。

 今日の回覧本は、朴光華先生のハングル訳『韓国語訳注「浮舟」』を回しました。朴光華先生のお仕事が、『源氏物語』を韓国語で読む上では唯一の信頼できる成果です。一日も早い完成を心待ちにしています。

 ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「蜻蛉」は、51丁表から53丁裏2行目までを確認しました。
 紛らわしい文字としては、50丁裏10行目の後の方の「な」を指摘しました。

250308_「蜻蛉」50uなくなし.jpg


 これは、どう見ても「なくふし」で「ふ」です。しかし、「な」のさまざまな字形をみていると、「ふ」に近いものがあるので、「なくなし」としました。


■ハーバード大学蔵『源氏物語 須磨』51丁表〜53丁裏2行目
翻字データの中にある付加情報(/)の記号について
傍書(=)、 ミセケチ($)、 ナゾリ(&)、
補入記号有(+)、補入記号無(±)、 和歌の始発部( 「 )・末尾( 」 )、
底本陽明文庫本の語句が当該本にない場合(ナシ) 、 翻字不可・不明(△)
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【給】へし・ものか多りこ万や可に・し・た万ひて・
よふけて・いてなと・し・【給】・於り/\も/(於り於りも)・【侍】れと・れい
の・めなれ多る・すち尓・【侍】らぬ尓や・【宮】をそ・いと・
なさけなう・於八し万すと・【思】て・【御】いらへを多に・
きこえ春・八へめれ・可多し介なき・ことを・
いひて・王らへ八・【宮】も・王ら者せ・【給】て・いと・三くる
志き・【御】ありさ万越・ゝもひしるこそ/(越もひしるこそ)・を可し介れ・
い可て可・かゝる/(かかる)・【御】くせ・やめ・多て万つらん・八つ可しや
と・この・【人】/\をも/(【人人】をも)・能【給】ふ・[26]いと・あやしき・【事】をこそ・
きゝ/(きき)・【侍】里し可・この・【大将】の・なくなし/後な〈判読〉・【給】てし/(51オ)
--------------------------------------
【人】八・【宮】の・【御二条】のき多のか多の・【御】をとゝなり
介り/(【御】をととなり介り)・こと八らなるへし・ひ多ちのさきの可見
な尓かし可め者・者ゝとも/(者者とも)・を八とも・いひ・八へるなる
者・い可なる尓可・その・【女君】尓・【宮】こそ・いと・しのひ
て・於八しまし介れ・【大将殿】や・きゝ川介【給】多り介ん/(きき川介)・
尓八可尓/△&前尓・む可へ・【給】八んとて・万本りめ・そへなと・こと
ことしう・し・【給】介る・本とに・三やも・いと・しのひ
て・於者し万し奈可ら・江・いらせ・【給】八春・あやしき・さ
万尓・【御】う万な可ら/う$む、(【御】む万な可ら)・多ゝせ/(多多せ)・【給】てそ・かへらせ・【給】介る・
【女】も・【宮】を・於もひ・きこえさせける尓や/(51ウ)
--------------------------------------
尓者可尓・きへう世にける越・【身】・なけ多るなん
めりとてこそ・め能となとやうの・【人】と母八・なき
万とい・者んへり介れと・きこゆ・三やも・いと・あさ満
志と/△&さ・於ほして・多れ可・さる・こと八・いふそとよ・いと/\
於しう/(いと於しう)・【心】うき・こと可な・さ者可り・めつら可ならん・
ことは・於の川可ら・きこえ・阿りぬへき越・【大将】も・
さやう尓八・い者て・【世中】の・八可奈く・い三しき・【事】・
かの・うちの三や能/△り&うち・そうの・い能ち/り&ち、ち±の、(い能り、い能ちの)・三しかゝり介る/三し&三し、(三しかかり介る)・
ことをこそ/を&を・いと・可なしと・【思】日て・能【給】し可と・能
【給】ふ・いさや/さ=〈墨ヨゴレ〉・介春は・多し可ならぬ・ことをも・いひ【侍】る【物】をと/【侍】〈次頁〉、(52オ)
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於毛ひ・【給】ふれと・かしこ尓・【侍】介
累・し毛王ら八の・このころ・【宰相】の・さとに・万
うてきて・多し可なる・さまにそ・いひ・【侍】り
ける・かう/う&う・あやしうて・う世・【給】へりける・こと・【人】
尓・き可せし・於とろ/\しう/(於とろ於とろしう)・於そきやうなりと
て・いみしう・かくし介る/くし&かくし、(くし介る)・こともや・さて・く八しう八/八〈行末左〉・
き可せ・多て万つらぬ尓や・あ里介んと・きこ
ゆれ八・さらに・かゝる/(かかる)・こと・ま多・万ねふなと・い者せ
よ・かゝる/(かかる)・すち尓・【御身】をも・ゝてそこなひ/(もてそこなひ)・【人】尓・
かろく・【心】川きなき・【物】尓・於も者れ・【給】へきな免里と/な〈次頁〉、(52ウ)
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い三しう・於ほい多り・[27]その・ゝち/(のち)・【女宮】の・
【御】可多より・【二宮】尓・【御】せうそこ・ありけり・【御】て
なとの・い三しう・ゝ川くし介なる越/(う川くし介なる越・)三る尓も・いと・
うれしう・かくてそ・とく三るへ可り介ると・於ほ須・
あ万多・於かしき・ゑとも/とも&とも・於ほ【宮】も於ほく・たて
万川らせ・多万へり・【大将殿】ゝ/ゝ$、(【大将殿】の)・うちまさりて/さ±く、(うちまさくりて)・於可
しきとも・あ川めて・万いらせ・【給】・せり可八の【大将】・と
越き見の・【女一宮】・於もひ可遣多る・【秋】の・ゆふくれ
尓・於もひ王ひて・いてゝ/(いてて)・ゆき多る・か多・於可しく・
かき多るも・いと・よう・【思】ひよそ江らる可し/らる&らる、らる$らる、可し&可し・可八可り(53オ)
--------------------------------------
於ほしなひく/い&ひ、(於ほしないく)・【人】の・阿らまし可八と・於もふ【身】そ・
くちをしき・(250308_ここまで)

 なお、本日見た「蜻蛉」の最後の、53丁裏と54丁表の見開きの装飾料紙のデザインは、先日相愛大学で拝見した写本の「手習」の65丁裏と66丁表の見開きとそっくりです。

■ハーバード大本「蜻蛉」五三丁裏(拙編『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「蜻蛉」』新典社、2014年)122頁

250307_Harvard52蜻蛉53裏.jpg


■相愛大本「手習」六五丁裏(国文学研究資料館より公開されている画像)

250307_相愛53手習65裏.jpg


 ここに提示した2枚の影印画像は、文字の類似はもちろんのこと、同じような手法で丁子油を振り掛けて型抜きされた料紙に書写されていることは明らかです。ハーバード大学本『源氏物語 蜻蛉』と、相愛大学本『源氏物語 手習』は、ツレの写本であると言っていいと思われます。
 このことは、後日また整理して報告します。




posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ■講座学習
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