2025年03月06日

相愛大学で古写本『源氏物語』の原本調査

 今日は、鎌倉時代に書写された『源氏物語』の古写本を調査する日です。
 ニュートラムに乗ったのは、数十年ぶりです。気持ちのいい無人運転でした。

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 写本を所蔵しておられる相愛大学は、ポートタウン東駅から歩いてすぐの、瀟洒なキャンパスです。

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 図書館長の千葉真也先生が、お忙しい中をご丁寧に校門まで迎えに来てくださいました。恐縮します。ありがとうございます。

 本日拝見した古写本は、『枕草子』の研究者として知られていた、田中重太郎先生が収集なさったものです。言われている通りの、ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「須磨」「蜻蛉」と、『国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」』と同じ装幀で、同じ紙質で、同じ時代に書き写された写本でした。
 つまり、今から800年前には同じ一組の『源氏物語』の内の5冊だったと思われます。ただし、相愛大学の5冊すべてが完全な形ではなくて、多くの落丁がある写本であることが惜しまれます。それでも、これまで詳細な調査がなされていなかった写本なので、あらためて鎌倉時代の写本の実態を調べることにしました。

 実は、10年前に相愛大学の『源氏物語』を調査をする予定でした。しかし、ハーバード本や歴博本の影印本を刊行することに時間を取られ、調査ができないままに今に至ってしまいました。
 当時から、私の科学研究費補助金のプロジェクト研究員だった淺川槙子氏(現・名古屋大学)に、関連資料を集めてもらっていました。丹念に集めてあった資料をあらためて送ってもらい、遅ればせながら少しずつ調査を始めることになりました。10年越しで調査研究の願いが叶い、楽しみにして今日は相愛大学へ行きました。

 私は大阪府立高校で教員をしていた1980年頃に、相愛大学の大学入試説明会に参加しました。その時に田中重太郎先生が壇上で、入試のお話をなさった時のことを記憶しています。遠くからではあっても、その研究業績を知っていたので、感激しながら伺いました。会場は本町にある高校だったかと思います。
 また、阿尾あすか先生には、私が国文学研究資料館に在職中の2008年に、源氏千年紀で『源氏物語展』を担当した際、機関研究員として調査や研究のみならず展示のお手伝いをしていただきました。
 その阿尾さんが、今は相愛大学の准教授になっておられました。阿尾先生にも若手としてこの調査に加わっていただき、成果の取りまとめにも関わってもらうことになりました。

 今日は、ハーバード大学本と歴博本の3冊のみごとな臨模本を作成された、書家の宮川保子さんのお声がけで写本の確認と調査をすることになったものです。私は、書き写された物語本文を「変体仮名翻字版」で翻字して、多くの方に鎌倉時代の信頼すべき本文の実情と書写されている文字の実態をお伝えすることを使命として望みます。
 京都と大阪の源氏講座で、変体仮名を読むスキルを磨いておられる辻義孝さんにも同席してもらい、鎌倉時代の手書きの列帖装の写本を熟覧しました。糸が切れた断簡なので、取り扱いには慎重を期しました。

 明日からは、この写本の[変体仮名翻字版]の作成にかかります。そして、疑問点や再確認を必要とする箇所などの再調査を、今月中に一度はしようと思っています。

 この写本の臨模本の作成と本文の調査研究とが、こうして今日から同時に進行することになります。今年中には成果を公表しましょう、と決意表明をして、初回の顔合わせを終えました。

 このプロジェクトの進捗状況は、折々に報告します。




posted by genjiito at 21:03| Comment(0) | ■変体仮名
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