2025年02月22日

キャンパスプラザ京都で尾州家河内本「桐壺」を読む(第27回)

 キャンパスプラザ京都(京都市大学のまち交流センター)の入口のロビーには、いつものように勉強会の案内がありました。

250222_掲示板.jpg

 今日の回覧本は、朴光華先生のハングル訳『源氏物語』です。このことはすでに今月の日比谷の報告で記したので省略します。

 尾州家河内本「桐壺」の本文を[変体仮名翻字版]で翻字する確認作業を継続しています。
 今日は、第13丁表から第15丁裏までを見ました。

 まず問題となった箇所からの報告です。
 13丁8行目で、「いと・可奈し/±〈朱点右(ママ)〉」と翻字して、「可」の右上に句点を示す〈朱点〉があるものの確定できないので「(ママ)」とした箇所についてです。
 参会者のSさんから、裏面の朱点が裏写りとして見える例ではないか、との意見をいただきました。その該当箇所の拡大写真(左)と、裏写りと思われる箇所(右)とその反転写真(中)を示します。

250222_反転合成矢印.jpg


 確かに、左側の写真と真裏にあたる右側の写真が重なることは、右側を反転した真ん中の写真を置くことで明らかになります。これで、ここの翻字は「いと・可奈し」と、付加情報のないものとなります。

 次に、15丁裏6行目の「【事】なり遣礼八/礼八〈削〉り遣」では、ナゾリの背景を明らかにしました。

250221_尾州「桐壺」15裏L6礼八&り遣.jpg

 ここで書写者は、まず「【事】な禮八」と書き、「禮八」がその直後の文字であり、写し間違いであることにすぐに気付き、「禮八」を削り取ってからその上に「り遣禮八」と書き直した例です。なお、[変体仮名翻字版]の翻字では「禮」は新漢字の「礼」で最終的には表記します。この訂正の過程がよくわかるので、例としてあげました。

 こうしたことを説明しながら、以下のようにここでの[変体仮名翻字版]を確定しました。

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さま耳とこそ・於本しわ多り徒れ/±〈朱点〉・い布可ひ
なしやと/±〈朱点右〉・乃多ま者勢て・いと/±〈朱点〉・阿八連尓・於ほし
やる/±〈朱点〉・かくても/±〈朱点右〉・をのつ可ら/±〈朱点〉・王可【宮】那と/±〈朱点〉・於ひいて
【給】八ゝ/±〈朱点〉、(【給】八八)・さるへき/±〈朱点〉・徒いても/±〈朱点〉・あ里なん/±〈朱点〉・いのち/±〈朱点右〉・な可
くとこそ・於もひねん世めなと・乃多ま八須/±〈朱点〉・
か乃/±〈朱点右〉・をくり【物】/±〈朱点〉・【御覧】世さ春/±〈朱点〉・なき【人】の/±〈朱点右〉・す三可・
多つねいて多り気ん/±〈朱点〉・新累しの/±〈朱点〉・可ん佐しなら
まし可八と/な±〈朱点〉・於ほすも/±〈朱点〉・いと・可奈し
「堂徒ね遊く・ま本ろし毛可那・つ弖尓ても・
たまの・あり可を・そこと・しるへく」・ゑ尓/±〈朱点右〉・可け類・
やうきひの可多ちは・いみしき/±〈朱点〉・ゑしと/±〈朱点〉・いへとも/も〈丁末左〉、(13オ)
--------------------------------------
ふて/±〈朱点〉・可きり・あ里け連八・いと/±〈朱点〉・尓本ひ/±〈朱点〉・すく那し
堂い江きのふようもけ尓可よひ多里しか多
ちいろあひ可らめい多り遣んよそひ八う累
王しう遣ふら尓こそ八あり遣め/±〈朱点右〉、=大液芙蓉、け±〈朱点〉、か±〈朱点〉、前2い±〈朱点〉、前2可±〈朱点〉、前2よ±〈朱点〉、前2う±〈朱点〉、前2遣±〈朱点〉、前2あ±〈朱点〉・ナシ・ナシ・ナシ・ナシ・ナシ・ナシ・ナシ・なつ可しう
らう多けなりしありさま八を三那へしの
【風】尓なひき多流よりもなよひなてしこ能
つゆ尓ぬれ多流より毛らう多くなつ可し可り
志/±〈朱点右〉、を±〈朱点〉、前5な±〈朱点〉、前2ら±〈朱点〉、前6な±〈朱点〉・可多ち/±〈朱点〉・け八ひを・於本しいつる尓/±〈朱点〉・【花】とり乃/±〈朱点〉、〈朱合点〉・
色尓も・ね尓も/±〈朱点〉・よそふへき/±〈朱点〉・可たそ/±〈朱点〉・那き・あさゆ
ふ乃/±〈朱点右〉・ことくさに八・八ねを/±〈朱点〉、〈朱合点〉・ならへ・江多を/±〈朱点〉・可八さ
むと・ちきら勢/±〈朱点〉・【給】し尓・多れも/±〈朱点〉・可な八佐り遣る/±〈朱点〉遣〈次頁〉、(13ウ)
--------------------------------------
いのち能/±〈朱点〉・本とそ・つきせ春/±〈朱点〉・うらめしき/±〈朱点〉・
【風】乃/±〈朱点右〉・をと・むしの/±〈朱点〉・ね尓・つ遣ても・【物】の三/±〈朱点〉・可なしう・
於ほさるゝ尓/±〈朱点〉、(於ほさるる尓)・こきてん尓八/±〈朱点〉・よのな可/±〈朱点〉・【物】むつ可しう/±〈朱点〉・
お本されて/±〈朱点〉・うへの/±〈朱点〉・【御】つ本ね尓も・まう乃本り/±〈朱点〉・
多ま八寸・【月】乃/±〈朱点右〉・於もしろき尓よふくるまて/よ±〈朱点〉・あそ
ひをそ/±〈朱点〉・し・多まふなる・み可と/±〈朱点右〉・いと/±〈朱点〉・すさましう
【物】しと/±〈朱点〉・起こしめ寸/±〈朱点〉・ナシ・こ乃/±〈朱点右〉・ころ能・【御】遣しきを・
【見】/み〈削〉【見】、【見】=【見】〈削〉、±〈朱点〉・多てまつる・うへ【人】/±〈朱点〉・【女房】なと八/±〈朱点〉・可た八らい多
しと/±〈朱点〉・起ゝ介り/±〈朱点〉、(起起介り)・いと/±〈朱点右〉、=〈朱点左〉・をし多ち/±〈朱点〉、〈朱点左〉・可と/\しう/±〈朱点〉、(可と可としう)・【物】し/±〈朱点〉・
【給】・【御】可多耳て/±〈朱点〉・【事】尓も/±〈朱点〉・あら春/±〈朱点(削)〉・於本し遣川
なるへし/±〈朱点〉、な±〈朱点〉・ナシ・ナシ・【月】も/±〈朱点右〉・いりぬ/(14オ)
--------------------------------------
「く毛乃・うへも・なみ多尓・くるゝ/(くるる)・あきの・つき・
い可て/±〈朱点右〉〈削〉・すむらん・あさちふ乃・やと」・お本しやり
つゝ/±〈朱点右〉、(やりつつ)・ともし【火】を/±〈朱点〉、〈朱合点〉・可ゝけつくして/±〈朱点〉、(可可けつくして)・於き/±〈朱点〉・お八しま寸・
【右近】乃/±〈朱点右〉・つ可さ乃・との井【申】能・こゑ・きこゆる八/±〈朱点〉・
うし尓/±〈朱点〉・なりぬるなるへし・【人】めを/±〈朱点右〉・於本して/±〈朱点〉・よる
乃おとゝ尓/±〈朱点〉、(おとと尓)・いら勢/±〈朱点〉・【給】ても・まとろま勢/±〈朱点〉・【給】・【事】・
いと/±〈朱点〉・可多新/±〈朱点〉・あし多尓/±〈朱点右〉、〈朱合点〉・於きさせ/±〈朱点〉・【給】ても・あくる
も/±〈朱点〉・しらてと/±〈朱点〉・於も本しいつる尓も/±〈朱点〉、い±〈朱点〉・な本/±〈朱点〉・あさまつ
り【事】八/±〈朱点〉・をこ多り堂まひぬへ可めり/±〈朱点〉・【物】なとも/±〈朱点右〉、も〈左傍記〉・
起こしめさ春/±〈朱点〉・あさ可礼井能/±〈朱点右〉、=朝餉・遣しき八可里・
ふれさせ/±〈朱点〉・【給】て・【大床子】乃/±〈朱点〉・於ものなと八た/八±〈朱点〉・いと/±〈朱点〉、(14ウ)
--------------------------------------
八類遣う/±〈朱点〉・於本し多れ八/±〈朱点〉・はいせん尓/±〈朱点〉、=陪膳・さふら婦・可き
里八・ナシ・【心】くるしき【御】遣しきを/±〈朱点〉、【御】±〈朱点〉・【見】/±〈朱点〉・多てまつ里・
なやむ・すへ弖/±〈朱点右〉・ち可う/±〈朱点〉・さふら婦/±〈朱点〉・可き里八/±〈朱点〉・於と
こ/±〈朱点〉・をん那/±〈朱点〉・いと王りなき/±〈朱点〉、王±〈朱点〉・王さ可那と/±〈朱点〉・いひあ者勢
つゝ/±〈朱点〉、(あ者勢つつ)・な遣く/±〈朱点〉・さるへきちきりこそ八/±〈朱点右〉・於八しまし
遣め/±〈朱点〉・そこら能/±〈朱点〉・【人】乃・所し里・うら三をも/±〈朱点〉、見〈削〉三、三=三〈削〉・八ゝ
可ら勢/±〈朱点〉、(八八可ら勢)・多ま者春・こ乃/±〈朱点〉・【御事】尓・ふれ多流・【事】を八・
堂う里をも/±〈朱点〉、=道理・まけさ勢/±〈朱点〉、け=〈朱点2左〉・【給】し尓・いま/±〈朱点〉・八多かく/±〈朱点〉、か±〈朱点〉・
【世】乃/±〈朱点〉・ま川里ことをも/と〈朱点右(ママ)〉・於本し寿て多流/±〈朱点〉・やう尓・なり
ゆく八・いと/±〈朱点〉・堂い/\しき/±〈朱点〉、=退〻、(堂い堂いしき)・わさなりと/な±〈墨ヨゴレ〉・飛と乃/±〈朱点〉、=他・み可と
乃・多めしまて/△〈削〉ま・日きいて/±〈朱点〉・さゝめき/±〈朱点〉、(ささめき)・な遣起けり/±〈朱点〉、(15オ)
--------------------------------------
月日/±〈朱点右〉・へ弖・王可【宮】/±〈朱点〉・まい里/±〈朱点〉・【給】ぬ・いとゝ/±〈朱点右〉、(いとと)・こ乃よの/±〈朱点〉・
【物】なら須・ナシ・きよら尓/±〈朱点〉・於よすけ/±〈朱点〉・多まへ八・いとゆゝしう/±〈朱点〉、ゆ±〈朱点〉、(ゆゆしう)、う〈左傍記〉・
於本し多里/±〈朱点〉・あくる/±〈朱点右〉・としの・八類・【坊】/±〈朱点〉・さ多まり・
【給】尓も・いと/±〈朱点〉・日きこさま本しう/±〈朱点〉・於ほ世と/±〈朱点〉・【御】う
しろ三/±〈朱点〉・すへき/±〈朱点〉・【人】も・なく【又】/【又】±〈朱点〉・よの/±〈朱点〉・うけひくましき・
【事】なり遣礼八/礼八〈削〉り遣・【中】/\/±〈朱点〉、(【中中】)・あやうく/±〈朱点〉・於ほし八ゝかりて
いろ尓もい多さ勢多ま者春なりぬるを/±〈朱点〉、い±〈朱点〉、(八八かりて)・さ八可里/±〈朱点〉・
於本し多れと/±〈朱点〉・可きりこそ/±〈朱点〉・あり遣れと【世人】毛き
こ江/【世】±〈朱点〉・【女御】も/±〈朱点〉・於本ん【心】・於ち井/±〈朱点〉・多まひぬ・ナシ・ナシ・可乃/±〈朱点右〉・於八/八=〈朱点3左〉・
起多の可多・なくさむ/±〈朱点〉・よ・那く・於本しゝつみ弖/±〈朱点〉、(於本ししつみ弖)・
於八春らん/±〈朱点〉・ところへ多に/±〈朱点〉・ゆ可むと/±〈朱点〉・ね可ひ/±〈朱点〉・【給】遣類/遣〈次頁〉、(15ウ)
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 次回の勉強会は、来月の3月22日(土)の午後2時半から、同じ演習室で行ないます。





posted by genjiito at 21:59| Comment(0) | ■講座学習
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