2024年11月16日

日比谷で「須磨」(18)と『百人一首』(7)を読む

 日比谷公園の西南にある日比谷公会堂の前の紅葉も、ようやくチラホラと色付いてきました。

241116_日比谷の紅葉.jpg

 日比谷図書文化館の入り口には、本日の予定がいつも通りに掲示されていました。

241116_掲示板.jpg


 今日は、12月15日(日)に寺町通を散策する計画をNPO法人〈源氏物語電子資料館〉で予定していることをお話し、予定コースなどをお示ししました。来週、キャンパスプラザ京都で開催される尾州家河内本「桐壺」の勉強会の折に、最終的なことを詰めて広報することになります。おそらく、12月15日の集合時間は「13時に今出川御門に集合」となると思われます。参加を希望される方は、保険などの手続きがありますので、早めに本ブログのコメント欄などを利用してお知らせください。来週末には、あらためてのご案内を、本ブログに掲載します。

 本日の翻訳本『源氏物語』の回覧は、ドイツ語訳でした。このことは、「中之島で『百人一首』(第8回)と『源氏物語 蜻蛉』(第19回)を読む」(2024年11月09日、http://genjiito.sblo.jp/article/191132845.html)に書いたことと重なるので省略します。

 今日、特筆すべきことは、「西宮神社の拝殿前にある青銅神馬の賛碑」の説明板のことになります。これは、以下の写真で確認できるように、石に刻まれた碑文の説明板の翻字が、私が提唱している[変体仮名翻字版-2023]に近いものだったのです。

 石碑は次のように刻まれています。

241115_歌碑と翻字板.jpg

 これを、私が提唱する[変体仮名翻字版-2023]で翻字すると次のようになります。

 はせ以つる毛のとや
 【神】も免てゝみむ
 布たつ乃【馬】能
  【勇】むす賀た
         を

 そして、この石碑の左横に置かれた説明板には、次の翻字が置かれています。

241115_歌碑の翻字.jpg


 これについては、漢字で表記されているものを【 】で挟んで明示し、誤字である「不」を「布」とすれば、ほとんど[変体仮名翻字版-2023]に近い翻字の表記となります。この説明板がいつ、誰によって作成されたものなのかは、後日西宮神社へ伺って確認してこようと思っています。
 とにかく、[変体仮名翻字版-2023]に近い翻字の試みがなされていることを知り、字母に忠実な正確な翻字を目指す意義を再認識しました。この字母がわかる翻字方式は、書かれている変体仮名まじりの行文が、早く読めるようになるのです。読めた気になり、そこから違和感なしに先人の文字が読めるようになっていくのです。そして、その翻字した資料が、日本の文字史を深化させる文字資料となるのです。
 [変体仮名翻字版-2023]の詳細な凡例は、近日中に公開します。

 以下に、本日確認したハーバード本「須磨」の[変体仮名翻字版-2023]による翻字を掲載します。
 画像を提示して確認した文字は、次の2例です。

(1)34丁裏1行目「堂〈左上墨ヨゴレ〉」

241115_蜻蛉34uL1堂〈左上墨ヨゴレ〉.jpg


(2)34丁裏9行目「ひ=ヒ($)」

241115_蜻蛉34裏L9ひ$.jpg


 共に後日、凡例に追記します。


■ハーバード大学蔵『源氏物語 須磨』33丁表〜35丁表
翻字データの中にある付加情報(/)の記号について
傍書(=)、 ミセケチ($)、 ナゾリ(&)、
補入記号有(+)、補入記号無(±)、 和歌の始発部( 「 )・末尾( 」 )、
底本陽明文庫本の語句が当該本にない場合(ナシ) 、 翻字不可・不明(△)
--------------------------------------
【中】/\/(【中中】)・ひ多寿らよ尓・奈くなり
なん八・いふ可ひなくて・やう/\/(やうやう)・王春れくさ・
於悲や・春ら無(241019_ここまで確認済)・きく・本とは・ち可遣れと・
い徒まてと・可き里阿る・【御】王可れ尓毛・あらす・
於ほ春尓・徒き勢す乃三なん・[19]【入道】乃【宮】
尓毛・【春宮】乃・【御事】尓よ里・於ほしな介く・
佐ま・いと・佐らなり・【御】すく【世】乃・【程】・於毛本す
尓毛・い可ゝ/(い可可)・あさくは・於毛ほされん・としころ
者・多ゝ/(多多)・毛乃ゝ/(毛乃乃)・支こゑや・あらんと・川ゝまし
佐尓/(川川まし佐尓)・寿こし乃・奈佐遣あるけしきを毛/(33オ)
--------------------------------------
み世は・それ尓・徒けて・【人】の・と可免・い徒る・
こと毛こそとの三・ひとつ尓・於ほしゝのひ
徒ゝ/(於ほししのひ徒徒)・あ者れを毛・於ほく・【御】らむし・
寿くし・すく/\しう/(すくすくしう)・毛て奈し・【給】ひ
し越・かは可り・うき・【世】の・ナシ・可けて毛・そ能・
可多尓・ひとこと尓て毛・いひい徒る・こと
乃・なくて・や三ぬる八・於ほくは・可乃・【人】乃・
【御心】むけ毛・あな可ち奈里し・【心】乃・ひく・
可多尓は・ま可せ須・可川者・免や春く毛・
もてかくし徒るそ可しと・あ者れ尓・於も本し志られ/し〈丁末左〉、志〈次頁〉、(33ウ)
--------------------------------------
ひとし礼ぬ・【御心】八へ乃・万免こ登
尓毛・者可那き・【事】尓て毛・あ里可多き・佐
まなと・あはれ尓・こひしく毛・い可ゝ/(い可可)・於ほ
しいてさらむ・【御返】も・寿こし・
こ満や可尓て・この・【心】八/【心】$ころ、傍ろ&ろ、(ころ八)・いとゝ/(いとと)・
「志本堂るゝ/(志本堂るる)・こと越・やく尓て・【松】新
満乃/乃$尓、(【松】新満尓)・とし・ふる・あま毛・奈けき越そ・徒む」・
かん乃き三乃・【御返】尓は・
「うら尓・堂く・あま多尓・徒ゝむ/(徒徒む)・こひ奈
れ者・くゆる・介ふりよ・ゆく・可多そ・奈き」/(34オ)
--------------------------------------
佐ら那る・こと毛・え那んとの三・堂ゝいさ
佐可尓て/堂〈左上墨ヨゴレ〉、(堂堂)・【中納言】乃【君】乃・な可尓・あ里・於毛
本しなけく・さ満なと・いみしうと・いひ
堂り・あはれと・【思】いて・きこゑ・多満ふ・こと
毛・あれ者・うち那可れぬ・ひ免【君】乃・【御】ふ三
八・【心】ことに・こま可な里し越・【御返】奈れ
者・あはれなる・こと・於ほくて・
「うらひと乃・志本・くむ・そて尓・くらへみよ・
奈みち・へ堂徒る・【夜】ひ乃/ひ=ヒ($)、(【夜】乃)・ころ毛越」・毛の
乃・いろ・し・堂満へる・佐満なと・い見しく/(34ウ)
--------------------------------------
・きよらなり・奈尓こと尓毛/こと&こと・ナシ・らう/\志く/(らうらう志く)・
毛乃し・堂満ふを・【思】・佐ま尓て・いま
者・こと尓・【心】あ王多ゝしく/(【心】あ王多多しく)・ゆき可ゝつら
ふ/(ゆき可可つらふ)・可多・那く・志免や可尓て・あるへき【物】越
と・於も本す尓・いみしう・くち越しう・よ
る・ひる・於毛可け尓・於もほえて・ナシ・多へ可多く・を
本ゑ・【給】へ八・な越・しのひて・む可へてまし
と・ナシ・於毛本須・【又】・うち【返】し・なそや・かく・うき・
よ尓・徒みを多尓・うしな八んと・於も本
世は・や可て・【御】しやうし尓て・あ介くれ・をこ奈井を/こ〈次頁〉、(35オ)
--------------------------------------(241116_ここまで確認済み)


 一時間の休憩時間を挟んで、後半は『百人一首』の講座となります。

 この内容は、過日の大阪府立中之島図書館での講座と重複するので、ここではそのブログの記事、「中之島で『百人一首』(第8回)と『源氏物語 蜻蛉』(第19回)を読む」(2024年11月09日、http://genjiito.sblo.jp/article/191132845.html)に譲ります。
 本日は、後半で取り上げる尾形光琳のカルタの出典が、今から50年前の『別冊太陽愛蔵版「百人一首」』(平凡社、一九七四年十一月九日発行)であることを説明し、文字の形や線の流れの滑らかさをみなさまと共に確認しました。

 午後5時に終わってからは、みなさまと現代の若者が結婚しない風潮や、恋愛に関する意識、ひいては、男と女の異性に関する物の見方や考え方、そして言葉の性差などについて、問われるままに私見を述べました。20分くらいだったでしょうか。みなさんが居残って真剣に質問などをなさるので、現代における興味深い問題であることを痛感しました。これは、『百人一首』の試訳をめぐって、高校生に理解できる現代語訳を通して、恋愛観や恋愛心理に及ぶことからの流れで、このテーマが浮上したものです。また別の機会を作って、このテーマをみなさんとの話題にしたいと思います。




posted by genjiito at 23:58| Comment(0) | ■講座学習
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