2024年07月27日

キャンパスプラザ京都で尾州家河内本「桐壺」を読む(第20回)(補訂版)

 キャンパスプラザ京都(京都市大学のまち交流センター)のエントランスホールには、いつものように本日の催し物の一覧が掲示されています。ただし、ここの教室の予約は3ヶ月前に申請して予約したものなので、催し物一覧の項目名にある「池田本源氏物語」は不正確で、正しくは《尾州家河内本『源氏物語「桐壺」』を変体仮名で読む》です。3ヶ月後の掲示から、正しいタイトルで表示されるようになります。

240727_キャンパス掲示板.jpg

 読み進める写本名は、先月で《池田本「桐壺」》が終わったので、今月からは《尾州家河内本「桐壺」》となり、本日はその第1回です。そこで、まずは「尾州家河内本」についての確認をしっかりとしました。そのためにも、天理大学付属天理図書館の岡嶌偉久子さんの研究成果を引くことで、これまでの「池田本」のように単なる書写本文ではなくて校訂本文であることを強調しました。朝日新聞の記事(2014年 1 月15日)と、『尾州家河内本 源氏物語 第一巻』(2010年12月 八木書店)に収録されている解説を、丁寧に読みました。

240727_京都1回尾州「桐壺」_1.jpg

240727_京都1回尾州「桐壺」_2.jpg


 その後、実際に影印資料をもとにして、本文を[変体仮名翻字版-2024]で翻字したデータを、1文字ずつ丁寧に見て行きました。
 特に、膨大な朱点が打たれている状況を、どのような記号を使って付加情報として記述するか、ということが大きな問題となり、意見交換の後に以下の結論を得ました。

 ※本行の文字間に打たれた朱点は補入記号のない補入として、(/■±〈朱点〉)を原則とする。
 ただし、左右に打たれたものは(/■±〈朱点右下〉)(/■±〈朱点左横〉)などとする。左右の位置の明示はおおよそであって厳密さを求めるものではない。折々に〈朱点削〉も用いる。

例 たまふ於那し本と/ふ±〈朱点削〉、ふ±〈朱点右下〉、と±〈朱点〉(1丁表1行目)

240727_朱点1o6.jpg

 また、尾州家河内本で「阿八礼」(1丁表11行目)とあることに関して、先月読み終えた「池田本」では13例すべてが「あ八れ」と書写されていました。写本によって用いられる字母が異なる例だといえるでしょう。

240727_尾州家本「阿八礼」1o11.jpg

■尾州家河内本「桐壺」(第1丁表〜第3丁裏 まで)[変体仮名翻字版-2024]
※翻字データの中にある付加情報(/)の記号について
 傍書(=)、 ミセケチ($)、 ナゾリ(&)、
 補入記号有(±)、補入記号無(±)、 和歌の始発部( 「 )・末尾( 」 )、
 底本陽明文庫本の語句が当該本にない場合(ナシ) 、 翻字不可・不明(△)
 ※本行の文字間に打たれた朱点は補入記号のない補入として、(/■±〈朱点〉)を原則とする。
ただし、朱点が削除されいてる場合は(■±〈朱点削〉)とし、左右に打たれたものは(/■±〈朱点右下〉)
(/■±〈朱点左横〉)などとする。

(2024年08月23日補訂「はしめより」「遣らう能/=下臈」
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いつ礼乃・【御時】尓可/可±〈朱点〉・【女御】/【御】±〈朱点〉・【更衣】/【衣】±〈朱点〉・あまた・さ布
らひ・堂まふ・な可尓/尓±〈朱点〉・いと・やむこと那き・ゝ八尓
八/(き八尓八)・あらぬ可/可±〈朱点〉・寿く礼弖・ときめき・【給】・あり遣り/り±〈朱点〉・
はしめより/り±〈朱点〉・王れ八と・於もひあ可里・堂まへる・
【御】可多/\//\±〈朱点〉、(【御】可多加多)・めさましき・【物】尓・ナシ・於としめ・そね三・
たまふ於那し本と/ふ±〈朱点削〉、ふ±〈朱点右下〉、と±〈朱点〉・そ礼より/り±〈朱点〉・遣らう能/=下臈・【更衣】
堂ち八ま新弖やす可ら春/八±〈朱点〉、弖±〈朱点〉、/春±〈朱点〉・あさゆふ乃・三や
徒可へ尓/尓±〈朱点〉・つ遣弖毛/毛±〈朱点〉・ナシ・ナシ・ナシ・ナシ・ナシ・【人】乃・【心】をの三/三±〈朱点〉・うこ可し/し±〈朱点〉・
うらみを・於ふ/ふ±〈朱点〉・つもり尓やあ里遣む/や±〈朱点〉、む±〈朱点〉・いと・あつしう・
なりゆき/き±〈朱点〉・毛乃【心】本そけ尓/尓±〈朱点〉・ナシ・さと可ち那るを/を±〈朱点〉・いよ/\/(いよいよ)・
あ可春/春±〈朱点〉・阿八礼なる・毛乃尓・於も本して/て±〈朱点〉・【人】乃/(1オ)
--------------------------------------
そし里をも/も±〈朱点〉、・八ゝ可ら勢/(八八可ら勢)・堂ま八す/す±〈朱点〉・よの・多めし
尓も・なりぬへき・【御】もてなしなり/り±〈朱点右下〉・可む多ち
め/め±〈朱点〉・うへ【人】なと毛/毛±〈朱点〉・あいなう/う±〈朱点〉・めを・そ八めつゝ/ゝ±〈朱点〉、(そ八めつつ)・いと・
ま八ゆき・【人】乃・【御】於ほえなり/り±〈朱点〉・もろ古し
尓も/も±〈朱点〉・可ゝ類/(可可類)・【事】乃・於古り尓こそ/そ±〈朱点〉・【世】も・み多れ・
あし可り遣礼と/と±〈朱点〉・ナシ・ナシ・ナシ・ナシ・やう/\/(やうやう)・あめ乃し多尓毛/毛±〈朱点〉
あちきなう【人】乃/う±〈朱点〉・もてなや三くさ尓・なりて/て±〈朱点〉・
やうきひの/う=楊貴妃・堂めし毛/毛±〈朱点〉・日きいて川へく・なり
ゆく尓/尓±〈朱点〉・いと・八し多那き・【事】・於ほ可礼と/と±〈朱点〉・可た
しけなき/き±〈朱点〉・【御心】八へ乃・堂くひなきを・ナシ・堂
乃身尓て/て±〈朱点〉・ましらひ・多まふ/±〈朱点右下〉・ちゝ乃/(ちち乃)・【大納言】八/八±〈朱点〉、(1ウ)
--------------------------------------
なくなりて/て±〈朱点〉・ナシ・者ゝ/(者者)・起多の可多なん/ん±〈朱点〉・い尓しへ【人】能・
よし・あ累尓て/て±〈朱点〉・ナシ・於や・うちくし/く=具・さ志あ多りて/て±〈朱点〉・
【世】乃・於ほえ/え±〈朱点〉・八那や可なる/る±〈朱点〉・【御】可多/\尓も/も±〈朱点〉、(【御】可多可多)・い多う/う±〈朱点〉・
於とら春/±〈朱点〉・なに【事】の・きしきをも/=儀式、も±〈朱点〉・ゝて那し/(もて那し)・多ま
ひ遣礼と/と±〈朱点〉・ゝ里多てゝ/ゝ±〈朱点〉、(と里多てて)・八可/\しき/き±〈朱点〉、(八可八可しき)・う新ろ三
し・な遣礼八/八±〈朱点〉・【事】と・ある・とき八/八±〈朱点〉・な本/・よ里とこ
ろ・なく/く±〈朱点〉・【心】本そ遣那り/り±〈朱点右下〉・佐き乃よ尓も/も±〈朱点〉・【御】ちき
里や/や±〈朱点〉・ふ可ゝ里けむ/む±〈朱点〉、(ふ可可里けむ)・よ尓・多くひなく/く±〈朱点〉・きよら
なる/な〈判読〉、る±〈朱点〉・堂まの・を乃こみこさへ/へ±〈朱点〉・むま礼・堂ま
飛ぬ/ぬ±〈朱点右下〉・い徒し可と/と±〈朱点〉・【心】もと那可里/里±〈朱点〉・ナシ・いそき/き±〈朱点〉・まいら
勢て/て±〈朱点〉・【御覧】する尓/尓±〈朱点〉・めつら可なる/る±〈朱点〉・ちこ能・おほむ可本可多ち那り/前可〈次頁〉、本可$〈朱〉、多$〈朱〉、り±〈朱点右下〉(2オ)
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posted by genjiito at 23:59| Comment(0) | ■講座学習
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