2024年06月06日

オンラインセミナー「デジタル時代の変体仮名」に参加して

 今日は夕刻より2時間にわたり、人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)主催の Zoomを使ったオンラインセミナーに参加しました。
 「第22回CODHセミナー デジタル時代の変体仮名:日本の文字文化の継承と新たな展開」(17:00-19:00)は、現在私が社会人講座で取り組んでいる変体仮名に関する専門家による討論会です。久しぶりに、日頃はあまり刺激しない、脳の奥深くを掻き混ぜることになりました。心地よい感触の余韻に浸っています。

 CODH のホームページより、今回のイベントの「概要」を引きます。

変体仮名とは、現代社会では使われなくなった「ひらがな」の字形を指す言葉です。江戸時代のひらがなは現在とは異なり、一つの音にも複数の字形が存在していました。しかし明治時代以降のひらがなは一音一字への動きが進み、現代社会における変体仮名は、そば屋の看板の「読めない文字」などにわずかに残る存在となってしまいました。
しかし最近、デジタル技術による変体仮名の再生に向けた動きが相次いでいます。まず2017年に変体仮名285文字がUnicodeに採用され、標準化が進みました。そして2024年にはGoogleがNoto Serif Hentaiganaを開発し、オープンな変体仮名フォントが誕生しました。さらに、くずし字認識や生成技術を活用したアプリが普及するなど、変体仮名の利用と継承にも新たな可能性が生まれています。そこで本セミナーでは、デジタル時代の変体仮名に取り組む関係者の方々にお集まりいただき、これまでの取り組みを紹介いただくとともに、これからの展望について議論します。

 そして、プログラムは以下の通りでした。

17:00はじめに
17:05-17:20変体仮名が「廃止」されるまで岡田 一祐(慶応義塾大学)
17:20-17:35変体仮名とUnicode高田 智和(国立国語研究所)
17:35-17:50Noto Serif Hentaiganaのデザイン山田 和寛(株式会社nipponia)
17:50-18:05アプリにおける変体仮名北本 朝展(ROIS-DS CODH/国立情報学研究所)
18:05-18:15専門家コメント小松 弘幸 (Google)
      カラーヌワット・タリン(Sakana AI)
      きむみんよん(Studio Em Dash)
      ほか
18:15-18:55ディスカッション・質疑応答全員
18:55-19:00おわりに

 今回の資料は、後日、リポジトリで公開される予定です。

 このセミナーを通して、貴重な情報をいただくことができました。
 その中からいくつかを拾っておきます。

 高田智和氏(国立国語研究所)は、ユニコードに変体仮名の字形を登録するにあたり、「天」と「弖」については「天(て)」の方に無理やり決めた、とのことでした。また、「弖」は「ユミイチ」と読んでおられるようです。

 矢田勉氏(東京大学)は、変体仮名の使い分けで「さしすせそ」は文の先頭には「志」というものを使い、「け」の字には「介」の字を使うなどのルールはあるが、絶対的なものはなく、傾向でしかない、という示唆に富む意見を述べておられました。

 いずれにしても、字母に関する傾向は統計的にありそうで、今後はビッグデータによりますます研究が深まって行く、というまとめの言葉が司会者よりありました。

 本日のセミナーには、ピーク時に150人以上の参加者があったそうです。
 この問題がますます発展して、日本語の文字表記の研究が多彩な方向で検討されることに期待したいと思います。
 その流れの中で、私は地道に翻字を進め、その成果を通して変体仮名とその字母のデータが研究に資するように、データベースを構築することに専念したいと思います。
 翻字のお手伝いをしてくださっているみなさま、引き続きご協力のほどをよろしくお願いいたします。




posted by genjiito at 20:20| Comment(0) | ■変体仮名
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