2024年05月25日

キャンパスプラザ京都で池田本「桐壺」を読む(第18回)

 キャンパスプラザ京都には、2022年11月からお世話になっています。もう1年半。勉強会の会場としては、申し分のないところです。
 なお、今回も画像をクリックすると精細表示となり、文字が読みやすくなります。

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 池田本「桐壺」を、変体仮名を意識して正確な翻字を進めてきました。この写本も、今日で最終回となります。

 まず、『源氏物語』の翻訳本を回覧し、海外での受け取り方を知るようにしています。今回は、モンゴル語訳です。

240525_京都18回「桐壺」_1.jpg

 真冬のモンゴルで、翻訳者であるジャルガルサイハン・オチルフーさんと面談したことは、「モンゴル語訳『源氏物語』の話」(2010年01月13日、http://genjiito.sblo.jp/article/178934427.html)に書いた通りです。ジャルガルサイハンさんは、当時は大統領補佐官でした。今も元気にご活躍のことと思います。

 次に、朝日新聞に掲載されていた投書で、活字本の『源氏物語』を14〜15年かけて書き写された方の記事を紹介しました。

240525_京都18回「桐壺」_2.jpg


 さらに、街中の変体仮名は、6例を確認しました。「福盈門」の「盈」は、街中では見かけることが稀な貴重な文字です。

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 本日のメインは、池田本「桐壺」の翻字の確認です。今日で最終丁までいきます。

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 今日は、「桐壺」巻の中での語句の表記を確認するために、昨夜完成したばかりのデータベースを使いました。単にエクセルのデータを検索して表示するだけのものです。しかし、「乃」や「半」などが、どのような語句の中で使われているのかを知るのに有効でした。ただし、使用したプロジェクターがハンディタイプのものだったので、光量が弱く、ピントも甘くて、みなさんと確認するには力不足でした。次回には、映写する距離や大きさ等をよく調べ、役立つ機器にしたいと思います。

 今日、一番時間をかけて問題としたのは、30丁裏の10行目にある「【給】八て」でした。

240525_【給】八て.jpg

 この「て」は、その下に「す」が書かれており、それを削って「て」と上書きした、と私はしました。つまり、まず「【給】八」と書き、それが正しくないことにすぐに気付いた書写者は「【給】八」とした、と読み取ったのです。
 ところが、なぞる前の下の文字は「す」ではなくて「春」ではないか、という意見が出ました。いろいろと意見交換した後、今は「て」に字形がやや近い「す」にしておき、後日機会があれば天理図書館で原本を閲覧して確定しよう、ということになりました。
 写真版はきれいだとはいえ、こうしたナゾリの箇所に関しては、さらなる高精細な画像が必要です。というよりも、やはり直接原本で確認することの重要性を痛感した場面でした。
 ということで、今は次のように翻字しておくことにします。

【給】八て/す〈判読、削〉

 次回は、今回終了した[変体仮名翻字版-2023]による本文データベースを活用して、さまざまな表記や事例を確認し、自由に語り合いたいと思います。こうしたデータは今私の手元にしかないので、素人集団ながら、楽しい討議となることでしょう。いずれ公開しますので、まったく新しいスタイルの翻字本文を、多様な研究に使ってください。これまでは、『源氏物語』の本文が粗略に扱われていたので、字母を明示したこの翻字データは、きっとおもしろい研究成果が、次々と出ることでしょう。そして、新しい事実が発表されることでしょう。




posted by genjiito at 23:54| Comment(0) | ■講座学習
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