アンダソヴァ・マラル氏とフィットレル・アーロン氏の共編となる『〈うた〉と信仰 −起源、生成、受容−』(2024年3月10日、88頁)が発行されました。
これは、シンポジウム「〈うた〉と信仰」が母体となって、2023年6月と12月に開催された2つのシンポジウムの内容をまとめた報告書です。
全2回のシンポジウムのそれぞれの主旨をあげ、目次を添えておきます。
(1)第一回シンポジウム「日本の〈うた〉−古代と中世−」では日本列島に注目をあて、〈うた〉の起源神とされるスサノヲとその『古事記』における位置づけ、オホモノヌシの〈音〉を〈うた〉であらわす神武天皇といった『古事記』に見られる歌からスタートした。さらに、古代から中世への展開において、仏教の問題がクローズアップされた。その中でもアマテラスと第六天魔王の集合思想が和歌表現の根源にあることが示され、法文歌における仏教教理の日本化が論点となった。こうして、『古事記』に見られる〈うた〉の起源からはじまり、中世における和歌の変遷を見届けることができた。本報告書に掲載される論考は〈うた〉の起源と神への祭祀、〈うた〉と仏教信仰・儀礼の関わり方が古代と中世のテクストをどのように意味づけるのかをよみ解いたものであるといえる。
第一部 日本の〈うた〉−上代と中世−
歌の起源としてのスサノヲ(発表要旨) 松田浩
神武記にみる〈音〉と〈うた〉 アンダソヴァ・マラル
中世百首歌「釈教」題における「日の本」補遺
−『続千載和歌集』所収後宇多院長歌注釈− 岡ア真紀子
法文歌における仏教教理の日本化 フィットレル・アーロン
第一回シンポジウム 「日本の〈うた〉−古代と中世−」
−ディスカッションの内容− アンダソヴァ・マラル
(2)第二回シンポジウム「受容に見る〈うた〉と信仰」では、仏教の他、キリスト教文化圏とイスラーム文化圏にも視野を広げ、翻訳と受容を重要なキーワードとし、検証をこころみた。具体的には、それぞれの宗教の〈うた〉の他文化圏における翻訳、受容、変容と、後世における継承を通して、その特徴などに関して明らかにし、文化比較と文化交流の可能性について考察を行った。キリスト教古典詩の日本語訳の歴史と日本語聖歌の展開と、日本の平安・鎌倉時代の仏教の釈教歌の英訳とドイツ語訳における人称の扱いと、トルコのシェイフ・ガーリプの『美と愛』という叙事詩における信仰と創作の問題と、現代中央アジアのムスリム民衆生活の中のスーフィー詩の役割がテーマであった。
第二部 翻訳と継承に見る〈うた〉と信仰
キリスト教古典詩の翻訳と日本語聖歌・讃美歌 中西恭子
釈教歌の英訳とドイツ語訳における仏・菩薩・仏法と人間との関係
−人称を手掛かりに− フィットレル・アーロン
ディーワーン詩における信仰と創作
―シェイフ・ガーリプ『美と愛』とその周辺− 宮下遼
信仰にいざなうスーフィー詩
現代中央アジアのムスリム民衆生活の一断片−(発表要旨) 和ア聖日
第二回シンポジウム「受容に見る〈うた〉と信仰」
−ディスカッションの内容− フィットレル・アーロン
興味と関心をお持ちの方で本書入手をご希望の方は、フィットレル・アーロン氏(kinokawa0126@gmail.com)にメールで連絡をとられてはいかがでしょうか。
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