2023年10月26日

読書雑記(344)谷合侑『盲人の歴史』

 『盲人の歴史』(谷合侑、明石書店、1996年9月)を読みました。

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 非常に読みやすい本です。優しく語っています。肩の力を抜いて読めます。
 『今昔物語集』に出てくる7人の盲人たちの話から始まります。参考までにその出典の一覧を引きます。(13頁)

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 わかりやすい語り口で語られ、各節の末尾に「まとめ」が置かれているので、話題を整理しながら読み進めました。

 次に、『看聞御記』に出てくる32人の盲人たちの確認があります。資料を丁寧に読み解こうとする姿勢が顕著です。それぞれの節が丹念に整理されているので、この集団の様子がよくわかります(43頁)。

 瞽女歌のリストの中に「景清」がありました(54頁)。祭文松坂「段物」の中に、「景清 三段」とあるのです。上方落語の中にこの演目があるので、それとの違いなどは後で調べてみます。桂米朝も枝雀も、この演目をCDで公開しています。
 なお、「ウィキペディア」の「景清」の項目に、次のような説明がありました。
「上方落語としては屈指の人情味溢れる演目であるが、現在テレビやラジオなどのメディアでこの噺を聴くことはできないとされている。それは、噺の中に「盲(めくら)」という言葉が何度も登場すること、また定次郎の眼が見えないのは「悪業因縁深きゆえ」と観音が説明することで、視覚障害者に差別的な発想を与えているという理由であると推測される。」

 文中で、「和琴」を「わきん」と振り仮名が付けられています(69頁)。日本国語大辞典などに「わきん」の項目はないので、これもまた調べてみます。

 盲僧の演奏内容の内、端唄・小唄物の中に「いろは歌」があります。(92頁)どんなもので、どういう場合に、どんな人たちに歌ったのか? も、宿題とします。

 盲人の自叙伝の紹介を、興味深く読みました。114冊の自叙伝一覧があり、これは有益な資料となります。

 古代から現代までを、歴史を追って優しく語ります。その中で、次の一文は問題提起となっていると思いました。

「中世のヨーロッパではどうであったかをみよう。「西洋職人づくし」(ヨースト・アマン著、一五六八年)という本がある。ここに描かれた職人は、教皇・枢機卿・僧正からはじまって一一四の職人が木版画と八行詩で紹介されている。その中に芸能者としては、歌手(合唱する人)オルガン弾き・ハープとリュート弾き・バイオリン三重奏・笛の三重奏(クラリネット・コルネット・フルート)・軍鼓うち・道化師の七種の人たちが紹介されている。ここには盲人は登場しないし、語り物芸にたずさわる者はみあたらない。
 わが国中世の盲人による平家語り・曽我語りの芸能は、世界にもその例をみないものであった。もちろん盲人が座をつくり集団で生活のたたかいをした例は、世界のどこにもなかったことなのである。(60頁)」

 こうした基本的な問題を整理した本は、今後とも自分の理解を深めるためにも、読んでいきたいと思います。




posted by genjiito at 18:45| Comment(0) | ■読書雑記
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