近くにあった料理屋さんの名前が「魚関」で、「う越関」とも書かれていました。過日、伏見区の料理屋さんで「う越弥」を「う我弥」と書いたものを報告したばかりなので、参考までに変体仮名の「越」の例として写真に収めました。
さらに三室戸寺に近いところに、お好み焼き屋「浮舟亭」があったので入りました。三室戸寺の境内に浮舟の石碑があることからの命名のようです。
お店の中には、「浮舟亭」という書が掲げてありました。堂々とした文字だったので店主に伺うと、中国の知人を通して「(徐)鐵君」という高名な書家に書いてもらったものだそうです。
柱には、お客さんの背比べの跡がびっしりと記されています。今年の3月のものもあるので、今もこの柱はお客さんに愛されているようです。
三室戸寺には、今年の2月26日に宇治十帖の古蹟巡りで来ました。ただし、ボランティアさんの案内でハイキングのイベントとして来た関係で、境内にある浮舟の古跡を見るためには拝観料が必要だったため、山門前で引き返しました。その前は、一昨年の梅雨の季節に西国三十三所霊場巡りとして、「西国三十三所(2021-7)/三室戸寺(10番)」(2021年06月26日)にアジサイを見に来ています。
山門を入るとアジサイ園が広がっています。少し早いため、満開ではありません。しかし、見事な花なので、咲きはじめがちょうどいいように思います。
本堂への石段の半分は、アジサイでうさぎの絵が描かれています。
この地は菟道(うじ)と言われ、うさぎとの縁が深いところです。仁徳天皇の弟の菟道稚郎子が宇治に来た際には、うさぎが道案内をしたとの伝承があります。
なお、菟道稚郎子は応神天皇と宇治の豪族和邇氏の娘との間に生まれた皇子だとされていて、宇治を本拠としていたとのことです。このことから、私は勝手に、和邇氏と宇治と『源氏物語』が結びつけられて宇治十帖が編纂されたのではないか、と思っています。編集委員長は、紫式部と言われている女性である可能性が高いと、勝手に想像を膨らませています。このことは、いつか詳しく書くつもりです。
本堂の右横に、鐘楼があり、その左奥に浮舟の古蹟があります。みなさん、鐘楼を左には回らず、そのまま真っ直ぐに三重塔に向かわれます。説明があればいいのに、といつも思っています。
総体に、このお寺は説明不足です。トイレやアジサイ園の入口は表示が見えにくいので、何度も来ている私は今回も行きつ戻りつしました。また、車イスの方は大変な思いをされます。しかも、出口は回転ゲートのために表示されているように出られません。また元に戻るしかありません。これから高齢化社会となり、身体に障害や不都合を抱える方々が多くなります。そうした社会に対応したお寺になってほしいと願っています。もともと仏教は、そうした方々にも寄り添ってきたはずです。
本堂に掲げられていたご詠歌を刻んだ扁額を、確認できたものだけでも以下に紹介します。翻字は[変体仮名翻字版-2023]で示します。問題がありそうな文字は、今は赤字にしています。
よ毛す加ら
【月】越みむ路登
王けゆ希は
【宇治】能
加王【瀬】耳
堂津盤志らなみ
(文政4年)
よ毛春がら【月】をみむろと
王けゆ希八
うぢのか王世耳多つ八
志ら奈三
(明治2年)
よも春可ら
【月】を【三室戸】
王希ゆけ盤
【宇治】乃【川瀬】尓
たつ八志ら【波】
(明治21年)
【夜】毛春可羅
【月】を三む路と
安(和?)希ゆけ者
うぢの【川】勢二
多つ八しら【波】
(明治27年?)
【夜】もす可羅
【月】をみむろ登
王けゆ希八
【宇治】乃【川瀬】尓
【立】つは志ら【波】
(大正?年、3枚の写真で判読)
【夜】もす可"羅
【月】越みむろ登
阿希ゆけ者"
【宇治】の【川瀬】尓
多川八志らなみ
(大正14年)
【夜】もすがら
【月】を【三室戸】
わけゆけば
【宇治】の【川瀬】に
【立】つは【白波】
(昭和48年)
よ裳春可ら徒きを
【三室】とあ(わ?)気ゆ遣者
うち能か八せ耳
多つ八志らな三
(年次不明)
【夜】毛寿可ら【月】を【三室】と
和希ゆけ八
【宇治】能【川瀬】尓【立】盤【白波】
(年次不明)
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