2023年05月10日

中之島で「澪標」を読む(その2)翻字の新方針

 少し早めに淀屋橋に着いたので、持参の弁当を中之島公園で広げました。木陰にいい場所があったので、花と行き交う人々を見ながら、のんびりと食事です。海外からの方が多く散策しておられたのは意外でした。
 中央公会堂のそばから御堂筋に向かって西を見やると、中之島図書館と大阪市役所が望めます。しばし、心地よい風に吹かれていました。

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 本日配布した資料は、次のものです(一部分、画像をクリックすると精細表示になります)。2枚目の後半以降の「池田本「澪標」の本文を確認/[補訂・変体仮名翻字版]」の項目については、広くご教示をいただくためもあり、この後に詳細な資料を掲載します。

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 今日の源氏講座では、まずハンガリー語訳『百人一首』(共著、フイットレル・アーロン、カーロイ・オルショヤ、2022年12月)を回覧しました。毎回、手で触れることのできる物で、日本の古典文化の理解に役立つ物を実感・体感していただいています。詳しくは、前掲の配布資料の1枚目の半ばからを参照願います。

 本題となる翻字は、新たに定めた凡例に即して、最初から確認をしました。
 新たな凡例とは、次の2つがこれまでより大きく改正した点です。

・現行五十音図の平仮名の字母・漢字に近い字形の時は[ ](角括弧・ブラケット)で括る
・踊り字をすべて文節単位で開く

 その他の翻字に関する凡例は、『源氏物語別本集成 正・続』で公開したことを引き継いでいます。
 この新方針に切り換えて翻字を進めることで、その背後にある書写者の書写態度や作業環境を字母レベルで追認できるようにしたいと思っています。

 以下、本日の講座で確認した新たな翻字版の試行版とでもいうべき[補訂・変体仮名翻字版]は、次のようになります。対象範囲は、1丁表から3丁裏までです。なお、平仮名の「お」はその字母となる漢字の「於」で表記されています。しかし、すべてが「於」で書写されており、他の字母は出てこないこともあり、今回の括弧([ ]、角括弧・ブラケット)の対象から外すことにしました。これは、本日の講座で説明している中で決断したものです。受講者のみなさま、翻字の方針で迷走する姿にお付き合いいただくこととなり、大変失礼しました。
 ここでは、「乃→[の]」、「川→[つ]」(「州」も認める)、「奈→[な]」、「加→[か]」、「幾→[き]」、「曽→[そ]」などが対象となっています。
 参考までに、巻頭部5行分の影印画像に赤色と青色で印をつけたものも提示します。

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天理大学付属天理図書館蔵 池田本「澪標」第一丁表から三丁裏まで、字母に注意して確認[補訂・変体仮名翻字版]



さや可尓・み・堂まひし・ゆ免の・ゝちは/(のちは)・【院】
[の]み可と能・【御事】越・古ゝろ尓/(古古ろ尓)・可遣・きこえ・【給】
て・い可て・閑[の]・し徒三・堂満ふらん・徒三・す
くひ・堂て満[つ]る・こと越・せむと・おほし[な]遣
きけるを・[か]く・【返】・【給】ては・そ[の]・【御】いそ[き]・
し・【給】・【神無月】尓・【御八講】・し・【給】・よ能【人】・
なひき・徒可婦ま[つ]る・こと・む可し能・やうな
里・お本【后】・な越・【御】[な]や三・をもく・お八し満
す・うち尓も・[つ]井尓・古[の]・ひとを・ナシ/+盈・け堂須・
な里ぬると・ナシ・ナシ・おほし遣れと・【御門】盤・【院】[の]・【御】
ゆい古んを・【思】・き古え・【給】・ものゝ/(ものの)・むくひ・ありぬへく/ぬ〈次頁〉、(1オ)
--------------------------------------
ナシ・おほし遣る越・ナシ・な越し堂て・【給】て・
【御心】ち・ナシ・すゝしくなむ/(すすしくなむ)・おほしける・ナシ/+と起/\/(と起と起)・お古り・[な]
やま勢・【給】し・【御】免も・さ八やき・【給】ぬれと・
お本可多・【世】尓盤・ナシ・[な]可く・ある満しう・古ゝろ
本そき/(古古ろ本そき)・【事】との三・ひさし可らぬ・こと越・お
ほし徒ゝ/(おほし徒徒)・つね尓・めし・あ里て・【源氏】[の]【君】
は・満い里・【給】婦・【世】[の]【中】能・【事】なとも・へ多て
[な]く・能堂満八せ徒ゝ/(能堂満八せ徒徒)・【御】【本】い[の]・やうなれ八・
おほ可多[の]・【世】の【人】裳・あひ[な]く・うれし
き・【事】尓・よろ古ひ・き古えける・お里井
なむ[の]・【御心】徒可ひ・ち可く・な里ぬる尓も/(1ウ)・
--------------------------------------
【内侍督】・古ゝろ本そ遣に/(古古ろ本そ遣に)・よ越・【思】・なけき・
【給】へる・い登・あ八れ尓・おほされ遣里・ナシ・おと登・
うせ・【給】・【大宮】裳・堂のもしき遣なうの三/き$・
あ徒可ひ/可$・堂まへるは・【我】・よ・能古里・すく
なき・【心地】・するになん・いと・/\をしう/(いとをしう)・[な]こり・
なき・さ満尓て・と満里・【給】八んと・すらむ・ゝ可志
よ里/(む可志よ里)・【人】尓盤・【思】おとし・【給】えれと・【身】徒
閑らの・古ゝろさし能/(古古ろさし能)・【又】なき・ならひ尓・たゝ/(たた)・
【御事】の三[な]ん・あ八れ尓・おほえ遣る・堂ち
まさる・【人】・【又】・【本】い・あ里弖・み・堂まふと
裳・をろ可ならぬ・【心】さし者/し+えイ・しも/〈ママ〉・なすら
八さらんと/八〈次頁〉、(2オ)・
--------------------------------------
【思】さへこ[そ]・【心】く累し遣れとて・
うち[な]き・【給】ぬ・【女君】・可本は・いと・あさや可に/あ+可くイ・
尓本ひて・古本る八可里/里+の・【御】あい【行】尓・な三
堂も・古本連ぬる越・よろ徒[の]・[つ]三・王
寿連て・あ八れ尓・らう堂しと・【御覧】せ
羅る・なと可・み古越堂尓・裳・たまへる満
しき・くちおしう裳・ある可[な]・ちき
里・婦可き・日と能・堂免尓盤・い満・【見】いて・【給】
てんと・【思】も・くちおしや・[か]き里・あれ八・
堂ゝ【人】尓て[そ]/(堂堂【人】尓て[そ])・み・【給】八ん閑しなと・ゆく
すゑ[の]・【事】越さへ・の【給】八するに・いと・者つ
[か]しうも/[か]〈次頁〉、(2ウ)・
--------------------------------------
可[な]しうも・おほえ・【給】・【御】可多ち
なとも・な満免可しう・きよらにて・[か]き里
[な]き・【御心】さしの・【年月】尓・そ婦・やう尓・も
て[な]させ・【給】尓・めて堂き・【人】[な]れと・さしも・
おも・【給】へらさ里し・遣しき・【心】者へなと・ナシ・も
[の]・【思】しられ・堂まふ・満ゝに/(満満に)・[な]とて・王可・【心】能・
わ可く・い者遣なきまゝに/(ままに)・満可せて・さる・さ八
きをさへ・日きいてゝ/(日きいてて)・わ可・な越八・さら尓も・い
者須・【人】[の]・【御】堂免さへなと・おほしい徒る
尓・いと・うき・【御身】な里・あくる・としの・きさ
らき尓・【春宮】[の]・【御元】婦く[の]・【事】・あ里・【十一】尓/尓〈次頁〉、(3オ)・
--------------------------------------
な里・給へと・本とより・おほき尓・おと[な]
しう・きよらにて・堂ゝ/(堂堂)・【源氏】[の]【大納言】[の]・
【御】可本を・布多徒尓・う[つ]し堂らん・
やう尓・みえ・【給】・い登・満者ゆきまて・ひ可り
あひ・堂まへる越・【世人】・めて堂き・もの尓・
きこゆれと・者ゝ/(者者)・【宮】盤・いみしう・[か]多八らい
堂き・【事】尓・あひ[な]く・【御心】越・[つ]くし・【給】・
【内】尓も・めて堂しと・み・堂て満徒里・【給】て・【世
中】・ゆ徒里・き古え・【給】へ[き]・【事】なと・な徒可
しう・き古えしらせ・【給】・おなし・【月】[の]・【廿】よ
【日】・【御】くにゆ徒里[の]・【事】・尓者可[な]れ半・【大后】/【后】〈次頁〉、(3ウ)・
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 この新方針での翻字について、興味と関心をお持ちの方からのご意見をお待ちしています。

 帰りに、図書館の1階奥の新聞閲覧室の手前で、大阪府立中之島図書館が『名探偵コナン』(19巻、青山剛昌、少年サンデーコミックス、1998年4月)に紹介されていることを知らせる立て看板を見つけました。コナンたちがこの図書館で過去の記事を検索しているのです。ここは、あのコナンも調査で来た図書館です。これも、参考までに掲載します。

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posted by genjiito at 22:37| Comment(0) | ■変体仮名
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