2022年03月28日

京洛逍遥(775)承天閣美術館で展覧会「王朝文化への憧れ」を観る

 相国寺の中にある承天閣美術館で「王朝文化への憧れ―雅の系譜」と題する展覧会が、先週20日より開催されています。

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 展示室では、江戸時代に京の人々が『源氏物語』や『伊勢物語』など王朝文学のみやびな世界に憧れて来たさまを、屏風絵や絵画や和歌を通して実感できました。ゆったりとした雰囲気の中で、心が豊かになる上質の展覧会です。
 特に、佐竹本三十六歌仙絵の「源公忠」(重要文化財、相国寺蔵)には、京都国立博物館で2019年11月に開催された特別展「流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」以来、久しぶりに対面しました。
 この佐竹本「源公忠」の前には、岩佐又兵衛の「三十六歌仙画帖」が広げてあります。贅沢な展覧会です。「源公忠」の公開は第T期のみのため、5月15日までです。5月22日以降のU期では、「蔦の細道図屏風」(俵屋宗達、重要文化財、相国寺蔵)を見られることが楽しみです。
 また、「藤原定家像」(一幅、絹本著色、江戸時代、元文五年・1740、普廣院蔵)と「藤原定家位牌」(普廣院蔵)も、初めて観るものだったのでしばし見入ってしまいました。

 なお今回の展示でも、和歌や文などに添えてある翻字に違和感を覚えました。
 これまでに何度も記したように、紙面に書かれている文字を忠実に翻字をしてほしいからです。今日拝見した中から、気になったもの1点だけを例としてあげます。
 今回初公開となった中で、「智忠親王和歌懐紙 一幅 紙本墨書 江戶時代 十七世紀 慈照院藏」の場合です。添えられた翻字の右に、実際に書かれている変体仮名の字母を私の判断で括弧で示しました。
   富士山
 ら雲の
(志)

 たへ
(堂え)(耳)

 そとみ
 (連)(え)

 よ
 (里)

 め
 (可)(努)

 ふし高根
  (能)

 なりけ
 (梨个)


 変体仮名を明示した翻字にしてほしいという要望に加えて、ここでは「たへまに」と翻字して掲示されていることに疑問を抱きました。実際には「堂えま耳」と書かれています。ここの「え」の字母は「衣」であり、「者」や「良」や「之」の崩し字に近い縦長の線の状態です。「つ」のように見えたら「へ」と翻字したら間違いない、と言ってきました。ここは、明らかに「者」や「良」に近い「衣」の崩し字です。そのため、書写されている「堂え」は、今風に翻字しても「たへ」とはならず「たえ」だと思います。同じように、「みへし」と翻字されているのは、実際には「みえし」と書かれています。ここでの2例の「へ」という翻字に何か別の意味があるのか、今の私にはわかりません。

 丁寧に各出展作品を見て回ったので、腰がだるくなりました。花粉症の影響もあり、目もショボショボしてきました。
 王朝文化にたっぷりと浸った1時間半でした。

 美術館を出ると、すぐ西にある墓地に向かいました。ここには、藤原定家のお墓があります。私はいつも定家批判ばかりしているので、あらためての表敬訪問です。

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 このお墓は意外と知られていません。相国寺に来られたら、ぜひ足を留めてください。案内はないので、お寺の方に聞かれたらいいと思います。
 
 
 
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ◎京洛逍遥
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