2022年02月18日

京洛逍遥(765)街の本屋さんがなくなっていくこと

 家を出ると、白川疎水通の早咲きの桜が満開です。比叡山を背景に咲く桜は、この通りではここだけなので誇らしげな顔をしています。

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 街を歩くと、お店のシャッターに「店じまい」の貼り紙を見かけることが多くなりました。飲食店などは、新型コロナウイルスによるものがほとんどでしょう。そんな中で、つらいのは本屋さんの閉店を知らせるものです。長い間のご贔屓とご愛顧に感謝する言葉は、そのお店がある場所の環境が変化したことと、お客さんの本との接し方が大きく変わったことへの抗議のようにも読めます。

 私は、ネットで本は入手しません。本との出会いを楽しんでいるので、お店で平積みされた本の表紙や書棚に並ぶ本の背文字を見るのが好きです。たまたま手にした本のページをめくり、目次や前書きや後書きや奥付けを見ると、縁のある本は私に「おいで、おいで」をしてきます。まさに「啐啄の機」を楽しんでいるのです。これは、新刊書店でも古書店でも変わりません。

 そんな中、下鴨本通と北大路通の交差点角に聳え立つ、老舗の書店「葵書房 下鴨店」が、昨年末の令和3年12月31日で営業を終了すると公告された貼り紙はショックでした。71年の歴史を持つ本屋さんです。私が生まれた年です。しかも、私がつい最近職を辞した日が、その最終日だったのです。
 今日は、店内の荷物を搬出して清掃をしておられたのか、ちいさな自動ドア越しに中が見えました。

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 自宅からほど近い本屋さんだったので、おもしろそうな新刊書を見つけるといただいていました。もっとも、小さな本屋さんに入荷される本の種類も関係してか、楽しい出会いは少なくなっていたのは確かです。

 京都を舞台にする小説や解説本に、「葵書房 下鴨店」はよく見かけます。望月麻衣さんの『京都寺町三条のホームズ』などが思い出されます。この周辺には大学が多いので、一人用のマンションに住む学生さんたちや、周辺の高齢者などは、この本屋さんを愛用しておられたことでしょう。これで、実際に本を手にすることができる本屋さんは、河原町通まで出かけることになります。狭い小路や商店街の裏道の一画に、細々と営んでおられる昭和レトロの本屋さんは時折見かけます。出町柳にある桝形商店街の中の2軒の古書店は、貴重な存在となりました。

 本離れの原因はいくつか思いつきます。その中でも、本が占めるスペースと重さも、購入をためらう理由になっていると思います。
 専門書はともかく、今後の書籍の流通と読者の動向は、興味深いテーマとして意識しておきます。
 
 
 
posted by genjiito at 21:07| Comment(0) | ◎京洛逍遥
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