2021年11月09日

日本文学データベース研究会(NDK)のこと〈第3回〉

 『源氏物語別本集成』の正編をなす全15巻は、1989(平成元)年3月〜2002(平成14)年10月に刊行し、無事に完結しました。また、続編にあたる『源氏物語別本集成 続 全15巻(内7巻まで刊行)』は、2005(平成17)年5月〜2010(平成22)年7月にかけて刊行し、以降は中断としたまま一応の終了としています。

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 『源氏物語別本集成 正・続』の刊行を中断したのは、古写本の翻字で現行の平仮名に置き換えるという嘘の仮名文字を使うことへの疑念と、変体仮名の字母まで翻字して表現したデータを次世代に伝えたかったことに加えて、翻字を担当するお手伝いの方々が極端に少なくなったためです。
 このことは、「『源氏物語』を「変体仮名混合版」にする方針で一大決心」(2015年01月15日)で方針転換を宣言しました。

 この大事業を進行しながら、NDKとしては次なるプロジェクトとして、『源氏物語』の全巻の品詞分解をプログラムで処理するシステムの開発に着手していました。世に流布する、江戸時代にできあがった大島本の校訂本文の品詞分解ではありません。膨大な量の古写本の本文の、しかも正確な翻字本文を整理して、その品詞分解を視野に入れての、気の遠くなるプランです。
 その品詞分解のシステムの開発は、自称さすらいのプログラマーである谷口さんにお願いしていました。

 以下に紹介する、谷口さんの記事「小説木幡記:2010/08/18(水)もう盆も終わった:古典の品詞分析」(http://asajihara.air-nifty.com/mu/2010/08/20100818-42c1.html)は、そうした背景のもとでの記録です。日本文学データベース研究会(NDK)をシステム開発で支援してくださっていた谷口さんの姿が、こうした文章の行間から立ち現われてきます。
 「MuBlog」から、その本文を引用します。

小説木幡記:2010/08/18(水)
もう盆も終わった:古典の品詞分析

 昨日は、古い知友が入院するというので見舞いを兼ねて4人で昼食をとった。若い若いとおもっているまに、30代とイメージしていた者は還暦に近く、いまだに20代半ばと思っていた2人は、すでに40代も後半と聞き、唖然とした。しかしそういう長い長い知り合い達がまだ活躍していることにほっとした。
 さて。
 そのあと知友の家により仕事の話もすませ、さっそく余1人葛野に向かった。今年は葛野の学園の工事停電も続き、まるまる一週間研究室を訪れなかったので、EH500金太郎機関車がネズミにひかれてはおらぬかと心配になって、夕方着いた。機関車や客車やPCや図書達は元気だったので、ほっとした。

 さっそく主PCを点火起動し、古いシステムを表すキーワードをいれて、それがどこに潜んでいるかを探してみた。話というのは10年も昔に動かしていた古典文法の形態素解析システムで、共著論文も著していた。探している間に10年前の論文を読み返したが、難しくて、一体何をしているのかとんと思い出せなかった(笑)。〜ようやくそれらしいシステムの入ったフォルダーが見つかったので、ともかくそこにある、源ファイル、加工1ファイル、加工2ファイル、〜結論ファイル、らしき諸ファイルを知友達におくり、「このシステムでよいのか」と言い添えた。

 木幡に帰ってさらに見てみると、2004年頃には、方法を改良してより大規模にしたシステムも見つかったが、一つの源ファイルに対して、関係データファイルだけで7つ8つあって、本当に「一体、何をしているのか?」わからなかった。またしても、第二陣を送ったら、「今回は別のシステムが必要なので、また別のも作ってください」と返事があって、がっくりした。

 〜
 というわけで、盆がおわったとたんに、夏期論文の継続はあるし、古いシステムの再起動はあるしで、またまた汗が出てきた。いつまでも忙しい。

 ところで。
 関係諸ファイルが7つ8つもあるのは、余が相当に手堅い方法をとったせいだと、徐々に思い出してきた。複雑怪奇な処理を必要とする場合、一挙にかたづけようとするとうまくいかない。あるいは脳がついていかない。一つ一つの山を越えるたびに、その結果を一旦はき出して(ダンプ)、それをじっくり眺めて次に対処するという、つまり次の工程に必要なアルゴリズムを沈思黙考し、次のステージのためのプログラミングをするという、実に単純だが失敗の少ない方法をとったわけだ。
 だから途中結果の7つもあるファイルの意味を今更思い出そうとしても、それは無理だ。最初の源ファイルと、最終らしい完成ファイルだけを使えばよいのじゃろう(笑)。これぞ、中抜け、つまりキセルじゃのう。

 〜
 というわけで、知友達と食事して、10年前のシステムが再起動することになった、というのが昨日の結論。そこで、今日はもういちど古い論文を読み返してみるつもりだ。今日は、理解できそうだ。基本はこれまた単純で、源氏物語の全単語を古典研究者達が分析し品詞を付与したデータがあって、これを辞書として、すなわち源氏物語を教師として、別のテキストを自動的に品詞分解していくシステムなのだ。その古典研究者達とは、昨日あった3人だから、まあ、すべては自家薬籠中のものと、言える。

 いろいろあるのう〜。

2010年8月18日 (水) 02時11分
NDK:日本文学データベース研究会,小説木幡記 | 固定リンク

 
 
 
posted by genjiito at 19:48| Comment(0) | ◎情報社会
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