入口で、「大学共同利用機関法人人間文化研究機構」とか「総合研究大学院大学」という文字列を見ると、前職が同じ機関だったこともあり懐かしさが過ります。
民博にこの前に来たのは、5年前に科研の研究会を開催した時でした。本当に久しぶりです。
「民博で古写本『源氏物語』の触読研究会」(2016年12月10日)
今回の特別展の仕掛け人で責任者である広瀬浩二郎さんには、延々3時間にもわたって全展示品の説明をしていただきました。とにかく、このコロナ禍で「非接触」が声高に叫ばれているにもかかわらず、触ることに徹したこの展覧会は前代未聞です。1年延期となったにもかかわらず、広瀬さんは初志貫徹されました。盛大な拍手を送ります。
会場に入るとすぐに、広瀬さんの像が出迎えてくれます。その手前にある興福寺の仏頭(国宝のレプリカ)をペタペタと触った後、ご本人を前にして広瀬像を触るのは、得も言われぬ不思議な感触にとらわれました。
次に入った展示場の最初に置いてある耳なし芳一の右手は、杖を持った左手とはその感触がまったく異なります。生身の肌の手触りなのです。実は、広瀬さんの右手を象ってシリコンで覆ったものだそうです。知らないとそのまま通り過ぎますので、ぜひとも触って入ってください。
「ユニバーサル・ミュージアム」の意義はもちろんのこと、今回の特別展の趣旨と意図が、自分の手指を通して伝わってきます。今ここでは、それ以上に書きようがないので、とにかく国立民族学博物館に足を運ばれることをお勧めします。会期はあと1ヶ月あります。
展示図録と私が出品した『変体仮名触読字典』と『触読例文集』のことは、「コロナ禍で始まった“触”の大博覧会を応援中」(2021年09月04日)を参照願います。会場の最終コーナーでは、『変体仮名触読字典』と『触読例文集』が自由に触れる状態で置かれていました。これも、ぜひともご自分で触ってみてください。
「けっして触らないように」と言われる昨今、これは「とにかく触ってみよう」というコンセプトの展覧会です。貴重な体験ができること請け合いです。日常生活で忘れていた感覚を、知らなかった感触を、この会場で思い出し、見つけるという、新たな気付きの機会となることでしょう。
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