「ユニバーサル・ミュージアム―さわる!“触”の大博覧会」
昨年秋の計画が、新型コロナウイルスの感染拡大のために延期となっていたものです。企画運営の責任者として奔走しておられた広瀬浩二郎さんは、私の触読研究の研究協力者でもあります。関係者が気を揉む中で粘り強い交渉を重ね、こうして開催に漕ぎ着けられたことは、その末席から応援する者としてとにかく安堵しています。会期末の11月末までは、コロナ禍ゆえに気が抜けません。それでも、パラリンピック開催中にこうした催しがスタートしたことは、特筆すべきことだと言えます。
手元に、展示図録である『ユニバーサル・ミュージアム −−さわる!“触”の大博覧会』(国立民族学博物館・広瀬浩二郎編、小さ子社、248頁、2021年9月2日)があります。
よくできた図録です。ページを繰っていて楽しくなる図録です。展示された作品を触ってみよう、という気持ちになります。
バタバタするだけの日々の中で、隙間を見つけて〈触りに行く〉機会を探しているところです。
図録の表紙が気に入りました。その【カバーデザイン解説】には、次のような説明があります。
カバーでは、色と点字を要素にした「さわる」文化を体験するデザインを制作しました。本図録に掲載されている作品をクローズアップし切り抜き、切り抜いた帯を13本並べ、それぞれ2色の組み合わせに置き換えています。その帯の上に重なる点字に色をつけることによって、視覚には作品素材に色の点字が、出現や消失をしている様子が表現されています。また、帯の上に重なる点字には、点字模様という規則的に同じ点字の並びを繰り返すことで模様を作る点字の文化を取り入れています。色と点字による視覚と触覚の関わり合いと、点字模様が生み出す「さわる」文化を体験するカバーデザインです。
私は、この図録の「第6章 見てわかること、さわってわかること」に「変体仮名を触読する意義」(174〜175頁)という文章を寄せ、展示品としては『変体仮名触読字典』と『触読例文集』の2点を提供しています。
〈新型コロナウイルス〉と〈触ること〉は、今は相容れないものになっています。そうであるからこそ、〈触ること〉を忌避するのではなく、〈触ること〉の意義を再認識して、居心地のいい、気持ちのいい社会を作り上げていきたいものです。
広瀬さんは、このところ新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどなど、さまざまなメディアに向けて視覚障害者からの情報を発信中です。今朝届いたメールには、次のようにあります。
どうしても「視覚障害者である広瀬」にフォーカスする取り上げ方が多くなります。
この点について、いろいろ思うことはありますが、今回は特別展の注目度アップにつながればと、本人は割り切っています。
今後とも、このイベントに関連する情報を、本ブログからも援護射撃として発信します。実際に国立民族学博物館へ足を運ばれた方のご意見や感想をお寄せいただけましたら、ここで紹介します。この記事の末尾にある〈コメント欄〉をご利用ください。
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