『朝日新聞』の2月10日付の朝刊「ひと」欄に掲載されたことに関連して、その裏話をメーリングリストを通して語っておられるので、その一部を紹介します。
広瀬さんは、視覚障害者にとって触ることはかけがいのない手段だとの信念から、視覚優位の社会に物申す立場での発言が続いています。「触ること」の大切さを、身をもって訴え続けておられるのです。今まさに、新型コロナウイルス禍ということから、物にはできるだけ触らないように、という指示が社会全般に出されています。しかし、広瀬さんの生きざまは、それとは真っ向から反対する立場からの提言であり、活動を展開中なのです。
私も、その活動の一端を支援しているので、折々にこの場を借りて紹介しているところです。
「「障害」と書くことに対する広瀬さんの意見」(2021年01月11日)
「来春3月に富山でユニバーサルツーリズムのシンポジウム」(2020年12月27日)
「読書雑記(303)広瀬浩二郎『それでも僕たちは「濃厚接触」を続ける』」(2020年11月26日)
「広瀬さんの新著『それでも僕たちは「濃厚接触」を続ける!』」(2020年10月09日)
「全盲の広瀬さんから「優しさ・安全」が強調される社会への異議申し立て」(2020年09月28日)
今日は、トーテムポールの〈ざらざら感〉から感得したこと、という話です。
脚立に乗って、トーテムポールの上部へ手を伸ばした時、意外な発見がありました。
トーテムポールの下部、僕たちが手を伸ばしてさわれる部分は、つるつるになっています。
多くの人がさわるので、木の手触りが滑らかです。
一方、上部、僕たちの手の届かない部分は、ざらざらで、ちょっとワイルドな感触です。
トーテムポールの上部をさわりながら、ふと思いました。
「このトーテムポールが民博に設置されて40年。おそらく、上部にさわった人は誰もいない」
「このざらざら感を俺が独り占めしている!」
「このざらざらと、つるつるの差を多くの人に味わってもらいたい」。
さわることによって、彫刻の細部に積もっていた埃を払うこともできたので、きっとトーテムポールは喜んでいたのではないでしょうか。
そんな、さまざまな思いを抱きながら、トーテムポールの上部に懸命に手を伸ばす体験は新鮮でした。
自分でも、ざらざらに触れた瞬間に、パッと明るい表情になったことがわかりました。
(中略)
今回はざらざらの「発見」を僕一人が楽しみましたが、秋の特別展では多くの来館者に各人各様の「発見」を味わってもらいたいです。
そして、僕が「発見」を独り占めすることなく、来館者が貪欲に展示作品に手を伸ばす仕掛けを、みなさんとともに考えていきたいと思います。
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