2020年10月10日

映画雑記『見えない目撃者』(韓国映画・字幕版)

 この映画は、韓国映画『ブラインド』(2011年8月)として2014年に日本で公開されたものです。
 兄弟愛を背景にして、生きる意味を問う形を取りながらも、非常に暴力的な映画だと思いました。視覚障害者を利用した、差別的な意識が漂う印象も持ちました。どの場面がそうだというのではなくて、会話と表情と行動においてです。荒れ果てた人間の心が産んだ作品だ、との感想を抱いた映画です。
 自分の運転で交通事故を起こし、同乗していた弟を亡くした上、自分は目が見えなくなった女性警察官シャオシンが主人公です。
 点字、盲導犬、点字ブロックなどの小道具に、つい目が行きます。日本とどう違うのかと。
 母から渡された盲人用の障害物感知器は、初めて見ました。杖が届かない物を振動の強弱で感知する、掌に収まる小道具です。これが最後に、主人公の身を護ります。
 主人公は失明して3年間、点字などを学び、復職を目指します。しかし、そのことはいつしか物語からは触れられなくなっていきます。目が見えないことについては、問題意識に鋭さがなく、そのことへの切り込みが不十分です。盲導犬の扱いについても疑問があります。
 字幕に数回出てきた「盲心」ということばが、原語では何と言っているのか気になりました。
 主人公は記憶を頼りに、辛抱強く捜査に協力します。元警察官なので、要領を得た協力です。そして、女子大生失踪事件とリンクしていきます。展開の妙に目が離せなくなります。観客の心理を心得た、巧みな物語です。
 見終わってから、女性を偶像崇拝する傾向があることに違和感を覚えました。【2】

※2016年に中国で制作されたリメイク版は、まだ見ていません。
※2019年の日本版の映画については、引き続き次回アップします。

 参考までに、なかざわ ひでゆき氏の「【深読み映画レビュー】『見えない目撃者』 韓国版・中国版との比較も!」(https://eiga-board.com/posts/3323?p=2)から、3種類の映画の「あらすじ」を比較している部分を引用します。

<韓国版『ブラインド』・あらすじ>

 かつて警察大学の優秀な学生だったスア(キム・ハヌル)は、母の運営する孤児院で姉弟同然に育ったダンサー志望の若者ドンヒョン(パク・ボゴム)を連れ帰る途中で交通事故を起こし、逃げ遅れたドンヒョンは車ごと橋から落下して死亡。スア自身も視力を失ってしまいます。それから3年後。視覚障碍者となったスアの乗車したタクシーが何かに衝突します。運転手は犬を轢いてしまったと言いますが、しかしスアはそれが人間であることに気付いてしまう。慌てた運転手は被害者をトランクに押し込めて逃走します。

 すぐに警察へ届け出るスアですが、警察の対応はいい加減。しかし、聴覚や嗅覚を駆使した彼女の鋭い観察力に驚いたチョ刑事(チョ・ヒボン)だけが彼女の言葉に耳を傾け、やがて世間を騒がせている女子大生失踪事件とひき逃げ事件の関連性が浮上します。そこへ第二の目撃者である若者ギソプ(ユ・スンホ)が名乗り出るも、2人の証言の食い違いに警察は困惑。やがて、犯人(ヤン・ヨンジョ)はアルバイト帰りのギソプを襲撃し、さらには地下鉄でスアにも襲いかかります。スマホのビデオ通話でギソプに誘導され、なんとか間一髪で難を逃れたものの、大切な盲導犬チヘを殺されてしまい悲しみに暮れるスア。徐々に姉弟のような絆で結ばれていくギソプとスアですが、そんな2人に再び犯人の魔手が忍び寄ります…。

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<中国版『見えない目撃者』・あらすじ>

 新人女性警官のルー・シャオシン(ヤン・ミー)は、バンド活動に熱中して学校を退学した弟リャン・ツォン(リウ・ルイリン)に腹を立て、ライブ会場から無理やり連れ戻したところ、交通事故を起こして弟は死亡。シャオシン自身も視力を失います。それから3年後、たまたまシャオシンの乗ったタクシーが何かに衝突。運転手は犬を轢いたと言いますが、そのうめき声からシャオシンは人間の女性だと気づきます。犠牲者をトランクに押し込めた運転手はそのまま逃走。すぐさまシャオシンは警察へ届け出ます。温厚なルー刑事(ワン・ジンチュン)はにわかに彼女の証言を信じられなかったものの、事故現場付近で行方不明者の届け出があったことから警察が動き始めます。

 すると、ローラースケート少年リン・チョン(ルハン)が第2の目撃者として名乗り出る。最初はリン・チョンを懸賞金目的の不届き者だと思っていたルー刑事でしたが、彼が犯人(チュウ・ヤーウェン)に襲われたことから考えを改めます。やがて、出会い系アプリを悪用した女子大生連続失踪事件との関連性が浮上。そうこうしているうち、シャオシンはバスで犯人につけ狙われ、スマホのビデオ通話でリン・チョンに誘導されて命を救われるものの、盲導犬コンコンが殺されてしまいます。実はリャン・ツォンの大ファンだった音楽好きのリン・チョン。亡き弟を介して姉弟のような絆を育むシャオシンとリン・チョンですが、そんな2人に犯人が襲い掛かります…。

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<日本版『見えない目撃者』・あらすじ>

 警察学校の卒業式当日に交通事故を起こし、最愛の弟・大樹(松大航也)を死なせてしまい、自らも視力を失ってしまった浜中なつめ(吉岡里帆)。それから3年後、悲しみと後悔のどん底に生きているなつめは、ある晩たまたま車の接触事故と遭遇します。慌てて立ち去る車の中から、助けを求める少女の声を耳にするなつめ。すぐに警察へ届け出る彼女ですが、話を聞いた木村刑事(田口トモロヲ)も吉野刑事(大倉孝二)も取り合ってはくれません。しかし、これが誘拐事件だと確信するなつめは、車との接触事故を起こしたスケボー少年・国崎春馬(高杉真宙)を探し出して協力を求めます。

 事件に気付きながらも犯人の姿を見ていないなつめと、犯人の姿を見ていながら事件に気付かなかった春馬。はじめこそ迷惑がっていた春馬ですが、しかしなつめの熱意に押されて調べ始めるうち、2人は家出女子高生たちの間で噂になっている謎の人物「救様」の存在にたどり着きます。やがて、荒れ果てた廃墟の裏庭で発見された女子高生たちの無残な死体。その傍で見つかった自殺者が犯人かと思われましたが、しかしその陰惨な儀式的殺害方法を目の当たりにした木村刑事は、15年前に起きた猟奇事件と何らかの関係があるのではと疑い始めます…。

 
 
 
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ■視覚障害
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