2020年09月18日

読書雑記(295)高田崇史『古事記異聞 −京の怨霊、元出雲−』

 『古事記異聞 −京の怨霊、元出雲−』(高田崇史、KODANSHA NOVELS、2020年7月)を読みました。
 表紙は2種類が掛かっていました。下鴨神社の楼門を扱った方は、フェアのためにデザインしたものでしょうか?

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 京都山王大学の民俗学研究室に所属する加茂川瞳准教授と学生の問題から始まります。開巻早々、学生の牧野竜也の同級生だった将太が嵐山線のホームから転落して死にます。それが、自殺だったのか事故だったのか。読者は早速、物語の中に引き摺り込まれます。後に、竜也も下鴨神社の御手洗池で死体として見つかります。
 話は変わって、橘樹雅は日枝山王大学大学院に進学し、民俗学を研究するつもりです。指導教授は、御子神准教授。テーマは「出雲」。出雲の旅を終えてから、「元出雲」を調べることになります。そして、京都市内の出雲路橋周辺も。この橋は我が家に近い所にあることもあり、興味津々で読み進みました。もちろん、島根県出雲市生まれの私にとって、出雲の話となると、毎度のことながらつい読み耽ってしまいます。
 話は、推論に次ぐ推論で出雲問題が取り上げられます。民俗学特有の、話はおもしろい事例で楽しめるものの、実際には論証できない内容の展開で、拡散を繰り返します。その論法が、こうした物語には有効でした。中身の確かさよりも、興味を掻き立てることで読者を惹きつけるのです。民間伝承の特性が、各所にちりばめられていて、古代を推理するおもしろさを演出しています。
 一気に読みました。久しぶりです。もっとも、どこまでが事実かは曖昧なままなので、読み終わっての手応えはほとんどありませんでしたが。【3】
 
 
 
posted by genjiito at 20:10| Comment(0) | ■読書雑記
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