2020年04月19日

「ウェビナー」を活用してミャンマーに『百人一首』を広める

 本日、ミャンマーにある国際交流基金ヤンゴン事務所所長の佐藤幸治さんから、興味深い相談が舞い込みました。それは、ミャンマーのヤンゴンで先月下旬に計画していた、『源氏物語』の現代語訳を終えたばかりの角田光代さんを招いて、映画会や討論会などのイベントを組んでいたことに関連するものです。新型コロナウイルスのために、この開催が延期となったことを受けての、今後の展開に関する内容でした。このイベント延期については、「ミャンマー行き延期と翻訳本7冊のこと」(2020年03月17日)に書いています。

 佐藤さんのメールには、せっかく準備も整い、盛り上がった折でもあり、このままでは残念だとあります。そして、延期した事業がいつできるか不透明な中であるものの、ミャンマーの文学コミュニティ、日本語習得者たちに向けて、実際の対面を伴わない、ウェブ上の情報提供や交流活動を作っていくことはできないか、とおっしゃるのです。
 そういう比較的少量の情報などを継続的に発信していくことによって、一定のサークル内に関心と最低限の基礎知識を育てることはできるのではないか、と思っての提案でした。これがひいては、今後実施するイベントの受容基盤を強化することにもなるだろうと思われる、ともあります。
 さらに佐藤所長からのメールには、「当地で翻訳して使用するのにふさわしいソースなどごさいましたら、ぜひご紹介いただけますか。もちろん、先生といちから共同製作というのも我々は大歓迎です。」ともあります。

 そこで早速、研究仲間で『百人一首』の研究実績が豊富な同志社女子大学の吉海直人さんに、協力の呼びかけをしました。すると、すぐに「喜んでお手伝いさせていただきます。」との返事が来ました。吉海さんの協力が得られれば、「弁慶に薙刀、鬼に金棒」です。
 吉海さんは、『百人一首』関係の本を多数刊行しておられます。私は海外で『百人一首』のお話しをする時には、非常にわかりやすい『一冊でわかる百人一首』(吉海直人、成美堂出版)を紹介し、資料として活用しています。

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 そこですぐに、ヤンゴンの佐藤さんには、昨年、現地のヤンゴン外国語大学で実施した『百人一首』に関することを、今回は視点を変えて取り上げる提案をしました。昨年のことは、本ブログの「ヤンゴン外国語大学で講義」(2019年02月01日)に書いた通りです。

 また、ネットを介して、「zoom」によるウェブセミナーとしての「ウェビナー」という手法で、リアルタイムに講演会やグループディスカッションも可能です。『百人一首』の専門家である吉海さんには、ここに参加してもらうことも可能です。
 その内容は、次のような展開となります。

・開始時刻設定をし、事前に参加者にURLで共有しておく

・登壇者しか声が発信できない

・聴衆者はリアルタイムで質問をテキストで投げられる

・登壇者は聴衆者の中から選んで声の発信権限を渡すことができる


 私からミャンマーへの具体的な提案は、今日のところは次のものとなります。

(1)吉海著『一冊でわかる百人一首』のミャンマー語訳を刊行
 吉海さんの協力が得られることになったので、この『一冊でわかる百人一首』のミャンマー語訳を出してもいいと思います。日本語を勉強し始めた段階のヤンゴンの大学生や社会人の方々と一緒に、みんなでミャンマー語訳にするプロジェクトを起こしてもいいと思います。
 なお、ミャンマー語訳『百人一首』は2種類も出ているので、それを参考にして新たなミャンマー語訳『百人一首』を作ることは可能です。ただし、私の手元には、まだその本がないことは、「ヤンゴンの書店に立ち寄ってからの帰路」(2019年02月03日)に書いた通りです。

(2)参加者と『百人一首』の歌を一首ずつネット越しの共同討議で解釈していく。
 特に恋の歌などは、恋愛に対する文化的な素地が違うので、日本人と違う解釈が出てくる可能性があり、そうなると、さらにおもしろくなると思われます。日本側が解釈や意味を提示するのではなくて、ミャンマーの方々に受け入れてもらえる解釈を、みんなで話し合うのです。まさに、国際交流の中で生まれるコラボレーションです。その際、すでに刊行されているミャンマー語訳『百人一首』を参照することも有意義です。

(3)とりまとめ役は、専門家である必要はありません。
 千年前と今という時空間を超えての恋愛談義に加えて、ミャンマーと日本という地理的・文化的に遠く隔たった地域での異性に対する思いの違いがテーマの一つとなります。とりまとめ役は、答えのない問題ということもあり、参加者と解説者との意見のやりとりを交通整理してもらえればいいのです。

(4)こうしたことが実現すれば、国際交流基金が支援をしている出版助成による成果の公刊が可能となることでしょう。

(5)ミャンマーで『百人一首』を普及させることに関して
 すでに、アメリカのストーン睦美さんには、ミャンマーへの『百人一首』の普及について理解をいただき、ヤンゴンへ指導に行ってもいいともおっしゃっていました。

「近江神宮で競技かるた世界大会の情報収集」
http://genjiito.sblo.jp/article/186782603.html

(6)テレビ会議システムを活用した講演会や討論会は、以下の見取り図が想定できます。
 「zoom」を活用するとなると、セミナーやフォーラムと同じで、登壇者と聴衆者の2つに分けることができ、次のような流れになります。一例として、叩き台を提示します。

【1】『百人一首』の講演会をやる
  ↓
【2】お題を与えてグループ分けして、「ブレイクアウトルーム」でそれぞれのグループがお題に取り組む
  ↓
【3】マスターのルームにみんな帰ってきて、グループごとに発表
  ↓
【4】講演会に参加した人が「slack」に参加すると、継続的なコミュニティも生まれる


 ということで、ミャンマーでこの『百人一首』に取り組むことは、国際交流という点からも意義深いものとなり、それも実現性の高いものではないか、と思います。

 今後の展開を、大いに楽しみにしてください。
 そして、このプロジェクトに興味を持たれた方からのアドバイスも、楽しみにしています。
 
 
 
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | ◎国際交流
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