2019年06月11日

(書影追補)過日お亡くなりになった田辺聖子さんに関するメモ

 今月6日に、田辺聖子さんがお亡くなりになりました。大阪樟蔭女子大学に出入りしていた頃があったので、『源氏物語』との関係でお話をお聴きしたいと思いつつ、実現しないままでした。
 『源氏物語』の翻訳に関連して、田辺さんの情報は集めていました。その一部を、忘れない内にここに残しておきます。

 本日6月11日(火)の京都新聞に、宮本輝氏、山折哲雄氏、中西進氏、藤山直美氏と共に、伊井春樹先生のコメントも掲載されていました。「関西の風土に根差す」との小見出しで、『源氏物語』に関しては以下のように語り出しておられます。

国文学者の伊井春樹さんの話

 源氏物語の現代語訳は、原文に忠実に古典の雰囲気を再現した谷崎潤一郎訳と、解釈を入れ意訳した与謝野晶子訳の系譜がある。田辺聖子さんは後者の流れを受け継いでいて、現代人により受け入れられるように、面白く解釈している。(下略)


 伊井春樹先生は昨年まで逸翁美術館の館長をなさっていました。その関係から、宝塚歌劇のことにも触れておきます。田辺聖子の『新源氏物語』が舞台化されていたからです。ただし、この分野は専門家が多いので、ここにはほんの一端だけをあげます。

タカラヅカ101年 26年ぶり、花組公演「新源氏物語」 光源氏の愛と苦悩

 宝塚歌劇団花組が、「新源氏物語」(柴田侑宏脚本、大野拓史演出)を宝塚大劇場で上演している。紫式部の傑作を現代語訳した「新源氏物語」(田辺聖子作)をベースに劇化した作品で、同名作品を宝塚歌劇団で上演するのは26年ぶり3回目。きらびやかな平安の世の宮廷を舞台に、花組トップスター明日海りおが光源氏を演じ、当代きっての美男子の愛と苦悩を表現している。11月9日まで。【文・釣田祐喜、小寺裕子、写真・山田哲也】
(中略)
 新源氏物語は1981年、月組が初めて公演した。実力・人気も全盛期を迎えていた当時のトップスター、榛名由梨が光源氏を、上原まりが藤壺の女御を演じた。次いで89年の月組による再演では、剣幸が光源氏、こだま愛が藤壺の女御を演じた。3度目の今回は、8月の台湾公演で「ベルサイユのばら」とレビュー「宝塚幻想曲」の2本立てを成功に導いた明日海と、花乃のコンビ。端正な顔立ちの明日海からは、女性をひきつける甘い雰囲気がにじみ出ているようだ。花乃は、道ならぬ恋に落ちる罪悪感にさいなまれながら、光源氏を受け入れる藤壺の女御を、限られた登場シーンの中で懸命に演じている。(2016年1月6日 毎日新聞)


 なお、私が生まれた頃のことながら、1952年には春日野八千代が「源氏物語」(白井鉄造構成・演出)の光源氏を演じていました。

 田辺聖子の著作は、目で文字を読むことが困難な方々のために、点字や音声で楽しめるように、「サピエ」(視覚障害者情報提供ネットワークシステム整備事業)からデータが提供されています。利用者は、次の作品がダウンロードできます。これ以外にも、いろいろと公開されていると思います。私が今摑んでいる情報の一部として、以下に引用します。
(複数の製作館がある場合は最も古いものを掲載しています)

サピエ図書館(点字図書や録音図書)

(1)【点字】

新源氏物語 上(新潮文庫)/田辺 聖子著/1984年

新源氏物語 中(新潮文庫)/田辺 聖子著/1984年

新源氏物語 下(新潮文庫)/田辺 聖子著/1984年

絵草紙源氏物語(角川文庫)/田辺 聖子文 岡田 嘉夫絵/1984年

私本・源氏物語/田辺 聖子著/1985年

源氏・拾花春秋 源氏物語をいける(文春文庫)/田辺 聖子, 桑原 仙渓著/2002年

小説一途 ふたりの「源氏物語」(the寂聴)/田辺 聖子, 瀬戸内 寂聴著/2010年

(2)【音声デイジー】

『源氏物語』の男たち ミスタ−・ゲンジの生活と意見/田辺 聖子著/音声デイジー/7時間12分/1990年

霧ふかき宇治の恋 上巻 新源氏物語(新潮文庫)/田辺 聖子著/音声デイジー/12時間31分/1993年

霧ふかき宇治の恋 下巻 新源氏物語(新潮文庫)/田辺 聖子著/音声デイジー/13時間17分/1993年


 さらには、2008年に笠間書院より刊行する予定で編集を進めていた『源氏物語【翻訳】事典』では、田辺聖子訳『源氏物語』の翻訳本として、次の情報を整理していました。しかし、その後、相次いで『源氏物語』の翻訳本が刊行されたこともあり、収録する翻訳本の切れ目の判断が出来ないままに今に至っています。出版社および情報を提供していただいたみなさまには、申し訳ないことです。先日も、36番目となるウクライナ語訳『源氏物語』の情報が届いたこともあり、もうしばらくこの『源氏物語【翻訳】事典』は先延ばしになることを、ご了承いただければと思っています。

中国語訳『源氏物語』の情報(2009.02.02版)

『新源氏物語』

紫式部原著・田辺聖子現代語訳/彭飛 等訳[1958−]
上海(シャンハイ)[中国]:上海訳文出版社
 和泉書院(大阪)と東方書店(東京)からも販売
上巻-430p.下巻-866p.
21cm./簡体字

 『源氏物語』翻訳委員会(代表者:彭飛)による中国語訳。初版。底本は、田辺聖子の現代語訳『新源氏物語』(新潮社)である。表紙は、二冊とも福岡市美術館蔵『源氏物語屏風絵・若紫』である。装丁は、ペーパーバックとハードカバーがある。
 序文はなし。上巻は、「空蝉」〜「少女」まで。巻首の挿絵は徳川美術館蔵『国宝源氏物語絵巻』の「蓬生」、大阪府立大学学術情報センター蔵『絵入源氏物語』、『十帖源氏』、『源氏絵鏡』、『源氏鬢鏡』など。下巻は、「玉鬘」〜「常夏」、「野分」〜「幻」までを収録。巻首に陽明文庫蔵『源氏物語』(藤原定家)影印「宿木」掲載。
 あとがきは翻訳者による。主な内容は、
1.「世界最古の長篇小説『源氏物語』、誕生して千年を迎える」、
2.「日本の著名な作家、田辺聖子と『新源氏物語』」、
3.「翻訳委員会初の大作」。
 彭飛はさらに詳しく「翻訳委員会」の各担当者の名前と担当原書の頁数を明記している。林少華(原著上巻1〜100頁)、曹亜輝(上巻101〜200頁)、王華(上巻201〜325頁)、張龍妹と呉志虹(上巻326頁〜中巻243頁)、楊蕾(中巻244〜313頁及び下巻86〜95頁)、花文勰(中巻314〜387頁)、徐麗明(中巻388〜458頁)、任川海(中巻459〜下巻41頁及び下巻96〜115頁)、彭飛(下巻42〜85頁)、杜鳳剛(下巻116〜352頁)、玉琢(下巻353〜448頁)である。和歌及び巻名の部分はすべて杜鳳剛訳。
 「訳者紹介」があり、以下の通り列挙。王華(中国海洋大学外国語学院日本語系準教授)。王琢(暨南大学外国語学院日本語系教授)。任川海(上海外国語大学日本文化経済学院準教授)。杜鳳剛(大連理工大学教授)。楊蕾(日本京都外国語大学博士後期課程研修生)。花文勰(日本京都外国語大学博士前期課程研究生)。呉志虹(集美大学外国語学院講師)。張龍妹(北京外国語大学日本学研究中心教授)。林少華(中国海洋大学外国語学院日本語系教授)。徐麗明(日本京都外国語大学博士前期課程研究生)。曹亜輝(天津工業大学外国語学院準教授)。彭飛(日本京都外国語大学教授)。
 「顧問紹介」として増田繁夫(日本大阪市立大学名誉教授)の名前を挙げる。
 上海訳文出版社は、1978年成立。外国文学、文化などの総合的な翻訳出版社である。


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posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | ◎国際交流
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