2019年06月08日

日比谷で源氏の橋本本を読む(12)[盛りだくさんの内容]

 日比谷図書文化館での『源氏物語』の講座は、順調に回を重ねています。
 今日は、国会通り沿いに咲いている花の艶やかさに、つい立ち止まってしまいました。
 後方の赤レンガ色の建物が、日比谷公会堂です。

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 後ろの方にすっくと立っている赤やピンクや白い花は「タチアオイ」、手前の黄色は「ビヨウヤナギ」。どちらも、我が家でも花を咲かせていたものです。京都に移ってからは植えていません。記憶の片隅にこの花の姿があったせいか、懐かしい想いで見ました。奈良の山の中で咲いていた花が、今、国会議事堂のそばで花開いているのです。こんなに見事に咲いているのに、あまり見向きもされない花たち。しばし、見とれてしまいました。

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 今日は、ここまで進みます、と宣言して始めました。いつも、写本を読む前にお話に熱中してしまうので、あまり進まないうちに終わります。これではいけないと、進む目標を決めてのスタートです。これまでの5年間で初めてのことです。

 まずは、山下智子さんの女房語りの案内のチラシを配りました。東京と京都の2箇所のものです。一昨日も山下さんからは、ご一緒に変体仮名と源氏語りのセッションをする計画を楽しみにしている、という連絡をもらっています。しかし、私がいつも出歩いているので、なかなか日程が合いません。今年こそは、と思っています。

 この講座は、特定非営利活動法人〈源氏物語電子資料館〉の活動の一環として開催しています。そのため、会員の多くはこの講座に参加なさっている方々です。NPOの総会の話と、今年度から視覚障害者への奨学金制度を設けたことを報告しました。そのことは、過日のブログ「NPO法人〈源氏物語電子資料館〉の第7回総会の報告」(http://genjiito.sblo.jp/article/186085614.html)に書いたように、次の奨学支援をすることになったことです。

目が不自由な学生等を対象とした「日比谷図書文化館古文書塾てらこや受講生向け奨学金制度」を設立します。これは、障害者手帳と日比谷図書文化館での翻字者育成講座領収書の提出を受けて、受講料の約6割の1万円を本法人が支給することで、勉学の支援をする制度です。本年度から実施します。内規を適用しながらの運用となります。


 該当者でもある2人の若者は、今日も元気に参加しています。みなさまもその熱意を感得しながら、共に変体仮名を読んでおられるので、この制度の意義は理解が得られたと思います。
 視覚障害者との活動を展開なさっている方からも、ブログに触れて次の励ましをいただきました。

日比谷図書館の講座を受講する際の、奨学金制度が出来たことも、すごいことだと思いながら拝読致しました。
口先だけで呼び掛けるのではなく、勉強出来る環境の方を整えて行くというのは、真の支援だと思います。


 とにかく、目が見えないながらも触読で変体仮名を読もうとする若者を、大切に育てていきたいと思います。また、講座に参加なさっている方々も、いろいろと助けてくださいます。いつものように、終わってからの課外講座での話の中で、高校生に付いて来ておられるサポートの方は、講座中はそばでなくて室外の控え室で待っていただいた方が、本人の自覚も高まり、受講生との一体感の中で自立した勉強ができるのではないか、という意見が出ました。なるほど、と思いました。来月は、その提案をしてみようと思います。普通の高校生だって読まない変体仮名です。さまざまな取り組みの中で、多くのことを学んで育ってほしいものです。

 ウクライナ語訳『源氏物語』のことや、大阪大学外国学図書館のこと、さらには「紫風庵」での三十六歌仙のことなど、さまざまな近況報告などをしました。それでも、今日は早々と写本を読むことになりました。

 42丁表の1行目「ましたると」からです。「悲」という変体仮名が、前回同様に出て来ました。「出」とか「書」に間違えやすい字形をしています。
 「可し〈改行〉古新とて」という箇所では、「古」と「新」つなげたところには、書写者の遊び心があるのではないか、という提案をしました。これは、平安時代の作者に遡ってもいいと思います。一案です。
 「个」は今後は筆の流れが一旦右に折れているものは「介」にしたいと提案しました。また、「て」はそのままとして、短く入ってくの字に膨れているものは、「弖」にしたいことも伝えました。
 そんなことを話しているうちに、また脱線してしまいました。そんなこんなで、結局は予定していた興味深い異文のある直前まで辿り着くのがやっとでした。一番肝心の話題になるはずだったことが、できなかったことは、意を決して望んだだけに残念でした。
 ということで、43丁表2行目「みちにも」まで進みました。次は、本文が橋本本グループと大島本グループとで真っ二つに分かれる箇所からとなります。
 終わってから、これからは保坂本の翻字をスタートさせるため、あらかじめ希望をお聞きしていた方々に翻字資料を渡しました。また、今日から参加なさった方とお話をしていたところ、前回からお話を伺っていた変体仮名をパソコンで自由に表示する、かつてはフロントエンドプロセッサと言っていたものを開発し始めた方から、進捗状況を伺いました。一太郎2019に搭載されているとはいえ、この新方式は自由度が高いので楽しみです。ただし、どの変体仮名を組み合わせて1つの単語を構成するのかなどなど、まだ検討する課題は山積しています。それでも、身近なところで、こうして変体仮名を扱うコンピュータのツールが作られているのは、楽しみの多いことです。
 帰りは、新橋に近いレストランで課外講座と称する会合を持ちました。視覚障害に関する話題では、当事者を交えて稔り多い展開がありました。また、この日比谷図書文化館での講座に関しても、前回同様に橋本本の本文を解釈してその意味をみんなで考える勉強会の設立を、具体的に打ち合わせました。これについては、近いうちに結論を出すつもりです。
 充実した1日だったので、新幹線に飛び乗るが早いか熟睡です。気がついたら名古屋でした。
 
 
 
posted by genjiito at 23:55| Comment(0) | ◎NPO活動
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