2019年06月06日

読書雑記(257)芥川賞2作を読んで

 平成30年下半期の芥川賞受賞作を2本一気に読みました。
 文章に、普通は漢字で書く語句が、頻繁に平仮名で書いてあることに、違和感を覚えました。今は、平仮名多用の時代になっているのでしょうか。
 また、女性の役割が添え物のように感じられました。テーマが女性の存在を特に求めなかったからでしょうか。この2作を、女性はどのように読まれるのでしょうか。
 2作共に、恋愛をテーマにするものではありません。コンピュータのエンジニアと、ボクシングの選手が主人公です。神経が張り詰める世界に生きる男が息を抜く様子が、合間合間に語られていたので、興味深く楽しみました。

■上田岳弘『ニムロッド』
 「駄目な飛行機コレクション」が、物語の展開の中でいくつも出てきます。これはどんな意味を持たせて語られるものなのか、終始疑問に思いながら読み進めました。しかし、現代が直面している課題を抉り出していることはわかります。【3】

■町屋良平「1R1分43秒」
 戦いと時間を前にして、人間が自分の身体の限界と向き合う話です。戦いを控えた1人の男の内面が、具体的に語られています。後半は、2人の男の交流が。こうした戦いは経験していなくても、その心持ちは理解できます。そこに、作者と読者の接点があります。【4】

 共に、私が日頃経験しない世界が舞台です。ビットコインとボクシング。そして、共にわかりやすい文章でした。比喩をこねくり回した、凝った文章は好きではありません。その意味からも、この2作は、また読んでも疲れない作者だと思いました。
 
 
 
posted by genjiito at 23:08| Comment(0) | ■読書雑記
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