2019年05月30日

科研の実績報告書ができました

 昨年度の科学研究費補助金による基盤研究(A)の取り組みは、「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)をテーマとするものでした。
 その成果・実績の報告書が学振(日本学術振興会)から公開されるまでに、しばらく時間がかかります。そこで、その研究実績の報告書の一部をここに引用します。
 交付された直接経費は〈7,900,000円〉、間接経費は〈2,370,000円〉、未使用額は〈68,793円〉でした。
 多くの方々に助けられて、多くの成果をあげることができました。
 あらためて、関係するみなさまにお礼を申し上げます。
 まだ後2年あります。
 これまでと変わらぬご支援を、引き続きよろしくお願いします。

【研究実績の概要】


 本年度も、海外の研究情報と翻訳本を収集する活動と共に、現地の大学及び国際交流基金とのコラボレーションとしての国際研究交流を実施した。出向いた国は、ペルー・アメリカ・ミャンマー・ルーマニアの4カ国であった。いずれも先生方や現地の研究者との有益な面談に加え、多彩な研究情報や資料と、情報として伝わっていなかった多くの翻訳本を入手することができた。特に今年度は、ルーマニア語訳『源氏物語』の情報と共に翻訳者との対談も実現したことは大きな成果となった。これらは、年度末に発行した報告書である『平安文学翻訳本集成〈2018〉』に収録している。
 また、翻訳書籍に関する展示も、昨年度に引き続き開催した。研究代表者が収集した各国語に翻訳された古典文学作品について、解題を付して展示を行ったものである。多くの学生、教職員の目に留まるようにした。
 各国語訳『源氏物語』の訳し戻しは、世界35言語に翻訳された『源氏物語』を、その言語を母語とする者(母語話者)と母語としない者(非母語話者)により、日本語への訳し戻しを行っている。今年度は、主にビルマ語訳『源氏物語』(ケィン キン インジィン著)の訳し戻し作業を行い、日本文化の変容を考察する基礎資料を作成した。このことは、研究会に翻訳者ご本人をお呼びし、ディスカッションをする中で翻訳について考えた。
 懸案のホームページ「海外へいあんぶんがく情報」(http://genjiito.org)は、年度末に無事に完成し公開することができた。これは、前回の科研で作成した「海外源氏情報」をさらに発展させた内容のホームページである。今後は、このホームページを情報公開の窓口として、これまでの研究成果を広く共有しながら本科研のテーマを追求し、深めていきたい。(752字)


--------------------------------------

【現在までの進捗状況】


(1)当初の計画以上に進展している。

 当初設定した、研究期間の4年間で調査研究によって解明する目標は、次の3点であった。
 1. 世界各国で翻訳されている平安文学の総合的調査を実施し、各国の受容史と研究史を整理
 2. 江戸時代の簡約版『十帖源氏』を多国語翻訳し、日本文化の変容と理解について共同研究
 3. ホームページや電子ジャーナル等のメディアを活用して、研究者が情報交換をする場所を提供
 この内、1は予想以上に情報が集まり、受容資料としての翻訳本も確実に収集点数を増やしている。また、
 3のホームページ[海外へいあんぶんがく情報](http://genjiito.org/)も年度末に稼働しだしたことにより、コラボレーションが具体的に実現しつつある。
 そうした中で、2の『十帖源氏』の多国語翻訳は、これまでの基盤整備を踏まえて実施するものであり、3年目の2019年度の課題となっている。この2年間で得られた情報と人脈を有効に活用して、多国語翻訳を進展させていきたい。また、このテーマの遂行にあたり、これまで構築した人脈を活かして幅広い多彩な翻訳を実現したい。(460字)


--------------------------------------

【今後の研究の推進方策】


 本研究課題の今後の推進方策は、3年目に具体的に展開する『十帖源氏』の多国語翻訳の実施が中心となるはずである。『源氏物語』の第12巻「須磨」と第13巻「明石」を、翻訳の対象として予定している。そして、その成果はホームページのみならず、電子版『海外平安文学研究ジャーナル』に掲載して公開することとなる。
 電子版『海外平安文学研究ジャーナル』は、これまでに第6号まで発行している。次は、これまで2年間の成果を盛った第7号(今秋発行予定)と、本年度末に発行する第8号である。そこには、これまでに収集した情報と翻訳本、そして『十帖源氏』の多国語翻訳の掲載である。また、『海外平安文学研究ジャーナル〈ミャンマー編〉』の編集も最終段階となっている。
 こうした方向性を定めた研究を遂行していくことで、「1.翻訳から見た日本文化の変容」「2.『十帖源氏』の翻訳と研究」「3.共同研究基盤の整備」が関連しながら成果として公表できるものとなるはずである。
 また、「国際日本文学研究交流集会」の開催も、今後取り組むものである。これは、これまで研究環境が十全ではなかったために、実施が遅れていたものである。開催に向けての準備は整ってきたので、国内と海外で開催する段取りを進めているところである。(533字)

 
 
 
posted by genjiito at 20:39| Comment(0) | ■科研研究
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。