来月からは会場を「紫風庵」に移して新たに始まります。
「京洛逍遥(538)登録有形文化財「紫風庵」の三十六歌仙絵」(2019年04月13日)
今日は、ハーバード本「須磨」に書写されている変体仮名の内、「个」と「介」の判別をしました。
その際、対象となる「須磨」における全111例に関して、次の3つの方針で判断しました。
(1)最後の筆が真っ直ぐ下に引かれている場合は「个」
(2)最後の筆が右下方向に滑らかに引かれ、全体的に曲線で構成されている場合は「个」
(3)最後の筆が右側に真横に引かれ、筆が折り返して下に続いている場合は「介」
例えば、最初に出てくる第1丁表5行目行末の「あ里个れ」と翻字した次の例は、「変体仮名翻字版」で翻字をする場合には「个」ではなくて上記(3)を適用して「介」とすべきであると判断しました。
つまり、これは「あ里介れ」とすべきである、というように、111例すべてを「个」か「介」かを1文字ずつ確認していきました。
続く「个れと」(第3丁表6行目)と翻字した例は、最後の線が右下方向に引かれているものであり上記(2)の場合に該当するとして、多少は迷いながらも一応このまま「个」としました。
こうした判断を一例ずつ下していき、結局は上の一例を含んで次の例を加えた合計5例が「个」とすべきではないか、となりました。ただし、これらは最後は筆が折り返しているのでいろいろと迷いながらも、真っ直ぐ下に引こうとしていると判断しました。もっとも、依然として疑問は残りながらも、ですが。
〈第30丁表6行目〉
〈第36丁表4行目〉
〈第49丁裏1行目〉
〈第58丁表2行目〉
こうして、「个」とすべき5例をもう一度確認の意味で見直しました。すると、やはりこれは真横に線が引かれていないものの、最後に筆が折り返しているので、上記基準の(3)になるのではないか、ということに意見が集約されてきました。そして、この5例も最終的には「介」とすることになりました
つまり、ハーバード本「須磨」には「个」は一例もない、ということを今日の結論としました。
そして、上記基準の「(2)最後の筆が右下方向に滑らかに引かれ、全体的に曲線で構成されている場合は「个」」は考慮しないことになりました。つまり、今後は次の2つの基準で「个」か「介」かを判断しようということです。
(A)最後の筆が真っ直ぐ下に引かれている場合は「个」
(B)最後の筆が右横方向に引かれ、筆が折り返して下に続いている場合は「介」
今後は、鎌倉期に書写された写本で(A)に該当する用例を探すことになりました。
この例をご存知の方がいらっしゃいましたら、ご教示いただけると幸いです。
写本に書かれた変体仮名の確認は、11丁表最終行の「可ゝる人/\も・えしも・」までを見ました。
以下に、これまで京都の「ワックジャパン(WAK JAPAN)」と「be京都」で開催してきた勉強会の記事を一覧にします。2013年4月6日から今まで、どのような学習会をし、どのような問題点を検討してきたのかを確認するのに便利なリストかと思います。折々に確認の意味でご覧いただければと思います。
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【会場:「be京都」編】
『源氏物語「須磨」』の変体仮名を読む研究会
「[町家 de 源氏](第18回)(「か」と「ま」の字形)」(2019年03月23日)
「[町家 de 源氏](第17回)(変体仮名「寿・春・須」の使い分け)」(2019年02月23日)
「[町家 de 源氏](第16回)(現行平仮名が1文字に選定された経緯は?)」(2019年01月20日)
「[町家 de 源氏](第15回)(書写者が途中で変わること)」(2018年12月22日)
「[町家 de 源氏](第14回)(補入となぞりの確認)」(2018年11月25日)
「[町家 de 源氏](第13回)(変体仮名「う」と「こ」の字形)」(2018年10月14日)
「[町家 de 源氏](第12回)(変体仮名「可・尓・多」が圧倒的に多い)」(2018年09月22日)
「[町家 de 源氏](第11回)(石田版新糸罫と中国版糸罫)」(2018年07月28日)
「地震の後に第10回[町家 de 源氏物語の写本を読む]」(2018年06月19日)
「[町家 de 源氏](第9回)(【画像変更】糸罫が動いた結果)」(2018年05月26日)
「[町家 de 源氏物語の写本を読む](第8回)(糸罫の試作品完成)」(2018年04月21日)
「[町家 de 源氏物語の写本を読む](第7回)の報告(体験参加者と共に)」(2018年03月31日)
「[町家 de 源氏物語の写本を読む](第6回)の報告(重ね書きの問題点)」(2018年02月24日)
「[町家 de 源氏物語の写本を読む](第5回)の報告(ナゾリの問題点)」(2018年01月28日)
「[町家 de 源氏物語の写本を読む](第4回)の報告(虫損と誤読)」(2017年12月16日)
「[町家 de 源氏物語の写本を読む](第3回)の報告」(2017年11月25日)
「[町家 de 源氏の写本を読む](第2回)の報告」(2017年10月28日)
「[町家 de 源氏の写本を読む](第1回)の報告」(2017年08月26日)
「[町家 de 源氏の写本を読む](第0回)の報告」(2017年07月29日)
「[町家 de 源氏の写本を読む]を再開します」(2017年06月22日)
--------------------------------------【会場:ワックジャパン(WAK JAPAN)編】
(1)『十帖源氏』の現代語訳をする研究会
「京都でハーバード本「蜻蛉」と『十帖源氏』を読む(第20回)」(2015年06月21日)
※ここまでで『十帖源氏』「明石」巻の現代語訳は終了
「京町家ワックジャパンで『十帖源氏 明石』を読む」(2015年05月18日)
「京洛逍遥(350)京都で『源氏物語』を読んだ後に御所の一般公開へ」(2015年04月04日)
「京洛逍遥(346)京都のワックジャパンで『源氏物語』を読む」(2015年03月14日)
「京都で『十帖源氏』を読む「明石_その6」」(2014年09月08日)
「京都で『十帖源氏』を読む「明石_その5」」(2014年07月22日)
「京都で『十帖源氏』を読む「明石_その4」」(2014年06月22日)
「京都で『十帖源氏』を読む「明石_その3」」(2014年05月21日)
「京都で『十帖源氏』を読む「明石_その2」」(2014年04月13日)
「京都で『十帖源氏』を読む「須磨_その11・明石_その1」」(2014年03月02日)
「京都で『十帖源氏』を読む「須磨_その10」」(2014年01月21日)
「京都で『十帖源氏』を読む「須磨_その9」」(2013年12月16日)
「京都で『十帖源氏』を読む「須磨_その8」」(2013年11月10日)
「京都で『十帖源氏』を読む「須磨_その7」」(2013年10月06日)
「京都で『十帖源氏』を読む「須磨_その6」」(2013年09月22日)
「京都で『十帖源氏』を読む(第5回)」(2013年08月11日)
「京都で『十帖源氏』を読む(第4回)」(2013年07月14日)
「京都で『十帖源氏』を読む(第3回)」(2013年06月16日)
「京都で『十帖源氏』を読む(第2回)」(2013年05月11日)
「京都で『十帖源氏』を読む会がスタートしました」(2013年04月06日)
--------------------------------------(2)京都で『源氏物語「蜻蛉」』の変体仮名を読む研究会
「京都で「蜻蛉」(第22回)/傍記混入の確証」(2015年09月12日)
「京都でハーバード本「蜻蛉」を読む(第21回)」(2015年07月12日)
「京都でハーバード本「蜻蛉」と『十帖源氏』を読む(第20回)」(2015年06月21日)
「京町家ワックジャパンで『源氏物語』を読む(第19回)」(2015年05月17日)
※(第18回)は「『十帖源氏』の現代語訳をする研究会」のみで写本の研究会は延期
「京洛逍遥(346)京都のワックジャパンで『源氏物語』を読む」(2015年03月14日)
「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第16回)」(2015年02月28日)
「「変体仮名混合版」を後押しする手厳しくもありがたい批判(第15回)」(2015年01月17日)
「京都で「蜻蛉」を読んだ(第14回)後に流通前の古典籍を見る」(2014年10月04日)
「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第13回)」(2014年09月06日)
「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第12回)」(2014年07月19日)
「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第11回)」(2014年06月21日)
「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第10回)+追記」(2014年05月17日)
「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第9回)」(2014年04月12日)
「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第8回)」(2014年03月01日)
「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第7回)」(2014年01月18日)
「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第6回)」(2013年12月14日)
「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第5回)」(2013年11月09日)
「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第4回)」(2013年10月05日)
「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第3回)」(2013年09月21日)
「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第2回)」(2013年08月10日)
「京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(初回)」(2013年07月13日)
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