2019年04月13日

京洛逍遥(538)登録有形文化財「紫風庵」の三十六歌仙絵

 先週、「ワックジャパン(WAK JAPAN)」の小川さんから貴重なお話を伺い、その折に紹介してくださった「紫風庵」へ、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉の理事である石田さんと一緒に行って来ました。次の記事の最後に書き留めておいたことが、今日の「紫風庵」を訪問したことにつながっています。
「久し振りのワックジャパンで貴重なお話をうかがう」(2019年04月05日)

 「紫風庵」は、昭和8年に建てられた数寄屋造りと洋風建築の和洋折衷です。最近、登録有形文化財に指定されました。

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 ここのパンフレットが出来た時のことが、「京都の日々の暮らし・スタート」(2019年2月24日)というブログに記されています。本当に新しい文化施設です。質の高い文化を継承する場所として、今後は有効に活用して行かれることを願って、ここに詳しく紹介します。所有なさっている宮本さんにご許可をいただきましたので、「紫風庵」の三つ折りのパンフレットを画像として掲載します。

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 まず、この場所から。

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 私は自宅前からバスに乗り、バス停「大徳寺前」の次、「船岡山」の一つ手前の「建勲神社前」で降りて南下しました。そこから5分ほどで着きます。
 建勲神社の桜は満開でした。

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 南下して突き当たりを右に曲がると、左側に船岡温泉があります。

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 船岡温泉と道を隔てた前にある建勲神社の標柱の所で、来た方向の建勲神社への道を入って直進し、左に曲がると、すぐ右に入る小道があり、もう「紫風庵」が見えます。

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 西側のバス停「千本鞍馬口」からも徒歩5分です。ちょうど船岡山公園の南側斜面に建っています。

 1階客間には、江戸時代に書かれたと思われる三十六歌仙の絵と和歌が貼られた襖があります。しっかりとした絵と仮名文字だけではなく、その色の鮮やかさには圧倒されます。相当くすんでいたものを、専門家に汚れを落としてもらい修復したものだそうです。

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 私は、『探幽筆 三拾六哥仙』と題する粉本画帖を持っています。「架蔵『探幽筆 三拾六哥仙』の復元」で公開していますので、ご覧ください。この「紫風庵」の三十六歌仙の襖絵と架蔵画帖を比べると、図様がよく似ていることに気付きました。私は絵画を専門にする者ではないので、今は何とも言えません。表情など細かな点はさておき、描かれ方がよく似ていると思うものを以下に例示します。
 上の「紫風庵」の襖絵の上段左に描かれている在原業平の図像は、次のようになっています。

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 これが、架蔵『探幽筆 三拾六哥仙』の原画に記された細かな色取りの指示通りに彩色を施した、コンピュータ・グラフィックによる復元画では、次のようになります。

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 在原業平と言えば小野小町が思い出されるので、小野小町の絵を比べて見ます。まず「紫風庵」の絵を、次に架蔵画帖の復元画です。

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 歌聖とされる柿本人麻呂は、三十六歌仙絵では最初に置かれるので、これも見比べてみましょう。「紫風庵」の絵の次に架蔵画帖の復元画です。

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 図様というと難しいので、ポーズや着衣がよく似ていると言っておきます。
 もっとも、明らかに違うものもあります。中務がそうです。中務は、上掲の襖絵の最下段に描かれています。架蔵の画帖はまだ彩色復元をしていないので、原画像のままをあげます。これも、「紫風庵」の絵の次に架蔵画帖です。

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 いかがでしょうか。桧扇も唐衣も、まったく異なるものが描かれています。

 「紫風庵」の襖絵は、狩野派の絵に近いとするのは、素人判断に過ぎるかも知れません。しかし、土佐派ではないのは明らかです。とにかくこの絵と書については、専門家のご教示をお願いするしだいです。

 インターネットをブラブラと見ていたら、「「陣内久紹 染の着物展」紫風庵」(2016年5月22日)と題する記事に出会いました。今日、宮本さんが着物展をしたとおっしゃっていたのは、このことだったようです。

 とにかく「紫風庵」は、日本の伝統文化を考える場所を提供してくれます。非常に刺激的な建物です。
 5月から、現在NPO法人〈源氏物語電子資料館〉が主催して毎月第4土曜日に開催している『源氏物語』を読む会は、次の5月25日(土)は午後2時からこの「紫風庵」で行なうことを決めています。その第1回では、この襖絵に変体仮名で書かれた和歌を読むことを中心とします。興味と関心をお持ちの方は、資料の用意がありますので、本ブログのコメント欄を通して、参加希望の連絡をお願いします。
 近在のみならず遠方からの方や、旅の途中で立ち寄っていただいても構いません。

 NPO法人〈源氏物語電子資料館〉としては、新しい活動の拠点と出会ったことになります。今後の活動を楽しみにしていただけると幸いです。
 
 
 
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ◎京洛逍遥
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