2019年03月17日

京洛逍遥(532)大仙院茶会「古渓忌」の後に大慈院「泉仙」で食事

 大仙院第3世の古渓宗陳和尚(1532〜1597)は、利休に禅を教えた人です。宗易に「利休」という居士号を選んだのも、秀吉に切腹をさせられて晒し首になっていた利休の首を、僧衣に隠して大徳寺に持ち帰って手厚く葬ったのも古渓です。
 その古渓を偲ぶ大仙院の茶会「古渓忌」に行ってきました。少し小雨が降っていました。しかし、すぐに上がりました。

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 その入口にあった足下の石に「子」と刻まれていたのが目に留まりました。

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 受付でお尋ねすると、北を示す目印だそうです。はて?、なぜ「子(ね)」がこの石に必要なのか?、それ以上は時間もなかったので聞きませんでした。

 鴬張りの廊下伝いに案内されたお茶室は、現代的できれいな空間でした。
 茶会記をいただきました。

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 主茶碗の「徳山」は、紫野窯がもう廃窯なので、待合床に飾るだけにしているとのことでした。
 杉皿に乗ったお茶菓子の「うば玉」には、干菓子として松葉が添えられていました。
 私が好きな丸卓を使っての、裏千家のお点前です。棗と茶杓を拝見に出されたこともあってか、私が今お稽古をしている拝見に出さないお点前とは、少し違うようにお見受けしました。

 外国からお越しのお二人がいらっしゃいました。しかし、外国語での説明は文字でも口頭でも何もなかったので、終始「???」の状態で座っておられました。あまり気の毒なので、見かねた娘が英語でお点前の説明からお茶のいただき方までをアシストして差し上げていました。オーストリアの方だということです。一見して普通の観光客ではなさそうだったので、私も日本の文化を伝える機会ではないか、と思いました。
 もう、京都は普通の観光地ではないのです。生きた文化が日々展開するところです。そのための情報も氾濫しています。そこにお越しになる方々へのおもてなしと気遣いは、単なる観光客を相手にしての、勝手に見て行けばいいというレベルではいけません。
 大幅に研究が遅れていると思っている観光学は、こうしたもう少しレベルの高い観光も視野に入れた、多彩な研究を展開すべきです。今の日本の観光学は、管見によるものとしても、あまりにも薄っぺら過ぎます。現状を調査するだけで、有効な提案がありません。観光を研究するための対象でしかないかのように見えます。
 たとえば、今日のお二人はいろいろと知りたがっておられました。そのことは、娘の説明を聞きながら質問をなさり、それに答えるとまた遠慮がちに聞いておられたからです。どのような経緯でここにお越しになっていたのかはわかりません。しかし、京都の町にお出かけになる前に、何かアドバイスはできなかったのでしょうか。もし時間がある方ならば、私なら「ワックジャパン(WAK JAPAN)」を紹介します。
 今日のままであれば、このお二人はお茶会の場面に身を置いただけ、ということになります。それは、日本を理解していただくためには、なんと効率の悪いことか。お寺やお茶会の主催者の問題ではなくて、お迎えする町として、国としての問題だと思っています。見て回るだけの観光客の対応は、少なくとも京都においては、もう今のレベルでいいと思います。そうではなくて、リピーターとしてのお客様や、日本を深く知りたくてお越しになる方々への対処をどうするかを、真剣に考えたいものです。今日のお二人は、明らかに日本の文化にいたく興味を持たれ、深く知りたいと思っておられました。このチャンスを逃す手はありません。
 私は、もう京都は【入京制限】をすべきだと思っています。「京都検定」とまでは言わないまでも、簡単な京都に関する理解度を京都駅で確認してから市内に入っていただく、というのはどうでしょうか。観光客の目に余る行動で市民生活がどんなに破壊されていることか。それくらいはしていかないと、行政も観光業者も、あまりにも無自覚であり無責任なので、ますます京都の魅力は色あせていきます。少なくとも、スーツケースを持ったままで市内に入る観光客は、なんとか足止めをしないといけません。

 大仙院から大慈院に移動しました。目的は、「泉仙」で精進鉄鉢料理をいただくためです。

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 梅が出迎えてくれます。

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 入口の石碑に「紫式部碑所在寺 大慈院」とあります。しかし、その碑は一般に公開されていないので、このことはあまり知られていません。

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 なお、この大慈院の紫式部碑のことは、「京洛逍遥(473)源氏物語散策(第2回)大徳寺周辺とお茶会」(2017年11月12日)に詳細に書いています。

 「泉仙」は気取らずに精進料理がいただけます。

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 箸袋に記されていた文字の「有」の次の文字で目が止まりました。

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 料理を運んでこられた方にお尋ねすると、詳しいプリントをくださいました。予想していた「漏」でよかったので安堵しました。

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 食べ終わると、こんな形でおしまいとなります。

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 2階の部屋から真下に、大慈院の紫式部碑が見えました。

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 帰る頃には、すっかり青空でした。春が待ち遠しくなりました。
 
 
 
posted by genjiito at 23:59| Comment(0) | ◎京洛逍遥
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